JP2006307890A - 回動付勢装置 - Google Patents

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昌寛 原田
Hiroshi Ueno
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Abstract

【課題】 従来の回動付勢装置が有する諸問題を解決する画期的な装置を得る。
【解決手段】 内輪軌道面21及び外輪軌道面31の少なくとも一方が、内外輪2,3の相対回転に伴い転動体4を転動させつつ円筒ころ4の挟持間隔を漸次狭くして、前記相対回転により生じた位相差を解消する方向の回動付勢力を内外輪2,3間に付与する異形軌道面2k,3kを少なくとも一部に有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転方向にばね弾性を有する回動付勢装置に関するものである。
回転方向にばね弾性を有する回動付勢装置としては、ピアノ線等を用いたコイルばねや、ゴムや樹脂などの弾性材料を用いたものがあり、各種用途に用いられている。
例えば自動車エンジンによる補記類駆動のためのVベルト等に所定の張力を付与するオートテンショナーに用いられている回動付勢装置は、回動付勢部材としてねじりコイルばねを用いている。ねじりコイルばねを用いることにより、Vベルト等の張力の変動に応じてダンピング力を自動的に変化させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−4481号公報
しかしながら、ねじりコイルばね等を用いた従来の回動付勢装置では種々の問題があった。
第一に、上記従来の回動付勢装置では、設計自由度が低いという問題があった。例えばねじりばね定数を変化させるためには、ねじりコイルばねの場合は巻き数や巻き径等を変化させ、ゴム等の弾性部材を用いた場合は弾性部材の材質や厚みを変化させるが、これらの変化により得られるねじりばね定数の設計範囲は限られている。したがって、従来の回動付勢部材では、同一のサイズ(体格)で得られるねじりばね定数の範囲は極めて限定的であった。更に、従来の回動付勢部材では、ねじれ角とねじりばね定数との関係は線形であり、ねじれ角に対してねじりばね定数を非線形に変化させる等、ねじれ角に応じてねじりばね定数を自在に変化させることはできなかった。
第二に、従来の回動付勢部材は、連続使用や経時変化により劣化しやすく、寿命が短いという問題があった。
第三に、従来の回動付勢装置は、互いに相対回転する外側部材及び内側部材とねじりコイルばね等の回動付勢部材とを接合する接合部が必要となり、周辺構造が複雑となるので、部品点数や組み立てコストが増加するとともに信頼性が低下するという問題があった。
第四に、従来の回動付勢装置では、上述したように設計自由度が低く且つ周辺構造が複雑となりやすいので、回動付勢装置のサイズ(体格)が大きくなりやすく、小型化に限界があった。
以上のように、ねじりコイルばね等を用いた回動付勢装置は種々の問題があった。これに対して本発明は、従来とは全く異なる技術思想に基づきなされた新構造の部材であり、上記各問題を解決できる回動付勢装置である。
すなわち本発明は、ねじりコイルばね等の従来部材が有する諸問題を解決した従来にない画期的な回動付勢装置を得ることを目的としている。
本発明は、外周に内側軌道面を有する内側部材と、内周に外側軌道面を有し、前記内側部材との間で相対回転可能な外側部材と、前記内側軌道面と外側軌道面との間に転動可能に介在した転動体とを備え、前記内側軌道面及び外側軌道面の少なくとも一方が、前記内側部材と外側部材の相対回転に伴い転動体を転動させつつ当該転動体の挟持間隔を漸次狭くして、前記相対回転により生じた内外部材間の位相差を解消する方向の回動付勢力を前記内外部材間に付与する異形軌道面を少なくとも一部に有していることを特徴とする回動付勢装置。
かかる構成によれば、ねじりコイルばね等を用いることのない簡素な構成で回動付勢機能(以下、ねじりばね性ともいう)を付与することができ、且つラジアル荷重の支持も可能な部材とすることができる。また、異形軌道面の設計によりねじり剛性等を自在に設計でき、設計自由度が極めて高くなる。
上記の回動付勢装置において、前記内側軌道面に設けられた前記異形軌道面が凸曲面であるのが好ましい。また、前記外側軌道面に設けられた前記異形軌道面が凹曲面であるのも好ましい。このようにすると、前記内外輪の相対回転に伴い漸次狭くなる転動体挟持間隔の変化率を小さくしやくなり、より広い周方向範囲に亘ってねじりばね性を確保しやすくなる。
前記異形軌道面は前記内外部材の回転軸とは異なる位置に曲率中心を有する曲面とされている構成とするのが好ましい。
このようにすると、自由曲面等の異形軌道面と比較して設計の容易化及び加工(製造)の容易化が可能となる。
更に、周方向に等配された複数個の前記異形軌道面の連続により構成された前記内側軌道面及び/又は前記外側軌道面と、前記異形軌道面の等配数と同数個の前記転動体とを備え、前記転動体の挟持間隔は前記内外部材の相対回転に伴い全ての転動体において均等に変化することを特徴とする回動付勢装置とするのが好ましい。
異形軌道面を周方向に等配するとともに異形軌道面の連続で軌道面を構成することで、各異形軌道面の周方向範囲を最大限に確保でき、ねじりばね性を有する周方向範囲をより一層拡大することができる。また、外輪が転動体から受ける力の方向及び大きさを全転動体で均等とすることができ、周方向に均一にねじりばね性を付与することができる。よって回転精度の高い回動付勢装置とすることができる。
