JP2006312865A - コラムの置換築造方法及び置換コラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の深層混合処理工法、流動化処理土工法、PIP杭工法およびRGパイル工法等における課題を解決し、地上のミキサーで混練したときとほぼ同じ品質の置換コラムを得るコラムの築造方法を提供する。
【解決手段】 先端に掘削部を有するオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を該オーガ先端部から吐出しつつ、正回転または実質的に無回転で該オーガを引上げる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、土木・建築構造物の基礎工法としてのコラムの置換築造方法および置換コラムに関する。
土木・建築構造物の基礎工法として、従来、深層混合処理工法、流動化処理土工法、PIP杭工法およびRGパイル工法等が提案されている。
深層混合処理工法は、地盤中に掘削撹拌混合装置を挿入し、固化材を填充しながら同時に原地盤と撹拌混合することにより、地盤中に円柱状の地盤改良体を築造する工法(例えば、特許文献1参照)であり、掘削撹拌混合装置を地盤中に掘進させる時に固化材を填充する方法と、逆に上方へ引上げるときに固化材を填充する方法がある。また、固化材は水と撹拌混合してスラリー状にして使用する方法と、固化材を粉末状のまま使用する方法とがある。
流動化処理土工法は、連続スパイラルオーガにより掘削排土した土砂を地上のミキサーで固化材と混合し、ソイルセメントとした後、該ソイルセメントを掘削した場所に再び戻すことにより地盤改良を行うものである(例えば、特許文献2および3参照)。
PIP杭工法は、連続したフライトをもつオーガの中空のシャフトの頭部に駆動装置を取り付け、この装置全体を櫓に吊り下げ、地中に回転させながら所定の深さまで掘削し、所定の深さに達したら、シャフト先端部よりモルタルを圧入しながら徐々に引上げることによってモルタル杭を造成し、オーガ引上げ後ただちに鉄筋篭または形鋼をモルタル杭の中に建て込むものである(例えば、特許文献4および非特許文献1参照)。
また、RGパイル工法は、中空軸を有するアースオーガの回転により土砂を上方に排除しながら所定の深さまで掘削し、次にオーガを引上げつつ、中空軸先端オーガヘッドの噴出口からモルタルを圧入して地中に場所打パイルを造成するものである(例えば、非特許文献1参照)。
特開2003−247228号公報(請求項3、0002) 特開平8−260450号公報(請求項1) 特許第3280710号公報(請求項1) 特許第3306460号公報(0002) 地下連続壁工法 設計・施工ハンドブック 社団法人日本建設機械化協会編 技報堂出版株式会社発行(第427頁〜第430頁)
前記深層混合処理工法においては、次のような課題がある。
(1)固化材を填充しながら同時に原地盤と撹拌混合することにより、地盤中に地盤改良体を築造する工法であるため、改良対象地盤の土質の構成や物性が一定でないことに起因して、改良土の品質は特に一軸圧縮強度のバラツキが大きいという欠点がある。そのため、改良する目標強度をバラツキに相応する分だけ設計強度よりも大きくしなければならず、固化材添加量が増え、不経済であった。
(2)深層混合処理工法においては、粘着力の大きな粘性土地盤では共回り現象の発生により混合不良が発生し、目標とする品質を確保出来ないことがあった。
(3)有機質土やピート等の有機質分が多量に含まれている土層やロームや赤ボク黒ボク等の火山灰質粘性土では固化材の硬化不良が発生したりして、目標とする品質を確保出来ないことが多かった。
(4)有機質分が多量に含まれている地盤では、固化材添加量を多く必要とするため、不経済であった。
(5)地盤が複数の土層で構成されている場合は、強度発現が最も低い土層に必要な固化材添加量で全深度範囲に吐出するため、他の土層部分には必要以上の量の固化材を添加しなければならず、不経済であった。また、その分だけ建設発生土(残土)量が増え、環境に対する負荷が大きかった。
(6)撹拌混合が確実に行われたとしても、ソイルセメントの発現強度は改良対象の土質に依存するため、事前に予想していない土質が出現した場合には改良強度が目標値に達せず不良工事になる恐れがあった。
(7)建築基礎に使用される深層混合処理工法では改良強度が1〜3N/mm程度であり、これに起因して、ラップルコンクリートに比較して同一荷重を支持するのにより広い面積を改良する必要があった。これに伴い、地盤改良に要する改良対象土量が増えるのみならず、基礎のフーチング体積も増えるため、建設コストが増大していた。
また、前記流動化処理土工法にも次のような課題がある。
(1)地上のミキサーで現地の土砂と固化材を混合するため、現地発生土砂を使用するので、施工対象地盤の土質の物性に起因して、改良後の品質は施工対象地盤毎にバラツキが大きいという欠点がある。また、現地発生土砂を使用するため、特に現地土砂が有機質土の場合、所望の一軸圧縮強度を得るために多量のセメントを必要とし、不経済となる場合がある。
(2)掘削土砂を地上へ排出し、それを地上のミキサーで固化材と混合してスラリー状のセメントミルクとし、再び元の位置へ戻す工程であるため、施工工程が増え、コストが高い。
(3)一時的とはいえ、改良すべき箇所の土砂を掘削し除去するため、それまでの上載荷重による応力バランスが崩れて支持地盤が緩む。そのため、掘削底地盤の支持力が低下する。
(4)土砂を除去した底面の処理を丁寧にしないと、場所打ち杭の先端スライムと同様な初期沈下の問題が発生する。
さらに、PIP杭工法およびRGパイル工法にも次のような課題がある。
