JP2009210638A - 平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸性から中性域で現像可能であり、そして、その際に問題となる現像性、更に感材から溶出してくる成分による処理ムラの問題を克服した平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】 下記式(I)で表される両性界面活性剤、水溶性高分子化合物を含有し、さらにp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含有し、pH2〜8であることを特徴とする平版印刷版用現像処理液、及び該処理液を用いた平版印刷版の製版方法(式(I)中、R1及びR2は、各々独立してHまたはアルキル基を表し、R3はアルキル基、またはエチレンオキサイドを含有する基を表し、Aはカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオンを含有する基である。)
【化1】
Figure 2009210638

【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法に関するものであり、特に酸性から低アルカリ性域で処理でき、酸性領域でも現像可能で、かつ現像カス分散安定性も良好な平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷とは、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境および安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述のように、現像液の低アルカリ化、処理工程の簡素化は、地球環境への配慮と省スペース、低ランニングコストへの適合化との両面から、従来にも増して強く望まれるようになってきている。しかし前述のように、現像処理工程は一般にpH10以上のアルカリ水溶液で現像した後、水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理するという3つの工程からなっており、そのため自動現像機自体も大きくスペースを取ってしまい、さらに現像廃液、水洗廃液、ガム廃液処理の問題等、環境およびランニングコスト面での課題を残している。
これに対して、例えば、特許文献1(特開2002−91016号公報)には、pH10〜12.5のノニオン界面活性剤を含むアルカリ液での現像法が提案されているが、感光性組成物にアルカリ可溶ポリマーを含有することでなっており、上記規定以下のpHでは現像できなくなるという問題がある。また例えば、特許文献2(特許第2938397号公報)には、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。この平版印刷版原版は、赤外線レ
ーザーを用いた画像露光によって、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水および/またはインキにより機上現像することが可能である。
このように微粒子の単なる熱融着による合体で画像を形成させる方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度(支持体との密着性)が極めて弱く、耐刷性が不十分であるという問題を有していた。
また、例えば特許文献3(WO2007/057336)には、水溶性樹脂成分を含有する処理液で光重合型プレートを処理する方法が記載されているが、特にプレートの保護層にポリビニルアルコール(PVA)が使用される場合には、このPVAが処理液中に溶出してくる事により、印刷版の画像に処理ムラを与えるという問題があった。この処理ムラの問題は、処理液中に界面活性剤が多く存在するとさらに深刻になり、ランニング処理において重大な故障となっていた。
特開2002−91016号公報 特許第2938397号明細書 国際公開第07/057336号パンフレット
前述のようにアルカリ剤により現像する系は環境上の問題や、炭酸ガス吸収によるpHの低下を補うための補充液、装置の付与、およびそれに伴う廃液量の増加等の課題、現像液のランニングコストの問題があった。
また、一般的に酸性〜低アルカリ領域の現像では、一旦除去した非画像部領域の画像記録層成分が安定に現像液中に分散されにくく、また特に保護層にPVAが使用される場合は処理ムラの問題もあった。
従って、本発明の目的は、上記従来の技術の欠点を克服し、酸性から中性域で現像可能であり、そして、その際に問題となる現像性、更に感材から溶出してくる成分による処理ムラの問題を克服した平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達するために鋭意検討した結果、画像露光後、平版印刷版原版を特定の化合物、水溶性高分子化合物およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含有する水溶液で処理することによって、酸性から低アルカリ領域での現像性を得ると共に、処理ランニングにおける処理ムラ低減に卓越した現像処理液を見出し、本発明を実現するに到った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
1)下記式(I)で表される化合物、水溶性高分子化合物およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含有し、pH2〜8であることを特徴とする平版印刷版用現像処理液。
Figure 2009210638
(式(I)中、R1及びR2は、各々独立してHまたはアルキル基を表し、R3はアルキル基、またはエチレンオキサイドを含有する基を表し、Aはカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオンを含有する基である。)
2)p−ヒドロキシ安息香酸エステルが、p−ヒドロキシ安息香酸イソブチル,p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル,p−ヒドロキシ安息香酸エチル,p−ヒドロキシ安息香酸ブチル,p−ヒドロキシ安息香酸プロピル,p−ヒドロキシ安息香酸メチル、またはp−ヒドロキシ安息香酸ビニルであることを特徴とする上記1)に記載の平版印刷版用現像処理液。
3)支持体上に、画像記録層、及びポリビニルアルコールを含有する保護層を有する平版印刷版原版を、画像様に露光し露光部の画像記録層を硬化させた後、上記1)または2)に記載の処理液にて現像を行うことを特徴とする平版印刷版の製版方法。
4)ポリビニルアルコールが酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする上記3)に記載の平版印刷版の製版方法。
本発明によれば、現像処理液に、特定の界面活性剤として、前記式(I)で表される化合物を含有させることにより、pH2〜8である水溶液にて現像可能であり、炭酸ガスによる劣化がなく、常に一定の現像性を有した現像液により、一定品質の平版印刷版が製版できる。また、現像液補充量、廃液量低減、ランニングコスト、環境面にも有利であり、更に感材から溶出してくる成分による処理ムラの問題を克服した平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法を提供できる。
以下、本発明の平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法について説明する。
〔現像処理液〕
本発明の平版印刷版用現像処理液(以下、単に処理液とも称する)は、下記式(I)で表される化合物を含有し、pH2〜8であることを特徴とするものである。
式(I)で表される化合物は、いわゆる両性界面活性剤である。
Figure 2009210638
(式(I)中、R1及びR2は、各々独立してHまたはアルキル基を表し、R3はアルキル基、またはエチレンオキサイドを有する基を表し、Aはカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオンを含有する基である。)
式(I)で表される化合物の分子量は一般的に150〜2000、好ましくは200〜1000である。
R3としてのエチレンオキサイドを有する基におけるエチレンオキサイドとは−(CHCHO)n−(nが1以上の整数、好ましくは2〜20)を意味する。
エチレンオキサイドを含有する基とは、−(CHCHO)n−を含有する1価の基であり、例えば、−(CHCHO)n−H、−(CHCHO)n−CH、−(CHCHO)n−CHCHが挙げられる。
Aとしてのカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオンを含
有する基とは、アルキル基など任意の1価の基に、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオンが置換した基であっても、また、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオン自体であってもよい。Aとしてカルボン酸アニオンを含有する基が特に好ましい。
