JP2006310351A - 有機電界発光素子および表示装置 - Google Patents

有機電界発光素子および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率が高く、発光寿命の長い有機電界発光素子および表示装置を提供する。
【解決手段】陽極と陰極との間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなる有機電界発光素子において、有機層は下記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いて構成されている。
【化1】
Figure 2006310351

[ただし、一般式(1)中において、
Ar1は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基を表し、
Ar2は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリーレン基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の2価複素環基を表す。
また、mは0または1を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)および表示装置に関し、特に、有機層がアントラセン誘導体を用いて構成される有機電界発光素子およびこの素子を用いた表示装置に関する。
近年、ブラウン管(CRT)に代わる表示装置として、有機電界発光素子を用いた表示装置の研究、開発が盛んに行われている。有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に有機材料からなる発光層を狭持してなる自発光型の表示素子であり、これを用いた表示装置は低消費電力での駆動によるフラット表示が可能となる。
このような表示装置においてフルカラーディスプレイを実現する上では、発光効率、色純度、および信頼性の高い三原色(赤色、緑色、青色)の発光材料を用いることが不可欠である。これらのうち特に青色の発光材料は、発光効率、色純度、および信頼性を向上させるため、勢力的に開発が進められている。
例えば、ADN(9,10-di-(2-naphthyl)-anthracene)をホスト材料として用い、TBP(2,5,8,11-tetra-t-butylperylene)をゲスト材料として用いた有機電界発光素子について、発光効率3〜3.4cd/A、色度(0.154,0.232)であることが報告されている(下記非特許文献1参照)。
また、例えば、DPVBi(4,4-Bis(2,2-diphenyl-ethen-1-yl)-biphenyl)にBCzVBi(4,4'-Bis(9-ethyl-3-carbazovinylene)-1,1'-biphenyl)をドープして発光層とした有機電界発光素子において、発光効率は3.4cd/A程度と報告されている(下記非特許文献2参照)。
そして、アントラセン誘導体を青色発色のゲスト材料として用いた有機電界発光素子についても開示されており、N,N’−ジ―(アントラセン−1−イル)−N,N’−ジフェニルー4,4’−ベンジジン(K−1)が示されている(下記特許文献1参照)。
Appl.Phys.Lett.(米)2002年,Vol.80,No.17,p3201−p3203 Appl.Phys.Lett.(米)1995年,Vol.67,No.26,p3853−p3855 特開平8−199162号公報
しかしながら、上述した何れの構成の有機電界発光素子であっても、発光効率や発光寿命は十分ではなかった。
また、上述した青色の発光材料を用いた有機電界発光素子については、色相の点でも十分な色純度のものを得られていない。例えば非特許文献1の有機電界発光素子は、色度(0.154,0.232)を示すことから、その色相は緑色に近くなる。また、例えば特許文献1には、アントラセン誘導体で示された上記K−1で青色発光が観測されると記されている。しかしながら、一般にアントラセン核に直接アミノ基が結合する骨格として、例えば最も単純なジフェニルアミノアントラセンにおいては、その発光波長は480nm前後となるため、K−1の発光においても青色というよりもむしろ青緑に近くなることが、Synthetic Metals (米)2000年、第111−112巻、p.25−29に示されている。
本発明は、発光寿命が長く、発光効率の高い有機電界発光素子、およびこれを用いてなる表示装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなる有機電界発光素子において、有機層は、下記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いて構成されていることを特徴としている。
Figure 2006310351
この一般式(1)中において、Ar1は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基を表す。
また、Ar2は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリーレン基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の2価複素環基を表す。
さらに、mは0または1を示す。