(1)モルタル製造に用いる細骨材の水分管理が必要であり、現実的に品質のバラツキが生ずる。
(2)モルタルは細骨材を含有しているため、モルタルはフロー値が18〜20秒の流動性の高いものを使用せざるを得なく、ブリージングが発生しやすくなるばかりか、掘削土砂等がモルタル中に落ち込み、モルタル中に土砂等が塊状に混入される。
(3)砂質、砂質シルト層などでは、湧水、地下水圧を伴い孔壁崩壊が起る可能性があるので、掘削に際しベントナイト泥水、またはこれに少量のセメントを混合したものを用いる必要がある。また、ベントナイトは産業廃棄物に指定されている汚泥となるため後の処理に莫大な費用が発生する。
(4)その結果、モルタル柱底面と支持地盤との間にスライム層が形成されるため、スライム処理工程が必要となる。
(5)また、PIP杭工法およびRGパイル工法では、モルタル充填後、鉄筋篭等を挿入するため、基礎スラブ底面以浅までモルタルを注入し、結果として根切り時の頭部整形が困難となる。
この発明の目的は、このような課題を解決することであり、対象地盤の性状に左右されず、安定した品質のコラムの築造方法を提供することであり、安定した品質のコラムを提供することである。
この発明は、このような課題を解決せんと提案されたものであり、この発明のコラムの置換築造方法は、先端に掘削部を有するオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を該オーガ先端部から吐出しつつ、正回転または実質的に無回転で該オーガを引上げることにより、地盤土が填充材で置換されたコラムとすることを特徴とする。
この発明でスクリューオーガの正回転とは、地盤の掘削土がスクリューオーガで地上側に排土される回転を指す。また、実質的に無回転という表現は、回転させていない状態や実質的に回転しないとみなせる非常に低速な回転数で正回転や逆回転する状態を含む表現である。
このコラムの置換築造方法によれば、原地盤と填充材を撹拌混合することがないので地上のミキサーで混練したものとほぼ同じ品質の固化体(コラム)を得ることができるし、深層混合処理工法によるコラムに比べて品質のバラツキを非常に小さくすることができるし、また、固化体(コラム)の強度を任意に設定し、それを実現することが容易に出来るし、所定の置換範囲内を置換しその上方の非置換範囲の土砂を排土せずにそのまま残置することが可能となる。特に、填充材は、練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーが、テーブルフロー値で150〜400mmであるのは、150mm未満では、施工時に時間がかかりすぎるか、施工不能になり、400mmを超えると置換した未硬化の固化体中に土砂が多く混入される可能性が高くなるためである。上記した範囲のテーブルフロー値を有する填充材であれば、掘削孔内における流動充填性を確保し、また孔壁崩壊を防ぎ、さらに置換された填充材中に置換範囲上方の土砂が落ち込むことを防ぐことが出来る。なお、上記の現象が非常に少なくなり、高品位のコラムとするためには、填充材のコンシステンシーが、テーブルフロー値で150mm〜330mmとすることがさらに好ましい。また、この填充材として使用する混合物が水硬性を有する粉体の他に添加材や添加剤を加えた混合物であっても上記したコンシステンシーの範囲内であれば填充材として使用できる。添加剤等を加えることにより填充材の配合を調整して任意の強度を発現するようにすることが可能になるし、例えば、安価なフライアッシュや高炉スラグ粉体を混和材として填充材に使用することにより、填充材のコストを下げることが出来る。なお、水硬性を有する粉体としては、例えばポルトランドセメント(普通、早強、中庸熱)、高炉セメント、フライアッシュセメント、セメント系固化材等の所謂セメントが例示できる。
また、この発明のコラムの置換築造方法で使用可能なスクリューオーガとして、スパイラル翼が連続スパイラルスクリューであるオーガ、スパイラル翼が断続スパイラルスクリューであるオーガ、オーガが少なくともコラム築造長に相当する長さの円筒形のケーシングに覆われているオーガおよびスパイラル翼が複数の断続スパイラルスクリューからなり、かつ該断続スパイラルスクリューのうち少なくともコラム築造に直接関わる部分には外周に円筒状のリングが固設してあるオーガ、等を挙げることができる。
スパイラル翼が連続スパイラルスクリューであるオーガによれば、汎用的なスパイラルスクリューオーガを使用することにより、容易に置換作業が出来る。
スパイラル翼が断続スパイラルスクリューであるオーガによれば、砂質地盤や礫質地盤のような崩壊性の地盤では、連続スパイラルスクリューで掘進すると、必要以上に掘削土を排出する可能性があるので、断続スパイラルスクリューオーガを使用することにより排土量を低下させ、周辺地盛の乱れを少なくすることが出来る。その結果として支持地盤の乱れや緩みを少なくすることができる。また、断続スパイラルスクリューの外径は掘削翼径と同一である必要はなく、小径にすればさらに排土量を低下させることが可能になる。
また、オーガが少なくともコラム築造長に相当する長さの円筒形のケーシングに覆われているオーガによれば、削孔周辺部の土砂をスパイラルスクリューにより過剰に引き込むことを防ぐため、周辺地盤を緩めることなく、原地盤との置換がより確実になる。それと共に支持地盤が緩められることなく、置換したコラムの支持力が低下することがない。前記円筒形のケーシングは、スクリューオーガと同軸的に、かつ相対的に正逆回転可能に装着されていてもよい。
さらに、スパイラル翼が複数の断続スパイラルスクリューからなり、かつ該断続スパイラルスクリューのうち少なくともコラム築造に直接関わる部分には外周に円筒状のリングが固設してあるオーガによれば、簡便な装置でケーシングを使用するときと同様に確実な原地盤との置換ができる。また、地上に引上げたオーガの土砂落とし作業がケーシングを使用するときに比べて容易に出来る。
