JP2006302905A - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電期間中の発光効率の分布について配慮してAC面放電型PDPの発光効率を向上する。
【解決手段】発光効率の最大値の時刻が、放電電流の最大値の時刻より後にずれていたのを、放電電流の分布を発光効率の分布と対応させる方向で、放電電流の最大値の時刻以前の放電電流を小さくする。
【選択図】 図7
【解決手段】発光効率の最大値の時刻が、放電電流の最大値の時刻より後にずれていたのを、放電電流の分布を発光効率の分布と対応させる方向で、放電電流の最大値の時刻以前の放電電流を小さくする。
【選択図】 図7
Description
本発明はプラズマディスプレイパネル(以降PDPと略す)を用いたプラズマディスプレイ装置に関する。
近年、大型でかつ厚みの薄いカラー表示装置として、AC面放電型PDPを用いたプラズマディスプレイ装置が期待されている。AC面放電型PDPの構造は次のとおりである。この種のPDPの多くは3電極構造を採っている。また、2枚の基板、すなわち前面ガラス基板および背面ガラス基板が所定間隙を介して対向配置されている。表示面としての前面ガラス基板の内面(背面ガラス基板と対向する面)には、互いに対となっている複数の行電極対が形成されている。行電極は誘電体により覆われている。背面ガラス基板には、蛍光体が塗布された複数の列電極が形成されている。列電極が誘電体に覆われることもある。表示面側から見て、一つの行電極対と一つの列電極の交差部が放電セルとなっている。両基板間には放電ガス(He,Ne,Xe,Ar等の混合ガスを用いるのが一般的)が封入されており、電極間に印加する電圧パルスによって放電を起こして、励起された放電ガスから発生する紫外線を蛍光体によって可視光に変換する。カラー表示の場合には、通常3種のセルを一組として1画素を構成する。行電極は、主たる表示発光のための維持放電を行なうので維持放電電極と称す。
ところで、このようなPDPを用いてディスプレイの大型化を実現しようとすると、電極に供給する電流量が増加することになり、これに応じて消費電力が増大するという問題が発生する。この消費電力の低減には、PDPの放電における発光効率の向上が有効である。
また、最近望まれているディスプレイの高精細化(画素数の増加)を考慮し、セルの寸法を減少させた場合、プラズマ形成のエネルギー損失が増加する結果、発光効率が低下するという問題がある。
発光効率を向上させる従来技術としては、維持放電電極の大きさや形状を工夫したものとして特開平8-22772号公報、特開平3-187125号公報がある。また,維持放電電極を覆う誘電体の材質を工夫したものとして特開平7-262930号公報、特開平8-315734号公報がある。
上記従来技術におけるAC面放電型PDPの発光効率の向上には、放電期間中の発光効率の分布についての配慮がなされていない。
本発明は、上記従来技術において、発光効率の最大値の時刻が放電電流の最大値の時刻より後にずれている、という発光効率の分布の特徴を見い出し、放電電流の分布を発光効率の分布と対応させる方向で、従来技術における放電電流の最大値の時刻以前の放電電流を小さくしたものである。
具体的には、次のとおりである。
(1)複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、1放電における放電電流の最大値の5%以上の放電電流値を有する期間を1放電期間としたとき、1放電期間の最初から40%までの期間における放電電流の積分値を、それ以降の期間における放電電流の積分値より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(2)複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、1放電における放電電流の最大値の5%以上の放電電流値を有する期間を1放電期間としたとき、1放電期間内における放電電流の最大値および発光効率の最大値が、最初から40%の時刻より後の期間に存在するようにしたプラズマディスプレイ装置。
(3)複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、維持放電電極の放電ギャップ側から維持放電電極対を結ぶ方向の維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、維持放電電極対の少なくとも一方は、第1の部分の面積と第2の部分の面積との比を1.4より小さく、かつ維持放電電極対を結ぶ方向と垂直の方向の第2の部分の側面が放電セルの境界に接するようにしたプラズマディスプレイ装置。
(4)上記(3)において、第1の部分の面積と第2の部分の面積との比を1より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(5)少なくとも一方向に隔壁を有する複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、維持放電電極の放電ギャップ側から維持放電電極対を結ぶ方向の維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、維持放電電極対の少なくとも一方は、第1の部分の面積と第2の部分の面積との比を1.4より小さく、かつ維持放電電極対を結ぶ方向と垂直の方向の第2の部分の側面が隔壁に接するようにしたプラズマディスプレイ装置。
(6)上記(5)において、第1の部分の面積と第2の部分の面積との比を1より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(7)上記(5)又は(6)において、維持放電電極対を結ぶ方向の隣接する放電セル間に、部分的な隔壁を設けたプラズマディスプレイ装置。
(8)上記(3)乃至(7)のいずれか一において、維持放電電極幅を50μm以上300μm以下にしたプラズマディスプレイ装置。
(9)上記(3)乃至(8)のいずれか一において、第1の部分に少なくとも1つ以上の突起を設けたプラズマディスプレイ装置。
(10)上記(3)乃至(8)のいずれか一において、第1の部分に孔を開けたプラズマディスプレイ装置。
(11)上記(3)乃至(10)のいずれか一において、第2の部分との境界から延在した第1の部分の一部分の側面が放電セルの境界または隔壁に接するようにし、第2の部分の少なくとも一部を透明電極と不透明電極の積層構造とし、この積層構造を第1の部分の一部分の一部まで最大限延ばし、維持放電電極の積層構造以外の部分を透明電極としたプラズマディスプレイ装置。
