JP2006298729A - 重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置 - Google Patents

重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】安全な臨界管理の下に、良好な真球度を有する燃料核粒子を効率よく得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を提供すること。
【解決手段】硝酸ウラニルと増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液貯槽に滴下して製造する重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置であって、前記アンモニア水溶液貯槽を円盤状に形成し、かつ前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の内部に、前記アンモニア水溶液中で形成される重ウラン酸アンモニウムの粗粒子が流通する螺線状移動用通路を設けて成ることを特徴とする重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
【選択図】図1

Description

この発明は、重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置に関し、さらに詳しくは、安全な臨界管理の下に、良好な真球度を有する燃料核粒子を効率よく得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置に関する。
高温ガス炉の燃料を投入する炉心は、熱容量が大きく、高温健全性に優れた黒鉛により形成されている。この高温ガス炉においては、冷却ガスとして、高温下でも化学反応を起こすことがなく、安全性の高いヘリウムガスなどの気体が用いられているので、出口温度が高い場合でも、冷却ガスを安全に取り出すことができる。したがって、炉心の温度が900℃程度まで上昇したとしても、高温に加熱された前記冷却ガスは、発電はもとより、水素製造装置、その他の化学プラントなど、幅広い分野において、安全な熱利用を可能としている。
また、この高温ガス炉に投入される高温ガス炉用燃料は、一般的に、燃料核とこの燃料核の周囲を被覆する被覆層とを備えて成る。燃料核は、例えば、二酸化ウランをセラミックス状に焼結して成る直径約350〜650μmの微粒子である。
前記被覆層は、4層構造をなし、燃料核表面側より、第一層、第二層、第三層および第四層を有している。第一層は、密度約1g/cmの低密度熱分解炭素により形成され、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜めとしての機能を有すると共に、燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能をも有している。第二層は、密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素により形成され、ガス状FPの保持機能を有している。第三層は、密度約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)により形成され、固体FPの保持機能を有し、被覆層の主要な強度部材である。また、第四層は、密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素により形成され、ガス状FPの保持機能を有すると共に、第三層の保護層としての機能をも有している。これら被覆層を形成する被覆粒子の直径は、通常は、約500〜1500μmである。
前記燃料核表面に前記4層の被覆層を形成して成る被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散され、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、さらにこの燃料コンパクトは、黒鉛により形成された筒に一定数量収容され、上下に栓をして、燃料棒の形態とされる。最終的には、この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックが有する複数の挿入口に入れられ、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム状に配列し、複数段重ねることによって炉心が形成される。
このような高温ガス炉用燃料は、一般的に、以下のような工程を経ることによって製造することができる。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製する。次いで、この硝酸ウラニル溶液と増粘剤含有水溶液とを混合し、重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液(以下、単に「原液」ということがある。)を調製する。増粘剤は、後記のアンモニア水溶液中に滴下される原液である硝酸ウラニルの液滴の粘度を増大させて調整するために添加される物質である。
前記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズなどを挙げることができる。このようにして調製された原液は、所定の温度に冷却された後、原液滴下器が有する細径の原液滴下ノズルから、このノズルを振動させることによってアンモニア水溶液貯槽内のアンモニア水溶液中に滴下される。
アンモニア水溶液中に滴下される液滴は、アンモニア水溶液表面に達するまでの空間において、その空間に存在するアンモニアガス中を通過し、または前記液滴に積極的にアンモニアガスが吹きかけられる。このアンモニアガスによって液滴表面がゲル化して被膜が形成されるので、ゲル被膜が形成された液滴粒子は、アンモニア水溶液表面に落下する際の衝撃による変形が防止され、アンモニア水溶液貯槽内のアンモニアと反応して重ウラン酸アンモニウム粒子が形成される。上に乗った重ウラン酸アンモニウム粒子の荷重により下の重ウラン酸アンモニウム粒子が変形しないよう、アンモニア水溶液貯槽内のアンモニア水溶液はアンモニア水溶液貯槽の下側から上側に向かって循環されている。
