以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る印刷装置の開閉蓋を閉じた状態の全体の斜視図であり、図2はその印刷装置の開閉蓋を開いた状態の全体の斜視図である。また、図3は装置本体に設けられた収容部の平面図である。
この印刷装置1は、印刷用テープに印刷することができるとともに、CD−RやDVD−Rなどのディスク状の記録媒体(光ディスク)の印刷面(レーベル面)にも直に印刷することができるようになっている。
図1に示すように、この印刷装置1は、装置本体2を備え、この装置本体2の上面にキー入力部3及び表示部4が設けられている。キー入力部3は、印刷する文字列のデータを入力する文字キー、印刷開始を指示する印刷キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、及び入力された文字列の編集処理、各種設定処理、印刷処理等に必要な種々の制御キーを備えている。表示部4は液晶表示装置であり、入力されたデータや処理内容を表示する。
装置本体2は、カセット及び光ディスクを収容するための収容部6を有し、この収容部6の上面のカセットを着脱するための開口が開閉蓋5により開閉される。
収容部6には、図4(A)、(B)に示すテープカセット70と、図5(A)、(B)に示すリボンカセット85とが選択的に収容される。テープカセット70は、カセットケース73内に印刷用テープ71及びインクリボン72を保持し、リボンカセット85はカセットケース88内にインクリボン87を保持してなる。
印刷用テープ71に印刷を行なう場合には、図6に示すように収容部6にテープカセット70を収容し、光ディスクのレーベル面に印刷を行なう場合には、図7に示すように収容部6にリボンカセット85と光ディスクDを収容する。テープカセット70とリボンカセット85はその外径形状がほぼ同一となっている。収容部6に光ディスクDを収容するときには、図8に示すように光ディスクDを起立させ、その起立状態で装置本体2内に挿入する。
前記収容部6には、プラテンローラ7、印刷ヘッドとしてのサーマルヘッド8及びリボン巻取軸9が設けられている。プラテンローラ7はサーマルヘッド8と対向するように設けられている。プラテンローラ7は、回転軸7aを有し、この回転軸7aが取付フレーム7bに取り付けられ、この回転軸7aと一体にプラテンローラ7がその軸回り方向に回転する。
このプラテンローラ7は、収容部6にテープカセット70が収容されたときに、そのテープカセット70の印刷用テープ71及びインクリボン72をサーマルヘッド8との間に挟み重ねて搬送し、また収容部6にリボンカセット85及び光ディスクDが収容されたときに、インクリボン87及び光ディスクDをサーマルヘッド8との間に挟み重ねて搬送する搬送手段として機能する。取付フレーム7bには、プラテンローラ7の両側に位置して補助ローラ7c、7dが回転自在に設けられている。
サーマルヘッド8は、ヘッドカバー8a内に回動可能に設けられ、プラテンローラ7に対向するように配置されている。このサーマルヘッド8は、収容部6にテープカセット70が収容されたときに、インクリボン72を介して印刷用テープ71に印刷を行ない、また収容部6にリボンカセット85が収容されたときに、そのインクリボン87を介して光ディスクDに印刷を行なうプリンタ機構として機能する。
図10には収容部6の正面から見た構成を示してあり、この収容部6に設けられたサーマルヘッド8は、印刷用テープ71及びインクリボン72、87の幅方向に沿う一方向に一列に並ぶ複数個の発熱が可能な発熱素子8bを有し、印刷データに基づいてその複数個の発熱素子8bが選択的に発熱駆動される。
リボン巻取軸9は、印刷に使用されたテープカセット70のインクリボン72及びリボンカセット85のインクリボン87をそれぞれのカセットケース73、88内に巻き取って回収する。
収容部6には、テープカセット70及びリボンカセット85に係合してそれを所定位置に支持するための複数の支持台10a、10b、10cや係合部10eが設けられている。