また、前記内外部材間に所定以上のトルクを与えると前記内外部材が少なくとも一方向について無限に相対回転できるように前記異形軌道面が形成されている回動付勢装置としてもよい。この場合、内外部材間に過大なトルクが作用することを回避でき、トルクリミッタとしても機能する回動付勢装置とすることができる。
異形軌道面により内外部材間にねじりばね性を付与するという従来とは全く異なる技術思想により、回動付勢部材として優れた特性を有する回動付勢装置とすることができる。
以下に本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態においては、内側部材として内輪を、外側部材として外輪を用いた例で説明するが、本発明の内側部材や外側部材は、内輪や外輪のようなリング状部材に限定されない。例えば内側部材は中実の部材でもよく、内側部材又は外側部材が他の部材と一体化したものでもよい。
図1は、本発明の第一実施形態である回動付勢装置1の断面図である。この回動付勢装置1は、内側部材としての内輪2と、外側部材としての外輪3と、内外輪2,3間に介在する転動体としての円筒ころ4とを備えている。円筒ころ4は、内側軌道面としての内輪軌道面21と、外側軌道面としての外輪軌道面31との間に転動可能に介在している。回動付勢装置1の軌道面は、従来の円筒ころ軸受のように内外輪の回転軸(軸中心)を中心とした円周面とはされていない。すなわち、内輪軌道面21は、内外輪の回転軸Xを中心とする円周面とは異なる異形軌道面、すなわち内輪異形軌道面2kの連続により構成されている。外輪軌道面31は、異形軌道面としての外輪異形軌道面3kの連続により構成されている。内輪軌道面21を構成する3個の内輪異形軌道面2kはすべて同一形状であり、軌道面31を構成する3個の外輪異形軌道面3kもすべて同一形状である。内輪軌道面21は周方向に均等に(120度ごとに)3分割され、各分割部分がそれぞれ内輪異形軌道面2kとされている。同様に、外輪軌道面31も周方向に均等に(120度ごとに)3分割され、各分割部分がそれぞれ外輪異形軌道面3kとされている。よって、回動付勢装置1は、内輪異形軌道面2k及び外輪異形軌道面3kが周方向に3等配された3等配型の回動付勢装置とされている。そして、各異形軌道面2k、3k間に1個ずつ円筒ころ4が配置されている。内輪異形軌道面2k及び外輪異形軌道面3kにより、内外輪2,3間には、軌道面間隔が周方向に漸次狭くなる漸縮空間部(くさび状空間部)が形成され、内外輪2,3の相対回転に伴い所謂くさび効果によって円筒ころ4が圧縮弾性変形する。上記の如く、内輪軌道面21及び外輪軌道面31をそれぞれ異形軌道面2k、3kの連続により形成することで、内輪軌道面21及び外輪軌道面31はそれぞれ異形軌道面2k、3kのみによって占められている。しかも、各異形軌道面2k,3kは周方向に等配されている。よって、各異形軌道面2k,3kの周方向範囲はそれぞれ最大限に拡げられており、回動付勢力を得られる周方向範囲の拡大に寄与している。
図2は、回動付勢装置1の外輪軌道面31の断面形状を示す輪郭線図である。外輪軌道面31を構成する3個の外輪異形軌道面3kは、それぞれ凹曲面とされている。具体的には、外輪異形軌道面3kは内外輪の回転軸(以下、軸中心ともいう)Xよりも軌道面(当該外輪異形軌道面3k)に近い側に位置する外輪軌道曲率中心Coを中心とする円周面とされている。この外輪異形軌道面3kの曲率半径groは、外輪軌道面31と軸中心Xとの距離の最大値であって外輪軌道面31の断面輪郭線に外接する円の半径である外輪軌道基準半径Roよりも小さい。また、断面視において、3つの各外輪異形軌道面3kのそれぞれに関し、外輪軌道曲率中心Coは、軸中心Xからの距離が最大値となる外輪最大径位置3mと軸中心Xとを含む直線p3上にある。
一方図3は、回動付勢装置1の内輪軌道面21の断面形状を示す輪郭線図である。内輪軌道面21を構成する3個の内輪異形軌道面2kは、それぞれ凸曲面とされている。具体的には、内輪異形軌道面2kは軸中心Xよりも軌道面(当該内輪異形軌道面2k)から遠い側に位置する内輪軌道曲率中心Ciを中心とする円周面とされている。この内輪異形軌道面2kの曲率半径griは、内輪軌道面21と軸中心Xとの距離の最小値であって内輪軌道面21の断面輪郭線に内接する円の半径である内輪軌道基準半径Riよりも大きい。また、断面視において、3つの各内輪異形軌道面2kのそれぞれに関し、内輪軌道曲率中心Ciは、軸中心Xからの距離が最小値となる内輪最小径位置2mと軸中心Xとを含む直線p2上にある。
以上のような形状の内輪軌道面21と外輪軌道面31とを有する回動付勢装置1は、回動付勢機能(ねじりばね機能)を有している。この点について説明する。
回動付勢装置1では、内輪軌道面21及び外輪軌道面31がいずれも軸中心Xを中心とする円周面ではないので、内輪軌道面21と外輪軌道面31との間の空間(転動空間)の形状は内輪2と外輪3との相対位相関係により変化するが、図1の状態は、外輪軌道面31の外輪最大径位置3mと内輪軌道面21の内輪最小径位置2mとが同位相とされた状態である。以下、この状態を基準状態ということとする。基準状態において、各円筒ころ4は、内輪最小径位置2m及び外輪最大径位置3mと接する周方向位置に配置される(図1参照)。この基準状態は、円筒ころ4の挟持間隔(円筒ころ4の接触位置における軌道面間隔)が最も広い状態である。よって、この基準状態では、両軌道面2k、3kから円筒ころ4に作用する圧縮力は最小値(たとえば0)となる。
なお、基準状態における内輪最小径位置2mと外輪最大径位置3mとの間の径方向距離は円筒ころ4の直径と略一致させるが、若干のラジアル隙間(プラス隙間又はマイナス隙間)を与えても良い。
