JP2006306057A - Frp構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の構造体と同等以上の強度、寸法精度などの性能を有するFRP構造体を、樹脂の未含浸部を発生させることなく、安価にかつ簡易に成形できるFRP構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともスキン材と桁材からなるFRP構造体の製造方法において、強化繊維のスキン材プリフォームに強化繊維の桁材プリフォームの少なくとも一部分を接触させて配置するプリフォームの配置工程と、少なくとも桁材プリフォームに減圧吸引口を設け、プリフォームの全部を密閉媒体で覆って内部を減圧する密閉減圧工程と、密閉媒体内に差圧により樹脂を注入してスキン材と桁材の両方を同時に硬化させる樹脂の注入硬化工程を含むことを特徴とするFRP構造体の製造方法。
【選択図】図3
【解決手段】少なくともスキン材と桁材からなるFRP構造体の製造方法において、強化繊維のスキン材プリフォームに強化繊維の桁材プリフォームの少なくとも一部分を接触させて配置するプリフォームの配置工程と、少なくとも桁材プリフォームに減圧吸引口を設け、プリフォームの全部を密閉媒体で覆って内部を減圧する密閉減圧工程と、密閉媒体内に差圧により樹脂を注入してスキン材と桁材の両方を同時に硬化させる樹脂の注入硬化工程を含むことを特徴とするFRP構造体の製造方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両や船舶、航空機、建築部材など種々の分野に用いられるFRP(繊維強化プラスチックス)構造体の製造方法に関し、より詳しくは、スキン材とそれを補強する桁材とから構成される複雑な形状の構造体を成形する場合に好適なFRP構造体の製造方法に関する。
周知の通り、軽量で高強度な素材として、FRPが各種産業分野で注目されている。特に車両や船舶、航空機、建築部材など種々の分野における構造体等として適用が拡大されてきており、今後もさらなる拡大が見込まれる素材である。
特に高荷重がかかるようなFRP構造体は、板面状体であるスキン材とそれを補強する桁材とで構成されることが多い。スキン材とそれを補強する桁材とからなるFRP構造体の製造方法においては、スキン材と桁材をリベットなどを用いて機械的に結合する方法が広く用いられている。しかしながら、この方法には、製造コスト面と重量面から多くの問題がある。一方、各部材を接着剤により接合する方法についても広く用いられているが、とくに接着面での接着強度が十分ではなく、また広い接着面での適用には品質確保と製造コストに問題がある。
特許文献1では、予め硬化させた部材とドライプリフォームの部材に、熱硬化性樹脂を含浸させて2つの部材を一体化するようにしている。しかし、予め一つの部材を成形する工程が必要であるため、製造コスト面で問題がある。また、樹脂未含浸部分が界面に形成されてしまうと各部材間の接合強度が著しく低下するという問題がある。
特許文献2では、ドライプリフォームの桁材とスキン材の間に熱硬化性樹脂フィルムを挿入して密閉・加熱して樹脂をプリフォームに含浸させて接合するようにしている。この方法では、樹脂の注入成形とは異なり、成形方法の性質上、成形中のプリフォームの寸法変化が大きく、成形品の形状の制限や安定化が難しく、また、ボイドが生じやすい。
特許文献3では、スキン材と桁材のドライプリフォームの間に接着剤を配置して全体を密閉して減圧し、桁材側から樹脂を注入・硬化させるようにしている。この方法では、接着剤の存在により、スキン材と桁材間の接合強度を向上させることは可能である。しかしながら、この方法の場合、桁材内を樹脂が流動した時の圧力損失によりスキン材側に未含浸が生じやすいという問題がある。特にドライプリフォームが高密度の場合や浸透性が悪い場合にその問題が顕著となる。また、スキン材と桁材の間に接着剤が配置されているため、その間の樹脂の流路が狭くなり、特にスキン材の含浸性が悪い場合、樹脂が全体に含浸できない問題がある。
特許第3320051号公報
特開2003−011231号公報