(12)上記(3)乃至(11)のいずれか一において、第2の部分との境界から延在した第1の部分の一部分の側面が放電セルの境界または上記隔壁に接するようにし、この一部分と第2の部分の維持放電電極対を結ぶ方向の幅の合計を、維持放電電極幅の3分の1から3分の2の範囲としたプラズマディスプレイ装置。
(13)複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、維持放電電極の放電ギャップ側から維持放電電極対を結ぶ方向の維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、維持放電電極対の少なくとも一方は、第1の部分とこの部分に対向する放電セルにおける放電空間との間の誘電体とで構成される第1の電気容量と、第2の部分とこの部分に対向する放電セルにおける放電空間との間の誘電体とで構成される第2の電気容量との比を1.4より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(14)上記(13)において、第1の電気容量と第2の電気容量との比を1より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(15)少なくとも一方向に隔壁を有する複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、維持放電電極の放電ギャップ側から維持放電電極対を結ぶ方向の維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、維持放電電極対の少なくとも一方は、第1の部分とこの部分に対向する放電セルにおける放電空間との間の誘電体とで構成される第1の電気容量と、第2の部分とこの部分に対向する放電セルにおける放電空間との間の誘電体とで構成される第2の電気容量との比を1.4より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(16)上記(15)において、第1の電気容量と第2の電気容量との比を1より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(17)上記(15)又は(16)において、維持放電電極対を結ぶ方向の隣接する放電セル間に、部分的な隔壁を設けたプラズマディスプレイ装置。
(18)上記(13)乃至(17)のいずれか一において、第1の電気容量を構成する誘電体の平均的誘電率を、第2の電気容量を構成する誘電体の平均的誘電率より小さくしたプラズマディスプレイ装置。
(19)上記(18)において、第2の部分との境界から延在した第1の部分の一部分の側面が放電セルの境界または上記隔壁に接するようにし、第2の部分の少なくとも一部を透明電極と不透明電極の積層構造とし、この積層構造を第1の部分の一部分の一部まで最大限ばし、維持放電電極の積層構造以外の部分を透明電極とし、積層構造の部分とこの部分に対向する放電セルにおける放電空間との間の誘電体の平均的誘電率を、第1の電気容量を構成する誘電体の平均的誘電率より大きくしたプラズマディスプレイ装置。
(20)上記(13)乃至(19)のいずれか一において、維持放電電極幅を50μm以上300μm以下としたプラズマディスプレイ装置。
本発明によれば、PDPの発光効率の向上が可能となり、PDPの消費電力を低減できる。
まず、従来のAC面放電型PDPにおいて、発光効率の最大値の時刻が放電電流の最大値の時刻より後にずれている、という発光効率の分布の特徴を見い出した経緯を説明する。
従来から、図2に示すような3電極構造のAC面放電型PDPが知られている。前面ガラス基板21の下面には、透明な共通電極22-1、22-2……(以降X電極と称す)と、透明な独立電極23-1、23-2……(以降Y電極と称す)が設けられている。X電極とY電極とで、維持放電電極対を構成している。 また、X電極とY電極には、それぞれ不透明なバス電極24-1、24-2……と25-1、25-2……が積層して設けられている。さらに、X電極、Y電極、バス電極は誘電体26によって被覆されており、さらに酸化マグネシウム(MgO)等の保護層27が設けられている。
一方、背面ガラス基板28の上面には、X電極22-1乃至22-2、Y電極23-1乃至23-2と直角に立体的に交差する複数の電極29(以降A電極と称す)が付設されている。このA電極29は誘電体30によって被覆され、この誘電体30の上には複数の隔壁31がA電極29の間に設けられている。さらに、隔壁31の壁面と誘電体30の上面によって形成される凹領域には蛍光体32が塗布されている。この構成において、維持放電電極対とA電極との交差部が1つの放電セルに対応しており、放電セルは二次元状に配列されている。また、
維持放電電極の幅は通常50μmから300μmである。
維持放電電極の幅は通常50μmから300μmである。
図2中の矢印D1の方向から見た放電セル1個分の断面図を図3に示す。放電空間33にはプラズマを生成するためのガスが充填されている。尚、本例では放電空間33は隔壁31により空間的に区切られているが、隔壁31と前面ガラス基板21の放電空間側面との間に間隙を設け空間的に連続されることもある。
図2中の矢印D2の方向から見た放電セル1個分の断面図を図4に示す。セルの境界は概略点線で示す位置である。例えば、A電極29、Y電極23-1に正の電圧、X電極22-1に負の電圧を印加し、この状態でY電極23-1とX電極22-1の間に適当な逆の電圧を印加すると、誘電体26(および保護層27)を介してY電極23-1とX電極22-1の間の放電空間で放電が起こる。符号3は電子、4は正イオン、5は正壁電荷、6は負壁電荷を示す。
このようなPDP100は、プラズマディスプレイ装置102に組み込まれ、そのときのブロック図を図5に示す。駆動回路101は,映像源103から表示画面の信号を受取り,これを図6に示すような駆動電圧に変換してPDP100の各電極に供給する。
図6(A)は、図2に示したPDPに1枚の画を表示するのに要する1TVフィールド期間の駆動電圧のタイムチャートである。図中の(I)に示すように、1TVフィールド期間40は複数の異なる発光回数を持つサブフィールド41〜48に分割されている。
各サブフィールド毎の発光と非発光の選択により階調を表現する。各サブフィールドは、(II)に示すように予備放電期間49、発光する放電セルを規定する書き込み放電期間50、発光表示期間51からなる。
