JP2006309160A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】得られる平版印刷版が優れた耐刷性および耐汚れ性を有し、酸性から低アルカリ性の現像液で現像処理することができ、現像処理に伴う廃液量を軽減することが可能な平版印刷版の製版方法の提供。
【構成】平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版に、画像様露光により画像を記録させる画像記録工程と、画像を記録した前記平版印刷版原版に、現像を行い平版印刷版を得る現像工程とを具備する平版印刷版の製版方法であって、前記平版印刷版用支持体が、算術表面粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する構造の砂目形状を表面に有し、前記現像工程が、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上含有するpH2〜10の水溶液を用いて現像する工程である平版印刷版の製版方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸性から弱アルカリ性の現像液で現像可能な平版印刷版の製版方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷とは、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けた平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版に、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
具体的には、従来公知の現像処理工程は、pH10以上のアルカリ水溶液で現像した後、水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理するという3つの工程からなっているが一般的であり、必要に応じて炭酸ガス吸収によるpHの低下を補うための補充液を付与する工程を具備するものもあった。
そのため、従来公知の現像処理工程では、自動現像機自体に大きなスペースが必要となり、また廃液(現像廃液、水洗廃液、ガム廃液等)の増加や処理の問題があり、更に環境およびランニングコスト面での問題があった。
このように従来の平版印刷版の製版工程においては、露光の後に不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるため、環境および安全上、より中性域に近い現像液での処理や廃液量の軽減が課題として挙げられており、具体的には、処理工程の簡素化、現像液の弱アルカリ化、小スペース・低ランニングコストへの適合化等が強く望まれている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
上記課題に対して、本出願人は、例えば、「アルミニウム支持体上にエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、及び、高分子結合剤からなる光重合型感光性組成物の感光層を有する感光性平版印刷版を、画像露光した後、無機のアルカリ剤とポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン系界面活性剤を含有し、pH10.0〜12.5、導電率3〜30mS/cmの現像液で現像することを特徴とする平版印刷版の製版方法。」を提案している(特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の製版方法は、感光性組成物にアルカリ可溶ポリマーを含有するため、pH10.0未満では現像ができなかった。
また、特許文献2には、「(1)(i)平版ベースの親水性表面上における、熱の影響下で合体可能でありそして親水性結合剤中に分散された疎水性熱可塑性重合体粒子を含んでなる像形成層と、(ii)該像形成層またはその隣接層の中に含まれる、光を熱に転換しうる化合物とを含んでなる像形成要素を像通りに露光し、(2)そしてかくして得られる像通りに露光された像形成要素を印刷機の印刷シリンダー上に設置しそして該印刷シリンダーを回転させながら水性湿し液および/またはインキを該像形成層に供給することにより該要素を現像する段階を含んでなる平版印刷版の製造方法。」が記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の製造方法に用いられる平版印刷版原版は、赤外線レーザーを用いた画像露光によって、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水および/またはインキにより機上現像することが可能であるものの、得られる平版印刷版の画像強度(支持体との密着性)が極めて弱く、耐刷性が不十分であるという問題を有していた。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。そのため、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
特開2002−91016号公報 特許第2938397号公報
そこで、本発明は、得られる平版印刷版が優れた耐刷性および耐汚れ性を有し、酸性から弱アルカリ性の現像液で現像処理することができ、現像処理に伴う廃液量を軽減することが可能な平版印刷版の製版方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達するために鋭意検討した結果、特定の砂目形状を表面に有する平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版に対して、画像露光による画像形成後に、特定の界面活性剤を所定量有するpH2〜10の水溶液で現像することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の(1)〜(9)に示す平版印刷版の製版方法を提供するものである。
(1)平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版に、画像様露光により画像を記録させる画像記録工程と、
画像を記録した上記平版印刷版原版に、現像を行い平版印刷版を得る現像工程とを具備する平版印刷版の製版方法であって、
上記平版印刷版用支持体が、算術平均粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部(小波)を有する構造の砂目形状を表面に有し、
上記現像工程が、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上含有するpH2〜10の水溶液を用いて現像する工程である平版印刷版の製版方法。
(2)上記現像工程に用いられる上記水溶液が、水溶性高分子化合物を含有する上記(1)に記載の平版印刷版の製版方法。
(3)上記アニオン界面活性剤が、スルホン酸のアニオン基または硫酸モノエステルのアニオン基と、置換基を有していてもよい芳香族基とを有する上記(1)または(2)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
(4)上記ノニオン界面活性剤が、下記式(1)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
X−Y−O−(A)n−(B)m−H (1)
(式中、Xは置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Yは単結合または炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、AおよびBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−または−CH2CH(CH3)O−を表し、nおよびmはそれぞれ0〜100の整数(ただし、n+m≧2)を表す。)。
(5)上記画像記録層が、重合開始剤、重合性化合物および疎水性バインダーポリマーを含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
(6)上記平版印刷版原版が、上記画像記録層上に更に保護層を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
(7)上記画像様露光に、波長760〜1200nmの光を放射するレーザーを用いる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
(8)上記画像様露光に、波長250〜420nmの光を放射するレーザーを用いる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
(9)上記画像記録層を形成する成分の一部または全てが、マイクロカプセルに内包されている上記(1)〜(8)のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
本発明によれば、得られる平版印刷版が優れた耐刷性および耐汚れ性を有し、酸性から弱アルカリ性の現像液で現像処理することができ、現像処理に伴う廃液量を軽減することが可能となる平版印刷版の製版方法を提供することができる。
そのため、本発明は、環境および安全上の観点から非常に有用なものであり、また、用いる現像液が炭酸ガスによっても劣化されず常に一定の現像性を有するため、一定品質の印刷版が生産でき非常に有用である。
本発明の平版印刷版の製版方法(以下、「本発明の製版方法」という。)は、平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版に、画像様露光により画像を記録させる画像記録工程と、画像を記録した上記平版印刷版原版に、現像を行い平版印刷版を得る現像工程とを具備する平版印刷版の製版方法であって、
上記平版印刷版用支持体が、算術平均粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する構造の砂目形状を表面に有し、上記現像工程が、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上含有するpH2〜10の水溶液を用いて現像する工程である平版印刷版の製版方法である。
以下、本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版(特に、平版印刷版用支持体、画像記録層)ならびに画像記録工程(画像様露光)および現像工程(現像液)について詳述する。
[平版印刷版原版]
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版は、平版印刷版用支持体上に、画像様露光により画像が記録される画像記録層を有するものであり、必要に応じて該画像記録層上に更に保護層を有していてもよい。以下、平版印刷版原版の構成要素および成分(平版印刷版用支持体、画像記録層、保護層等)について説明する。
<平版印刷版用支持体>
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版用支持体は、算術平均粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する構造の砂目形状を表面に有するものであれば特に限定されず、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。
平版印刷版用支持体の算術平均粗さRaがこの範囲であると、平版印刷版の耐汚れ性が良好となり、平均開口径がこの範囲であると、平版印刷版の耐刷性が良好となるため好ましい。これは、耐汚れ性の観点から算術平均粗さRaをこのように小さくしても、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有することにより後述する現像液により除去しうる画像記録層との密着性が向上し、耐刷性を向上させることができるためであると考えられる。
本発明においては、耐刷性および耐汚れ性をより向上させる観点から、平版印刷版用支持体の算術平均粗さRaは0.25〜0.35μmであるのが好ましく、平均開口径は0.05〜2.0μmであるのが好ましく、0.1〜0.5μmであるのがより好ましい。
また、本発明においては、平版印刷版用支持体表面と画像記録層との密着性をより向上させる観点から、上記凹部の深さが開口径よりも深い凹部を有しているのが好ましい。具体的には、深さ/開口径が0.1以上であるのが好ましく、0.2以上であるのが更に好ましく、0.4〜0.6であるのが特に好ましい。
本発明において、平版印刷版用支持体の表面の算術平均粗さRaの測定方法は、以下の通りである。
触針式粗さ計(例えば、Surfcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均粗さを5回測定し、その平均値を算術平均粗さRaとする。
2次元粗さ測定の条件を以下に示す。
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm
また、本発明において、平均開口径は、電子顕微鏡を用いて支持体の表面を真上から倍率2000倍で撮影し、得られた電子顕微鏡写真においてピットの周囲が環状に連なっている中波構造のピット(中波ピット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、その平均値から算出する。
また、測定のバラツキを抑制するために、市販の画像解析ソフトによる等価円直径測定を行うこともできる。この場合、上記電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込んでデジタル化し、ソフトウェアにより二値化した後、等価円直径を求める。
本発明者が測定したところ、目視測定の結果とデジタル処理の結果とは、ほぼ同じ値を示した。
このような平版印刷版用支持体としては、具体的には、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、金属(例えば、鉄(ステンレス)等)がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。
これらのうち、ポリエステルフィルム、アルミニウム板であるのが好ましく、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板がより好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。
本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版用支持体の厚さは、0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。この厚みは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさ、ユーザーの希望等により適宜変更することができる。
また、本発明の製版方法に用いられる平版印刷版用支持体は、算術平均粗さRaを0.4μm未満にし、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する構造の砂目形状を表面に形成させるべく、表面処理を施したり、微粒子等を塗布したりすることができる。
以下に、支持体として上述したアルミニウム板を用いた場合を例にとって表面処理について詳述する。
具体的には、アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。
また、アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、その具体例としては、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、具体的には、例えば、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。具体的には、以下に示す、第1電気化学的粗面化処理、第1エッチング処理、第1デスマット処理、第2電気化学的粗面化処理、第2エッチング処理、第2デスマット処理により行われる方法が好ましい。
(第1電気化学的粗面化処理)
第1電気化学的粗面化処理は、酸を含有する水溶液中で、アルミニウム板に、交流電流を流して電気化学的粗面化を施す処理である。水溶液に添加する酸は、硝酸が好ましい。硝酸を含有する水溶液を用いた第1電気化学的粗面化処理(硝酸電解粗面化処理)を施すことにより、アルミニウム板の表面には、平均開口径0.5〜2μmのピットが形成される。
水溶液における硝酸濃度は、1〜100g/Lであるのが好ましい。上記範囲であると、ピットの均一性が高くなる。
水溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。20℃以上であると、冷却のための冷凍機運転コストが高くならず、また、冷却のための地下水の使用量を抑制することができる。80℃以下であると、設備の耐食性を確保することが容易である。
水溶液には、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物、または、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物を添加して使用することができる。また、水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。
更に、水溶液には、アルミニウムイオン濃度が3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどを添加することが好ましい。アルミニウムイオン濃度が上記範囲であると、ピットの均一性が高くなる。また、水溶液の補充量が多くなりすぎることがない。