米国特許公開第2003/0019567号公報
そこで本発明の課題は、従来の構造体と同等以上の強度、寸法精度などの性能を有するFRP構造体を、樹脂の未含浸部を発生させることなく、安価でかつ簡易に成形できるFRP構造体の製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するために、本発明に係るFRP構造体の製造方法は、少なくともスキン材と桁材からなるFRP構造体の製造方法において、強化繊維のスキン材プリフォームに強化繊維の桁材プリフォームの少なくとも一部分を接触させて配置するプリフォームの配置工程と、少なくとも桁材プリフォームに減圧吸引口を設け、プリフォームの全部を密閉媒体で覆って内部を減圧する密閉減圧工程と、前記密閉媒体内に差圧により樹脂を注入してスキン材と桁材の両方を同時に硬化させる樹脂の注入硬化工程を含むことを特徴とする方法からなる。
このFRP構造体の製造方法においては、上記プリフォームの配置工程において、桁材プリフォームの外表面の一部に樹脂拡散媒体を配置するようにすることもできる。
また、上記スキン材および/または桁材のプリフォームの繊維体積含有率をVpf、成形品の繊維体積含有率Vcfとした時に、(Vcf−Vpf)を−10%〜+10%の範囲内にすることが好ましい。
また、上記スキン材および/または桁材のプリフォームの繊維体積含有率をVpf、成形品の繊維体積含有率Vcfとした時に、(Vcf−Vpf)を0%〜+5%の範囲内にすることがより好ましい。
また、上記FRP構造体の製造方法においては、スキン材および/または桁材のプリフォームに、部分的に、面外方向に開口する貫通孔を設けるプリフォームの穿孔工程を含むこともできる。
また、上記FRP構造体の製造方法においては、スキン材と桁材のプリフォームが接触している部分を通り、スキン材および桁材のプリフォームを貫通する貫通孔を設けるプリフォームの穿孔工程を含むこともできる。
また、上記FRP構造体の製造方法においては、前記FRP構造体が、桁材がスキン材のいずれか片面にあるFRP構造体である場合、前記樹脂の注入硬化工程において、桁材の無いスキン材の面に樹脂拡散媒体を配置し、該拡散媒体内に樹脂を注入するようにすることもできる。
また、上記FRP構造体の製造方法においては、上記スキン材および/または桁材のプリフォームの強化繊維に、炭素繊維を含み、かつ、上記プリフォームを、強化繊維が同一方向に配列された強化繊維基材を複数層積み重ねた構造に形成することが好ましい。
また、上記FRP構造体の製造方法においては、前記スキン材および/または桁材のプリフォームを、少なくとも片面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物が、強化繊維に対し0.5〜30重量%の範囲内で分散付与された強化繊維基材を複数層積み重ねた構造に形成することができる。
また、上記FRP構造体の製造方法においては、上記スキン材および/または桁材のプリフォームを、それを構成する基材を該基材の厚み方向に延びる強化繊維で連結した構造(例えば、ステッチ構造)に形成することもできる。
さらに、上記FRP構造体の製造方法においては、桁材の横断面形状について特に限定しないが、例えば、角形、C形、I形、L形、Z形、T型およびハット形のいずれかに形成することができる。
本発明に係るFRP構造体の製造方法によれば、樹脂の未含浸部の無い安定した品質のFRP構造体を、高い生産性をもって得ることができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るFRP構造体の製造方法が適用可能な、スキン材と桁材からなるFRP構造体の一例を示す斜視図である。図1において、本発明は、板状体であるスキン材1とそれを補強する桁材2からなるFRP構造体3を製造するのに適用可能である。スキン材1においては、本実施態様では等断面平板の一例を示しているが、曲面を有している場合や、板厚が異なるテーパや段差を有しているような場合においても適用が可能である。桁材2においては、本実施態様ではI型等断面の一例を示しているが、例えば、桁材の断面形状が角形、C形、I形、L形、Z形、T型またはハット形のような複雑な断面形状を有する桁材に適用した方が、より本発明の効果、すなわちプロセスの簡易化による低コスト化ができる点から好ましい。