図6(A)は、図2に示したPDPに1枚の画を表示するのに要する1TVフィールド期間の駆動電圧のタイムチャートである。図中の(I)に示すように、1TVフィールド期間40は複数の異なる発光回数を持つサブフィールド41〜48に分割されている。
各サブフィールド毎の発光と非発光の選択により階調を表現する。各サブフィールドは、(II)に示すように予備放電期間49、発光する放電セルを規定する書き込み放電期間50、発光表示期間51からなる。
図6(B)は、図6(A)の書き込み放電期間50においてA電極、X電極、およびY電極に印加される電圧波形を示す。波形52は書き込み放電期間50に於ける1本のA電極に印加する電圧波形、波形53はX電極に印加する電圧波形、54、55はY電極のi番目と(i+1)番目に印加する電圧波形であり、それぞれの電圧はV0,V1,V2(V)である。図6(B)より、Y電極のi行目にスキャンパルス56が印加された時、電圧V0のA電極29との交点に位置するセルではY電極とA電極の間に書き込み放電が起こり、グランド電位のA電極29との交点に位置するセルでは書き込み放電は起こらない。書き込み放電が起こった放電セルでは、放電で生じた電荷がY電極を覆う誘電体および保護層の表面に形成される。この電荷が、維持放電のオンオフを決める。
図6(C)に、図6(A)の発光表示期間51の間に維持放電電極であるX電極とY電極の間に一斉に印加される電圧パルスを示す。X電極には電圧波形58が、Y電極には電圧波形59が印加される。電圧V3(V)のパルスが交互に印加されることにより、X電極とY電極との間の相対電圧は反転を繰り返す。このとき、書き込み放電を起こした放電セルのX電極とY電極の間に維持放電が起こり発光する。
次に、このPDPの一つの放電セルにおける、維持放電電極対の間の1回の維持放電中に発生する放電電流の時間変化、およびその放電中の発光効率の時間変化を求めた結果を、各々図7(A)のグラフ(I)、図7(B)のグラフ(I)に示す。2つのグラフを比較して分かるように、発光効率の最大値の時刻が放電電流の最大値の時刻より後にずれており、放電の前半の時間において発光効率が相対的に低い。
本発明者は、この分布の違いに着目し、放電電流の分布を発光効率の分布と対応させる方向で、従来技術における放電電流の最大値の時刻以前の放電電流を図7(A)のグラフ(II)に示すように小さくし、発光効率を向上させた。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
図1は本発明の実施例1のPDPの構造を示した図であり、図2の中の矢印D3の方向から見たPDPの上面図である。図1には維持放電電極の幅方向が矢印Dで示してある。図1では、維持放電電極すなわち透明なX電極22-1および透明なY電極23-1において、放電ギャップ(維持放電電極対の内側の間隙)側の3分の2の幅の部分の一部を削り込んで突起形状にしたことが特徴である。このPDPは対角25インチのXGAパネルで、維持放電電極の幅Wはそれぞれ110μmであり、隔壁31に挟まれた放電空間の長さLは90μmである。また、X電極22-1とY電極23-1の放電ギャップは60μmである。ここで、維持放電電極の削り込みの深さW1は55μmであり、その突起部分の太さL1は20μmである。
図1は本発明の実施例1のPDPの構造を示した図であり、図2の中の矢印D3の方向から見たPDPの上面図である。図1には維持放電電極の幅方向が矢印Dで示してある。図1では、維持放電電極すなわち透明なX電極22-1および透明なY電極23-1において、放電ギャップ(維持放電電極対の内側の間隙)側の3分の2の幅の部分の一部を削り込んで突起形状にしたことが特徴である。このPDPは対角25インチのXGAパネルで、維持放電電極の幅Wはそれぞれ110μmであり、隔壁31に挟まれた放電空間の長さLは90μmである。また、X電極22-1とY電極23-1の放電ギャップは60μmである。ここで、維持放電電極の削り込みの深さW1は55μmであり、その突起部分の太さL1は20μmである。
このPDPの一つの放電セルにおいて、維持放電電極対の間の1回の維持放電中に発生する放電電流の時間変化のデータを図7(A)に、その放電中の(瞬間的)発光効率の時間変化のデータを図7(B)に示す。図7(A)のグラフ(I)は維持放電電極に形状変更がない従来技術の場合を表わし、グラフ(II)は本実施例の場合を表わす。図7(A)と図7(B)を比較して分かるように放電の前半の時間において発光効率が相対的に低い。より正確には、放電電流がその最大値の5%以上となる期間を放電期間Tdとすると、従来技術では放電期間の初めから約40%の所で放電電流が最大値となり、発光効率は、これより遅れて約60%の所で最大値となる。本発明者は、この放電全体での発光効率(全発光を全電力で割った値)を向上させるためには、放電電流の最大値が生じる時刻を発光効率の最大値が生じる時刻に近付けるようにすること、すなわち相対的に発光効率の低い放電期間の前半の放電電流を減少させることが必要と考えた。ここで、維持放電は、放電ギャップ側から開始され、維持放電電極を覆う誘電体に放電電流による壁電荷を蓄積しながら、次第にその放電強度の中心位置を維持放電電極対の外側に移して進み、壁電荷によって放電空間における電界が打ち消されて終了することが分かっている。このことから本発明者は、放電の時刻と放電場所との間にある程度の対応があり、放電期間の前半の放電電流を減少させるためには放電ギャップ側の維持放電電極の電極面積を減少させて電極容量を減らすことが有効であると考えた。
本実施例において、維持放電電極の放電ギャップ側から一定の太さの突起形状により電極削り込みを行なった部分の相対的幅W1/Wに対して、放電の発光効率および輝度(全発光を1放電時間で割った値)がどう変化するかを、それぞれ図8のグラフ(I)およびグラフ(II)に示す。相対幅W1/Wが約3分の1から3分の2の領域で発光効率は最大となる。(この領域での変化は小さいが、正確には相対幅W1/Wが約1/2の所で発光効率が最大値を取る。)輝度は相対幅W1/Wが約2/3の所まであまり変化していないが、相対幅W1/Wが3分の2を越えると、急激に減少する。これらのことから、維持放電電極のうち放電ギャップ側の幅2/3の領域は放電ギャップ側に近い程発光効率が低く、維持放電電極のうち放電ギャップとは反対側の幅1/3の領域は非常に発光効率が高く、かつその値がほぼ一定であることを推定した。したがって、前者を維持放電電極の第1の部分と称し、後者を維持放電電極の第2の部分と称すると、第1の部分の電極面積を減少させることにより発光効率が向上できることが分かった。特に、第1の部分のうちで電極面積を減少させる部分の相対幅W1/Wを1/3から1/2の範囲にすることが望ましく、これにより総合低下を最小限にして発光効率の向上を最大にできる。通常この場合には、維持放電電極の第1の部分には電極面積を減少させていない部分が透明電極部分になっており、開口率が高い。
