JP2006302776A - 燃料電池システム及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出装置のコストが低く、検出装置の取り付けが容易であり、燃料電池スタックが大型化することがなく、ドライアップ及びフラッディングを迅速に検出することができるようにする。
【解決手段】ドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力を検出する第1の検出装置と、フラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力を検出する第2の検出装置と、ドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力を検出する第3の検出装置と、第1の燃料電池の起電力と第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、第2の燃料電池の起電力と第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断する制御装置とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム及びその運転方法に関するものである。
従来、燃料電池は発電効率が高く、有害物質を排出しないので、産業用、家庭用の発電装置として、又は、人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきたが、近年は、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源として開発が進んでいる。そして、前記燃料電池は、アルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、直接型メタノール等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池が一般的である。
この場合、固体高分子電解質膜を2枚のガス拡散電極で挟み、一体化させて接合する。そして、該ガス拡散電極の一方を燃料極(アノード極)とし、その表面に燃料としての水素ガスを供給すると、水素が水素イオン(プロトン)と電子とに分解され、水素イオンが固体高分子電解質膜を透過する。また、前記ガス拡散電極の他方を酸素極(カソード極)とし、その表面に酸化剤としての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子とが結合して、水が生成される。このような電気化学反応によって起電力が生じるようになっている。
そして、固体高分子型燃料電池においては、固体高分子電解質膜の両側を湿潤な状態に維持する必要があるので、燃料極側及び酸素極側のそれぞれに水を供給するようになっている。この場合、水分は、燃料極側から酸素極側に向けてプロトン同伴水として移動し、酸素極側から燃料極側に向けて逆拡散水として移動する。
ところで、高負荷になると、燃料極側においては、水分の蒸発量が増加してイオン伝導性が減少する現象であるドライアップが発生し、燃料電池の性能が低下してしまうことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、酸素極側においては、生成される水の量が増加し、水分によって水素ガスや空気の流路が塞(ふさ)がれてしまう現象であるフラッディングが発生し、燃料電池の性能が低下してしまうことが知られている。
特開平11−185778号公報
しかしながら、前記従来の燃料電池システムにおいては、ドライアップやフラッディングの発生を的確に検出することができず、迅速に対応策を施すことができなかった。そのため、ドライアップやフラッディングの発生によって燃料電池の性能低下が起き、燃料電池システムを長時間に亘(わた)って安定的に運転することができず、また、燃料電池自体が劣化してしまう。
もっとも、燃料電池スタック全体の電流密度−電圧性能特性の変化に基づいて、ドライアップやフラッディングの発生を検出したり、燃料電池スタック全体のインピーダンス(抵抗)の変化に基づいて、ドライアップやフラッディングの発生を検出したりする方法が提案されている。この場合、燃料電池スタック全体の特性の変化に基づいてドライアップやフラッディングの発生を検出するので、燃料電池スタックの一部において局所的に発生するドライアップやフラッディングを迅速に検出することができなかった。また、燃料電池スタックを形成する単位セルのすべての電圧の変化を検出することによって、ドライアップやフラッディングの発生を検出したりする方法が提案されている。この場合、局所的に発生するドライアップやフラッディングを検出することはできるが、狭小なスペースに詰め込まれた多数の単位セルのすべてに電圧を検出するための検出装置を取り付ける必要があるので、検出装置のコストが高くなり、検出装置の取り付けが困難であり、燃料電池スタックが大型化してしまう。
本発明は、前記従来の燃料電池システムの問題点を解決して、ドライアップの発生確率の高い場所に位置する単位セル及びフラッディングの発生確率の高い場所に位置する単位セルをあらかじめ特定し、特定された単位セルの起電力を測定してドライアップ及びフラッディングの発生を検出することによって、検出装置のコストが低く、検出装置の取り付けが容易であり、燃料電池スタックが大型化することがなく、ドライアップ及びフラッディングを迅速に検出することができる燃料電池システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