また、スクリューオーガの先端に有する掘削部として、スクリューオーガ先端に設けられた掘削翼およびスクリューオーガ先端に位置するスパイラル翼先端に設けられた掘削爪を例示できる。この掘削翼の掘削爪およびスパイラル翼先端の掘削爪は、掘削(特に硬質地盤)において威力を発揮するが、これは平爪であってもよい。
掘削部の存在で掘削効率が向上する。また、掘削爪を設けたスパイラル翼先端または掘削爪を突設した掘削翼で填充材置換上端部を整形すると、上端部は爪の形状通りに整形されるため、填充材が固結したときに凹凸ができる。したがって、後工程で置換コラム上端面の再整形作業が必要となる。平爪を用いることにより、置換工程で平面状に仕上げることが出来るので再整形作業が不要となる。
また、この発明の置換コラムは、先端に掘削部を有するオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を該オーガ先端部から吐出しつつ、正回転または実質的に無回転で該オーガを引上げることによって築造されている。
また、コラムの置換予定上端位置が地表面以深である場合(即ち、地表側に空掘り部を残して築造する置換コラムの場合)、この発明の置換コラムは、正回転または実質的に無回転で引上げる際、該オーガ先端部がコラムの置換予定上端位置に達したら、該オーガーの吐出口からの該填充材の吐出を停止し、さらに該オーガを逆回転乃至正回転させながら地上へ引上げることにより築造されている。
この置換コラムは、原地盤と填充材とが撹拌混合される工程がないので、地上のミキサーで混練したものとほぼ同じ状態の品質であるし、品質にばらつきが少ない。
また、置換範囲上方に土砂が残置された場合でも、填充材のテーブルフロー値が小さいため土砂が、填充材中に落ち込み混入されていないので品質のよい置換コラムとなる。
この置換コラムは、水硬性を有する粉体を原料とするコラムであっても、水硬性を有する粉体の他に添加材や添加剤を加えた混合物からなるコラムであってもよく、上記したコンシステンシーの範囲内である填充材とすることが可能であれば、添加剤等を加えることにより填充材の配合を調整して任意の強度を発現するコラムにすることが容易に提供できるし、例えば、安価なフライアッシュや高炉スラグ粉体を混和材として填充材に使用することにより、コストを下げることが出来る。
なお、逆回転乃至正回転という表現には実質的に無回転の場合も含んだ表現である。
また、填充材を吐出しつつ、スクリューオーガを正回転で引上げると、オーガのスパイラル翼上にある土砂や土塊が落下しにくいので、填充材と原位置土との置換がより確実に行なわれやすい。特に原位置土が粘着力の小さな砂質系地盤のときに効果がある。
一方、原位置土が粘着力の大きな粘性土のように落下の虞がないような地盤の場合には、実質的に無回転で引上げても土塊が殆ど含まれない置換コラムの築造が可能となる。しかし、原位置土が粘性土の場合であっても正回転でオーガを引上げる方が、思わぬ地層の出現にも対応できるので好ましい。
また、置換コラムの周辺地盤が堅固であれば、吐出圧力をスクリューオーガ引上げの補助手段として利用することも可能である。
更に、空掘り部を設ける場合、スクリューオーガを逆回転させながら引上げると、空掘り部に掘削土を残置させ得るが、空掘り部に掘削土を残置させる必要がない場合、もしくは粘性土のように掘削土がオーガに付着して逆回転しても落下しないような場合には、オーガを実質的に無回転状態、もしくは正回転で引上げてもよい。このとき、オーガを無回転で引上げると、オーガ先端部に負圧が発生する可能性が無いとは言えないので、引上げ速度は遅くした方がよい。ただし、回転させた場合には無回転の場合に比べると負圧が発生しにくい。
この発明のコラムの置換築造方法および置換コラムによれば、次のような効果を奏する。
(1)原地盤と填充材を撹拌混合することがないので地上のミキサーで混練したときとほぼ同じ状態(品質)の固化体(コラム)を得ることができる(請求項1)。
(2)同様の理由から、深層混合処理工法によるコラムに比べて品質のバラツキを非常に小さくすることができる(請求項1)。
(3)練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150〜400mm、好ましくは150〜330mmに設定することで、置換コラムの施工中などに上方の土砂が置換された填充材中に落ち込むことを防ぐことが出来る(請求項1)。従って、地上のミキサーで混練した状態とほぼ同じ品質のコラムが築造でき、一軸圧縮強度のバラツキの小さい置換コラムの築造ができる。
(4)練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150〜400mm、好ましくは150〜330mmに設定することで、置換コラムの施工中などに上方の土砂が置換された填充材中に落ち込むことを防ぐことが出来るので、所定の置換範囲内を置換しその上方の非置換範囲の土砂を排土せずにそのまま残すことが可能となる。即ち、置換コラムの上方に空堀部を存在させることが可能となる。
(5)また、この発明の置換コラムは、原地盤と填充材が撹拌混合されておらず、地上のミキサーで混練したときと同じ状態のもので置換されているので高品質であるし、品質にばらつきが少ない(請求項2)。
(6)練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150〜400mm、好ましくは150〜330mmに設定して得た置換コラムなので、填充材で置換された未硬化の固化体(コラム)中に土砂が混入されていない品質の高いものとなる(請求項2)。