本実施例(II)では、図7(A)に示すように発光効率の低い前半の領域において従来技術(I)に対して放電電流(すなわち放電電荷)が約3分の1に減少し、放電電流の最大値の時刻が後ろに移動して発光効率の最大値の時刻に近づいた。
また、図7(B)に示すように、発光効率の最大値も向上した。これから、放電場所毎の発光効率分布の変化は、放電期間中の発光効率の時間分布の変化より大きいことが推定される。以上より、本実施例では放電全体での発光効率が約50%向上する効果があった。
また、図7(B)に示すように、発光効率の最大値も向上した。これから、放電場所毎の発光効率分布の変化は、放電期間中の発光効率の時間分布の変化より大きいことが推定される。以上より、本実施例では放電全体での発光効率が約50%向上する効果があった。
なお、維持放電電極の第1の部分は、その面積が小さい程発光効率を向上させるが、放電の開始電圧を決定する部分なので、その面積を0にすることはできない。また、検討結果から、顕著な発光効率の向上を得るためには、維持放電電極の第1の部分の面積は第2の部分の面積の1.4倍より小さいことが望ましい。
図1の構成から明らかなように、単位幅当たりの電気容量を比べると、第1の部分の単位幅当たり電気容量(C1)は、第2の部分のそれ(C2)より小さくなっている。検討結果では、C1/C2は1/2以下が望ましい。このためにL1/Lを1/2以下にするのが望ましい。
ここで、維持放電電極の第1の部分の突起部分の単位幅当たりの電極面積は従来と比べ約1/4に減少しているのに、図7(A)の放電電流の減少が約1/3と少ない。この理由を述べる。維持放電電極から発生した電界は厚さ25μmの誘電体の層を介してを放電ガスのある空間に漏れる。これにより、放電時に放電ガス中に発生する電子やイオンが感じる実効的な電極面積が、実際の電極面積より若干広がる。この現象は特に電極突起の付け根部分で顕著で、12μm程度周辺に広がる。
すなわち、実際の電気容量が電極面積に比例した値より大きくなるため、放電電流の減少が少なくなったのである。本発明の本質が、維持放電電極の第1の部分の電気容量を第2の部分のそれに対して相対的に小さくすることにあることを確認しておく。したがって、突起部分の付け根だけを図9のように若干削ると良い結果が得られる場合もある。なお、電極突起の付け根の太さL1は製造プロセスの寸法精度が許す範囲で小さい方が良いが、途中で断線しないように注意する必要がある。
すなわち、実際の電気容量が電極面積に比例した値より大きくなるため、放電電流の減少が少なくなったのである。本発明の本質が、維持放電電極の第1の部分の電気容量を第2の部分のそれに対して相対的に小さくすることにあることを確認しておく。したがって、突起部分の付け根だけを図9のように若干削ると良い結果が得られる場合もある。なお、電極突起の付け根の太さL1は製造プロセスの寸法精度が許す範囲で小さい方が良いが、途中で断線しないように注意する必要がある。
なお、本実施例では、維持放電電極対の間に印加する電圧パルスの値をある低い値の範囲に調節することにより、放電する電極領域を第1の部分(ここでは、突起領域)のみに限定して、総合低下させることが可能である。したがって、通常、書き込み放電によって発光させる維持放電パルスの数を調節して表示階調を変化させるが、維持放電パルスの電圧値を変化させることでさらに細かく表示階調を変化させることも可能である。
実施例2
図10は、本発明の実施例2のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向からみたPDPの上面図である。図10では、維持放電電極すなわち透明なX電極22-1および透明なY電極23-1において、第1の部分を削り込んで突起形状にしたこと、およびその突起形状部分を一つのセルに複数個(図10では2個)設置したことが特徴である。
図10は、本発明の実施例2のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向からみたPDPの上面図である。図10では、維持放電電極すなわち透明なX電極22-1および透明なY電極23-1において、第1の部分を削り込んで突起形状にしたこと、およびその突起形状部分を一つのセルに複数個(図10では2個)設置したことが特徴である。
PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の位置合わせ精度が低いときに、図1の実施例では維持放電電極の突起部分がずれて、その一部が隔壁31の上にくることがある。この場合、第1の部分の単位幅当たりの電極面積が少し増えて、発光効率向上の度合が減少する。ところが、図10の実施例のように突起部分をセル内に複数設置すると、前面ガラス基板と背面ガラス基板の位置がずれて一つの突起部分が隔壁31にかかると別の突起部分が放電空間上に入ってくるので、第1の部分の電極面積の変化がほとんどない。すなわち、発光効率の向上度合が上記位置合わせに対して安定になる。したがって、図10に示した本発明の実施例では、前面ガラス基板と背面ガラス基板の合わせのマージンを大きくできる効果がある。
実施例3
図11は本発明の実施例3のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向から見たPDPの上面図である。図11では、維持放電電極すなわちX電極22-1およびY電極23-1において、放電ギャップ側に狭い帯状の領域を残して第1の部分を削り込んで孔あき形状にしたことが特徴である。このPDPは対角25インチのXGAパネルで、維持放電電極の幅Wはそれぞれ110μmであり、隔壁31に挟まれた放電空間の幅Wは90μmである。また、放電ギャップは60μmである。ここで、維持放電電極の削り込みの深さW2は60μmであり、放電ギャップ側に残した帯状の電極の幅W3は5μmである。維持放電電極の放電ギャップ側帯状部分は、放電に関与しない隔壁31の上部で、維持放電電極の第2の部分に接続してあり、その幅L2は20μmである。
したがって、第1の部分の単位幅当たりの電極面積は、第2の部分のそれの約10分の1になっている。ただし、実施例1の説明で述べた通り、誘電体を介した電界の広がりのために、実効的な電極面積はこれほどには減少していない。
