JP2006299999A - 内燃機関の始動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スタータモータ自体の出力を大きくすることなく、機関の始動性を向上させることのできる内燃機関の始動装置を提供する。
【解決手段】 内燃機関の始動装置は、機関の始動に際してクランクシャフト200を回転駆動するものであって、内燃機関の始動装置の出力軸110と前記クランクシャフト200との減速比を調整する減速比調整機構を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は内燃機関の始動装置に関する。
内燃機関では機関始動に際して、スタータモータ(始動装置)によってクランクシャフトを回転駆動することでクランクシャフトの回転数を所定の値まで上昇させている。例えば冷間始動時には、機関温度が低いために潤滑油の粘度が高く機関の各部の潤滑が十分に行われていないので、クランクシャフトを回転駆動しようとすると大きな摩擦力が発生する。このため、こうした大きな力に打ち勝ってクランクシャフトを回転駆動するために、スタータモータには大きなトルクを発生するものが求められる。
ところで、例えば自動車が交差点等で走行を停止した場合に、燃費改善のために機関運転を自動停止し、発進操作時に自動的にスタータを回転させることで機関を再始動させる、いわゆる、自動間欠運転が知られている。こうした自動間欠運転では、発進操作時にできるだけ早く再始動を行う必要があるため、クランクシャフトの回転数をより短時間に上記所定の値まで上昇させる必要がある。しかしながら、上述したようにスタータモータには、極低温時であっても機関始動できるように高トルクを発生することができるものが採用されているため、回転数の上昇速度を一段と速くしようとすると、スタータモータを大きな出力のものにする必要がある。このため、大きな定格のスタータモータを採用せざるを得ない。更に、このように大きな出力のスタータモータを駆動するためには当然、大きな電力を供給することのできる体格の大きなバッテリが必要となるため、車両への搭載が困難となるといった問題が生じている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スタータモータ自体の出力を大きくすることなく、機関の始動性を向上させることのできる内燃機関の始動装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、機関の始動に際してクランクシャフトを回転駆動する内燃機関の始動装置において、前記始動装置の出力軸と前記クランクシャフトとの減速比を調整する減速比調整機構を備えることをその要旨とする。
ここで、始動装置の出力軸とクランクシャフトとの減速比を、始動装置の出力軸(駆動軸)の回転速度をクランクシャフト(被駆動軸)の回転速度で除した値として定義する。すなわち上記減速比は、クランクシャフトを1回転させるために始動装置の出力軸が回転する回転数ということができる。例えばクランクシャフト(被駆動軸)を駆動する際の負荷が一定の場合には、同減速比が大きいほど、高トルクかつ低回転となり、同減速比が小さいほど、低トルクかつ高回転となる。
上記構成によれば、始動装置がクランクシャフトを回転駆動する際に、減速比調整機構によって始動装置の出力軸とクランクシャフトとの減速比が調整される。
これにより、例えばクランクシャフトを高トルクにて回転駆動する必要のある場合には前記減速比が大きくされる。一方、クランクシャフトを早期に所定の回転数まで回転駆動すべくクランクシャフトの回転数の上昇速度を速くする必要のある場合には前記減速比が小さくされる。したがって、スタータモータ自体の出力を大きなものにすることなく、機関の始動性を向上させることができる。
冷間始動時には、機関温度が低く潤滑油の粘度が高いために機関の各部の潤滑が十分に行われていない。このような状態において、クランクシャフトを回転駆動しようとすると大きな摩擦力が発生するため、こうした大きな力に打ち勝ってクランクシャフトを回転駆動するためには大きなトルクが必要となる。一方、温間始動時には、機関温度が高くなっており潤滑油の粘度が低いために機関の各部の潤滑が行われやすくなっている。このような状態においては、摩擦力の大きさが小さくなっているのでクランクシャフトを回転駆動するために冷間始動時ほど大きなトルクを必要としない。したがってこの場合には、早期に始動を完了するために、低トルクであってもクランクシャフトの回転数の上昇速度を速くすることが要求される。