図1は、本発明の一実施態様に係るFRP構造体の製造方法が適用可能な、スキン材と桁材からなるFRP構造体の一例を示す斜視図である。図1において、本発明は、板状体であるスキン材1とそれを補強する桁材2からなるFRP構造体3を製造するのに適用可能である。スキン材1においては、本実施態様では等断面平板の一例を示しているが、曲面を有している場合や、板厚が異なるテーパや段差を有しているような場合においても適用が可能である。桁材2においては、本実施態様ではI型等断面の一例を示しているが、例えば、桁材の断面形状が角形、C形、I形、L形、Z形、T型またはハット形のような複雑な断面形状を有する桁材に適用した方が、より本発明の効果、すなわちプロセスの簡易化による低コスト化ができる点から好ましい。
図2は、本発明の第1実施態様に係るFRP構造体の製造方法の概略構成を示す斜視図であり、図3は、その成形の際の概略構成を示す図である。図2、図3において、成形型30の上にスキン材プリフォーム10を配置し、桁材プリフォーム20をスキン材プリフォーム10の上に接触させて配置する。少なくとも桁材プリフォーム20の外表面上に減圧吸引口51を設け、プリフォームの全部を密閉媒体56(バッグ材)で覆って内部を減圧して、スキン材と桁材に同時に樹脂40を注入硬化させて一体化することが、本発明の特徴である。
本発明では、桁材プリフォーム20上に樹脂を素早く拡散させるための樹脂拡散媒体52を、少なくとも桁材の外表面の一部に配置することが好ましい。また、樹脂拡散媒体とプリフォームの間には、治具や副資材を成形品から容易に引き剥がせるように、たとえば離型機能を持たせた布帛であるピールプライ53などの離型材を配置してもよい。さらに、必要に応じて、吸引口51の近傍にブリーザ54を配置してもよい。
成形型30はスキン材1の所望の形状に合わせた形状を成しており、材質としてはスチール、アルミ、インバーなどの金属材料、または、FRPを使用してもよい。
本実施態様では、プリフォームの配置工程の後、プリフォーム上に、桁材2の形状を寸法精度良く成形するための桁材の成形治具31、系外から樹脂拡散媒体に樹脂を導入する樹脂の注入ランナー50を配置する。そして、シーラント55を図の通り周囲に配置し、密閉媒体56で全体を覆う。樹脂40と注入口50を注入ライン41によりバルブ60aを介して連通させ、真空ポンプ43と吸引口51を吸引ライン42によりバルブ60bを介して連通させた後、バルブ60bを開いて密閉媒体56の内部を減圧吸引する。そして、バルブ60aを開き、密閉媒体56内に大気圧との差圧を利用して樹脂40を注入し、スキン材プリフォーム10と桁材プリフォーム20の両方に樹脂40を含浸させる。プリフォーム全体に樹脂が含浸した後、バルブ60aを閉じ、場合に応じて硬化温度までプリフォームの温度を上昇させて、スキン材と桁材に含浸させた樹脂を同時に硬化(コキュア)させてFRP構造体3を成形する。
これにより、従来のボルトなどの機械的な接合や接着剤のみの二次的な接着力に依存した接合ではスキン材と桁材の間が弱点となり、そこから破壊が生じて問題となる場合があったが、本発明では、スキン材プリフォーム10と桁材プリフォーム20を接触させて同時に樹脂を注入・硬化させるため、スキン材と桁材の間はスキン材や桁材内部の強化繊維基材同士のマトリックス樹脂の化学的な結合力と同等レベルに化学的な結合力により強固に接合され、構造体として必要十分な接合強度を得ることができる。また、従来技術の課題であるスキン材と桁材の界面にボイドが溜まる問題も解消される。
さらに、一度のプロセスで同時に注入・硬化させるため、それぞれを別のプロセスで成形する技術に比べて簡易化され、製造時間を短縮することが可能となった。また、接着剤、その塗布プロセスや品質管理が不要となる。