図11は本発明の実施例3のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向から見たPDPの上面図である。図11では、維持放電電極すなわちX電極22-1およびY電極23-1において、放電ギャップ側に狭い帯状の領域を残して第1の部分を削り込んで孔あき形状にしたことが特徴である。このPDPは対角25インチのXGAパネルで、維持放電電極の幅Wはそれぞれ110μmであり、隔壁31に挟まれた放電空間の幅Wは90μmである。また、放電ギャップは60μmである。ここで、維持放電電極の削り込みの深さW2は60μmであり、放電ギャップ側に残した帯状の電極の幅W3は5μmである。維持放電電極の放電ギャップ側帯状部分は、放電に関与しない隔壁31の上部で、維持放電電極の第2の部分に接続してあり、その幅L2は20μmである。
したがって、第1の部分の単位幅当たりの電極面積は、第2の部分のそれの約10分の1になっている。ただし、実施例1の説明で述べた通り、誘電体を介した電界の広がりのために、実効的な電極面積はこれほどには減少していない。
このPDPの維持放電電極間の放電における放電電流の時間変化の測定結果を図12(A)に示す。また、発光効率の時間変化を図12(B)に示す。図12(A)のグラフ(I)は維持放電電極に形状変更がない従来技術の場合を表わし、グラフ(II)は本実施例の場合を表わす。図12(A)と図12(B)を比較して分かるように放電の前半の時間において発光効率が相対的に低い。この時間領域は維持放電電極の第1の部分に相当している。図12(A)に示すように、発光効率の低い前半の領域において、本実施例(II)では、形状変更がない従来技術の場合(I)に対して放電電流が約5分の1に減少した。これにより、本実施例では放電全体での発光効率が約60%向上する効果があった。
本実施例では、維持放電電極の放電ギャップ側が一繋がりの帯状になっている。このため、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の位置合わせ精度が多少低くても、A電極と維持放電電極との相対位置関係が変化しないので、A電極とY電極との間の書き込み放電(アドレス放電)の不良が起きにくい効果がある。
実施例4
図13は、本発明の実施例4のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向から見たPDPの上面図である。ここでは、放電空間上で第1の部分と第2の部分とに分離した維持放電電極(X電極22-1とY電極23-1)の部分を接続する太さL2の電極部分を一つおきのセルの隔壁31の上に設置したことが特徴である。さらに特徴的なことは、上記接続部分の設置場所を、維持放電電極の対、すなわちX電極22-1とY電極23-1との間で、セル一つ分の位相をずらして互い違いにしたことである。
図13は、本発明の実施例4のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向から見たPDPの上面図である。ここでは、放電空間上で第1の部分と第2の部分とに分離した維持放電電極(X電極22-1とY電極23-1)の部分を接続する太さL2の電極部分を一つおきのセルの隔壁31の上に設置したことが特徴である。さらに特徴的なことは、上記接続部分の設置場所を、維持放電電極の対、すなわちX電極22-1とY電極23-1との間で、セル一つ分の位相をずらして互い違いにしたことである。
ここで、図11の実施例では、放電空間上で第1の部分と第2の部分とに分離した維持放電電極の部分を接続する太さL2の電極部分が、全てのセル毎に隔壁31の上に設置してある。この接続部分の目的は、第1の部分の電位がバス電極を含む第2の部分の電位と同じになるようにすることにある。したがって、この接続部分を幾つかのセルの間隔をあけて隔壁31の上に設置しても良い。ただし、セル間隔をあまり大きくあけて上記接続部分を設置すると、第1の部分の帯状電極部分での電圧効果が顕著になるので、間隔は数10セル以下が望ましい。図13に示した実施例はこれらを考慮してある。
また、先程述べたように、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の位置合わせ精度が低くいときに、上記接続部分が隔壁31から部分的にはずれて、その一部が放電空間の上にくることがある。この場合、第1の部分の単位幅当たりの電極面積が少し増えて、発光効率向上の度合が減少する。PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板の位置合わせが一定量ずれたことを想定して、図11の場合と図13の場合を比較すると、後者における第1の部分の電極面積のセル毎の増加は前者のそれの半分で済む。したがって、図13に示した本発明の実施例では、前面ガラス基板と背面ガラス基板の合わせのマージンが大きくできる効果がある。
実施例5
図14は本発明の実施例5のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向から見たPDPの上面図である。図14では、維持放電電極すなわちX電極22-1およびY電極23-1において、放電ギャップ側に狭い領域を残して第1の部分を削り込んで孔あき形状にしたことが特徴である。このPDPは対角42インチのVGAパネルで、維持放電電極の幅Wはそれぞれ200μmであり、隔壁31に挟まれた放電空間の幅Lは400μmである。また、放電ギャップは60μmである。ここで、維持放電電極の削り込みの深さW2は90μmであり、放電ギャップ側に残した帯状の電極の幅W3は10μmである。維持放電電極の放電ギャップ側帯状部分は、放電に関与しない隔壁31の上の部分で、維持放電電極の第2の部分に接続してあり、その幅L2は20μmである。
本実施例でさらに特徴的なのは、維持放電電極の第2の部分から放電ギャップ側帯状に向かって突起上の部分を設けたことである。この電極部の大きさは、L3が10μm、W4は20μmである。したがって、第1の部分の単位幅当たりの電極面積は、第2の部分のそれの約5分の1になっている。ただし、実施例1の説明で述べた通り、誘電体を介した電界の広がりのために、実効的な電極面積はこれほどには減少していない。このPDPの維持放電電極間の放電における放電電流は放電の前半の時間において約5分の1に減少した。これにより、本実施例では放電全体での発光効率が約70%向上する効果があった。