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを多く含有するアルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
水溶液中の各成分の濃度制御は、多成分濃度測定法と、フィードフォワード制御およびフィードバック制御とを併用して行うのが好ましい。これにより、電解液として用いられる水溶液の正確な濃度管理が可能となる。
多成分濃度測定法は、例えば、水溶液中の超音波の伝播速度と電解液の電導度(導電率)Cとを用いて濃度測定する方法、中和滴定法、キャピラリー電気泳動分析法、イソタコフォレシス(isotachophoresis、細管式等速電気泳動法)分析法、イオンクロマトグラフ法が挙げられる。
イオンクロマトグラフ法は、検出器の種類により、吸光度検出イオンクロマトグラフ、ノンサプレッサ型電気電導度検出イオンクロマトグラフ、サプレッサ型イオンクロマトグラフ等に分類される。中でも、サプレッサ型イオンクロマトグラフが、測定の安定性の確保のうえで好ましい。
第1電気化学的粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094号の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4,203,637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
また、電源装置としては、例えば、商用交流を用いたもの、インバータ制御電源等を用いることができる。中でも、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子を用いたインバータ制御電源が、アルミニウム板の幅および厚さ、電解液中の各成分の濃度の変動等に対して電圧を変動させて、電流値(アルミニウム板の電流密度)を一定に制御する際に、追従性に優れる点で好ましい。
第1電気化学的粗面化処理で用いられる交流電流の波形は、特に限定されず、正弦波、矩形波、台形波、三角波等が用いられる。なお、台形波とは、図1に示したものをいう。
また、第1電気化学的粗面化処理における電気量は、アルミニウム板が陽極時の電気量の総和で、1〜1000C/dm2であるのが好ましく、50〜300C/dm2であるのが更に好ましい。また、電流密度は、10〜100A/dm2であるのが好ましい。10A/dm2以上であると、生産性がより優れたものとなる。100A/dm2以下であると、電圧が高くなく、電源容量が大きくなりすぎないので、電源コストを低くすることができる。
図2は、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図2に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図2において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。電流比(アルミニウム板が陽極時の電気量の総和とアルミニウム板が陰極時の電気量の総和との比)は、0.9〜3であるのが好ましく、0.9〜1.0であるのがより好ましい。
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
第1電気化学的粗面化処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
(第1エッチング処理)
第1電気化学的粗面化処理と第2電気化学的粗面化処理との間に行われる第1エッチング処理は、第1電気化学的粗面化処理で生成したスマットをアルカリ水溶液に接触させることにより溶解させること、および、第1電気化学的粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分をアルカリ水溶液に接触させることにより溶解させることを目的として行われる。これにより、第1電気化学的粗面化処理によって形成された大きなピットのエッジ部分が溶解して表面が滑らかになり、インキがエッジ部分にひっかかりにくくなるため、耐汚れ性に優れる平版印刷版原版を得ることができる。
第1エッチング処理のエッチング量は、0.1〜10g/m2であるのが好ましい。特に、0.1〜5g/m2であるのが好ましい。エッチング量がこの範囲であるのが、第1電気化学的粗面化処理によって形成されたピットの開口径を所望の範囲に維持できる点で好ましい。
アルカリ水溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、メタケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第一リン酸ソーダ、第一リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
第1エッチング処理においては、アルカリ水溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。
また、アルカリ水溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。
アルカリ水溶液の温度は、20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は、1〜120秒であるのが好ましい。
第1電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板をアルカリ水溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ水溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ水溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ水溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
中でも、アルカリ水溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
アルカリ水溶液によるエッチング処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。
図3は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置の模式的な断面図である。図3に示されているように、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置100は、水102を貯留する貯水タンク104と、貯水タンク104に水を供給する給水筒106と、貯水タンク104から自由落下カーテン状の液膜をアルミニウム板1に供給する整流部108とを有する。
装置100においては、給水タンク104に給水筒106から水102が供給され、水102が給水タンク104からオーバーフローする際に、整流部108により整流され、自由落下カーテン状の液膜がアルミニウム板1に供給される。装置100を用いる場合、液量は10〜100L/minであるのが好ましい。また、装置100とアルミニウム1との間の水102が自由落下カーテン状の液膜として存在する距離Lは、20〜50mmであるのが好ましい。また、アルミニウム板の角度αは、水平方向に対して30〜80°であるのが好ましい。
図3に示されるような自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いると、アルミニウム板に均一に水洗処理を施すことができるので、水洗処理の前に行われた処理の均一性を向上させることができる。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する具体的な装置としては、例えば、特開2003−96584号公報に記載されている装置が好適に挙げられる。
また、水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は0.5〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
(第1デスマット処理)
第1エッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第1デスマット処理)を行うのが好ましい。デスマット処理は、アルミニウム板を酸性水溶液に接触させることにより行う。
用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、クロム酸、リン酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。具体的には、例えば、後述する陽極酸化処理工程で用いた硫酸水溶液の廃液、第1電気化学的粗面化処理で用いた硝酸水溶液の廃液、第2電気化学的粗面化処理で用いた塩酸水溶液の廃液を好適に用いることができる。
第1デスマット処理は、0.5〜30質量%の酸および0.5〜10質量%のアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。例えば、第1エッチング処理後のアルミニウム板を、塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。
第1デスマット処理では、酸性溶液の温度は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのがより好ましい。
第1エッチング処理後のアルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
中でも、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量で酸性溶液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
デスマット処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、アルカリ水溶液によるエッチング処理の後の水洗処理と同様である。ただし、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。
(第2電気化学的粗面化処理)
第2電気化学的粗面化処理は、アルミニウム板に、酸を含有する水溶液中で交流電流を流す電気化学的粗面化処理を施す。水溶液に添加する酸は、塩酸が好ましい。塩酸を含有する水溶液を用いた第2電気化学的粗面化処理(塩酸電解粗面化処理)を行うことにより、平均開口径0.01〜0.2μmのピットがアルミニウム板表面全面に均一に形成される。
第2電気化学的粗面化処理は、第1電気化学的粗面化処理で説明したのと基本的に同様である。以下、主に第1電気化学的粗面化処理と異なる点について説明する。
水溶液における塩酸濃度は、1〜100g/Lであるのが好ましい。上記範囲であると、アルミニウム板の表面に形成されるピットの均一性が高くなる。
水溶液には、硫酸または硝酸が0.05〜10g/L含まれていることが好ましい。硫酸および硝酸は、アノード反応で酸化皮膜を形成する。これにより、均一な凹凸表面が得られる。
水溶液におけるアルミニウムイオン濃度は、3〜50g/Lであるのが好ましい。上記範囲であると、ピットの均一性が高くなる。また、水溶液の補充量が多くなりすぎることがない。
第2電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、正弦波、矩形波、台形波、三角波等が用いられる。
第2電気化学的粗面化処理における電気量は、アルミニウム板が陽極時の電気量の総和で、20C/dm2以上であることが好ましく、20〜100C/dm2であることがより好ましく、30〜70C/dm2であることが更に好ましい。
電気量が上記範囲であることにより、平版印刷版用支持体の表面積比ΔS5(0.02-0.2)を50〜90%、かつ、表面の算術平均粗さRaを0.35μm以下とすることが容易となるので、耐刷性と耐汚れ性とが優れた平版印刷版を得ることが容易となる。
本明細書において、ΔS5(0.02-0.2)は、原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□を512×512点測定して得られる3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られるデータから近似三点法により求められる実面積Sx 5(0.02-0.2)と、幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる。
ΔS5(0.02-0.2)=(Sx 5(0.02-0.2)−S0 5)/S0 5×100(%)
(第2エッチング処理)
第2電気化学的粗面化処理の後に行われる第2エッチング処理は、第2電気化学的粗面化処理で生成したスマットを溶解させること、および、第2電気化学的粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
第2エッチング処理は、基本的に第1エッチング処理と同様であるが、エッチング量は、0.01〜0.08g/m2であるのが好ましく、0.02〜0.06g/m2であるのがより好ましく、0.03〜0.05g/m2であるのが更に好ましい。
エッチング量を上記範囲とすることにより、平版印刷版用支持体を、表面積比ΔS5(0.02-0.2)を50〜90%、かつ、表面の算術平均粗さRaを0.4未満とすることが容易となるので、耐刷性と耐汚れ性とが優れた平版印刷版を得ることが容易となる。
(第2デスマット処理)
第2エッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第2デスマット処理)を行うのが好ましい。第2デスマット処理は、基本的に第1デスマット処理と同様である。
第2デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液と同じ種類の液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を省略することができる。
また、第2デスマット処理は、後述する陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置における、アルミニウム板がカソード反応処理を施される電解槽で行われるのが好ましい。このようにすると、第2デスマット処理のために、独立したデスマット処理槽を設ける必要がなくなるので、設備コストを低減させることができる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質を用いることが可能であり、一般的には、硫酸、塩酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの電解質の濃度は、電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。
また、形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2であるのがより好ましい。1g/m2未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、5g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/m2であるのがより好ましい。また、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2以下になるように行うのが好ましい。
更に、本発明の製版方法に用いられる平版印刷版用支持体は、後述する画像記録層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性等の観点から、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理等を適宜施すことが好ましい。
封孔処理としては、例えば、蒸気封孔;フッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理;塩化リチウムを添加した蒸気封孔;熱水による封孔処理;等が挙げられる。
これらのうち、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、例えば、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法等が挙げられる。このアルカリ金属シリケート法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸せき処理するか、または、電解処理する。
その他の親水化処理としては、例えば、特公昭36−22063号公報に記載されているようなフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
このような平版印刷版用支持体としてポリエステルフィルム等の表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。
親水層としては、具体的には、特開2001−199175号公報に記載のベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属からなる群より選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層;特開2002−79772号公報に記載の有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層;ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層;金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層;が好適に例示される。