そして、本発明は、一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いた上記構成の有機電界発光素子を備えた表示装置でもある。
このような有機電界発光素子および表示装置によれば、以上のような一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いて有機層が構成されている。これにより、上記アントラセン誘導体はアミン化合物であり、正孔輸送性に優れていることから、有機層に用いることで、有機電界発光素子の発光効率が高くなる。また、環の大きいアントラセン核を有することで、分子全体の化学的な安定化が図られることから、有機層の劣化が抑制される。さらに、上記一般式(1)中のmが0または1を示すことで、2つ以上のアントラセン核を有することから、分子量としても耐熱性を十分に保持できる量を確保することができるため、長時間駆動における有機層の耐久性が向上する。
以上説明したように、本発明の有機電界発光素子および表示装置によれば、一般式(1)に示したアントラセン誘導体を用いて、有機電界発光素子の有機層を構成することにより、高い発光効率を得ることができる。また、有機層の劣化を抑制し、長時間駆動における有機層の耐久性を向上させることができるため、有機電界発光素子における発光寿命の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子(有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなり、有機層は、下記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いて構成されている。ここでは、まず、このアントラセン誘導体について説明する。
<アントラセン誘導体>
Figure 2006310351
上記一般式(1)のアントラセン誘導体は、窒素原子(N)の置換部位がAr1、またはAr2を介在したアントラセン核で置換された第3級アミン化合物である。
一般式(1)中におけるAr1は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基を示す。
また、一般式(1)中におけるAr2は、アントラセン核と窒素原子(N)との連結基である。Ar2は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリーレン基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の2価複素環基を示す。
さらに、一般式(1)中のmは0または1を示す。
上述したような構造のうち可視光域に発光帯を有するものは、有機電界発光素子における発光材料として好適に用いられる。次に、一般式(1)中のAr1、Ar2、アントラセン核について、それぞれ詳細に説明する。
上記Ar1が示す炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基は、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フルオレニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−クリセニル基、6−クリセニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基等が挙げられる。
また、Ar1が示す炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基の例としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、などが挙げられる。
また、上記Ar2が示す炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリーレン基は、上記に例示したAr1を構成するアリール基から導出されたアリーレン基を例示できる。また、Ar2が示す炭素数30以下の置換もしくは無置換の2価複素環基は、上記に例示したAr1を構成する複素環基から導出された2価複素環基を例示できる。尚、上述したアリーレン基、複素環基には、炭素数30以下で複数の縮合環が連結した構造(例えばビフェニレン基)も含まれることとする。
Ar2をフェニレン基、フルオレン基またはフェナントレン基で構成することにより、一般式(1)に示すアントラセン誘導体を、有機電界発光素子における青色の発光材料として好適に用いることができ、特に、Ar2をフェニレン基で構成することが好ましい。これは、電子の有効共役長が長いほど発光波長は長波長側へシフトするが、Ar2がフェニレン基で構成されることで、フェニレン基とアントラセン核の間またはフェニレン基と窒素原子の間にねじれが生じ、電子の有効共役長が断絶されるためと考えられる。また、上記フェニレン基は、パラ位で上記アントラセン核と窒素原子(N)とを連結することが、分子間の立体障害性を緩和させる観点で、好ましい。
ここで、上述したAr1、Ar2の置換基として示された基のうち、さらに置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、アルキルシリル基、アミノ基またはアルキルアミノ基を挙げることができる。
また、上記のカルボニル基は、アルデヒド基、ケトン基およびカルボキシル基を含む。また、上記のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基を含む。