なお、Aがホスホン酸アニオンを含有する基であるとき、ホスホン酸アニオンは2価アニオンであるため、式(I)で表される化合物は、1価のアニオンである。この場合、対カチオンはいかなるものでもよいが、例えば、Na、K、またはNH4などの1価のカチオンを挙げることができる。
上記式(I)で表される化合物(以下、界面活性剤とも称する)としては、特に限定されないが、下記に代表的なものを示す。
Figure 2009210638
(式中、R11及びR12は各々独立してHまたはアルキル基を表す。R13はアルキル基、またはエチレンオキサイドを含有する基を表す。R14はアルキレン基を表す。XはNa、K、またはNH4を表す。)
上記式(I)に該当する化合物において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難な場合、溶解を助ける有機溶剤、アルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、溶解を良化することができる。
水系の現像液への溶解性の点から、上記一般式で表される化合物におけるR11〜R14の炭素数の総和は好ましくは、10〜40であり、より好ましくは12〜30である。ここで、上述したR11〜R13がアルキル基またはR14がアルキレン基である場合、その構造は直鎖であってもよく、分枝であっても構わない。
上記一般式で表される化合物におけるR11〜R14の炭素数は、画像記録層に用いる材料、とりわけバインダの影響をうける。親水度の高いバインダの場合、R11〜R14の炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、用いるバインダの親水度の低い場合は、R11〜R14の炭素数の大きいものが好ましい。
代表的な化合物としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2009210638
Figure 2009210638

Figure 2009210638
一般式(I)で表される化合物は、本発明の現像処理液中で、通常、総量が2質量%で効果を発現し、好ましくは5質量%以上である。なお、現像浴部材の侵食の点からは、20質量%以下とすることが好ましい。
次に、本発明に使用するp−ヒドロキシ安息香酸エステルについて説明する。
本発明におけるp−ヒドロキシ安息香酸エステルは、p−ヒドロキシ安息香酸におけるカルボキシル基をアルキル基、アルケニル基などの有機基(好ましくは炭素数1〜4)等で保護した構造を意味する。
p−ヒドロキシ安息香酸エステルとしては、p−ヒドロキシ安息香酸イソブチル,p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル,p−ヒドロキシ安息香酸エチル,p−ヒドロキシ安息香酸ブチル,p−ヒドロキシ安息香酸プロピル,p−ヒドロキシ安息香酸メチル、またはp−ヒドロキシ安息香酸ビニルが好ましく用いられる。
p−ヒドロキシ安息香酸エステルの分子量は、一般的に150〜300、好ましくは150〜250である。
これらp−ヒドロキシ安息香酸エステルの処理液中の含有量は、0.01〜4質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜3質量%である。
本発明の現像処理液には、上記特定の界面活性剤の他に水溶性高分子化合物を含有する。従って現像処理と同時に、不感脂化処理を行うことができる。
本発明において用いられる水溶性高分子化合物とは、25℃の水に1質量%以上溶解する高分子化合物を意味する。
ここで、用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類としては、従来知られているものが使用でき、例えば市販品として商品
名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度(25℃)が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉としては、下記一般式(III)で示されるものが好ましい。一般式(III)で示される澱粉としては、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等のいずれの澱粉も使用できる。これらの澱粉の変性は、酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
Figure 2009210638
(式中、エーテル化度(置換度)はグルコース単位当たり0.05〜1.2の範囲で、nは3〜30の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
上記水溶性高分子化合物の中でも特に好ましいものとして、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の処理液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明において、水溶性高分子化合物は、上記特定の界面活性剤を含有する特定pHの現像処理液に含有して現像処理と同時に、不感脂化処理を行うことができる。また、さらに不感脂化処理を確実にするため、この現像処理液による現像処理後に該水溶性高分子化合物を含有する水溶液と接触させて用いてもよい。
本発明の処理液は、シリコーン化合物を含んでいてもよい。シリコーン化合物とは、オルガノポリシロキサン類を意味する。
本発明において、シリコーン化合物としてはジメチルポリシロキサンをアニオン界面活性剤と共に水と混合してO/W型乳濁液としたもの、下記に示すアルコキシポリ(エチレンオキシ)シロキサンを同様に乳濁液としたもの等が用いられる。これらのシリコーン化合物はぬれ性改良として働き、自動現像機で版を連続処理したときに処理ムラを防止する。現像処理液へのシリコーン化合物の添加量としては、現像処理液に対して0.0001〜1.0質量%、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。
シリコーン化合物の含有量が0.0001質量%未満であると消泡効果が不十分であり、1.0質量%を超えると印刷での汚れ性が悪化する。
本発明の処理液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。一般に、上記湿潤剤は処理液の全質量に基づいて0.1〜5質量%の量で使用される。
防腐剤としては、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 、ベンズトリアゾール誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール、複素環アルキルアンモニウム塩等が好ましく使用できる。複素環アルキルアンモニウム塩としては、アルキル−ピリジニウム塩、アルキル−キノリニウム塩及びアルキル−イソキノリニウム塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の複素環アルキルアンモニウム塩が好ましく、炭素数8〜18のアルキル基を有するものであることが好ましい。
防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の処理液に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
これらキレート剤は処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては使用時の処理液に対して0.001〜1.0質量%が好適である。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。有機酸の含有量は処理液の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%の量が好ましい。
含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
エチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は処理液の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%の量が好ましい。
本発明で用いられる処理液は、必要に応じて上記各成分を水に溶解または分散することによって得られる。処理剤の固形分濃度は、好ましくは2〜25質量%である。濃縮液を作っておいて、使用時に水で希釈して用いることもできる。
本発明で用いられる処理液のpHは、2〜8である。現像性や画像記録層分散性の観点から言えば、pHを低めに設定するほうが有利であるが、印刷性、とりわけ汚れに関しても、pH値を低めに設定するほうが有効である。従って、好ましいpHは3〜7、より好ましくは3〜6である。
本発明の平版印刷版原版に上記処理剤を接触させる方法としては、浸漬処理および水平搬送処理等の機械による処理などが挙げられる。
露光された平版印刷版原版は、現像に先立って設けられたプレヒート部で加熱されることが好ましい。プレヒート部には露光後1分以内に挿入され、加熱されることが好ましく、加熱温度は一般には50〜150℃であり、特に90〜120℃が好ましい。