これらのうち、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、ポリエステルフィルム等を用いる場合には、平版印刷版用支持体の親水層側もしくはその反対側または両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。特に、帯電防止層を平版印刷版用支持体と親水層との間に設けることが、平版印刷版用支持体と親水層との密着性向上にも寄与するためより好ましい。
このような帯電防止層としては、具体的には、例えば、特開2002−79772号公報に記載の、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
このような表面処理を施して得られる平版印刷版用支持体の色濃度は、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。反射濃度値がこの範囲内であると、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
<画像記録層>
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層は、後述する画像様露光によって画像を記録することができ、後述する現像液を用いて現像することができる親水性の画像記録層であれば特に限定されない。
このような画像記録層は、現像の容易性および耐刷性の観点から、重合開始剤、重合性化合物および疎水性バインダーポリマーを含有していることが好ましい。以下、重合開始剤、重合性化合物および疎水性バインダーポリマーについて説明する。
(重合開始剤)
本発明に用いることができる重合開始剤は、光または熱エネルギーによりラジカルまたは酸を発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。
このような重合開始剤としては、公知のラジカル発生剤または酸発生剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物等から、適宜、選択して用いることができる。
ラジカルまたは酸を発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、例えば、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M.P.Hutt、"Journal of Heterocyclic Chemistry" 1(No.3),(1970)に記載の化合物等を用いることができる。
具体的には、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、S−トリアジン化合物が好適に用いられ、少なくとも1つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体がより好適に用いられる。
より具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等を用いることができる。
Figure 2006309160
Figure 2006309160
上記カルボニル化合物としては、具体的には、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4′−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を用いることができる。
上記有機過酸化物としては、具体的には、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシャルカーボネート、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、具体的には、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報等に記載の種々のチタノセン化合物(例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル等);特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報等に記載の鉄−アレーン錯体;等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書等に記載の種々の化合物を用いることができる。
具体的には、例えば、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル))4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、具体的には、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号の各公報、特許第2764769号公報、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin"Rad Tech′98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩;特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体または有機ホウ素オキソスルホニウム錯体;特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体;特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体;特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体;等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、例えば、特開昭61−166544号公報、特開2003−328465号公報等に記載の化合物を用いることができる。
上記オキシムエステル化合物としては、例えば、J.C.S. Perkin II (1979)1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報、特開2000−80068号公報等に記載の化合物を用いることができる。
具体的には、下記の構造式で表される化合物を用いることができる。
Figure 2006309160
上記オニウム塩化合物としては、具体的には、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩;米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩;米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩;欧州特許第104、143号明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩;欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩;J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩;C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩;等のオニウム塩等が挙げられる。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2006309160
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基等が好適に例示される。
11 -は、1価の陰イオンを表し、その具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。これらのうち、安定性の観点から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が好適に例示される。
21 -は、1価の陰イオンを表し、その具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。これらのうち、安定性および反応性の観点から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。これらうち、反応性および安定性の観点から、アリール基であるのが好ましい。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が好適に例示される。
31 -は1価の陰イオンを表し、その具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。これらのうち、安定性および反応性の観点から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましく、特開2001−343742号公報に記載のカルボン酸イオンがより好ましく、特開2002−148790号公報に記載のカルボン酸イオンが特に好ましい。
以下に、上記式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩の具体例の構造式を示す。
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
重合開始剤としては、上述したラジカルまたは酸を発生する化合物に限定されないが、反応性および安定性の観点から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩であるのがより好ましい。
本発明においては、これらの重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよく、別の層を設けそこに添加してもよい。
更に、これらの重合開始剤の添加割合は、画像記録層を構成する全固形分に対して、0.1〜50質量%であるのが好ましく、0.5〜30質量%であるのがより好ましく、0.8〜20質量%であるのが特に好ましい。
(重合性化合物)
本発明に用いることができる重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個の有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選択される。このような重合性化合物は特に限定されず、従来公知の付加重合性化合物を用いることができる。
本発明においては、上記重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち、2量体、3量体およびオリゴマー、それらの混合物ならびにそれらの共重合体等の化学的形態を有する。
このようなモノマー、共重合体等としては、具体的には、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が好適に用いられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基などの求核性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類またはアミド類と、単官能もしくは多官能のイソシアネート類またはエポキシ類との付加反応物;該エステル類またはアミド類と、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物;イソシアネート基、エポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類またはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類またはチオール類との付加反応物;ハロゲン基、トシルオキシ基などの脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類またはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物;も好適に用いることができる。更に、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
また、その他のエステル類のモノマーとしては、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類;特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの;特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの;等も好適に用いられる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類のモノマーとしては、具体的には、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、その他のアミド類のモノマーとしては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものが好適に例示される。
また、本発明に用いることができる重合性化合物としては、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物を用いることができる。ウレタン系付加重合性化合物としては、具体的には、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(A)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(式中、R4およびR5は、それぞれ独立にHまたはCH3を示す。)
更に、本発明に用いることができる重合性化合物としては、例えば、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類;特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報に記載されているようなエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類;等も好適に用いることができる。
本発明に用いることができる重合性化合物として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
本発明に用いることができるその他の重合性化合物としては、具体的には、例えば、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類;等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げられる。更に、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造を好適に用いることができ、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも用いることができる。
本発明に用いられるビニルエーテル基を有する化合物としては、特開2002−029162号公報に記載の化合物が挙げられる。具体的には、例えば、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,2−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3,5−トリス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ビフェニル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルエーテル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルメタン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ナフタレン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フラン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}チオフェン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}イミダゾール、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン{ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル}、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明においては、このような重合性化合物に関して、その構造、単独使用か併用か、添加量などの使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。具体的には、例えば、次のような観点から選択される。
感度の観点からは1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中の他の成分(例えば、非水溶性高分子、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述の保護層などの密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明においては、このような重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、このような重合性化合物の添加割合は、画像記録層を構成する全固形分に対して、5〜80質量%であるのが好ましく、25〜75質量%であるのがより好ましい。