さらに、Ar2を介在して窒素原子(N)と結合しているアントラセン核は、置換基を有していても無置換であってもよい。また、アントラセン核におけるAr2との結合部位は、特に限定されるものではない。分子量の大きいアントラセン核を有することで、誘導体の分子全体が化学的に安定化される。
アントラセン核の置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル基、炭素数20以下の置換もしくは無置換のカルボニル基、炭素数20以下の置換もしくは無置換のカルボニルエステル基、炭素数20以下の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数20以下の置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数20以下の置換もしくは無置換のアルコキシル基、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基またはシリル基などが挙げられる。ただし、このアントラセン誘導体を青色の発光材料として用いる場合には、アミノ基が直接アントレセン核に結合することで色相が緑領域にシフトするため、アミノ基以外の置換基でアントラセン核を置換することが好ましい。
また、アントラセン核の置換基として示された基のうち、さらに置換基を有してもよい基に対する置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、アルキルシリル基、アミノ基、またはアルキルアミノ基を挙げることができる。
ここで、上記のさらに置換基を有してもよい基とは、すなわち、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、シリル基である。
また、上記のカルボニル基は、アルデヒド基、ケトン基およびカルボキシル基を含む。また、上記のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基を含む。
さらに、上述したように、一般式(1)中のmは0または1を示す。ここで、一般式(1)で示されるアントラセン誘導体の代表的な構造を構造式(1)、(2)として示す。
構造式(1)は、m=0の例であり、この場合には、窒素原子(N)の3つの置換部位の全てが、それぞれ同じAr2を介在してアントラセン核と結合した構造となる。この場合には、発色団であるアントラセン核を3つ有した構造となるため、構造式(2)のアントラセン誘導体よりも発光効率が高くなる。
Figure 2006310351
また、構造式(2)は、m=1の例であり、この場合の構造式は、窒素原子(N)の2つの置換部位がそれぞれ同じAr2を介在してアントラセン核と結合しており、1つの置換部位には上記置換基Ar1が結合した構造となる。この場合には、構造式(1)のアントラセン誘導体よりも発光寿命が長くなる。
Figure 2006310351
以下に、構造式(1)、(2)のアントラセン誘導体の一例を示す。尚、本発明のアントラセン誘導体は、上述した範囲に含まれればよく、ここに例示した構造に限定されるものではない
例えば、上記構造式(1)で示した例として、下記表1−a〜1−bに示す構造式(1)−1〜(1)−20の化合物が挙げられる。
Figure 2006310351
Figure 2006310351
また、上記構造式(2)で示した例として、下記表2−a〜2−fに示す構造式(2)−1〜(2)−52の化合物が挙げられる。
Figure 2006310351
Figure 2006310351
Figure 2006310351
Figure 2006310351
Figure 2006310351
Figure 2006310351
以上で一例を示した本発明の有機電界発光素子に用いるアントラセン誘導体は、種々の方法によって合成が可能であり、例えば次のa)〜b)の方法が例示される。
a)ハロゲン化されたアントラセンを、マグネシウムを用いたグリニヤー反応によってカップリングさせる合成方法。
b)ボロン酸、もしくはボロン酸エステル化されたアントラセンとハロゲン化されたアントラセンとを、パラジウムに代表される遷移金属触媒によってカップリングさせる(いわゆる鈴木カップリング反応)合成方法。
尚、上記アントラセン誘導体は、有機電界発光素子の製造プロセスに供する前に純度を高めておくことが好ましく、該純度が95%以上、より好ましくは99%以上とするのがよい。かかる高純度の有機化合物を得る方法としては有機化合物の合成後の精製である再結晶法、再沈殿法、もしくはシリカやアルミナを用いたカラム精製のほかに、昇華精製やゾーンメルト法による公知の高純度化方法を用いることができる。
また、これらの精製方法を繰り返し行うことや異なる精製法を組み合わせて行うことで、上記アントラセン誘導体中の未反応物、反応副生成物、触媒残渣、もしくは残存溶媒などの混合物を低減させ、よりデバイス特性の優れた有機電界発光素子を得ることが可能となる。
<有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置>
次に、上述したアントラセン誘導体を用いた有機電界発光素子(有機EL素子)およびこの素子を用いた表示装置の構成を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置を模式的に示す断面図である。
