JP2006299144A - 金属イオン中和n−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体、透明性樹脂組成物及び透明性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 光学用フィルムなどとして好適に使用することができる透明性、剛性、表面硬度に優れた金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体を提供する。
【解決手段】 N−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、オレフィン残基単位60〜39.9モル%及びマレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなるN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体であって、該N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基の30〜90モル%が金属イオンにより中和されてなる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】 N−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、オレフィン残基単位60〜39.9モル%及びマレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなるN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体であって、該N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基の30〜90モル%が金属イオンにより中和されてなる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体。
【選択図】 選択図なし。
Description
本発明は、金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体、さらに該共重合体からなる透明性フィルムに関するものであり、特に透明性、耐熱性、剛性及び表面硬度に優れた金属イオンにより中和してなるN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び該共重合体よりなる透明性フィルムに関するものである。
古くから光学材料として無機ガラスが使用されてきたが、近年、成形性、軽量性に優れた透明樹脂が無機ガラスに代わる光学材料として使用されている。光学部品の樹脂化は、近年の光を利用した情報関連技術の発展を反映して、例えばLCDなどのフラットパネルディスプレイ用フィルム及びシート、バックライトの導光板、光ディスク、光ファイバー、光導波路などの分野で盛んに検討されている。また、光学以外の分野、例えば電気・電子分野、自動車分野、医療分野、食品包装分野、建設資材分野などでも透明樹脂は広く使用されている。
このような透明樹脂としては、例えばポリスチレン(以下、PSと略記する。)、ポリメタクリル酸メチル(以下、PMMAと略記する。)、ポリカーボネート(以下、PCと略記する。)、ナイロンなどが挙げられる。
一方、N−置換マレイミド・オレフィン共重合体は、透明性、耐熱性、表面硬度などに優れるといった特徴を有していることが開示されている(例えば特許文献1参照。)。
更に、N−アルキル基置換マレイミド・オレフィン共重合体及びスチレン・アクリロニトリル共重合体からなる樹脂組成物が提案されており、透明性、耐熱性、剛性などに優れるといった特徴を有していることが開示されている(例えば特許文献2参照。)。
また、N−アルキルマレイミド・オレフィン共重合体及び無機フィラーからなる樹脂組成物が提案されており、光拡散性を有し、耐熱性、剛性に優れるといった特徴を有していることが開示されている(例えば特許文献3参照。)。
更に、無機フィラーの存在下でスクシンイミド樹脂組成物を製造する方法が開示されている(例えば特許文献4参照。)。
しかし、PS、PMMAおよびそれらを含む共重合体や樹脂組成物は透明性に優れるものの耐熱性が乏しいため、使用できる用途が限定される。また、PCは比較的高い耐熱性を示し靱性も優れるが、複屈折が生じ易いため、光学用途において問題となる場合があり、表面硬度が低く傷つきやすいなどの課題がある。ナイロンは耐熱性、靱性に優れるが、吸水性が高く、剛性、表面硬度が低いなどの問題がある。
特許文献1及び2に提案されているN−置換マレイミド・オレフィン共重合体及び樹脂組成物は、透明性が高く、耐熱性、表面硬度、剛性が優れるなどの特徴を有するが、更なる剛性、表面硬度の向上に対する要求を満足するには至らなかった。
特許文献3に提案されている樹脂組成物は、N−置換マレイミド・オレフィン共重合体及び該共重合体との屈折率差が0.005以上である無機および/または有機フィラーと
からなり、耐熱性、剛性に優れるが、光拡散性を有することが特徴であり、透明性は不十分である。
からなり、耐熱性、剛性に優れるが、光拡散性を有することが特徴であり、透明性は不十分である。
特許文献4は、品質に優れたスクシンイミド樹脂組成物を生産効率良く製造する方法に関するものであり、スクシンイミド樹脂における無機フィラーの分散状態を良好なものとするための方法については何ら記載されておらず、必ずしも満足な透明性が得られないことが課題であった。
そこで、本発明は、透明性、耐熱性、剛性及び表面硬度に優れた透明性樹脂を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に関し、鋭意検討した結果、特定の分子構造を有するN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体が高い透明性を有し、耐熱性、剛性及び表面硬度に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、下記一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位60〜39.9モル%及びマレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなるN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体であって、該N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基の30〜90モル%が金属イオンにより中和されてなることを特徴とする金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及びそれよりなる透明性フィルムに関するものである。