JP2006301897A - 非接触型データ受送信体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外力に対する耐久性および耐薬品性に優れるとともに、薄型化が可能な非接触型データ受送信体の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも一部が凹部20cをなす基材20を用い、凹部20c内にインレット14を収蔵する工程と、インレット14を覆うように、凹部20c内に樹脂を充填する工程と、を備えた非接触型データ受送信体の製造方法を提供する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波を媒体として外部から情報を受信し、また外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体の製造方法に関する。
非接触型データ受送信体の一例であるICラベルは、リーダ/ライタからの電磁波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICラベル内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化し、この信号がICラベルのアンテナから発信される。
ICラベルから発信された信号は、リーダ/ライタのアンテナで受信され、コントローラーを介してデータ処理装置へ送られ、識別などのデータ処理が行われる。
このようなICラベルなどの非接触型データ受送信体は、例えば、物品管理の用途などに用いられる。特に、非接触型データ受送信体を、種類の多い物品や、部品点数の多い機械部品などの管理に適用すれば、物品自体を目視することなしに識別することができるため、物品の選定作業や在庫管理などの効率を上げることができるので、非常に有効である。
非接触型データ受送信体を物品の管理に用いる場合には、これを対象となる物品に直接貼付する。そのため、物品の用途によっては、非接触型データ受送信体が外部からの衝撃により損傷を受けて、その通信機能が損なわれることがある。そこで、インレットをケースに収蔵したり、樹脂で被覆したりして保護構造を設けて、外部からの衝撃に耐え得る構造の非接触型データ受送信体が提案されている。
このような構造の非接触型データ受送信体の製造方法としては、以下のようものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
例えば、原反シート上にインレットを設け、この原反シートにインレットを覆うように、熱圧着や樹脂接着剤などにより原反シートと同質のカバーシートを貼り合わせた後、原反シート、インレットおよびカバーシートからなる積層体を、その積層方向に円形に打ち抜いて、インレットが樹脂に埋め込まれた円盤状の非接触型データ受送信体を得る方法(以下、説明を簡略化するために「第一の方法」と称する。)が挙げられる。
また、射出成形用の金型内にインレットを挿入した後、金型内に溶融した熱可塑樹脂を流入させるか、もしくは熱硬化性樹脂を流入させて加熱することにより、インレットが樹脂に埋め込まれ、金型によって所定の形状に形成された非接触型データ受送信体を得る方法(以下、説明を簡略化するために「第二の方法」と称する。)が挙げられる。
特開2003−331243号公報
ところで、第一の方法では、原反シートが、円形に打ち抜く際の張力や圧力に耐えられる程度の最低限の厚みが必要であるため、非接触型データ受送信体を薄型化することが難しいという問題があった。加えて、原反シートおよびカバーシートには、ICチップの厚みを吸収する部分がないため、ICチップの圧力負荷が増大するという問題があった。また、原反シートとカバーシートの密着性が悪い上に、打ち抜きにより成形した結果、両者の接合端面が露出してしまうため、外力が加えられると、原反シートとカバーシートの接合面にて、両者が剥離して、インレットが露出するおそれがあった。さらに、原反シートとカバーシートの接合面から、内部に水分や薬品が浸透し易いので、この方法で製造された非接触型データ受送信体は、耐水性や耐薬品性に劣っていた。
また、第二の方法では、射出成形時に必要以上にインレットに圧力がかかり、ICチップまたはアンテナが損傷するおそれがあった。また、この方法にて非接触型データ受送信体の薄型化を図るために、ベース基材の厚みを薄くすると、金型内に樹脂を流入させた際に、樹脂の圧力によりベース基材に亀裂が入ってしまうので、薄型化が難しいという問題があった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、外力に対する耐久性および耐薬品性に優れるとともに、薄型化が可能な非接触型データ受送信体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明におけるインレットとは、ICチップおよび/またはアンテナが形成された基材のことである。
本発明は、少なくとも一部が凹部をなす基材を用い、前記凹部内にインレットを収蔵する工程αと、前記インレットを覆うように、前記凹部内に樹脂を充填する工程βと、を備えた非接触型データ受送信体の製造方法を提供する。