また、スキン材プリフォームと桁材プリフォームの2つの部材を同時に樹脂を流動させた場合、単純形状のスキン材プリフォームに先に樹脂が含浸し、含浸された樹脂によりスキン材プリフォームに接して配置される減圧吸引口と桁材プリフォームの間の通気経路が遮断され、プリフォーム内の真空圧が低下し、桁材プリフォーム、あるいは桁材プリフォームに接触するスキンの一部に樹脂の未含浸部が生じる問題があった。しかしながら、本発明の如く、桁材プリフォームに減圧吸引口を設けることにより、樹脂含浸時に減圧吸引口と桁材プリフォームの間の通気経路が遮断されることなく、桁材プリフォーム内の真空圧が維持され、プリフォーム全体に確実に樹脂を含浸させることが可能となる。また、樹脂拡散媒体を表面に配置することにより、プリフォームの面内方向(基材の積層と平行方向)に樹脂を素早く含浸させることができる。つまり、注入された樹脂は面内方向に素早く拡がり、桁材の表面とスキン材の上面部に拡散して、樹脂は桁材およびスキン材を上面から底面に向かって含浸することができる。
なお、本発明では、上記スキン材のプリフォーム10または桁材のプリフォーム20の繊維体積含有率をVpf、スキン材1または桁材2の成形品の繊維体積含有率Vcfとした時に、(Vcf−Vpf)が−10%〜+10%の範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは、(Vcf−Vpf)が0%〜+5%の範囲内にあれば、より本発明の効果を発揮できる。なお、プリフォームの繊維体積含有率Vpfは次式(1)、成形品の繊維体積含有率Vcfは次式(2)で示すことができ、プリフォームまたは成形品の全体積中に占める強化繊維の体積の割合を示す。
Vpf=(W1×100)/(ρ×Tp) (%) (1)
ここで、W1:プリフォームの1cm3 あたりの強化繊維の重量 (g/cm3)
ρ:強化繊維の密度 (g/m2)
Tp:1気圧の荷重下で測定したプリフォームの板厚 (cm)
Vcf=(W2×100)/(ρ×Tc) (%) (2)
ここで、W2:FRP1cm2当たりの強化繊維の重量(g/cm2)
Tc:FRPの厚さ(cm)
Vpf=(W1×100)/(ρ×Tp) (%) (1)
ここで、W1:プリフォームの1cm3 あたりの強化繊維の重量 (g/cm3)
ρ:強化繊維の密度 (g/m2)
Tp:1気圧の荷重下で測定したプリフォームの板厚 (cm)
Vcf=(W2×100)/(ρ×Tc) (%) (2)
ここで、W2:FRP1cm2当たりの強化繊維の重量(g/cm2)
Tc:FRPの厚さ(cm)
これは、プリフォームの繊維体積含有率Vpfが最終の成形品の繊維体積含有率Vcfに近い、いわゆるニアネットシェイプのプリフォームで成形を行う方が、樹脂注入成形時にプリフォームの寸法の変化量が小さく、最終的な成形品の寸法精度が安定し、向上させることができるためである。すなわち、樹脂の注入硬化時に、プリフォームは(Vcf−Vpf)%分の体積変化が生じており、その体積変化量が大きいと成形品の寸法を安定させることが困難であり、また寸法のばらつきが大きくなるため、変化量が小さいほど、最終的な寸法精度が安定しやすいためである。
しかし、プリフォームの繊維含有率が高く浸透性が悪い場合には、スキン材の桁材に接触している領域では、桁材プリフォームを面外方向(板厚方向、基材の積層方向)に含浸することによる圧力損失が大きいため、さらにはスキン側が先に底面まで含浸して吸引口からの脱気が樹脂で遮断されることにより、含浸樹脂の差圧が無くなり、スキンの底面側に樹脂の未充填部が生じる場合がある。特に従来技術のようにスキン材と桁材の界面に接着剤を貼付する場合には、接着剤により界面の流路が狭くなるため、この問題が生じやすい。
本発明では、スキン材および/または桁材のプリフォームの面外方向に、部分的に貫通孔をあける(つまり、部分的に、面外方向に開口する貫通孔を設ける)プリフォームの穿孔工程を設けることもできる。貫通孔は、スキン材のみ、あるいは桁材のみにあけてもよいし、両方にあけてもよい。さらに、例えば図4に示すように、スキン材1と桁材2が接触している部分に貫通孔70を設けることにより、スキン材1と桁材2が重なった部分は、まず樹脂が面外方向に貫通孔70を通った後、面内方向に拡散して全体に含浸するため、含浸の抵抗が少なく、全体に含浸させることが可能となる。貫通孔70の大きさは物性に影響を及ぼさない程度の大きさ、具体的には3mm以下であることが好ましい。
