JP2006300819A - 溶融金属のレーザ発光分光分析方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融金属にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法において、精度の良い分析が行われるようにする。
【解決手段】レーザ発振器5からのレーザを筒状体3を介して分析面Mに照射して、溶融金属2を励起させる。この励起で生じた光を分光分析器9で分光分析する。レーザ照射の際に、筒状体3内にArガスを導入し、Arガスの分子数が分析面Mで一定になるようにArガスの導入流量を調整する。
【選択図】図1
【解決手段】レーザ発振器5からのレーザを筒状体3を介して分析面Mに照射して、溶融金属2を励起させる。この励起で生じた光を分光分析器9で分光分析する。レーザ照射の際に、筒状体3内にArガスを導入し、Arガスの分子数が分析面Mで一定になるようにArガスの導入流量を調整する。
【選択図】図1
Description
この発明は、溶融金属のレーザ発光分光分析方法および装置、すなわち、溶融金属にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を受光して分光し、各波長の光強度を測定し、この測定値に基づいて前記溶融金属に含まれる元素の含有率を分析する方法とこの方法を実施できる装置に関する。
金属製造の精錬工程においては、精錬中の溶融金属の組成を把握するために、例えば、溶融金属の一部を採取して凝固させた固体試料を用いて、スパーク放電発光分光分析法や蛍光X線分析法などにより定量分析することが行われている。しかし、このような方法では、分析結果が得られるまでに時間がかかる、精錬中の一時点の情報しか得られないという問題がある。
近年、製品の品質管理に対する要求が益々厳しくなっていることと、高速精錬プロセスの操業管理という観点から、精錬中の溶融金属をライン上で直接、リアルタイムに分析できるようにすることが求められている。これが可能な方法として、精錬中の溶融金属にレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法が提案されている。
この方法に関し、下記の特許文献1には、溶融金属を入れる容器の底部または側壁部にノズルを設けて、このノズルから溶融金属と化学反応しないガスを吹き込むと同時に、このノズルを通してレーザを溶融金属に対して照射することが記載されている。このガスの吹き込みは、レーザを通すノズルに溶融金属を侵入させない目的で行われている。
この方法に関し、下記の特許文献1には、溶融金属を入れる容器の底部または側壁部にノズルを設けて、このノズルから溶融金属と化学反応しないガスを吹き込むと同時に、このノズルを通してレーザを溶融金属に対して照射することが記載されている。このガスの吹き込みは、レーザを通すノズルに溶融金属を侵入させない目的で行われている。
下記の特許文献2には、溶融金属の入った容器の上部に、下端が斜めに開口された筒状体(プローブ)を、その下端面が溶融金属の液面より下側に位置するように配置し、この筒状体の上面に設けた光学窓を介してレーザを溶融金属に照射するとともに、この筒状体の上方に設けたガス導入口から不活性ガスを溶融金属に向けて導入することが記載されている。この不活性ガスの導入は、溶融金属のレーザ照射面を容器の液面より押し下げて、分析に適した清浄な面とする目的で行われている。
下記の特許文献3には、開口端部を溶融金属に浸漬させるケーシング内に、溶融金属にレーザを照射するための装置および光学系と、溶融金属から生じた光を分光分析するための装置と光学系を配置し、このケーシング内の溶融金属の表面とレーザ照射用の集束レンズとの間に不活性ガスを導入することが記載されている。この不活性ガスの導入は、溶融金属の表面とレーザ照射用の集束レンズとの距離を所定距離に維持する目的で行われている。
特開昭60−42644号公報
特開平8−219993号公報
特表平4−507136号公報
しかしながら、レーザ発光分光分析法で溶融金属にガスを導入しながらレーザ照射を行うと、溶融金属からの発光強度が前記ガスの導入量によって変化して、分析精度が低下することが考えられる。
本発明の課題は、溶融金属にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法において、精度の良い分析が行われるようにすることを課題とする。
本発明の課題は、溶融金属にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法において、精度の良い分析が行われるようにすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、溶融金属の分析面にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を受光して分光し、各波長の光強度を測定し、この測定値に基づいて前記溶融金属に含まれる元素の含有率を分析するレーザ発光分光分析法において、前記分析面に存在する前記ガスの分子数が常時一定になるように前記ガスの導入を行うことを特徴とする溶融金属のレーザ発光分光分析法を提供する。
