JP2006303411A - 非線形素子の製造方法、および電気光学装置 - Google Patents

非線形素子の製造方法、および電気光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 レジストマスクを形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なパターニングを行うことができ、かつ、パターニングにより得た薄膜パターンがレジストによって汚染されることのない非線形素子の製造方法、および電気光学装置を提供すること。
【解決手段】 TFD10を製造するにあたって、タンタル膜13の上層側にクロム膜からなるマスク形成用金属膜18を形成した後、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成し、この状態でマスク形成用金属膜18に対してウエットエッチングを行い、エッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より小サイズのパターニングマスク18aを形成する。しかる後に、この状態でタンタル膜13にドライエッチングを行い、下部電極13bを形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、薄膜に対するパターニング工程を有する非線形素子の製造方法、およびこの非線形素子を備えた電気光学装置に関するものである。
TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)やTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)などの非線形素子を画素スイッチング素子として画素毎に備えた電気光学装置が市販されており、このような非線形素子は、薄膜に対するパターニング工程を利用して製造される。
例えば、MIM(Metal−Insulator−Metal:金属−絶縁体−金属)の積層構造を備えたTFDを製造する際には、図12(a)に示すように、素子基板20の表面にタンタル酸化物などからなる下地層201、タンタル膜13をこの順に形成した後、レジストマスク19′を形成し、この状態で、図12(b)、(c)に示すように、タンタル膜13をドライエッチングによりパターニングし、下部電極13bを形成する。次に、図12(d)に示すように、下部電極13bに陽極酸化を施して酸化膜14を形成した後、図12(e)に示すように、クロム膜からなる上部電極15bを形成する。次に、図12(f)に示すように、給電ラインとして用いた金属層13aから下部電極13bを分離した後、図12(g)に示すように、上部電極15bに電気的に接続する画素電極23を形成する。
このように構成したTFD10′において、上部電極15bと下部電極13bとの対向面積が広すぎると、TFD10′の寄生容量が大きくなってしまう。そこで、図13(a)に示すように、素子基板20の表面にタンタル酸化物などからなる下地層201、タンタル膜13、および分厚い酸化膜17をこの順に形成した後、レジストマスク19′を形成し、この状態で、図13(b)、(c)に示すように、酸化膜17およびタンタル膜13をドライエッチングによりパターニングし、上層に分厚い酸化膜17aを備えた下部電極13bを形成する。次に、図13(d)に示すように、下部電極13bに陽極酸化を施して側面に薄い酸化膜14を形成した後、図13(e)に示すように、クロム膜からなる上部電極15bを形成する。次に、図13(f)に示すように、給電ラインとして用いた金属層13aから下部電極13bを分離した後、図13(g)に示すように、上部電極15bに電気的に接続する画素電極23を形成する。このように構成したTFD10′においては、少なくとも下部電極13bの上面に寄生する容量成分を無視できることになる。
このような薄膜パターニング工程により電気光学装置を製造する際、下部電極13bについてはその幅を狭くしたいなどの要求があるが、そのサイズは、フォトリソグラフィ技術を利用してレジストマスク19′を形成する際に用いた露光装置の解像度の制約を受けるため、下部電極13bの大幅な細幅化は困難である。
このような困難を解消可能な技術として、フォトリソグラフィ技術を利用してレジストマスクを形成した後、レジストマスクにアッシングを施してそのサイズを小さくする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−205236号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術を用いても、薄膜の表面にレジストマスクを直接、形成するため、薄膜の表面がレジスト残渣で汚染されるという問題点がある。また、薄膜の上層にレジストマスクを形成した状態で薄膜にドライエッチングを施すと、レジストマスクもエッチングされ、エッチングの際に飛んだレジスト残滓が下部電極の側面に再付着するという問題点がある。このようなレジストの残渣や再付着による界面の汚染は、TFDの電気特性や信頼性の低下を引き起こすため、好ましくない。
さらに、薄膜の上層にレジストマスクを形成した状態で薄膜にドライエッチングを施すと、時間経過とともに、レジストマスクもエッチングされてレジストマスクの端部が後退する。その結果、図12および図13に示すように、下部電極の側面が裾の広いテーパ面になってしまい、TFDにおいて、下部電極の側面の面積が広く、寄生容量が大きくなってしまうという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、レジストマスクを形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なパターニングを行うことができ、かつ、パターニングにより得た薄膜パターンがレジストによって汚染されることのない非線形素子の製造方法、および電気光学装置を提供することにある。
また、本発明の課題は、パターニングにより得た薄膜パターンの側面の面積を縮小可能な非線形素子の製造方法、および電気光学装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも、金属膜あるいは半導体膜からなる薄膜の上層側にパターニングマスクを形成した状態で前記薄膜をエッチングして非線形素子を形成するための薄膜パターンを得る薄膜パターニング工程を有する非線形素子の製造方法において、前記薄膜の上層側にマスク形成用金属膜を形成するマスク形成用金属膜形成工程と、前記マスク形成用金属膜の上層に前記パターニングマスクより大きいサイズのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程と、前記マスク形成用金属膜の上層に前記レジストマスクを形成した状態で前記マスク形成用金属膜に対してエッチングを行い、当該エッチングの際のサイドエッチングにより、前記レジストマスクより小さいサイズの前記パターニングマスクを形成した後、当該レジストマスクを除去するパターニングマスク形成工程とを行い、当該パターニングマスク工程の後に、前記薄膜パターニング工程を行って前記薄膜パターンを得ることを特徴とする。