次に、本発明の別の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図5は、上記第1実施態様の変形例に係るFRP構造体の製造方法を示す概略構成図である。第1実施態様と異なる点は、樹脂拡散媒体52をスキン材の底面側に配置する点にある。第1実施態様と同様にして密閉媒体内を減圧した後、バルブ60aを開き、樹脂拡散媒体52内に樹脂を拡散させる。樹脂は底面側からスキン材の面外方向に含浸する。樹脂がスキン材に含浸する際に圧力損失が生じるが、桁材内は上部の減圧口により真空状態が維持されるため、樹脂は差圧を維持して桁材内にも拡散し、プリフォーム全体に樹脂を含浸させることができる。スキン材の圧力損失が大きい場合には、バルブ60cを開放して、桁材に樹脂を注入し、圧力を加えて全体に含浸させてもよい。すなわち、桁材がスキン材のいずれか片方の面にあるFRP構造体において、桁材の無い面に樹脂拡散媒体を配置し、前記拡散媒体内に樹脂を注入することによりプリフォーム全体に完全に樹脂を含浸できることになる。
図5は、上記第1実施態様の変形例に係るFRP構造体の製造方法を示す概略構成図である。第1実施態様と異なる点は、樹脂拡散媒体52をスキン材の底面側に配置する点にある。第1実施態様と同様にして密閉媒体内を減圧した後、バルブ60aを開き、樹脂拡散媒体52内に樹脂を拡散させる。樹脂は底面側からスキン材の面外方向に含浸する。樹脂がスキン材に含浸する際に圧力損失が生じるが、桁材内は上部の減圧口により真空状態が維持されるため、樹脂は差圧を維持して桁材内にも拡散し、プリフォーム全体に樹脂を含浸させることができる。スキン材の圧力損失が大きい場合には、バルブ60cを開放して、桁材に樹脂を注入し、圧力を加えて全体に含浸させてもよい。すなわち、桁材がスキン材のいずれか片方の面にあるFRP構造体において、桁材の無い面に樹脂拡散媒体を配置し、前記拡散媒体内に樹脂を注入することによりプリフォーム全体に完全に樹脂を含浸できることになる。
本発明において、上記スキン材および/または桁材のプリフォームの強化繊維については、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維などの無機繊維、あるいは、炭素繊維、アラミド繊維、その他有機繊維が挙げられる。なかでも、構造体としての軽量性、強度に優れる炭素繊維が含まれている強化繊維を使用することがより好ましい。また、前記スキン材および/または桁材のプリフォームが強化繊維基材を複数層積み重ねた構造である場合、該強化繊維基材は、強化繊維が同一方向に配列された構成であることが、強度上有利となるため好ましい。さらに、成形品の強化繊維基材の層間強度を向上させる点では、前記スキン材および/または桁材のプリフォームは、基材の厚み方向に強化繊維で連結された構造であってもよい。場合に応じて、前記スキン材と桁材のプリフォームの間が、強化繊維により連結させることにより、スキン材と桁材間の接合強度を向上させることができる。
また、成形品の強化繊維基材の層間強度を向上させ、プリフォームの寸法を安定化させる点から、前記スキン材および/または桁材のプリフォームは、少なくとも片面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物が分散付与された強化繊維基材を複数層積み重ねた構造であってもよい。その場合、前記樹脂組成物が、前記強化繊維基材に対し0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲内で分散付与されていることが望ましい。層間が強化されることにより力学特性が向上するだけでなく、プリフォームのタック機能を有しており、従来技術では困難であった繊維含有率が高く寸法精度に優れるプリフォームを形成しやすい。すなわち、プリフォームの精度向上により、FRP構造体の力学特性の向上と寸法精度の安定と言う本発明の効果をより発揮できる点から好ましい。また、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物は、前記スキン材と桁材のプリフォームの間に分散付与されていることが好ましい。スキン材と桁材の間に樹脂組成物が分散付与されることにより、樹脂の流動の妨げることなく、接合の強度を向上させる効果を得られる。