本発明の方法においては、溶融金属の分析面に開口端が配置される筒状体を介して、前記ガスの導入とレーザ照射を行い、前記溶融金属の分析面に向けて導入するガスの流量、前記筒状体内での前記ガスの圧力、および前記筒状体内での前記ガスの温度のいずれか一つ以上を調整することで、前記分析面に存在する前記ガスの分子数が常時一定になるように制御することが好ましい。
本発明の方法を実施できる装置としては、容器内の溶融金属の分析面に開口端が配置される筒状体と、前記筒状体に不活性ガスを導入するガス導入手段と、前記筒状体を介して前記溶融金属にレーザを照射するレーザ照射手段と、前記溶融金属から生じた光を受光する光学系と、前記光学系で受光された光を分光し、各波長の光強度を検出して、前記溶融金属に含まれる元素の含有率を分析する分光分析器と、前記筒状体に導入される不活性ガスの流量を検出する流量センサと、前記筒状体内の不活性ガスの圧力を検出する圧力センサと、前記筒状体内の不活性ガスの温度を検出する温度センサと、前記流量センサからの流量検出値、前記圧力センサからの圧力検出値、前記温度センサからの温度検出値に基づいて、前記分析面に存在する前記不活性ガスの分子数が常時一定になるように、前記筒状体に導入する不活性ガスの流量、前記筒状体内の不活性ガスの圧力、および前記筒状体内の不活性ガスの温度のいずれかを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする溶融金属のレーザ発光分光分析装置が挙げられる。
以下、本発明の方法の作用について説明する。
溶鋼(溶融された鋼)とその一部を採取して凝固させた固体試料に対してレーザ照射を行い、生じた光を分光して得られたスペクトルを図2に示す。ここで、溶鋼の分析面に対しては不活性ガスを導入しながらレーザを照射した。また、同じ方法で各種組成の溶鋼と固体試料のスペクトルを測定し、その結果から作成した検量線(C/Fe発光強度比)を図3に示す。これらの図から、溶融金属からの発光強度は固体試料からの発光強度と比較して著しく強いことが分かる。
溶鋼(溶融された鋼)とその一部を採取して凝固させた固体試料に対してレーザ照射を行い、生じた光を分光して得られたスペクトルを図2に示す。ここで、溶鋼の分析面に対しては不活性ガスを導入しながらレーザを照射した。また、同じ方法で各種組成の溶鋼と固体試料のスペクトルを測定し、その結果から作成した検量線(C/Fe発光強度比)を図3に示す。これらの図から、溶融金属からの発光強度は固体試料からの発光強度と比較して著しく強いことが分かる。
さらに、溶鋼に対して不活性ガスを導入しながらレーザを照射し、生じた光を分光して得られたスペクトルから、波長193.09nm(C)と波長193.45nm(Fe)の発光強度を測定することを、同じ溶鋼に対して不活性ガスの流量を変化させて行い、各波長での発光強度の変化を調べた。その結果を図4に示す。この結果から、不活性ガスの流量の違いによって、分析値が大きく変化することが分かった。
これらの現象を解析した結果、以下の推論に至った。
溶鋼中の炭素分析の例では、脱炭反応過程で生成するガス成分(CO2 等)が溶鋼の表面に層状に存在する。よって、溶融金属の分析面にレーザを照射すると、溶融金属が励起されて発光するだけでなく、溶融金属の表面に存在するガス層の成分がレーザにより励起されて発光することで、固体試料の場合よりも発光強度が著しく強くなる。
溶鋼中の炭素分析の例では、脱炭反応過程で生成するガス成分(CO2 等)が溶鋼の表面に層状に存在する。よって、溶融金属の分析面にレーザを照射すると、溶融金属が励起されて発光するだけでなく、溶融金属の表面に存在するガス層の成分がレーザにより励起されて発光することで、固体試料の場合よりも発光強度が著しく強くなる。
また、前記ガス層の組成(各成分の量)は、溶融金属から生じるガス(脱炭反応過程で生成されるCO2 等)の組成と、溶融金属の分析面に導入されるガスの組成によって決まる。よって、溶融金属の分析面に導入する不活性ガスの流量が変化すると、分析面に存在する前記ガスの量(分子数)が変化するため、前記ガス層の組成が変化することで発光強度が変化する。
本発明の方法では、溶融金属の分析面に対するガスの導入を、前記ガスの前記分析面に存在する分子数が常時一定になるように行うことで、分析値に対する前記ガス層の影響値を一定にすることができる。よって、このような制御をしない場合と比較して、溶融金属に含まれる元素の含有率を精度良く分析することができる。
本発明の方法では、溶融金属の分析面に対するガスの導入を、前記ガスの前記分析面に存在する分子数が常時一定になるように行うことで、分析値に対する前記ガス層の影響値を一定にすることができる。よって、このような制御をしない場合と比較して、溶融金属に含まれる元素の含有率を精度良く分析することができる。