本発明では、パターニングマスク形成工程において、マスク形成用金属膜の上層にレジストマスクを形成した状態でマスク形成用金属膜に対してエッチングを行い、当該エッチングの際のサイドエッチングにより、前記レジストマスクより小サイズのパターニングマスクを形成する。このため、このパターニングマスクを用いて薄膜パターニング工程で薄膜をパターニングすると、レジストマスクを形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なパターニングを行うことができる。また、薄膜の上層には直接、レジストマスクが形成されず、かつ、レジストマスクがある間では、薄膜はマスク形成用金属膜で覆われているので、パターニングにより得た薄膜パターンがレジストによって汚染されることがない。それ故、非線形素子の電気特性や信頼性を向上することができる。しかも、薄膜の上層にレジストマスクを形成した状態で薄膜にドライエッチングを施すと、時間経過とともに、レジストマスクもエッチングされてレジストマスクの端部が後退し、パターニング後、薄膜パターンの側面が裾の広いテーパ面になってしまうが、本発明では、パターニングマスクが金属膜からなるため、端部の後退が発生しない。それ故、パターニングにより得た薄膜パターンの側面の垂直度を向上することができ、側面の面積を狭くできるので、薄膜パターンをTFDの下部電極として用いた場合、下部電極の側面での寄生容量を小さくできる。また、薄膜パターンをTFDの下部電極として用いた際、下部電極の側面では、下部電極を構成する材料の柱状組織が原因でドライエッチング後、多数の段差が発生していることがあるが、側面の垂直度を高めることにより側面の面積が狭くなれば、このような段差に起因するTFDの特性低下を防止できる。それ故、TFDの電気特性の安定化を図ることができる。
本発明において、パターニングマスク形成工程を行った後、前記薄膜パターニング工程を行う前に前記レジストマスクを除去するレジストマスク除去工程を行うことが好ましい。このように構成すると、薄膜はレジストマスクがない状態でエッチングされるので、パターニングにより得た薄膜パターンがレジストによって汚染されることが一切ないので、非線形素子の電気特性や信頼性をさらに向上することができる。
本発明において、前記パターニングマスク形成工程では、前記エッチングとしてウエットエッチングを行うことが好ましい。ウエットエッチングであれば、サイドエッチングが起こりやすく、かつ、エッチング中、レジストマスクがエッチングされない。
本発明において、前記非線形素子として薄膜ダイオードを形成する場合、前記薄膜は、前記非線形素子としての薄膜ダイオードにおいて下部電極を構成するための金属膜である。
この場合、前記薄膜パターニング工程によって、前記薄膜パターンとして前記下部電極を形成し、前記薄膜パターニング工程を行った後、前記下部電極の上面および側面に絶縁膜を形成し、当該絶縁膜形成後に、前記絶縁膜の上層側に当該絶縁膜を介して前記下部電極に対向する上部電極を形成する。
本発明の別の形態において、前記非線形素子として薄膜ダイオードを形成する場合、前記パターニングマスクを形成する前に、当該金属膜の表面に第1の絶縁膜を形成しておき、前記薄膜パターニング工程によって、前記第1の絶縁膜を上面に備えた前記下部電極を形成する。そして、前記薄膜パターニング工程を行った後、前記下部電極の側面に前記第1の絶縁膜と同等厚の第2の絶縁膜を形成し、当該第2の絶縁膜形成後に、前記第1絶縁膜および前記第2の絶縁膜の上層側に前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を介して前記下部電極に対向する上部電極を形成する。このように構成すると、前記下部電極の上面に形成された第1の絶縁膜の膜厚と、前記下部電極の側面に形成された第2の絶縁膜の膜厚が同等の薄膜ダイオードを製造する際、前記薄膜パターンを構成する金属膜と、パターニングマスクを構成する材料とが直接、接触しない。このため、前記薄膜パターンを構成する金属膜が、パターニングマスクを構成する材料によって汚染されることがないので、電気特性や信頼性の高い非線形素子を製造することができる。
本発明のさらに別の形態において、前記非線形素子として薄膜ダイオードを形成する場合、前記パターニングマスクを形成する前に、当該金属膜の表面に第1の絶縁膜を形成しておき、前記薄膜パターニング工程によって、前記第1の絶縁膜を上面に備えた前記下部電極を形成する。そして、前記薄膜パターニング工程を行った後、前記下部電極の側面に前記第1の絶縁膜よりも薄い第2の絶縁膜を形成し、当該第2の絶縁膜形成後に、前記第1絶縁膜および前記第2の絶縁膜の上層側に前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を介して前記下部電極に対向する上部電極を形成する。このように構成すると、下部電極の側面に形成された第2の絶縁膜の膜厚が下部電極の上面に形成された第1の絶縁膜の膜厚よりも薄い薄膜ダイオードを製造できる。このような薄膜ダイオードでは、下部電極の上面に寄生する容量を無視することができる。
本発明においては、例えば、前記薄膜パターニング工程を行った後、前記上部電極を形成する前に、前記パターニングマスクを除去する。
本発明において、前記パターニングマスクを形成する前に前記金属膜の上面に第1の絶縁膜を形成する場合、前記薄膜パターニング工程を行った後も前記パターニングマスクを残し、当該パターニングマスクの上層に前記上部電極を形成してもよい。
本発明において、前記絶縁膜は、例えば、陽極酸化膜である。本発明において、前記絶縁膜は、CVD膜であってもよい。
本発明に係る非線形素子の製造方法は、前記非線形素子として薄膜トランジスタを製造するのに利用してもよい。この場合、前記薄膜パターンは、前記非線形素子としての薄膜トランジスタにおいて能動層を形成する半導体層である。
本発明に係る製造方法により製造した非線形素子は、例えば、電気光学装置の画素スイッチング素子として用いることができる。
このような電気光学装置は、例えば、携帯電話機やモバイルコンピュータなどといった電子機器に用いられる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、図12および図13を参照して説明した従来技術と共通する部分には同一の符号を付して説明する。なお、参照する各図において、図面上で認識可能な大きさとするために縮尺が各層や各部材ごとに異なる場合がある。
[実施の形態1]
(電気光学装置の構成例)
図1は、本発明が適用される電気光学装置(液晶装置)の電気的構成を示すブロック図である。図2は、電気光学装置の構成を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本形態の電気光学装置100では、複数本の走査線51が行(X)方向に延在して形成され、また、複数本のデータ線52が列(Y)方向に延在して形成されている。また、走査線51とデータ線52との各交差点に対応する位置に画素53が形成され、これらの画素53は、マトリクス状に配置されている。各画素53では、液晶層54と、非線形素子としてのTFD10とが直列接続しており、図1に示す例では、液晶層54が走査線51の側に、TFD10がデータ線52の側にそれぞれ接続されている。なお、液晶層54がデータ線52の側に、TFD10が走査線51の側にそれぞれ接続されることもある。ここで、各走査線51は、走査線駆動回路57によって駆動される一方、各データ線52は、データ線駆動回路58によって駆動される。