アンモニア水溶液貯槽において形成された重ウラン酸アンモニウム粒子は、アンモニア水溶液貯槽に続設された後処理装置に移送される。この重ウラン酸アンモニウム粒子の後処理装置への移送は、通常は、アンモニア水溶液貯槽と後処理装置とを繋ぐ配管の弁を開放し、自重によりアンモニア水溶液と共に落下させることによって行われる。この後処理装置は、後処理槽を回転させながら、加熱により粒子の中心まで完全に硝酸ウラニルとアンモニアとを反応させて重ウラン酸アンモニウムを生成させる処理(熟成処理)、温水などにより重ウラン酸アンモニウム粒子を洗浄する処理(洗浄処理)および乾燥する処理(乾燥処理)を施す装置である。
熟成、洗浄および乾燥処理された重ウラン酸アンモニウム粒子は、大気中で焙焼され、三酸化ウラン粒子となる。さらに、この三酸化ウラン粒子は、還元および焼結することにより、高密度のセラミック状の二酸化ウラン粒子となる。このようにして形成された二酸化ウラン粒子は分級され、所定の粒子径を有する燃料核微粒子として得られる。
このようにして得られた燃料核微粒子は、流動床に装荷され、被覆用ガスを熱分解することによって被覆が施される。例えば、前記第一層は、約1400℃でアセチレンを熱分解することによって形成することができ、前記第二層および第四層は、約1500℃でプロピレンを熱分解することによって形成することができる。また、例えば、前記第三層は、約1600℃でメチルトリクロロシランを熱分解することによって形成することができる。通常の燃料コンパクトは、被覆燃料粒子を黒鉛粉末および粘結剤などから成る黒鉛マトリックス材と共に中空円筒状または中密円筒状にプレス成型またはモールド成型した後、焼成して製造することができる。(非特許文献1および2参照)。
「原子炉材料ハンドブック」p221−p247,昭和52年10月31日発行、日刊工業新聞社発行 「原子力ハンドブック」p161−p169,平成7年12月20日発行、株式会社オーム社
このような核燃料の製造において、臨界事故を防止する手段としては、一般的に、取り扱うウランの量を臨界質量以下とする「質量制限」と、ウランの量に関係なく、臨界状態を生じることのない形状または寸法を有する装置を用いる「形状制限」とがある。
前記「質量制限」を臨界事故の防止手段とする場合、濃縮度10%以下のウランに対する最大取扱量は9.6kg、濃縮度20%以下のウランに対する最大取扱量は4kgとなる。したがって、各工程のバッチサイズは、前記値以下としなければならない。より安全な見地からすると、誤って二重装荷した場合を考慮して、各工程のバッチサイズは、前記値の1/2以下にしなければならず、製造効率は低下し、量産の観点からは、適切な臨界管理対策とはいい得ない手段である。
一方、前記「形状制限」を臨界事故の防止手段とする場合、濃縮度10%以下のウランに対する円筒状設備の直径は19.8cm以下、平板状設備の厚さは8.3cm以下となる。また、濃縮度20%以下のウランに対する円筒状設備の直径は17.4cm以下、平板状設備の厚さは6.7cm以下となる。
前記「形状制限」を臨界事故の防止手段とする場合は、取り扱うウランの量に制限がないため、量産には好ましい手段ということができるが、高濃縮度ウランになるにつれて形状制限における寸法制限値は小さくなるため、燃料核を製造する設備は、細長い円筒状または薄い平板状とならざるを得なかった。
ところで、前記の高温ガス炉用燃料の製造工程のうち、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製し、この調製された硝酸ウラニル溶液と増粘剤水溶液とを混合処理して調製された重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を、アンモニア水溶液中に滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を形成する工程にあっては、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液貯槽内において、先に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子の上に、後に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が堆積していくために、その重量により、先に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が変形し、得られる燃料核粒子の真球度が悪化するという問題があった。
この発明は、このような従来の問題を解消し、安全な臨界管理の下に、良好な真球度を有する燃料核粒子を効率よく得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を提供することをその課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために、アンモニア水溶液貯槽の形状およびアンモニア水溶液貯槽の内部構造について種々検討した結果、アンモニア水溶液貯槽を円盤状に形成し、かつこの円盤状のアンモニア水溶液貯槽の内部に、重ウラン酸アンモニウムの粗粒子が流通するの螺線状移動用通路を設けることによって、前記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
すなわち、この発明の前記課題を解決するための手段は、
硝酸ウラニルと増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液貯槽に滴下して製造する重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置であって、前記アンモニア水溶液貯槽を円盤状に形成し、かつ前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の内部に、前記アンモニア水溶液中で形成される重ウラン酸アンモニウムの粗粒子が流通する螺線状移動用通路を設けて成ることを特徴とする重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置
である。
この発明の前記手段における好ましい態様としては、下記(1)〜(4)の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を挙げることができる。
