JP2006300218A - サイレントチェーン - Google Patents

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【課題】チェーンの伸びの抑制、および振動・騒音の低減を両立させることができるサイレントチェーンを提供する。
【解決手段】2枚以下のリンクプレート2をそれぞれ有する複数のリンク列3と、2枚のガイドプレート4および2枚以上のリンクプレート5をそれぞれ有する複数のガイド列6と、を備え、複数のリンク列3と複数のガイド列6が、ピン7を介して交互に連鎖状に連結されている。また、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLが、ガイド列6のガイドプレート4およびリンクプレート5の板厚TG、Tbよりも厚く、さらに、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLの総和が、ガイド列6のガイドプレート4およびリンクプレート5の板厚TG、Tbの総和と等しい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンなどに用いられるサイレントチェーンに関する。
従来、サイレントチェーンとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このサイレントチェーンは、n枚のプレートを有する複数のリンク列と、n+1枚のプレートを有する複数のガイド列とを、ピンを介して連結したものである。各リンク列は、n枚のリンクプレートで構成され、各ガイド列は、2枚のガイドプレートおよびn−1枚のリンクプレートで構成されている。また、各リンクプレートおよび各ガイドプレートには、ピンが挿通される2つのピン孔が、互いに所定の間隔を隔てて形成されている。
また、リンク列およびガイド列のプレートはそれぞれ、ピンの長さ方向に沿って交互に配置されている。具体的には、ガイド列の2枚のガイドプレートがピンの両端部にそれぞれ固定され、これらの両ガイドプレート間に、リンク列のn枚のリンクプレートとガイド列のn−1枚のリンクプレートが、ピンを挿通した状態で交互に配置され、そのピンを介していわゆる指組状に連結されている。また、このサイレントチェーンでは、リンク列のリンクプレートの板厚の総和が、ガイド列のガイドプレートおよびリンクプレートの板厚の総和以上に設定されており、それにより、チェーンの作動(回転)時に、ピンに両側から作用するリンク列およびガイド列の引張り荷重をほぼ均等に分布させるようにしている。
上記のサイレントチェーンでは、リンク列およびガイド列のリンクプレートがそれぞれ、n枚およびn−1枚であるため、チェーンの伸びの抑制と振動・騒音の低減との両立を図ることができないという欠点がある。それは以下の理由による。
すなわち、リンク列の複数のリンクプレートは、2つのピン孔のピッチ(ピン孔の中心間の距離)のばらつきなどに起因して、チェーンの作動時に、ピン孔の内面が、挿通されたピンに同時に接触せずに、バラバラに接触することがある。図11(a)〜(d)は、このような状況を、ガイド列の2枚のリンクプレートLGの両側にリンク列のリンクプレートLを各2枚、配置したサイレントチェーンを例にとり、経時的に示したものである。各図には、リンク列のリンクプレートLのピン孔の内面がピンPに接触した状態と、そのときのリンクプレートLとピンPとの接触面圧の分布が示されている。この例では、チェーンの作動に伴い、各図の白抜き矢印の方向に引張り荷重が作用したときに、同図(a)に示すように、まず左から2番目のリンクプレートLのみがピンPに接触し、それにより、引張り荷重がそのリンクプレートLに集中する。それにより、そのリンクプレートLが伸びるとともに、ピンPがリンクプレートLから受ける面圧が、ピンPの許容面圧(各図の破線)よりも大きくなり、ピンPが局所的に摩耗する。そして、このようなピンPの摩耗に伴い、さらに同図(b)〜(d)に示すように、他のリンクプレートLもピンPに順次、接触し、それらのリンクプレートLによっても、上記と同様に、ピンPが局所的に摩耗する。その結果、図12に示すように、ピンPには、局所的な摩耗部分Mが階段状に生じる。
上記のように、リンクプレートLがピンPに段階的に接触する場合、特にその初期段階では、1枚あるいは少数のリンクプレートLで、引張り荷重を支持することになるため、例えば図6の比較例1に示すように、チェーンの伸びの立上がりが、特に初期段階において非常に大きくなる。
以上のことから、サイレントチェーンにおいて、チェーンの伸びを抑制するには、ピンとの接触の初期段階におけるリンクプレートLの伸びを抑制することが有効であり、そのためには、リンク列のリンクプレートLの板厚を厚くし、枚数を少なくすることが望ましい。その一方で、チェーンの作動時の振動・騒音を低減するという観点からは、サイレントチェーンが巻き掛けられたスプロケットに、リンク列およびガイド列のリンクプレートL、LGが噛み合うときの衝突エネルギーを、リンクプレートL、LGに分散させることが有効であり、そのためには、リンクプレートL、LGの板厚を薄くし、1枚当たりの重量を減らすとともに、リンクプレートL、LGの枚数を増やすことが望ましい。