そのために、本発明の燃料電池システムにおいては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成され、前記酸素極に沿って空気流路が形成されたセパレータを挟んで積層されている燃料電池スタックと、該燃料電池スタック内におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力を検出する第1の検出装置と、前記燃料電池スタック内におけるフラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力を検出する第2の検出装置と、前記燃料電池スタック内におけるドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力を検出する第3の検出装置と、前記第1の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、前記第2の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断する制御装置とを有する。
本発明の他の燃料電池システムにおいては、さらに、前記第1の検出装置は、前記燃料電池スタック内の燃料ガス流路入口近傍の燃料電池の起電力を検出し、前記第2の検出装置は、前記燃料電池スタック内の燃料ガス流路出口近傍の燃料電池の起電力を検出する。
本発明の燃料電池システムの運転方法においては、車両に搭載された燃料電池スタックの空気流路に空気を供給するとともに、前記燃料電池スタックの燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池スタック内におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力とドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、前記燃料電池スタック内におけるフラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断する。
本発明によれば、燃料電池システムにおいては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成され、前記酸素極に沿って空気流路が形成されたセパレータを挟んで積層されている燃料電池スタックと、該燃料電池スタック内におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力を検出する第1の検出装置と、前記燃料電池スタック内におけるフラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力を検出する第2の検出装置と、前記燃料電池スタック内におけるドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力を検出する第3の検出装置と、前記第1の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、前記第2の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断する制御装置とを有する。
この場合、少数の検出装置を使用するだけでよいので、検出装置のコストが低く、検出装置の取り付けが容易であり、燃料電池スタックが大型化することがなく、ドライアップ及びフラッディングを迅速に検出することができる。
また、他の燃料電池システムにおいては、さらに、前記第1の検出装置は、前記燃料電池スタック内の燃料ガス流路入口近傍の燃料電池の起電力を検出し、前記第2の検出装置は、前記燃料電池スタック内の燃料ガス流路出口近傍の燃料電池の起電力を検出する。
この場合、ドライアップ及びフラッディングを確実に、かつ、迅速に検出することができる。
また、燃料電池システムの運転方法においては、車両に搭載された燃料電池スタックの空気流路に空気を供給するとともに、前記燃料電池スタックの燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池スタック内におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力とドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、前記燃料電池スタック内におけるフラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断する。
この場合、少数の検出装置を使用するだけでよいので、検出装置のコストが低く、検出装置の取り付けが容易であり、燃料電池スタックが大型化することがなく、ドライアップ及びフラッディングを迅速に検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す図、図3は本発明の実施の形態における燃料電池のセルモジュールの構成を示す図、図4は本発明の実施の形態における燃料電池の単位セルの構成を示す模式断面図である。
図2において、20は燃料電池(FC)としての燃料電池スタックであり、乗用車、バス、トラック、乗用カート、荷物用カート等の車両用の動力源として使用される。ここで、前記車両は、照明装置、ラジオ、パワーウィンドウ等の車両の停車中にも使用される電気を消費する補機類を多数備えており、また、走行パターンが多様であり動力源に要求される出力範囲が極めて広いので、動力源としての燃料電池スタック20と図示されない蓄電手段としての二次電池とを併用して使用することが望ましい。