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、上記一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、上記一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位60〜39.9モル%及びマレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなり、該マレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基の30〜90モル%が金属イオンで中和されてなるものであり、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることから上記一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位44〜55モル%、上記一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位55〜44モル%及びマレイン酸残基単位10〜1モル%からなり、該マレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基の30〜90モル%が金属イオンで中和されてなるものであることが好ましい。ここで、一般式(i)に示される単位が60モル%を超える場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は脆くなる。一方、39.9モル%未満の場合、金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体の耐熱性が低下する。また、マレイン酸残基が10モル%を超える場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体の透明性が低下する。一方、0.1モル%未満の場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、機械特性に劣るものとなる。また、該カルボキシル基の中和度が30モル%未満の場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は機械特性に劣るものとなる。一方、該カルボキシル基の中和度が90モル%を越える場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は透明性に劣るものとなる。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、特に機械特性と溶融加工性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることから、数平均分子量1×103以上5×106以下であるN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体を金属イオンで中和してなることが好ましく、ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位のR1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基及びフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の有機基であり、これら以外の有機基を有する単位である場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、剛性、耐熱性に劣るものとなる。ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1,2−ジメチルプロピル基等を挙げることができ、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができ、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることから、R1はメチル基、シクロヘキシル基、フェニル基であることが好ましい。該N−置換マレイミド残基単位としては、例えばN−メチルマレイミド残基、N−シクロヘキシルマレイミド残基、N−イソプロピルマレイミド残基、N−フェニルマレイミド残基等が例示され、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体が得られることからN−メチルマレイミド残基、N−シクロヘキシルマレイミド残基、N−フェニルマレイミド残基であることが好ましい。
また、一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位のR2及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数が6を超える場合、得られる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体が耐熱性に劣るものとなる。ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることからメチル基であることが好ましい。該オレフィン残基単位としては、例えばイソブテン残基、2−メチル−1−ブテン残基、2−メチル−1−ペンテン残基、2−メチル−1−ヘキセン残基等が挙げられ、特に耐熱性、靱性、機械特性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることからイソブテンが好ましい。
マレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基を中和する金属イオンとしては、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオンのようなアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオンのようなアルカリ土類金属イオン;亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、クロムイオン、鉛イオン、マンガンイオンなどの遷移金属イオン;アルミニウムイオンなどが挙げられ、その中でも特に剛性、表面硬度に優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることからナトリウムイオン、カリウムイオンであることが好ましい。
そして、本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れることから、N−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体、N−フェニルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体のカルボキシル基を金属イオンで中和したものであることが好ましい。