次に、この基準状態から内輪2と外輪3とを相対回転させると、円筒ころ4が転動するとともに、当該円筒ころ4の挟持間隔は漸次狭くなる。よってこの相対回転に伴い円筒ころ4は内輪軌道面21及び外輪軌道面31により圧縮されて弾性圧縮変形し、この相対回転により生じた位相差を解消する方向の回動付勢力(弾性力;ねじりばね力)を内外輪間に付与する。
回動付勢装置1により回動付勢力(ねじりばね力)が生じる点について更に詳細に説明する。図4は、回動付勢装置1により発生する回動付勢力について説明するための断面図であり、理解しやすいように内輪異形軌道面2k及び外輪異形軌道面3kと円筒ころ4の断面線のみを示している。図4では、内輪2を固定し、外輪3を反時計回りに角度θだけ回転させて静止させた釣り合い状態を示している。基準状態では、外輪最大径位置3mは図4のx軸上の位置3miに位置し、且つ内輪最小径位置2mもx軸上にある。またこの基準状態では円筒ころ4の中心Prもx軸上にある。かかる基準状態から外輪3を角度θだけ反時計回りに回転させると、円筒ころ4が図4に示す位置まで反時計回りに転動する。この転動による円筒ころ4の公転角度は、内輪軌道曲率中心Ciに対して角度φiである。このとき、内輪異形軌道面2kと円筒ころ4との接触位置の中心をPi、外輪異形軌道面3kと円筒ころ4との接触位置の中心をPoとすると、PiとPoとの間の間隔は、基準状態における内輪最小径位置2mと外輪最大径位置3mとの間の間隔よりも狭くなっており、且つ、円筒ころ4の直径2Rr(円筒ころ4の半径Rrの2倍)よりも狭くなっている。よって、円筒ころ4は、内輪軌道面21から垂直力Qiを受けるとともに、外輪軌道面31から垂直力Qoを受けて圧縮弾性変形する。釣り合って静止している状態では、円筒ころ4に接線力は殆ど働かず、図4に示すように点Ci,Co,Pi,Pr,Poは直線L1上に並ぶこととなる。そして、上記垂直力Qi及び垂直力Qoのベクトルの向きも直線L1と同じ向きとなり、内輪2が円筒ころ4から受ける垂直力Qi′、及び、外輪3が円筒ころ4から受ける垂直力Qo′も直線L1と同じ向きとなる。そして、外輪3が円筒ころ4から受ける垂直力Qo′は、回動付勢装置1の径方向(円筒ころ4との接触位置の中心Poと軸中心Xとを結ぶ方向)と相違しており、当該径方向の成分とともに時計回りの成分を有することとなる。このようにして、外輪3は、回動付勢部材(ねじりばね性)を発生させる時計回り方向のモーメント(以下、回動付勢モーメントともいう)を受ける。回動付勢モーメントの大きさは、〔(ベクトルQo′の大きさ)×(軸中心Xから直線L1までの距離U1)〕となる。図4の釣り合い状態では回動付勢モーメントが外輪3を反時計回りに回そうとする外力のモーメントと釣り合っている。
上述したように、内輪異形軌道面2kは凸曲面であり、且つ、外輪異形軌道面3kは凹曲面である。しかも、内輪異形軌道面2k及び外輪異形軌道面3kは滑らかに連続した曲面を構成している。内輪軌道面21において滑らかに連続した曲面となっていないのは、隣り合った内輪異形軌道面2k同士間の境界位置21bのみであり(図3参照)、外輪軌道面31において滑らかに連続した曲面となっていないのは、隣り合った外輪異形軌道面3k同士間の境界位置31bのみである(図2参照)。したがって、円筒ころ4と軌道面との接触位置がこれら境界位置21b,31bに達しない限り、内輪2と外輪3との相対回転に伴う円筒ころ4接触位置における軌道面間隔は漸次(徐々に)変化することとなる。そして、図4を用いて説明した上記機構により、内輪2と外輪3との相対回転により生じた位相差を解消する方向の回動付勢力が内外輪2,3間に付与される。
回動付勢装置1によれば、ねじりコイルばね等を用いることのない簡素な構成で回動付勢機能(ねじりばね性)を付与することができる。従って、従来の回動付勢部材と比較して連続使用や経時変化による劣化を抑制することができ、長寿命化が可能となる。また回動付勢装置1は、ラジアル荷重が支持でき軸受機能をも有する部材となっている。更に、従来の回動付勢部材と異なり、互いに相対回転する外側部材及び内側部材と回動付勢部材とを接合する接合部等の周辺部材を必要としない。よって、周辺構造が簡素化でき、部品点数や組み立てコストを抑制できるとともに信頼性を向上させることができるとともに、部材の小型化が容易となる。
更に、回動付勢装置1では、従来の回動付勢部材と比較して、ねじり剛性等の設計自由度が極めて高くされている。すなわち、異形軌道面の設計(曲率、曲率中心の位置等)や円筒ころ4や内外輪2,3の剛性等によりばね定数等を自在に設計できるので、設計自由度が極めて高くなり、特に部材のサイズ(体格)を変えなくてもねじり剛性等の特性を広範囲に亘って設定することができる。更に、従来のねじりコイルばねでは、位相差(ねじれ角)とねじり剛性との関係は線形(一定)であったが、回動付勢装置1では、位相差(ねじれ角)に対してねじり剛性を非線形に変化させる等、位相差に応じてねじり剛性を自在に変化させることもできる。
また、各異形軌道面2k,3kは、内外輪の回転軸Xとは異なる位置に曲率中心を有する曲面とされている。このように、2k、3kは円周面であるから、例えば自由曲面等と比較して軌道面の設計や加工(製造)が容易とされている。
また回動付勢装置1は、周方向に等配された3個の内輪異形軌道面2kの連続により構成された内輪軌道面21と、周方向に等配された3個の外輪異形軌道面3kの連続により構成された外輪軌道面31と、3個の円筒ころ4とを備え、転動体の挟持間隔は内外輪2,3の相対回転に伴い全ての円筒ころ4において均等に変化する構成としている。このように、異形軌道面2k、3kを周方向に等配するとともに異形軌道面2k,3kの連続で軌道面21,31を構成することで、各異形軌道面21,31の周方向範囲を最大限に確保でき、ねじりばね性(回動付勢機能)を有する周方向範囲をより一層拡大することができる。また、外輪が各転動体から受ける力の方向及び大きさを全転動体に関して周方向で均等とされ、周方向に均一にねじりばね性が付与されている。よって回転精度の高い回動付勢装置1となっている。