この発明の置換コラムは高い品質のものとすることができるので、従来の地盤改良コラムに比して同一荷重を支持するために少ない面積のコラムで充分となる。そのため基礎のフーチング体積も小さくなり、フーチングのコンクリート量の低減のみならず、フーチング構築に伴う建設発生土の減少を図ることが可能となり、建設コストを大幅に縮減することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1はこの発明の第1の実施の形態を施工工程順(a)(b)(c)(d)に示す正面説明図である。
先ず、図1(a)に示すようにスクリューオーガ6を地盤Gの杭心位置にセットし、スクリューオーガ6を正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置まで掘進する。この掘進抵抗が大きく掘進が困難な場合は、エヤーや少量の水などを補助手段をして吐出しながら掘進してもよい。この時のスクリューオーガ6は正回転であるので、スクリューオーガ6により地盤Gの掘削土が地上に排出されつつ掘削される。
図1(b)はスクリューオーガ6が掘進しコラムの置換底位置(以下、所定深度という)に到達した状態を示している。
スクリューオーガ6がコラムの所定深度に到達したら、掘進を停止し、次に図1(c)に示すようにオーガ先端部7aの吐出口11より填充材を吐出しつつ、スクリューオーガ6を正回転で引上げる。この場合、正回転する代わりに実質的に無回転で引上げてもよい。
スクリューオーガ6の先端部7aより下方に形成された空間に填充材が吐出され空洞が発生しないように引上げ速度と吐出量をバランスさせながら充填しつつ引上げれば、スクリューオーガ6の下方に置換コラム14が形成される。
なお、填充材を吐出しつつ、スクリューオーガ6を、図1(c)に示すように、正回転で引上げると、オーガのスパイラル翼上にある土砂や土塊が落下しにくいので、填充材と原位置土との置換がより確実に行なわれやすい。特に原位置土が粘着力の小さな砂質系地盤のときに効果がある。一方、原位置土が粘着力の大きな粘性土のように落下の虞がないような地盤の場合には、実質的に無回転引上げても土塊が殆ど含まれない置換コラムの築造が可能となる。しかし、原位置土が粘性土の場合であっても正回転でオーガを引上げる方が、思わぬ地層の出現にも対応できるので好ましい。
また、置換コラムの周辺地盤が堅固であれば、吐出圧力をスクリューオーガ引上げの補助手段として利用することも可能である。つまり、吐出圧を掘削部9の下面で受けることにより、引上力を得ることができる。
次に、前記スクリューオーガ6の引上げが、図1(d)に示すようにコラムの置換予定上端位置、図1に示した例では地表面に到達したら、スクリューオーガ6の駆動と填充材の吐出を停止する。これにより所定長の置換コラム14が築造される。
図1(d)では、地表面まで置換コラム14が築造されているが、任意の位置で填充材の吐出を停止し、上部に填充材が存在しないようにしてもよい。
上記図1に示したスクリューオーガ6は、図2に正面図で示した連続スクリューオーガ6である。このスクリューオーガ6は、オーガ軸7にスパイラル翼8が連続して設けられたスクリューオーガ6であり、先端7aに掘削部9および吐出口11が設けられている。この図では、スクリューオーガ6の先端に位置するスパイラル翼の先端部が該掘削部9に該当し、先端部には複数の掘削爪10が突設されている。なお、オーガ軸7の先端に設けられた掘削爪も掘削部9の一部であるといえる。また、吐出口11はオーガ軸7の先端部7aに下向きに開口しているものでも、オーガ軸7の先端周面部に横向きに開口したものでもよい。この連続スクリューオーガ6は、スパイラル翼8が連続しているので、掘削の際の掘削土の排出の能力は高くなる。また、地上での連続スクリューオーガからの土砂落としは通常の方法(例えば、バックホウ等を用いる方法)で容易に実施できる。
図3は、上記図1に示した置換コラム築造時のプラント設備等も例示した施工模式図である。即ち、この発明の置換コラムの築造においては、図3に示すように施工機1とプラント設備20を用いて施工される。施工機1には、リーダ3が起倒自在に立設されており、このリーダ3にスイベルを備えるオーガモータ4が摺動自在に設けられて構成される。図3においては施工機1としてクローラタイプの台車部2を有しているものを示しているが、車輪を有する台車式でも、台車部が存在しない載置式であってもよい。オーガモータ4は、給進装置5が連結されて進退する。給進装置5としては、吊り上げ、引き込み可能なウインチを挙げることができるが、これは他の手段であってもよい。例えば、駆動モータからのスプロケットを介して駆動伝達されるフィールドチェーン又は油圧シリンダ等を例示できる。図示しないが施工機1をクレーン式施工機として、リーダ3を吊す方式のものでもよい。
また、オーガモータ4は、オーガモータ4に連結したスクリューオーガ6を正逆回転駆動させる駆動機構を内蔵する。従って、オーガモータ4に連結されたスクリューオーガ6には、給進装置5で掘進力および引抜力が付与され、オーガモータ4の駆動機構で正逆の回転力が付与される。従って、オーガモータ4に連結されたスクリューオーガ6は、正回転させながら掘進させることも、正転させながら引上げることも、また、逆回転させながら掘進させることも、逆転させながら引上げることもできるし、実質的に無回転で引き上げることもできるし、更に、掘進及び引上げるとき任意の位置で停止させることもできる。
なお、定速制御装置を有する施工管理機器により掘進速度と引上速度を一定に保つことができる。また、流量計26により吐出量を一定に保つことができる。従って、空洞部が発生しないように引き上げ速度と吐出量をバランスさせながら原地盤土を填充材に置換することができる。