しかし、前述したように、特許文献1のサイレントチェーンでは、リンク列のリンクプレートがn枚で、ガイド列のリンクプレートがn−1枚であるので、チェーンの伸びを抑制するために、リンク列のリンクプレートの枚数を少なくした場合には、それに応じて、ガイド列のリンクプレートも必然的に少なくなり、その結果、振動・騒音を十分に低減できなくなる。逆に、リンク列およびガイド列のリンクプレートの枚数を多くした場合には、振動・騒音は低減するものの、リンク列のリンクプレートが多くなる結果、チェーンの伸びを十分に抑制できなくなる。以上のように、従来のサイレントチェーンでは、チェーンの伸びの抑制、および振動・騒音の低減の一方を犠牲にせざるを得ない。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、チェーンの伸びの抑制、および振動・騒音の低減を両立させることができるサイレントチェーンを提供することを目的とする。
特開平8−219236号公報
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、2枚以下のリンクプレート2をそれぞれ有する複数のリンク列3と、2枚のガイドプレート4および2枚以上のリンクプレート5をそれぞれ有する複数のガイド列6と、を備え、複数のリンク列3と複数のガイド列6が、ピン7を介して交互に連鎖状に連結されていることを特徴とする。
この構成によれば、リンク列とガイド列が、ピンを介して交互に連鎖状に連結され、前者が2枚以下のリンクプレートを有する一方、後者が2枚のガイドプレートおよび2枚以上のリンクプレートを有している。このように、リンク列のリンクプレートが2枚以下で、その枚数が少ないことにより、チェーンの作動時に、ピンとの接触の初期段階におけるリンクプレートの伸びを抑制でき、その結果、サイレントチェーンの伸びを抑制することができる。一方、ガイド列のリンクプレートが2枚以上で、その枚数が多いことにより、それらのリンクプレートがスプロケットに噛み合うときの衝突エネルギーを、各リンクプレートに分散させることができ、その結果、チェーンの作動時の振動・騒音を低減することができる。以上のように、上記構成のサイレントチェーンによれば、チェーンの伸びの抑制、および振動・騒音の低減を両立させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のサイレントチェーンにおいて、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLが、ガイド列6のガイドプレート4およびリンクプレート5の板厚TG、Tbよりも厚いことを特徴とする。
この構成によれば、リンク列の各プレート(リンクプレート)の板厚が、リンク列よりも枚数の多いガイド列の各プレート(ガイドプレートおよびリンクプレート)の板厚よりも厚いので、リンク列およびガイド列の各プレートの板厚を同じにする場合に比べて、チェーンの作動時に作用する引張り荷重を各プレートにバランス良く分布させることができ、それにより、チェーンの伸びを抑制することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のサイレントチェーンにおいて、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLの総和が、ガイド列6のガイドプレート4およびリンクプレート5の板厚TG、Tbの総和と等しいことを特徴とする。
この構成によれば、リンク列のプレート(リンクプレート)の板厚の総和が、ガイド列のプレート(ガイドプレートおよびリンクプレート)の板厚の総和と等しいので、チェーンの作動時に作用する引張り荷重を、リンク列のプレートと、ガイド列のプレートにほぼ均等に分布させることができ、それにより、チェーンの伸びを一層抑制することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるサイレントチェーンを部分的に示している。このサイレントチェーン1は、例えばディーゼルエンジンなどに用いられ、エンジンのクランクシャフトとカムシャフトの間に設けられるカムシャフト駆動チェーンや、クランクシャフトとオイルポンプの間に設けられるオイルポンプ駆動チェーン、さらには、クランクシャフトとバランサーシャフトの間に設けられるバランサーシャフト駆動チェーンなどとして利用される。
図1および図2に示すように、このサイレントチェーン1は、2枚のリンクプレート2、2からなるリンク列3と、2枚のガイドプレート4、4および2枚のリンクプレート5、5からなるガイド列6とを備え、これらのリンク列3およびガイド列6が、ピン7を介して交互に連鎖状に連結されている。