図5は、本発明の第二実施形態である回動付勢装置50の断面図である。図1に示す回動付勢装置1は3等配型であったが、この回動付勢装置50は4等配型である。また図5は、図1と同様基準状態における断面図である。等配数を3から4とした以外は、基本的構成は回動付勢装置1と同様であるので、以下においては、回動付勢装置1と同じ点は適宜説明を省略する。
回動付勢装置50においても、回動付勢装置1と同様、内輪軌道面21は内外輪の回転軸Xを中心とする円周面とは異なる異形軌道面としての内輪異形軌道面2kの連続により構成されており、外輪軌道面31は同じく異形軌道面としての外輪異形軌道面3kの連続により構成されている。よって、外輪内輪軌道面21及び外輪軌道面31は、それぞれ異形軌道面2k、3kのみによって占められている。内輪軌道面21を構成する4個の内輪異形軌道面2kはすべて同一形状であり、軌道面31を構成する4個の外輪異形軌道面3kもすべて同一形状である。内輪軌道面21は周方向に均等に(90度ごとに)4分割され、各分割部分がそれぞれ内輪異形軌道面2kとされている。同様に、外輪軌道面31も周方向に均等に(90度ごとに)4分割され、各分割部分がそれぞれ外輪異形軌道面3kとされている。よって、回動付勢装置50は、内輪異形軌道面2k及び外輪異形軌道面3kが周方向に4等配された4等配型の回動付勢装置とされている。
また、図5に示すように、外輪軌道面31を構成する4個の外輪異形軌道面3kは、それぞれ凹曲面とされている。具体的には、外輪異形軌道面3kは内外輪の回転軸(以下、軸中心ともいう)Xよりも軌道面(当該外輪異形軌道面3k)に近い側に位置する外輪軌道曲率中心Coを中心とする円周面とされている。この外輪異形軌道面3kの曲率半径groは、外輪軌道面31と軸中心Xとの距離の最大値であって外輪軌道面31の輪郭断面線に外接する円の半径である外輪軌道基準半径Roよりも小さい。また、断面視において、4個の各外輪異形軌道面3kのそれぞれに関し、外輪軌道曲率中心Coは、軸中心Xからの距離が最大値となる外輪最大径位置3mと軸中心Xとを含む直線p3上にある。
一方内輪軌道面21を構成する4個の内輪異形軌道面2kは、それぞれ凸曲面とされている。具体的には、内輪異形軌道面2kは軸中心Xよりも軌道面(当該内輪異形軌道面2k)から遠い側に位置する内輪軌道曲率中心Ciを中心とする円周面とされている。この内輪異形軌道面2kの曲率半径griは、内輪軌道面21と軸中心Xとの距離の最小値であって内輪軌道面21の断面輪郭線に内接する円の半径である内輪軌道基準半径Riよりも大きい。また、3つの各内輪異形軌道面2kのそれぞれにおいて、内輪軌道曲率中心Ciは、軸中心Xからの距離が最小値となる内輪最小径位置2mと軸中心Xとを含む平面p2上にある。この回動付勢装置50が回動付勢機能を有する原理は上記回動付勢装置1での説明と全く同じである。なお、異形軌道面及び転動体を周方向に等配する場合の等配数は、上記各実施例のように3や4に限定されず、回動付勢装置に求められる特性に合わせて適宜設定される。
図6は、外輪軌道面31または内輪軌道面21のいずれかを軸中心Xを中心とする円周面とした変形例の回動付勢装置70,80を示す断面図である。
図6(a)に示す回動付勢装置70は、外輪軌道面31は図5の回動付勢装置50と同様に4つの連続した外輪異形軌道面3kで構成されているが、内輪軌道面21は軸中心Xを中心とする円周面である。一方、図6(b)に示す回動付勢装置80では、内輪軌道面21は図5の回動付勢装置50と同様に4つの連続した内輪異形軌道面2kで構成されているが、外輪軌道面31は軸中心Xを中心とした円周面である。本発明は、このように内輪軌道面又は外輪軌道面のいずれかを軸中心Xを中心とする円周面としてもよい。この場合、異形軌道面への加工が内輪軌道面又は外輪軌道面のいずれか一方で済むので、製造工程を簡略化することができ、また異形軌道面への加工が一方の軌道面のみでよいため、回動付勢装置としての加工精度が向上しやすくなる。
図1に示す回動付勢装置1及び図5に示す回動付勢装置50、及び図6に示す各変形例70,80では、一方向のみならず双方向の相対回転において当該相対回転により生じた位相差を解消する方向の回動付勢力が得られる。したがって、これらの回動付勢装置は、一方向でなく両方向(双方向)に対してねじりばね性を必要とする用途において特に好適に用いられる。
上記各実施形態における相対回転可能範囲は、異形軌道面2k、3kの設計及び転動体4や内外輪2,3の弾性変形範囲等により定まる。内外輪間に加えるトルクの大きさに制約がないとすれば、転動体や内外輪の弾性変形範囲の限界まで内外輪は相対回転可能である。よって、異形軌道面2k、3k等の設計次第では、内外輪の相対回転により転動体4を隣り合った異形軌道面同士間の境界位置21b又は31b(図1、図5参照)を乗り越えて転動させることもできる。この場合、回動付勢装置は、過大なトルクを回避することのできるトルクリミッタとしても機能する。すなわち、内外輪の相対回転により転動体が隣の異形軌道面に移動できるようにすることで、内外輪間の相対回転範囲を無限とすることができるとともに、内外輪間に作用するトルクに一定の限界値を設定することができる。この限界値(トルクリミット値)は、異形軌道面の形状や転動体の諸元等により自在に設定することができる。一方、内外輪間に過大なトルクを与えても転動体が隣の異形軌道面に移動できないように設計することにより、内外輪間の相対移動範囲を所定範囲に限定することもできる。この場合には、例えば双方向のクラッチとして機能させることができる。