この点請求項2に記載の発明によれば、前記減速比調整機構が冷間時における前記減速比よりも温間時における前記減速比を小さくする。これにより、冷間時には温間時よりも大きなトルクでクランクシャフトが回転駆動されるとともに、温間時には冷間時よりもトルクは小さくなるものの、クランクシャフトの回転数の上昇速度を冷間時よりも早くすることができる。
内燃機関の最初の始動時には通常、機関温度が低いことが多く上述した理由からクランクシャフトを回転駆動するために大きなトルクが必要となる。一方、自動的に停止および再始動が行われる内燃機関の再始動時には、直前まで機関の運転が行われていたため機関温度が高くなっていることが多く、上述した理由からクランクシャフトを回転駆動するためには最初の始動時に比べて大きなトルクを必要としない。むしろこの場合には、再始動完了までに要する時間を極力短くしなければならない。
この点請求項3に記載の発明によれば、前記内燃機関は自動的に停止および再始動が行われるものであり、前記減速比調整機構が最初の始動時における前記減速比よりも再始動時における前記減速比を小さくする。これにより、最初の始動時には再始動時よりも大きなトルクでクランクシャフトが回転駆動されるとともに、再始動時には最初の始動時よりもトルクは小さくなるものの、クランクシャフトの回転数の上昇速度を冷間時よりも早くすることができる。
例えばクランクシャフトを高トルクにて回転すべく、上記減速比調整機構により始動装置の出力軸とクランクシャフトとの減速比を調整する場合に、同減速比を大きくし過ぎると、トルクが不要に大きくなってしまい、クランクシャフトの回転数の上昇速度が遅くなり過ぎてしまう場合がある。またクランクシャフトの回転数の上昇速度を速くすべく、上記減速比を調整する場合に、同減速比を小さくし過ぎると、トルクが不足してしまい、クランクシャフトを十分なトルクで回転駆動することができず、かえって上昇速度が遅くなってしまう場合がある。
この点請求項4に記載の発明によれば、前記減速比調整機構は前記始動装置の駆動効率が最大となるように前記減速比を調整する。これにより、クランクシャフトを回転駆動するために十分なトルクを確保しつつ、クランクシャフトの回転数の上昇速度を最大とすることができる。
具体的には、請求項5に記載されるように、前記始動装置はベルトを介して前記クランクシャフトを回転駆動するものであって、前記始動装置の出力軸および前記クランクシャフトにはそれぞれプーリが配設され、前記減速比調整機構は、前記始動装置の出力軸に配設された前記プーリおよび前記クランクシャフトに配設された前記プーリの少なくとも一方の有効ピッチ径を調整するといった態様を採用することができる。
ここで、クランクシャフト(被駆動軸)に配設されたプーリの有効ピッチ径を、始動装置の出力軸(駆動軸)に配設されたプーリの有効ピッチ径で除した値をプーリ比として定義する。
このように減速比を調整する手段として始動装置の出力軸およびクランクシャフトに配設されたプーリの有効ピッチ径を調整する場合には、プーリ比が小さくなるように各プーリの有効ピッチ径を調整することで減速比を小さくすることができる。一方、プーリ比が大きくなるように各有効ピッチ径を調整することで減速比を大きくすることができる。
更に、各プーリの有効ピッチ径を調整する手段としては、請求項6に記載の発明のように、前記ベルトを断面略V字型のVベルトとするとともに、前記減速比調整機構が、前記始動装置の出力軸に配設されたプーリおよびクランクシャフトに配設されたプーリの少なくとも一方の溝間隔を調整するといった態様を採用することができる。
上記構成によれば、断面略V字型のVベルトを挟持するプーリの溝間隔を小さくすることにより同プーリの有効ピッチ径を大きくすることができるとともに、同プーリの溝間隔を大きくすることにより同プーリの有効ピッチ径を小さくすることができる。したがって、簡易な構成によりプーリの有効ピッチ径を調整することができる。
本発明にかかる内燃機関の始動装置を具体化した一実施形態について、図1〜3を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態の内燃機関の始動装置およびその周辺構造の断面図である。
図1に示されるように、始動装置は図示しないバッテリから供給される電力により駆動されるスタータモータ100と、始動装置の出力軸であるスタータモータ出力軸110とを備えている。
