JP2006299538A - 地盤改良装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 掘削孔周面の外側方への変位(側方変位)を、許容範囲内に抑制すること。
【解決手段】 上下方向に伸延する掘削軸体の下端部に掘削刃体を設け、同掘削刃体の上方に位置する掘削軸体の外周面に撹拌翼体を設けて、上記掘削刃体により地盤を掘削し、掘削された土壌を上記撹拌翼体により撹拌しながら所定個所に設けた固化材吐出部より固化材を吐出して、同固化材と掘削された土壌とを混練して固化させることにより地盤改良を行うようにした地盤改良装置において、掘削軸体の外周面に、回転動作と停止動作とを選択可能となした土壌搬出入翼体を設けて、同土壌搬出入翼体の回転動作により掘削された土壌の一部を地上に搬出可能となした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地盤改良装置に関する。
従来、地盤改良装置の一形態として、上下方向に伸延する掘削軸体の下端部に掘削刃体を設け、同掘削刃体の上方に位置する掘削軸体の外周面に撹拌翼体を設けて、上記掘削刃体により地盤を掘削し、掘削された土壌を上記撹拌翼体により撹拌しながら所定個所に設けた固化材吐出部より固化材を吐出して、同固化材と掘削された土壌とを混練して固化させることにより地盤改良を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、砂質地盤の締め固め工法としてサンドコンパクションパイル工法が採用されており、同工法は、地中にケーシングパイプを強制昇降装置と回転圧入装置とを用いて貫入させ、同ケーシングパイプを通して砂を圧入して、地中に締め固めた杭を造成することによって、地盤を締め固めるものである。
特開平3−63312号公報
ところが、上記した地盤改良装置では、掘削刃体により掘削された土壌を、撹拌翼体により撹拌しながら固化材吐出部より吐出された固化材と混練している際に、掘削孔中に供給(吐出)された固化材の量に比例して、掘削された土壌の一部が掘削孔中から地上に搬出されればよいが、かかる土壌の搬出が円滑になされない場合には、掘削孔中の内容物(土壌と固化材)が増大する結果となり、それに伴って掘削孔周面が外側方へ変位(側方変位)されて、土壌改良地盤の周辺の既設の地中構造物に悪影響を及ぼしたり、地表面が盛り上がる等の不具合が発生する。
また、砂質地盤の締め固め工事にサンドコンパクションパイル工法を採用すると、振動と騒音とが大きいために、周辺に悪影響を及ぼすという不具合がある。
そこで、本発明では、上下方向に伸延する掘削軸体の下端部に掘削刃体を設け、同掘削刃体の上方に位置する掘削軸体の外周面に撹拌翼体を設けて、上記掘削刃体により地盤を掘削し、掘削された土壌を上記撹拌翼体により撹拌しながら所定個所に設けた吐出部より固化材や地盤改良剤を吐出して、同固化材や地盤改良剤と掘削された土壌とを混練することにより地盤改良を行うようにした地盤改良装置において、
掘削軸体の外周面に土壌搬出入翼体を設けると共に、同土壌搬出入翼体は、掘削軸体とは独立して、同掘削軸体の軸線廻りに正・逆回転可能となし、かつ、同掘削軸体に沿って昇降移動可能となしたことを特徴とする地盤改良装置を提供するものである。
また、本発明では、撹拌翼体は、上下方向に伸延させて形成して上・下端部をそれぞれ掘削軸体に取り付けると共に、中途部を外方へ膨出させて形成し、同中途部に掘削軸体を中心とする半径方向への水平分力生起部を設けて、同水平分力生起部により撹拌翼体の撹拌力から掘削土に対して半径方向への水平分力が生起されるようにしたことにも特徴を有する。