一方、プラント設備20は、図3に示すようにミキサー21、サイロ22、水槽23およびポンプ24等を備え、填充材を水と共にミキサー21(図3ではグラウトミキサーが示されている。)で撹拌・混合してスラリー乃至モルタル化したものを、ポンプ24(図3ではでチューブポンプが示されている。)でグラウトホース25を介して供給するものである。ポンプの吐出口近傍乃至このグラウトホース25の途中には、流量計26が配置される。ポンプの吐出口近傍乃至このグラウトホース25の途中に配置した流量計26により、填充材の供給量が判り、オーガ引上げにより生ずる空隙量に見合うように填充材の供給量を管理する。
また、図4中に示したプラント設備20ではグラウトミキサーの代わりにパン式強制練りミキサー21(なお、図示しないがパン式強制練りミキサーの代わりに二軸強制撹拌式ミキサーも使用できる。)が示され、チューブポンプの代わりにスネーク式ポンプ(スクリューポンプ)24が示されている。スネーク式ポンプ(スクリューポンプ)24は、2条の内ねじを持つステータの中をステータの半分のピッチを持つ1条のねじのロータの回転によって、一定容積が脈動することなく押し出される機構のものである。
また、ポンプとしての能力があればプランジャー式のポンプも使用できるが、図4に示すようにポンプ24をスネーク式ポンプ(スクリューポンプ)とすると、練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーが低い(硬い)もの(例えば、テーブルフロー値で150〜260mmのもの)でも填充材を該オーガ先端部に供給し、該填充材を該オーガ先端部から吐出するようにして施工できるので特に好ましい。このようにコンシステンシーが低いものでも図4に示したパン式強制練りミキサーや図示しない二軸強制撹拌式ミキサーを用いることにより混練可能である。
一方、スクリューオーガ6は、中空のオーガ軸7にスパイラル翼8を設けた構成であって、オーガ先端部7aに掘削部9および吐出口11を有する。オーガ軸7の中空部もしくは該中心部に設けた管路は、填充材の通路となる。填充材はプラント設備20において作られ、グラウトホース25を介し圧送されオーガモータ4のスイベルを介しオーガ軸7の中空部(通路)を通り、先端の吐出口11から吐出される。
なお、吐出口11は、オーガ軸7の下端面乃至下端部側面に設けることができるが、下端面に設ける方が先端部の置換性の点から好ましい。
スクリューオーガとしてスパイラル翼8が連続する連続スクリューオーガ6を、図1や図2に示すように、代表例で示している。しかしスクリューオーガ6としては種々のタイプのものが存在し、実施可能なものであれば特に限定されるものではない。
即ち、図2に示すスクリューオーガ6を図5乃至図9に示す等の他のスクリューオーガに代えても同様に実施できることはいうまでもない。また、実施の形態では施工機1は省略してあるが、前記図3および図4に示した実施の形態のようにスクリューオーガ6は施工機1に連結されて施工されるものである。
また、使用する填充材は、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材である。
次に図2を用いて説明済みの連続スクリューオーガ以外のスクリューオーガについて図面を用いて説明する。
図5は断続スクリューオーガの正面図で、オーガ軸7に1枚羽根8aのスパイラル翼8が断続(間欠的)して設けられたスクリューオーガ6であり、この図では、下端のスクリュー部分が掘削翼であるともいえる部分であり、先端7aに掘削部9および吐出口11が設けられている。この図では、スクリューオーガ6の先端に位置するスパイラル翼の先端部が該掘削部9に該当し、先端部には複数の掘削爪10が突設されている。なお、ロッド部の先端に設けられた爪も掘削部9の一部である。この点は以下の図でも同じである。
図6は他の断続スクリューオーガの正面図で、オーガ軸7に2枚羽根8b、8bのスパイラル翼8が断続(間欠的)して設けられたスクリューオーガ6であり、この図でも、下端のスクリュー部分が掘削翼であるともいえる部分であり、先端7aに掘削部9および吐出口11が設けられている。またこの図でも、スクリューオーガ6の先端部が掘削部9に該当する。この図5および図6に示す断続スクリューオーガ6は、掘削の際の掘削土の排土量を低下させることができ、周辺地盤の乱れを少なくすることができる。それ故に、支持地盤も乱れの少ないものとすることができる。
この図5や図6に示すスクリューオーガや後述するスクリューオーガでも地上でのスクリューオーガからの土砂落としは通常の方法(例えば、バックホウ等を用いる方法)で容易に実施できる。
図7はケーシングオーガの正面図(a)および断面図(b)で、スクリューオーガ6が円筒状のケーシング12内に同軸的に、かつ相対的に正逆回転可能に挿入されているものである。このケーシングオーガによればケーシング12を備えているので、原地盤の掘削土の排出が確実となるし、填充材に周辺地盤からの地盤土の混入が防止される。それにより原地盤との置換がより確実となり、より品質のよい置換コラムが築造できる。図に示すようにケーシング12の先端には掘削爪12aを設けてもよい。ケーシング12の先端に掘削爪12aを設けると、掘削効率が向上するし、硬質地盤でも威力を発揮する。なお、円筒形のケーシング12はスクリューオーガ6との間で同期回転してもよく、同期回転しなくともよい。また、スクリューオーガ6とケーシング12とが各々独立に回転してもよく、ケーシング12は無回転であってもよい。
なお、本ケーシング12での地上での土砂落としは、側面に複数個の開口部を設けて地上部で排土する方法が用いられている。しかし砂質地盤に比べて粘性地盤では排土性が低下するという問題がある。