スタータモータ出力軸110はスタータモータプーリ120を備えており、同スタータモータプーリ120の溝は後述するVベルト300の形状に合わせて断面略V字型に形成されている。スタータモータプーリ120はプーリ固定部122とプーリ可動部124とを備えている。
プーリ固定部122は、プーリ固定部122とプーリ可動部124とのうちでスタータモータ出力軸110の先端側に設けられ、同スタータモータ出力軸110の一部が拡径されることにより形成されている。
プーリ可動部124はスタータモータ出力軸110とは別体のドーナツ形状のものであって、内側ガイド126と外側ガイド128とを備えている。プーリ可動部124の中心孔の内周面がスタータモータ出力軸110の外周面に当接するとともに、外側ガイド128の外周面がスタータモータ出力軸110に形成された油圧室カバー130の内周面に当接している。
図1に示されるように、プーリ可動部124、スタータモータ出力軸110、および油圧室カバー130によって形成された領域が油圧室132となっている。
スタータモータ出力軸110内部には、後述する油圧制御装置400から供給される作動油を油圧室132へと供給するためのオイル供給通路134が形成されている。油圧制御装置400は、図示しないオイルポンプからオイル供給通路134を通じて油圧室132へと圧送される作動油の供給圧力を調整することによりプーリ可動部124の軸方向への付勢力を増減させる。
一方、内燃機関のクランクシャフト200にはワンウェイクラッチ210が配設されており、同ワンウェイクラッチ210の外周面にはクランクシャフトプーリ220が配設されている。機関の始動が進みクランクシャフト200の回転数がクランクシャフトプーリ220の回転数以上となると、ワンウェイクラッチ210によりクランクシャフト200からスタータモータ出力軸110への回転力の伝達が遮断される。
クランクシャフトプーリ220の溝はスタータモータ出力軸110に設けられたスタータモータプーリ120と同様にVベルト300の形状に合わせて断面略V字型に形成されている。クランクシャフトプーリ220はプーリ固定部222とプーリ可動部224とを備えている。
プーリ固定部222は、図1に示されるように、ワンウェイクラッチ210の外周面に固定されている。
プーリ可動部224はドーナツ形状のものであって、外側ガイド228を備えている。プーリ可動部224の中心孔の内周面がプーリ固定部222の外周面に当接するとともに、外側ガイド228の外周面がクランクシャフト200に形成された油圧室カバー230の内周面に当接している。
図1に示されるように、プーリ可動部224、クランクシャフト200、および油圧室カバー230によって形成された領域が油圧室232となっている。
クランクシャフト200内部には、油圧制御装置400から供給される作動油を油圧室232へと供給するためのオイル供給通路234が形成されている。油圧制御装置400は、図示しないオイルポンプからオイル供給通路234を通じて油圧室232へと圧送される作動油の供給圧力を調整することでプーリ可動部224の軸方向への付勢力を増減させる。
クランクシャフト200の先端には、図示しないウォータポンプや車室内冷房用コンプレッサ等の補機を駆動するためのクランクプーリ240が配設されている。
スタータモータ出力軸110に配設されたスタータモータプーリ120およびクランクシャフト200に配設されたクランクシャフトプーリ220には、金属製の断面略V字型のVベルト300が掛けられており、スタータモータ出力軸110の回転エネルギが同Vベルト300を介してクランクシャフト200に伝達される。
電子制御装置410は水温センサ420等の各種センサから出力される各種信号やイグニッション・スイッチ430のオン/オフ状態に基いて機関始動時の状態を判別するとともに、油圧制御装置400に対して各油圧室132,232へ供給する作動油の圧力を当該機関始動時の状態に応じて予め設定された値に調整する。ここで、機関始動時の状態に応じて決定される作動油の供給圧力の大きさは、実験等により最適な値が予め求められている。
本実施形態では、スタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比を調整する上記構成全体が減速比調整機構に相当する。