次に、現像について説明する。現像処理には、本発明の現像方法に従い、構造の簡素化、工程を簡略化した装置が用いられる。従来のアルカリ現像システムに比して、空気中の2酸化炭素の影響を受ける事が少なくなるため、空気と液の密閉度を下げる事ができる。この他、現像と同時に不感脂化処理を行うことができ、従来の様な現像の後に水洗、不感脂化処理の工程を必ずしも設ける必要は無く、1浴、多くとも2浴の槽を設ければ十分となる。この事により、装置コストを下げられ、尚且つこれまでの装置に要していたスペースよりも遥かに小さなスペースで装置を設置する事ができる。一般に、現像処理では、擦り部材は必要不可欠なため、画像記録層の非画像部を除去する現像浴には、ブラシ等の擦り部材が設置される。
本発明におけるガム現像処理は、ガム液などの供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像記録後の平
版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開2006−235227号公報等に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。回転ブラシロールは1本でもよいが、2本以上有することが好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。上記回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の画像記録層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
本発明に用いられる界面活性剤では、ブラシ等の擦り部材への負荷が大きく軽減される。通常、低アルカリ〜酸性領域の現像液では、非画像部の画像記録層を除去するために強いこすり条件にて、現像しないと非画像部は除去されない。しかしながら、本発明に用いられる界面活性剤を用いた現像液では、通常のアルカリ現像で用いる擦り部材と同程度のもので、かつ同程度の擦り条件(回転数、ブラシ圧)にて現像が可能となる。
勿論、従来PS版およびCTPプレート用に知られているガムコーターや自動現像機も本システムに用いることができる。従来の自動現像機を用いる場合、例えば、現像槽に仕込んだ処理液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けて処理する方式、処理液が満たされた槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方式、実質的に未使用の処理液を一版毎に必要な分だけ供給して処理するいわゆる使い捨て処理方式のいずれの方式も適用できる。どの方式においても、ブラシやモルトンなどによるこすり機構があるものがより好ましい。また、レーザー露光部と自動現像機部分とが一体に組み込まれた装置を利用することもできる。
〔平版印刷版原版〕
本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版は、支持体上に、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能であり、露光により硬化するネガ型画像記録層を有する。ネガ型画像記録層は、現像されやすさおよび良好な耐刷性が得られる点から、(1)重合開始剤、(2)重合性化合物、および(3)疎水性バインダーポリマーを必須成分として含有する重合性の画像記録層である。以下、画像記録層、支持体など平版印刷版原版の構成要素および成分について説明する。
(画像記録層)
<重合開始剤>
本発明に用いられる重合開始剤は、光または熱エネルギーによりラジカルまたは酸を発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。このような重合開始剤としては、公知のラジカル発生剤または酸発生剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから、適宜、選択して用いることができる。
上記のラジカルまたは酸を発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の公報、M.P.Hutt、"Journal of Heterocyclic Chemistry" 1(No.3),(1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等が挙げられる。
Figure 2009210638
Figure 2009210638
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフ
ェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書等に記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号の公報、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2003−328465号公報等記載される化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、具体的には、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009210638
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、同第161,811号、同第410,201号、同第339,049号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−II
I)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009210638
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル
基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
Figure 2009210638
Figure 2009210638
Figure 2009210638
Figure 2009210638
Figure 2009210638
Figure 2009210638
重合開始剤としては、上記に限定されないが、特に反応性、安定性の面から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩がより好ましい。
これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこに添加してもよい。これらの重合開始剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。
<重合性化合物>
本発明に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。このようなモノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基などの求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物なども好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基などの脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテルなどに置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートなどがある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリス
リトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタンなどがある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネートなどがある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートなどがある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートなどがある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートなどがある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するものなども好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミドなどがある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物などが挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の公報に記載される分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類などの多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公