そして、燃料電池スタック20は、アルカリ水溶液型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、直接型メタノール(DMFC)等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池(PEMFC)であることが望ましい。
なお、更に望ましくは、水素ガスを燃料ガス、すなわち、アノードガスとし、酸素又は空気を酸化剤、すなわち、カソードガスとするPEMFC(Proton Exchange Membrane Fuel Cell)型燃料電池、又は、PEM(Proton Exchange Membrane)型燃料電池と呼ばれるものである。ここで、該PEM型燃料電池は、一般的に、プロトン等のイオンを透過する電解質層としての固体高分子電解質膜の両側に触媒、電極及びセパレータを結合した燃料電池としてのセル(Fuel Cell)を複数及び直列に結合したスタック(Stack)から成る。
本実施の形態において、燃料電池スタック20は、図2に示されるように、複数のセルモジュール10を有する。なお、図2における矢印は、燃料ガスとしての水素ガスの流れを示している。セルモジュール10は、図3に示されるように、燃料電池としての単位セル(MEA:Membrane Electrode Assembly)10Aと、該単位セル10A同士を電気的に接続するとともに、単位セル10Aに導入される水素ガスの流路と空気とを分離するセパレータ10Bと、単位セル10A及びセパレータ10Bを1セットとして、板厚方向に複数セット重ねて構成されている。セルモジュール10は、単位セル10A同士が所定の間隙(げき)を隔てて配置されるように、単位セル10Aとセパレータ10Bとが、多段に重ねられて積層されている。
単位セル10Aは、電解質層としての固体高分子電解質膜11の側に設けられた酸素極としての空気極12及び他側に設けられた燃料極13で構成されている。前記空気極12は、反応ガスを拡散しながら透過する導電性材料から成る電極拡散層と、該電極拡散層上に形成され、固体高分子電解質膜11と接触させて支持される触媒層とから成る。また、単位セル10Aの空気極12側の電極拡散層に接触して集電するとともに空気と水との混合流を透過する多数の開口が形成された網目状の集電体としての空気極側コレクタ14と、単位セル10Aの燃料極13側の電極拡散層に接触して同じく電流を外部に導出するための網目状の集電体としての燃料極側コレクタ15とを有する。
そして、単位セル10Aにおいては、図4に示されるように、水が移動する。図4において、48は燃料ガス流路としての燃料室であり、49は空気流路としての酸素室である。この場合、燃料極側コレクタ15の燃料室48内に燃料ガス、すなわち、アノードガスとしての水素ガスを供給すると、水素が水素イオンと電子とに分解され、水素イオンがプロトン同伴水を伴って、固体高分子電解質膜11を透過する。また、前記空気極12をカソード極とし、酸素室49内に酸化剤、すなわち、カソードガスとしての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子とが結合して、水が生成される。なお、水分が逆拡散水として固体高分子電解質膜11を透過し、燃料極側コレクタ15の燃料室48内に移動する。ここで、逆拡散水とは、酸素室49において生成される水が固体高分子電解質膜11内に拡散し、該固体高分子電解質膜11内を前記水素イオンと逆方向に透過して燃料室48にまで浸透したものである。
次に、燃料電池システムの全体構成について説明する。
図1は本発明の実施の形態における燃料電池システムの構成を示す図である。
図1において、燃料電池スタック20に燃料ガスとしての水素ガス及び酸化剤としての空気を供給する装置が示される。なお、図示されない改質装置によってメタノール、ガソリン等を改質して取り出した燃料である水素ガスを燃料電池スタック20に直接供給することもできるが、車両の高負荷運転時にも安定して十分な量の水素ガスを供給することができるようにするためには、燃料貯蔵手段73に貯蔵した水素ガスを供給することが望ましい。これにより、該水素ガスがほぼ一定の圧力で、常に、十分に供給されるので、前記燃料電池スタック20は車両の負荷の変動に遅れることなく追随して、必要な電流を供給することができる。この場合、前記燃料電池スタック20の出力インピーダンスは極めて低く、0に近似することが可能である。
水素ガスは、水素吸蔵合金を収納した容器、デカリンのような水素吸蔵液体を収納した容器、水素ガスボンベ等の燃料貯蔵手段73から、燃料供給管路としての第1燃料供給管路21、及び、該第1燃料供給管路21に接続された燃料供給管路としての第2燃料供給管路33を通って、燃料電池スタック20の燃料ガス流路の入口に供給される。そして、前記第1燃料供給管路21には、燃料貯蔵手段元開閉弁24、圧力センサ27、第1燃料圧力調整弁25a、第2燃料圧力調整弁25b及び燃料供給電磁弁26が配設される。また、前記第2燃料供給管路33には、安全弁33a及び前記燃料ガス流路内の圧力を検出する圧力センサ78が配設される。この場合、前記燃料貯蔵手段73は、十分に大きな容量を有し、常に、十分に高い圧力の水素ガスを供給することができる能力を有するものである。
そして、燃料電池スタック20の燃料ガス流路の出口から未反応成分として排出される水素ガスは、燃料排出管路31を通って燃料電池スタック20の外部に排出される。前記燃料排出管路31には、回収容器としての水回収ドレインタンク60が配設されている。そして、該水回収ドレインタンク60には水と分離された水素ガスとを排出する燃料排出管路30が接続され、該燃料排出管路30にはポンプとしての吸引循環ポンプ36が配設されている。また、前記燃料排出管路30には水素循環電磁弁34が配設されている。また、前記燃料排出管路30における水回収ドレインタンク60と反対側の端部は、第2燃料供給管路33に接続されている。これにより、燃料電池スタック20の外部に排出された水素ガスを回収し、燃料電池スタック20の燃料ガス流路に供給して再利用することができる。