(1)請求項1記載の本発明では、上下方向に伸延する掘削軸体の下端に掘削刃体を設け、同掘削刃体の上方に位置する掘削軸体の外周面に撹拌翼体を設けて、上記掘削刃体により地盤を掘削し、掘削された土壌を上記撹拌翼体により撹拌しながら所定個所に設けた吐出部より固化材や地盤改良剤を吐出して、同固化材や地盤改良剤と掘削された土壌とを混練することにより地盤改良を行うようにした地盤改良装置において、掘削軸体の外周面に土壌搬出入翼体を設けると共に、同土壌搬出入翼体は、掘削軸体とは独立して、同掘削軸体の軸線廻りに正・逆回転可能となし、かつ、同掘削軸体に沿って昇降移動可能となしている。
このようにして、掘削刃体により掘削された土壌を、撹拌翼体により撹拌しながら吐出部より吐出された固化材や地盤改良剤と混練している際に、吐出された固化材や地盤改良剤の量に比例して掘削された土壌の一部が掘削孔中から地上に搬出されればよいが、かかる土壌の搬出が円滑になされない場合には、土壌搬出入翼体を正回転させることにより、掘削された土壌の一部を強制的に地上へ搬出させることができる。
従って、固化材や地盤改良剤が掘削孔中に供給(吐出)されて、同掘削孔中の内容物(土壌と固化材)が増大したことに伴う掘削孔周面の外側方への変位(側方変位)を、許容範囲内に抑制することができる。
その結果、土壌改良地盤の周辺に設けられた既設の地中構造物に悪影響を及ぼしたり、地表面が盛り上がる等の不具合の発生を確実に防止することができる。
しかも、土壌搬出入翼体の回転数を適宜調節することにより、土壌の搬出量を調整することができるため、土壌の搬出が原因で地中に空隙や空洞が生じるのを防止しながら土壌の搬出作業を行うことができる。
従って、空隙や空洞が生じることを想定して、固化材や地盤改良剤を設定量よりも多めに供給する必要性がなくなり、固化材や地盤改良剤のコスト削減も図ることができる。
また、地盤を締め固める必要性がある場合には、掘削刃体により掘削された土壌を、撹拌翼体により撹拌しながら、土壌搬出入翼体を逆回転させることにより、砂、砕石、又は、リサイクル材(再生砕石や転炉スラグ等)を地上から掘削孔中に搬入させて、地中に締め固めた円柱状の地盤改良杭体を造成することができ、その結果、地盤を強制圧密させて、全体的に地耐力を増大させることができる。
この際、サンドコンパクションパイル工法のように地中にケーシングパイプを貫入するための強制昇降装置や回転圧入装置を使用しないため、振動も騒音も大幅に低減させることができて、周辺への悪影響をなくすことができる。
また、有害物質に汚染された土壌を固化、浄化、ないしは、中和させて無公害化させる土壌改良を行う場合には、掘削孔から地上に搬出された土壌を、掘削孔中に強制的に圧密させながら搬入させることができる。
このようにすることにより、搬出された土壌を浄化処理ないしは中和処理したり、法的に許可された指定場所に運搬して投棄するという従来行われている処置の必要性がなくなる。
その結果、搬出された土壌を処理するための多額の費用や、搬出された土壌を指定場所に運搬する費用、さらには、その指定場所に投棄する費用を削減することができる。
(2)請求項2記載の本発明では、撹拌翼体は、上下方向に伸延させて形成して上・下端部をそれぞれ掘削軸体に取り付けると共に、中途部を外方へ膨出させて形成し、同中途部に水平分力生起部を設けて、同水平分力生起部により撹拌翼体の撹拌力から掘削土に対して外側方への水平分力が生起されるようにしている。
このようにして、撹拌翼体に設けた水平分力生起部により、撹拌翼体の撹拌力から掘削土に対して外側方への水平分力が生起されるようにしているため、掘削孔の周面に対して掘削土を強制的に押圧させて圧密することができる。
この際、土壌搬出入翼体を逆回転させることにより、砂、砕石、又は、リサイクル材(再生砕石や転炉スラグ等)を地上から掘削孔中に搬入させて、地中に締め固めた円柱状の地盤改良杭体を造成した場合には、かかる地盤改良杭体により地盤を十分に強制圧密させることができて、全体的に地耐力を大幅に増大させることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すAは、本発明に係る地盤改良装置であり、同地盤改良装置Aは、ベースマシン1と固化材供給部2とを装備している。