更に、本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、例えば上記一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、上記一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位60〜39.9モル%及び無水マレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなるN−置換マレイミド・無水マレイン酸・オレフィン共重合体、該無水マレイン酸残基単位のカルボニル基に対し30〜90モル%に相当する金属化合物及び水を押し出し機等により溶融混練することにより製造することが可能である。
該N−置換マレイミド・無水マレイン酸・オレフィン共重合体の製造方法としては、上記したN−置換マレイミド残基単位を誘導するN−置換マレイミド化合物、上記したオレフィン残基単位を誘導するオレフィン化合物及び無水マレイン酸を重合方法として、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等の重合を行う事によって得ることができ、その中でも特に透明性、色調に優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体が得られることから沈殿重合法により得られるものであることが好ましい。
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
その際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
また、金属化合物としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムのようなアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムのようなアルカリ土類金属;亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、クロム、鉛、マンガンなどの遷移金属;アルミニウムなどの酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、その中でも特に剛性、表面硬度に優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体となることから炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。そして、効率よくN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸に由来するカルボキシル基を中和することが可能となることから、該金属化合物の配合量は、該無水マレイン酸残基単位のカルボニル基に対し30〜90モル%に相当する量であることが好ましい。
さらに、水は、無水マレイン酸残基単位を開環してマレイン酸残基単位とする目的において用いられるものであるとともに、カルボキシル基の中和反応を促進する作用も有するものである。
溶融混練を行う際の押出機としては、例えば単軸押出機、二軸押出機等の一般的な押出機が挙げられ、特に水や金属化合物のイオン化に伴い発生するガス等を除去することができるため、真空ベントを装備した押出機が好ましい。
また、本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体を製造する他の方法として、無水マレイン酸・オレフィン共重合体の無水マレイン酸単位に少なくとも1種以上のアミン化合物を付加してアミド化物とした後、該アミド化物に金属化合物を配合し、押出機中で溶融混練して後イミド化する方法が挙げられる。
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶解あるいは分散させ、1種以上のアミン化合物と反応させて無水マレイン酸単位の少なくとも一部をアミド化した後、該アミド化物に金属化合物を配合し、押出機中で加熱して脱水閉環させ、イミド化反応を行う方法等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えばメチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アダマンチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、i−プロピルアミン、i−ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、アニリンなどが挙げられ、その中でも特に耐熱性、機械特性のバランスに優れる金属イオン中和N−置換マレイミド・オレフィン共重合体となることから、一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位を誘導するアミン化合物としてメチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体は、透明性、靱性、溶融加工性に優れた透明性樹脂組成物となることから、該金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体100重量部に対し、スチレン・アクリロニトリル共重合体1〜150重量部を配合した樹脂組成物とすることが好ましい。この際のスチレン・アクリロニトリル共重合体におけるスチレン残基単位とアクリロニトリル残基単位の割合は任意であり、その中でも、金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体とスチレン・アクリロニトリル共重合体の相溶性が優れ、特に高い透明性、靱性を有する透明性樹脂組成物となることから、スチレン残基単位/アクリロニトリル残基単位=50/50〜85/15(重量%)であるスチレン・アクリロニトリル共重合体であることが好ましい。
また、本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び透明性樹脂組成物を光学材料として用いる際には、可視光線、紫外線、赤外線などの光の照射を受けることが予想され、特に高温状況下での光照射による熱着色や光劣化を抑制する目的にて、例えばヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤などを必要に応じて含有していても良い。