テープカセット70としては、印刷用テープ71の幅のサイズが異なる複数種のものがある。収容部6には、テープカセット70の収容の有無、及びその収容されたテープカセット70のテープサイズについての種別を判別するための複数のテープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット85の収容の有無を検出するためのリボンカセット検出スイッチ12、光ディスクDが所定のセット位置に収容されたことを検出するためのディスク検出センサ13が設けられている。
収容部6の奥側端部の内底部分には、この収容部6にレーベル面を垂直向きにして起立状態で収容され、プラテンローラ7とサーマルヘッド8との間に挟み押えられて起立状態にして搬送される光ディスクDを案内するガイド部15が設けられている。このガイド部15は、図9及び図10に示すように、凹溝状をなし、装置本体2の内部から外部に通じるように装置本体2の左右方向に沿って直線状に延びるように形成されている。このガイド部15の底面はガイド面15aとなっており、プラテンローラ7とサーマルヘッド8とで挟み押えられて起立状態にして搬送される光ディスクDは、その下端部が前記ガイド面15aに当接する状態でガイド部15に沿って案内される。
ガイド部15は、光ディスクDの搬送路であり、装置本体2の内部側がその搬送の上流側で、装置本体2の外部側が下流側である。このガイド部15によって形成される光ディスクDの搬送路は、その上流側の端部が装置本体2の内部で閉塞し、その下流側の端部が装置本体2の外部に開放されている。そして、このガイド部15の長さ方向の所定の位置において、ガイド部15を間に挟んで互いに対向するように前記プラテンローラ7とサーマルヘッド8とが配置され、この位置が印刷位置になっている。このガイド部15の一部、すなわち光ディスクDの搬送路の前記印刷位置の近傍からその下流側の区間は印刷用テープ71の搬送路ともなっている。
ガイド部15の下流側の端部は、装置本体2の側部に形成された略U字状の開口部16に連なり、装置本体2の内部で印刷された印刷用テープ71や光ディスクDはこの開口部16に向けて搬送される。
装置本体2には、図3に示すように、開口部16の近傍において、印刷された印刷用テープ71の先端側の印刷済部分を切断するための切断機構17が設けられている。この切断機構17は、固定刃17aと可動刃17bを備え、これら固定刃17aと可動刃17bは印刷用テープ71の搬送路を隔てて互いに対向するように設けられている。固定刃17aは装置本体2に固定され、可動刃17bは固定刃17aに対して接離する方向に移動可能に設けられている。
そして、収容部6にテープカセット70が収容され、このテープカセット70から印刷用テープ71が開口部16を通して外部に排出された際に、可動刃17bがカッタ用モータにより駆動されて固定刃17aに接近する方向に移動し、この移動で固定刃17aと可動刃17bとで印刷用テープ71が挟まれて切断される。切断後には可動刃17bが固定刃17aから離れる方向に移動して待機位置で停止する。
装置本体2に設けられた搬送路の上流側の端部、すなわちガイド部15の上流側の端部は、装置本体2の内部で閉塞しており、図10に示すように、光ディスクDを所定のセット位置に位置決めするための手段として、位置決め部18が設けられている。この位置決め部18は、起立状態にして開口部16からガイド部15に沿って搬送方向の上流側に向け挿入されて装置本体2の内部に収容される光ディスクDの挿入方向の先端側の外周端部に当接してそれを受け止めることにより、光ディスクDを搬送路内の所定のセット位置(記録媒体セット位置)に位置決めするためのものである。
この位置決め部18に突き当てられて位置決めされた光ディスクDの所定のセット位置が、印刷開始前に装置本体2に装填される光ディスクDの正規の初期セット位置であり、印刷開始とともに、この初期セット位置から下流側に向けて光ディスクDの搬送が開始される。以下の説明では、前記所定のセット位置を、記録媒体セット位置あるいは単にセット位置とも云うことにする。