ベースマシン1は、自走可能なベースマシン本体3に上下方向に伸延するリーダ4を設け、同リーダ4にモータ支持体5を昇降自在に取り付け、同モータ支持体5に駆動用モータ6を搭載し、同駆動用モータ6に上下方向に伸延する掘削軸体7の上端部を二重反転歯車機構8を介して着脱自在に取り付け、同掘削軸体7の下部周面に相対撹拌翼体9を取り付けると共に、同掘削軸体7の下端部に掘削刃体10を取り付けている。12は、掘削軸体7を掘削方向に案内する案内体、14は、掘削刃体10に設けた掘削ビットである。
そして、掘削軸体7の外周面に土壌搬出入翼体40を設けると共に、同土壌搬出入翼体40は、掘削軸体7とは独立して、同掘削軸体7の軸線廻りに正・逆回転可能となし、かつ、同掘削軸体7に沿って昇降移動可能となしている。
すなわち、図1に示すように、リーダ4に昇降手段(図示せず)を介して昇降用ワイヤ60を取り付ける一方、リーダ4に駆動・支持体61を上下摺動自在に取り付け、同駆動・支持体61に上記昇降用ワイヤ60の先端部を連結して、上記昇降手段により昇降用ワイヤ60を介して駆動・支持体61をリーダ4に沿わせて昇降可能となしている。
そして、駆動・支持体61に土壌搬出入翼体40の上端部を連動連結して、同土壌搬出入翼体40を掘削軸体7の軸線廻りに所要の回転数にて正・逆回転駆動することも、又、回転停止状態に保持することもできるようにしている。
ここで、土壌搬出入翼体40は、上下方向に伸延して掘削軸体7の外周面を被覆する円筒状の筒状支持片41と、同筒状支持片41の外周面に軸線方向に沿わせてスパイラル状に形成した土壌搬出入翼片42とを具備している。
固化材供給部2は、固化材収容タンクと固化材供給ポンプ(図示しない)とを具備し、同固化材供給ポンプに固化材供給ホース11の基端部を接続し、同固化材供給ホース11の先端部を前記掘削軸体7にスイベルジョイント(図示せず)を介して接続している。
掘削軸体7は、図2及び図3にも示すように、上下方向に伸延させて形成した筒状の内側軸20と、同内側軸20の外周を囲繞する状態に上下方向に伸延させて形成した筒状の外側軸21とから内外側二重軸構造に構成しており、内側軸20と外側軸21は、駆動用モータ6により二重反転歯車機構8を介して同一軸芯廻りに相互に反対方向に回転するようにしている。
そして、内側軸20中には上下方向に伸延させて形成した筒状体22を挿通して、同筒状体22中に内側固化材供給路23を形成する一方、同筒状体22の外周面と内側軸20の内周面との間に外側固化材供給路24を形成している。
しかも、内側軸20の上端部には連通路(図示せず)を形成して、同連通路を介して内側固化材供給路23と外側固化材供給路24とを連通させ、固化材供給ホース11を通して供給される固化材を、内側固化材供給路23と外側固化材供給路24とに分流させて供給することができるようにしている。
ここで、内側軸20の下端部には刃体取付体13を介して掘削刃体10を取り付けており、同刃体取付体13に第1固化材吐出部29を設けている。
そして、第1固化材吐出部29は、筒状に形成した刃体取付体13の周壁に円形状の第1固化材吐出孔29aを形成し、同第1固化材吐出孔29aを内側固化材供給路23に接続して、同内側固化材供給路23を通して供給される固化材は、第1固化材吐出孔29aより直下方へ向けて吐出されるようにしている。
相対撹拌翼体9は、図2及び図3にも示すように、最内側撹拌翼26と、同最内側撹拌翼26の外周を相対的に反対方向に回転する内側撹拌翼27と、同内側撹拌翼27の外周を相対的に反対方向に回転する外側撹拌翼28とを具備しており、内側撹拌翼27と外側撹拌翼28は、略相似形に形成して、両撹拌翼27,28間に形成される間隙を、両撹拌翼27,28のほぼ全域にわたってほぼ等しい幅員となすことにより、掘削土壌の共回り現象を防止することができると共に、緻密な撹拌機能を発揮させることができるようにしている。