また、前記水回収ドレインタンク60には、起動用燃料排出管路56が接続され、該起動用燃料排出管路56には水素起動排気電磁弁62が配設され、燃料電池スタック20の起動時に燃料ガス流路から排出される水素ガスを大気中に排出することができるようになっている。なお、起動用燃料排出管路56の出口端は排気マニホールド71に接続されている。また、起動用燃料排出管路56に、必要に応じて水素燃焼器を配設することもできる。該水素燃焼器によって排出される水素ガスを燃焼させ、水にしてから大気中に排出することができる。
ここで、前記第1燃料圧力調整弁25a及び第2燃料圧力調整弁25bは、バタフライバルブ、レギュレータバルブ、ダイヤフラム式バルブ、マスフローコントローラ、シーケンスバルブ等のものであるが、前記第1燃料圧力調整弁25a及び第2燃料圧力調整弁25bの出口から流出する水素ガスの圧力をあらかじめ設定した圧力に調整することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよい。なお、前記圧力の調整は、手動によってなされてもよいが、電気モータ、パルスモータ、電磁石等から成るアクチュエータによってなされることが望ましい。
また、前記燃料供給電磁弁26、水素循環電磁弁34及び水素起動排気電磁弁62は、いわゆる、オン−オフ式のものであり、電気モータ、パルスモータ、電磁石等から成るアクチュエータによって作動させられる。なお、前記燃料貯蔵手段元開閉弁24は手動又は電磁弁を用いて自動的に作動させられる。さらに、前記吸引循環ポンプ36は、水素ガスとともに逆拡散水を強制的に排出し、燃料ガス流路内を負圧の状態にすることができるポンプであれば、いかなる種類のものであってもよい。
一方、酸化剤としての空気は、空気供給ファン、空気ボンベ、空気タンク等の酸化剤供給源75から、酸化剤供給管路77及び吸気マニホールド74を通って、燃料電池スタック20の空気流路に供給される。この場合、供給される空気の圧力は大気圧程度の常圧である。なお、酸化剤として、空気に代えて酸素を使用することもできる。そして、空気流路から排出される空気は、マニホールドとしての排気マニホールド71、凝縮器72、出口側排気マニホールド22及び排気口22aを通って大気中へ排出される。
また、前記酸化剤供給管路77には、水をスプレーして、燃料電池スタック20の空気極12を湿潤な状態に維持するための水供給ノズル76が配設される。また、スプレーされた水によって前記空気極12及び燃料極13を冷却することができる。さらに、前記排気マニホールド71の端部に配設された凝縮器72は、前記燃料電池スタック20から排出される空気に含まれる水分を凝縮して除去するためのもので、前記凝縮器72によって凝縮された水は凝縮水排出管路79を通って水タンク52に回収される。なお、前記凝縮水排出管路79には排水ポンプ51が配設され、前記水タンク52にはレベルゲージ(水位計)52aが配設されている。
そして、前記水タンク52内の水は、給水管路53を通って水供給ノズル76に供給される。なお、前記給水管路53には、給水ポンプ54及び水フィルタ55が配設されている。ここで、前記排水ポンプ51及び給水ポンプ54は、水を吸引して吐出することができるポンプであれば、いかなる種類のものであってもよい。また、前記水フィルタ55は、水に含まれる塵埃(じんあい)、不純物等を除去するものであれば、いかなる種類のものであってもよい。
さらに、前記燃料電池スタック20におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の単位セル10A、すなわち、ドライアップを起こしやすい単位セル10A、フラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の単位セル10A、すなわち、フラッディングを起こしやすい単位セル10A、並びに、ドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の単位セル10A、すなわち、通常の単位セル10Aには、該当する単位セル10Aの起電力を測定するための第1〜第3の検出装置としての電圧計58が取り付けられている。そして、ドライアップを起こしやすい単位セル10Aと通常の単位セル10Aとの起電力の差が第1の所定値を超えた場合には、ドライアップが発生したものと判断して、ドライアップ対策処理が実行される。また、フラッディングを起こしやすい単位セル10Aと通常の単位セル10Aとの起電力の差が第2の所定値を超えた場合には、フラッディングが発生したものと判断して、フラッディング対策処理が実行される。
そして、前記蓄電手段としての二次電池は、いわゆる、バッテリ(蓄電池)であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が一般的である。なお、前記蓄電手段は、必ずしもバッテリでなくてもよく、電気二重層キャパシタのようなキャパシタ(コンデンサ)、フライホイール、超伝導コイル、蓄圧器等のように、エネルギを電気的に蓄積し放出する機能を有するものであれば、いかなる形態のものであってもよい。さらに、これらの中のいずれかを単独で使用してもよいし、複数のものを組み合わせて使用してもよい。