光ディスクDを案内するガイド部15のガイド面15aは、印刷開始前に光ディスクDが装置本体2内にセットされる記録媒体セット位置から開口部16が位置して印刷を終えた光ディスクDが排出される記録媒体排出位置に向けて斜め上方に角度θで連続して傾斜する傾斜面となっている。この傾斜面の角度θは、1〜60°の範囲、好ましく1〜10°の範囲である。ガイド部15の下流側の端部は、記録媒体排出位置となる光ディスクDの排出部15bであり、この排出部15bは起立状態にして排出された光ディスクDが起立状態で載置可能な長さを有しており、その底面が傾斜せずに水平面となっている。
前記プラテンローラ7及びその回転軸7aは、前記傾斜するガイド面15aに対して直交する方向に延びるように配置されている。前記サーマルヘッド8は前述したように、1列に並ぶ複数個の発熱素子8bを備えるが、その発熱素子8bの配列方向が前記傾斜するガイド面15aに対して直交する方向となっている。
光ディスクDが搬送路内の前記セット位置に収容されたことを検出する前記ディスク検出センサ13は、前記ガイド部15に沿う所定の位置に設けられている。すなわち、このディスク検出センサ13は、発光部と受光部とを有する透過型の光学センサであり、ガイド部15の長さ方向のほぼ中間部において、ガイド部15の溝の内壁面部にその発光部と受光部とを互いに対向配置させてなる。
図10に示すように、前記ディスク検出センサ13は、起立状態で光ディスクDが収容部6内の所定のセット位置にセットされたときのその光ディスクDのガイド部15のガイド面15aに当接する最下端部の近傍の位置に対応する位置に配置されている。
収容部6の上に設けられた前記開閉蓋5は、ヒンジ5aを介して装置本体2の上面に回動自在に取り付けられ、表示部4及び収容部6に対応する位置に透明な窓20、21が設けられている。
開閉蓋5の下面には、ばね部材を内装して収容部6に収容されたテープカセット70及びリボンカセット85、70の上面に弾性的に当接することにより、それらのカセットの収容部6内での垂直方向の動きを規制するためのカセット押え22a、22b、22cが設けられている。
また、この開閉蓋5には、そのほぼ中央部から装置本体2の一側部側(右方側)まで直線的に延びるスリット状の挿通口23が形成されている。この挿通口23は、開閉蓋5の閉蓋状態において、前記ガイド部15と垂直方向で互いに対向するように設けられ、その挿通口23の装置本体2の一側部側は前記開口部16に連なって装置本体2の側部外方に開放している。
前記開口部16から光ディスクDを起立状態で挿入したときには、その光ディスクDは前記ガイド部15及び挿通口23に沿って移動して収容部6のセット位置に達する。この際、光ディスクDはそのほぼ上半部が挿通口23から装置本体2の外部に突出する。
そして、印刷時には、光ディスクDがガイド部15及び挿通口23に沿って下流側に搬送され、その搬送中に光ディスクDに対して印刷が行なわれる。印刷後には、光ディスクDはガイド部15の排出部15bに配置され、この排出部15bに配置された光ディスクDを上方に引き上げて装置本体2の外部に取り出すようになっている。
図10に符号Pで示す領域は、印刷動作によって光ディスクDの下半部の一部に施される印刷領域を示している。この印刷領域Pは、幅(高さ)がWで長さがLの寸法を有し、幅Wはサーマルヘッド8の発熱素子8bの並びの列長さの寸法に対応し、長さLは印刷時のサーマルヘッド8の光ディスクDに対する相対的な移動距離に対応する。
光ディスクDはガイド部15に沿ってその上流側から下流側に向けて搬送されて印刷が行われる。印刷終了時には光ディスクDは前記排出部15bの位置まで搬送され、その搬送方向の下流側の一部が装置本体2の外部に突き出た状態で停止する。
開閉蓋5の上には、挿通口23の長さ方向に沿う細長板状の位置合せ部材25が設けられている。この位置合せ部材25は、挿通口23から収容部6への埃の侵入を防止するカバーを兼ね、図11及び図12に示すように、挿通口23の長さ方向に沿うキー入力部3側(装置本体2の正面手前側)の一側縁が軸24を介して開閉蓋5に上下方向に回動可能に取り付けられ、通常時には自重で倒伏して挿通口23を覆っている。
この位置合せ部材25は軸24を含む全体が、図10に鎖線で示すように、前記ガイド部15のガイド面15aの傾斜の角度と同じ角度で傾斜し、ガイド面15aと平行に配置するように開閉蓋5の上に取り付けられている。