このような電気光学装置100は、具体的には、例えば、図2に示すように構成される。ここで、対向配置された一対の基板のうち、一方の基板は、前記のTFD10や画素電極が形成される素子基板20であり、他方の基板は、対向基板30である。これらの基板のうち、素子基板20の内側表面には、複数本のデータ線52と、それらのデータ線52に接続される複数のTFD10と、それらのTFD10と1対1に接続される画素電極23とが形成されている。データ線52は、図2において紙面に対して垂直方向に延在して形成される一方、TFD10および画素電極23は、ドットマトリクス状に配列している。そして、画素電極23などの表面には、一軸配向処理、例えばラビング処理が施された配向膜24が形成されている。
対向基板30の内側表面には、カラーフィルタ38が形成されており、「R」、「G」、「B」の3色の着色層を構成している。なお、これら3色の着色層の隙間には、ブラックマトリクス39が形成されて、着色層の隙間からの入射光を遮蔽する構成となっている。カラーフィルタ38およびブラックマトリクス39の表面には平坦化膜37が形成され、さらにその表面には、走査線51として機能する対向電極31が、データ線52と直交する方向に形成されている。なお、平坦化膜37は、カラーフィルタ38およびブラックマトリクス39の平滑性を高めて、対向電極31の断線を防止する目的などのために設けられる。さらに、対向電極31の表面には、ラビング処理が施された配向膜34が形成されており、配向膜24、34は、一般にポリイミドなどから形成される。
素子基板20と対向基板30とは、スペーサ(図示省略)を含むシール材104によって一定の間隙を保って接合され、この間隙に、液晶105が封入された構成となっている。素子基板20の外側表面には、配向膜24へのラビング方向に対応した光軸を有する偏光板217などが貼着され、対向基板30の外側表面には、配向膜34へのラビング方向に対応した光軸を有する偏光板317などが貼着されている。なお、本形態の電気光学装置100は、COG(Chip On Glass)技術が適用されており、素子基板20の表面に直接、液晶駆動用ICチップ260が実装されている。
(画素53およびTFD10の構成)
図3は、電気光学装置において、TFDを含む数画素分のレイアウトを示す平面図であり、図4は、各画素に形成されたTFDの説明図である。
図3および図4に示すように、本形態のTFD10は、第1のTFD10aおよび第2のTFD10bを備えたBack−to−Back構造を有している。すなわち、素子基板20の表面に形成された下地層201上において、下部電極13bと、この下部電極13bの表面に陽極酸化によって形成された酸化膜14(絶縁膜)と、この表面に形成されて相互に離間した上部電極15a、15bとから構成され、下部電極13bの上面および側面と上部電極15a、15bとは、酸化膜14を介して対向している。上部電極15aは、そのままデータ線52となる金属層15cと一体に形成されている一方、上部電極15bは、画素電極23に接続されている。なお、データ線52は、下部電極13bと同時形成された金属層13aを備えている。下地層201は、例えば、厚さが50〜200nm程度のタンタル酸化膜などの絶縁膜によって構成され、下部電極13bの構成によっては省略してもよい。
本形態のTFD10において、金属層13aおよび下部電極13bは、例えば、厚さが100〜150nm程度のタンタル膜によって形成され、酸化膜14は、陽極酸化法によって金属層13aおよび下部電極13bの表面を酸化することによって形成された厚さが20〜40nm程度の陽極酸化膜である。ここでタンタル膜としてはタンタル単体膜、あるいはタンタルを主成分とする合金、例えば、タングステン−タンタル合金を用いることができる。上部電極15a、15bは、例えばクロム(Cr)などといった金属膜によって100〜500nm程度の厚さに形成されている。
ここで、第1のTFD10aは、データ線52の側からみると順番に、上部電極15a/酸化膜14/下部電極13bとなって、金属(導電体)/絶縁体/金属(導電体)のサンドイッチ構造を採るため、ダイオードスイッチング特性を有することになる。一方、第2のTFD10bは、データ線52の側からみると順番に、下部電極13b/酸化膜14/上部電極15bとなって、第1のTFD10aとは、反対のダイオードスイッチング特性を有することになる。従って、TFD10は、2つのダイオードを互いに逆向きに直列接続した形となっているため、1つのダイオードを用いる場合と比べると、電流−電圧の非線形特性が正負の双方向にわたって対称化されることになる。なお、このように非線形特性を厳密に対称化する必要がないのであれば、1つの非線形素子のみを用いても良い。
画素電極23は、透過型として用いられる場合には、ITO(Indium Tin Oxide)などの導電性の透明膜から形成される一方、反射型として用いられる場合には、アルミニウムや銀などの反射率の大きな反射性金属膜から形成されることがある。なお、画素電極23は、反射型であってもITOなどの透明性金属から形成される場合もある。この場合には、反射層としての反射性金属が形成された後、絶縁層を介して透明な画素電極23が形成される。一方、半透過反射型として用いられる場合には、反射層を薄く形成して半透過反射膜とするか、あるいは、スリットが設けられる構成となる。素子基板20自体は、例えば、石英やガラスなどの絶縁性を有するものが用いられる。なお、透過型として用いる場合には、透明であることも素子基板20の要件となるが、反射型として用いる場合には、透明であることが要件にならない。また、素子基板20の表面に下地層201が設けられる理由は、熱処理により、下部電極13bなどが下地から剥離しないようにするとともに、下部電極13bに不純物が拡散しないようにするためである。したがって、これが問題とならない場合には、下地層201は省略可能である。
(電気光学装置100およびTFD10の製造方法)
図5は、本形態の電気光学装置100の製造方法の一例を示す工程図である。図6は、素子基板形成工程の一部(TFDの製造工程など)を示す説明図であり、その左側には断面図を示し、右側には平面図を示してある。
本形態において、電気光学装置100を製造するにあたっては、図5に示す非線形素子形成工程P1〜シール材印刷工程P5からなる素子基板形成工程と、カラーフィルタ形成工程P6〜ラビング処理工程P10からなる対向基板形成工程とは別々に行われる。また、これらの工程は、素子基板20および対向基板30を多数取りできる大型の元基板の状態で行われるが、以下の説明では、単品サイズおよび大型の元基板については区別せず、素子基板20および対向基板30と称する。
本形態では、大型の素子基板20に対して非線形素子形成工程P1を行うことにより、電気光学装置複数個分のデータ線52およびTFD10を形成する。この非線形素子形成工程P1では、まず、図6(a)に示すように、大型の素子基板20の表面全体に、厚さが50〜200nm程度のタンタル酸化物などの絶縁膜を一様な厚さに成膜して下地層201を形成した後、スパッタ法などによって、タンタル単体膜あるいはタングステン−タンタル合金などからなるタンタル膜13(薄膜)を100〜150nm程度の厚さで形成する。
次に、大型の素子基板20の表面全体に対して、スパッタ法などにより、タンタル膜13の上層側に、厚さが50〜300nm程度のクロム膜などからなるマスク形成用金属膜18を形成する(マスク形成用金属膜形成工程)。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク形成用金属膜18の上層に厚さが1〜2μmのレジストマスク19を形成する(レジストマスク形成工程)。ここで、レジストマスク19は、後述するパターニングマスク(図6(a)の右側に一点鎖線18a′で示す)よりもややサイズが大きく、幅が広い。