最内側撹拌翼26は、外側軸21の下端部より放射状に突出させて形成しており、外側軸21の下端部の線対称位置に一対設けて、外側軸21と一体的にa方向に回転するようにしている。
内側撹拌翼27は、掘削軸体7の半径方向に張り出し状に伸延する上下一対の上・下部横翼片27a,27bと、両上・下部横翼片27a,27bの外側端部間に上下方向に伸延させて介設した縦翼片27cとから弧状に形成しており、外側軸21の外周面に回転自在に遊嵌したリング状の翼片支持体30に上部横翼片27aの先端部を取り付ける一方、内側軸20の下端部に下部横翼片27bの先端部を取り付けて、内側軸20と一体的にb方向に回転するようにしている。
そして、縦翼片27cの中央部と内側軸20との間には、左右方向に直状に伸延する中間横翼片27dを横架状に形成し、同中間横翼片27d中に固化材導入路33を形成して、同固化材導入路33を通して後述する第2固化材吐出部32と外側固化材供給路24とを接続している。
このようにして、左右方向に直状の中間横翼片27dを増設して掘削土壌の撹拌効率を向上させると共に、かかる直状の中間横翼片27d中に固化材導入路33を形成することにより、かかる固化材導入路33を可及的に短くかつ簡単に形成することができて、加工コストを安価にすることができる。
また、上記した内側撹拌翼27は、内側軸20の下部の線対称位置に一対設けている。31は、縦翼片27cの中途部より外方へ突出させて形成した小翼片である。
外側撹拌翼28は、掘削軸体7の半径方向に張り出し状に伸延する上下一対の上・下部横翼片28a,28bと、両上・下部横翼片28a,28bの外側端部間に上下方向に伸延させて介設した縦翼片28cとから弧状に形成しており、外側軸21の下端部に上部横翼片28aの先端部を取り付ける一方、内側軸20の外周面に回転自在に遊嵌したリング状の翼片支持体34に下部横翼片28bの先端部を取り付けて、外側軸21と一体的にa方向に回転するようにしている。
そして、外側撹拌翼28は、掘削軸体7の下部の円周方向に一定の間隔を開けて三個設けている。35は、縦翼片28cの上部と下部にそれぞれ外方へ突出させて形成した小翼片であり、これら小翼片35,35の回転軌跡は、内側撹拌翼27に設けた小翼片31の回転軌跡と上下方向にオーバーラップするように配置して、相対的に逆回転する内・外側撹拌翼27,28間において、掘削土壌の撹拌が確実に行えるようにしている。
また、内側撹拌翼27には、固化材を吐出する第2固化材吐出部32を設けており、以下にかかる第2固化材吐出部32について説明する。
すなわち、図2及び図3に示すように、内側撹拌翼27の縦翼片27cと中間横翼片27dとの交差部には第2固化材吐出部32を設けており、同第2固化材吐出部32は、縦翼片27cの背面(回転方向側の面とは反対側の面)に上下方向に伸延する第2固化材吐出縦長孔32aを形成すると共に、中間横翼片27dの背面(回転方向側の面とは反対側の面)に水平方向に伸延する第2固化材吐出横長孔32bを形成して、両孔32a,32bをT字状に連通させている。
そして、第2固化材吐出縦・横長孔32a,32bは、中間横翼片27d中に形成した固化材導入路33を通して外側固化材供給路24に接続している。
このようにして、軟弱な地盤Gを改良する際には、地盤改良現場にベースマシン1を移動させることにより、リーダ4を建て込み、同リーダ4に沿わせて掘削軸体7を回転させながら下降させることにより、地盤Gを掘削刃体10により掘削すると共に、相対撹拌翼体9により掘削土壌を撹拌する。