図14は本発明の実施例5のPDPの構造を示した図であり、図1と同様な方向から見たPDPの上面図である。図14では、維持放電電極すなわちX電極22-1およびY電極23-1において、放電ギャップ側に狭い領域を残して第1の部分を削り込んで孔あき形状にしたことが特徴である。このPDPは対角42インチのVGAパネルで、維持放電電極の幅Wはそれぞれ200μmであり、隔壁31に挟まれた放電空間の幅Lは400μmである。また、放電ギャップは60μmである。ここで、維持放電電極の削り込みの深さW2は90μmであり、放電ギャップ側に残した帯状の電極の幅W3は10μmである。維持放電電極の放電ギャップ側帯状部分は、放電に関与しない隔壁31の上の部分で、維持放電電極の第2の部分に接続してあり、その幅L2は20μmである。
本実施例でさらに特徴的なのは、維持放電電極の第2の部分から放電ギャップ側帯状に向かって突起上の部分を設けたことである。この電極部の大きさは、L3が10μm、W4は20μmである。したがって、第1の部分の単位幅当たりの電極面積は、第2の部分のそれの約5分の1になっている。ただし、実施例1の説明で述べた通り、誘電体を介した電界の広がりのために、実効的な電極面積はこれほどには減少していない。このPDPの維持放電電極間の放電における放電電流は放電の前半の時間において約5分の1に減少した。これにより、本実施例では放電全体での発光効率が約70%向上する効果があった。
ここで、維持放電電極の第2の部分から延ばされた部分に設けた突起状部分の役割について述べる。この電極部分は、維持放電電極にあけた孔の幅(=W2-W3)が広いときに、維持放電電極の放電ギャップ側で生じた放電が第2の部分に移行するのを助ける役目を果たす。維持放電電極にあけた孔の幅(=W2-W3)が広い場合には、この電極部分のW4を伸ばして、完全に第1の部分の放電ギャップ側帯状電極部分へ接続しても良い。また、この接続を行う場合には、図15に示すように、隔壁31上で第1の部分と第2の部分を接続する電極部分を省略しても良い。
実施例6
図16は本発明の実施例6のPDPの構造を示した図であり、図2の矢印D2の方向から見たPDPの断面図である。本実施例の特徴は、維持放電電極の容量を変化させるために、維持放電電極を覆う誘電体の誘電率を変化させたことにある。図16において、維持放電は、X電極22-1およびXバス電極24-1(全体で維持放電電極1)の下部からY電極23-1およびYバス電極25-1(全体で維持放電電極2)の下部までの間の放電ガスが満たされた空間33で主として生じる。ここで、ガラスで形成された誘電体26の層の中で、Xバス電極24-1の下部およびYバス電極25-1の下部は強誘電体300および301で置き換えてある。強誘電体300および301は反強磁性を持つジルコン酸鉛(PbZrO3)であり、その誘電率は、誘電体26に使った誘電率の比較的高いガラスの5倍程度ある。これにより維持放電電極の第2の部分の電気容量が通常の場合の約5倍になっている。ジルコン酸鉛の変わりに、誘電率の大きなガラスや、さらに誘電率の大きなチタン酸バリウム(BaTiO3)等の材料を用いることもできる。また、X電極22-1およびY電極23-1の第1の部分には実施例1と同様の加工が施してある。これらの工夫により本実施例では放電全体での発光効率が約90%向上するとともに輝度が約3倍に向上する効果があった。
図16は本発明の実施例6のPDPの構造を示した図であり、図2の矢印D2の方向から見たPDPの断面図である。本実施例の特徴は、維持放電電極の容量を変化させるために、維持放電電極を覆う誘電体の誘電率を変化させたことにある。図16において、維持放電は、X電極22-1およびXバス電極24-1(全体で維持放電電極1)の下部からY電極23-1およびYバス電極25-1(全体で維持放電電極2)の下部までの間の放電ガスが満たされた空間33で主として生じる。ここで、ガラスで形成された誘電体26の層の中で、Xバス電極24-1の下部およびYバス電極25-1の下部は強誘電体300および301で置き換えてある。強誘電体300および301は反強磁性を持つジルコン酸鉛(PbZrO3)であり、その誘電率は、誘電体26に使った誘電率の比較的高いガラスの5倍程度ある。これにより維持放電電極の第2の部分の電気容量が通常の場合の約5倍になっている。ジルコン酸鉛の変わりに、誘電率の大きなガラスや、さらに誘電率の大きなチタン酸バリウム(BaTiO3)等の材料を用いることもできる。また、X電極22-1およびY電極23-1の第1の部分には実施例1と同様の加工が施してある。これらの工夫により本実施例では放電全体での発光効率が約90%向上するとともに輝度が約3倍に向上する効果があった。
ここで、強誘電体300および301は不透明であるが、バス電極も不透明であるため、蛍光体32から前面ガラス基板21への可視発光の透過を妨げる効果は現われない。なお、強誘電体300および301とバス電極24-1および25-1のエッチングは一括で行なわれており、自己整合(セルフアライメント)がなされている。
本実施例でもう一つ特徴的なのは、図16の中で点線で示される放電セルの境界において、誘電体26を低誘電体(誘電率の低い誘電体)302および303に置き換えていることである。この誘電体は熔融石英(SiO2)であり、誘電体26に比べ誘電率が約3分の1である。これにより、放電セル境界の放電空間に漏れる電界が減少するので、放電セル間のクロストークが減少する効果がある。
なお、本実施例では、誘電体の誘電率を部分的に高く変更したが、誘電体の厚みを薄く変更することでも同様の効果が得られる。ただし、その場合には、誘電体の絶縁耐圧の維持や、A電極と維持放電電極(X電極およびY電極)との放電条件の変化に注意をはらう必要がある。
実施例7
図17は本発明の実施例7のPDPの構造を示した図であり、図16と同様な方向から見たPDPの断面図である。本実施例の特徴は、維持放電電極の容量を変化させるために、維持放電電極を覆う誘電体の誘電率を変化させたことにある。図17において、維持放電は、X電極22-1およびXバス電極24-1(全体で維持放電電極1)の下部からY電極23-1およびYバス電極25-1(全体で維持放電電極2)の下部までの間の放電ガスが満たされた空間33で主に生じる。ここで、ガラスで形成された誘電体26の層の中で、X電極22-1の下部およびY電極23-1の下部の放電ギャップ側の幅2分の1の領域(第1の部分の一部)は低誘電体(低誘電率の誘電体)304および305で置き換えてある。低誘電体304および305は透明な熔融石英(SiO2)であり、その誘電率は誘電体26の約3分の1である。これにより維持放電電極の第1の部分の電気容量が約3分の1になって、その分の放電電流が減少した。本実施例では放電全体での発光効率が約20%向上する効果があった。