また、前記燃料電池スタック20は図示されない負荷に接続され、発生した電流を前記負荷に供給する。ここで、該負荷は、一般的には、駆動制御装置であるインバータ装置であり、前記燃料電池スタック20又は蓄電手段からの直流電流を交流電流に変換して、車両の車輪を回転させる駆動モータに供給する。ここで、該駆動モータは発電機としても機能するものであり、車両の減速運転時には、いわゆる、回生電流を発生する。この場合、前記駆動モータは車輪によって回転させられて発電するので、前記車輪にブレーキをかける、すなわち、車両の制動装置(ブレーキ)として機能する。そして、前記回生電流が蓄電手段に供給されて該蓄電手段が充電される。
なお、本実施の形態において、燃料電池システムは制御装置として、図示されないFCコントロールECU(Electronic Control Unit)を有する。前記制御装置は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、図示されない水素濃度検出器を含む各種のセンサから燃料電池スタック20の燃料ガス流路及び空気流路に供給される水素、酸素、空気等の流量、温度、出力電圧等を検出して、前記酸化剤供給源75、第1燃料圧力調整弁25a、第2燃料圧力調整弁25b、燃料供給電磁弁26、水素循環電磁弁34、吸引循環ポンプ36、排水ポンプ51、給水ポンプ54、水素起動排気電磁弁62等の動作を制御する。さらに、前記FCコントロールECUは、車両に配設された他のセンサ、及び、車両の制御手段としての図示されないEV(Electric Vehicle)コントロールECUと連携して、燃料電池スタック20に燃料及び酸化剤を供給するすべての装置の動作を統括的に制御する。そして、前記FCコントロールECUは、電圧計58の出力に基づき、燃料電池スタック20においてドライアップが発生したものと判断した場合にはドライアップ対策処理を実行し、燃料電池スタック20においてフラッディングが発生したものと判断した場合にはフラッディング対策処理を実行するようになっている。
次に、前記構成の燃料電池システムにおいて、ドライアップを起こしやすい単位セル10Aを特定する方法について説明する。
図5は本発明の実施の形態における燃料電池スタック内の水素の流れを示す模式図、図6は本発明の実施の形態における各セルモジュールの平均セル電圧の変化を示す図、図7は本発明の実施の形態におけるドライアップを起こしやすい単位セルの電圧と通常の単位セルの電圧との比較を示す図である。
ここでは、単位セル10A及びセパレータ10Bのセットを10個積層して1つのセルモジュール10を形成し、該セルモジュール10を10個積層して1つの燃料電池スタック20を形成したものを例に採って説明する。この場合、燃料電池スタック20内における水素ガスの流れは、図5において矢印で示されるように、セルモジュール10毎に折り返すサーペンタイン状に、すなわち、蛇(だ)行状になっている。なお、図5において、1M〜10Mは、燃料電池スタック20における水素ガス流路の入口側から出口側に向けてのセルモジュール10の順番を示し、第1番目〜第10番目のセルモジュール10であることを意味する。また、図5における矢印の太さは、水素ガスの流速及び圧力を示している。
図5から、水素ガス流路の入口側のセルモジュール10ほど水素ガスの流速及び圧力が高く、出口側に近付くほど水素ガスの流速が低くなっていくことが分かる。そして、水素ガスの流速及び圧力が高いほど燃料極13から水分を奪いやすいと考えられるので、水素ガス流路の入口側に近いセルモジュール10ほどドライアップを起こしやすいと考えることができる。
そして、本発明の発明者が実験を行って、第1番目〜第10番目のセルモジュール10の各々における平均セル電圧の変化を測定したところ、図6に示されるような結果を得ることができた。なお、図6において、縦軸には平均セル電圧〔V〕が採ってあり、横軸には時間〔秒〕が採ってある。また、図6において、Aは第2番目〜第10番目のセルモジュール10の各々における平均セル電圧の変化を示す線であり、Bは第1番目のセルモジュール10の各々における平均セル電圧の変化を示す線である。
図6から、第2番目〜第10番目のセルモジュール10における平均セル電圧が時間が経過してもほぼ一定であるのに対し、第1番目のセルモジュール10における平均セル電圧は時間が経過するにつれて低下していくことが分かる。前記第1番目のセルモジュール10における平均セル電圧の低下は、ドライアップの発生による性能の低下を示している。このことから、水素ガス流路の入口側に最も近い第1番目のセルモジュール10においてドライアップが発生することが確認された。
続いて、本発明の発明者は、第1番目のセルモジュール10における各単位セル10Aの起電力、すなわち、電圧の変化を測定し、第1番目のセルモジュール10においてドライアップの発生確率の高い場所に位置する単位セル10Aがどれか、すなわち、どの単位セル10Aがドライアップを起こしやすいのかを特定した。微細に観ると、第1番目のセルモジュール10の内部における水素ガスの流れは必ずしも一様ではなく、流速及び圧力が局所的に変化している。そして、前記水素ガスの流れは第1番目のセルモジュール10の構造、形状等によって変化する。そのため、第1番目のセルモジュール10の内部においては、必ずしも水素ガス流路の入口側に近い単位セル10Aほどドライアップを起こしやすいと言うことができず、どの単位セル10Aがドライアップを起こしやすいのかは、第1番目のセルモジュール10の構造、形状等によって相違する。そこで、前述のように、第1番目のセルモジュール10における各単位セル10Aの電圧の変化を測定することによって、どの単位セル10Aがドライアップを起こしやすいのかを特定する必要がある。