本発明の方法によれば、溶融金属の分析面にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法において、精度の良い分析が行われるようにすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態のレーザ発光分光分析装置を示す図である。
このレーザ発光分光分析装置は、容器1に入った溶融金属2にレーザを照射して溶融金属2を励起させ、これにより生じた光を分光して、溶融金属2中に含まれる元素の含有率を分析する装置である。
溶融金属2の入った容器1の上部に、縦長の筒状体3が配置されている。この筒状体3は、下端が開口され、下端面が溶融金属2の液面より下側に位置するように配置されている。筒状体3の上部に、水平に延びるガス供給配管31が接続されている。ガス供給配管31の一端に、Arガス(不活性ガス)供給源が接続されている。
図1は、この実施形態のレーザ発光分光分析装置を示す図である。
このレーザ発光分光分析装置は、容器1に入った溶融金属2にレーザを照射して溶融金属2を励起させ、これにより生じた光を分光して、溶融金属2中に含まれる元素の含有率を分析する装置である。
溶融金属2の入った容器1の上部に、縦長の筒状体3が配置されている。この筒状体3は、下端が開口され、下端面が溶融金属2の液面より下側に位置するように配置されている。筒状体3の上部に、水平に延びるガス供給配管31が接続されている。ガス供給配管31の一端に、Arガス(不活性ガス)供給源が接続されている。
ガス供給配管31には、また、ガス供給配管31内の圧力を検出する圧力計(圧力センサ)32と、ガス供給配管31内に導入されたガスの流量を検出するマスフローメータ(流量センサ)33が設置されている。
筒状体3の上端面は、照射するレーザの波長に対して透明な材料(硼珪酸ガラス等)からなる窓材(光学窓)4で塞がれている。この光学窓4上の周縁部に、放射温度計(温度センサ)34が設置されている。この放射温度計34により筒状体3内の温度を検出する。
筒状体3の上端面は、照射するレーザの波長に対して透明な材料(硼珪酸ガラス等)からなる窓材(光学窓)4で塞がれている。この光学窓4上の周縁部に、放射温度計(温度センサ)34が設置されている。この放射温度計34により筒状体3内の温度を検出する。
このレーザ発光分光分析装置は、レーザを容器1内の溶融金属2に照射するレーザ照射手段として、レーザ発振器5と、反射ミラー6と、集光レンズ7を、筒状体3の外側に備えている。また、溶融金属2からの光を受光する光学系として、反射ミラー81と集光レンズ82が筒状体3の外側に配置されている。また、この集光レンズ82で集光された光が分光分析器9に導入されるように構成されている。
分光分析器9と、レーザ発振器5と、圧力計32と、マスフローメータ33と、放射温度計34が制御装置10に接続されている。マスフローメータ33は、ガス供給配管31内のガス流量を検出して制御装置10に流量検出値vを出力するだけでなく、制御装置10からの開度指令値kに応じて、ガス供給配管31の開度を制御する。
制御装置10は、圧力計32からの圧力検出値pと、マスフローメータ33からの流量検出値vと、放射温度計34からの温度検出値tに基づいて、予め記憶されたプログラムを実行し、溶融金属2の分析面Mに存在するArガスの分子数を常時一定にするための開度指令値kをマスフローメータ33に出力するように構成されている。
制御装置10は、圧力計32からの圧力検出値pと、マスフローメータ33からの流量検出値vと、放射温度計34からの温度検出値tに基づいて、予め記憶されたプログラムを実行し、溶融金属2の分析面Mに存在するArガスの分子数を常時一定にするための開度指令値kをマスフローメータ33に出力するように構成されている。
なお、この実施形態のレーザ発光分光分析装置においては、Arガス供給源、ガス供給配管31、およびマスフローメータ33が、本発明のレーザ発光分光分析装置の「ガス導入手段」を構成する。また、制御装置10およびマスフローメータ33が、本発明のレーザ発光分光分析装置の「制御手段」を構成する。
この実施形態のレーザ発光分光分析装置を使用する際には、Arガス供給源からガス供給配管31へのArガス供給を開始し、レーザ発振器5、分光分析器9、および制御装置10を起動する。
この実施形態のレーザ発光分光分析装置を使用する際には、Arガス供給源からガス供給配管31へのArガス供給を開始し、レーザ発振器5、分光分析器9、および制御装置10を起動する。
これにより、レーザ発振器5から出射されたレーザが、反射ミラー6で曲げられ、集光レンズ7で集光されて筒状体3内に入り、筒状体3の下端面(溶融金属2の分析面M)近くで焦点を結ぶ。また、ガス供給配管31から筒状体3内へのArガスの導入が、溶融金属2の分析面Mに存在するArガスの分子数が常時一定になるように行われる。そして、導入されたArガスにより、溶融金属2の分析面Mが清浄に保持される。