この図に示す表示装置10は、基板12と、この基板12上に設けられた有機電界発光素子11とを備えている。有機電界発光素子11は、基板12上に、下部電極13、有機層14および下部電極15を順次積層してなり、基板12側または下部電極15側から発光を取り出す構成となっている。尚、この図においては、基板12上に1画素分の有機電界発光素子11を設けた構成を示しているが、この表示装置10は、複数の画素を備え、複数の有機電界発光素子11が各画素に配列形成されていることとする。
次に、この表示装置10を構成する各部の詳細な構成を、基板12、下部電極13および上部電極15、有機層14の順に説明する。
基板12は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thin film transistor)が形成されたTFT基板などからなり、特にこの表示装置10が基板12側から発光を取り出す透過型である場合には、この基板12は光透過性を有する材料で構成されることとする。
また基板12上に形成された下部電極13は、陽極または陰極として用いられるものである。尚、図面においては、代表して下部電極13が陽極である場合を例示した。
この下部電極13は、表示装置10の駆動方式によって適する形状にパターンニングされていることとする。例えば、この表示装置10の駆動方式が単純マトリックス方式である場合には、この下部電極13は例えばストライプ状に形成される。また、表示装置10の駆動方式が画素毎にTFTを備えたアクティブマトリックス方式である場合には、下部電極13は複数配列された各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
一方、下部電極13上に有機層14を介して設けられる上部電極15は、下部電極13が陽極である場合には陰極として用いられ、下部電極13が陰極である場合には陽極として用いられる。尚、図面においては、上部電極15が陰極である場合が示されている。
そして、この表示装置10が、単純マトリックス方式である場合には、この上部電極15は例えば下部電極13のストライプと交差するストライプ状に形成され、これらが交差して積層された部分が有機電界発光素子11となる。また、この表示装置10が、アクティブマトリックス方式である場合には、この上部電極15は、基板12上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成され、各画素に共通の電極として用いられることとする。尚、表示装置10の駆動方式としてアクティブマトリックス方式を採用する場合には、有機電界発光素子11の開口率を確保するために、上部電極15側から発光を取り出す上面発光型とすることが望ましい。
ここで、下部電極13(または上部電極15)を構成する陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよく、たとえば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、酸化物、あるいは、酸化錫、ITO、酸化亜鉛、酸化チタン等が好ましい。
一方、上部電極15(または下部電極13)を構成する陰極材料としては仕事関数がなるべく小さなものがよく、例えば、マグネシウム、カルシウム、インジウム、リチウム、アルミニウム、銀やこれらの合金が好ましい。
ただし、この有機電界発光素子11で生じた発光を取り出す側となる電極は、上述した材料の中から光透過性を有する材料を適宜選択して用いることとし、特に、有機電界発光素子11の発光の波長領域において30%より多くの光を透過する材料が好ましく用いられる。
例えば、この表示装置10が、基板12側から発光を取り出す透過型である場合、陽極となる下部電極13としてITOのような光透過性を有する陽極材料を用い、陰極となる上部電極15としてアルミニウムのような反射率の良好な陰極材料を用いる。
一方、この表示装置10が、上部電極15側から発光を取り出す上面発光型である場合、陽極となる下部電極13としてクロムや銀合金のような陽極材料を用い、陰極となる上部電極15としてマグネシウムと銀との化合物(MgAg)のような光透過性を有する陰極材料を用いる。ただし、MgAgは、各波長に対してそれぞれの光透過率となるため、次に説明する有機層14は、その発光色に応じて共振器構造を最適化して取り出し光の強度が高められるように設計されることが好ましい。
そして、上述した下部電極13および上部電極15に狭持される有機層14は、陽極側(図面においては下部電極13側)から順に、正孔輸送層14a、発光層14b、電子輸送層14cを積層してなる。
さらに、正孔輸送層14aとしては、α−NPD(N,N'-Di(naphthalen-1-yl)-N,N'diphenyl-benzidine)、TPTE(N,N'diphenyl- N,N'-bis[N-(4-methylphenyl)-N-phenyl- (4-aminophenyl)]-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine)などのトリフェニルアミン2量体、3量体、4量体、スターバースト型アミンなどの公知の材料を単層もしくは積層して、または混合して用いることができる。