更に、本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び透明性樹脂組成物は、上述の成分以外に、顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、染料、オイルなどを必要に応じて含有しても良い。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び透明性樹脂組成物は、従来公知の成形方法により成形体とすることができ、例えば射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト法射出成形、押出成形、多層押出成形、回転成形、熱プレス成形、ブロー成形、発泡成形などの方法により、射出成形体、フィルム、チューブ、シート、パイプ、ボトルなどに成形することができる。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び透明性樹脂組成物よりなる透明性フィルムの製造方法としては、如何なる方法を用いても良く、例えば溶液キャスティング法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などの公知公用の方法が挙げられる。溶融押出法としては、例えばTダイ法、インフレーション法が挙げられる。このようにして得られたフィルムは延伸法により透明性延伸フィルムとしてもよく、採用できる二軸延伸法としては、例えばテンター法、チューブ法等、一軸延伸法としては、例えば水槽延伸法、輻射延伸法、熱風加熱法、熱板過熱法、ロール加熱法などが挙げられる。
該透明性フィルムの厚みは10〜500μmであることが好ましく、特に機械特性、ハンドリング性のバランスなどに優れることから、20〜200μmであることが好ましい。また、該透明性フィルムは、特に透明性に優れたものとなることから、JIS K7136に準拠したヘイズが2%以下であることが好ましい。
また、該透明性フィルムは、ガスバリヤー性、耐傷つき性、耐薬品性等の機能を付与する目的にて、薄膜が塗工されたものであってもよい。すなわち、各種の熱可塑性樹脂;アミノ基、イミノ基、エポキシ基、シリル基などを有する熱硬化性樹脂;アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基などを有する放射線硬化型樹脂;これら樹脂の混合物に重合禁止剤、ワックス類、分散剤、顔料、溶剤、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、無機フィラー等を加え、グラビアロールコーティング法、マイヤーバーコーティング法、リバースロールコーティング法、ディップコーティング法、エアーナイフコーティング法、カレンダーコーティング法、スキーズコーティング法、キスコーティング法、ファンテンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法等の方法により塗工することができる。さらに、塗工後、必要に応じて放射線照射による硬化、または加熱による熱硬化を行わせて硬化薄膜層とすることができる。また、印刷を行う際にはグラビア方式、オフセット方式、フレキソ方式、シルクスクリーン方式などの方法を用いることができる。また、ガスシール性等を付与する目的から、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛等を主成分とする金属酸化物層を有してもよく、該金属酸化物層は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などにより形成することが好ましい。
更に、該透明性フィルムは他のフィルムと積層化させることも可能である。積層化させる方法としては、公知公用のいかなる方法を用いてもよく、例えばヒートシール法、インパルスシール法、超音波接合法、高周波接合法などの熱接合方法;押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、無溶剤接着ラミネート法、サーマルラミネート法、共押出法等のラミネート加工方法などが挙げられる。積層化させるフィルムとしては、例えばポリエステル樹脂フィルム、ポリビニルアルコール樹脂フィルム、セルロース樹脂フィルム、ポリフッ化ビニル樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、ポリアクリロニトリル樹脂フィルム、ナイロン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、アセテート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアクリレート樹脂フィルム等が挙げられる。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び透明性樹脂組成物は、透明性、耐熱性、靱性などに優れることから、LCD、有機EL、PDP、タッチパネル、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイや複写機、プリンター、ファクシミリ、光ファイル等の情報機器に使用される光学用フィルムとして好適に使用することができる。該光学用フィルムの具体例として、例えば位相差フィルム、偏光膜保護フィルム、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光拡散フィルム、透明電極フィルム基板、タッチパネル用基材フィルム、バックライト用基材フィルム、ディスプレイの防爆用基材フィルム、ディスプレイの表面保護フィルム、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、紫外線吸収フィルム、遠赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収フィルムなどを挙げることができる。
また、上記光学用フィルム以外の用途においても好適に使用することができ、例えば下記の用途を挙げることができる。
記録分野:静電記録基板、OHP、第2原図、スライドフィルム、マイクロフィルム、X線フィルム
光・磁気メモリー分野:サーモ・プラスチック・レコーディング、強誘電体メモリー、磁気テープ、IDカード、バーコード
帯電防止分野:メーター類の窓、テレビのブラウン管、クリーンルーム窓、半導体包装材料、フォトマスク用防塵フィルム
電磁波遮蔽分野:計測器、医療機器、放射線検出器、IC部品、CRT
光電変換素子分野:太陽電池の窓、光増幅器、光センサー
熱線反射分野:窓(建築、自動車等)、白熱電球、調理オーブンの窓、炉の覗き窓、選択透過膜
面状発熱体分野:デフロスタ、航空機、自動車、冷凍庫、保育器、ゴーグル、医療機器、液晶表示装置
電子部品・回路材料分野:コンデンサー、抵抗体、薄膜複合回路、リードレスLSIチップキャリアの実装、ドライフィルムレジスト
電極分野:ペーパーバッテリー用電極
光透過フィルター分野:紫外線カットフィルター、紫外線透過フィルター、紫外線透過可視光吸収フィルター、色分解フィルター、色温度変換フィルター、ニュートラルデンシティフィルター、コントラストフィルター、波長校正フィルター、干渉フィルター、赤外線透過フィルター、赤外線カットフィルター、熱線吸収フィルター、熱線反射フィルター
ガス選択透過性膜分野:酸素/窒素分離膜、二酸化炭素分離膜、水素分離膜
電気絶縁分野:絶縁粘着テープ、モーターのスロットライナ、変圧機の相間絶縁、リード線の絶縁、高電圧ケーブルの絶縁被覆
高分子センサー分野:光センサー、赤外線センサー、音波センサー、圧力センサー
表面保護分野:CRT、家具、システムキッチン、自動車内外装、塗装保護フィルム