図7は、本発明の第三実施形態である回動付勢装置60の断面図である。この回動付勢装置60は、内輪異形軌道面2kや外輪異形軌道面3k及び転動体4が周方向に4等配された4等配型の回動付勢装置であるが、上述した各実施形態と異なり、ねじりばね性が得られる相対回転方向が一方向に限定されている。
回動付勢装置60においては、上述した各実施形態と異なり、各異形軌道面2k、3kは、それぞれ単一の曲率半径を有する曲面ではなく、2種類の曲率半径を有する曲面により形成されている。すなわち、内輪異形軌道面2kのそれぞれは、曲率半径Griの内輪転動面2k1と、円筒ころ4の半径Rrと同じ曲率半径を有する内輪転動体保持面2k2とから構成されている。内輪転動面2k1の一方側の(小径側の)端部は内輪最小径位置2mとなっており、この内輪最小径位置2mが内輪転動面2k1と内輪転動体保持面2k2との境界とされている。またこの内輪最小径位置2mにおいて、内輪転動面2k1と内輪転動体保持面2k2とは滑らかに連続している。
また、外輪異形軌道面3kのそれぞれは、曲率半径Groの外輪転動面3k1と、円筒ころ4の半径Rrと同じ曲率半径を有する外輪転動体保持面3k2とから構成されている。外輪転動面3k1一方側の(大径側の)端部は外輪最大径位置3mとなっており、この外輪最大径位置3mが外輪転動面3k1と外輪転動体保持面3k2との境界とされている。またこの外輪最大径位置3mにおいて、外輪転動面3k1と外輪転動体保持面3k2とは滑らかに連続している。
図7に示す状態は、円筒ころ4が外輪最大径位置3mと内輪最小径位置2mとに接し且つ内輪転動体保持面2k2及び外輪転動体保持面3k2と面接触した状態であり、以下この状態を第二基準状態という。この第二基準状態においては、軌道面21,31から円筒ころ4に作用する圧縮力は最小値(たとえば0)となっている。この第二基準状態からは、回動付勢装置60は一方向にのみ相対回転できる。すなわち、例えば内輪2を固定して外輪3を回転させる場合を考えると、外輪3は、図7の第二基準状態から反時計回りにのみ回転させることができ、時計回りに回転させることはできない。よって回動付勢装置60は、内輪2と外輪3との相対回転を一方向のみに規制する用途に特に有用である。
そして、回動付勢装置60では、内輪2と外輪3との位相関係に関わらず、内輪2と外輪3との相対回転により生じた位相差を解消する方向の回動付勢力は、図7における時計回りの向きにのみ生じ、反時計回りには生じない。よって回動付勢装置60は、回動付勢力の方向が一方向のみでよい用途に好適である。
回動付勢装置60の異形軌道面2k、3kのうち円筒ころ4が転動しうる軌道面である内輪転動面2k1及び外輪転動面3k1の曲率中心位置は、上述した回動付勢装置1や50等における内輪異形軌道面2kや外輪異形軌道面3kの曲率中心位置と異なる点がある。いま、図7の第二基準状態の断面において、外輪最大径位置3mと内輪最小径位置2mとを結ぶ直線t1に平行でかつ軸中心Xを通る直線を第一直線x1及び第二直線y1とする。図7に示すように、第一直線x1と第二直線y1とは互いに直交することとなり、これら第一直線x1及び第二直線y1によって図7の断面図は、等配数と同じ数(つまり4つ)の領域(図7の右上の領域から時計回りの順で領域A1、右下の領域A2、左下の領域A3、左上の領域A4)に区切られる。このとき、例えば領域A1に主として属する内輪転動面2k1の曲率中心Ci1は領域A4に属している。また、例えば領域A2に主として属する外輪転動面3k1の曲率中心Co1は領域A1に属している。つまり、上記直線x1及びy1で区切られた4領域のいずれかの領域に主として属する内輪転動面2k1の曲率中心は、ねじりばね性が得られる外輪回転方向(回動付勢装置60においては反時計回り方向)に隣接する他の領域に配置されている。同様に、上記4領域のいずれかに主として属する外輪転動面3k1の曲率中心は、ねじりばね性が得られる外輪回転方向(回動付勢装置60においては反時計回り方向)に隣接する他の領域に配置されている。
回動付勢装置60は、上述した回動付勢装置1や回動付勢装置50などと比較して許容トルクが大きくなりやすいという特徴がある。図8は、第二基準状態にある回動付勢装置60の内輪2を固定した上で、外輪3を反時計回りに角度θだけ回転させて静止した釣り合い状態を示す図である。この外輪3の回転により、円筒ころ4は転動して内輪転動面2k1の曲率中心Ci1に対して角度φiだけ公転する。このとき、図4で説明したのと同様に、外輪3が転動体4から受ける垂直力Qo′は、転動体4と外輪軌道面31との接触位置の中心Poと内輪転動面2k1の曲率中心Ci1とを結ぶ直線L1と同じ向きとなる。よって、垂直力Qo′は、図8において時計回りの成分を有することとなり、ねじりばね性を発生させる回動付勢モーメントが発生する。ここで、図4の場合の内輪軌道曲率中心Ciと異なり、図8における内輪転動面2k1(上述した領域A1に主として属する内輪転動面2k1)の曲率中心Ci1は、軸中心Xから第二直線y1方向に距離hだけズレている。この距離hのズレにより、垂直力Qo′のベクトルの向きは、図4の場合と比較してより水平に近くなる。換言すれば、軸中心Xから直線L1に下ろした垂線の長さは、上記垂直力Qo′の向きに対して直交するモーメントの腕の長さとなるが、図4の場合におけるモーメントの腕の長さU1よりも、図8の場合におけるモーメントの腕の長さU2のほうが長くなっている。したがって、垂直力Qo′の大きさが同一の場合、図4の場合における回動付勢モーメント〔(垂直力Qo′の大きさ)×(長さU1)〕よりも図8の場合における回動付勢モーメント〔(垂直力Qo′の大きさ)×(長さU2)〕のほうが大きくなる。よって図4の場合よりも図8の場合のほうが、より少ない外力(トルク)でより多くの回動付勢力を得やすいので、許容トルクを大きくしやすくなる。換言すれば、図4の場合よりも図8の場合のほうが、同じ許容トルクに対してねじり剛性を小さくしやすくなる。