(1)前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽が、前記螺線状移動用通路における重ウラン酸アンモニウムの粗粒子の移動方向に対し逆方向に回転する重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
(2)前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の上面および下面が、中性子吸収板により形成されて成る重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
(3)前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の下方に、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液第2貯槽が配置され、前記螺線状移動用通路における前記粗粒子の進行方向の終端部に形成された落下孔により、前記アンモニア水溶液貯槽と前記アンモニア水溶液第2貯槽とが連通可能に形成されて成る重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
(4)前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽と、前記アンモニア水溶液第2貯槽との間に中性子吸収板を配置して成る重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置は、原液を滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を製造するアンモニア水溶液貯槽が円盤状に形成され、かつその内部に重ウラン酸アンモニウムの粗粒子の螺線状移動用通路が設けられていることから、高濃縮度ウランを原料とする場合においても、バッチサイズを小さくすることなく、安全な臨界管理の下に、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造することができるという効果を奏する。
また、前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽を、前記螺線状移動用通路における重ウラン酸アンモニウム粒子の移動方向に対し逆方向に回転させることによりアンモニア水溶液が流動し、このアンモニア水溶液の流動によって、形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が前記螺線状移動用通路に沿って通路の中心から外周に向って移動するため、アンモニア水溶液貯槽内において、先に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子の上に後に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が堆積することがない。したがって、重ウラン酸アンモニウム粒子に変形を来たすことがなく、最終的に良好な真球度を有する燃料核粒子を得ることができるという効果をも奏する。
さらに、アンモニア水溶液貯槽の下方に、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液第2貯槽を配置することにより、前記アンモニア水溶液貯槽において形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子が前記アンモニア水溶液第2貯槽内を流動し、その内部まで重ウラン酸アンモニウムとなるため、前記粗粒子を十分に熟成させた重ウラン酸アンモニウム粒子として取得することができる。
また、アンモニア水溶液貯槽の下方に、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液第2貯槽を配置することにより、バッチサイズを大きくすることができ、生産性を向上させて効率よく重ウラン酸アンモニウム粒子を製造することができる。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を、図面に基づいて説明する。図1は、この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置の一例を示す斜視図である。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1−1は、アンモニア水溶液を貯留することができるように、円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2を本体とし、その上面および下面が、好ましくは、中性子吸収板3−1および3−2により形成されている。この中性子吸収板3としては、例えば、ボロンが配合されたステンレス板を挙げることができる。この中性子吸収板3は、アンモニア水溶液貯槽2内から放射される中性子および外部からアンモニア水溶液貯槽2内に進入する中性子を吸収して、ウランが核分裂反応を起こして臨界状態になることを防止する板である。
前記アンモニア水溶液貯槽2の上面には、略中央に、硝酸ウラニルと増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を滴下させる原液滴下孔4が設けられている。この原液滴下孔4から、所定の温度に冷却された原液が、細径の原液滴下ノズル(図示していない。)を振動させることにより原液の液滴5となって、アンモニア水溶液貯槽2内へ滴下される。アンモニア水溶液貯槽2内へ滴下された原液の液滴5は、アンモニア水溶液貯槽2内のアンモニアと前記硝酸ウラニルとが反応して形成される重ウラン酸アンモニウムを含有する粗粒子となる。
重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1−1は、前記アンモニア水溶液貯槽2が円盤状に形成されている。このアンモニア水溶液貯槽2は、図1に示すように、円筒体で、かつ平盤状である限り、前記円筒形が真円状筒体であってもよく、楕円状筒体であってもよいが、真円状筒体または略真円状筒体であることが好ましい。