かかる構成によれば、インレットは、筐体の凹部内にて、その外周全てを被覆体により覆うことができるから、筐体と被覆体を異なる材質で形成しても、外力が加えられることにより、筐体と被覆体の界面にて両者が剥離し、インレットが露出したり、損傷したりすることがない非接触型データ受送信体が得られる。また、非接触型データ受送信体は、筐体と被覆体の界面にて両者が剥離することがないので、内部に水分や薬品が浸透することもなく、耐水性や耐薬品性に優れたものとなる。また、筐体を熱可塑性樹脂で形成すれば、外力に対する耐久性および耐薬品性を十分に確保しつつ、薄型の構造にすることもできる。さらに、筐体を熱可塑性樹脂で形成すれば、外力に対する耐久性および耐薬品性を十分に確保し、薄型の構造にすることができるだけでなく、表面が湾曲した形状にすることもできる。さらに、従来の非接触型データ受送信体の製造方法のように、インレットを樹脂により被覆するための専用の装置、成型用の型などの設備を必要としないので、製造が容易であるとともに、製造コストを低減することができる。
熱可塑性樹脂からなるシート状の基材を用い、該基材の少なくとも一部が凹部をなすように該基材を変形させる工程を、前記工程αの前に備えたことが好ましい。
かかる構成によれば、対象となる物品の形状や非接触型データ受送信体が貼付される場所などに応じてシート状の基材の凹部の形状を変更するだけで、所定形状の非接触型データ受送信体を製造することができる。
前記基材、前記インレットおよび前記樹脂が一体化された領域毎に、前記基材を分割し、前記基材からなる筐体を形成する工程を、前記工程βの後に備えたことが好ましい。
かかる構成によれば、基材、インレットおよび樹脂が一体化されてなる非接触型データ受送信体を個別に得ることができる。
前記樹脂として熱硬化性樹脂を用い、該熱硬化性樹脂を前記熱可塑性樹脂の融点より低い温度で熱処理することが好ましい。
かかる構成によれば、基材を分離してなる筐体が適用対象となる物品の形状に応じて形成された形状を保ち、かつ、インレットが熱的な損傷を受けることなく熱硬化性樹脂からなる被覆体により被覆されるので、得られる非接触型データ受送信体は寸法精度に優れるとともに、インレットの初期の機能を保ち、通信機能に優れたものとなる。
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、インレットは、筐体の凹部内にて、その外周全てを被覆体により覆うことができるから、筐体と被覆体を異なる材質で形成しても、外力が加えられることにより、筐体と被覆体の界面にて両者が剥離し、インレットが露出したり、損傷したりすることがない非接触型データ受送信体が得られる。また、非接触型データ受送信体は、筐体と被覆体の界面にて両者が剥離することがないので、内部に水分や薬品が浸透することもなく、耐水性や耐薬品性に優れたものとなる。また、筐体を熱可塑性樹脂で形成すれば、外力に対する耐久性および耐薬品性を十分に確保しつつ、薄型の構造にすることもできる。さらに、筐体を熱可塑性樹脂で形成すれば、外力に対する耐久性および耐薬品性を十分に確保し、薄型の構造にすることができるだけでなく、表面が湾曲した形状にすることもできる。さらに、従来の非接触型データ受送信体の製造方法のように、インレットを樹脂により被覆するための専用の装置、成型用の型などの設備を必要としないので、製造が容易であるとともに、製造コストを低減することができる。
以下、本発明を実施した非接触型データ受送信体の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る非接触型データ受送信体の製造方法によって得られる非接触型データ受送信体の一例を示す概略断面図である。図2および図3は、本発明に係る非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
図2および図3を参照して以下に説明する方法により、図1に示す非接触型データ受送信体が得られる。
図1中、符号10は非接触型データ受送信体、11はベース基材、12はアンテナ、13はICチップ、14はインレット、15は磁性体層、16は筐体、17は被覆体をそれぞれ示している。
この非接触型データ受送信体10は、凹部16aを設けた、断面形状が矩形状の筐体16と、凹部16a内に収蔵されたインレット14と、凹部16a内にインレット14を覆うように設けた被覆体17とから概略構成されている。
また、インレット14は、ベース基材11と、その一方の面11aに設けられ、互いに接続されたアンテナ12およびICチップ13とからなるものである。さらに、このインレット14には、ベース基材11の他方の面11bに磁性体層15が設けられている。
非接触型データ受送信体10において、アンテナ12は、ベース基材11の一方の面11aに所定の間隔をおいてICチップ13を介してコイル状に設けられている。さらに、ICチップ13の厚みは、アンテナ12の厚みよりも厚くなっている。
また、非接触型データ受送信体10において、インレット14を構成するアンテナ12とICチップ13が互いに接続されるとは、アンテナ12の端部がICチップ13の両極端子にそれぞれ接続されることである。
また、インレット14は、筐体16の外周端16bがなす平面よりも凹部16aの内側に配されている。
この構成の非接触型データ受送信体10を形成するために、以下の工程を行う。
以下に記すように、図2(a)に示すような磁性体層15が設けられたインレット14を製造する。
まず、ベース基材11の一方の面11aに、所定の厚み、所定のパターンをなすアンテナ12を設ける。