次に、本発明の発明者は、特定されたドライアップを起こしやすい単位セル10Aの電圧の変化、及び、通常の単位セル10Aの電圧の変化を測定したところ、図7に示されるような結果を得ることができた。なお、図7において、縦軸にはセル電圧〔V〕が採ってあり、横軸には時間〔秒〕が採ってある。また、図7において、Cは通常の単位セル10Aにおけるセル電圧の変化を示す線であり、Dはドライアップを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧の変化を示す線であり、線C及びDは電流密度が0.5〔A/cm2 〕の場合の測定結果を示している。ここで、通常の単位セル10Aとは、ドライアップの発生確率の低い場所に位置する単位セル10A、すなわち、ドライアップを起こしにくい単位セル10Aであり、第2番目〜第10番目のセルモジュール10における単位セル10Aの中から選択されたものである。
図7から、通常の単位セル10Aにおけるセル電圧が時間が経過してもほぼ一定であるのに対し、ドライアップを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧は時間が経過するにつれて低下していくことが分かる。前記ドライアップを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧の低下は、ドライアップの発生による性能の低下を示している。このことから、通常の単位セル10Aにおけるセル電圧と前記ドライアップを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧との差があらかじめ設定された値を超えた場合に、ドライアップが発生したと判断してよいことが分かる。
次に、前記構成の燃料電池システムにおいて、フラッディングを起こしやすい単位セル10Aを特定する方法について説明する。
図8は本発明の実施の形態におけるフラッディングを起こしやすい単位セルの電圧と通常の単位セルの電圧との比較を示す図である。
燃料電池スタック20では、各単位セル10Aの酸素室49内において、空気中の酸素と、水素イオン及び電子とが結合して生成された水、すなわち、生成水が発生する。また、酸素室49内には、空気極12を湿潤な状態に維持するために水供給ノズル76からスプレーされた水が供給される。そして、微細に観ると、酸素室49内における気相及び液相の水分の分布は必ずしも一様ではなく、水分の量、流速等は局所的に変化している。そのため、局所的に多量の水分が集中して、酸素室49内における空気の流れを阻害するフラッディングが発生することがある。なお、フラッディングは燃料室48内においても発生する可能性があるが、本実施の形態においては、説明の都合上、酸素室49内において発生する場合についてのみ説明する。
そして、水素ガス流路の出口側に近いセルモジュール10ほどフラッディングを起こしやすいと考えることができる。しかし、フラッディングの発生確率は、生成水の量、水供給ノズル76からスプレーされた水の供給量、酸化剤供給源75から供給される空気の量等によって変化するので、燃料電池スタック20のどの単位セル10Aがフラッディングを起こしやすいのかは、燃料電池スタック20の構造、形状等によって相違する。そこで、燃料電池スタック20におけるどの単位セル10Aがフラッディングを起こしやすいのかを特定する必要がある。なお、フラッディングが発生すると空気極12が水分に覆われて空気と接触することができず、フラッディングを起こした単位セル10Aはセル電圧が低下するので、前述のドライアップの場合と同様に、各単位セル10Aの電圧の変化を測定することによって、各フラッディングを起こしやすい単位セル10Aを特定することができる。
次に、本発明の発明者は、特定されたフラッディングを起こしやすい単位セル10Aの電圧の変化、及び、通常の単位セル10Aの電圧の変化を測定したところ、図8に示されるような結果を得ることができた。なお、図8において、縦軸にはセル電圧〔V〕が採ってあり、横軸には時間〔秒〕が採ってある。また、図8において、Eは通常の単位セル10Aにおけるセル電圧の変化を示す線であり、Fはフラッディングを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧の変化を示す線であり、線E及びFは電流密度が0.5〔A/cm2 〕の場合の測定結果を示している。ここで、通常の単位セル10Aとは、フラッディングの発生確率の低い場所に位置する単位セル10A、すなわち、フラッディングを起こしにくい単位セル10Aである。なお、フラッディングを起こしにくい単位セル10Aとしては、ドライアップを起こしにくい単位セル10Aと同一の単位セル10Aを選択することもできるし、相違する単位セル10Aを選択することもできる。
図8から、通常の単位セル10Aにおけるセル電圧が時間が経過してもほぼ一定であるのに対し、フラッディングを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧は、通常の単位セル10Aにおけるセル電圧以下の範囲において大きく変動していることが分かる。前記フラッディングを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧の低下は、フラッディングの発生による性能の低下を示している。また、前記フラッディングを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧の上昇は、空気極12を覆っていた水分が、例えば、酸化剤供給源75から供給される空気によって吹き飛ばされる等の何らかの要因によって、一時的に除去されたことによる性能の回復を示している。このことから、通常の単位セル10Aにおけるセル電圧と前記フラッディングを起こしやすい単位セル10Aにおけるセル電圧との差があらかじめ設定された値を超えた場合に、フラッディングが発生したと判断してよいことが分かる。なお、図7及び8から、ドライアップが発生した場合より、フラッディングが発生した場合の方が、電圧の低下量が大きいことが分かる。