次に本実施形態にかかる内燃機関の始動装置の作用について、図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態では、始動装置が機関始動時の状態に応じてスタータモータプーリ120の有効ピッチ径lsおよびクランクシャフトプーリ220の有効ピッチ径lcを調整する例として、最初の始動時と再始動時との2つの場合について説明する。ここで、本実施形態における内燃機関は自動的に停止および再始動が行われる自動間欠運転を行うものであり、最初の始動時としては機関温度が低い場合を想定するとともに、再始動時としては機関温度が高い場合を想定している。
図2は、スタータモータ出力軸110に設けられたスタータモータプーリ120およびクランクシャフト200に設けられたクランクシャフトプーリ220の各溝間隔の大きさと、スタータモータプーリ120の有効ピッチ径lsおよびクランクシャフトプーリ220の有効ピッチ径lcとの関係を模式的に表したものである。
まず、最初の始動時であって機関温度が低い場合には、機関始動が開始される前に電子制御装置410に対して、イグニッション・スイッチ430がオフ状態からオン状態にされた旨の信号が出力されるとともに、水温センサ420から冷却水温が低い旨の信号が出力される。
これに伴い、電子制御装置410は油圧制御装置400に対して、オイル供給通路134へ供給する作動油の圧力を温間始動時における供給圧力に比べて小さくする旨の信号を出力する。その結果、油圧室132内の圧力が低下することにより、図2(a)に示されるように、プーリ可動部124が軸方向油圧室カバー130側へ移動する。これにより、スタータモータ出力軸110に設けられたスタータモータプーリ120の溝間隔が大きくなることで、スタータモータプーリ120の有効ピッチ径lsが小さくなる。
一方、電子制御装置410は油圧制御装置400に対して、オイル供給通路234へ供給する作動油の圧力を温間始動時における供給圧力に比べて大きくする旨の指令信号を出力する。その結果、油圧室232内の圧力が上昇することにより、図2(a)に示されるように、プーリ可動部224が軸方向プーリ固定部222側へ移動する。これにより、クランクシャフト200に設けられたクランクシャフトプーリ220の溝間隔が小さくなることで、クランクシャフトプーリ220の有効ピッチ径lcが大きくなる。このようにして、各プーリ120,220の有効ピッチ径lc,lsが調整され、プーリ120とプーリ220とのプーリ比lc/lsが大きくされることにより、スタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比R1が大きくされる。
次に、再始動時であって機関温度が高い場合には、機関始動が開始される前に、イグニッション・スイッチ430がオン状態を継続している旨の信号が出力される。これは、自動間欠運転によって機関運転が自動的に一旦停止した後に再始動が行われる場合には、機関運転が停止した場合であってもイグニッション・スイッチ430がオフ状態とされることなくオン状態が継続されていることに基づいている。また水温センサ420から冷却水温が高い旨の信号が電子制御装置410に対して出力される。
これに伴い、電子制御装置410は油圧制御装置400に対して、オイル供給通路134へ供給する作動油の圧力を冷間始動時における供給圧力に比べて大きくする旨の指令信号を出力する。その結果、油圧室132内の圧力が上昇することにより、図2(b)に示されるように、プーリ可動部124がプーリ固定部122側へ移動し、スタータモータ出力軸110に設けられたスタータモータプーリ120の溝間隔が小さくなることで、スタータモータプーリ120の有効ピッチ径lsが大きくされる。
一方、電子制御装置410は油圧制御装置400に対して、オイル供給通路234へ供給する作動油の圧力を冷間始動時における供給圧力に比べて小さくする指令信号を出力する。その結果、油圧室232内の圧力が低下することにより、図2(b)に示されるように、プーリ可動部224が油圧室カバー230側へ移動し、クランクシャフト200に設けられたクランクシャフトプーリ220の溝間隔が大きくなることで、クランクシャフトプーリ220の有効ピッチ径lcが小さくなる。このようにして、各プーリ120,220の有効ピッチ径ls,lcが調整され、プーリ120とプーリ220とのプーリ比lc/lsが小さくされることにより、スタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比R2が小さくされる。