図17は本発明の実施例7のPDPの構造を示した図であり、図16と同様な方向から見たPDPの断面図である。本実施例の特徴は、維持放電電極の容量を変化させるために、維持放電電極を覆う誘電体の誘電率を変化させたことにある。図17において、維持放電は、X電極22-1およびXバス電極24-1(全体で維持放電電極1)の下部からY電極23-1およびYバス電極25-1(全体で維持放電電極2)の下部までの間の放電ガスが満たされた空間33で主に生じる。ここで、ガラスで形成された誘電体26の層の中で、X電極22-1の下部およびY電極23-1の下部の放電ギャップ側の幅2分の1の領域(第1の部分の一部)は低誘電体(低誘電率の誘電体)304および305で置き換えてある。低誘電体304および305は透明な熔融石英(SiO2)であり、その誘電率は誘電体26の約3分の1である。これにより維持放電電極の第1の部分の電気容量が約3分の1になって、その分の放電電流が減少した。本実施例では放電全体での発光効率が約20%向上する効果があった。
なお、本実施例では、誘電体の誘電率を部分的に低く変更したが、誘電体の厚みを厚く変更することでも同様の効果が得られる。
また、実施例6および実施例7では具体的構造について述べたが、本発明の技術の基本的な内容は、図2における誘電体26の誘電率を場所によって変化させることである。
実施例8
図18は本発明の実施例4を示した図であり、図1と同様の方向から見たPDPの上面図である。本実施例のPDPの構造および大きさは図1とほぼ同様であるが、部分的な隔壁400を設けたことに特徴がある。隔壁400を設けたことにより、隔壁31を共有する図示されていない隣接放電セルとのクロストーク(電子やイオンの侵入による放電異常)が減少するので、維持放電電極の幅Wを若干長くでき、輝度を向上できる。ここで、隔壁400は隔壁31と同じプロセスで一括形成されている。Wは140μmであり、図1の場合より30μm長い。維持放電電極の突起形状は、電極幅Wが長くなった分だけ比例して長くしてある。これにより、第1の部分の電気容量は、第2の部分のそれに対して約4分の1に設定されている。この結果、本実施例では、図1に示した実施例1に比べて、さらに発光効率が10%向上し、輝度も30%向上した。
図18は本発明の実施例4を示した図であり、図1と同様の方向から見たPDPの上面図である。本実施例のPDPの構造および大きさは図1とほぼ同様であるが、部分的な隔壁400を設けたことに特徴がある。隔壁400を設けたことにより、隔壁31を共有する図示されていない隣接放電セルとのクロストーク(電子やイオンの侵入による放電異常)が減少するので、維持放電電極の幅Wを若干長くでき、輝度を向上できる。ここで、隔壁400は隔壁31と同じプロセスで一括形成されている。Wは140μmであり、図1の場合より30μm長い。維持放電電極の突起形状は、電極幅Wが長くなった分だけ比例して長くしてある。これにより、第1の部分の電気容量は、第2の部分のそれに対して約4分の1に設定されている。この結果、本実施例では、図1に示した実施例1に比べて、さらに発光効率が10%向上し、輝度も30%向上した。
ここで、本実施例では、隔壁400は部分的で孤立した隔壁となっているが、必ずしも孤立している必要はなく、隔壁31に接続していても構わない。ただし、隔壁には、セル間でガスが流通するための隙間を設けておくことが必要である。
なお、以上に示した実施例では、維持放電電極の対の両方について電気容量に分布を持たせる形状および材質の変更を行なったが、一方の維持放電電極のみに変更を加えても、若干少ないが効率向上の効果が得られる。また、以上に示した実施例は、本発明を3電極構造のAC面放電型PDPについて適用した例であるが、本発明は維持放電電極対を有する2電極構造のAC面放電型PDPに対して適用しても発光効率向上の効果がある。
3…電子、4…正イオン、5…正壁電荷、6…負壁電荷、21…前面ガラス基板、22-1、22-2…X電極、23-1、23-2…Y電極、24-1、24-2…Xバス電極、25-1、25-2…Yバス電極、26…誘電体、27…保護層、28…背面ガラス基板、29…A電極、30…誘電体、31…隔壁、32…蛍光体、33…放電空間、40…TVフィールド、41〜48…サブフィールド、49、49-1、49-2…予備放電期間、50、50-1、50-2…書き込み放電期間、51…発光表示期間、52…1本のA電極に印加する電圧波形、53…X電極に印加する電圧波形、54…Y電極のi番目に印加する電圧波形、55…Y電極のi+1番目に印加する電圧波形、56…Y電極のi行目に印加されるスキャンパルス、57…Y電極のi+1行目に印加されるスキャンパルス、58…X電極に印加される電圧波形、59…Y電極に印加される電圧波形、100…プラズマディスプレイパネル(PDP)、101…駆動回路、102…プラズマディスプレイ装置、103…映像源、200…放電ギャップ、201…第1の部分、202…第2の部分、300、301…強誘電体、302、303、304、305…低誘電体、400…隔壁。
Claims (20)
- 複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、
1放電における放電電流の最大値の5%以上の放電電流値を有する期間を1放電期間としたとき、該1放電期間の最初から40%までの期間における放電電流の積分値は、それ以降の期間における放電電流の積分値より小さいことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。 - 複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、
1放電における放電電流の最大値の5%以上の放電電流値を有する期間を1放電期間としたとき、該1放電期間内における放電電流の最大値および発光効率の最大値は、最初から40%の時刻より後の期間にあることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。 - 複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、上記維持放電電極の放電ギャップ側から上記維持放電電極対を結ぶ方向の上記維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、上記維持放電電極対の少なくとも一方は、上記第1の部分の面積と上記第2の部分の面積との比が1.4より小さく、かつ上記維持放電電極対を結ぶ方向と垂直の方向の上記第2の部分の側面は上記放電セルの境界に接していることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