次に、前記構成の燃料電池システムの動作について説明する。まず、定常運転における動作について説明する。
本実施の形態の燃料電池システムにおける定常運転時には、第1燃料圧力調整弁25a及び第2燃料圧力調整弁25bの出口から流出する水素ガスの圧力をあらかじめ設定した一定の圧力に調整した後、前記第1燃料圧力調整弁25a及び第2燃料圧力調整弁25bは燃料電池システムの運転中には調整されることがなく、そのままの状態が保持される。また、酸化剤供給源75は、燃料電池の出力電流に応じてあらかじめ設定された空気が供給されるように作動する。この場合、供給される空気の量は、燃料電池スタック20の出力が最大となるために必要な空気の量よりも十分に多い量である。また、本実施の形態において、燃料電池スタック20の単位セル10Aに供給される空気の圧力は大気圧程度の常圧であり、特段加圧される必要がない。そのため、前記酸化剤供給源75、酸化剤供給管路77、吸気マニホールド74、排気マニホールド71、凝縮器72、出口側排気マニホールド22等は、耐圧性を有する必要がないので構成を簡素化することができる。
そして、燃料電池スタック20が運転を開始すると、該燃料電池スタック20を構成する各単位セル10Aにおいて逆拡散水が発生し、該逆拡散水が固体高分子電解質膜11を透過して燃料ガス流路にまで達し、前記固体高分子電解質膜11の燃料極13側を加湿する。これにより、該固体高分子電解質膜11の燃料極13側は湿潤な状態となり、電気化学反応によって水素から生成された水素イオンが固体高分子電解質膜11内をスムーズに移動することができる。
また、前記燃料ガス流路に供給されて余剰となった未反応成分としての水素ガスは、前記燃料ガス流路にまで浸透して余剰となった逆拡散水と混合して、気液混合物となる。該気液混合物となった水素ガスは、吸引循環ポンプ36によって吸引され、燃料電池スタック20に接続された燃料排出管路31を通って前記燃料電池スタック20の外部に排出される。そして、前記気液混合物は、燃料排出管路31を通過して水回収ドレインタンク60内に導入される。そして、比較的広い空間を備える前記水回収ドレインタンク60内に滞留することによって、重量物である水分が重力によって下方に落下し、水素ガスから逆拡散水が分離する。該逆拡散水が分離して乾燥した状態の水素ガスは、燃料排出管路30から水回収ドレインタンク60外に排出される。
そして、定常運転においては、前記燃料排出管路30から排出された水素ガスは、開いた状態になっている水素循環電磁弁34を通過して、第2燃料供給管路33に導入され、再び、燃料電池スタック20の燃料ガス流路に供給されて再利用される。
次に、燃料電池スタック20においてドライアップ又はフラッディングが発生した場合の動作について説明する。
図9は本発明の実施の形態における燃料電池システムのドライアップ又はフラッディングが発生した場合の動作を示すフローチャートである。
まず、FCコントロールECUは、通常の単位セル10Aに取り付けられた電圧計58及びドライアップを起こしやすい単位セル10Aに取り付けられた電圧計58が測定した電圧に基づいて、通常の単位セル10Aの電圧とドライアップを起こしやすい単位セル10Aの電圧との差ΔEdがあらかじめ設定された第1の所定値を超えたか否かを判断する(ステップS1)。ここで、該第1の所定値は、ドライアップが発生したと判断するための基準値であり、例えば、50〜100〔mV〕程度であるが、任意の値に設定することができる。また、前記第1の所定値は、一定でなくてもよく、例えば、燃料電池スタック20の負荷に応じて変化するものであってもよい。
そして、差ΔEdが第1の所定値を超えた場合、前記FCコントロールECUは、燃料電池スタック20にドライアップが発生したものと判断して、ドライアップ対策処理を実行する(ステップS2)。該ドライアップ対策処理は、発生したドライアップを解消するための処理であり、例えば、燃料電池スタック20の運転温度の低下、燃料電池スタック20に供給される空気の圧力の増加、燃料電池スタック20に供給される水素ガスの圧力の増加等の処理である。
また、差ΔEdが第1の所定値を超えない場合、前記FCコントロールECUは、通常の単位セル10Aに取り付けられた電圧計58及びフラッディングを起こしやすい単位セル10Aに取り付けられた電圧計58が測定した電圧に基づいて、通常の単位セル10Aの電圧とフラッディングを起こしやすい単位セル10Aの電圧との差ΔEfがあらかじめ設定された第2の所定値を超えたか否かを判断する(ステップS3)。
なお、前記差ΔEfを検出するための通常の単位セル10Aは、前記差ΔEdを検出するための通常の単位セル10Aと同一のものであってもよいし、相違するものであってもよい。すなわち、ドライアップの発生を検出する場合とフラッディングの発生を検出する場合とでは、同一の単位セル10Aを通常の単位セル10Aとして使用してもよいし、相違する単位セル10Aを通常の単位セル10Aとして使用してもよい。
ここで、前記第2の所定値は、フラッディングが発生したと判断するための基準値であり、例えば、300〜900〔mV〕程度であるが、任意の値に設定することができる。また、前記第2の所定値は、一定でなくてもよく、例えば、燃料電池スタック20の負荷に応じて変化するものであってもよい。
そして、差ΔEfが第2の所定値を超えた場合、前記FCコントロールECUは、燃料電池スタック20にフラッディングが発生したものと判断して、フラッディング対策処理を実行する(ステップS4)。該フラッディング対策処理は、発生したフラッディングを解消するための処理であり、例えば、燃料電池スタック20に供給される空気の流量の増加等の処理である。