摺動材分野:ホッパー・シュートの内張り、ベルトコンベアのすべり材、ガイドレールのすべり材、複写機の紙送りローラー、コンピューターマウス
多孔質フィルム分野:透湿防水材、精密濾過膜用のフィルター材
その他分野:通電熱転写、プリンターリボン、電線ケーブルシールド、漏水防止フィルム、電池用セパレートフィルム
さらに、上記フィルム以外の用途においても好適に使用することができ、例えば電気・電子機器に使用されるリレー、バーンインソケット、コネクター、センサーハウジング、可変抵抗器、ポリバリコンケース、エアレーション用ボビン;トランジスタ,IC,LSI,LED等の封止材、ICカードのICメモリーの封止材、モーター,コンデンサー,スイッチ,センサー等の封止材;カメラ,VTR,プロジェクター等の映像機器に使用される撮影用レンズ,ファインダー,フィルター,プリズム,フレネルレンズ,ボディ材等;CDプレーヤー,DVDプレーヤー,MDプレーヤー,ゲーム機器等の光記録機器に使用されるカード,ディスク,ピックアップレンズ等;光通信分野で使用される光ファイバー,光スイッチ,光コネクター等;LCD、有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器に使用される導光板、ライトガイド、フレネルレンズ、プリズムシート、光拡散シート、透明電極シート基板、ディスプレイの表面保護シート、インクタンク、カバー類、ボディ材等;自動車、電車などの車両分野で使用されるメーター類、ランプ類、レンズ類、ソケット、ヒューズケース、計器カバー等;医療機器分野で使用される眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視鏡レンズ、注射器、人口透析器、薬液容器、義歯、アンプルカッター容器等;建材分野における採光窓、ドア、監視カメラレンズ、カーポート、テラス、照明部品等;日用品分野で使用される照明部品、玩具、サングラス、文房具、化粧品容器、釣り具、食品用容器、飲料水用容器等を挙げることができる。
記録分野:静電記録基板、OHP、第2原図、スライドフィルム、マイクロフィルム、X線フィルム
光・磁気メモリー分野:サーモ・プラスチック・レコーディング、強誘電体メモリー、磁気テープ、IDカード、バーコード
帯電防止分野:メーター類の窓、テレビのブラウン管、クリーンルーム窓、半導体包装材料、フォトマスク用防塵フィルム
電磁波遮蔽分野:計測器、医療機器、放射線検出器、IC部品、CRT
光電変換素子分野:太陽電池の窓、光増幅器、光センサー
熱線反射分野:窓(建築、自動車等)、白熱電球、調理オーブンの窓、炉の覗き窓、選択透過膜
面状発熱体分野:デフロスタ、航空機、自動車、冷凍庫、保育器、ゴーグル、医療機器、液晶表示装置
電子部品・回路材料分野:コンデンサー、抵抗体、薄膜複合回路、リードレスLSIチップキャリアの実装、ドライフィルムレジスト
電極分野:ペーパーバッテリー用電極
光透過フィルター分野:紫外線カットフィルター、紫外線透過フィルター、紫外線透過可視光吸収フィルター、色分解フィルター、色温度変換フィルター、ニュートラルデンシティフィルター、コントラストフィルター、波長校正フィルター、干渉フィルター、赤外線透過フィルター、赤外線カットフィルター、熱線吸収フィルター、熱線反射フィルター
ガス選択透過性膜分野:酸素/窒素分離膜、二酸化炭素分離膜、水素分離膜
電気絶縁分野:絶縁粘着テープ、モーターのスロットライナ、変圧機の相間絶縁、リード線の絶縁、高電圧ケーブルの絶縁被覆
高分子センサー分野:光センサー、赤外線センサー、音波センサー、圧力センサー
表面保護分野:CRT、家具、システムキッチン、自動車内外装、塗装保護フィルム
摺動材分野:ホッパー・シュートの内張り、ベルトコンベアのすべり材、ガイドレールのすべり材、複写機の紙送りローラー、コンピューターマウス
多孔質フィルム分野:透湿防水材、精密濾過膜用のフィルター材
その他分野:通電熱転写、プリンターリボン、電線ケーブルシールド、漏水防止フィルム、電池用セパレートフィルム
さらに、上記フィルム以外の用途においても好適に使用することができ、例えば電気・電子機器に使用されるリレー、バーンインソケット、コネクター、センサーハウジング、可変抵抗器、ポリバリコンケース、エアレーション用ボビン;トランジスタ,IC,LSI,LED等の封止材、ICカードのICメモリーの封止材、モーター,コンデンサー,スイッチ,センサー等の封止材;カメラ,VTR,プロジェクター等の映像機器に使用される撮影用レンズ,ファインダー,フィルター,プリズム,フレネルレンズ,ボディ材等;CDプレーヤー,DVDプレーヤー,MDプレーヤー,ゲーム機器等の光記録機器に使用されるカード,ディスク,ピックアップレンズ等;光通信分野で使用される光ファイバー,光スイッチ,光コネクター等;LCD、有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器に使用される導光板、ライトガイド、フレネルレンズ、プリズムシート、光拡散シート、透明電極シート基板、ディスプレイの表面保護シート、インクタンク、カバー類、ボディ材等;自動車、電車などの車両分野で使用されるメーター類、ランプ類、レンズ類、ソケット、ヒューズケース、計器カバー等;医療機器分野で使用される眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視鏡レンズ、注射器、人口透析器、薬液容器、義歯、アンプルカッター容器等;建材分野における採光窓、ドア、監視カメラレンズ、カーポート、テラス、照明部品等;日用品分野で使用される照明部品、玩具、サングラス、文房具、化粧品容器、釣り具、食品用容器、飲料水用容器等を挙げることができる。
本発明の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体及び透明性樹脂組成物は、透明性、耐熱性、剛性、表面硬度に優れることから、光学用フィルムなどとして好適に使用することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定した溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定した溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜中和度〜
N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基のモル数に対して、配合した金属イオンの配合モル数を百分率で表し、該数値を中和度とした。
N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基のモル数に対して、配合した金属イオンの配合モル数を百分率で表し、該数値を中和度とした。
〜ヘイズ〜
JIS K7136に準拠して測定した。
JIS K7136に準拠して測定した。
〜引張弾性率〜
ASTM D882に準拠し、フィルム成形時の引取り方向の引張弾性率を測定した。
ASTM D882に準拠し、フィルム成形時の引取り方向の引張弾性率を測定した。