この工程では、アンテナ12をポリマー型導電インクで形成する場合、スクリーン印刷法により、ベース基材11の一方の面11aに、所定の厚み、所定のパターンとなるようにポリマー型導電インクを印刷した後、このポリマー型導電インクを乾燥・硬化させることにより、所定の厚み、所定のパターンをなすアンテナ12を形成する。
また、アンテナ12を導電性箔で形成する場合、以下のような手順に従う。
ベース基材11の一方の面11aの全面に導電性箔を貼り合わせた後、シルクスクリーン印刷法により、この導電性箔に耐エッチング塗料を所定のパターンに印刷する。この耐エッチング塗料を乾燥・固化させた後、エッチング液に浸して、耐エッチング塗料が塗布されていない銅箔を溶解除去し、耐エッチング塗料が塗布された銅箔部分をベース基材11の一方の面に残存させることにより、所定のパターンをなすアンテナ12を形成する。
次いで、アンテナ12に設けられた接点12b,12bと、ICチップ13に設けられた接点(図示略)を、導電性ペースト、または、はんだからなる導電材を介して電気的に接続して、ICチップ13をベース基材11の一方の面11aに実装する。
次いで、スクリーン印刷法などにより、磁性微粒子からなるフィラーと、樹脂と、添加剤と、溶媒とを含む磁性塗料を、ベース基材11の他方の面11bの全面に塗布する。磁性塗料を塗布した後、室温で放置するか、または所定の温度で、所定の時間、加熱して乾燥・固化することにより、磁性体層15を形成し、磁性体層15が設けられたインレット14を得る。
なお、磁性体層は、インレットを構成するアンテナおよびICチップを覆うように、ベース基材の一方の面に設けられていてもよい。この場合、コイル状に設けられたアンテナの間には、磁性体層をなす複合体が充填されるように配され、この複合体をなす磁性微粒子の全部または一部がアンテナの間に配される。
また、インレットの製造工程とは別に、図2(b)に示すように、熱可塑性樹脂からなるシート状の基材20を用意する。
次いで、図2(c)に示すように、基材20の少なくとも一部が、断面形状が矩形状の凹部20cをなすように、基材20を変形させる。
基材20を変形させて、凹部20cを形成する方法としては、一方の面20a側から基材20に所定の形状の金型などを押し当てるとともに、基材20を熱変形させる方法、他方の面20b側から基材20を減圧もしくは真空に吸引して、所定の形状の型に密着させる方法などが用いられる。
基材20に所定の形状の金型などを押し当てるとともに、基材20を熱変形させる方法では、基材20に向けて斜めに金型を押し当てて基材20を変形させたり、基材20と接触する部分の形状が丸みを帯びた金型を用いれば、凹部20cの形状を半球状に形成したり、図3に示すように、被貼付体への取り付け面となる部分(図3の符号20eで示す部分)を斜めにすることができる。この方法によれば、ICチップを封止しながらも、従来の方法では成し得ない樹脂封止構造を作製することができる。また、同様に、基材20を減圧もしくは真空に吸引して、所定の形状の型に密着させる方法によっても、いかなる形状の凹部20cを形成することができる。
次いで、図3(a)に示すように、基材20の凹部20c内にインレット14を収蔵する。
この工程では、凹部20cの開口端20dがなす平面よりも、凹部20cの内側になるようにインレット14を配する。
次いで、図3(b)に示すように、インレット14を覆うように、基材20の凹部20c内に熱硬化性樹脂21を充填する。
熱硬化性樹脂21としては、上述の被覆体17をなすものと同様のものが用いられる。
引き続いて、図3(c)に示すように、熱硬化性樹脂21を、基材20をなす熱可塑性樹脂の融点より低い温度で熱処理して、熱硬化性樹脂21を硬化させ、被覆体17を形成する。
次いで、基材20、インレット14および被覆体17が一体化された領域毎に、基材20を分割し、基材20からなる筐体16を形成し、図1に示すような非接触型データ受送信体10を得る。
ベース基材11としては、少なくとも表層部には、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材や、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材や、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドからなる電気絶縁性のフィルムまたはシートが好適に用いられる。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば100〜150℃程度でアンテナ12をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ12をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
一方、アンテナ12をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
ICチップ13としては、特に限定されず、アンテナ12を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
磁性体層15は、少なくとも磁性微粒子からなるフィラーを樹脂に含有してなる複合体から構成されている。このような磁性体層15において、非接触型データ受送信体10をベース基材11の一方の面11a側から見て、磁性体層15を構成する多数の磁性微粒子は、少なくともその一部が互いに重なり、連接した1つの磁性体を形成している。