この位置合せ部材25における前記開口部16に臨む部分の端部は、図11に示すように、平面視で軸24と直交する方向に対して軸24から位置合せ部材25の自由端側に向けて傾斜する傾斜部26となっている。また、図12に示すように、光ディスクDを起立状態でガイド部15に沿うように挿入するときに、光ディスクDの下端部がガイド部15の底面のガイド面15aに当接した状態で、光ディスクDの挿入端部側の上半部側の外縁が傾斜部26に突き当たるようになっている。
これにより、開口部16から光ディスクDを起立状態でガイド部15に沿うように挿入するときに、図12に示すように、その光ディスクDの上半部の挿入側端部が前記傾斜部26に突き当り、この突き当りに応じて位置合せ部材25が光ディスクDに押されて軸24を中心に上方に回動し、キー入力部3側に向いて図8及び図9(B)に示すように起立する。この起立で光ディスクDのさらなる移動が可能となる。
この位置合せ部材25は透明材によって構成されており、光ディスクDをそのレーベル面(印刷面)を印刷装置1の正面手前側に向けて起立状態で装置本体2内に収容して位置合せ部材25が光ディスクDのレーベル面の手前側に起立したときに、その光ディスクDのレーベル面を位置合せ部材25を通して透視することができるようになっている。
この透明材からなる位置合せ部材25には、図8に示すように所定の色で彩色された位置合せ指標27が設けられている。この位置合せ指標27は位置合せ部材25の長さ方向に沿って延びる短冊状をなしている。すなわち、この位置合せ指標27は、図10に鎖線で示すように位置合せ部材25と共に、その長さ方向が前記ガイド部15のガイド面15aと平行となるように傾斜している。
そして、光ディスクDが収容部6内の所定のセット位置に収容されているときに、その光ディスクDを回動操作し、装置本体2から装置外の上方に向けて突出する光ディスクDの上半部のレーベル面に予め印刷されている商品名などのプレ印刷像が前記位置合せ指標27と平行となるように調整することで、この印刷装置1により印刷しようとする文字列の方向をプレ印刷像と平行となるように揃えることができるようになっている。また、位置合せ部材25に前記位置合せ指標27を設けなくとも位置合せ部材25の側縁部をガイド部15に沿って平行に設けることにより、これを位置合せの指標にすることができる。
位置合せ部材25の裏面側には、その長さ方向に沿って緩衝材28が設けられている。レーベル面を印刷装置1の正面手前側に向けて光ディスクDを開口部16から挿入すると、光ディスクDのレーベル面が位置合せ部材25の裏面側に摺接することになるが、位置合せ部材25の裏面側に緩衝材28を設けることで、光ディスクDのレーベル面を保護することができる。
次に、収容部6に収容される前記テープカセット70及びリボンカセット85について図4及び図5を参照して更に説明する。
テープカセット70は、図4(A)、(B)に示すようにカセットケース73を備え、このカセットケース73の内部に、印刷用テープ71を巻回したテープコア74、未使用のインクリボン72を巻回したリボン供給コア75、印刷に使用された使用済部分のインクリボン72を巻き取るリボン巻取コア76がそれぞれ収納されている。
また、カセットケース73には、その外壁の一部を凹状に成形してなるサーマルヘッド8が挿入されるヘッド挿入部77が設けられ、このヘッド挿入部77内にカセットケース73の内部から印刷用テープ71及びインクリボン72が繰出され、印刷に使用されたインクリボン72が巻取コア76に巻き取られてカセットケース73内に還流するように構成されている。
カセットケース73のコーナー部分には、前記収容部6の支持台10a、10b、10cに対応する被支持部78、79、80が設けられている。被支持部78には、テープカセット検出スイッチ11a、11bに対応して、これらスイッチをオン・オフするべく、カセットの種別に応じて図4(A)に示す破線で示す切欠き81、82が設けられている。ここでは、切欠き81、82のいずれか一方が設けられるもの、全く設けられないものの3種類がある。また、被支持部80には、リボンカセット検出スイッチ12に対応して切欠き83が設けられている。
リボンカセット85は、図5(A)、(B)に示すようにカセットケース88を備え、このカセットケース88の内部に、未使用のインクリボン87を巻回したリボン供給コア90、印刷に使用された使用済部分のインクリボン87を巻き取るリボン巻取コア91がそれぞれ収納されている。