次に、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成した状態でマスク形成用金属膜19に対してエッチングを行い、図6(b)に示すように、このエッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より、1μmほど小サイズ(細幅)のパターニングマスク18aを形成する(パターニングマスク形成工程)。
このパターニングマスク形成工程では、エッチングとして、硝酸第2セリウムアンモニウム溶液などを用いたウエットエッチングを行う。ウエットエッチングであれば、サイドエッチングが起こりやすく、かつ、エッチング中、レジストマスク19がエッチングされない。
次に、レジストマスク19をウエット剥離処理またはアッシング処理により除去する(レジストマスク除去工程)。
次に、クロムからなるパターニングマスク18aをタンタル膜13の上層に形成した状態で、CF4あるいはSF6などを含むエッチングガスを用いて、タンタル膜13にドライエッチングを施し、図6(c)に示すように、タンタル膜13を下部電極13b(薄膜パターン)と、データ線52の下層側を構成する金属層13aとにパターニングする。
次に、図6(d)に示すように、ウエットエッチングあるいはドライエッチングにより、パターニングマスク18aを除去する(パターニングマスク除去工程)。
この状態で、データ線52の金属層13aと下部電極13bとはブリッジ部13cで繋がっているので、図6(e)に示す絶縁層形成工程においては、大型の素子基板20を電解槽内で電解液に浸漬した状態で、素子基板20に給電し、陽極酸化を行う。その際、データ線52の金属層13aおよびブリッジ部13cを介して下部電極13bに給電され、それらの下部電極13bの表面(上面および側面)には、厚さが20〜40nm程度の酸化膜14(陽極酸化膜/絶縁膜)が形成される。
次に、アニール工程において、加熱炉内の水素を含有する雰囲気中で素子基板20を加熱する。その結果、酸化膜14内の転位や空孔などの欠陥密度が低減されるので、TFD10の非線形性を高くすることができるなどの効果を奏する。
次に、図6(f)に示す上部電極形成工程においては、厚さが100〜500nm程度のCrをスパッタなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、データ線52の最上層としての金属層15c、第1のTFD10aの上部電極15a、および第2のTFD10bの上部電極15bを形成する。以上により、非線形素子であるTFD10(TFD10a、10b)が素子基板20の表面に必要な数だけ形成される。
次に、図6(g)に示すブリッジ部除去工程においては、例えば、ドライエッチングによりブリッジ部13cを大型の素子基板20から除去する。これにより、第1TFD10aおよび第2TFD10bの下部電極13bおよび酸化膜14が、データ線52から島状に分断される。なお、この工程では、ブリッジ部の他に、給電パターンのうち、大型の素子基板200を切断した際に素子基板20に残ってしまう不要な部分についても除去する。また、必要に応じて、画素電極23に相当する領域の下地層201を除去する。
次に、図6(h)に示す画素電極形成工程において、画素電極23を形成するためのITOをスパッタなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術により、1画素分の大きさに相当する所定形状の画素電極23をその一部が上部電極15bに重なるように形成する。これらの一連の工程により、図3および図4に示すTFD10および画素電極23が形成される。
しかる後には、図5の配向膜工程P3において、元基板200の表面にポリイミド、ポリビニルアルコールなどを一様な厚さに形成することによって配向膜24を形成した後、ラビング処理工程P4において、配向膜24に対してラビング処理その他の配向処理を行う。次に、シール材印刷工程P5において、ディスペンサーやスクリーン印刷などによってシール材104(図2参照)を環状に塗布する。なお、シール材104の一部分には、液晶注入口を形成しておく。
以上の素子基板形成工程とは別に、対向基板形成工程(カラーフィルタ形成工程P6〜ラビング処理工程P10)を行う。それには、まず、ガラス基板などといった透光性材料によって形成された大型の対向基板30を用意した後、カラーフィルタ形成工程P6において、大型の対向基板30の表面上にブラックマトリクス39、およびカラーフィルタ38を形成する。ここで、カラー表示が必要でない場合には、カラーフィルタ38を形成する必要はない。
次に、平坦化層形成工程P7において、カラーフィルタ38の上に平坦化膜37を一様な厚さに形成して表面を平坦化する。次に、対向電極形成工程P8において、ITO膜などによりストライプ状の対向電極31、すなわち、走査線51を形成する。次に、配向膜形成工程P9において、走査線51などの上にポリイミドなどによって一様な厚さの配向膜34を形成した後、ラビング処理工程P10において、配向膜34に対してラビング処理などといった配向処理を施す。
その後、大型の素子基板200と大型の対向基板30とを位置合わせした上でシール材104を間に挟んで貼り合わせ(貼り合わせ工程P11)、さらに紫外線硬化その他の方法でシール材104を硬化させる(シール材硬化工程P12)。これにより、液晶表示装置複数個分を含んでいる空のパネル構造体が形成される。その後、空のパネル構造体を短冊状のパネル構造体に切断する(1次切断工程P13)。この短冊状のパネル構造体の切断個所では、シール材104の途切れ部分からなる液晶注入口が外部に開口しているので、露出した液晶注入口からパネル構造体の内側に液晶を減圧注入した後(液晶注入工程P14)、各液晶注入口に対して樹脂などの封止材を塗布して、各液晶注入口を封止する(注入口封止工程P15)。なお、この工程により、パネル構造体に液晶が付着するので、液晶を注入し終えたパネル構造体を洗浄する(洗浄工程P16)。その後、パネル構造体をさらに切断することにより、複数個の電気光学装置100が切り出される(2次切断工程P17)。しかる後に、電気光学装置100に液晶駆動用ICチップ260などを実装し、電気光学装置100が完成する(実装工程P18)。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、パターニングマスク形成工程において、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成した状態でマスク形成用金属膜18に対してエッチングを行い、このエッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より小サイズ(細幅)のパターニングマスク18aを形成する。このため、このパターニングマスク18aを用いて薄膜パターニング工程でタンタル膜13をパターニングすると、レジストマスク19を形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なパターニングを行うことができる。それ故、本形態によれば、下部電極13bを露光装置の解像度よりも微細な薄膜パターンとして形成できるので、寄生容量の小さなTFD10を製造することができる。
また、タンタル膜13の上層には直接、レジストマスク19が形成されず、かつ、レジストマスク19がある間、タンタル膜13はマスク形成用金属膜13で覆われているので、パターニングにより得た下部電極13b(薄膜パターン)がレジストによって汚染されることがない。それ故、TFD10の電気特性や信頼性を向上することができる。