(疎水性バインダーポリマー)
本発明に用いることができる疎水性バインダーポリマーは、非水溶性ポリマーが好適に用いられ、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等の酸基を実質的に含有しないものであるのが好ましい。
すなわち、本発明に用いることができる疎水性バインダーポリマーは、水およびpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましく、具体的には、疎水性バインダーポリマーの水およびpH10以上の水溶液に対する溶解度が0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であるのことがより好ましい。このような疎水性バインダーポリマーを用いることによって、画像記録層の膜強度、耐水性および着肉性が向上して、耐刷性の向上が得られる。
このような疎水性バインダーポリマーとしては、本発明の平版印刷版の性能を損なわない限り、溶解度が上記範囲の従来公知のものを好適に用いることができ、皮膜性を有する線状有機ポリマーを用いることが好ましい。
具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アクリル樹脂であるのが好ましい。
より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルと(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基(−COOR)のRに−CH2CH2O−単位または−CH2CH2NH−単位を含む(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が特に好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であるのが好ましく、メチル基であるのがより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジルが好適に挙げられる。
本発明においては、疎水性バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。疎水性バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子中にエチレン性不飽和結合を有する疎水性バインダーポリマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COOR′または−CONHR′のR′)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R′)としては、例えば、−(CH2nCR1=CR23、−(CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2nNH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2n−O−CO−CR1=CR23、−(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1とR2またはR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)等が挙げられる。
エステル残基としては、具体的には、例えば、−CH2CH=CH2(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2−NHCOO−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)等が挙げられる。
アミド残基としては、具体的には、例えば、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2−OCO−CH=CH2等が挙げられる。
架橋性を有する疎水性バインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にもしくは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化、または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによってポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
疎水性バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、疎水性バインダーポリマー1gあたり、0.1〜10.0mmolであるのが好ましく、1.0〜7.0mmolであるのがより好ましく、2.0〜5.5mmolであるのが最も好ましい。
また、本発明においては、疎水性バインダーポリマーは、水溶液に対する現像性向上という観点から親水的であることも好ましく、耐刷性向上という観点から画像記録層中において上記重合性化合物と相溶性が良いことが重要、すなわち親油的であることが好ましい。
そのため、本発明においては、このような見地から現像性と耐刷性を向上させるために、疎水性バインダーポリマー中に親水性基と親油性基とを共重合させることも有効である。ここで、親水性基としては、具体的には、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、エチレンオキシ基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基等が好適に挙げられる。
このような疎水性バインダーポリマーは、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
また、疎水性バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
本発明においては、このような疎水性バインダーポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、疎水性バインダーポリマーの添加割合は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましく、10〜60質量%であるのが特に好ましい。疎水性バインダーポリマーの添加割合がこの範囲であると、得られる平版印刷版原版の画像形成性および画像部の強度が良好なものとなる。
(赤外線吸収剤)
本発明においては、赤外線を放射する光源を用いて画像様露光を行う場合、本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、上記重合開始剤と組み合わせて赤外線吸収剤を用いることができる。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有するため、赤外線が変換された熱により重合開始剤が熱分解され、ラジカルが発生する。
本発明において用いることができる赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)などの文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等の染料が挙げられる。
また、染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号などの各公報、英国特許第434,875号明細書に記載のシアニン染料;特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号などの各公報に記載のメチン染料;特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号などの各公報に記載のナフトキノン染料;特開昭58−112792号などの公報に記載のスクワリリウム色素;等が好適に例示される。
更に、染料としては、例えば、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いることができ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩;特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)に記載のトリメチンチアピリリウム塩;特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載のピリリウム系化合物;特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素;米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩;特公平5−13514号、同5−19702号の各公報に記載のピリリウム化合物;等も好適に用いることができる。
更にまた、染料としては、例えば、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料も好適に用いることができる。
これらを初めとした公知の染料、色素のうち、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が好ましく、シアニン色素、インドレニンシアニン色素がより好ましく、下記式(II)で表されるシアニン色素が特に好ましい。
Figure 2006309160
式(II)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または以下に示す基を表す。
Figure 2006309160
ここで、X2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示し、L1は炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環またはヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここで、ヘテロ原子は、N、S、O、ハロゲン原子またはSeを示すものである。
また、Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基またはハロゲン原子を示す。
式(II)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、それぞれが互いに結合し、環を形成していてもよい。記録層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
式(II)中、Ar1およびAr2は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。芳香族炭化水素基としては、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環が好適に例示される。また、置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が好適に例示される。
1およびY2は、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
3およびR4は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が好適に例示される。
5、R6、R7およびR8は、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよく、原料の入手性から、水素原子であるのが好ましい。
また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、式(II)で表されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。このようなZa-としては、具体的には、例えば、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、スルホン酸イオンであるのが好ましく、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アリールスルホン酸イオンであるのがより好ましい。
上記式(II)で表されるシアニン色素としては、具体的には、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものが好適に例示される。
また、上記式(II)で表されるシアニン色素の他の例としては、具体的には、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が好適に挙げられる。
一方、赤外線吸収剤として使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料等が挙げられる。
顔料の種類としては、例えば、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素等が挙げられる。
このような顔料としては、具体的には、例えば、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が挙げられる。これらのうち、カーボンブラックが好ましい。
また、このような顔料は、表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法としては、具体的には、例えば、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。この表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、0.1〜1μmの範囲にあることが特に好ましい。顔料の粒径がこの範囲であると、顔料分散物の画像記録層塗布液中での良好な安定性と画像記録層の良好な均一性が得られる。
また、顔料を分散する方法としては、インキ製造やトナー製造などに用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、具体的には、例えば、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。この分散方法および分散機は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明においては、このような赤外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、このような赤外線吸収剤の画像記録層への添加は、重合反応を阻害する副作用を抑制するため、必要最小量とすることが好ましい。
本発明においては、これらの赤外線吸収剤の添加割合は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜50質量%であるのが好ましく、0.005〜30質量%であるのがより好ましく、0.01〜10質量%であるのが特に好ましい。赤外線吸収剤の添加割合がこの範囲であると、画像記録層の均一性や膜強度に好ましくない影響を与えることなく、高感度が得られる。
(増感剤)
本発明においては、250〜420nmの光を放射する光源を用いて画像様露光を行う場合、本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、上記重合開始剤と組み合わせて増感剤を用いることによりラジカル発生効率を高めることもできる。
増感剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9、10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルp−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンズアントロン等が挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、増感剤としては、具体的には、特公昭51−48516号公報中に記載されている、下記式(III)で表わされる化合物が好適に例示される。
Figure 2006309160
式(III)中、R14はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基など)または置換アルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基等)を表す。R15はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)またはアリール基(例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基等)を表す。
式(III)中、Z2は通常シアニン色素で用いられる窒素を含む複素環核を形成するのに必要な非金属原子群、具体的には、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール等)、ナフトチアゾール類(例えば、α−ナフトチアゾール、β−ナフトチアゾール等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、6−メトキシベンゾセレナゾール等)、ナフトセレナゾール類(例えば、α−ナフトセレナゾール、β−ナフトセレナゾール等)、ベンゾオキサゾール類(例えば、ベンゾオキサゾール、5−メチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール等)、ナフトオキサゾール類(例えば、α−ナフトオキサゾール、β−ナフトオキサゾール等)を表す。