この際、固化材供給部2より固化材を固化材供給ホース11→スイベルジョイント→掘削軸体7→第1・第2固化材吐出部29,32に供給して、各固化材吐出部29,32より固化材を吐出させるようにしており、かかる固化材を掘削土壌中に均一に撹拌して、掘削土壌を固化させることにより、軟弱な地盤G中に柱状若しくは壁状の地盤改良体を築造して、同地盤Gを改良することができる。
特に、外側固化材供給路24に供給された固化材は、固化材導入路33を通して第2固化材吐出部32の第2固化材吐出縦・横長孔32a,32bより吐出させることができるようにしており、第2固化材吐出縦長孔32aは、内側撹拌翼27の回転方向とは反対側の背面に形成しているため、固化材を円滑に吐出させることができると共に、上下縦長孔に形成しているため、固化材を上下縦長の帯状に吐出させることができる。
しかも、内側撹拌翼27が回転しながら掘削軸体7の掘進方向に移動することから、固化材の膜が円周方向及び上下方向に連続した筒状膜を形成することになり、その結果、掘削土壌中において固化材を掘進方向に満遍なく配置することができる。
さらには、第2固化材吐出横長孔32bは、内側撹拌翼27の回転方向とは反対側の背面に形成しているため、固化材を円滑に吐出させることができると共に、水平方向に横長孔に形成しているため、固化材をリング状に吐出させることができる。
しかも、内側撹拌翼27が回転しながら掘削軸体7の掘進方向に移動することから、固化材の膜が円周方向及び上下方向に連続したスパイラルな帯状膜を形成することになり、その結果、掘削土壌中において固化材を掘進方向に満遍なく配置することができる。
従って、かかる状態にて、互いに内外側に重複状態の内・外側撹拌翼27,28を相互に反対方向に回転させることにより、両撹拌翼27,28間の掘削土壌が反対方向の流動を強制されて、必然的に掘削土壌が両撹拌翼27,28間で交錯してもみ合い、掘削土壌を均一に混練させることができ、かかる均一混練位置に上記した固化材の筒状膜とスパイラルな帯状膜を形成することができることから、掘削土壌と固化材とを効率良く均一に混練させることができる。
ここで、固化材には、合成樹脂製の小断片を適当な数量だけ分散させて混入させることにより、地盤改良体中に合成樹脂製の小断片を混在させることができ、かかる小断片が地盤改良体に作用する水平方向の負荷によって、同地盤改良体に生じる曲げ・引っ張り力に対する耐力の強化に有効に機能し、その結果、地盤改良体の水平方向の負荷耐力を増大させることができる。
また、本実施の形態では、上記した内・外側撹拌翼27,28の横断面幅を中央部27e,28eから回転方向側の端面27f,27g,28f,28gに向けて漸次細幅に形成して、内側面をテーパー面27h,27i,28h,28iとなしている。
このようにして、外側撹拌翼28の回転方向a側の端面28fにより土壌を掘削すると共に、掘削した土壌をテーパー面28hに沿わせて内側撹拌翼27側へスムーズに案内する内側撹拌翼側案内流路cを形成することができるようにしている。
この際、外側撹拌翼28の回転方向a側の端面28fは細幅に形成しているため、土壌の掘削が円滑かつ確実に行えると共に、同端面28fには掘削土壌が付着されることなく内側面のテーパー面28hに沿って内側撹拌翼27側に案内される。
その結果、外側撹拌翼28により掘削されると共に、内側撹拌翼側案内流路cを通して案内される土壌と、内側撹拌翼27により掘削された土壌とを相対的に逆回転させながら効率良く撹拌させることができ、掘削土壌が強粘土質の場合も、同掘削土壌が土塊状となるのを防止しながら、同掘削土壌と固化材とを効率良く均一に混練させることができる。
また、内側撹拌翼27の回転方向b側の端面27fにより土壌を掘削すると共に、掘削した土壌をテーパー面27hに沿わせて掘削軸体7側へスムーズに案内する掘削軸体側案内流路dを形成することができるようにしている。