図3(a)に示すように、リンク列3およびガイド列6のリンクプレート2、5の正面形状は、互いに同じである。前者のリンクプレート2の厚さTL(以下「板厚TL」という)は、後者のリンクプレート5の厚さTb(以下「板厚Tb」という)よりも大きな値に設定されており、板厚TLは例えば2.6mm、板厚Tbは例えば1.4mmである。
リンクプレート2、5は、左右対称で、所定の形状およびサイズの左右一対のリンク歯11、11を有しており、これらのリンク歯11、11が、サイレントチェーン1を巻き掛けたスプロケットSの歯(図1(b)参照)に噛み合うようになっている。また、リンクプレート2、5には、2つのピン孔12、12が所定の中心間距離を隔てるように形成され、各ピン孔12にピン7が遊挿されている。
一方、図3(b)に示すように、ガイドプレート4は、左右対称で、ほぼ台形状の正面形状を有し、その厚さTG(以下「板厚TG」という)は、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLよりも薄く、例えば1.2mmに設定されている。また、ガイドプレート4は、リンクプレート2、5と同様の左右2つのピン孔13、13を有し、各ピン孔13に挿通されたピン7の端部に、かしめあるいは圧入によって固定されている。
以上のように形成されたリンク列3の2枚のリンクプレート2、2と、ガイド列6の2枚のガイドプレート4、4および2枚のリンクプレート5、5が、ピン7の長さ方向に沿って配置されている。具体的には、図2に示すように、ガイド列6の2枚のガイドプレート4、4が、ピン7の両端部にそれぞれ固定され、両ガイドプレート4、4間に、リンク列3の2枚のリンクプレート2、2が配置され、さらに、これら両リンクプレート2、2間に、ガイド列6の2枚のリンクプレート5、5が、互いに重なった状態で配置されている。
また、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLと、ガイド列6のリンクプレート5およびガイドプレート4のそれぞれの板厚Tb、TGは、次式の関係が成り立つように設定されている。
2TL=2Tb+2TG
すなわち、リンク列3の2枚のリンクプレート2、2の板厚TLの総和が、ガイド列6のすべてのプレート、すなわち2枚のリンクプレート5、5および2枚のガイドプレート4、4の板厚Tb、TGの総和と等しくなっている。
以上の構成のサイレントチェーン1は、スプロケットSによって駆動されるのに伴い、リンク列3およびガイド列6のリンクプレート2、5のリンク歯11が、スプロケットSの歯に噛み合い、その際、ガイド列6の両ガイドプレート4、4は、サイレントチェーン1をスプロケットSから外さないように案内する。
次に、図4〜図8を参照して、上述したサイレントチェーン1と、比較例としての後述するサイレントチェーン21およびローラチェーン31に対して行ったチェーンの伸び試験および騒音試験について説明する。なお、以下の説明では、実施例としてのサイレントチェーン1に対し、サイレントチェーン21を比較例1とし、ローラチェーン31を比較例2として説明するものとする。
図4に示すように、比較例1のサイレントチェーン21は、上述したサイレントチェーン1に対して、リンク列3のリンクプレート2の枚数および板厚のみが異なっている。すなわち、このサイレントチェーン21のリンク列3は、4枚のリンクプレート2からなり、互いに重なった2枚のリンクプレート2、2が、ガイド列6の各ガイドプレート4とリンクプレート5の間に配置されている。また、リンク列3のリンクプレート2の板厚は、サイレントチェーン1のそれの半分(TL/2)であり、さらにサイレントチェーン21の幅(以下「チェーン幅」という)Hは、サイレントチェーン1のチェーン幅H(図2参照)と同じである。
また、図5に示すように、比較例2のローラチェーン31は、2つのローラ32、32、およびこれらの両端同士をそれぞれ連結する2枚のインナープレート33、33を有するインナー部34と、2枚のアウタープレート35からなるアウター部36とを備えており、これらのインナー部34およびアウター部36が、ローラ32に挿通されたピン37を介して、交互に連鎖状に連結されている。このローラチェーン31のチェーン幅Hも、実施例のサイレントチェーン1および比較例1のサイレントチェーン21のそれと同じである。
まず、チェーンの伸び試験では、チェーン1、21、31を駆動スプロケットと従動スプロケットの間に巻き掛け、チェーンの張力を186kgf、駆動スプロケットを8000rpmで所定時間、回転させたときのチェーンの伸び(伸び率)をそれぞれ測定した。