式(III)で表わされる化合物としては、具体的には、これらZ2、R14およびR15を組み合わせた化学構造を有するものが挙げられ、公知物質として多く存在するものから適宜選択して使用することができる。
また、増感剤としては、たとえば、特公平5−47095号公報に記載のメロシアニン色素、下記式(IV)で表されるケトクマリン系化合物も好適に例示される。
Figure 2006309160
式(IV)中、R16はメチル基、エチル基等のアルキル基を表す。
本発明においては、このような増感剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、このような増感剤の添加割合は、画像記録層を構成する全固形分に対して、0.1〜50質量%であるのが好ましく、0.5〜30質量%であるのがより好ましく、0.8〜20質量%であるのが特に好ましい。
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、更に、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
(親水性ポリマー)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性の向上等の観点から、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびその塩、ポリメタクリル酸類およびその塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
本発明においては、親水性ポリマーは、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。また、親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
また、本発明においては、このような親水性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、本発明においては、親水性ポリマーの画像記録層への含有量は、画像記録層全固形分の20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
(界面活性剤)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、現像性の促進および塗布面状を向上させる観点から、界面活性剤を含有させることができる。
界面活性剤としては、具体的には、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いることができるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体等が挙げられる。
本発明で用いることができるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
具体的には、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。
本発明で用いることができるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明で用いることができる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
また、界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が好適に例示される。
このようなフッ素系界面活性剤としては、具体的には、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型;が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の各公報に記載のフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
本発明においては、このような界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、界面活性剤の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
(着色剤)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤を含有させることができる。
着色剤としては、具体的には、例えば、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)、特開昭62−293247号公報に記載されている染料等が挙げられる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
本発明においては、このような着色剤は、画像形成後において、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。
また、本発明においては、このような着色剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、本発明においては、着色剤の画像記録層への含有量は、画像記録材料全固形分に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましい。
(焼き出し剤)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する焼き出し剤を添加することができる。
焼き出し剤としては、例えば、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体的には、例えば、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ケ谷化学社製)、オイルブルー#603(オリエント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリエント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリエント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリエント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリエント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリエント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリエント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土ケ谷化学工業社製)、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロンなどの染料;p,p′,p″−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)などのロイコ染料;等が挙げられる。
また、焼き出し剤としては、上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適に用いることができる。このようなロイコ染料としては、具体的には、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等が挙げられる。
本発明においては、このような焼き出し剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、焼き出し剤の画像記録層への含有量は、画像記録層固形分に対して、0.01〜15質量%であるのが好ましい。
(重合禁止剤)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、画像記録層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止する観点から、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に例示される。
本発明においては、このような熱重合防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、熱重合防止剤の画像記録層への含有量は、熱重合防止剤の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
(高級脂肪酸誘導体)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、酸素による重合阻害を防止する観点から、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。
本発明においては、このような高級脂肪酸誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、高級脂肪酸誘導体の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
(可塑剤)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、可塑剤を含有させることができる。
可塑剤としては、具体的には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に例示される。
本発明においては、このような可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、可塑剤の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
(無機微粒子)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、画像部の硬化皮膜強度向上の観点から、無機微粒子を含有させることができる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
また、無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。平均粒径がこの範囲であると、画像記録層中に安定に分散して、画像記録層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
更に、無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
本発明においては、このような無機微粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、無機微粒子の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
(低分子親水性化合物)
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層には、現像性向上の観点から、親水性低分子化合物を含有させることができる。
親水性低分子化合物としては、具体的には、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩;トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩;フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩;酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩;等が挙げられる。
本発明においては、このような低分子親水性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、低分子親水性化合物の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
本発明においては、上述した種々の構成成分(重合開始剤、重合性化合物および疎水性バインダーポリマーならいびに所望により添加してもよい赤外線吸収剤、増感剤、親水性ポリマー、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体等、可塑剤、無機微粒子、低分子親水性化合物)を画像記録層に含有させる方法として、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載されているような、上記構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて画像記録層に添加する方法が好適に例示される。また、画像記録層を形成する上記構成成分の全部がマイクロカプセルに内包されていてもよい。
本発明においては、マイクロカプセルを用いる場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
画像記録層構成成分をマイクロカプセルに内包させる他の方法としては、公知の方法を適用することができ、例えば、米国特許第2800457号、同第2800458号の各明細書に記載のコアセルベーションを利用した方法;米国特許第3287154号明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報に記載の界面重合法による方法;米国特許第3418250号、同第3660304号の各明細書に記載のポリマーの析出による方法;米国特許第3796669号明細書に記載のイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法;米国特許第3914511号明細書に記載のイソシアナート壁材料を用いる方法;米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書に記載の尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法;米国特許第4025445号明細書に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法;特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報に記載のモノマー重合によるin situ法;英国特許第930422号、米国特許第3111407号の各明細書に記載のスプレードライング法;英国特許第952807号、同第967074号の各明細書に記載の電解分散冷却法;等が挙げられる。
このようなマイクロカプセルは、その壁が3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。そのため、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種で形成されるのが好ましく、ポリウレアおよび/またはポリウレタンであるのがが特に好ましい。
また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
本発明においては、マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが特に好ましい。マイクロカプセルの平均粒径がこの範囲であると、良好な解像度と経時安定性が得られる。
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版の画像記録層は、上述した種々の構成成分を溶剤に分散または溶解させた塗布液を、上述した平版印刷版用支持体上に塗布することで形成される。また、同一または異なる上記構成成分を、同一または異なる溶剤に分散または溶解させた塗布液を複数調製し、調整した塗布液を複数回塗布し、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
使用する溶剤としては、具体的には、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等が挙げられ、これらを1種単独で用いてよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、塗布液の固形分濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。
本発明においては、塗布する方法は、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。画像記録層塗布量がこの範囲であると、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
<下塗り層>
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版は、平版印刷版用支持体上に、重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。
下塗り層が設けられるときは、画像記録層は該下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着性を強化し、また、未露光部においては、画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