この際、内側撹拌翼27の回転方向b側の端面27fは細幅に形成しているため、土壌の掘削が円滑かつ確実に行えると共に、同端面27fには掘削土壌が付着されることなく内側面のテーパー面27hに沿って掘削軸体側案内流路dが形成されて、掘削土壌が掘削軸体側に円滑かつ確実に案内される。
その結果、掘削土壌が強粘土質の場合も、同掘削土壌が土塊状となるのを防止しながら、同掘削土壌と固化材とを効率良く均一に混練させることができる。
次に、上記した地盤改良装置Aにより地盤改良作業を行うための地盤改良工法を、図4及び図5を参照しながら説明する。
(1)図4(a)に示すように、掘削刃体10により掘削された土壌を、相対撹拌翼体9により撹拌しながら第1・第2固化材吐出部29,32より吐出された固化材と混練する(地盤改良工程)。
この際、土壌搬出入翼体40は、昇降手段により掘削軸体7の上部に配設して、地盤Gの表面よりも上方に配置している。
ここで、吐出された固化材の量に比例して掘削された土壌の一部が掘削孔H中から地上に搬出されればよいが、かかる土壌の搬出が円滑になされないことがある。
(2)そして、図4(b)に示すように、掘削孔H中の内容物(土壌と固化材)が増大したことに伴って、掘削孔Hの周面が外側方へ変位(側方変位)した場合には、掘削孔Hの近傍に配設した地中変位量検出手段47によりその変位量を検出するようにしているが、同地中変位量検出手段47が所定の許容変位量以上の変位量を検出した場合には、図4(c)に示すように、掘削軸体7を所要幅(例えば、土壌搬出入翼体40の上下幅の略半分に相当する幅)だけ上方へ引き上げ、同状態にて、掘削軸体7の上部に配設されている土壌搬出入翼体40を、昇降手段により地盤Gの表面近傍まで下降させる。
(3)図4(c)(d)に示すように、掘削軸体7を正回転させながら掘進させると共に、土壌搬出入翼体40を駆動・支持体61により正回転させながら掘進させる。
そうすると、掘削された土壌の一部が、土壌搬出入翼体40の排土翼片42により強制的に地上へ搬出される(土壌搬出工程)。
従って、固化材が掘削孔H中に供給(吐出)されて、同掘削孔H中の内容物(土壌と固化材)が増大したことに伴う掘削孔H周面の外側方への変位(側方変位)を、許容範囲内に抑制することができる。
その結果、土壌改良地盤の周辺に設けられた既設の地中構造物に悪影響を及ぼしたり、地表面が盛り上がる等の不具合の発生を確実に防止することができる。
(4)図4(e)に示すように、所定の深度まで掘削・撹拌作業を行い、その後、掘削軸体7を反転させながら引き上げる。
この際、第1・第2固化材吐出部29,32から固化材を吐出させて、掘削された土壌と固化材を相対撹拌翼体9により混練する。
(5)混練した土壌と固化材とを固化させる。
また、地中変位量検出手段47により検出される地中の変位量が所定の許容変位量未満となったところで、土壌搬出入翼体40を駆動・支持体61により回転停止状態に保持する(土壌非搬出工程)。
そして、かかる状態にて掘削軸体7を掘進せながら地盤改良作業(地盤改良工程)を再開することもできる。
この際、土壌搬出入翼体40は、駆動・支持体61により回転停止状態にあるため、掘削された土壌は搬出されることがなく、過剰な土壌搬出により掘削孔Hの周面が周囲の土圧により崩壊するという不具合の発生を確実に防止することができる。
(他の地盤改良工法)
次に、上記した地盤改良装置Aによる他の地盤改良工法について、図5を参照しながら説明する。
(1)地盤改良作業を開始する前に、例えば、図5に示す腐植土層Bのように固化材の固化効果を著しく低減させる不要な土壌が存在するか否かを探査する。
(2)土壌搬出入翼体40の長さを、腐植土層Bの深度にまで達する長さに設定しておく。
(3)図5(a)に示すように、上下方向に伸延する掘削軸体7の下端部に設けた掘削刃体10により地盤Gを掘削し、その掘削された土壌Dを掘削軸体7の外周面に設けた相対撹拌翼体9により撹拌する(掘削・撹拌工程)。