前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2の内部には、図2に示すように、前記アンモニア水溶液中で形成される重ウラン酸アンモニウム粒子の螺線状移動用通路6が設けられている。
前記重ウラン酸アンモニウム粒子の螺線状移動用通路6は、図2に示すように、前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2の内部に、渦巻状に形成されている。この螺線状移動用通路6は、壁体7−1および7−2により囲まれて形成された通路8から成っている。この螺線状移動用通路6を、前記アンモニア水溶液中で形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子が移動していく。9は、螺線状移動用通路6の終端部である。
図3は、図2におけるA−A端面であって、螺線状移動用通路6がスパイラル状(水平な渦巻状)に形成されている状態を示す図である。前記螺線状移動用通路6は、前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2のその円盤の厚さ内で、筒状の壁体7−1および7−2によって、スパイラル状に通路8が形成されている。11は、アンモニア水溶液12中で形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10の落下孔である。
前記落下孔11は、前記アンモニア水溶液貯槽2と後記するアンモニア水溶液第2貯槽とを連通させるために設けられた孔であり、アンモニア水溶液第2貯槽を配置することなく、重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1−1により重ウラン酸アンモニウム粒子を製造するときは、前記落下孔11は、蓋などによって閉止されている。
また、前記螺線状移動用通路6は、ヘリックス状(軸方向に渦巻状)に形成されていてもよい。図4は、図2におけるA−A端面であって、螺線状移動用通路6がヘリックス状に形成されている状態を示す図である。前記螺線状移動用通路6は、前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2のその円盤の厚さ内で、筒状の壁体7−1および7−2によって、ヘリックス状に通路8が形成されている。落下孔11については、前記と同様である。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1−1は、前記のとおり、原液を滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を製造するアンモニア水溶液貯槽2が円盤状に形成され、かつその内部に重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10の螺線状移動用通路6が設けられていることから、高濃縮度ウランを原料とする場合においても、バッチサイズを小さくすることなく、安全な臨界管理の下に、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造することができる。
前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2は、前記螺線状移動用通路6における重ウラン酸アンモニウム粒子の移動方向(図2に示す→方向)に対し逆方向(図1に示す→方向)に回転させることが好ましい。このアンモニア水溶液貯槽2の回転は、例えば、前記アンモニア水溶液貯槽2の外壁に接する回転輪(図示していない。)をモーターによって駆動して行うことができる。回転速度に制限はないが、通常は1〜10rpm、好ましくは2〜5rpmである。
前記アンモニア水溶液貯槽2の回転によりアンモニア水溶液12が流動し、このアンモニア水溶液12の流動によって、形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10が前記螺線状移動用通路7に沿って通路8の中心から外周に向って移動するため、アンモニア水溶液貯槽2内において、先に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子の上に後に形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が堆積することがない。したがって、重ウラン酸アンモニウム粒子に変形を来たすことがない。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置は、前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の下方に、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液第2貯槽が配置されていることが好ましい。前記アンモニア水溶液貯槽において形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が、いまだ、その内部まで十分に重ウラン酸アンモニウムとなっていない粗粒子である場合、または前記粗粒子を含有している場合には、前記粗粒子が前記アンモニア水溶液第2貯槽内を流動することにより、その内部まで重ウラン酸アンモニウムとして、前記粗粒子を十分に熟成させることができるからである。
図5は、この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置の他の例を示す図である。重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1−2においては、図3に示す螺線状移動用通路6を有する、前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2の下方に、アンモニア水溶液第2貯槽13が配置され、前記アンモニア水溶液貯槽2とアンモニア水溶液第2貯槽13とを連通させるために、落下孔11が設けられている。
前記アンモニア水溶液貯槽2内で形成される重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10は、前記落下孔11からアンモニア水溶液第2貯槽13内に落下する。落下した重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10は、ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1−2が回転することにより、前記アンモニア水溶液第2貯槽12内を流動して反応が進行し、その内部まで重ウラン酸アンモニウムとなった重ウラン酸アンモニウム粒子が形成される。
