JP2006305461A - 消泡剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定したエマルション粒子を形成することにより、消泡剤希釈後の使用時、及び、工程内へ添加した際にファンポンプ等のハイシェアーによるエマルション粒子の破壊がなく、液中のコロイダルエアーに対し優れた消泡効果を得ることができ、またその効果の持続性に優れ、さらに系内における汚れの発生のないワックスエマルション型消泡剤を提供すること。
【解決手段】油相がエマルション構成成分の5〜60重量%を占める水中油型エマルションをベースとした消泡剤組成物において、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸又は/及びその無水物
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和したカルボン酸石鹸からなる乳化安定剤を含有することを特徴とする消泡剤組成物。
【解決手段】油相がエマルション構成成分の5〜60重量%を占める水中油型エマルションをベースとした消泡剤組成物において、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸又は/及びその無水物
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和したカルボン酸石鹸からなる乳化安定剤を含有することを特徴とする消泡剤組成物。
Description
本発明は、消泡剤に関するものであり、更に詳しくは紙パルプ製造工程、食品、繊維、建材、塗料等各種製造工程及び排水処理工程等で発生する泡に対して優れた消泡効果を有する水中油型エマルション消泡剤組成物に関するものである。
従来、水中油型エマルション消泡剤には、その代表的なものとして、高級アルコールを主成分としたワックスエマルション型消泡剤が挙げられる(特許文献1、特許文献2参照)。ワックスエマルション型消泡剤は、パルプスラリー中に介在する微気泡に対する消泡効果が良好であり、且つ、サイズ効果への影響が殆どない等の優れた特徴から、製紙工業では使用が拡大している。しかしながら、従来のワックスエマルション型消泡剤はエマルション粒子の安定性に問題があり、消泡剤希釈後の使用時、及び、工程内へ添加した際にファンポンプ等から受けるハイシェアーでエマルション粒子が破壊されることにより、消泡効果が著しく低下し、また系内を汚す欠点があった。
本発明はこのような状況を考慮してなされたものであり、従来のワックスエマルション型消泡剤が有する問題点を解決するものである。すなわち本発明の目的は、安定したエマルション粒子を形成することにより、消泡剤希釈後の使用時、及び、工程内へ添加した際にファンポンプ等のハイシェアーによるエマルション粒子の破壊がなく、液中のコロイダルエアーに対し優れた消泡効果を得ることができ、またその効果の持続性に優れ、さらに系内における汚れの発生のないワックスエマルション型消泡剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水中油型エマルションに特定の乳化安定剤を配合する事によりエマルション粒子の安定性が著しく向上することを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、油相がエマルション構成成分の5〜60重量%を占める水中油型エマルションをベースとした消泡剤組成物において、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸又は/及びその無水物
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和したカルボン酸石鹸からなる乳化安定剤を含有することを特徴とする消泡剤組成物である。
即ち、本発明は、油相がエマルション構成成分の5〜60重量%を占める水中油型エマルションをベースとした消泡剤組成物において、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸又は/及びその無水物
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和したカルボン酸石鹸からなる乳化安定剤を含有することを特徴とする消泡剤組成物である。
本発明の消泡剤組成物は、安定したエマルション粒子を形成することにより、消泡剤希釈後の使用時、及び、工程内へ添加した際にファンポンプ等のハイシェアーによるエマルション粒子の破壊がなく、液中のコロイダルエアーに対し優れた消泡効果を得ることができ、またその効果の持続性に優れ、さらに系内における汚れの発生もなく実用上非常に有用である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する乳化安定剤は、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和し、カルボン酸石鹸とすることで得ることができる。
本発明に使用する乳化安定剤は、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和し、カルボン酸石鹸とすることで得ることができる。
上記非水溶性ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、メチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、炭素数が2〜30のオレフィン、石油樹脂又はそれらの混合物を挙げることができるが特にこれらに限定されるものではない。
上記水溶性不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができるが特にこれらに限定されるものではない。これらの不飽和カルボン酸は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、またその無水物も用いることができる。
カルボン酸石鹸を得るのに際し、樹脂中のカルボキシル基と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水から選ばれる1種または2種以上のアルカリ性物質との中和比が、樹脂中のカルボキシル基1当量に対し、アルカリ性物質が0.1〜1.5モルであれば好ましく、樹脂中のカルボキシル基1当量に対し、アルカリ性物質が0.5〜1.1モルであればより好ましい。
本発明の乳化安定剤は、消泡剤組成物全体に対し任意の添加率で使用できるが、0.1〜10重量%で添加することが優れた消泡効果を得るうえで好ましく、さらに好ましくは0.3〜10重量、特に好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明に係わる水中油型エマルションの油相成分は、その合計量が水中に5〜60重量%、好ましくは15〜35重量%含有する。5重量%未満では、経済的ではなく、60重量%を超えるとエマルションが固化しやすくなり好ましくない。