そして、この正孔輸送層14a上に設けられる発光層14bが、本発明に特徴的な層であり、上記一般式[1]で示されるアントラセン誘導体を、例えばゲスト材料として含有している。これにより、このアントラセン誘導体は化学的安定性を有していることから、発光層14bの劣化が抑制され、有機層14の劣化が抑制される。また、上記一般式[1]で示されるアントラセン誘導体は、2つ以上のアントラセン核を有することから、耐熱性に優れ、長時間駆動における有機層14の耐久性が向上する。尚、発光層14bには、上述したアントラセン誘導体とともに、ADN、技術背景で示したDPVBiなどの公知の材料がホスト材料として含有されていることとする。
また、上記アントラセン誘導体は高い正孔輸送性を有するため、発光層14bに用いることで、有機電界発光素子11の発光効率が向上する。ただし、発光層14b中の上記アントラセン誘導体の濃度を20体積%以上の高濃度にすると、後述の電子輸送層14cに正孔が輸送される。このため、電子輸送層14cからの発光が観測されるようになり、発光層14b自体での発光効率が低下してしまう。したがって、発光層14b中におけるアントラセン誘導体の濃度は、1体積%以上20体積%以下であることが好ましく、1体積%以上10体積%以下の濃度であることがさらに好ましい。
特に、この有機電界発光素子11が青色発光素子である場合、発光層14bにゲスト材料として導入されるアントラセン誘導体が、上記一般式[1]中のAr2がフェニレン基で構成されることで、色純度が向上するため、好ましい。この場合には、発光層14b中におけるアントラセン誘導体の濃度は、1体積%以上10体積%以下の濃度であることとする。
尚、ここでは、ゲスト材料として上記アントラセン誘導体を用いることとしたが、ホスト材料として用いてもよい。
そして、発光層14b上に設けられる電子輸送層14cには、Alq3(Tris-(8-hydroxy-Quinolinato)-aluminium)、オキシジアゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、シロール誘導体などの公知の材料を使用することができる。
以上説明した構成の他にも、ここでの図示は省略したが、陽極となる下部電極13と正孔輸送層14aとの間に、正孔注入層を挿入しても良い。正孔注入層としてはPPV(ポリフェニレンビニレン)などの伝導性ポリマー、フタロシアニン銅、スターバースト型アミン、トリフェニルアミン2量体、3量体、4量体などの公知の材料を単層もしくは積層して或いは混合して用いることができる。このような正孔注入層を挿入することにより正孔の注入効率が上がるため、より好ましい。
さらに、ここでの図示は省略したが、電子輸送層14cと陰極(上部電極)6の間に、電子注入層を挿入してもよい。電子注入層としては、酸化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化セシウム、フッ化ストロンチウムなどのアルカリ金属酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類ハロゲン化物を用いることができる。このような電子注入層を挿入することにより電子の注入効率が上がるため、より好ましい。
上記述べたような材料による積層構造の有機層14の形成には、周知の方法にて合成された各有機材料を用いて、真空蒸着やスピンコートなどの周知の方法を適用することができる。
そして、このような構成の有機電界発光素子11を備えた表示装置10においては、大気中の水分や酸素等による有機電界発光素子11の劣化を防止するために、有機電界発光素子11を覆う状態でフッ化マグネシウムや窒化シリコン膜(SiNx)等からなる封止膜(図示省略)を基板12上に形成したり、有機電界発光素子11に封止缶を被せて中空部を乾燥した不活性ガスでパージするか真空に引いた状態にすることが望ましい。
また、ここでの図示は省略したが、このような構成の有機電界発光素子11を備えた表示装置10においては、この有機電界発光素子11と共に、他の発光色の有機電界発光素子を各画素に設け、これらの複数画素をサブピクセルとして1画素を構成し、基板12上にこれらの複数画素を1組とした各画素を複数配列することで、カラー表示を行うものとしても良い。例えば、上述したアントラセン誘導体を発光層に含有させた有機電界発光素子11を青色発光素子とした場合には、これと共に赤色発光素子および緑色発光素子を各画素に設け、これら3画素をサブピクセルとして1画素を構成し、基板12上にこれらの3画素を1組とした各画素を複数配列することで、フルカラー表示を行うものとしてもよい。
以上説明した構成の有機電界発光素子11および表示装置10によれば、上記一般式[1]に示すアントラセン誘導体を発光層14bに含有させたことにより、アントラセン誘導体が高い正孔輸送性を有することから、高い発光効率を得ることができる。また、上記アントラセン誘導体は化学的安定性に優れるため、有機層14の劣化を抑制することができ、耐熱性を十分に保持できる分子量を有することから、有機層14の耐久性を向上させることができる。したがって、有機電界発光素子11の発光寿命を長くすることが可能である。
さらに、上記一般式(1)中のAr2をフェニレン基で構成することで、上記アントラセン誘導体を青色の発光材料として用いた場合の有機電界発光素子11の色純度を向上させることができる。