図8はリング付き断続スクリューオーガの正面図(a)およびリング部分を断面で示す側面図(b)で、断続(間欠的)して設けられたスパイラル翼8の外周に円筒状のリング13が固設されたものである。このリング13は、断続して設けられた全てのスパイラル翼8の外周に固設する必要はなく、少なくともコラム築造に直接関わる部分のスパイラル翼8の外周に固設されていればよい。このリング付き断続スクリューオーガでは、少なくともコラム築造に直接関わる部分のスパイラル翼8の外周に円筒状のリング13が固設されているので、掘削土の排土量を低下させ周辺地盤の乱れを少なくし、填充材への周辺地盤からの地盤土の混入も抑えられるので、原地盤との置換が確実となり、品質のよい置換コラムが築造できる。また、地上に引き上げたオーガの土砂落とし作業も、図7に示したケーシング12を使用するときに比べて、容易となる。なお、リング部に閉じ込められた土砂は次のコラム施工時に容易に排出することができる。また、円筒状のリング13におけるスパイラル翼は1枚である必要はなく、複数枚にすることもできるが、図6に見られるような複数枚にすることにより、円筒状リング13の高さを小さくすることができる。
最下端部の円筒状のリング13には下端周縁に掘削爪13aを設けることが好ましい。少なくとも最下端部のリング13の下端部に掘削爪13aを設けると掘削効率が向上するし、硬質地盤でも威力を発揮する。また、最上部の円筒状のリング13の上端周縁に掘削爪13aを設けて引き上げ時の抵抗を少なくしてもよい。なお、図8では最下端のスパイラル翼8の下端に平爪10aを設けた場合を示している。この図8では平爪10aの下端位置がリングの掘削爪13aの下端より上方に位置しているが、各々の位置を逆にしてもよい。
図9は上部小径スクリューオーガを示す正面図(a)および側面図(b)で、スパイラル翼8の上部が小径となっているスクリューオーガ6である。即ち、スパイラル翼8の下部は大径R1であり、上部は小径R2となっている。この上部小径スクリューオーガ6によれば、連続スパイラル翼でありながら、掘削土の排出量を少なくすることができる。また、地上部での土砂落としは連続スクリューの場合と同様容易である。
また、スクリューオーガ6の先端部7aに設けられる掘削部9としては、図10に示すようなスクリューオーガ先端に位置するスパイラル翼8の先端に掘削爪10を設ける構成を例示することができる。図2に例示したようなスクリューオーガ先端に掘削爪10を突設した構造の掘削部としたり、図5や図6のようにスパイラル翼8の先端に掘削爪10を設けた構造の掘削部として、この掘削爪10で填充材置換上端部を整形すると、上端部は爪の形状通りに整形されるため、填充材が固結したときに凹凸ができる。従って、後工程で置換コラム上端面の再整形作業が必要となる。このことにより掘削爪10としては、図8(b)および図9(b)に示すような平爪10aとすると平面状に仕上げることができるので再整形作業が不要となり好ましい。
填充材は、前記したとおり、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材である。
前記填充材は、セメント単独でもよく、他に混和材や混和剤を含んでいるものでもよく、填充材は特に制限されるものではないが、土砂や骨材を含まない填充材であることが望ましい。なお、骨材とはコンクリートでいう細骨材や祖骨材を意味し、高炉スラグやフライアシュ等の粉体は骨材ではない。土砂や骨材を含む填充材を使用すると従来技術に付いて記載したような欠点が生じる。特に好ましい填充材として水硬性を有する粉体とポゾラン性を有する粉体と水を主成分とする混合物からなり、練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を経済的かつ置換性において好ましいものとして例示することができる。
この特に好ましい填充材によれば、安価なフライアッシュや高炉スラグ粉体を填充材に使用することにより、填充材のコストを下げることが出来るし、填充材の配合を調整することにより、任意の強度を発現するようにすることが可能になる。
なお、填充材には、増粘材(例えば、塩基性炭酸マグネシウム、ベントナイト、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなど)、減水剤および流動化剤などを添加してもよい。
また、練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150〜400mm、好ましくは150〜330mmに設定することで、掘削孔内における流動充填性を確保し、また孔壁崩壊を防ぎ、さらに置換範囲上方の土砂が置換されて填充材中に落ち込むことを防ぐことが出来る。練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150mm〜400mmとするのは、150mm未満では、施工時に時間がかかりすぎるか、施工不能になり、400mmを超えると置換された填充材(固化体)中に土砂が多く混入される可能性が高くなるためである。
この填充材の練り上がり時乃至施工時のコンシステンシー(軟らかさの程度、粘性)を、テーブルフロー値で150mm〜400mm、好ましくは150〜330mmに設定すると、填充材で置換された未硬化の固化体(コラム)中に置換範囲上方の土砂が落ち込むことを防ぐことができる。150mm未満では粘度が高すぎてポンプで供給することが困難となり、今のところ施工不可であり、400mmを超えると粘度が低すぎて土砂の落ち込みを防ぐのに不充分であるからである。
ここでテーブルフロー値とは、JIS R 5201に示すセメントの物理試験方法のフロー値の測り方により測定した値である。