〜表面硬度〜
JIS K5600−5−4に準拠して測定した。
JIS K5600−5−4に準拠して測定した。
合成例1(N−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部、無水マレイン酸10重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.69重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1150重量部を室温で導入した後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。次いで、得られた反応後の粒子をろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部、無水マレイン酸10重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.69重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1150重量部を室温で導入した後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。次いで、得られた反応後の粒子をろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
得られたポリマーの13C−NMR測定および元素分析結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/無水マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)のN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量(Mn)は85,000であった。
合成例2(N−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部、無水マレイン酸40重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.75重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1300重量部を室温で導入した後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。次いで、得られた反応後の粒子をろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部、無水マレイン酸40重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.75重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1300重量部を室温で導入した後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。次いで、得られた反応後の粒子をろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
得られたポリマーの13C−NMR測定および元素分析結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/無水マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=35/15/50(モル比)のN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量(Mn)は80,000であった。
合成例3(N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を室温で導入した後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。次いで、得られた反応後の粒子をろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を室温で導入した後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。次いで、得られた反応後の粒子をろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
得られたポリマーの13C−NMR測定および元素分析結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/イソブテン残基単位=50/50(モル比)のN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量(Mn)は90,000であった。
合成例4(N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−フェニルマレイミド100重量部、無水マレイン酸10重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0.17重量部およびメチルエチルケトン390重量部を室温で導入した後、イソブテン100重量部を仕込み、60℃に昇温して8時間重合反応を行った。次いで、反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノール1000重量部に徐々に添加して再沈澱処理を行い、ろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−フェニルマレイミド100重量部、無水マレイン酸10重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0.17重量部およびメチルエチルケトン390重量部を室温で導入した後、イソブテン100重量部を仕込み、60℃に昇温して8時間重合反応を行った。次いで、反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノール1000重量部に徐々に添加して再沈澱処理を行い、ろ過、乾燥し、ポリマーを得た。
得られたポリマーの1H−NMR測定から、生成ポリマーはN−フェニルマレイミド残基単位/無水マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=56/3/41(モル比)のN−フェニルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は92,000であった。
実施例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体3000g、金属酸化物として炭酸ナトリウム40gおよび水10gを配合し、30mmφベント式2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して無水マレイン酸単位の開環反応および本反応により生成したカルボン酸単位の中和を行い、押出してペレット化した。なお、反応に使用した水及び金属化合物のイオン化に伴い発生するガスを除去する目的において、真空ベントにより真空度0.03MPaで吸引した。また、押出機の反応ゾーンの設定温度は260℃とした。