磁性体層15をなす複合体は、磁性微粒子からなるフィラーと、樹脂とから概略構成されている。
この複合体は、磁性微粒子からなるフィラーと、樹脂と、添加剤と、溶媒とを含む磁性塗料を塗布、乾燥することによって、磁性微粒子がほぼ均一に分散した形態に成形される。
また、磁性微粒子としては、粉末状の磁性体粉末、または、この磁性体粉末をボールミルなどで微細化して粉末を成形した後、この粉末を機械的に扁平化して得られた扁平状のフレークなどからなる磁性体フレークが挙げられる。これらの中でも、磁性微粒子としては、扁平状のものが好ましい。磁性微粒子が扁平状であれば、非接触型データ受送信体10をベース基材11の一方の面11a側から見て、磁性体層15を構成する多数の磁性微粒子が、少なくともその一部が互いに重なり、連接した1つの磁性体を形成しやすい。したがって、より磁束が磁性体層を通ってアンテナに捕捉され易くなる。
さらに、磁性体粉末としては、例えば、センダスト(Fe−Si−Al合金)粉末、カーボニル鉄粉末、パーマロイなどのアトマイズ粉末、還元鉄粉末などが挙げられる。磁性体フレークとしては、例えば、前記磁性体粉末をボールミルなどで微細化して粉末を成形した後、この粉末を機械的に扁平化して得られたフレークや、鉄系またはコバルト系アモルファス合金の溶湯を水冷銅板に衝突させて得られたフレークなどが挙げられる。これらの中でも、磁性微粒子としては、センダストからなる磁性体粉末または磁性体フレークが好ましく、センダストからなる磁性体フレークがより好ましい。磁性微粒子が、センダストからなる磁性体粉末または磁性体フレークであれば、これらを構成要素として含む磁性体層15の飽和磁束密度および透磁率が高くなるので、より磁束が磁性体層を通ってアンテナに捕捉され易くなる。
なお、磁性体層15をなす磁性微粒子の形状は、その全てが粉末状あるいは扁平状のいずれか一方である必要はない。磁性体層15には、粉末状の磁性微粒子と扁平状の磁性微粒子が混在していてもよく、このように形状の異なる磁性微粒子が混在していても、本発明の非接触型データ受送信体は十分に効果を発揮する。
磁性体層15をなす複合体を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、あるいは、スチレン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム、エチレン・プロピレン共重合体ゴムなどのポリマー系の合成ゴム材料などが挙げられる。
熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
また、磁性体層15をなす複合体には、磁性体層15に粘着性を付与するために、各種粘着剤が含まれていてもよい。
また、磁性体層15をなす複合体を形成するために用いられる磁性塗料に含まれる添加剤としては、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。
さらに、この磁性塗料に含まれる溶媒としては、シクロヘキサノン、アセトン、ベンゼン系、エチル系などの有機溶媒が挙げられる。
基材20をなす熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、あるいは、スチレン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム、エチレン・プロピレン共重合体ゴムなどのポリマー系の合成ゴム材料などが挙げられる。
熱硬化性樹脂21としては、例えば、基材20の凹部20c内にインレット14を収蔵した状態で、インレット14を覆うように被覆することができるものでれば、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂21としては、その硬化温度が基材20をなす熱可塑性樹脂の融点よりも低いものを用いることが好ましい。
なお、この実施形態では、熱可塑性樹脂からなるシート状の基材20を用い、基材20の少なくとも一部が凹部20cをなすように、基材20を変形させる工程を含む製造方法を示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、予め断面形状が矩形状、円弧状などの所定の形状をなすとともに、断面形状が矩形状、円弧状などの所定の形状をなす凹部が設けられた基材を用いてもよい。
また、この実施形態では、基材20として、熱可塑性樹脂からなるシート状のものを用いた製造方法を示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、基材として、金属、ガラス、セラミックスなどからなるものを用いてもよい。基材として金属製のものを用いる場合には、熱可塑性樹脂を用いる場合と同様にして、基材の少なくとも一部が凹部をなすように、基材を変形させるか、予め凹部が設けられた基材を用いるか、もしくは、凹部が設けられた筐体状のものを用いてもよい。また、基材としてガラス製もしくはセラミックス製のものを用いる場合には、予め凹部が設けられた基材を用いるか、または、凹部が設けられた筐体状のものを用いてもよい。さらに、インレットを収蔵する凹部または筐体の形状は、対象となる物品の形状、非接触型データ受送信体が貼付される場所などに応じて適宜決定する。