以上、本発明により、従来の構造体と同等以上の強度、寸法精度などの性能を有するFRP構造体を、製造時間を短縮して安価に製造できるようになった。
以下、本発明を実施例に基づいて、上記図面を参照しながら説明する。
実施例1
図2、3に示すとおり、炭素繊維(東レ(株)製、T800S)の一方向織物にPESとエポキシからなる高靱性化粒子を分散付与した強化繊維基材を500mm×500mmのサイズに切断し、平板の上に疑似等方性配向になるように積層し、密閉媒体としてのナイロン製バギングフィルムで密閉して真空引きした後、60℃で一時間加熱して一体化し、平板のプリフォームを形成した。
実施例1
図2、3に示すとおり、炭素繊維(東レ(株)製、T800S)の一方向織物にPESとエポキシからなる高靱性化粒子を分散付与した強化繊維基材を500mm×500mmのサイズに切断し、平板の上に疑似等方性配向になるように積層し、密閉媒体としてのナイロン製バギングフィルムで密閉して真空引きした後、60℃で一時間加熱して一体化し、平板のプリフォームを形成した。
また、炭素繊維(東レ(株)製、T800S)の一方向織物にPESとエポキシからなる高靱性化粒子を分散付与した強化繊維基材を切断し、疑似等方性配向になるように積層し、断面が100mm×50mmで長さが500mm、各角が径5mmのR加工した直方体マンドレルにしわが生じないように3つの面に沿わせて賦形し、ナイロン製バギングフィルムで密閉して真空引きした後、60℃で一時間加熱して、C型プリフォームを形成した。2つのC型プリフォームを互いに背中合わせにし、東レ(株)製炭素繊維T800Sの一方向織物を詰めて、最後に同じ高靱性化粒子を分散付与した東レ(株)製炭素繊維織物を疑似等方に積層した100mm×500mmの積層体を重ねて、再びバギングフィルムで密閉して真空引きし、60℃で1時間加熱して、I型プリフォームを賦形した。
アルミ製の平板治具の上にスキン材プリフォームを配置して、その上にI型の桁材プリフォームの片面を接触させて配置した。そして、ピールプライとしてナイロン製タフタ、樹脂拡散媒体としてポリプロピレン製メッシュ材、そして、アルミ製の桁材の成形治具をプリフォームに配置し、プリフォームの周りにシーラントを配置して、密閉媒体としてナイロン製バギングフィルムで全体を密閉した。その後、プリフォーム内を真空吸引し、60℃まで昇温した後、エポキシ樹脂を注入して、樹脂注入完了後、130℃に昇温して2時間放置し一次硬化させ、冷却した後、一体化されたFRP構造体を治具から取り出した。このFRP構造体を180℃に昇温したオーブンに入れて2時間放置し、後硬化させて目標とするFRP構造体を完成させた。
FRP構造体のスキン材と桁材の断面を切断して観察した結果、スキン材と桁材の界面にボイドは無く、また、局所的な樹脂リッチや繊維うねりなどの強度上に問題となる不具合が無いことが確認された。また、板厚などの各種寸法精度は従来技術と同等以上であった。したがって、従来技術と同等以上の成形品を、簡易なプロセスで得ることができた。
本発明は、車両、船舶、航空機、あるいは建築部材など種々の分野に用いられるFRP構造体の製造方法に適用することがより特徴を発揮できる点から好ましいが、その他の産業用途、スポーツ用途など、広範囲なFRP構造体の製造方法に適用が可能である。
1:スキン材
2:桁材
3:FRP構造体
10:スキン材の強化繊維プリフォーム
20:桁材の強化繊維プリフォーム
30:成形型
31:桁材の成形治具
40:樹脂
41:注入ライン
42:減圧ライン
43:真空ポンプ
50:注入ランナー
51:吸引口
52:樹脂拡散媒体
53:ピールプライ
54:ブリーザ
55:シーラント
56:密閉媒体
60a、60b、60c、60d:バルブ
70:貫通孔
2:桁材