しかも、タンタル膜13の上層にレジストマスクを形成した状態でドライエッチングを施すと、時間経過とともに、レジストマスクもエッチングされてレジストマスクの端部が後退し、パターニング後、下部電極13b(薄膜パターン)の側面が裾の広いテーパ面になってしまうが、本形態では、パターニングマスク18aが金属膜からなるため、端部の後退が発生しない。それ故、パターニングにより得た薄膜パターン(下部電極13b)の側面の垂直度を向上することができ、側面の面積を狭くできるので、薄膜パターンをTFD10の下部電極13bとして用いた場合、下部電極13bの側面での寄生容量を小さくできる。
また、本形態では、パターニングマスク形成工程を行った後、薄膜パターニング工程を行う前にレジストマスク除去工程においてレジストマスク19を除去する。このため、タンタル膜13はレジストマスクがない状態でエッチングされるので、パターニングにより得た下部電極13bがレジストの再付着によって汚染されることが一切ないので、TFD10の電気特性や信頼性をさらに向上することができる。
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の製造方法のうち、TFDおよび画素電極の製造工程を示す説明図であり、その左側には断面図を示し、右側には平面図を示してある。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と共通しているので、共通する部分には同一の符号を付して説明する。
本形態では、以下に説明するように、最終的には、実施の形態1で製造したTFDと同一構造を備えたTFDを製造する。
本形態では、まず、図7(a)に示すように、大型の素子基板20の表面全体に、厚さが50〜200nm程度のタンタル酸化物などの絶縁膜を一様な厚さに成膜して下地層201を形成した後、厚さが100〜150nm程度のタンタル膜13(薄膜)をスパッタ法などによって一様な厚さで形成する。
次に、陽極酸化法によりタンタル膜13の表面全体に厚さが20〜40nm程度の第1の酸化膜16(陽極酸化膜/第1の絶縁膜)を形成する。
次に、大型の素子基板20の表面全体に対して、スパッタ法などにより、タンタル膜13の上層側にクロム膜などからなるマスク形成用金属膜18を形成する(マスク形成用金属膜形成工程)。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成する(レジストマスク形成工程)。ここで、レジストマスク19は、後述するパターニングマスク(図7(a)の右側に一点鎖線18a′で示す)よりもややサイズが大きく、幅が広い。
次に、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成した状態でマスク形成用金属膜19に対してエッチングを行い、図7(b)に示すように、このエッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より小サイズ(細幅)のパターニングマスク18aを形成する(パターニングマスク形成工程)。このパターニングマスク形成工程では、エッチングとしてウエットエッチングを行う。ウエットエッチングであれば、サイドエッチングが起こりやすく、かつ、エッチング中、レジストマスク19がエッチングされない。
次に、レジストマスク19を除去する(レジストマスク除去工程)。
次に、クロムからなるパターニングマスク18aを第1の酸化膜16の上層に形成した状態で、第1の酸化膜16およびタンタル膜13にドライエッチングを施す。その結果、図7(c)に示すように、第1の酸化膜16aを上層に備えた下部電極13b(薄膜パターン)と、データ線52の下層側を構成する金属層13aとが形成され、この金属層13aの上層にも第1の酸化膜16aが形成されている。
次に、図7(d)に示すように、ウエットエッチングあるいはドライエッチングにより、パターニングマスク18aを除去する(パターニングマスク除去工程)。
この状態で、データ線52の金属層13aと下部電極13bとはブリッジ部13cで繋がっているので、図7(e)に示す絶縁層形成工程においては、大型の素子基板20を電解槽内で電解液に浸漬した状態で、素子基板20に給電し、陽極酸化を行う。その際、データ線52の金属層13aおよびブリッジ部13cを介して下部電極13bに給電され、それらの下部電極13bの側面には、厚さが20〜40nm程度の第2の酸化膜16b(陽極酸化膜/第2の絶縁膜)が形成される。なお、金属層13aの側面にも第2の酸化膜16bが形成される。
次に、アニール工程において、加熱炉内の水素を含有する雰囲気中で素子基板20を加熱する。その結果、酸化膜16a、16b内の転位や空孔などの欠陥密度が低減されるので、TFD10のI/V値を高くすることができるなどの効果を奏する。
次に、図7(f)に示す上部電極形成工程においては、厚さが100〜500nm程度のCrをスパッタなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、データ線52の最上層としての金属層15c、第1のTFD10aの上部電極15a、および第2のTFD10bの上部電極15bを形成する。以上により、非線形素子であるTFD10(TFD10a、10b)が素子基板20の表面に必要な数だけ形成される。
次に、図7(g)に示すブリッジ部除去工程においては、例えば、ドライエッチングによりブリッジ部13cを大型の素子基板20から除去する。これにより、第1TFD10aおよび第2TFD10bの下部電極13bおよび酸化膜16a、16bが、データ線52から島状に分断される。なお、この工程では、ブリッジ部の他に、給電パターンのうち、大型の素子基板200を切断した際に素子基板20に残ってしまう不要な部分についても除去する。また、必要に応じて、画素電極23に相当する領域の下地層201を除去する。
次に、図7(h)に示す画素電極形成工程において、画素電極23を形成するためのITOをスパッタなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術により、1画素分の大きさに相当する所定形状の画素電極23をその一部が上部電極15bに重なるように形成する。これらの一連の工程により、図3および図4に示すTFD10および画素電極23が形成される。
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、パターニングマスク形成工程において、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成した状態でマスク形成用金属膜18に対してエッチングを行い、このエッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より小サイズ(細幅)のパターニングマスク18aを形成する。このため、このパターニングマスク18aを用いて薄膜パターニング工程でタンタル膜13をパターニングすると、レジストマスク19を形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なパターニングを行うことができる。それ故、本形態によれば、下部電極13bを露光装置の解像度よりも微細な薄膜パターンとして形成できるので、寄生容量の小さなTFD10を製造することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、本形態によれば、下部電極13bの上面に形成された第1の酸化膜16aの膜厚と、下部電極13bの側面に形成された第2の酸化膜16bの膜厚が同等の薄膜ダイオードを製造する際、下部電極13b(薄膜パターン)を構成する金属膜と、パターニングマスク18aを構成する材料とが直接、接触しない。このため、下部電極13bの上面がパターニングマスク18aを構成する材料によって汚染されることがないので、電気特性や信頼性の高い非線形素子を製造することができる。