このような下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載の付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報に記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に例示される。また、メタクリル基、アリル基などの重合性基と、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基とを有する化合物がより好適に例示される。更に、重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
本発明においては、下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
<保護層>
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版は、画像記録層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止のため、画像記録層の上に水可溶な保護層を設けることができる。
本発明においては、後述する画像記録工程における画像様露光は、通常、大気中で行うものであるが、上記保護層は、露光により画像記録層中で生じるラジカル重合反応を阻害する、大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。したがって、保護層に望まれる特性は、酸素、塩基性物質等の低分子化合物の透過性が低いことであり、また、露光に用いられる光の透過性が良好で、画像記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の簡易現像の水溶液によって容易に除去することができるものであるのが好ましい。
このような特性を有する保護層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3、458、311号明細書および特公昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
保護層に用いられる材料としては、例えば、比較的、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーが挙げられる。これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いると、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。
ポリビニルアルコールは、保護層に必要な酸素遮断性と水溶性を与えるための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルまたはアセタールで置換されていてもよく、一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコールとしては、71〜100%加水分解された重合度300〜2400の範囲のものが好適に例示される。具体的には、例えば、クラレ社製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
本発明においては、保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用等)、塗布量等は、酸素遮断性および現像除去性のほか、カブリ性、密着性、耐傷性等を考慮して適宜選択される。
一般には、PVAの加水分解率が高いほど(すなわち、保護層中の未置換ビニルアルコール単位含有率が高いほど)、また、膜厚が厚いほど、酸素遮断性が高くなり、感度の点で好ましい。また、製造時および保存時に不要な重合反応、画像露光時に不要なカブリ、および画線の太り等を防止するためには、酸素透過性が高くなりすぎないことが好ましい。したがって、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが0.2≦A≦20(cc/m2・day)であることが好ましい。
保護層を形成する他の成分としては、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられ、これらを上記水溶性高分子化合物に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができる。また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を上記水溶性高分子化合物に対して数質量%添加することができる。
このような保護層は、水溶性高分子化合物を含有するため親水性であり、親油性である画像記録層に積層すると、接着力不足による保護層のはく離が生じやすく、はく離部分において、酸素による重合阻害に起因する膜硬化不良等の欠陥を引き起こすことがある。
そのため、本発明においては、画像部との密着性、耐傷性等も平版印刷版原版の取り扱い上、極めて重要である。
これに対して、画像記録層と保護層との間の接着性を改良すべく、種々の提案がなされている。例えば、特開昭49−70702号公報および英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルション、水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体等を20〜60質量%混合させ、画像記録層上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明においては、これらの公知の技術をいずれも用いることができる。
また、このような保護層には、他の機能を付与することもできる。例えば、露光に用いられる赤外線の透過性に優れ、かつ、それ以外の波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(例えば、水溶性染料)の添加により、感度低下を引き起こすことなく、セーフライト適性を向上させることができる。
本発明においては、保護層の膜厚は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.2〜2μmであるのがより好ましい。
保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書および特公昭55−49729号公報に詳細に記載の方法を用いることができる。
<バックコート層>
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版は、平版印刷版用支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、平版印刷版用支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、具体的には、例えば、特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載の有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。これらのうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
本発明の製版方法は、上記平版印刷版原版に、画像様露光により画像を記録させる画像記録工程と、画像を記録した上記平版印刷版原版に、特定の水溶液(現像液)を用いて現像を行い平版印刷版を得る現像工程とを具備する平版印刷版の製版方法である。
以下に、画像記録工程および現像工程について詳述する。
[画像記録工程]
上記画像記録工程は、上述した平版印刷版原版に、画像様露光により画像を記録させる工程である。
ここで、画像様露光とは、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して画像様に露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光することをいい、露光光源としては、具体的には、カーボンアーク灯、水銀灯(高圧水銀灯)、キセノランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、ストロボ、紫外光レーザー、可視光レーザー、赤外光レーザー等が好適に例示される。
これらのうち、レーザーを用いるのが特に好ましく、具体的には、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザー、波長250〜420nmの光を放射する紫外線半導体レーザー、可視光を放射するアルゴンイオンレーザー、FD−YAGレーザー等が好適に例示される。なかでも、製版の簡易化の点からは、白灯または黄色灯下で作業を行うことができる赤外線または紫外線を放射するレーザーが好ましい。
また、レーザーを用いる場合は、デジタルデータにしたがって、画像様に走査露光することが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
[現像工程]
上記現像工程は、上記画像記録工程により画像を記録した上記平版印刷版原版に、特定の水溶液(現像液)を用いて現像を行い平版印刷版を得る工程である。
ここで、本発明の製版方法で用いる特定の現像液は、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上、好ましくは3質量%以上含有するpH2〜10、好ましくはpH4〜9の水溶液である。
このような特定の現像液を用いることにより、本発明の製版方法は、環境および安全上の観点から非常に有用なものとなり、また、炭酸ガスによっても劣化されず常に一定の現像性を有するため、一定品質の印刷版が生産できる。これは、用いる現像液がpH2〜10と酸性から弱アルカリ性であり、また、この現像液が酸性から弱アルカリ性であることによって炭酸ガスの吸収によるpHの低下を補充液で補う必要がないためであると考えられる。更に、このような特定の現像液を用いることにより、得られる平版印刷版原版の現像性が向上し、また、平版印刷版の耐汚れ性も向上する。これは、現像液の画像記録層に対する浸透性が向上し、また、現像により除去された画像記録層成分の現像液中での分散性を維持することが可能となり、画像記録層成分の非画像部への再付着が抑制されるためであると考えられる。
以下、現像液について説明する。
<現像液>
本発明の製版方法で用いる現像液に含有するアニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤としては、以下のものを使用することができる。
アニオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。
本発明においては、アニオン界面活性剤は、スルホン酸のアニオン基または硫酸モノエステルのアニオン基と、置換基を有していてもよい芳香族基とを有しているのが好ましく、具体的には、下記式(I)または(II)で表される化合物であるのが好ましい。
Figure 2006309160
式中、R1およびR2は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20個のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基等が好適に挙げられる。
シクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でもよい。単環型のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜8個のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基が好適に挙げられる。多環型のシクロアルキル基としては、具体的には、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基等が好適に挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数2〜20個のアルケニル基であるのが好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基が好適に挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜12個のアラルキル基であるのが好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が好適に挙げられる。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜15個のアリール基であるのが好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等が好適に挙げられる。
また、置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団が用いられ、具体的には、ハロゲン原子(F、Br、Cl、I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミド基、エステル基、アシロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸アニオン基、スルホン酸アニオン基等が好適に例示される。
これらの置換基におけるアルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ステアリルオキシ基、メトキシエトキシ基、ポリ(エチレンオキシ)、ポリ(プロピレンオキシ)等の炭素数1〜40個、好ましくは炭素数1〜20個のものが挙げられる。アリールオキシ基としては、具体的には、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜18個のものが挙げられる。アシル基としては、具体的には、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜24個のものが挙げられる。アミド基としては、具体的には、例えば、アセトアミド基、プロピオン酸アミド基、ドデカン酸アミド基、パルミチン酸アミド基、ステアリン酸アミド基、安息香酸アミド基、ナフトイック酸アミド基等の炭素数2〜24個のものが挙げられる。アシロキシ基としては、具体的には、例えば、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基等の炭素数2〜20個のものが挙げられる。エステル基としては、具体的には、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ヘキシルエステル基、オクチルエステル基、ドデシルエステル基、ステアリルエステル基等の炭素数1〜24個のものが挙げられる。これらの置換基は、2以上の組み合わせからなるものであってもよい。
アニオン界面活性剤は、上記式(I)または(II)で表される化合物のうち、下記式(I−A)および(I−B)で表される化合物であるのが、本発明の製版方法により得られる平版印刷版の耐汚れ性がより向上するため好ましい。
Figure 2006309160
式中、R3およびR5は、それぞれ直鎖または分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し;R4およびR6は、それぞれ直鎖または分岐鎖の炭素数1〜20のアルキレン基を表し;pおよびqは、それぞれ0、1または2を表し;X1およびX2は、それぞれ単結合または炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し;rおよびsは、それぞれ1〜100の整数を表す。ただし、rまたはsが2以上の場合には、R3またはR5は2種類以上の基から選択されてもよい。
上記式(I)および(II)で表される化合物、すなわちアニオン界面活性剤の好適例としては、具体的には、以下に示す化合物が挙げられる。
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
なお、上記具体例中のxおよびyは、それぞれエチレンオキシ鎖またはプロピレンオキシ鎖の繰り返し数を表し、1〜20の整数(それぞれ平均値)を表す。
本発明においては、アニオン界面活性剤の含有量は、現像液の全質量に対して、1〜10質量%であるのが好ましく、2〜10質量%であるのがより好ましい。アニオン界面活性剤の含有量がこの範囲であると、現像液の画像記録層に対する浸透性がより向上する理由から現像性(画像記録層の溶解性)に優れ、また、現像により除去された画像記録層成分の現像液中での分散性を維持されやすくなり、画像記録層成分の非画像部への再付着がより抑制される理由から、現像後に得られる平版印刷版の耐汚れ性が良好となる。
アニオン界面活性剤として式(I)、(II)で表される化合物は、市場において、一般に入手することができる。このような市販品としては、具体的には、例えば、旭電化製、花王石鹸製、三洋化成製、新日本理化製、第一工業製薬製、竹本油脂製、東邦化学製、日本油脂製等のものが挙げられる。
一方、ノニオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンジグリセリン類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等が挙げられる。
本発明においては、ノニオン界面活性剤は、下記式(1)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤であるのが好ましい。
X−Y−O−(A)n−(B)m−H (1)
(式中、Xは置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Yは単結合または炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、AおよびBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−または−CH2CH(CH3)O−を表し、nおよびmはそれぞれ0〜100の整数(ただし、n+m≧2)を表す。)。