図3は、スタータモータ100に対して電子制御装置410から始動開始指令信号が出力されてからの経過時間とクランクシャフト200の回転数との関係を示したグラフである。
まず、最初の始動時であって機関温度が低い場合には、上述したようにスタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比R1が温間始動時の減速比R2よりも大きくされている。これにより、スタータモータ100はクランクシャフト200を減速比R2の小さい温間始動時の時よりも大きなトルクで回転駆動することができる。ただし、回転数の上昇速度は遅いため、図3(a)に示されるように、クランクシャフト200を所定の回転数(400rpm)まで上昇させるために要する時間t1が比較的長くなる。
次に、再始動時であって温間始動時には、上述したようにクランクシャフト200を回転駆動するために冷間始動時ほど大きなトルクを必要としない。このため、上記冷間始動時と同じ大きな減速比R1でもってクランクシャフト200を回転駆動した場合であっても、クランクシャフト200を回転駆動する際の負荷が小さくなっている分だけ冷間始動時に比べて回転数の上昇速度が多少は速くなる。その結果、図3(b)に示されるように、クランクシャフト200を所定の回転数(400rpm)まで上昇させるのに要する時間がt2となり、最初の始動時よりもΔt12(=t1−t2)分だけ短くはなる。しかしながら、機関温度が十分高くなった場合において不要にトルクの大きい減速比R1のままでクランクシャフト200を回転駆動すると、自動間欠運転の再始動時においてクランクシャフト200の回転数を所定値まで上昇させるときの目標時間teよりも上記所要時間が短くなることはない。
これに対して、本実施形態では、スタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比R2が冷間始動時の減速比R1よりも大きくされている。この場合には始動装置の駆動効率が大きくなるため、スタータモータ100はクランクシャフト200の回転数の上昇速度がより大きくなるように同クランクシャフト200を回転駆動することができる。このため、図3(c)に示されるように、クランクシャフト200を所定の回転数(400rpm)まで上昇させるのに要する時間がt3となる。したがって、冷間時に減速比R1にて始動を行う場合の所要時間t1よりもΔt13(=t1−t3)分だけ所要時間が更に短くなる。これは再始動時に大きな減速比R1のままで始動を行う場合の所要時間t2よりも格段に短く、自動間欠運転の再始動時にクランクシャフト200の回転数を所定値まで上昇させるときの目標時間teよりも短くすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果が得られるようになる。
(1)本実施形態にかかる内燃機関の始動装置では、同装置がクランクシャフト200を回転駆動する際に、減速比調整機構によってスタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比が調整される。
これにより、クランクシャフト200を高トルクにて回転駆動する必要のある場合には減速比が大きくされる。一方、クランクシャフト200を早期に所定の回転数まで回転駆動すべくクランクシャフト200の回転数の上昇速度を速くする必要のある場合には減速比が小さくされる。したがって、スタータモータ100自体の出力を大きなものにすることなく、機関の始動性を向上させることができる。
(2)冷間始動時には、機関温度が低く潤滑油の粘度が高いために機関の各部の潤滑が十分に行われていない。このような状態において、クランクシャフト200を回転駆動しようとすると大きな摩擦力が発生するため、こうした大きな力に打ち勝ってクランクシャフト200を回転駆動するためには大きなトルクが必要となる。一方、温間始動時には、機関温度が高くなっており潤滑油の粘度が低いために機関の各部の潤滑が行われやすくなっている。このような状態においては、摩擦力の大きさが小さくなっているのでクランクシャフト200を回転駆動するために冷間始動時ほど大きなトルクを必要としない。したがってこの場合には、早期に始動を完了するために、低トルクであってもクランクシャフト200の回転数の上昇速度を速くすることが要求される。