ただし、JISにおいては、フローテーブルの直径は300mmであるが、この発明では直径300mmのテーブルの上に直径500mmの板を固定してフロー値を測定した。
そして、この発明によれば先端に掘削部9を有するスクリューオーガ6を正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を該スクリューオーガ6の先端部7aから吐出しつつ、正回転または実質的に無回転で該スクリューオーガ6を引上げ、コラムの置換予定上端位置に達したら、該オーガ6の引上げと該填充材の吐出を停止させ、その後スクリューオーガ6を引上げることによって置換コラムを築造することができる。なお、填充材の吐出を停止させるときに該スクリューオーガの引上げを一時停止すると、置換コラムの頭部形成上好ましい。
図11はこの発明の第2の実施の形態を施工工程順(a)(b)(c)(d)(e)に示す正面説明図である。
先ず、図11(a)に示すようにスクリューオーガ6を地盤Gの杭心位置にセットし、スクリューオーガ6を正回転させながらコラムの所定深度まで掘進する。図11(b)に示すようにスクリューオーガ6が所定深度に到達したら掘進を停止し、スクリューオーガ6の先端部7aの吐出口11より填充材を吐出しつつ、図11(c)に示すようにスクリューオーガ6を正回転で引上げる。この場合、正回転する代わりに実質的に無回転で引上げてもよい。なお、この時の填充材の吐出量を、スクリューオーガ6の引上げ量に見合う(相当量)量とすることが、オーガ6の引上げ時にオーガ6の下部に空隙が生ずることなく置換できるので好ましい。
このスクリューオーガ6の正回転での引上げが、図11(d)に示すように置換予定上端位置、本例では空掘り部15を残す位置、まで到達したらスクリューオーガ6の引上げと填充材の吐出を停止させ、その後スクリューオーガ6を逆回転させながら引上げる。この場合、正回転で引上げても実質的に無回転で引き上げることも可能である。スクリューオーガ6の逆回転では、掘削土は排出されないので、この第2の実施の形態では図11(e)に示すように地上側に空掘り部15を残した所定長の置換コラム14が築造される。
このように、空掘り部を設ける場合、スクリューオーガを逆回転させながら引上げると、空掘り部に掘削土を残置させ得るが、空掘り部に掘削土を残置させる必要がない場合、もしくは粘性土のように掘削土がオーガに付着して逆回転しても落下しないような場合には、オーガを実質的に無回転状態、もしくは正回転で引上げてもよい。このとき、オーガを無回転で引上げると、オーガ先端部に負圧が発生する可能性が無いとは言えないので、引上げ速度は遅くした方がよい。ただし、回転させた場合には無回転の場合に比べると負圧が発生しにくい。
次に、実施例、比較例を示す。なお、実施例1および比較例において、使用材料および試験方法は次の通りである。Wは水、Cは普通ポルトランドセメントを示し、増粘剤は、塩基性炭酸マグネシウム(以下、MCと表記する)を使用した。
使用材料
(1)普通ポルトランドセメント
(2)塩基性炭酸マグネシウム(MC)
試験方法
(1)一軸圧縮試験方法:JIS A 1216
(2)フロー値:JIS R 5201
(3)供試体の作製方法:JGS 0821
造成された埋土地盤で、施工機を用いて前記図11に示す第2の実施の形態の施工方法、即ち、先端に掘削部9を有するスクリューオーガ6を正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、土砂や骨材を含まない填充材を該オーガ先端部から吐出しつつ、該スクリューオーガ6を正回転で引き上げ、コラムの置換底位置予定上端位置に達したら、該オーガ6の引上げと該填充材の吐出を停止させ、その後スクリューオーガ6を逆回転させながら引き上げることによって地上側に空掘り部15を残した置換コラムを築造する施工方法において、表1および表2に示す施工仕様および施工条件により置換コラムを築造した。
置換コラムNo.2〜5が実施例1である。
比較例
前記実施例1と同様に築造した置換コラムNo.1およびNo.6が比較例である。
Figure 2006312865
Figure 2006312865
この実施例1および比較例においては、
(1)埋土地盤は砂質土主体の緩い地盤であった。また、地下水位は埋土層には存在しなかった。
(2)置換コラムは、配合条件をW/C=30〜60%、MC/C=0.0%として5本(No.1、2、3、5、6)、配合条件をW/C=40%、MC/C=0.5%として1本(No.4)、計6本を築造した。No.1とNo.6は比較例である。
(3)いずれも置換コラムの直径は0.7mとし、地表面から1.0mの空掘り部を存在させ、置換コラムの長さは2.0mとした。
(4)同じ試験No.において施工時の填充材のコンシステンシーとプラントから採取した填充材のコンシステンシーは殆ど同じであるとみなせる範囲内の値を示し、表1と後述の表3とを比較すると、施工可能であるときの施工時の填充材のコンシステンシーはフロー値で212〜430mmでありW/Cが小さくなるほど大きくなった。
後述の表3でフロー値として示したのは、施工時にプラントから採取した填充材をJIS R 5201に示すセメントの物理試験方法のフロー値の測り方により測定したテーブルフロー値である。なお、JIS R 5201によるテーブルフロー値の測定では、フロー試験器の計測範囲が最大300mmまでなので、300mm以上のフロー値の測定では、フロー試験器のフローテーブルに、径の大きいテーブル板を接合して計測を行った。
(5)施工可能な填充材の28日強度は、プラントから採取した填充材を紙製モールドに詰めて作製した供試体(表3ではプラントコアと表記する。)で21.3〜37.6N/mmであった。置換コラムの硬化後にコアマシンを用いて採取した抜き取りコア(表3では抜き取りコアと表記する。)で12.1〜39.0N/mmであった。