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の製造方法のうち、TFDおよび画素電極の製造工程を示す説明図であり、その左側には断面図を示し、右側には平面図を示してある。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と共通しているので、共通する部分には同一の符号を付して説明する。
実施の形態1で製造したTFDの寄生容量を低減することを目的に、下部電極の上面に分厚い絶縁膜を形成し、下部電極の上面に寄生する容量成分を無視できる構成を採用する場合があり、このような構成のTFDの製造に本発明を適用した例を以下に説明する。
本形態では、まず、図8(a)に示すように、大型の素子基板20の表面全体に、厚さが50〜200nm程度のタンタル酸化物などの絶縁膜を一様な厚さに成膜して下地層201を形成した後、厚さが100〜150nm程度のタンタル膜13(薄膜)をスパッタ法などによって一様な厚さで形成する。
次に、陽極酸化法によりタンタル膜13の表面全体に厚さが50nm〜100nmの分厚い第1の酸化膜17(陽極酸化膜/第1の絶縁膜)を形成する。
次に、大型の素子基板20の表面全体に対して、スパッタ法などにより、タンタル膜13の上層側にクロム膜などからなるマスク形成用金属膜18を形成する(マスク形成用金属膜形成工程)。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成する(レジストマスク形成工程)。ここで、レジストマスク19は、後述するパターニングマスク(図8(a)の右側に一点鎖線18a′で示す)よりもややサイズが大きく、幅が広い。
次に、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成した状態でマスク形成用金属膜19に対してエッチングを行い、図8(b)に示すように、このエッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より小サイズ(細幅)のパターニングマスク18aを形成する(パターニングマスク形成工程)。このパターニングマスク形成工程では、エッチングとしてウエットエッチングを行う。ウエットエッチングであれば、サイドエッチングが起こりやすく、かつ、エッチング中、レジストマスク19がエッチングされない。
次に、レジストマスク19を除去する(レジストマスク除去工程)。
次に、クロムからなるパターニングマスク18aを第1の酸化膜17の上層に形成した状態で、第1の酸化膜17およびタンタル膜13にドライエッチングを施す。その結果、図8(c)に示すように、分厚い第1の酸化膜17aを上層に備えた下部電極13b(薄膜パターン)と、データ線52の下層側を構成する金属層13aとが形成され、この金属層13aの上層にも分厚い第1の酸化膜17aが形成されている。
次に、図8(d)に示すように、ウエットエッチングあるいはドライエッチングにより、パターニングマスク18aを除去する(パターニングマスク除去工程)。
この状態で、データ線52の金属層13aと下部電極13bとはブリッジ部13cで繋がっているので、図8(e)に示す絶縁層形成工程においては、大型の素子基板20を電解槽内で電解液に浸漬した状態で、素子基板20に給電し、陽極酸化を行う。その際、データ線52の金属層13aおよびブリッジ部13cを介して下部電極13bに給電され、それらの下部電極13bの側面には、厚さが20〜40nm程度の薄い第2の酸化膜14(陽極酸化膜/第2の絶縁膜)が形成される。なお、金属層13aの側面にも薄い酸化膜14が形成される。
次に、アニール工程において、加熱炉内の水素を含有する雰囲気中で素子基板20を加熱する。その結果、第2の酸化膜14内の転位や空孔などの欠陥密度が低減されるので、TFD10のI/V値を高くすることができるなどの効果を奏する。
次に、図8(f)に示す上部電極形成工程においては、厚さが100〜500nm程度のCrをスパッタなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、データ線52の最上層としての金属層15c、第1のTFD10aの上部電極15a、および第2のTFD10bの上部電極15bを形成する。以上により、非線形素子であるTFD10(TFD10a、10b)が素子基板20の表面に必要な数だけ形成される。
次に、図8(g)に示すブリッジ部除去工程においては、例えば、ドライエッチングによりブリッジ部13cを大型の素子基板20から除去する。これにより、第1TFD10aおよび第2TFD10bの下部電極13bおよび酸化膜14、17が、データ線52から島状に分断される。なお、この工程では、ブリッジ部の他に、給電パターンのうち、大型の素子基板200を切断した際に素子基板20に残ってしまう不要な部分についても除去する。また、必要に応じて、画素電極23に相当する領域の下地層201を除去する。
次に、図8(h)に示す画素電極形成工程において、画素電極23を形成するためのITOをスパッタなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術により、1画素分の大きさに相当する所定形状の画素電極23をその一部が上部電極15bに重なるように形成する。これらの一連の工程により、図3および図4に示すTFD10および画素電極23が形成される。
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、パターニングマスク形成工程において、マスク形成用金属膜18の上層にレジストマスク19を形成した状態でマスク形成用金属膜18に対してエッチングを行い、このエッチングの際のサイドエッチングにより、レジストマスク19より小サイズ(細幅)のパターニングマスク18aを形成する。このため、このパターニングマスク18aを用いて薄膜パターニング工程でタンタル膜13をパターニングすると、レジストマスク19を形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なパターニングを行うことができる。それ故、本形態によれば、下部電極13bを露光装置の解像度よりも微細な薄膜パターンとして形成できるので、寄生容量の小さなTFD10を製造することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、本形態では、下部電極13bの上面に分厚い酸化膜17aが形成されているので、下部電極13aの上面に寄生する容量成分を無視できる。
[実施の形態1、2の変形例]
なお、実施の形態2、3では、パターニングマスク18aを構成するクロム膜については、タンタル膜13のパターニング後、除去したが、その一部をそのまま残して、データ線52や上部電極13a、10bとして用いてもよい。
また、上記形態では、TFD10が2つのTFD10a、10bからなるBack−to−Back構造を有するため、ブリッジ部15cの形成およびその除去が必要であったが、TFD10を1つの素子から構成した場合には、パターニングマスク18aを構成するクロム膜をそのままデータ線や上部電極として残してもよい。