本発明に係わる水中油型エマルションの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来の水中油型エマルションの製造において慣用されている方法(例えば特開2001−113104号に記載されている方法)を用いることができる。本発明における乳化安定剤の添加時期は、水中油型消泡剤組成物の製造段階のいずれの時期でも良い。
以下に実施例によって本発明を詳細に説明するが、これによって本発明が何ら限定されるものではない。なお、本実施例においては、特にことわりのない限り%は重量%を意味する。また、重量平均分子量は、島津製作所(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーLC−10により、カラムはTSK−GEL G3000H XL、G2000H XL、G1000H XL(いずれも東ソー(株)製)を、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度を40℃として測定を行った。
<テストに用いた化合物>
反応容器に共重合体として下記A群から選ばれる1種をモル当量の塩基で中和して得られるカルボン酸石鹸を水中油型エマルション消泡剤(東邦化学工業(株)製 PN−490A)に1%含有させて試験を行った。
A群(共重合体)
A−1:無水マレイン酸―スチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量5000)
1リットルフラスコに無水マレイン酸61gを入れ、トルエン240gを加えて溶解し
窒素雰囲気下で130℃まで加熱した後、スチレン65gとジ−t−ブチルパーオキサイ
ド10gをトルエン10gに溶解した溶液をそれぞれ別個に、かつ同時に50分かけて添
加した。その後130℃にまで温度を上げ、該温度で3時間維持し反応を完結させた。冷却後生成共重合体を分離し乾燥させた。
以下、A−2〜A−8の製造方法はA−1に準ずる。
A−2:無水マレイン酸―メチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量7000)
A−3:マレイン酸―スチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量7500)
A−4:マレイン酸―メチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量6000)
A−5:無水マレイン酸―メチルビニルエーテル共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量6500)
A−6:アクリル酸―アクリロニトリル共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量4500)
A−7:イタコン酸―エチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量8000)
A−8:無水マレイン酸―エチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量5000)
反応容器に共重合体として下記A群から選ばれる1種をモル当量の塩基で中和して得られるカルボン酸石鹸を水中油型エマルション消泡剤(東邦化学工業(株)製 PN−490A)に1%含有させて試験を行った。
A群(共重合体)
A−1:無水マレイン酸―スチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量5000)
1リットルフラスコに無水マレイン酸61gを入れ、トルエン240gを加えて溶解し
窒素雰囲気下で130℃まで加熱した後、スチレン65gとジ−t−ブチルパーオキサイ
ド10gをトルエン10gに溶解した溶液をそれぞれ別個に、かつ同時に50分かけて添
加した。その後130℃にまで温度を上げ、該温度で3時間維持し反応を完結させた。冷却後生成共重合体を分離し乾燥させた。
以下、A−2〜A−8の製造方法はA−1に準ずる。
A−2:無水マレイン酸―メチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量7000)
A−3:マレイン酸―スチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量7500)
A−4:マレイン酸―メチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量6000)
A−5:無水マレイン酸―メチルビニルエーテル共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量6500)
A−6:アクリル酸―アクリロニトリル共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量4500)
A−7:イタコン酸―エチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量8000)
A−8:無水マレイン酸―エチルスチレン共重合体
(1:1モル比、重量平均分子量5000)
[発泡液製造方法]
段ボール古紙を卓上離解機で離解して濃度5%のパルプスラリーを得た。水道水で1%に希釈後65℃に加温し、サイズ剤(ペローザWS、近代化学工業社製)5%(対パルプ、固形分として)、紙力増強剤(PS−117、荒川化学工業社製)0.4%(対パルプ、固形分として)を添加し良く攪拌した後、硫酸バン土を加えpH5.0に調整した。40メッシュの金網を用いてパルプを濾過し得られた濾液を試験に供した。
[消泡力試験方法]
1.a法(液面泡の確認)
内径80mm、高さ600mmのガラス製シリンダーに上記方法で作製した濾液1000mlを入れ40℃に保持する。次に水流ポンプを用いてシリンダー底部から上部へ10L/分の流量で液を循環して発泡させる。ポンプ循環開始5秒後に消泡剤1ppm分を添加し、循環時間の経過に伴う液面の泡の高さを測定する。5分経過後ポンプを停止し同様に時間の経過に伴う泡の高さを測定する。消泡剤を添加し循環時間3分後、5分後、及び循環停止1分後の泡高(mm)を測定した。この結果を表1に示す。
2.b法(液中泡の確認)
500mlのガラス製メスシリンダーに上記方法で作製後、40℃に温調した濾液200mlを入れ、消泡剤1ppm分を添加する。添加後、直ちに、振トウ機(ヤマト科学製シェーカー)にて3分間振トウさせ微細繊維分の沈降に要する所要時間を測定した。この結果を表1に示す。
[乳化安定性の試験方法]
40℃に温調した上記方法で作製した濾液にて100倍希釈した消泡剤(100ml)を、振とう機で2分間振とう後エマルション粒子の安定状態を次の方法で観察した。この結果を表1に示す。
a)粒径の測定は島津製SALD−2100を用いて行った。