尚、上述した実施の形態においては、本発明に特有のアントラセン誘導体を有機層14を構成する発光層14bに用いた場合を例示した。しかし、本発明はこれに限定されることなく、発光層14b以外の有機層14部分に用いてもよい。例えば、このアントラセン誘導体、発光層14bと下部電極(陽極)4との間に正孔輸送層14aとして用いたり、正孔注入層(図示省略)として用いることも可能である。この場合であっても、上記アントラセン誘導体はアミン化合物であることで正孔輸送性に優れることから、正孔の輸送効率を高め、発光効率を向上させることが可能である。また、有機層14の劣化を抑制し、有機層14の耐久性を向上させることから、有機電界発光素子11の長寿命化を図ることが可能になる。
以下、本発明の有機電界発光素子に用いるアントラセン誘導体の合成例、およびこのアントラセン誘導体を用いた有機電界発光素子の実施例について具体的に説明する。尚、ここでは先ず、アントラセン誘導体の合成例について説明する。
<アントラセン誘導体の合成例1>
下記反応式1から反応式2に示される鈴木カップリング反応を行い、表1−aの構造式(1)−2で示したアントラセン誘導体を得た。
Figure 2006310351
まず、上記反応式1を参照し、メカニカルスターラーを装着させた1000mlの三口フラスコを窒素で十分に置換した後に、溶媒として300mlのDMSOを加え、メカニカルスターラーを装着させた1000mlの三口フラスコを窒素で十分に置換した後に、溶媒として300mlのDMSOを加え、続いて2−ブロモアントラセン(25g、100mmol)、ビスピナコレートジボロン(30g、120mmol)、酢酸カリウム(CH3COOK)(20g、200mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34](1.16g、1mmol)を順次溶媒に加えた。攪拌しながら温度を90℃まで昇温させ、定常状態になってから4時間反応させた。
反応終了後、溶媒のDMSOを真空条件下で蒸留にて除去、その後にトルエンで再溶解させ、水で洗浄した。続いてトルエン層側を硫酸ナトリウムで乾燥させた後に濃縮し、ヘキサン:トルエンの混合溶媒にてシリカカラムを通し、ボロン酸エステル化したアントラセン(C1)を得た。C1の収率は68%であった。
Figure 2006310351
続いて、上記反応式2を参照し、メカニカルスターラーを装着させた500mlの三口フラスコを窒素で十分に置換した後に、上記で合成した(C1)(7.3g、24mmol)、4,4',4”−トリヨードトリフェニルアミン(3.2g、8mmol)を順次加え、100mlのトルエンを注ぎいれた。攪拌しながら、2.0mol/lのNa2CO3水溶液を100ml添加し、その混合溶液を窒素にて10分間バブリングを行い溶液中の溶存酸素を十分に排気させた。続いて、パラジウム触媒成分としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34](290mg、250μmol)を加えてから昇温を開始し還流温度で8時間反応させた。
反応終了後に室温まで冷却し、有機層を分離させ、析出した固体をろ集し、その固体をエタノールおよびアセトンで十分に洗浄させた。続いて熱クロロホルムで洗浄を繰り返すことで純度99.1%(HPLC)の黄色固体3.8g(収率63%)を得た。
得られた黄色固体からなる化合物について、構造解析することで、表1−aの構造式(1)−2で示したアントラセン誘導体を得られたことが確認された。
次に、本発明の具体的な実施例1〜8、およびこれらの実施例に対する比較例1、2さらには各実施例および比較例で作製した有機電界発光素子の評価結果を説明する。
<実施例1>
表1−a構造式(1)−2のアントラセン誘導体を、図1に示す有機電界発光素子の発光層14bに用いて上面発光型の有機電界発光素子を作製した。
先ず、30mm×30mmのガラス板からなる基板12上に、下部電極(陽極)4としてクロム(Cr)よりなる膜(膜厚約100nm)を形成し、さらに、ここでの図示を省略した二酸化ケイ素(SiO2)を蒸着させることにより、有機電界発光素子用基板を作製した。そして、この基板にUV/オゾン処理を10分間行った。次いで、この基板を蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を1.4×10-4Paに減圧した。
次に、真空蒸着法により、下部電極13上に、α−NPDを蒸着速度0.2nm/secで24nmの膜厚に蒸着し、正孔輸送層14aを形成した。この正孔輸送層14aは、正孔注入層も兼ねた正孔注入輸送層である。
次に、正孔輸送層14a上に、ADNをホストとし、合成例1で合成したアントラセン誘導体[構造式(1)−2]をゲストとして、それぞれ異なる蒸着源から蒸着速度約0.2nm/secで26nmの膜厚に共蒸着し、ゲスト濃度が2.5体積%の発光層14bを形成した。
次いで、発光層14b上に、Alq3を蒸着速度0.2nm/secで10nmの膜厚に蒸着し、電子輸送層14cを形成した。
以上のようにして、正孔輸送層14a、発光層14b、および電子輸送層14cを順次積層してなる有機層14を形成した後、電子輸送層14c上にフッ化リチウム(LiF)を0.1nmの厚さに蒸着し、電子注入層(図示省略)を形成した。次いで、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)とを蒸着速度約0.4nm/secで共蒸着(原子比95:5)して、上部電極(陰極)15を形成した。以上のようにして、上面発光型の有機電界発光素子11を作製した。
<実施例2〜4>