平1−40337号、特公平1−40336号の公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物なども挙げることができる。
また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
本発明に用いられるビニルエーテル基を有する化合物としては、特開2002−029162号公報に記載の化合物が挙げられる。具体例として、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,2−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3,5−トリス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ビフェニル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルエーテル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルメタン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ナフタレン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フラン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}チオフェン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}イミダゾール、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン{ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル}、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量などの使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中の他の成分(例えば非水溶性高分子、開始剤、着色剤など)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述の保護層などの密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
上記重合性化合物は、画像記録層を構成する全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。
<疎水性バインダーポリマー>
本発明の画像記録層に用いられる疎水性バインダーポリマーとしては、非水溶性ポリマーが好ましく用いられる。さらに、本発明に使用可能な疎水性バインダーポリマーは、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸基を実質的に含有しないものが好ましく、バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、0.3meq/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1meq/g以下である。
すなわち、本発明に使用可能な疎水性バインダーポリマーは、水及びpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましく、疎水性バインダーポリマーの水及びpH10以上の水溶液に対する溶解度が、0.5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。このような疎水性バインダーポリマーを用いることによって、画像記録層の膜強度、耐水性および着肉性が向上して、耐刷性の向上が得られる。
疎水性バインダーポリマーとしては、本発明の平版印刷版の性能を損なわない限り、好ましくは、上記範囲であれば、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。
このような疎水性バインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。
さらに、疎水性バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。疎水性バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。分子中にエチレン性不飽和結合を有する疎水性バインダーポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COOR’または−CONHR’のR’)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R’)の例としては、−(CH2 n CR1 =CR2 3 、−(CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n NH−CO−O−CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n −O−CO−CR1 =CR2 3 および−(CH2 CH2 O)2 −X(式中、R1 〜R3 はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1 とR2 またはR3 とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 (特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2 CH2 O−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3 )=CH2 、−CH2 CH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 OCOCH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 −NHCOO−CH2 CH=CH2 および−CH2 CH2 O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
架橋性を有する疎水性バインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
疎水性バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、疎水性バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、水溶液に対する現像性向上という観点からバインダーポリマーは親水的であることも好ましく、さらに耐刷性向上という観点からバインダーポリマーは画像記録層中に含まれる重合性化合物と相溶性が良いことが重要であり、すなわち親油的であることが好ましい。このような見地から本発明では、現像性と耐刷性を向上させるため疎水性バインダーポリマー中に親水性基と親油性基とを共重合させることも有効である。親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、エチレンオキシ基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
疎水性バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
疎水性バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
疎水性バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
疎水性バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、10〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
<赤外線吸収剤>
赤外線を放射する光源を用いて画像様露光を行う平版印刷版原版の画像記録層には、前記の重合開始剤と組み合わせて赤外線吸収剤を用いることができる。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有しており、この際発生した熱により、重合開始剤が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)などの文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号などの公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号などの公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号などの公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号などの公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料などを挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の公報に記載されているピリリウム系