これに伴って、筒状体3の下端面近くの溶融金属2が励起されてプラズマが生じ、その光が、反射ミラー81で曲げられて集光レンズ82で受光されて分光分析器9に入射される。分光分析器9では、入射された光が分光されて各波長の光強度検出が行われ、予め求めておいた検量線データを基に、分析対象元素の分析値が算出される。
この実施形態のレーザ発光分光分析装置によれば、溶融金属2の分析面Mに対するArガスの導入が、分析面Mに存在するArガスの分子数が常時一定になるように行われるため、このような制御をしない場合と比較して、溶融金属2に含まれる元素の含有率を精度良く分析することができる。また、流量センサとしてマスフローメータ33を用いているため、制御の応答性が良好である。
この実施形態のレーザ発光分光分析装置によれば、溶融金属2の分析面Mに対するArガスの導入が、分析面Mに存在するArガスの分子数が常時一定になるように行われるため、このような制御をしない場合と比較して、溶融金属2に含まれる元素の含有率を精度良く分析することができる。また、流量センサとしてマスフローメータ33を用いているため、制御の応答性が良好である。
なお、この実施形態では、マスフローメータ33を用い、筒状体3に導入するArガスの流量を制御することで、分析面Mに存在するArガスの分子数が常時一定になるようにしている。これに代えて、筒状体内の不活性ガスの圧力の制御または筒状体内の不活性ガスの温度の制御により、溶融金属の分析面に存在する不活性ガスの分子数が常時一定になるようにしてもよい。
しかしながら、筒状体内の不活性ガスの圧力は、筒状体の溶融金属に対する浸漬深さ(分析面の高さ)や溶融金属の容器内での液面位置の影響を受けやすく、筒状体内の不活性ガスの温度は応答性が良くないため、この実施形態のようにガス流量で制御することが好ましい。
また、溶融金属にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法の分析精度を向上させる方法として、上述のような、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数が常時一定になるようにして分析する方法以外に、得られた分析値を、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数の変化分で補正する方法も採用できる。
また、溶融金属にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を分光分析するレーザ発光分光分析法の分析精度を向上させる方法として、上述のような、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数が常時一定になるようにして分析する方法以外に、得られた分析値を、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数の変化分で補正する方法も採用できる。
この方法を採用する場合には、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数を変化させた時の発光強度の変化を予め調べて、例えば、補正値の算出式を求めておき、その算出式に、分析時の導入ガスの温度、圧力、流量の各検出値を代入して補正値を算出し、この補正値で分析値を補正する。
しかしながら、分析対象元素の発光強度が弱く、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数の変化に伴って分光分析時の光強度信号のSN比が不十分になる場合には、分析精度が低下するため、この方法(得られた分析値を、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数の変化分で補正する方法)を採用することは適切でない。
しかしながら、分析対象元素の発光強度が弱く、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数の変化に伴って分光分析時の光強度信号のSN比が不十分になる場合には、分析精度が低下するため、この方法(得られた分析値を、溶融金属の分析面に存在する導入ガスの分子数の変化分で補正する方法)を採用することは適切でない。
図1の発光分光分析装置として、以下の構成のものを作製した。
図1のレーザ発振器5としては、波長1064nmのYAGパルスレーザを用い、集光レンズ7としては、焦点距離1000mmの反射防止膜付き合成石英製の平凸レンズを用いた。
また、反射ミラー81としては、紫外線領域での反射率が高いMgF2 薄膜付きのアルミニウムミラーを用いた。集光レンズ82としては、合成石英製の両凸レンズを用いた。また、分光分析器9としては、ICCD検出器を備えた真空ポリクロメータを用いた。圧力計34としては、シリアル出力付きデジタル圧力計を用いた。
図1のレーザ発振器5としては、波長1064nmのYAGパルスレーザを用い、集光レンズ7としては、焦点距離1000mmの反射防止膜付き合成石英製の平凸レンズを用いた。