図6および図7はそれぞれ、チェーン1、21、31の伸び率の推移、および100時間、回転させた後のチェーン1、21、31の伸び率を示している。両図に示すように、実施例のサイレントチェーン1については、比較的伸びにくい比較例2のローラチェーン31とほぼ同様の結果が得られており、チェーンの伸び率が、試験時間の経過とともに非常に緩やかに増大し、100時間回転させた後でも、0.1%未満に留まっている。一方、比較例1のサイレントチェーン21は、実施例のサイレントチェーン1に比べて、チェーンの伸び率が、回転の開始直後に特に大きな傾きで増大するとともに、その後も時間の経過とともに比較的大きな傾きで増大し、100時間回転させた後では、0.35%を上回っている。
一方、チェーンの騒音試験では、実施例のサイレントチェーン1および比較例2のローラチェーン31を用い、チェーン1、31を駆動スプロケットと従動スプロケットの間に巻き掛けた状態で、駆動スプロケットの回転数を6000rpmまで徐々に上昇させ、そのときのチェーン1、31から所定距離、離れた位置での音圧レベルをそれぞれ測定した。
図8は、この騒音試験の結果を示している。同図に示すように、回転数のすべての範囲において、実施例のサイレントチェーン1の音圧レベルは、比較例2のローラチェーン31のそれよりも下回っている。
以上のチェーンの伸び試験および騒音試験の結果から、実施例のサイレントチェーン1は、4枚のリンクプレート2を有するリンク列3を備えた比較例1のサイレントチェーン21に比べて、極めて伸びにくく、比較例2のローラチェーン31と同等の伸びにくさを有することが確認された。加えて、実施例のサイレントチェーン1は、比較例2のローラチェーン31に比べて、騒音が小さく、静音性が高いことが確認された。
以上詳述したように、本実施形態のサイレントチェーン1は、リンク列3とガイド列6が、ピン7を介して交互に連鎖状に連結され、リンク列3が2枚のリンクプレート2、2を有する一方、ガイド列6が2枚のガイドプレート4、4および2枚のリンクプレート5、5を有している。このように、リンク列3のリンクプレート2の枚数を少なくすることにより、チェーンの作動時に、ピン7との接触の初期段階におけるリンクプレート2の伸びを抑制でき、その結果、サイレントチェーン1の伸びを抑制することができる。一方、ガイド列6のリンクプレート5を2枚とすることにより、リンクプレート5、5がスプロケットSに噛み合うときの衝突エネルギーを、各リンクプレート5に分散させることができ、その結果、振動・騒音を低減することができる。以上のように、上記構成のサイレントチェーン1によれば、チェーンの伸びの抑制、および振動・騒音の低減を両立させることができる。
また、リンク列3のリンクプレート2の板厚TLが、ガイド列6の各プレート(ガイドプレート4およびリンクプレート5)の板厚TG、Tbよりも厚いとともに、板厚TLの総和が、板厚TG、Tbの総和と等しい(2TL=2Tb+2TG)ので、チェーンの作動時に作用する引張り荷重を、リンク列3のリンクプレート2と、ガイド列6のプレート4、5にほぼ均等にバランス良く分布させることができ、それにより、チェーンの伸びを一層抑制することができる。なお、ガイドプレート4に、例えば図10に示す切欠き56や孔55などを形成しない場合、ガイドプレート4は、リンク歯11を有しない分、リンクプレート5よりも剛性が高くなり、その剛性が高い分だけ、ガイドプレート4の板厚を薄くすることも可能である。その点を考慮して、チェーンの作動時に作用する引張り荷重をピン7の両側でほぼ均等とするために、プレート枚数の少ない側であるリンク列3のリンクプレート2の板厚の総和を、プレート枚数の多い側であるガイド列6のガイドプレート4およびリンクプレート5の板厚の総和以上としても良い。
なお、上記実施形態では、リンク列3のリンクプレート2を2枚としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、リンクプレート2を1枚としてもよい。図9は、そのようなサイレントチェーンを示している。このサイレントチェーン41では、リンク列3のリンクプレート2を1枚としたことに伴い、その板厚が、前述したサイレントチェーン1のそれよりも厚くなっている。また、サイレントチェーン1と異なり、ピン7の両端部に固定されたガイド列6の2枚のガイドプレート4、4側に、ガイド列6の2枚のリンクプレート5、5がそれぞれ配置され、これらのリンクプレート5、5間に、リンク列3のリンクプレート2が配置されている。
このように、リンク列3のリンクプレート2の枚数を1枚とすることにより、チェーンの作動時に、ピン7とのリンクプレート2の接触状態のばらつきが無くなるので、チェーンの伸びをより一層抑制することができる。なお、上記のように、リンク列3のリンクプレート2を1枚にするとともに、チェーン幅Hを維持する場合には、リンクプレート2の板厚が厚くなり、重量が大きくなるとともに、リンクプレート2が加工し難くくなることを考慮すると、リンク列3のリンクプレート2は、前述した実施形態のように、2枚とするのが有利である。