また、上記形態では、酸化膜14、16、16b、17のいずれをも陽極酸化により形成したが、CVD法などを用いて、酸化膜14、16、16b、17を形成してもよい。特に酸化膜17を分厚く形成したい場合にはCVD法が適している。
[その他の電気光学装置および非線形素子の例]
図9(a)、(b)は、TFTの平面図および断面図である。上記形態では、非線形素子としてTFDの製造に本発明を適用したが、非線形素子としてTFTの製造およびそれを画素スイッチング素子として用いた電気光学装置の製造に本発明を適用してもよい。すなわち、図9(a)、(b)に示すように、TFT160は、基板上にシリコン膜などの半導体膜161、ゲート絶縁膜162、ゲート電極163および層間絶縁膜164がこの順に積層され、かつ、層間絶縁膜164のコンタクトホールを介して、ソース電極165がソース領域166に接続し、ドレイン電極167がドレイン領域168に接続している。なお、半導体膜161において、ゲート絶縁膜162を介して対向する部分はチャネル領域169である。このような構成のTFT160も、島状の半導体膜161を形成する際には、基板の全面に半導体膜を形成した後、パターニングするので、かかるパターニングに本発明を適用すれば、レジストマスクを形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細な半導体膜161にパターニングできる。それ故、TFT160の小型化やチャネル幅の圧縮を図ることができる。また、ゲート電極163を形成する際にも、基板の全面に金属膜やドープト半導体膜を形成した後、パターニングするので、かかるパターニングに本発明を適用すれば、レジストマスクを形成する際に用いる露光装置の解像度によりも微細なゲート電極163にパターニングできる。それ故、チャネル長の圧縮を図ることができる。
このようなTFTを用いた電気光学装置としては、図10および図11を参照して以下に説明する電気光学装置がある。
図10は、画素スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型の液晶装置(電気光学装置)の構成を模式的に示すブロック図である。図11は、電気光学物質として電荷注入型の有機薄膜を用いたエレクトロルミネッセンス素子を備えたアクティブマトリクス型電気光学装置のブロック図である。
図10に示すように、画素スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型液晶装置からなる電気光学装置100bでは、マトリクス状に形成された複数の画素の各々に、画素電極109aを制御するための画素スイッチング用のTFT130bが形成されており、画像信号を供給するデータ線106bが当該TFT130bのソースに電気的に接続されている。データ線106bに書き込む画像信号は、データ線駆動回路102bから供給される。また、TFT130bのゲートには走査線131aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線131aにパルス的に走査信号が走査線駆動回路103bから供給される。画素電極109aは、TFT130bのドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT130bを一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線106bから供給される画像信号を各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極109aを介して液晶に書き込まれた所定レベルのサブ画像信号は、対向基板(図省略)に形成された対向電極との間で一定期間保持される。ここで、保持されたサブ画像信号がリークするのを防ぐことを目的に、画素電極109aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量170b(キャパシタ)を付加することがある。この蓄積容量170bによって、画素電極109aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置が実現できる。なお、蓄積容量170bを形成する方法としては、容量を形成するための配線である容量線132bとの間に形成する場合、あるいは前段の走査線131aとの間に形成する場合もずれであってもよい。
図11に示すアクティブマトリクス型電気光学装置100pは、有機半導体膜に駆動電流が流れることによって発光するEL(エレクトロルミネッセンス)素子、またはLED(発光ダイオード)素子などの発光素子をTFTで駆動制御するアクティブマトリクス型の表示装置であり、このタイプの表示装置に用いられる発光素子はいずれも自己発光するため、バックライトを必要とせず、また、視野角依存性が少ないなどの利点がある。
ここに示す電気光学装置100pでは、複数の走査線103pと、この走査線103pの延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線106pと、これらのデータ線106pに並列する複数の共通給電線123pと、データ線106pと走査線103pとの交差点に対応する画素115pとが構成されている。データ線106pに対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路101pが構成されている。走査線103pに対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査線駆動回路104pが構成されている。また、画素115pの各々には、走査線103pを介して走査信号がゲート電極に供給される第1のTFT131pと、この第1のTFT131pを介してデータ線106pから供給される画像信号を保持する保持容量133pと、この保持容量133pによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2のTFT132pと、第2のTFT132pを介して共通給電線123pに電気的に接続したときに共通給電線123pから駆動電流が流れ込む発光素子140pとが構成されている。発光素子140pは、画素電極の上層側には、正孔注入層、有機エレクトロルミネッセンス材料層としての有機半導体膜、リチウム含有アルミニウム、カルシウムなどの金属膜からなる対向電極が積層された構成になっており、対向電極は、データ線106pなどを跨いで複数の画素115pにわたって形成されている。
また、非線形素子を備えた電気光学装置としては、これに限られるものではなく、例えば、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出素子を用いた装置(Field Emission Display およびSurface−Conduction Electron−Emitter Displayなど)などの各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
[電子機器への搭載例]
本発明を適用した電気光学装置は、携帯電話機やモバイル型のパーソナルコンピュータの他、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルなどの電子機器に適用できる他、30インチを越えるような大画面を備えた電子機器を構成するのに用いることもできる。