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体3000g、金属酸化物として炭酸ナトリウム40gおよび水10gを配合し、30mmφベント式2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して無水マレイン酸単位の開環反応および本反応により生成したカルボン酸単位の中和を行い、押出してペレット化した。なお、反応に使用した水及び金属化合物のイオン化に伴い発生するガスを除去する目的において、真空ベントにより真空度0.03MPaで吸引した。また、押出機の反応ゾーンの設定温度は260℃とした。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)よりなり、カルボキシル基の60モル%をナトリウムイオンで中和したN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。
次いで、得られたペレットをTダイスを設置した2軸押出機に供し、Tダイスの設定温度280℃の条件で押出し、140℃に設定した冷却ロールにより冷却して厚み100μmの透明性フィルムを得た。本透明性フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られた透明性フィルムは透明性、剛性、表面硬度に優れるものであった。
実施例2
炭酸ナトリウム40gの代わりに、炭酸ナトリウム25gとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
炭酸ナトリウム40gの代わりに、炭酸ナトリウム25gとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)よりなり、カルボキシル基の35モル%をナトリウムイオンで中和したN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。
次いで、実施例1と同様の方法により透明性フィルムを得た。本透明性フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られた透明性フィルムは透明性、剛性、表面硬度に優れるものであった。
実施例3
炭酸ナトリウムの代わりに、炭酸カリウムとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
炭酸ナトリウムの代わりに、炭酸カリウムとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)よりなり、カルボキシル基の60モル%をカリウムイオンで中和したN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。
次いで、実施例1と同様の方法により透明性フィルムを得た。本透明性フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られた透明性フィルムは透明性、剛性、表面硬度に優れるものであった。
実施例4
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体3000g、金属酸化物として炭酸ナトリウム13g、スチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)750gおよび水10gを配合したこと以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体3000g、金属酸化物として炭酸ナトリウム13g、スチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)750gおよび水10gを配合したこと以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)よりなり、カルボキシル基の60モル%をナトリウムイオンで中和したN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体及びスチレン・アクリロニトリル共重合体よりなる透明性樹脂組成物であることを確認した。
次いで、得られたペレットをTダイスを設置した2軸押出機に供し、Tダイスの設定温度260℃の条件で押出し、120℃に設定した冷却ロールにより冷却して厚み100μmの透明性フィルムを得た。本透明性フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られた透明性フィルムは透明性、剛性、表面硬度に優れるものであった。
実施例5
合成例4により得られたN−フェニルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体1500g、金属酸化物として炭酸ナトリウム40g、スチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)1500g及び水10gを配合したこと以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
合成例4により得られたN−フェニルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体1500g、金属酸化物として炭酸ナトリウム40g、スチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)1500g及び水10gを配合したこと以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−フェニルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=56/3/41(モル比)よりなり、カルボキシル基の60モル%をナトリウムイオンで中和したN−フェニルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体及びスチレン・アクリロニトリル共重合体よりなる透明性樹脂組成物であることを確認した。
次いで、得られたペレットをTダイスを設置した2軸押出機に供し、Tダイスの設定温度260℃の条件で押出し、120℃に設定した冷却ロールにより冷却して厚み100μmの透明性フィルムを得た。本透明性フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られた透明性フィルムは透明性、剛性、表面硬度に優れるものであった。