本発明の回動付勢装置は、従来のねじりコイルばね等と異なり、軸受機能をも有している。すなわち、ラジアル荷重(径方向荷重)を支持することができ、軸受で用いられている構成を応用すればアキシャル荷重(軸方向荷重)やモーメント荷重をも支持することも可能である。このように内外部材間の荷重を支持できる機能は、従来のねじりコイルばねやゴム等では全く得られない効果である。従って、従来回動付勢部材とサポート軸受とを組み合わせて用いていた用途に本発明の回動付勢装置を用いると、サポート軸受の負担を軽減できたり、サポート軸受を不要とできたりといった利点が得られる。
本発明では、転動体の形状等は特に限定されず、内輪と外輪との相対回転に伴い転動するものであればよい。よって、上述した実施形態のように円筒ころに限られず、例えば球や円すいころ等でもよく、従来軸受で用いていたものを適宜応用することができる。また、ねじり剛性の設定自由度を高めるため、弾性圧縮変形しやすい中空の転動体(例えば中空の円筒ころや中空の球)等を用いることもできる。また、転動体の材質は、回動付勢装置に求められる性能に合わせて適宜選択される。
上記各実施形態では、相対回転時において内側部材(内輪2)及び外側部材(外輪3)と転動体の接触領域における局所的な弾性変形を主に考慮していた。しかし、内側部材や外側部材の肉厚を薄くする等により、内側部材及び/又は外側部材の巨視的な弾性変形を大きくしてもよい。さらには、転動体はほとんど弾性変形せず、主として内側部材又は外側部材を弾性変形させることによって回動付勢力を得る構成としてもよい。内側部材や外側部材の剛性を設計要素として加えることにより、本発明の設計自由度が更に向上する。
内側部材(内輪2)や外側部材(外輪3)の肉厚(平均肉厚)、肉厚分布、あるいは材質を変えることにより、内外部材の剛性(転動体による押圧力に対する剛性)を変化させることができる。肉厚分布を変化させる態様としては、内側部材や外側部材の肉厚を周方向で均等に変化させることもできる。例えば、上述した回動付勢装置1や回動付勢装置50では、外輪3の外周面は軸中心Xを中心とした円周面であったが、外輪3の外周面に凹凸を付与することもできる。一例として、外輪3の外周面に、滑らかな曲面で構成された凹部を境界位置31bの位相に対応させて設けても良い。また、外輪3と同様に内輪2の内周面にも凹凸等を設けても良い。
(実施例による検証)
本発明の実施例を作成して、ねじり剛性等の特性を確認した。以下の実験では、内外輪及び転動体に、ヤング率207900MPaでかつポアソン比が0.3の鋼材を用いた。
(テスト1;ころ半径の影響)
図1に示す3等配型(等配数Z=3)の回動付勢装置1と、図5に示す4等配型(等配数Z=4)の回動付勢装置50に加え、図示しない5等配型(等配数Z=5)の回動付勢装置を用い、各回動付勢装置の仕様を表1に示す仕様1〜5とすることにより合計15種類の実施例を作製及び評価して、ころ半径Rrの影響を調べた。なお、以下の各テスト結果のグラフにおいて、3等配型(等配数Z=3)の回動付勢装置1による評価結果をZ=3と表記し、図5に示す4等配型(等配数Z=4)の回動付勢装置50による評価結果をZ=4と表記し、5等配型(等配数Z=5)の回動付勢装置による評価結果をZ=5と表記した。
Figure 2006307890
テスト1の評価結果を示したグラフが図10である。同図に示すように、ころ半径が大きくなると、最大ねじり剛性Kmax(Nm/rad)は小さくなる傾向があることがわかった。なお、最大ねじり剛性Kmaxとは、相対回転可能範囲において得られた最大のねじり剛性のことである。なお、以下の実験においては、ころが耐えうる接触面圧を考慮して、内外輪間に加えるトルクに所定の上限値(以下、トルク上限値ともいう)を設定して行った。以下の記載において、トルク上限値までトルクを加えても円筒ころ4が隣の異形軌道面に移動しない場合を面圧限界といい、トルク上限値以下のトルクで円筒ころ4が隣の異形軌道面に移動する場合を角度限界というものとする。よって角度限界となる実施例は、上述したようにトルクリミッタ機能を有する回動付勢装置となっている。上記テスト1では、Z=3の場合は全仕様で面圧限界となったが、Z=4の場合、仕様1,2で面圧限界、仕様3〜5で角度限界となった。Z=5の場合は、仕様1で面圧限界となり、仕様2〜5で角度限界となった。図10のグラフではZ=4及びZ=5の場合に最大ねじり剛性が極小値をとっているが、これは面圧限界から角度限界へと移行したことによる。
(テスト2;ころ有効長さの影響)
Z=3〜5の上記回動付勢装置を用いて、各回動付勢装置の仕様を表2に示す仕様6〜10とすることにより合計15種類の実施例を作製及び評価して、ころ有効長さの影響を調べた。
Figure 2006307890
テスト2の評価結果を示したグラフが図11である。同図に示すように、ころ有効長さが長くなると、最大ねじり剛性Kmaxが小さくなる傾向があることが分かった。また、テスト2では、Z=3の場合は全仕様で面圧限界となったが、Z=4の場合、仕様6,7で面圧限界、仕様8〜10で角度限界となった。Z=5の場合は、全仕様で角度限界となった。
(テスト3;軌道平均径の影響)
Z=3〜5の上記回動付勢装置を用いて、各回動付勢装置の仕様を表3に示す仕様11〜15とすることにより合計15種類の実施例を作製及び評価して、軌道平均径の影響を調べた。