上述した実施例1の有機電界発光素子の作製手順において、発光層14b中におけるゲスト材料として、構造式(1)−2のアントラセン誘導体の代わりに、表1−a構造式(1)−1に示すアントラセン誘導体(実施例2)、構造式(1)−3に示すアントラセン誘導体(実施例3)、表2−a構造式(2)−2に示すアントラセン誘導体(実施例4)を、それぞれ同濃度で用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
<比較例1>
上述した実施例1の有機電界発光素子11の作製手順において、発光層14b中におけるゲスト材料として、構造式(1)−2のアントラセン誘導体の代わりに、DPAN(2−ジフェニルアミノアントラセン)を同濃度で用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
<評価結果>
実施例1〜4および比較例1で作製した有機電界発光素子の評価として、これらの素子を25.0mA/cm2で直流駆動した場合の発光特性の測定と、さらに窒素雰囲気中において60mA/cm2での連続駆動(duty:50%)における輝度の半減寿命の測定を行った。尚、発光特性の1つである発光効率については、発光色に依存しない光子の生成率を規定する外部量子効率で比較した。この結果を、下記表3に示す。
Figure 2006310351
表3に示すように、構造式(1)−2をゲスト材料として用いて発光層14bを構成した実施例1の有機電界発光素子11では、輝度1100cd/m2の青色発光が確認された。駆動電圧は5.3V、外部量子効率は4.3%、半減寿命は920時間であった。また、特に色度が(0.13,0.13)と純度の高い青色が得られた。
また、構造式(1)−1、(1)−3、(2)−2のアントラセン誘導体をゲスト材料に用いて発光層14bを構成した実施例2、3、4の有機電界発光素子11は、外部量子効率3.3%以上、半減寿命830時間以上を示した。また、色座標は、y値0.15以下を示した。
一方、比較例1の有機電界発光素子は、外部量子効率は2.9%を示し、半減寿命も770時間であった。また、色座標は(0.13,0.18)であった。
以上のことから、実施例1〜4の有機電界発光素子は、比較例1の有機電界発光素子よりも、発光効率が高く、半減寿命も長いことが確認された。また、実施例1〜4では、色座標(x,y)上でのy値が比較例1よりも低い値を示し、0.15以下であることから、高い純度の青色発光が得られ、特に、構造式(2)−2のアントラセン誘導体を用いた実施例4の有機電界発光素子では色座標が(0.14,0.10)であり、より純度の高い青色発光が得られることが確認された。尚、比較例1の発光輝度が比較的高いのは、色相が視認度の高い緑に近いことによるものと考えられる。
また、実施例で比較例よりも純度が良好な青色発光が得られたのは、各実施例に用いた化合物は窒素原子(N)とアントラセンの間にフェニル基が挿入されているため、フェニル基と窒素原子(N)の間またはフェニル基とアントラセンの間にねじれが生じ、電子の有効共役長を断絶する効果が得られたためであると考えられる。
<実施例5>
次に、表2−a構造式(2)−2のアントラセン誘導体を、図1に示す有機電界発光素子11の発光層14bに用いた透過型の有機電界発光素子11を作製した。
まず、一主面側に膜厚190nmのITOからなる下部電極(陽極)13が設けられた状態のガラス基板12(ITO基板)を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。続いて、このITO基板を乾燥後、さらにUV/オゾン処理を10分間行った。次いで、このITO基板を蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を1.4×10-4Paに減圧した。
次いで、下部電極13上に、αNPDを、蒸着速度0.2nm/secで65nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層14aを形成した。
次いで、正孔輸送層14a上に、ADNをホストとし、上記構造式(2)−2に示すアントラセン誘導体をゲストとして、それぞれを異なる蒸着源から蒸着速度約0.2nm/secで35nmの厚さに共蒸着し、ゲスト濃度が2.5体積%の発光層14bを形成した。
次に、Alq3を蒸着速度0.2nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子輸送層14cを形成した。
続いて、電子輸送層14c上に、LiFを0.1nmの厚さに蒸着し、電子注入層(図示省略)を形成した。さらに、MgとAgを蒸着速度約0.4nm/secで70nmの厚さに共蒸着(原子比95:5)して、上部電極(陰極)15を形成し、有機電界発光素子11を作製した。
<実施例6〜8>
上述した実施例5の有機電界発光素子の作製手順において、発光層14b中における構造式(2)−2に示すアントラセン誘導体からなるゲスト材料の濃度を、5体積%(実施例6)、10体積%(実施例7)、20体積%(実施例8)としたこと以外は、実施例5と同様にして、透過型の有機電界発光素子を作製した。
<比較例2>
上述した実施例5の有機電界発光素子の作製手順において、発光層14bを構成するゲスト材料として用いた構造式(2)−2のアントラセン誘導体に換えて、非特許文献2においてゲスト材料として示されたBCzVBiを用いたこと以外は、実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製した。尚、ゲスト濃度は5体積%とした。