また、この実施形態では、基材20の凹部20c内にインレット14を収蔵した後、この凹部20c内に熱硬化性樹脂21を充填する工程を示したが、本発明では、予め凹部20c内に熱硬化性樹脂21を適量注入した後、この熱硬化性樹脂21に接するように、凹部20c内にインレット14を収蔵してから、熱硬化性樹脂21を覆うように、凹部20c内に熱硬化性樹脂21を充填してもよい。
また、この実施形態では、基材20、インレット14および被覆体17が一体化された領域毎に、基材20を分割し、基材20からなる筐体16を形成する工程を含む製造方法を示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、基材、インレットおよび被覆体が一体化された領域を複数備えた非接触型データ受送信体を形成してもよい。
また、この実施形態では、インレット14のアンテナ12およびICチップ13が設けられている面を、基材20の凹部20c内の底面側に配したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体あっては、インレットのアンテナおよびICチップが設けられている面を基材の凹部の外周端側に配してもよい。
また、この実施形態では、筐体16をなす樹脂として、熱可塑性樹脂を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、筐体をなす樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂または反応型樹脂を用いてもよい。
また、この実施形態では、被覆体17をなす樹脂として、熱硬化性樹脂を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、被覆体17をなす樹脂としては、熱可塑性樹脂、反応型樹脂を用いてもよい。
このように、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、インレット14は、筐体16の凹部16a内にて、その外周全てを被覆体17により覆うことができるから、筐体16と被覆体17を異なる材質で形成しても、外力が加えられることにより、筐体16と被覆体17の界面にて両者が剥離し、インレット14が露出したり、損傷したりすることがない非接触型データ受送信体10が得られる。また、筐体16を熱可塑性樹脂で形成すれば、外力に対する耐久性および耐薬品性を十分に確保しつつ、薄型の構造にすることもできる。さらに、筐体16を熱可塑性樹脂で形成すれば、外力に対する耐久性および耐薬品性を十分に確保し、薄型の構造にすることができるだけでなく、表面が湾曲した形状にすることもできる。さらに、被覆体17をなす樹脂として熱硬化性樹脂を用い、この熱硬化性樹脂を、基材20をなす熱可塑性樹脂の融点より低い温度で熱処理すれば、基材20を分離してなる筐体16が適用対象となる物品の形状に応じて形成された形状を保ち、かつ、インレット14が熱的な損傷を受けることなく被覆体17により被覆されるので、得られる非接触型データ受送信体10は寸法精度に優れるとともに、インレット14の初期の機能を保ち、通信機能に優れたものとなる。
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、工業用品の物品識別用タグなどの製造方法にも適用できる。
本発明に係る非接触型データ受送信体の製造方法によって得られる非接触型データ受送信体の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る非接触型データ受送信体の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・非接触型データ受送信体、11・・・ベース基材、12・・・アンテナ、13・・・ICチップ、14・・・インレット、15・・・磁性体層、16・・・筐体、16a・・・凹部、17・・・被覆体、20・・・基材、20c・・・凹部、21・・・熱硬化性樹脂。

Claims (4)

  1. 少なくとも一部が凹部をなす基材を用い、前記凹部内にインレットを収蔵する工程αと、前記インレットを覆うように、前記凹部内に樹脂を充填する工程βと、を備えたことを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂からなるシート状の基材を用い、該基材の少なくとも一部が凹部をなすように該基材を変形させる工程を、前記工程αの前に備えたことを特徴とする請求項1に記載の非接触型データ受送信体の製造方法。
  3. 前記基材、前記インレットおよび前記樹脂が一体化された領域毎に、前記基材を分割し、前記基材からなる筐体を形成する工程を、前記工程βの後に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の非接触型データ受送信体の製造方法。
  4. 前記樹脂として熱硬化性樹脂を用い、該熱硬化性樹脂を前記熱可塑性樹脂の融点より低い温度で熱処理することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非接触型データ受送信体の製造方法。

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