Figure 2006307890
テスト3の評価結果を示したグラフが図12である。同図に示すように、軌道平均径が大きくなると最大ねじり剛性Kmax(Nm/rad)が小さくなる傾向があることが分かった。またテスト3では、Z=3の場合は全仕様で面圧限界となったが、Z=4の場合、仕様11で面圧限界、仕様12〜15で角度限界となった。Z=5の場合は、全仕様で角度限界となった。
(テスト4;ラジアル隙間の影響)
Z=3〜5の上記回動付勢装置を用いて、各回動付勢装置の仕様を表4に示す仕様16〜20とすることにより合計15種類の実施例を作製及び評価して、ラジアル隙間の影響を調べた。なおラジアル隙間とは、上述した基準状態におけるラジアル隙間である。
Figure 2006307890
テスト4の評価結果を示したグラフが図13である。同図に示すように、Z=4では最大ねじり剛性が極小値をとっており、最大ねじり剛性を小さくしたい場合には、ラジアル隙間に最適値が存在することがわかった。またテスト4では、Z=3の場合は全仕様で面圧限界となったが、Z=4の場合、仕様16で面圧限界、仕様17〜20で角度限界となった。Z=5の場合は、全仕様で角度限界となった。Z=3のグラフが単調減少となっているのは全仕様で面圧限界であったためであり、Z=5のグラフが単調増加となっているのは全仕様で角度限界であったためである。
(テスト5;内外輪間トルク及びねじり剛性と相対回転角度との関係)
図5で示すZ=4(4等配型)の回動付勢装置50を用いて、以下の仕様とした実施例を作製し、内外輪間トルクと相対回転角度との関係、及び、ねじり剛性と相対回転角度との関係を調べた。
(テスト5の実施例の仕様)
内輪軌道基準半径Ri :11.505mm
外輪軌道基準半径Ro :19.495mm
ころ半径Rr : 4.0 mm
ころ有効長さ :26.0 mm
軌道平均径 :31.0 mm
ラジアル隙間 :−0.01 mm
内輪異形軌道面2kの曲率半径gri :11.635mm
外輪異形軌道面3kの曲率半径gro :19.293mm
なお、テスト5では、内輪を固定して外輪のみを回転させたので、以下の記載では、内外輪間トルク、すなわち、内外輪間に作用するトルクを「外輪トルク」といい、内外輪間の相対回転角度を「外輪回転角度」といい、内外輪間の最大相対回転角度を「外輪最大回転角度」というものとする。
トルク上限値を12.046(Nm)としてこの実施例を評価したところ、最大ねじり剛性Kmaxは26.311(Nm/rad)となり、外輪最大回転角度は69.849(deg)となった。なお、この実施例では角度限界で最大ねじり剛性Kmaxが観測された。
さらに、このテスト5の実施例において、外輪回転角度θと外輪トルクToとの関係を調べた結果が図14のグラフであり、外輪回転角度θとねじり剛性K(Nm/rad)との関係を調べた結果が図15のグラフである。図14及び図15のグラフに示すように、この実施例では、トルク上限値(約12Nm)を付加した状態でのねじり剛性K(つまり最大ねじり剛性Kmax)は約26Nm/radとなっている。また、外輪トルク、ねじり剛性Kのいずれについても、外輪回転角度θに対して非線形となっており、従来のねじりコイルばね等では得られない特性を示している。
図16は、テスト5の実施例において、外輪トルクToとねじり剛性Kとの関係を示したグラフである。同図より、外輪トルクToが小さくなるにつれてねじり剛性Kが小さくなることが分かった。これは、回動付勢装置をダンパプーリ等に用いた場合に、付加トルクが小さくなるほど回転変動吸収性能が良くなることを意味する。
(テスト6;一方向型の実施例による評価)
次に、ねじりばね性が得られる相対回転方向が一方向に限定されている回動付勢装置60(図7に示す)と同タイプの回動付勢装置を用いてテストを行った。ただしここでは、図7に示す4等配型ではなく、6等配型の回動付勢装置を用いた。この実施例の仕様は以下の通りとした。
(テスト6の実施例の仕様)
内輪軌道基準半径Ri :11.500mm
外輪軌道基準半径Ro :19.500mm
ころ半径Rr : 4.0 mm
ころ有効長さ :26.0 mm
軌道平均径 :31.0 mm
ラジアル隙間 : 0.00 mm
内輪転動面2k1の曲率半径Gri :11.537mm
外輪転動面3k1の曲率半径Gro :19.460mm
軸中心Xからのズレ量h(図7参照) : 0.05 mm
トルク上限値を12.600(Nm)としてこの実施例を評価したところ、外輪最大回転角度は66.514(deg)で、その際のねじり剛性Kは10.357(Nm/rad)となった。なお、この実施例は面圧限界であった。
さらに、このテスト6の実施例において、外輪回転角度θと外輪トルクToとの関係を調べた結果が図17のグラフであり、外輪回転角度θとねじり剛性K(Nm/rad)との関係を調べた結果が図18のグラフである。さらに、外輪トルクToとねじり剛性Kとの関係を調べた結果が図19のグラフである。図17及び図18のグラフに示すように、この実施例では、例えば約12Nmのトルクを付加した状態でのねじり剛性Kは約12Nm/radとなっている。よって、トルクが12Nm程度の場合では、テスト5の実施例よりもねじり剛性Kが大幅に小さくなっている。また、図18に示すように、外輪回転角度θに対してねじり剛性Kが単調増加とはなっていない。また、図19に示すように、外輪トルクToに対してねじり剛性Kが単調増加とはなっていない。これらの特性も従来のねじりコイルばね等では全く得られなかったものである。本実施例では、高負荷トルクでねじり剛性Kが減少していくので、例えば上述したダンパプーリ等に用いた場合にベルト初期張力を更に効果的に低減することができる。