前記のアンモニア水溶液貯槽2の下方に、前記アンモニア水溶液第2貯槽13を配置することは、図4に示す螺線状移動用通路6を有する前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽2についても同様に行うことができる。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1を用いて重ウラン酸アンモニウム粒子を製造するには、まず、例えば、酸化ウランを硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製する。このときの調製条件に特に制限はないが、硝酸(HNO)/ウラン(U)のモル比を、2.1〜2.5とし、通常は、90〜140℃、好ましくは、90〜100℃で、60〜120分間、混合することによって調製される。
次いで、前記のとおり調製された硝酸ウラニル溶液と増粘剤水溶液とを混合し、重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を調製する。前記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシヒニルポリマー、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、メトローズ、テトラヒドロフルフリルアルコール、水溶性環状エーテルなどの水溶性高分子物質、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂などを挙げることができる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。これら増粘剤は、二種以上を併用してもよい。
前記原液は、調製される原液の粘度を低下させて調整するために添加する物質として、テトラヒドロフルフリルアルコールなどの添加剤を含有していてもよい。
この発明においては、前記のとおり調製された、硝酸ウラニルと増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を、所定の温度に冷却した後、細径の原液滴下ノズルから、このノズルを振動させることによってアンモニア水溶液貯槽2内に滴下させる。滴下される原液の液滴5は、アンモニア水溶液12表面に達するまでの空間において、その空間に存在するアンモニアガス中を通過し、または前記液滴5に積極的にアンモニアガスを積極的に吹きかけて、液滴表面がゲル化して被膜が形成された液滴となる。アンモニア水溶液貯槽2内に滴下された原液中の硝酸ウラニルは、アンモニアと反応して重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10が形成される。
この形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10は、アンモニア水溶液貯槽2の回転によって流動するアンモニア水溶液12により流動され、前記螺線状移動用通路6に沿って通路8の中心から外周に向って移動する。前記重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10が前記螺線状移動用通路6の終端部9に到達するまでに、アンモニアと硝酸ウラニルとが反応了して、重ウラン酸アンモニウム粒子が製造される。
前記重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10が前記螺線状移動用通路6の終端部9に到達するまでに、いまだ、その内部まで重ウラン酸アンモニウムとなっていない粗粒子13である場合、または前記粗粒子10を含有している場合には、落下孔11から前記粗粒子10を前記アンモニア水溶液第2貯槽13内に落下させ、このアンモニア水溶液第2貯槽13内を流動させて、内部まで重ウラン酸アンモニウムとなった重ウラン酸アンモニウム粒子を製造する。
このようにして製造された重ウラン酸アンモニウム粒子は、その後、所望によりさらに熟成処理し、洗浄処理および乾燥処理が施され、さらに、焙焼、還元および焼結することによって、高密度のセラミックス状の二酸化ウラン粒子となる。この二酸化ウラン粒子は分級され、所定の粒子径を有する燃料核微粒子として取得される。
この発明によれば、安全な臨界管理の下に良好な真球度を有する燃料核粒子を効率よく得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置が提供され、高温ガス炉用燃料の製造分野に寄与するところは、きわめて多大である。
なお、前記燃料核粒子の真球度は、ある粒子について、任意の方向から燃料核粒子の直径を測定し、下記式によって求める。
真球度=(測定中の最大直径)/(測定中の最小直径)
燃料核粒子の真球度は、その粒子がどの程度、真球に近いかを表す指数であり、真球に近いほど、1.00に近づく。
以下、実施例を挙げて、この発明をさらに具体的に説明するが、この実施例によって、この発明はなんら限定されることはない。
(実施例)
図1〜5に示す重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1を用い、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造した。
〔硝酸ウラニル溶液の調製例〕
酸化ウラン粉末を硝酸に溶解し、100℃で1.5時間、混合して、硝酸ウラニル溶液(0.76mol−U/L)を調製した。
〔重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液の調製例〕
前記のとおり調製された硝酸ウラニル溶液とテトラヒドロフルフリルアルコールを含有するポリビニルアルコール水溶液とを混合して、重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を調製した。この原液におけるポリビニルアルコール濃度は12.5g/L、全原液に対するテトラヒドロフルフリルアルコールの割合は45容量%であった。また、この原液の粘度は、20℃で53×10−3P・s(53cP)であった。