画素スイッチング素子としてTFDを用いた電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。 図1に示す電気光学装置の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示す電気光学装置において、非線形素子を含む数画素分のレイアウトを示す平面図である。 図1に示す電気光学装置において、各画素に形成された非線形素子の説明図である。 図1に示す電気光学装置の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造工程のうち、素子基板形成工程の一部を示す工程断面図である。 本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の製造工程のうち、素子基板形成工程の一部を示す工程断面図である。 本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の製造工程のうち、素子基板形成工程の一部を示す工程断面図である。 (a)、(b)は、TFTの平面図および断面図である。 画素スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型の液晶装置(電気光学装置)の構成を模式的に示すブロック図である。 電気光学物質として電荷注入型の有機薄膜を用いたエレクトロルミネッセンス素子を備えたアクティブマトリクス型電気光学装置のブロック図である。 従来の電気光学装置の製造工程のうち、素子基板形成工程の一部を示す工程断面図である。 従来の電気光学装置の製造工程のうち、別の素子基板形成工程の一部を示す工程断面図である。
符号の説明
10、10a、10b・・TFD(非線形素子)、13・・タンタル膜(薄膜)、13b・・下部電極(薄膜パターン)、14、16、16a・・第2の酸化膜(第2の絶縁膜)、15a、15b・・上部電極、17、17a、16b・・第1の酸化膜(第1の絶縁膜)、18・・マスク形成用金属膜、19・・レジストマスク、18a・・パターニングマスク、20・・素子基板、100、100b、100p・・電気光学装置、160 TFT(非線形素子)

Claims (12)

  1. 少なくとも、金属膜あるいは半導体膜からなる薄膜の上層側にパターニングマスクを形成した状態で前記薄膜をエッチングして非線形素子を形成するための薄膜パターンを得る薄膜パターニング工程を有する非線形素子の製造方法において、
    前記薄膜の上層側にマスク形成用金属膜を形成するマスク形成用金属膜形成工程と、
    前記マスク形成用金属膜の上層に前記パターニングマスクより大きいサイズのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程と、
    前記マスク形成用金属膜の上層に前記レジストマスクを形成した状態で前記マスク形成用金属膜に対してエッチングを行い、当該エッチングの際のサイドエッチングにより、前記レジストマスクより小さいサイズの前記パターニングマスクを形成するパターニングマスク形成工程とを行い、
    当該パターニングマスク形成工程後に、前記薄膜パターニング工程を行って前記薄膜パターンを得ることを特徴とする非線形素子の製造方法。
  2. 前記パターニングマスク形成工程を行った後、前記薄膜パターニング工程を行う前に、前記レジストマスクを除去するレジストマスク除去工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の非線形素子の製造方法。
  3. 前記パターニングマスク形成工程では、前記エッチングとしてウエットエッチングを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の非線形素子の製造方法。
  4. 前記薄膜は、前記非線形素子としての薄膜ダイオードにおいて下部電極を構成するための金属膜であり、
    前記薄膜パターニング工程によって、前記薄膜パターンとして前記下部電極を形成し、
    前記薄膜パターニング工程を行った後、前記下部電極の上面および側面に絶縁膜を形成し、
    当該絶縁膜形成後に、前記絶縁膜の上層側に当該絶縁膜を介して前記下部電極に対向する上部電極を形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  5. 前記薄膜は、前記非線形素子としての薄膜ダイオードにおいて下部電極を構成するための金属膜であり、
    前記パターニングマスクを形成する前に、当該金属膜の表面に第1の絶縁膜を形成しておき、
    前記薄膜パターニング工程によって、前記第1の絶縁膜を上面に備えた前記下部電極を形成し、
    前記薄膜パターニング工程を行った後、前記下部電極の側面に前記第1の絶縁膜と同等厚の第2の絶縁膜を形成し、
    当該第2の絶縁膜形成後に、前記第1絶縁膜および前記第2の絶縁膜の上層側に前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を介して前記下部電極に対向する上部電極を形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  6. 前記薄膜は、前記非線形素子としての薄膜ダイオードにおいて下部電極を構成するための金属膜であり、
    前記パターニングマスクを形成する前に、当該金属膜の表面に第1の絶縁膜を形成しておき、
    前記薄膜パターニング工程によって、前記第1の絶縁膜を上面に備えた前記下部電極を形成し、
    前記薄膜パターニング工程を行った後、前記下部電極の側面に前記第1の絶縁膜よりも薄い第2の絶縁膜を形成し、
    当該第2の絶縁膜形成後に、前記第1絶縁膜および前記第2の絶縁膜の上層側に前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を介して前記下部電極に対向する上部電極を形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  7. 前記薄膜パターニング工程を行った後、前記上部電極を形成する前に、前記パターニングマスクを除去することを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  8. 前記薄膜パターニング工程を行った後も前記パターニングマスクを残し、当該パターニングマスクの上層に前記上部電極を形成することを特徴とする請求項5または6に記載の非線形素子の製造方法。
  9. 前記絶縁膜は、陽極酸化膜であることを特徴とする請求項4乃至8の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  10. 前記絶縁膜は、CVD膜であることを特徴とする請求項4乃至8の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  11. 前記薄膜パターンは、前記非線形素子としての薄膜トランジスタにおいて能動層を形成する半導体層であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非線形素子の製造方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか一項に記載された製造方法により製造された非線形素子を画素スイッチング素子として用いることを特徴とする電気光学装置。
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