式中、Xの芳香族基としては、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよく、この置換基としては、炭素原子数1〜100の有機基が挙げられる。有機基としては、下記式(1−A)および(1−B)において例示する有機基の全てが挙げられる。なお、式中、m≧1、n≧1の場合、AおよびBは、それぞれランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
ノニオン界面活性剤は、上記式(1)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤のうち、下記式(1−A)および(1−B)で表される化合物であるのが好ましい。
Figure 2006309160
式中、R10およびR20は、それぞれ水素原子または炭素原子数1〜100の有機基を表し;tおよびuは、それぞれ1または2を表し;Y1およびY2は、それぞれ単結合または炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し;vおよびwならびにv′およびw′は、それぞれ独立に0〜100の整数(ただし、v+w≧2、v′+w′≧2)を表す。
また、式中、tが2を表し、R10が炭素原子数1〜100の有機基である場合、2個のR10はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、2個のR10が互いに結合して1個の環を形成していてもよい。
同様に、式中、uが2を表し、R20が炭素原子数1〜100の有機基である場合、2個R20はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、2個のR20が互いに結合して1個の環を形成していてもよい。
ここで、式中、R10およびR20の炭素原子数1〜100の有機基としては、例えば、飽和でも不飽和でよく直鎖でも分岐鎖でもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられ、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、ポリオキシアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖が結合している上記の有機基等が挙げられる。なお、アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。
このようなR10およびR20としては、具体的には、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アルキルカルバモイル基、アシルオキシ基またはアシルアミノ基、繰り返し単位数5〜20程度のポリオキシアルキレン鎖、炭素原子数6〜20のアリール基、繰り返し単位数5〜20程度のポリオキシアルキレン鎖が結合しているアリール基等が好適に例示される。
また、式中、vおよびv′は、3〜50であるのが好ましく、5〜30であるのがより好ましい。同様に、wおよびw′は、0〜10であるのが好ましく、0〜5であるのがより好ましい。また、vおよびv′で表されるポリオキシエチレン部ならびにwおよびw′で表されるポリオキシプロピレン部は、それぞれランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
上記式(1−A)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
上記式(1−B)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンメチルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルナフチルエーテル、ホリオキシエチレンノニルナフチルエーテル等が挙げられる。
以下に、上記式(1−A)または(1−B)で表されるノニオン芳香族エーテル系活性剤の他の例を示す。
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
本発明においては、ノニオン界面活性剤の含有量は、現像液の全質量に対して、1〜20質量%であるのが好ましく、2〜10質量%であるのがより好ましい。ノニオン界面活性剤の含有量がこの範囲内であると、現像液の画像記録層に対する浸透性がより向上する理由から現像性(画像記録層の溶解性)に優れ、また、現像により除去された画像記録層成分の現像液中での分散性を維持されやすくなり、画像記録層成分の非画像部への再付着がより抑制される理由から、現像後に得られる平版印刷版の耐汚れ性が良好となる。
本発明においては、このような界面活性剤(アニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤)として、アセチレングリコール系またはアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物や、フッ素系またはシリコン系等のアニオン界面活性剤またはノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
また、このような界面活性剤は、2種以上併用することもでき、例えば、互いに異なる2種以上のアニオン界面活性剤もしくはノニオン界面活性剤の併用や、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との併用が好ましい。
更に、このような界面活性剤は、環境面への影響を考慮して適宜選択して使用することが好ましく、上述したように、現像液の全質量に対して、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上含有するものである。
本発明の製版方法で用いる現像液は、上記界面活性剤の他に、水溶性高分子化合物を含有していることが、耐汚れ性がより向上する理由から好ましい。これは、水溶性高分子化合物が、現像処理時に非画像部に吸着し、現像処理後印刷機に取り付けたりする間、露出した非画像部を汚染から保護する機能を果たしているためであると考えられる。
水溶性高分子化合物としては、具体的には、例えば、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
上記大豆多糖類としては、従来知られているものが使用でき、例えば、市販品として公知のソヤファイブ(不二製油社製)の各種グレードを使用することができる。このうち、好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉としては、例えば、下記式(I)で表されるものが好ましい。式(I)で表される変性澱粉としては、具体的には、例えば、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等が挙げられる。また、この変性澱粉の変性は、酸または酵素等で1分子あたりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で行われる。
Figure 2006309160
式中、エーテル化度(置換度)は、グルコース単位当たり0.05〜1.2の範囲で、n
は3〜30の整数を表し、mは1〜3の整数を表す。
このような水溶性高分子化合物のうち、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等であるのが特に好ましい。
本発明においては、このような水溶性高分子化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、水溶性高分子化合物の含有量は、現像液の全質量に対して、0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜10質量%であるのがより好ましい。
本発明の製版方法で用いる現像液には、上記成分以外に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩等を含有することができる。
湿潤剤としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適例示され、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においては、上記湿潤剤の含有量は、現像液の全質量に対して、0.1〜5質量%であるのが好ましい。
防腐剤としては、具体的には、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好適に例示される。
本発明においては、上記防腐剤は、種々のカビ、細菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
また、上記防腐剤の含有量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であることから、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全質量に対して、0.01〜4質量%であるのが好ましい。
キレート化合物としては、具体的には、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;などのような有機ホスホン酸類やホスホノアルカントリカルボン酸類が挙げられる。また、上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効に用いられる。
本発明においては、このようなキレート剤は、現像液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものを適宜選択して用いる。
また、このようなキレート剤の含有量は、現像液の全質量に対して、0.001〜1.0質量%であるのが好ましい。
消泡剤としては、一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBの5以下等の化合物を使用することができる。これらのうち、シリコン消泡剤が好ましく、乳化分散型および可溶化型のいずれであっても使用できる。
本発明においては、このような消泡剤の含有量は、現像液の全質量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲であるのが好ましい。
有機酸としては、具体的には、例えば、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。
本発明においては、このような有機酸の含有量は、現像液の全質量に対して、0.01〜0.5質量%であるのが好ましい。
無機酸および無機塩としては、具体的には、例えば、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケル等が挙げられる。
本発明においては、このような無機酸および無機塩の含有量は、現像液の全質量に対して、0.01〜0.5質量%であるのが好ましい。
本発明の製版方法で用いられる現像液は、必要に応じて、上記各成分を水に溶解または分散することによって得られる。現像液における固形分濃度は、1〜20質量%であるのが好ましい。なお、現像液の濃縮液を作っておいて、使用時に水で希釈して用いることもできる。
本発明の製版方法においては、現像工程においてこのような現像液を平版印刷版原版に接触させる方法としては、例えば、手処理、浸漬処理、機械による処理等が挙げられる。
手処理としては、例えば、スポンジや脱脂綿に十分現像液を含ませ、版面全体を擦りながら処理し、処理終了後は十分に水洗する方法がある。
浸漬処理としては、例えば、平版印刷版原版を現像液の入ったバットや深タンクに約60秒浸してかくはんした後、脱脂綿やスポンジなどで擦りながら十分水洗する方法がある。
機械処理には、従来PS版およびCTPプレート用に知られているガムコーターや自動現像機を用いることができる。
自動現像機としては、例えば、現像槽に仕込んだ現像液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けて処理する方式;現像液が満たされた槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方式;実質的に未使用の現像液を一版毎に必要な分だけ供給して処理するいわゆる使い捨て処理方式;等が挙げられる。いずれの方式においても、ブラシやモルトンなどによるこすり機構があるものが好ましい。また、レーザー露光部と自動現像機部分とが一体に組み込まれた装置を利用することもできる。
[接触工程]
本発明の製版方法においては、耐汚れ性がより向上させる観点から、上記現像工程によって得られる平版印刷版と、上述した水溶性高分子化合物を含有する水溶液とを接触させる接触工程を具備していることが好ましい。これは、現像液に上述した水溶性高分子化合物を含有させることにより耐汚れ性がより向上する理由と同様の理由によるものと考えられる。
[乾燥工程]
また、本発明の製版方法においては、その後の取り扱いをしやすくする観点から、上記現像工程によって得られる平版印刷版を乾燥する乾燥工程を具備していることが好ましい。乾燥方法としては、具体的には、例えば、室内に放置する自然乾燥、熱風乾燥、ガムコーターや自動現像機に付属する乾燥機を用いる方法等が挙げられる。
本発明の製版方法は、算術平均粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する特定の砂目形状を表面に有する平版印刷版用支持体を用いることにより、得られる平版印刷版の耐刷性および耐汚れ性がいずれも良好なものとなる。これは、上述したように、耐汚れ性の観点から算術平均粗さRaをこのように小さくしても、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有することにより後述する現像液により除去しうる画像記録層との密着性が向上し、耐刷性を向上させることができるためであると考えられる。
また、本発明の製版方法は、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上含有するpH2〜10の特定の現像液を用いることにより、環境および安全上の観点から非常に有用なものとなり、炭酸ガスによっても劣化されず常に一定の現像性を有するため、一定品質、特に、耐汚れ性が向上した印刷版を生産することができる。これは、上述したように、用いる現像液がpH2〜10と酸性から弱アルカリ性であり、またこの現像液が酸性から弱アルカリ性であることによって炭酸ガスの吸収によるpHの低下を補充液で補う必要がなく、更に現像後の非画像部がより親水化されるためであると考えられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.アルミニウム板の製造
第1表に示される各成分(質量%)を含有し、残部はAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延を行って、厚さ0.3mm、幅1060mmに仕上げ、アルミニウム板1〜3を得た。
また、冷間圧延において、エンボス加工用ロールを用いた以外は、アルミニウム板1と同様の方法により、アルミニウム板4をそれぞれ得た。
Figure 2006309160
2.平版印刷版用支持体の作製
上記で得られたアルミニウム板を以下に示す表面処理に供することで、平版印刷版用支持体1〜10を得た。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。
(a)機械的粗面化処理
図4に示したような装置を使って、研磨剤(パミス)と水との懸濁液(比重1.12)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図4において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は30μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。機械的粗面化処理後のRaは、0.45μmであった。
(b)アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第1エッチング処理)
アルミニウム板に、苛性ソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度70℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、5g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(c)酸性水溶液中でのデスマット処理(第1デスマット処理)
アルミニウム板に、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度50℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、5秒間デスマット処理を行った。硫酸水溶液としては、後述する(j)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(d)酸性水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(第1電解粗面化処理)
電解液として、第2表に示される塩酸濃度、硝酸濃度、アルミニウムイオン濃度の水溶液(温度35℃)を用い、IGBT素子を用いたインバータ制御により電流を制御し、任意波形の交流を発生させうる電源を用いて、(c)の処理を施したアルミニウム板に対して電気化学的な粗面化処理を行った。