化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩などや特公平5−13514号、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(II)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009210638
一般式(II)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または以下に示す基を表す。
Figure 2009210638
ここで、X2は酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基
、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(II)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(II)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げることができる。
本発明において赤外線吸収剤として使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックなどが使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネートなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像記録層塗布液中での良好な安定性と画像記録層の良好な均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インキ製造やトナー製造などに用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダーなどが挙げられる。詳細は、「最新顔料応
用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤の画像記録層への添加は、重合反応を阻害する副作用を抑制するため、必要最小量とすることが好ましい。
これらの赤外線吸収剤は、画像記録層の全固形分に対し0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜30質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%の割合で添加することができる。この範囲内で、画像記録層の均一性や膜強度に好ましくない影響を与えることなく、高感度が得られる。
<増感剤>
250〜420nmの光を放射する光源を用いて画像様露光を行う平版印刷版原版の画像記録層には、前記の重合開始剤と組み合わせて増感剤を用いることによりラジカル発生効率を高めることもできる。
増感剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9、10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルp−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンズアントロンなどを挙げることができる。
さらに、本発明における好ましい増感剤としては、特公昭51−48516号公報中に記載されている一般式(III)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2009210638
式中、R14はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基など)、または置換アルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基など)を表わす。R15はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)、またはアリール基(例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基など)を表わす。
2は通常シアニン色素で用いられる窒素を含む複素環核を形成するのに必要な非金属原子群、例えばベンゾチアゾール類(ベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾールなど)、ナフトチアゾール類(α−ナフトチアゾール、β−ナフトチアゾールなど)、ベンゾセレナゾール類(ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、6−メトキシベンゾセレナゾールなど)、ナフトセレナゾール類(α−
ナフトセレナゾール、β−ナフトセレナゾールなど)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−メチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾールなど)、ナフトオキサゾール類(α−ナフトオキサゾール、β−ナフトオキサゾールなど)を表わす。
一般式(III)で表わされる化合物の具体例としては、これらZ2、R14およびR15を組み合わせた化学構造を有するものであり、多くのものが公知物質として存在する。従って、これらの公知のものから適宜選択して使用することができる。さらに、本発明における好ましい増感剤としては、特公平5−47095号公報に記載のメロシアニン色素、また下記一般式(IV)で示されるケトクマリン系化合物も挙げることができる。
Figure 2009210638
ここでR16はメチル基、エチル基等のアルキル基を表わす。
これら増感剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。
<マイクロカプセル>
本発明においては、上記の画像記録層の構成成分および後述のその他の構成成分を画像記録層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて画像記録層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第96707
4号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
〔画像記録層のその他の成分〕
本発明の画像記録層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
<親水性ポリマー>
本発明の平版印刷版原版における画像記録層には、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性の向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水性ポリマーの画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
<界面活性剤>
本発明において、画像記録層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために、界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル
リン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
<着色剤>
本発明では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
<焼き出し剤>
本発明の画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、画像記録層の全固形分に対して0.01〜15質量%の割合である。
<重合禁止剤>
本発明の画像記録層には、画像記録層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
<高級脂肪酸誘導体等>
本発明の画像記録層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
<可塑剤>
本発明の画像記録層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
<無機微粒子>
本発明の画像記録層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、画像記録層中に安定に分散して、画像記録層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
<低分子親水性化合物>
本発明の画像記録層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩等が上げられる。
<画像記録層の形成>
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶
剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の画像記録層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れの方法も行うことができる。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