比較例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の代わりに合成例2により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体とし、炭酸ナトリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の代わりに合成例2により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体とし、炭酸ナトリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=35/15/50(モル比)のN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。
次いで、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。本フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られたフィルムは透明性、剛性、表面硬度が劣るものであった。
比較例2
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の代わりに合成例3により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体とし、炭酸ナトリウム及び水を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法によりペレット、フィルムを得、その評価を行った。
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・無水マレイン酸・イソブテン共重合体の代わりに合成例3により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体とし、炭酸ナトリウム及び水を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法によりペレット、フィルムを得、その評価を行った。
評価結果を表1に示す。得られたフィルムは透明性に優れるものの、剛性、表面硬度が劣るものであった。
比較例3
炭酸ナトリウム40gの代わりに炭酸ナトリウム67gとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
炭酸ナトリウム40gの代わりに炭酸ナトリウム67gとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)よりなり、カルボキシル基の100モル%をナトリウムイオンで中和したN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。
次いで、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。本フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られたフィルムは透明性に乏しいものであった。
比較例4
炭酸ナトリウム40gの代わりに炭酸ナトリウム13gとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
炭酸ナトリウム40gの代わりに炭酸ナトリウム13gとした以外は、実施例1と同様の方法によりペレットを得た。
ペレット化したポリマーの赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定結果より、生成ポリマーはN−メチルマレイミド残基単位/マレイン酸残基単位/イソブテン残基単位=47/3/50(モル比)よりなり、カルボキシル基の20モル%をナトリウムイオンで中和したN−メチルマレイミド・マレイン酸・イソブテン共重合体であることを確認した。
次いで、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。本フィルムを用いて物性測定した結果を表1に示す。得られたフィルムは剛性、表面硬度が劣るものであった。
Claims (7)
- 下記一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、下記一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位60〜39.9モル%及びマレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなるN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体であって、該N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体中のマレイン酸残基単位に由来するカルボキシル基の30〜90モル%が金属イオンにより中和されてなることを特徴とする金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体。
- 数平均分子量1×103以上5×106以下を有するN−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体を金属イオンにより中和されてなることを特徴とする請求項1に記載の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体。
- ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンにより中和されてなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体。
- 請求項1〜3に記載の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体からなることを特徴とする透明性フィルム。
- 請求項1〜3に記載の金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体100重量部に対し、スチレン・アクリロニトリル共重合体1〜150重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物。
- 請求項5に記載の透明性樹脂組成物からなることを特徴とする透明性フィルム。
- 上記一般式(i)で示されるN−置換マレイミド残基単位39.9〜60モル%、上記一般式(ii)で示されるオレフィン残基単位60〜39.9モル%及び無水マレイン酸残基単位10〜0.1モル%からなるN−置換マレイミド・無水マレイン酸・オレフィン共重合体、該N−置換マレイミド・無水マレイン酸・オレフィン共重合体中の無水マレイン酸残基単位に由来するカルボニル基の30〜90モル%に相当する炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウム、並びに、水を溶融混練することを特徴とする金属イオン中和N−置換マレイミド・マレイン酸・オレフィン共重合体の製造方法。
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