この際、土壌搬出入翼体40は、駆動・支持体61により正回転駆動されて、掘削刃体10により掘削された土壌Dの一部を地上に搬出する(不要土壌搬出工程)。
そして、必要に応じて、第1固化材吐出部29と第2固化材吐出部32から水を吐出させて、掘削・撹拌効率を良好に確保することができる。
(4)図5(b)(c)に示すように、下段の土壌搬出入翼体40の下端部が腐植土層Bに達するまで掘削・撹拌作業と排土作業とを継続させ(不要土壌搬出工程)、掘削孔H中の腐植土の地上への搬出と、腐植土層Bよりも深層部の土壌Dの地上への搬出とを確認したところで、土壌搬出入翼体40の正回転駆動を停止する。
この際、掘削・撹拌作業は継続し、第1・第2固化材吐出部29,32から固化材を吐出させて、掘削された土壌と固化材を相対撹拌翼体9により混練する。
そして、かかる掘削・撹拌工程においては、土壌搬出入翼体40は回転停止状態となしているため、掘削された土壌Dの一部が地上に搬出されることがない(土壌非搬出工程)。
(5)図5(d)(e)に示すように、所定の深度まで掘削・撹拌作業を行い、その後、掘削軸体7を反転させながら引き上げる。
この際、第1・第2固化材吐出部29,32から固化材を吐出させて、掘削された土壌と固化材を相対撹拌翼体9により混練する。
(6)混練した土壌と固化材とを固化させる。
このようにして、掘削・撹拌工程において、例えば、腐植土層Bのように固化材の固化効果を著しく低減させる不要な土壌が存在する場合には、不要な土壌をあらかじめ不要土壌搬出工程にて地上に搬出しておくことにより、後続の工程において、固化材と掘削された土壌とを混練して化学的に固化させる効果を良好に確保することができる。
そして、固化材と掘削された土壌とを混練して固化させる作業は、土壌非搬出工程においてなされるため、土壌と混練された固化材が地上に搬出されるという無駄が生じないようにすることができ、その結果、効果的にかつ効率良く地盤改良作業を行うことができる。
なお、上記した二形態の地盤改良工法において、土壌の搬出により、掘削孔H中の土壌Dに空隙や空洞が生じた場合、ないしは、生じる虞がある場合には、適宜、土壌搬出入翼体40を下降移動させることにより、同土壌搬出入翼体40の少なくとも一部を掘削孔H中に配置し、同状態にて、同土壌搬出入翼体40を所要の回転数にて逆回転させることにより、地上に搬出された土壌Dを掘削孔H中に搬入して、掘削孔H中の土壌Dに空隙や空洞が生じないようにすることもできる。
図6は、第2実施形態としての相対撹拌翼体9を示しており、同相対撹拌翼体9は、前記した第1実施形態としての相対撹拌翼体9と基本的構造を同じくしているが、内・外側撹拌翼27,28の中途部に水平分力生起部36,37を設けて、同水平分力生起部36,37により各内・外側撹拌翼体27,28の撹拌力から掘削土に対して外側方への水平分力が生起されるようにしている点において異なる。
すなわち、内側撹拌翼27と外側撹拌翼28は、図7にも示すように、上下方向に伸延する弧状の相似形に形成すると共に、中途部を上下方向に伸延する縦翼片27c,28cとなしており、両縦翼片27c,28cは、外側面27d,28dが回転軌跡K1,K2の接線S1,S2との間に一定の角度θ1,θ2(例えば、θ1,θ2=5°〜45°、好ましくは20°)が形成されるように傾斜した水平分力生起部36,37となしている。
そして、本実施の形態では、掘削刃体10を正回転(図4の平面説明図において時計廻りに回転)であるa方向に回転させながら掘進させた場合に、図7に示すように、各縦翼片27c,28cから掘削土への作用力F1,F2の外側方に押す水平分力F1h,F2hとして生起させることができる。