また、差ΔEfが第2の所定値を超えない場合、前記FCコントロールECUは、再度、差ΔEdが第1の所定値を超えたか否かを判断し、前述の動作を繰り返す。
このように、本実施の形態において、燃料電池システムは、ドライアップを起こしやすい単位セル10A及びフラッディングを起こしやすい単位セル10Aをあらかじめ特定し、通常の単位セル10A、ドライアップを起こしやすい単位セル10A及びフラッディングを起こしやすい単位セル10Aの各々に電圧計58を取り付け、各々の起電力を測定する。そして、通常の単位セル10Aの電圧とドライアップを起こしやすい単位セル10Aの電圧との差ΔEdが第1の所定値を超えた場合には、ドライアップが発生したものと判断し、ドライアップ対策処理を実行する。また、通常の単位セル10Aの電圧とフラッディングを起こしやすい単位セル10Aの電圧との差ΔEfが第2の所定値を超えた場合には、フラッディングが発生したものと判断し、フラッディング対策処理を実行する。
そのため、少数の電圧計58によってドライアップ及びフラッディングの発生を検出することができ、ドライアップ及びフラッディングの発生を検出するための検出装置のコストを低くすることができる。また、少数の電圧計58を少数の単位セル10Aに取り付けるだけでよいので、電圧計58の取り付けを容易に行うことができる。さらに、少数の電圧計58を取り付けるだけでよいので、燃料電池スタック20が大型化することがない。さらに、ドライアップを起こしやすい単位セル10A及びフラッディングを起こしやすい単位セル10Aの状態に基づいてドライアップ及びフラッディングの発生を検出するので、ドライアップ及びフラッディングの発生を確実に、かつ、迅速に検出することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の実施の形態における燃料電池システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す図である。 本発明の実施の形態における燃料電池のセルモジュールの構成を示す図である。 本発明の実施の形態における燃料電池の単位セルの構成を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態における燃料電池スタック内の水素の流れを示す模式図である。 本発明の実施の形態における各セルモジュールの平均セル電圧の変化を示す図である。 本発明の実施の形態におけるドライアップを起こしやすい単位セルの電圧と通常の単位セルの電圧との比較を示す図である。 本発明の実施の形態におけるフラッディングを起こしやすい単位セルの電圧と通常の単位セルの電圧との比較を示す図である。 本発明の実施の形態における燃料電池システムのドライアップ又はフラッディングが発生した場合の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10A 単位セル
10B セパレータ
11 固体高分子電解質膜
12 空気極
13 燃料極
20 燃料電池スタック
48 燃料室
49 酸素室
58 電圧計

Claims (3)

  1. 電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、前記燃料極に沿って燃料ガス流路が形成され、前記酸素極に沿って空気流路が形成されたセパレータを挟んで積層されている燃料電池スタックと、
    該燃料電池スタック内におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力を検出する第1の検出装置と、
    前記燃料電池スタック内におけるフラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力を検出する第2の検出装置と、
    前記燃料電池スタック内におけるドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力を検出する第3の検出装置と、
    前記第1の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、前記第2の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断する制御装置とを有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記第1の検出装置は、前記燃料電池スタック内の燃料ガス流路入口近傍の燃料電池の起電力を検出し、前記第2の検出装置は、前記燃料電池スタック内の燃料ガス流路出口近傍の燃料電池の起電力を検出する請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 車両に搭載された燃料電池スタックの空気流路に空気を供給するとともに、前記燃料電池スタックの燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料電池システムの運転方法であって、
    前記燃料電池スタック内におけるドライアップの発生確率の高い場所に位置する第1の燃料電池の起電力とドライアップ及びフラッディングの発生確率の低い場所に位置する第3の燃料電池の起電力との差が第1の所定値を超えた場合にドライアップが発生したと判断し、
    前記燃料電池スタック内におけるフラッディングの発生確率の高い場所に位置する第2の燃料電池の起電力と前記第3の燃料電池の起電力との差が第2の所定値を超えた場合にフラッディングが発生したと判断することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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