本発明において、pH2〜8の現像液で現像する場合、特に、前記一般式(1)の構造で表される化合物を有するpH2〜8の現像液にて現像を行う場合には、アルミニウム板上を親水性化合物を含有する水溶液に浸漬して親水化処理を行うことが好ましい。特に下記に示すようなアルカリ金属シリケート処理及び/又は有機ホスホン酸で表面処理を行うことが好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法が好ましく用いられる。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸せき処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の明細書に記載されているような有機ホスホン酸であるポリビニルホスホン酸で処理する方法等が好ましく用いられる。
好ましい態様である有機ホスホン酸による処理においては、ポリビニルホスホン酸による処理の他にも、ポリビニルメチルホスホン酸、ポリビニルアルコールの燐酸エステルによる表面処理は効果が高いが、とりわけポリビニルホスホン酸による処理が有効である。この処理を用いた場合、現像時の残色が容易になくなる他、印刷汚れも非常に良好な結果が得られている。
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用い
る場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、本発明の支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号公報に記載の、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。この範囲内で、画像記録層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲内で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
(下塗り層)
本発明の平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、画像記録層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着性を強化し、また、未露光部においては、画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特に好ましい化合物として、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基を有する化合物が挙げられる。重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版においては、画像記録層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止のため、画像記録層の上に水可溶な保護層を設けることができる。
本発明においては、通常、露光を大気中で行うが、保護層は、画像記録層中で露光により生じるラジカル重合反応を阻害する大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。従って、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いられる光の透過性が良好で、画像記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の簡易現像の水溶液によって容易に除去することができるものであるのが好ましい。こ
のような特性を有する保護層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3、458、311号明細書および特公昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
保護層に用いられる材料としては、例えば、比較的、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として用いると、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。ポリビニルアルコールは、保護層に必要な酸素遮断性と水溶性を与えるための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルまたはアセタールで置換されていてもよく、一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解された重合度300〜2400の範囲のものが好適に挙げられる。具体的には、例えば、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8が挙げられる。
酸変性ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコールの水酸基の一部をスルホン酸基またはカルボン酸基で変性したものが好ましい。このうちスルホン酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、日本合成化学工業(株)製:ゴーセランL-3266,L-0302,(株)クラレ製:クラレSKポリマーSK-5102、S-2217等があり、また、カルボン酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えばメタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等で変性したものが好ましく、例えば日本合成化学工業(株)製のゴーセナールT-330H、同T-350、(株)クラレ製、KL-118,KL-318,KL-506,KM-118等として市販されているものを使用することができる。
変性率は、0.1〜8mol%が好ましい。重合度としては300〜2400が好ましく、より好ましくは500〜2000である。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用等)、塗布量等は、酸素遮断性および現像除去性のほか、カブリ性、密着性、耐傷性等を考慮して適宜選択される。一般には、PVAの加水分解率が高いほど(すなわち、保護層中の未置換ビニルアルコール単位含有率が高いほど)、また、膜厚が厚いほど、酸素遮断性が高くなり、感度の点で好ましい。また、製造時および保存時に不要な重合反応、画像露光時に不要なカブリ、および画線の太り等を防止するためには、酸素透過性が高くなりすぎないことが好ましい。従って、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが0.2≦A≦20(cc/m2・day)であることが好ましい。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を上記水溶性高分子化合物に対して数質量%添加することができる。
また、画像部との密着性、耐傷性等も平版印刷版原版の取り扱い上、極めて重要である。すなわち、水溶性高分子化合物を含有するため親水性である保護層を、親油性である画像記録層に積層すると、接着力不足による保護層のはく離が生じやすく、はく離部分にお
いて、酸素による重合阻害に起因する膜硬化不良等の欠陥を引き起こすことがある。
これに対して、画像記録層と保護層との間の接着性を改良すべく、種々の提案がなされている。例えば、特開昭49−70702号公報および英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルション、水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体等を20〜60質量%混合させ、画像記録層上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明においては、これらの公知の技術をいずれも用いることができる。
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や画像記録層の表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、
式3 MgO・4SiO・H2
で表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3(AlSi310)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明で使用する無機質の層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アス
ペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明で使用する無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