また、上記実施形態では、ガイド列6のリンクプレート5を2枚としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3枚以上としてもよい。ガイド列6のリンクプレート5の枚数を多くした場合、リンクプレート5がスプロケットSに噛み合う際の衝突エネルギーの総和は、ほとんど変化しないものの、その衝突エネルギーがより多数のリンクプレート5に分散されることで、各リンクプレート5による振動・騒音を大幅に低減でき、その結果、チェーン全体としての振動・騒音を一層低減することができる。
さらに、リンクプレート2、5およびガイドプレート4として、図10に示す形状のものを採用してもよい。同図(a)に示すサイレントチェーン51は、上記サイレントチェーン1、41と比較し、リンクプレート2、5およびガイドプレート4の正面形状が異なっている。同図(b)に示すように、このサイレントチェーン51のリンクプレート2、5は、左右一対のリンク歯52、52を有し、両リンク歯52、52の互いに対向する傾斜面52a、52aの先端(同図(b)の下端)寄りの部分にそれぞれ、円弧状の凹部53が形成されている。また、このリンクプレート2、5は、両リンク歯52、52が互いに接近および離間する方向にばね性を有している。このばね性および各リンク歯52の上記凹部53により、リンクプレート2、5がスプロケットSに噛み合う際の衝撃が緩和され、その結果、振動・騒音をより一層低減することができる。
また、リンクプレート2、5には、両ピン孔12、12間に、それらを連通する給油用溝54が形成されている。この給油用溝54により、チェーンの作動時に作用する遠心力を利用して潤滑油を給油用溝54内に留めおくとともに、各ピン孔12とピン7の間に潤滑油を供給することにより、ピン7の摩耗、およびそれに起因するサイレントチェーン51の伸びを防止することができる。
一方、図10(c)に示すように、ガイドプレート4は、ピン7が挿通される左右2つのピン孔13、13に加えて、両ピン孔13、13間の所定位置に、ガイドプレート4の軽量化を図るための孔55が形成されている。加えて、このガイドプレート4の外周部には、両ピン孔13、13間の所定位置、各ピン孔13と孔55間の所定位置の計3個所にそれぞれ、切欠き56が形成されている。これらの孔55および切欠き56により、ガイドプレート4が軽くなり、サイレントチェーン51の重量を大幅に軽量化することができる。
また、各ガイドプレート4の内面には、スプロケットSが噛み合う側の端部(図10(c)、(d)の下端部)に、先端に向かって板厚が薄くなるように面取り部57が形成されている。これらの面取り部57により、スプロケットSに対してサイレントチェーン51に片寄り等が生じた場合にスプロケットSとガイドプレート4が衝突する際の衝撃を緩和することができる。
本発明の一実施形態によるサイレントチェーンを部分的に示し、(a)平面図、(b)正面図、(c)c−c線に沿う断面図、(d)d−d線に沿う断面図である。 図1のサイレントチェーンのリンク列およびガイド列の拡大平面図である。 (a)リンクプレートの拡大正面図、(b)ガイドプレートの拡大正面図である。 比較例1のサイレントチェーンの部分平面図である。 比較例2のローラチェーンを部分的に示し、(a)平面図、(b)正面図である。 チェーンの伸び試験の結果を示すグラフである。 チェーンの伸び試験の別の結果を示すグラフである。 チェーンの騒音試験の結果を示すグラフである。 本発明の他の実施形態によるサイレントチェーンの部分平面図である。 リンクプレートおよびガイドプレートの変形例を示し、(a)サイレントチェーンの部分正面図、(b)リンクプレートの正面図、(c)ガイドプレートの正面図、(d)ガイドプレートの側面図である。 リンク列のリンクプレートがピンに接触する状況を説明するための図である。 リンクプレートによって摩耗したピンを示す図である。
符号の説明
1、41、51 サイレントチェーン
2 リンク列のリンクプレート
3 リンク列
4 ガイドプレート
5 ガイド列のリンクプレート
6 ガイド列
7 ピン
TL リンク列のリンクプレートの板厚
Tb ガイド列のリンクプレートの板厚
TG ガイドプレートの板厚

Claims (3)

  1. 2枚以下のリンクプレートをそれぞれ有する複数のリンク列と、
    2枚のガイドプレートおよび2枚以上のリンクプレートをそれぞれ有する複数のガイド列と、
    を備え、
    前記複数のリンク列と前記複数のガイド列が、ピンを介して交互に連鎖状に連結されていることを特徴とするサイレントチェーン。
  2. 前記リンク列のリンクプレートの板厚が、前記ガイド列のガイドプレートおよびリンクプレートの板厚よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載のサイレントチェーン。
  3. 前記リンク列のリンクプレートの板厚の総和が、前記ガイド列のガイドプレートおよびリンクプレートの板厚の総和と等しいことを特徴とする請求項2に記載のサイレントチェーン。
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