b)40メッシュの金網で振トウ液を濾過して、消泡剤の付着状況を確認した。
段ボール古紙を卓上離解機で離解して濃度5%のパルプスラリーを得た。水道水で1%に希釈後65℃に加温し、サイズ剤(ペローザWS、近代化学工業社製)5%(対パルプ、固形分として)、紙力増強剤(PS−117、荒川化学工業社製)0.4%(対パルプ、固形分として)を添加し良く攪拌した後、硫酸バン土を加えpH5.0に調整した。40メッシュの金網を用いてパルプを濾過し得られた濾液を試験に供した。
[消泡力試験方法]
1.a法(液面泡の確認)
内径80mm、高さ600mmのガラス製シリンダーに上記方法で作製した濾液1000mlを入れ40℃に保持する。次に水流ポンプを用いてシリンダー底部から上部へ10L/分の流量で液を循環して発泡させる。ポンプ循環開始5秒後に消泡剤1ppm分を添加し、循環時間の経過に伴う液面の泡の高さを測定する。5分経過後ポンプを停止し同様に時間の経過に伴う泡の高さを測定する。消泡剤を添加し循環時間3分後、5分後、及び循環停止1分後の泡高(mm)を測定した。この結果を表1に示す。
2.b法(液中泡の確認)
500mlのガラス製メスシリンダーに上記方法で作製後、40℃に温調した濾液200mlを入れ、消泡剤1ppm分を添加する。添加後、直ちに、振トウ機(ヤマト科学製シェーカー)にて3分間振トウさせ微細繊維分の沈降に要する所要時間を測定した。この結果を表1に示す。
[乳化安定性の試験方法]
40℃に温調した上記方法で作製した濾液にて100倍希釈した消泡剤(100ml)を、振とう機で2分間振とう後エマルション粒子の安定状態を次の方法で観察した。この結果を表1に示す。
a)粒径の測定は島津製SALD−2100を用いて行った。
b)40メッシュの金網で振トウ液を濾過して、消泡剤の付着状況を確認した。
表1に示した結果から明らかなように、本発明の消泡剤組成物は、安定したエマルション粒子を形成することにより、優れた消泡効果を得ることができると共に、系内における汚れの発生もなく実用上非常に有用である。
Claims (4)
- 油相がエマルション構成成分の5〜60重量%を占める水中油型エマルションをベースとした消泡剤組成物において、
(a)非水溶性ビニル化合物 と
(b)水溶性不飽和カルボン酸又は/及びその無水物
から選ばれるそれぞれ1種以上を共重合した樹脂を中和したカルボン酸石鹸からなる乳化安定剤を含有することを特徴とする消泡剤組成物。 - 非水溶性ビニル化合物が、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、メチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、炭素数が2〜30のオレフィン、石油樹脂から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の消泡剤組成物。
- 水溶性不飽和カルボン酸がマレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩又は/及びアンモニウム塩から選ばれる1種または2種以上のものである請求項1または2に記載の消泡剤組成物。
- カルボン酸石鹸を得るのに際し、樹脂中のカルボキシル基と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水から選ばれる1種または2種以上のアルカリ性物質との中和比が、樹脂中のカルボキシル基1当量に対し、アルカリ性物質が0.1〜1モルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の消泡剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005131018A JP2006305461A (ja) | 2005-04-28 | 2005-04-28 | 消泡剤組成物 |
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JP2005131018A JP2006305461A (ja) | 2005-04-28 | 2005-04-28 | 消泡剤組成物 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005131018A Pending JP2006305461A (ja) | 2005-04-28 | 2005-04-28 | 消泡剤組成物 |
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Country | Link |
---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2168648A2 (en) | 2008-09-24 | 2010-03-31 | Kusumoto Chemicals, Ltd. | Defoaming agent for water-based paint |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002522657A (ja) * | 1998-08-08 | 2002-07-23 | ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト | 水中油型分散液を基礎とする消泡剤および/または脱泡剤 |
JP2002535124A (ja) * | 1999-01-29 | 2002-10-22 | ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト | 水中油型分散液を基礎とする消泡剤および/または脱泡剤 |
WO2004012843A1 (de) * | 2002-07-24 | 2004-02-12 | Basf Aktiengesellschaft | Entschäumer und/oder entlüfter für wässrige, zur schaumbildung neigende medien |
-
2005
- 2005-04-28 JP JP2005131018A patent/JP2006305461A/ja active Pending
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US8133945B2 (en) | 2008-09-24 | 2012-03-13 | Kusumoto Chemicals, Ltd. | Defoaming agent for water based paint |
US8357736B2 (en) | 2008-09-24 | 2013-01-22 | Kusumoto Chemicals, Ltd. | Defoaming agent for water-based paint |
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