この点本実施形態によれば、減速比調整機構が冷間時における減速比R1よりも温間時における減速比R2を小さくする。これにより、冷間時には温間時よりも大きなトルクでクランクシャフト200が回転駆動されるとともに、温間時には冷間時よりもトルクは小さくなるものの、クランクシャフト200の回転数の上昇速度を冷間時よりも早くすることができる。
(3)内燃機関の最初の始動時には通常、機関温度が低いことが多く上述した理由からクランクシャフト200を回転駆動するために大きなトルクが必要となる。一方、自動的に停止および再始動が行われる内燃機関の再始動時には、直前まで機関の運転が行われていたため機関温度が高くなっていることが多く、上述した理由からクランクシャフト200を回転駆動するためには最初の始動時に比べて大きなトルクを必要としない。むしろこの場合には、再始動完了までに要する時間を極力短くしなければならない。
この点本実施形態によれば、内燃機関は自動的に停止および再始動が行われるものであり、減速比調整機構が最初の始動時における減速比R1よりも再始動時における減速比R2を小さくする。これにより、最初の始動時には再始動時よりも大きなトルクでクランクシャフト200が回転駆動されるとともに、再始動時には最初の始動時よりもトルクは小さくなるものの、クランクシャフト200の回転数の上昇速度を冷間時よりも早くすることができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・本実施形態では、スタータモータ出力軸110に配設されたスタータモータプーリ120およびクランクシャフト200に配設されたクランクシャフトプーリ220の各溝間隔をともに調整するものであったが、スタータモータプーリ120あるいはクランクシャフトプーリ220の一方のみの溝間隔を調整するものであってもよい。この場合であっても、スタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比を調整することができる。
・本実施形態では、断面略V字型のVベルトを採用するとともに、各プーリ120,220の溝間隔を調整することにより同プーリ120,220の有効ピッチ径ls,lcを調整するようにしているが、本発明は必ずしもこうした構成に限られるものではない。例えばプーリ自体が径方向に対して均等に変形することにより各プーリの有効ピッチ径ls,lcが調整されるものであってもよい。
・本実施形態では、スタータモータ出力軸110によってVベルト300を介してクランクシャフト200を回転駆動する構成を採用しているが、スタータモータ出力軸110のトルクの伝達手段としては、Vベルトに代えてチェーンを採用するようにしてもよい。この場合には、有効ピッチ径の異なる複数のギアを切り換えることによりスタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比を調整すればよい。
・本実施形態は最初の始動時および再始動時といった2つの異なる機関始動時の状態の代表的な場合における減速比の調整態様を示したものに過ぎず、本発明の減速比調整態様はこれら2つの場合に限られるものではない。例えば最初の始動時に機関温度が極低温の場合には、減速比を本実施形態の減速比R1よりも更に大きくすべくプーリ比lc/lsを調整してもよい。この場合、通常の低温始動時よりも更に大きなトルクによってクランクシャフト200を回転駆動することができるようになる。また再始動時においても、冷却水の温度に応じて減速比を調整したり、クランクシャフトを回転駆動する際の負荷に応じて減速比を調整したりすることで始動装置の駆動効率が最大となるように減速比を調整してもよい。
・本実施形態では始動開始前における機関温度等の機関状態に基いて始動時の始動装置とクランクシャフト200との減速比を決定している。ところで、クランクシャフト200を高トルクにて回転すべく、減速比調整機構によりスタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比を調整する場合に、同減速比を大きくし過ぎると、トルクが不要に大きくなってしまい、クランクシャフト200の回転数の上昇速度が遅くなり過ぎてしまう場合がある。またクランクシャフト200の回転数の上昇速度を速くすべく、減速比を調整する場合に、同減速比を小さくし過ぎると、トルクが不足してしまい、クランクシャフト200を十分なトルクで回転駆動することができず、かえって上昇速度が遅くなってしまう場合がある。こうした問題を解決するために、機関始動中において同減速比を可変調整するようにしてもよい。この場合、減速比調整機構によりスタータモータ100の駆動効率が最大となるように減速比が調整されるようにすれば、クランクシャフト200を回転駆動するために十分なトルクを確保しつつ、クランクシャフト200の回転数の上昇速度を最大とすることができる。要するに、スタータモータ出力軸110とクランクシャフト200との減速比を調整するものであればよい。