〔重ウラン酸アンモニウム粒子の製造〕
前記のとおり調製された、硝酸ウラニルと増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を、10℃に冷却した後、細径の原液滴下ノズル(図示していない。)から、このノズルを振動させることによって、原液の液滴5としてアンモニア水溶液貯槽2内に滴下させた。原液の液滴5は、アンモニア水溶液12表面に達するまでの空間において、その空間に存在するアンモニアガス中を通過し、アンモニア水溶液貯槽2内に滴下された原液中の硝酸ウラニルは、アンモニアと反応して重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10が形成された。
この形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10を、アンモニア水溶液貯槽2の回
転(モーターの駆動による回転、回転速度5rpm)によって、アンモニア水溶液12と
共に流動させ、螺線状移動用通路6に沿って通路8の中心から外周に向って移動させなが
ら、螺線状移動用通路6の終端部9まで移動させて、重ウラン酸アンモニウムの粗粒子1
0を形成した。
前記のようにして形成された重ウラン酸アンモニウムの粗粒子10を、落下孔10からアンモニア水溶液第2貯槽13内に落下させ、このアンモニア水溶液第2貯槽13内を流動させて、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造した。
(参考例)
〔燃料核微粒子の製造〕
その後、前記のとおり製造された重ウラン酸アンモニウム粒子を、アンモニア水溶液と共に後処理槽(図示していない。)に収容し、この後処理槽を回転させながら、80℃の水によって洗浄処理し、さらに、100℃で3時間、乾燥処理して、乾燥重ウラン酸アンモニウム粒子を得た。
さらに、前記乾燥重ウラン酸アンモニウム粒子を、大気中、550℃で3時間、焙焼して、三酸化ウラン粒子を得た。この三酸化ウラン粒子を、水素ガス雰囲気下、600℃で3時間、還元処理し、続いて、1550℃で1時間、焼結処理して、セラミックス状の燃料核微粒子を製造した。この燃料核微粒子の平均真球度は1.04であった。
(比較例)
前記螺線状移動用通路6を有しない重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を用いた以外は、実施例と同様にして重ウラン酸アンモニウム粒子を製造し、以下、参考例と同様にして燃料核微粒子を製造した。この燃料核微粒子の平均真球度は1.2を越えていた。
図1は、この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置の一例を示す図である。 図2は、螺線状移動用通路を示す平面図である。 図3は、図2におけるA−A端面であって、螺線状移動用通路がスパイラル状に形成されている状態を示す図である。 図4は、図2におけるA−A端面であって、螺線状移動用通路がヘリックス状に形成されている状態を示す図である。 図5は、この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置の他の例を示す図である。
符号の説明
1 重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置
2 アンモニア水溶液貯槽
3 中性子吸収板
4 原液滴下孔
5 原液の液滴
6 螺線状移動通路
7 壁体
8 通路
9 螺線状移動通路の終端部
10 重ウラン酸アンモニウムの粗粒子
11 落下孔
12 アンモニア水溶液
13 アンモニア水溶液第2貯槽



Claims (5)

  1. 硝酸ウラニルと増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液貯槽に滴下して製造する重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置であって、前記アンモニア水溶液貯槽を円盤状に形成し、かつ前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の内部に、前記アンモニア水溶液中で形成される重ウラン酸アンモニウムの粗粒子が流通する螺線状移動用通路を設けて成ることを特徴とする重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
  2. 前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽が、前記螺線状移動用通路における重ウラン酸アンモニウムの粗粒子の移動方向に対し逆方向に回転する請求項1に記載の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
  3. 前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の上面および下面が、中性子吸収板により形成されて成る請求項1または2に記載の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
  4. 前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽の下方に、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液第2貯槽が配置され、前記螺線状移動用通路における前記粗粒子の進行方向の終端部に形成された落下孔により、前記アンモニア水溶液貯槽と前記アンモニア水溶液第2貯槽とが連通可能に形成されて成る請求項1〜3のいずれか一項に記載の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
  5. 前記円盤状に形成されたアンモニア水溶液貯槽と、前記アンモニア水溶液第2貯槽との間に中性子吸収板を配置して成る請求項4に記載の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
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