従って、内側撹拌翼27と外側撹拌翼28との内外側相対撹拌により、同外側撹拌翼28の内方に位置する掘削土の平面的(二次元的)な撹拌・混練を行うことができると共に、両内・外側撹拌翼27,28の縦翼片27c,28cにより、外側方向にも撹拌・混練力を作用させることができるため、掘削孔の周面に対して掘削土を強制的に押圧させて圧密することができる。
図8は、変容例としての外側撹拌翼28の断面平面説明図であり、縦翼片28cの横断面幅を回転方向側の端面28fよりも反回転方向側の端面28gを肉厚に形成して、外側面28dをテーパー面となしており、縦翼片28cは、外側面28dが回転軌跡K2の接線S2との間に一定の角度θ2(例えば、θ2=5°〜45°、好ましくは20°)が形成されるように傾斜した水平分力生起部37となしている。
そして、本実施の形態では、掘削刃体10を正回転(図4の平面説明図において時計廻りに回転)であるa方向に回転させながら掘進させた場合に、図8に示すように、各縦翼片28cから掘削土への作用力F2の外側方に押す水平分力F2hとして生起させることができる。
従って、外側撹拌翼28の縦翼片28cにより、外側方向にも撹拌・混練力を作用させることができるため、掘削孔の周面に対して掘削土を強制的に押圧させて圧密することができる。
図9は、第3実施形態としての相対撹拌翼体9を示しており、同相対撹拌翼体9は、基本的構造を前記した第2実施形態としての相対撹拌翼体9と同じくしているが、掘削刃体10を設けることなく、外側撹拌翼28の下部横翼片28bの下端縁部と、外側軸21の下端部とにそれぞれ掘削ビット14を設けて、同掘削ビット14により地盤Gを掘削することができるようにしている。
このようにして、地盤改良装置Aの構造の簡易化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、固化材供給部2から掘削軸体7に固化材を供給して第1・第2固化材吐出部29,32から固化材を吐出させるようにしているが、かかる固化材に代えて地盤改良剤を吐出させるようにすることもできる。ここで、地盤改良剤とは、有害物質に汚染された土壌を浄化、ないしは、中和させて無公害化させるものをいう。
第1実施形態としての本発明に係る地盤改良装置の側面説明図。 掘削軸体と相対撹拌翼体の一部切欠側面図。 同平面説明図。 地盤改良作業の工程説明図。 同地盤改良装置による他の地盤改良作業の工程説明図。 第2実施形態としての本発明に係る地盤改良装置の側面説明図。 同平面説明図。 変容例としての外側撹拌翼の断面平面説明図。 第3実施形態としての本発明に係る地盤改良装置の側面説明図。
符号の説明
A 地盤改良装置
G 地盤
1 ベースマシン
2 固化材供給部
3 ベースマシン本体
4 リーダ

Claims (2)

  1. 上下方向に伸延する掘削軸体の下端部に掘削刃体を設け、同掘削刃体の上方に位置する掘削軸体の外周面に撹拌翼体を設けて、上記掘削刃体により地盤を掘削し、掘削された土壌を上記撹拌翼体により撹拌しながら所定個所に設けた吐出部より固化材や地盤改良剤を吐出して、同固化材や地盤改良剤と掘削された土壌とを混練することにより地盤改良を行うようにした地盤改良装置において、
    掘削軸体の外周面に土壌搬出入翼体を設けると共に、同土壌搬出入翼体は、掘削軸体とは独立して、同掘削軸体の軸線廻りに正・逆回転可能となし、かつ、同掘削軸体に沿って昇降移動可能となしたことを特徴とする地盤改良装置。
  2. 撹拌翼体は、上下方向に伸延させて形成して上・下端部をそれぞれ掘削軸体に取り付けると共に、中途部を外方へ膨出させて形成し、同中途部に掘削軸体を中心とする半径方向への水平分力生起部を設けて、同水平分力生起部により撹拌翼体の撹拌力から掘削土に対して半径方向への水平分力が生起されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の地盤改良装置。
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