また、反射ミラー81としては、紫外線領域での反射率が高いMgF2 薄膜付きのアルミニウムミラーを用いた。集光レンズ82としては、合成石英製の両凸レンズを用いた。また、分光分析器9としては、ICCD検出器を備えた真空ポリクロメータを用いた。圧力計34としては、シリアル出力付きデジタル圧力計を用いた。
このレーザ発光分光分析装置を用いて、小型転炉での溶鋼中のC濃度を所定時間毎に測定した。すなわち、レーザ発振器5を、エネルギー100mJ/パルス、周波数20Hz(20パルス/秒)の条件で起動して、溶鋼(溶融金属)2にレーザパルスを照射した。これと同時に、筒状体3内にArガスを導入し、分光分析器9、および制御装置10を起動して、Arガスの分子数が分析面Mで一定になるようにガス流量の調整を行った。そして、この状態で、所定時間毎に溶鋼中のC濃度を分析した。この方法が本発明の実施例に相当する。
また、比較例として、Arガスの分子数が分析面Mで一定になるようなガス流量の調整を行わず、常時一定量のArガスを導入した以外は、上記と同じ方法で、小型転炉での溶鋼中のC濃度を測定した。
また、実施例および比較例で得られたC濃度(C含有率)の分析値の精度を評価するために、同じタイミングで溶鋼をサンプリングして、そのC濃度(C含有率)を燃焼赤外吸収分析法により分析した。この分析値と実施例および比較例で得られた分析値との関係を図5にグラフで示す。図5の「●」は実施例の結果、「×」は比較例の結果を示す。
この結果から、Arガスの分子数が溶鋼の分析面で一定になるようにArガス流量を調整することで、この調整を行わない場合よりも、レーザ発光分光分析の精度が向上することが分かる。
また、実施例および比較例で得られたC濃度(C含有率)の分析値の精度を評価するために、同じタイミングで溶鋼をサンプリングして、そのC濃度(C含有率)を燃焼赤外吸収分析法により分析した。この分析値と実施例および比較例で得られた分析値との関係を図5にグラフで示す。図5の「●」は実施例の結果、「×」は比較例の結果を示す。
この結果から、Arガスの分子数が溶鋼の分析面で一定になるようにArガス流量を調整することで、この調整を行わない場合よりも、レーザ発光分光分析の精度が向上することが分かる。
1 容器
2 溶融金属
3 筒状体
31 ガス供給配管
32 圧力計(圧力センサ)
33 マスフローメータ(流量センサ)
34 放射温度計(温度センサ)
4 光学窓
5 レーザ発振器
6 反射ミラー
7 集光レンズ
81 反射ミラー(受光部)
82 集光レンズ(受光部)
9 分光分析器
10 制御装置
2 溶融金属
3 筒状体
31 ガス供給配管
32 圧力計(圧力センサ)
33 マスフローメータ(流量センサ)
34 放射温度計(温度センサ)
4 光学窓
5 レーザ発振器
6 反射ミラー
7 集光レンズ
81 反射ミラー(受光部)
82 集光レンズ(受光部)
9 分光分析器
10 制御装置
Claims (3)
- 溶融金属の分析面にガスを導入しながらレーザを照射することで溶融金属を励起して光を生じさせ、この光を受光して分光し、各波長の光強度を測定し、この測定値に基づいて前記溶融金属に含まれる元素の含有率を分析するレーザ発光分光分析法において、
前記分析面に存在する前記ガスの分子数が常時一定になるように前記ガスの導入を行うことを特徴とする溶融金属のレーザ発光分光分析法。 - 溶融金属の分析面に開口端が配置される筒状体を介して、前記ガスの導入とレーザ照射を行い、前記溶融金属の分析面に向けて導入するガスの流量、前記筒状体内での前記ガスの圧力、および前記筒状体内での前記ガスの温度のいずれか一つ以上を調整することで、前記分析面に存在する前記ガスの分子数が常時一定になるように制御する請求項1記載のレーザ発光分光分析法。
- 容器内の溶融金属の分析面に開口端が配置される筒状体と、
前記筒状体に不活性ガスを導入するガス導入手段と、
前記筒状体を介して前記溶融金属にレーザを照射するレーザ照射手段と、
前記溶融金属から生じた光を受光する光学系と、
前記光学系で受光された光を分光し、各波長の光強度を検出して、前記溶融金属に含まれる元素の含有率を分析する分光分析器と、
前記筒状体に導入される不活性ガスの流量を検出する流量センサと、
前記筒状体内の不活性ガスの圧力を検出する圧力センサと、
前記筒状体内の不活性ガスの温度を検出する温度センサと、
前記流量センサからの流量検出値、前記圧力センサからの圧力検出値、前記温度センサからの温度検出値に基づいて、前記分析面に存在する前記不活性ガスの分子数が常時一定になるように、前記筒状体に導入する不活性ガスの流量、前記筒状体内の不活性ガスの圧力、および前記筒状体内の不活性ガスの温度のいずれかを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする溶融金属のレーザ発光分光分析装置。
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