- 上記第1の部分の面積と上記第2の部分の面積との比が1より小さいことを特徴とする請求項3記載のプラズマディスプレイ装置。
- 少なくとも一方向に隔壁を有する複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、上記維持放電電極の放電ギャップ側から上記維持放電電極対を結ぶ方向の上記維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、上記維持放電電極対の少なくとも一方は、上記第1の部分の面積と上記第2の部分の面積との比が1.4より小さく、かつ上記維持放電電極対を結ぶ方向と垂直の方向の上記第2の部分の側面は上記隔壁に接していることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
- 上記第1の部分の面積と上記第2の部分の面積との比が1より小さいことを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記維持放電電極対を結ぶ方向の隣接する上記放電セル間に、部分的な隔壁を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記維持放電電極幅は50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記第1の部分は少なくとも1つ以上の突起を有することを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記第1の部分に孔があいていることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記第2の部分との境界から延在した上記第1の部分の一部分の側面は上記放電セルの境界または上記隔壁に接しており、上記第2の部分の少なくとも一部は透明電極と不透明電極の積層構造であり、該積層構造は上記第1の部分の上記一部分の一部まで最大限延びており、上記維持放電電極の上記積層構造以外の部分は透明電極であることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記第2の部分との境界から延在した上記第1の部分の一部分の側面は上記放電セルの境界または上記隔壁に接しており、該一部分と上記第2の部分の上記維持放電電極対を結ぶ方向の幅の合計は、上記維持放電電極幅の3分の1から3分の2の範囲にあることを特徴とする請求項3乃至11のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、
上記維持放電電極の放電ギャップ側から上記維持放電電極対を結ぶ方向の上記維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、上記維持放電電極対の少なくとも一方は、上記第1の部分と該部分に対向する上記放電セルにおける放電空間との間の上記誘電体とで構成される第1の電気容量と、上記第2の部分と該部分に対向する上記放電セルにおける放電空間との間の上記誘電体とで構成される第2の電気容量との比が1.4より小さいことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。 - 上記第1の電気容量と上記第2の電気容量との比が1より小さいことを特徴とする請求項13記載のプラズマディスプレイ装置。
- 少なくとも一方向に隔壁を有する複数の放電セル内で、誘電体を介してプラズマを形成する維持放電電極の対が同一基板上に設けられたプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ装置において、上記維持放電電極の放電ギャップ側から上記維持放電電極対を結ぶ方向の上記維持放電電極の幅の3分の2の位置までを第1の部分、残りを第2の部分としたとき、上記維持放電電極対の少なくとも一方は、上記第1の部分と該部分に対向する上記放電セルにおける放電空間との間の上記誘電体とで構成される第1の電気容量と、上記第2の部分と該部分に対向する上記放電セルにおける放電空間との間の上記誘電体とで構成される第2の電気容量との比が1.4より小さいことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
- 上記第1の電気容量と上記第2の電気容量との比が1より小さいことを特徴とする請求項15記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記維持放電電極対を結ぶ方向の隣接する上記放電セル間に、部分的な隔壁を有することを特徴とする請求項15又は16に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記第1の電気容量を構成する上記誘電体の平均的誘電率の方が、上記第2の電気容量を構成する上記誘電体の平均的誘電率より小さいことを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記第2の部分との境界から延在した上記第1の部分の一部分の側面は上記放電セルの境界または上記隔壁に接しており、上記第2の部分の少なくとも一部は透明電極と不透明電極の積層構造であり、該積層構造は上記第1の部分の上記一部分の一部まで最大限延びており、上記維持放電電極の上記積層構造以外の部分は透明電極であり、上記積層構造の部分と該部分に対向する上記放電セルにおける放電空間との間の上記誘電体の平均的誘電率の方が、上記第1の電気容量を構成する上記誘電体の平均的誘電率より大きいことを特徴とする請求項18記載のプラズマディスプレイ装置。
- 上記維持放電電極幅は50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項13乃至19のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイ装置。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061121 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070911 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071112 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071204 |