(6)No.6の配合条件をW/C=30%、MC/C=0.0%とした填充材は、粘性が高く安定したポンプ圧送が困難であったため、置換コラムを築造することが出来なかった。この配合条件におけるコンシステンシー(粘度)はテーブルフロー値(表中ではフロー値と表記)で135mmであった。
(7)施工機は、80トンクラスのクローラ型三点支持式杭打ち機を使用した。
(8)填充材を供給するためのポンプとして、表2に表示したように、置換コラムNo.1、2では、チューブ式ポンプを使用し、置換コラムNo.3、4、5、6ではスネーク式ポンプを使用した。
(9)ミキサーとして、表2に表示したように、置換コラムNo.1、2ではグラウトミキサーを使用し、置換コラムNo.3、4、5、6では、二軸強制練りミキサーを使用した。
また、この実施例1および比較例の施工試験結果は、表3の通りである。
Figure 2006312865
この試験結果によれば、比較例であるNo.1の填充材のテーブルフロー値が430mmの置換コラム断面には多くの土塊が混入しており、材齢28日の抜き取りコア供試体の強度も12.1N/mmであり、実施例であるコラムNo.2〜5に比べて最も小さな強度であった。また、比較例であるNo.1の抜き取りコア供試体の強度は、材令7日で8.5N/mm、材令28日で12.1N/mmであり、プラントコア供試体の材令7日強度の12.7N/mm、材令28日強度の21.3N/mmに比べて、材令7日で約67%、材令28日で約57%と小さい強度であった。因みに抜き取りコア供試体には多くの土塊が混入しており、プラントコア供試体には土塊の混入はなかった。
填充材のテーブルフロー値135mmとしたNo.6の比較例では粘性が高すぎてポンプでの送給が不可であり、実施例であるコラムNo.2〜5のテーブルフロー値が212〜316mmのものが土塊の混入量も少なく、強度も高く好ましいことを示している。また、実施例のコラムNo.2〜5では、プラントコア供試体と抜き取りコア供試体とを比較しても、強度に差はなくほぼ同じ品質のコラムであり、この発明の効果の高いことが理解できる。
次に実施例2として普通ポルトランドセメント(下記の配合ではCと表記する)、フライアッシュII種(下記の配合例では、Fと表記する)および水(下記の配合例ではWと表記する)とを使用し、填充材の配合条件を下記のようにした。
W/(C+F)=40% F/C=4.0
このようにして得た填充材を用いて、図11に示す施工方法に基づいて施工した。なお、コラム径は700mmとし、空掘り長さを1.0m、置換コラム長さを2.0mとした。
この填充材の練り上がり時のコンシステンシー(即ち、施工時の填充材のコンシステンシー)はテーブルフロー値で212mmであった。
なお、施工時の回転数、施工速度、吐出量、置換体積等は、表2の試験コラム4と同じ条件で施工した。
施工後に置換コラムを掘り出したが、土塊の混入量は少なく、28日後の一軸圧縮強度は8.6N/mmであり、優れた置換コラムとなっていた。
なお、前記実施の形態および実施例は、この発明を制限するものではなく、この発明は要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が許容される。
この発明の第1の実施の形態を施工工程順(a)(b)(c)(d)に示す正面説明図である。 連続スクリューオーガの正面図である。 置換コラム築造時のプラント設備等も例示した施工模式図である。 置換コラム築造時の図3とは異なるプラント設備等も例示した施工模式図である。 断続スクリューオーガの正面図である。 他の断続スクリューオーガの正面図である。 ケーシングオーガの正面図(a)および断面図(b)である。 リング付き断続スクリューオーガの正面図(a)およびリング部分を断面で示す側面図(b)である。 上部小径スクリューオーガの正面図(a)および側面図(b)である。 スクリューオーガの掘削部の構成を例示(a)(b)する正面図である。 この発明の第2の実施の形態を施工工程順(a)(b)(c)(d)(e)に示す正面説明図である。
符号の説明
1 施工機
3 リーダ
4 オーガモータ
5 給進装置
6 スクリューオーガ
7 オーガ軸
7a オーガの先端部(先端)
8 スパイラル翼
8a l枚羽根のスパイラル翼
8b 2枚羽根のスパイラル翼
9 掘削部
10 掘削爪
10a 平爪
11 吐出口
12 ケーシング
12a 掘削爪
13 リング
14 コラム
15 空掘り部
20 プラント設備
21 ミキサー
22 サイロ
23 水槽
24 ポンプ
25 グラウトホース
26 流量計

Claims (2)

  1. 先端に掘削部を有するオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を該オーガ先端部から吐出しつつ、正回転または実質的に無回転で該オーガを引上げることにより、地盤土が填充材で置換されたコラムとすることを特徴とするコラムの置換築造方法。
  2. 先端に掘削部を有するオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、少なくとも水硬性を有する粉体と水との混合物からなり、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を該オーガ先端部から吐出しつつ、正回転または実質的に無回転で該オーガを引上げることにより築造されたことを特徴とする置換コラム。
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