次に、保護層に用いる無機質層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
この保護層塗布液には、上記無機質層状化合物の他に、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、画像記録層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた画像記録層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g
/m2の範囲であることがさらに好ましい。
(バックコート層)
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
<露光>
本発明の製版方法においては、平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して露光するかデジタルデータによりレーザー走査露光することにより画像様に露光される。露光光源としては、例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、紫外光レーザー、可視光レーザー、赤外光レーザーが挙げられる。特にレーザーが好ましく、250〜420nmの範囲の光を放射する半導体レーザー、760〜1200nmの範囲の赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーなどが挙げられる。レーザーを用いる場合は、デジタルデータに従って、画像様に走査露光することが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
これらレーザーはコンピュータ制御により画像様露光を行なう、所謂プレートセッタに搭載されて使用される。
本発明においては、上記露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程(プレヒート)を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。具体的には、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80℃〜140℃で5〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲であると上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
このとき、加熱処理工程に用いられる加熱処理手段および現像処理工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていても良い。
使用する印刷版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルタまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。勿論、加熱処理がない場合は、露光手段は、直接、現像処理手段に接続されており、自動的に連続処理が行われる。
また、本発明においては、上記露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に、上述の保護層を除去するなどの目的で水洗工程(プレ水洗)工程があっても良い。
上記2つの工程は双方入れることもあるし、何れか一方導入される場合もある。
上記のように現像処理を終え、画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行っても良い。該全面露光時の光源としては、例えば、カーボ
ンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
更に、上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は30℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜130℃であり、更に好ましくは、40〜120℃である。
本発明では、上記の現像処理、および付加的にプレヒートまたはプレ水洗工程による処理を施され画像形成した平版印刷版原版を、その後の取り扱いをしやすくするため、乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、室内に放置する自然乾燥、熱風乾燥、ガムコーターや自動現像機に付属する乾燥機を用いるなどの方法が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
次に、下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布して、以下の実験に用いる支持体を作製した。
下塗り液(1)
・下記の下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
Figure 2009210638
<平版印刷版原版Aの作製>
上記の下塗り層を付与した支持体上に、画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、75秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成してその上に、更に下記組成の保護層塗布液(1)を乾燥時の塗布量が1.0g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、100℃90秒の条件にてオーブンで乾燥し、平版印刷版原版Aを得た。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)およびマイクロカプセル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
感光液(1)
・バインダーポリマー(1) 0.162g
・下記重合開始剤(1) 0.100g
・下記赤外線吸収剤(1) 0.020g
・重合性化合物、アロニックスM-315(東亜合成(株)製) 0.385g
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2―プロパノール 8.609g
マイクロカプセル液(1)
・下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.640g
・水 2.425g
Figure 2009210638
Figure 2009210638
Figure 2009210638
Figure 2009210638
マイクロカプセル(1)の合成
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM−215(東亞合成(株)製)6.00g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
保護層塗布液(1)
・水 88g
・ポリビニルアルコールPVA105((株)クラレ製) 10g
・ポリエチレングリコール(分子量2000) 2g
・下記の界面活性剤 1g
Figure 2009210638
<平版印刷版原版Bの作製>
上記支持体に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.4g/m2の画像記録層を形成し、この上に上記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布質量が0.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥して平版印刷版原版Bを得た。
画像記録層塗布液(2)
・上記バインダーポリマー(1) 2.0g
・重合性化合物 1.5g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート
(東亜合成(株)製、アロニックスM−315)
・下記(1)で表される化合物 0.15g
・下記(2)で表される化合物 0.20g
・下記(3)で表される化合物 0.4g
・エチルバイオレット 0.1g
・熱重合禁止剤 0.1g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.02g
・テトラエチエルアミン塩酸塩 0.06g
・1−メトキシ−2−プロパノール 17.5g
・メチルエチルケトン 19.0g
Figure 2009210638
<平版印刷版原版Cの作製>
上記の下塗り層を付与した支持体上に、下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の画像記録層を形成し、この上に下記組成よりなる保護層塗布液(2)を、乾燥塗布量が0.2g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒間乾燥して平版印刷版原版Cを得た。
[画像記録層塗布液(3)]
・上記構造のバインダーポリマー(1)(平均分子量8万) 0.54g
・重合性化合物 0.40g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート
(東亜合成(株)製、アロニックスM−315)
・重合性化合物