・本実施形態では、クランクシャフト200にワンウェイクラッチ210を設けることで、クランクシャフト200の回転数がクランクシャフトプーリ220の回転数以上となった場合にクランクシャフト200からスタータモータ出力軸110への回転力の伝達が遮断されるようになっているが、本発明は必ずしもこうした構成を必須なものとしない。例えばワンウェイクラッチ210を設けない構成とするとともに、スタータモータ100をモータジェネレータスタータに変更してもよい。これにより、車両の減速時等にクランクシャフト200の不要な回転エネルギをモータジェネレータスタータによって電気エネルギへと回生することができるようになる。この場合には、減速比調整機構により減速比を大きくしモータジェネレータスタータの回転数を上げることで、発電量を増加させることができるようになる。なおここでは、駆動軸がクランクシャフト200となり、被駆動軸がスタータモータ出力軸となるが、ここで述べた減速比も本実施形態と同様に、スタータモータ出力軸の回転速度をクランクシャフト200の回転速度で除した値として定義している。
本発明にかかる内燃機関の始動装置およびその周辺構造を示す断面図。 プーリの溝間隔とプーリ比との関係を表す模式図。 クランクシャフトの回転数の時間変化を表すグラフ。
符号の説明
100…スタータモータ、110…スタータモータ出力軸、120…スタータモータプーリ、122…プーリ固定部、124…プーリ可動部、126…内側ガイド、128…外側ガイド、130…油圧室カバー、132…油圧室、134…オイル供給通路、200…クランクシャフト、210…ワンウェイクラッチ、220…クランクシャフトプーリ、222…プーリ固定部、224…プーリ可動部、228…外側ガイド、230…油圧室カバー、232…油圧室、234…オイル供給通路、240…クランクプーリ、300…Vベルト、400…油圧制御装置、410…電子制御装置、420…水温センサ、イグニッション・スイッチ…430。

Claims (6)

  1. 機関の始動に際してクランクシャフトを回転駆動する内燃機関の始動装置において、
    前記始動装置の出力軸と前記クランクシャフトとの減速比を調整する減速比調整機構を備える
    ことを特徴とする内燃機関の始動装置。
  2. 前記減速比調整機構は冷間時における前記減速比よりも温間時における前記減速比を小さくする請求項1に記載の内燃機関の始動装置。
  3. 前記内燃機関は自動的に停止および再始動が行われるものであり、前記減速比調整機構は最初の始動時における前記減速比よりも再始動時における前記減速比を小さくする請求項1または2に記載の内燃機関の始動装置。
  4. 前記減速比調整機構は前記始動装置の駆動効率が最大となるように前記減速比を調整する請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の始動装置。
  5. 前記始動装置はベルトを介して前記クランクシャフトを回転駆動するものであって、
    前記始動装置の出力軸および前記クランクシャフトにはそれぞれプーリが配設され、前記減速比調整機構は、前記始動装置の出力軸に配設されたプーリおよび前記クランクシャフトに配設されたプーリの少なくとも一方の有効ピッチ径を調整する請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の始動装置。
  6. 前記ベルトは断面略V字型のVベルトであって、
    前記減速比調整機構は、前記有効ピッチ径を調整するに際して前記始動装置の出力軸に配設されたプーリおよび前記クランクシャフトに配設されたプーリの少なくとも一方の溝間隔を調整する請求項5に記載の内燃機関の始動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011153531A (ja) * 2010-01-26 2011-08-11 Toyota Motor Corp 内燃機関の始動制御装置

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