また、用いた電流の波形、波形が台形波である場合の立ち上がり時間、用いた電流の周波数、電気量、電流比は、それぞれ第2表に示されるとおりであった。なお、電気量は、アルミニウム板が陽極時の電気量の総和であり、電流比は、アルミニウム板が陰極時の電気量の総和とアルミニウム板が陽極時の電気量の総和との比である。また、支持体5の作製においては、電気量50C/dm2の電解粗面化処理を8回行った。
また、交流のピーク時におけるアルミニウム板が陽極時の電流密度は50A/dm2であり、dutyは0.5であった。
電解液の濃度制御は、あらかじめ求めたデータテーブルに従って、通電量に比例した量の塩酸、硝酸および水を添加し、キャピラリー電気泳動分析法によって多成分濃度測定を行い、その結果から、塩酸、硝酸および水の添加量を補正する方法を用いた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(e)アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第2エッチング処理)
アルミニウム板に、苛性ソーダ濃度50g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、第2表に示されるとおりであった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(f)酸性水溶液中でのデスマット処理(第2デスマット処理)
アルミニウム板に、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度50℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、5秒間デスマット処理を行った。硫酸水溶液としては、後述する(j)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(g)酸性水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(第2電解粗面化処理)
電解液として、第2表に示される塩酸濃度、硝酸濃度、アルミニウムイオン濃度の水溶液(温度35℃)を用い、IGBT素子を用いたインバータ制御により電流を制御し、任意波形の交流を発生させうる電源を用いて、(f)の処理を施したアルミニウム板に対して電気化学的な粗面化処理を行った。
また、用いた電流の波形、波形が台形波である場合の立ち上がり時間、用いた電流の周波数、電気量、電流比は、それぞれ第2表に示されるとおりであった。なお、電気量は、アルミニウム板が陽極時の電気量の総和であり、電流比は、アルミニウム板が陰極時の電気量の総和とアルミニウム板が陽極時の電気量の総和との比である。
また、交流のピーク時におけるアルミニウム板が陽極時の電流密度は50A/dm2であり、dutyは0.5であった。
電解液の濃度制御は、あらかじめ求めたデータテーブルに従って、通電量に比例した量の塩酸、硝酸および水を添加し、キャピラリー電気泳動分析法によって多成分濃度測定を行い、その結果から、塩酸、硝酸および水の添加量を補正する方法を用いた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(h)アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第3エッチング処理)
アルミニウム板に、苛性ソーダ濃度50g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、第2表に示されるとおりであった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(i)酸性水溶液中でのデスマット処理(第3デスマット処理)
アルミニウム板に、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度50℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、5秒間デスマット処理を行った。硫酸水溶液としては、後述する(j)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、170g/L硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度50℃)を用いた。陽極酸化処理は、アルミニウム板がアノード反応する間の平均電流密度が15A/dm2となるように行い、最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニップローラで液切りした。
Figure 2006309160
Figure 2006309160
第2表中、「−」は、該当する処理を行っていないこと、該当する成分を含有しないことまたは該当する項目がないことを示す。
3.平版印刷版用支持体の表面の観察
得られた各平版印刷版用支持体の表面形状を走査型電子顕微鏡(JSM−5500、日本電子社製。以下同じ。)で倍率50000倍で観察したところ、その表面に直径0.01〜2.0μmの微細な凹凸が均一かつ緻密に生成していた。算術平均粗さRaならびにこの凹凸の有無および開口径を下記第3表に示す。
なお、下記第3表中、開口径の欄(支持体3)における「1.8/0.21」は、1.8μmと0.21μmの異なる開口径の凹凸が重畳構造を有していることを示す。支持体4および9についても同様である。
Figure 2006309160
4.平版印刷版原版Aの作製
得られた平版印刷版用支持体1〜10上に、画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、75秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成し、この画像記録層上に、更に下記組成の保護層塗布液を乾燥時の塗布量が1.0g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、100℃90秒の条件にてオーブンで乾燥し、平版印刷版原版A1〜A10を得た。なお、画像記録層を設ける前に、下記組成の下塗り液(1)を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、下塗り層の塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
画像記録層塗布液(1)は、下記感光液(1)およびマイクロカプセル液(1)を塗布直前に混合しかくはんすることにより得た。
<下塗り液(1)>
・下記の下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水1.00g
Figure 2006309160
<感光液(1)>
・下記バインダーポリマー(1) 0.162g
・下記重合開始剤(1) 0.100g
・下記赤外線吸収剤(1) 0.020g
・重合性化合物(アロニックスM−215、東亞合成社製) 0.385g
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2―プロパノール 8.609g
<マイクロカプセル液(1)>
・下記の通り調製したマイクロカプセル液(固形分換算) 2.640g
・水 2.425g
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
Figure 2006309160
(マイクロカプセル液(1)の調製)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル社製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM−215(東亞合成社製)6.00g、および界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂社製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分かくはん後、40℃で2時間かくはんした。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
<保護層塗布液>
・水 88g
・ポリビニルアルコール(PVA105、クラレ社製) 10g
・ポリエチレングリコール(分子量2000) 2g
・下記界面活性剤 1g
Figure 2006309160
5.平版印刷版原版Bの作製
得られた平版印刷版用支持体1〜10上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.4g/m2の画像記録層を形成し、この画像記録層上に上記と同様の保護層塗布液を、乾燥塗布質量が0.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥し、平版印刷版原版B1〜B10を得た。
<画像記録層塗布液(2)>
・上記バインダーポリマー(1) 2.0g
・重合性化合物(イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、アロニックスM−315、東亞合成社製) 1.5g
・下記(1)で表される化合物 0.15g
・下記(2)で表される化合物 0.20g
・下記(3)で表される化合物 0.4g
・エチルバイオレット 0.1g
・熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
0.1g
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.02g
・テトラエチエルアミン塩酸塩 0.06g
・1−メトキシ−2−プロパノール 17.5g
・メチルエチルケトン 19.0g
Figure 2006309160
6.現像液の調製
下記の第4表に組成およびpHを示した現像液1〜6を調製した。表中の単位は[g]である。
Figure 2006309160
7.製版評価
得られた各平版印刷版原版に対して、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で画像様露光を行った。
<現像性>
画像様露光後の各平版印刷版原版に対して、調製した各現像液1〜6または水を用いて現像処理を行った。
現像処理は、図5に示すような処理機を用い、現像槽31中に液温25℃の各現像液1〜6または水を入れて、その中を平版印刷版原版34を通過させ、平版印刷版とすることにより行った。図5中の32は搬送ローラであり、入口から出口の通過時間は15秒に設定した。また、図5中の33は回転ブラシであり、平版印刷版原版34の搬送方向に対して順転方向に280mm/秒の速度で回転させた。現像槽31から排出された各平版印刷版は自然乾燥により乾燥させた。なお、下記第5表中、現像液の項目で「1/4」は、現像液1で現像処理した後、更に現像液4で現像処理していることを示す。「3/4」についても同様である。
その結果、現像性の評価として、平版印刷版原版34が回転ブラシ33を通過した直後に明確に現像されているものを「◎」、搬送ローラ32を通過して出てきた部分が現像されているものを「○」、現像機から搬出された段階で画像記録層の残存が明確なものを「×」とした。その結果を下記第5表に示す。
<耐汚れ性>
現像液3および4を用いて現像処理した後に自然乾燥させた各平版印刷版をハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム社製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。
その結果、耐汚れ性の評価として、印刷開始後、30枚以内に非画像部に汚れのない印刷物が得られたものを「○」、非画像部の汚れがなくなるまでに30枚以上要したものを「○△」とした。その結果を下記第5表に示す。
<耐刷性>
耐汚れ性の試験と同様、現像液3および4を用いて現像処理した後に自然乾燥させた各平版印刷版をハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、その後、湿し水(EU−3(富士写真フイルム社製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。
耐刷性の評価として、印刷開始後、非画像部に汚れのない印刷物が得られた枚数(刷了枚数)を測定し、支持体9に画像記録層Aを設けた場合の刷了枚数を100とした際のその他の平版印刷版の刷了枚数を指数化して表した。その結果を下記第5表に示す。
Figure 2006309160
上記第5表に示す結果から、算術平均粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する構造の砂目形状を表面に有する所定の平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版およびpH2〜10の所定の水溶液(現像液)を用いる場合においては、算術平均粗さRaが大きすぎる場合や平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有しない場合に比べて、現像性が良好なものとなり、耐汚れ性および耐刷性についても同等以上となることが分かった。
図1は、平版印刷版用支持体の製造方法における電気化学的粗面化処理に用いられる交流の波形の一例を示すグラフである。 図2は、平版印刷版用支持体の製造方法における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 図3は、平版印刷版用支持体の製造方法における水洗処理に用いられる自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置の模式的な断面図である。 図4は、平版印刷版用支持体の製造方法における機械的粗面化処理の工程の概念を示す側面図である。 図5は、実施例の現像処理工程で用いた現像機の断面を示す模式図である。
符号の説明
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
31 現像槽
32 搬送ローラ
33 回転ブラシ
34 平版印刷版原版
40 主電解槽
50 補助陽極槽
100 自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置
102 水
104 貯水タンク
106 給水筒
108 整流部

Claims (9)

  1. 平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版に、画像様露光により画像を記録させる画像記録工程と、
    画像を記録した前記平版印刷版原版に、現像を行い平版印刷版を得る現像工程とを具備する平版印刷版の製版方法であって、
    前記平版印刷版用支持体が、算術平均粗さRaが0.4μm未満であり、平均開口径0.01〜2.0μmの凹部を有する構造の砂目形状を表面に有し、
    前記現像工程が、ノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤を1質量%以上含有するpH2〜10の水溶液を用いて現像する工程である平版印刷版の製版方法。
  2. 前記現像工程に用いられる前記水溶液が、水溶性高分子化合物を含有する請求項1に記載の平版印刷版の製版方法。
  3. 前記アニオン界面活性剤が、スルホン酸のアニオン基または硫酸モノエステルのアニオン基と、置換基を有していてもよい芳香族基とを有する請求項1または2に記載の平版印刷版の製版方法。
  4. 前記ノニオン界面活性剤が、下記式(1)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤である請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
    X−Y−O−(A)n−(B)m−H (1)
    (式中、Xは置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Yは単結合または炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、AおよびBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−または−CH2CH(CH3)O−を表し、nおよびmはそれぞれ0〜100の整数(ただし、n+m≧2)を表す。)。
  5. 前記画像記録層が、重合開始剤、重合性化合物および疎水性バインダーポリマーを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  6. 前記平版印刷版原版が、前記画像記録層上に更に保護層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  7. 前記画像様露光に、波長760〜1200nmの光を放射するレーザーを用いる請求項1〜6のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  8. 前記画像様露光に、波長250〜420nmの光を放射するレーザーを用いる請求項1〜6のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
  9. 前記画像記録層を形成する成分の一部または全てが、マイクロカプセルに内包されている請求項1〜8のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
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