3:FRP構造体
10:スキン材の強化繊維プリフォーム
20:桁材の強化繊維プリフォーム
30:成形型
31:桁材の成形治具
40:樹脂
41:注入ライン
42:減圧ライン
43:真空ポンプ
50:注入ランナー
51:吸引口
52:樹脂拡散媒体
53:ピールプライ
54:ブリーザ
55:シーラント
56:密閉媒体
60a、60b、60c、60d:バルブ
70:貫通孔
Claims (11)
- 少なくともスキン材と桁材からなるFRP構造体の製造方法において、強化繊維のスキン材プリフォームに強化繊維の桁材プリフォームの少なくとも一部分を接触させて配置するプリフォームの配置工程と、少なくとも桁材プリフォームに減圧吸引口を設け、プリフォームの全部を密閉媒体で覆って内部を減圧する密閉減圧工程と、前記密閉媒体内に差圧により樹脂を注入してスキン材と桁材の両方を同時に硬化させる樹脂の注入硬化工程を含むことを特徴とする、FRP構造体の製造方法。
- 前記プリフォームの配置工程において、桁材プリフォームの外表面の一部に樹脂拡散媒体を配置することを特徴とする、請求項1に記載のFRP構造体の製造方法。
- 前記スキン材および/または桁材のプリフォームの繊維体積含有率をVpf、成形品の繊維体積含有率Vcfとした時に、(Vcf−Vpf)を−10%〜+10%の範囲内にすることを特徴とする、請求項1または2に記載のFRP構造体の製造方法。
- 前記スキン材および/または桁材のプリフォームの繊維体積含有率をVpf、成形品の繊維体積含有率Vcfとした時に、(Vcf−Vpf)を0%〜+5%の範囲内にすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のFRP構造体の製造方法。
- スキン材および/または桁材のプリフォームに、部分的に、面外方向に開口する貫通孔を設けるプリフォームの穿孔工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のFRP製構造体の製造方法。
- スキン材と桁材のプリフォームが接触している部分を通り、スキン材および桁材のプリフォームを貫通する貫通孔を設けるプリフォームの穿孔工程を含むことを特徴とする、請求項5に記載のFRP製構造体の製造方法。
- 前記FRP構造体が、桁材がスキン材のいずれか片面にあるFRP構造体であり、前記樹脂の注入硬化工程において、桁材の無いスキン材の面に樹脂拡散媒体を配置し、該拡散媒体内に樹脂を注入することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のFRP構造体の製造方法。
- 前記スキン材および/または桁材のプリフォームの強化繊維に、炭素繊維を含み、かつ、前記プリフォームを、強化繊維が同一方向に配列された強化繊維基材を複数層積み重ねた構造に形成することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のFRP構造体の製造方法。
- 前記スキン材および/または桁材のプリフォームを、少なくとも片面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物が、強化繊維に対し0.5〜30重量%の範囲内で分散付与された強化繊維基材を複数層積み重ねた構造に形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のFRP構造体の製造方法。
- 前記スキン材および/または桁材のプリフォームを、それを構成する基材を該基材の厚み方向に延びる強化繊維で連結した構造に形成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のFRP製構造体の製造方法。
- 桁材の横断面形状を、角形、C形、I形、L形、Z形、T型およびハット形のいずれかに形成することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のFRP構造体の製造方法。
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