<評価結果>
上記実施例5〜8および比較例2で作製した透過型の有機電界発光素子の評価として、これらの素子を25.0mA/cm2で直流駆動した場合の発光特性の測定と、さらに窒素雰囲気中において60mA/cm2で連続駆動(duty:50%)させた際の輝度の半減寿命を測定した。尚、発光特性の1つである発光効率については、発光色に依存しない光子の生成率を規定する外部量子効率で比較した。この結果を、下記表4に示す。
Figure 2006310351
表4に示すように、実施例5の有機電界発光素子11では、発光輝度940cd/m2の青色発光が確認された。駆動電圧は6.8V、外部量子効率は3.0%であった。また、半減寿命は1490時間であった。また、色度も(0.15,0.16)と純度の高い青色が得られた。
また、実施例6、7、8の有機電界発光素子11においても外部量子効率は1.9%以上であり、半減寿命も1140時間以上であった。また、色座標のy値は0.27以下であり、発光スペクトルのピーク波長は469nm以下を示した。
一方、比較例2の有機電界発光素子は、外部量子効率は1.6%を示し、半減寿命も630時間であった。また、色座標は、(0.13,0.29)であった。
以上のことから、実施例5〜8の有機電界発光素子11は比較例2と比較して、発光効率が高く、半減寿命が長いことが確認された。色相については発光層14bにおけるアントラセン誘導体の濃度の上昇にともなって、y値が高くなるとともに発光スペクトルのピーク値も長波長側にシフトして、色相が緑領域にシフトするものの、比較例2よりも高い色純度の青色発光が得られた。
本発明の有機電界発光素子の一例を説明するための断面構成図である。
符号の説明
10…表示装置、11…有機電界発光素子、12…基板、13…下部電極、14…有機層、15…上部電極、14b…発光層

Claims (7)

  1. 陽極と陰極との間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなる有機電界発光素子において、
    前記有機層は、下記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いて構成されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2006310351
    [ただし、一般式(1)中において、
    Ar1は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基を表し、
    Ar2は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリーレン基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の2価複素環基を表す。
    また、mは0または1を示す。]
  2. 請求項1記載の有機電界発光素子において、
    前記一般式(1)のAr2は、フェニレン基、フルオレン基、またはフェナントレン基で構成されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  3. 請求項1記載の有機電界発光素子において、
    前記一般式(1)のAr2は、フェニレン基で構成されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  4. 請求項1記載の有機電界発光素子において、
    前記アントラセン誘導体は、前記発光層を構成する材料として用いられている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  5. 請求項4記載の有機電界発光素子において、
    前記発光層は、青色の発光層である
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  6. 請求項4記載の有機電界発光素子において、
    前記アントラセン誘導体は、前記発光層に20体積%以下の濃度で含有されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  7. 陽極と陰極との間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなる有機電界発光素子を、基板上に複数配列形成してなる表示装置において、
    前記有機層は、下記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体を用いて構成されている
    ことを特徴とする表示装置。
    Figure 2006310351
    [ただし、一般式(1)中において、
    Ar1は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリール基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の複素環基を表し、
    Ar2は、炭素数30以下の置換もしくは無置換のアリーレン基、または炭素数30以下の置換もしくは無置換の2価複素環基を表す。
    また、mは0または1を示す。]

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