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート 0.08g
(日本化薬(株)製、SR9035、EO付加モル数15、分子量1000)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(2) 0.18g
・下記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε−フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2009210638
[保護層塗布液(2)]
・下記雲母分散液(1) 13.0g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製 ゴーセランL-3266)1.3g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.2g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))分子量7万 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133g
(雲母分散液(1)の調製)
水368gに合成雲母(「ソマシフME−100」:コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)の32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになる迄分散し、雲母分散液(1)を得た。
さらに、保護層の酸素透過率を以下の条件で測定したところ、上記保護層の酸素透過率は、2.0ml/(m2・day・atom)であった。
(酸素透過率の測定)
両面を厚さ約20μmのポリエチレンでコートした厚さ約200μmの印画紙表面に、前記画像記録層上に塗布するのと同様に保護層(酸素遮断層)を塗布、乾燥し、測定用の試料を作製した。予め測定した印画紙の酸素透過率は、下記測定条件において約700ml/(m2・day・atom)であり、酸素遮断層における透過率を測定する際には十分無視できる値であった。
このようにして得られた試料を用い、JIS K7126B及びASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じて、モコン社製OX−TRAN2/20を用いて、25℃60%RHの条件で酸素透過率〔ml/(m2・day・atom)〕を測定した。
<平版印刷版原版Dの作成>
画像記録層塗布液(1)の重合性化合物アロニックスM−315をPLEX6661−O(Rohm GmbH&KG製、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジイルジメタクリレート)に代え、バインダポリマー(1)を以下のポリマーに代える以外は、平版印刷版原版Aと同様にして、平版印刷版原版Dを得た。
Figure 2009210638
<平版印刷版原版Eの作成>
画像記録層塗布液(3)の重合性化合物アロニックスM−315をPLEX6661−O(Rohm GmbH&KG製、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジイルジメタクリレート)に代え、バインダーポリマーを以下のポリマーに代える以外は、平版印刷版原版Cと同様にして、平版印刷版原版Eを得た。
Figure 2009210638
1.処理液の作製
各成分の濃度を質量%で示した、下記の表1に示す組成を有する処理液No1〜15を作製した。処理液のpHは、燐酸または水酸化ナトリウムを用いて表1記載のpHに調整した。
Figure 2009210638
2.製版評価(実験No1〜20)
処理条件: 露光 → プレヒート → 現像処理 →乾燥
得られた平版印刷版原版は、セッターで露光、プレヒート、現像処理、乾燥の順で処理された。ここで、感材によって、露光に用いるセッターを変えている。用いた、セッターと平版印刷版原版の関係は、下記に示す通りである。
露光に用いた光源(セッター) 感材
赤外線半導体レーザー 平版印刷版原版A、D
(Creo社製Trendsetter3244VX)
405nm半導体レーザー 平版印刷版原版B、C、E
なお、用いるセッターの露光条件を以下に記す。
Creo社製Trendsetter3244VX : 水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載にて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で画像様露光を行った。
405nm半導体レーザー :FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光を実施した。画像は、解像度2438dpiで、富士写真フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、35%の平網を、版面露光量0.09mJ/cm2で描画した。
次に、露光された感材を30秒以内にオーブンに入れ加熱処理を行った。オーブンでは熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱した。加熱時間は110℃で15秒間であった。その後、表1に示す現像液を用いて図1記載の自動現像機で現像処理した。自動現像機において、現像槽の処理液の液温は30℃、現像槽の通過時間は20秒の条件で行った。現像槽から排出された平版印刷版原版をドライヤーで乾燥させた。
このようにして、製版された平版印刷版を用いて現像性を評価した。
さらに疲労液での非画像部印刷汚れおよび処理ムラの評価として、印刷版の処理量を現像槽の現像液1リットル当たり10mになるよう、未露光の版をランニング処理した後、前記セッターにて画像露光した版を処理した。処理した版を印刷する事により疲労液での非画像部印刷汚れを評価し、またプレートの現像性を観察する事により、処理ムラを評価した。
現像性の評価
× : 全く現像できず。
△ : 僅かではあるが、薄く残膜あり。印刷しても支障ないレベル。
○ : 基本的には残膜ないが、極まれに薄く残膜する事があるレベル。
◎ : 全く残膜のないレベル。
処理ムラの評価
× : 濃淡のムラがひどい。
△ : 濃淡のムラが存在するが、印刷しても支障がないレベル。
○ : ごくまれに濃淡ムラがある状態。
◎ : 全く濃淡ムラがない状態。
疲労液での印刷性評価
疲労液での非画像部汚れを評価した。前述の疲労液で処理した版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(Ecolity−2(富士写真フイルム(株)製湿し水)を水で2%になるよう希釈)とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時600
0枚の印刷速度で印刷を500枚行った。汚れなかったものは5点、汚れたものは1点で表す。
評価結果を5段階評価で記載している。4点以上が許容レベルとし、点数が大きくなる程、程度が良化している様子を示している。
結果を表2に示す。
Figure 2009210638
上記の結果から、本発明に係る各実施例の平版印刷版用現像処理液及び平版印刷版の製版方法は、比較例に比べて、現像性、処理ムラ性、疲労現像液での耐汚れ性が明らかに優れていることがわかる。
ガム液による現像を行うに当たって使用し得る自動現像装置の一例の概略的な構造を示す。
符号の説明
1:回転ブラシロール
2:受けロール
3:搬送ロール
4:搬送ガイド板
5:スプレーパイプ
6:管路
7:フィルター
8:給版台
9:排版台
100:現像液タンク
101:循環ポンプ
102:版

Claims (4)

  1. 下記式(I)で表される化合物、水溶性高分子化合物および、p−ヒドロキシ安息香酸エステルを含有し、pH2〜8であることを特徴とする平版印刷版用現像処理液。
    Figure 2009210638
    (式(I)中、R1及びR2は、各々独立してHまたはアルキル基を表し、R3はアルキル基、またはエチレンオキサイドを含有する基を表し、Aはカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、またはホスホン酸アニオンを含有する基である。)
  2. p−ヒドロキシ安息香酸エステルが、p−ヒドロキシ安息香酸イソブチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、またはp−ヒドロキシ安息香酸ビニルであることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用現像処理液。
  3. 支持体上に、画像記録層、及びポリビニルアルコールを含有する保護層を有する平版印刷版原版を、画像様に露光し露光部の画像記録層を硬化させた後、請求項1または2に記載の処理液にて現像を行うことを特徴とする平版印刷版の製版方法。
  4. ポリビニルアルコールが酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版の製版方法。
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