本発明の回動付勢装置は、回動付勢機能(ねじりばね性)を必要とするあらゆる用途に用いることができる。例えば、従来ねじりコイルばねやゴムなどの弾性部材を用いて回動付勢機能を付与していた用途全般に用いることができる。また、ねじりばね性に加えてラジアル荷重支持機能などの軸受機能をも必要とする用途には本発明が更に好適に用いられる。例えば、従来ねじりコイルばね等のサポート軸受とを組み合わせて用いていた用途に好適に用いられる。
本発明の用途を例示すると、オートテンショナー、各種ダンパプーリ、クラッチ等に用いることが出来る。ダンパプーリとしては、エンジンの回転変動を効果的に吸収してベルトの初期張力を効果的に低減しうるものとして、クランクプーリ、オルタネータ用ダンパプーリ、カーエアコン用プーリ等に好適に用いることができる。またクラッチのクラッチディスクに用いることもできる。また、本発明の回動付勢装置では、内外輪間の相対回転角度と内外輪間トルク値との間に相関があるので、内外輪間の回転角度を測定しうる角度センサーを取り付けることにより、トルクセンサとしても利用することができる。例えばトルクセンサとしては、パワーステアリング用のトルクセンサとして利用することができ、また通常の軸受と組み合わせて当該軸受に同軸で内蔵させることにより軸受内外輪間に生じたトルクを計測することができる。さらに、上述したようにトルクリミッタとして機能させることができるので、過大なトルク負荷を防止して破損やへたりを抑制するのが有効な用途、例えばドリルヘッドや工作機械のヘッドなどに用いることができる。
更に、産業用ロボットや義手・義足等の関節機構部に用いることもできる。図9は、図5に示す4等配型の回動付勢装置を内蔵した関節機構部100の断面図である。この関節機構部100は、外側部材35と一体の第一アーム90と、内側部材25と一体の第二アーム91とを角度調整可能に連結している。このようにすると、第一アーム90と第二アーム91との間にねじりばね性が付与されるとともに、両アーム90,91間に作用する荷重を支持しうる関節機構部100が構成される。
更に、図7に示すような一方向のみにねじりばね性を有する回動付勢装置では、一方向にねじりばね性を有し、他方向(逆方向)ではクラッチとなるので、かかる機能が有効となる用途に用いることができる。
本発明の第一実施形態である回動付勢装置の断面図である。 図1の回動付勢装置の外輪軌道面の輪郭線を示す図である。 図1の回動付勢装置の内輪軌道面の輪郭線を示す図である。 図1の回動付勢装置においてねじりばね性が発生する原理を説明するための図である。 本発明の第二実施形態である回動付勢装置の断面図である。 変形例の断面図である。 本発明の第三実施形態である回動付勢装置の断面図である。 図7の回動付勢装置においてねじりばね性が発生する原理を説明するための図である。 本発明の応用例を示す断面図である。 ころ半径の影響をテストした結果を示すグラフである。 ころ有効長さの影響をテストした結果を示すグラフである。 軌道平均径の影響をテストした結果を示すグラフである。 ラジアル隙間の影響をテストした結果を示すグラフである。 外輪回転角度と外輪トルクとの関係を示すグラフである。 外輪回転角度とねじり剛性との関係を示すグラフである。 外輪トルクとねじり剛性との関係を示すグラフである。 外輪回転角度と外輪トルクとの関係を示すグラフである。 外輪回転角度とねじり剛性との関係を示すグラフである。 外輪トルクとねじり剛性との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 回動付勢装置
2 内輪
21 内輪軌道面
2k 内輪異形軌道面(異形軌道面)
3 外輪
31 外輪軌道面
3k 外輪異形軌道面(異形軌道面)
4 円筒ころ(転動体)
50,60,70,80 回動付勢装置

Claims (6)

  1. 外周に内側軌道面を有する内側部材と、
    内周に外側軌道面を有し、前記内側部材との間で相対回転可能な外側部材と、
    前記内側軌道面と外側軌道面との間に転動可能に介在した転動体とを備え、
    前記内側軌道面及び外側軌道面の少なくとも一方が、前記内側部材と外側部材の相対回転に伴い転動体を転動させつつ当該転動体の挟持間隔を漸次狭くして、前記相対回転により生じた内外部材間の位相差を解消する方向の回動付勢力を前記内外部材間に付与する異形軌道面を少なくとも一部に有していることを特徴とする回動付勢装置。
  2. 前記内側軌道面に設けられた前記異形軌道面が凸曲面であることを特徴とする請求項1に記載の回動付勢装置。
  3. 前記外側軌道面に設けられた前記異形軌道面が凹曲面であることを特徴とする請求項1に記載の回動付勢装置。
  4. 前記異形軌道面は前記内外部材の回転軸とは異なる位置に曲率中心を有する曲面とされていることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の回動付勢装置。
  5. 周方向に等配された複数個の前記異形軌道面の連続により構成された前記内側軌道面及び/又は前記外側軌道面と、前記異形軌道面の等配数と同数個の前記転動体とを備え、前記転動体の挟持間隔は前記内外部材の相対回転に伴い全ての転動体において均等に変化することを特徴とする請求項1〜4に記載の回動付勢装置。
  6. 前記内外部材間に所定以上のトルクを与えると前記内外部材が少なくとも一方向について無限に相対回転できるように前記異形軌道面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の回動付勢装置。
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