また、カセットケース88には、その外壁の一部を凹状に成形してなるサーマルヘッド8が挿入されるヘッド挿入部92が設けられ、このヘッド挿入部92内にカセットケース88の内部からインクリボン87が繰出され、印刷に使用されたインクリボン87が巻取コア91に巻き取られてカセットケース88内に還流するように構成されている。
カセットケース88には、前記支持台10a、10b、10cに対応する被支持部93、94、95が設けられている。被支持部93には、テープカセット検出スイッチ11a、11bに対応して、これらスイッチをオフするべく、切欠き96が設けられている。また、リボンカセット検出スイッチ12に対応する被支持部95には切欠きが設けられず、これによりスイッチオンする。
このような構成において、テープカセット70が印刷装置1の収容部6内に装着されると、サーマルヘッド8がカセットケース73のヘッド挿入部77内に配置されるとともにリボン巻取軸9がリボン巻取コア76に嵌入する。また、リボンカセット85が印刷装置1の収容部6内に装着されると、サーマルヘッド8がカセットケース88のヘッド挿入部92内に配置されるとともにリボン巻取軸9がリボン巻取コア91に嵌入する。
次に、印刷手段及び搬送手段を構成する印刷・搬送機構について、図13〜図17を参照して説明する。この機構は装置本体2内に設けられ、サーマルヘッド8のアップ・ダウンによる印字位置と被印字位置への移動と、印刷用テープ71、インクリボン72、87及び光ディスクDの搬送と、インクリボン72、87の巻取りと、インクリボン72、87の弛み取りの各動作を行なう。
35は駆動源となる単一の印刷動作用モータである。36は印刷動作用モータ35の出力ギア、37〜40は第1〜第4の減速ギア、41は第1の太陽ギア、42は第1の遊星ギア、43は第2の遊星ギア、45はカム溝46を有し、外周部の厚さ方向の異なる位置に歯が形成されていない第1及び第2の歯欠け部47、48を有するカムギアである。
また、49はラグギア機構で、このラグギア機構49は、図18に示すように、3枚のラグギア49a、49b、49cを備え、ギア49aとギア49bとの間、及びギア49aとギア49cとの間にそれぞれラグ機能を有する構造となっている。
50は一回転方向のみに駆動力を伝達するワンウエイギア、51、52はプラテンローラ7と同軸的に設けられたプラテンギア、53は第2の太陽ギア、54は第3の遊星ギア、55は中間ギア、56は第3の太陽ギア、57は第4の遊星ギア、58はリボン巻取軸9と同軸的に設けられたリボン巻取ギアである。
印刷動作用モータ35の出力ギア36は第1〜第4の減速ギア37〜40を介して第1の太陽ギア41に噛合し、この太陽ギア41の外周に第1の遊星ギア42及び第2の遊星ギア43が配置され、これら遊星ギア42、43がそれぞれ太陽ギア41に噛合している。第1の遊星ギア42はカムギア45の第1の歯欠け部47と同じレベルの位置に配置され、第2の遊星ギア43は第2の歯欠け部48と同じレベルに配置されてそれぞれカムギア45に噛合可能に太陽ギア41に対して支持されている。
第1の太陽ギア41はラグギア機構49のラグギア49aに噛合し、このラグギア49aの回転に対して所定の遅れをもって回転するラグギア49b、49cの一方がワンウエイギア50に噛合し、他方が中間ギア55に噛合している。
プラテンローラ7と同軸の一方のプラテンギア51は前記ワンウエイギア50に噛合し、他方のプラテンギア52は第2の太陽ギア53に噛合し、また前記中間ギア55は第3の太陽ギア56に噛合している。
そして、第2の太陽ギア53の外周にこの太陽ギア53に噛合する第3の遊星ギア54が公転可能に配置され、第3の太陽ギア56の外周にこの太陽ギア56に噛合する第4の遊星ギア57が公転可能に配置され、前記第3の遊星ギア54及び第4の遊星ギア57がその公転に応じてリボン巻取ギア58に噛合するようになっている。
59はサーマルヘッド8を保持したヘッドアームであり、このヘッドアーム59はサーマルヘッド8の取付側とは反対側に前記カムギア45のカム溝46に係合するピン60を備え、引張りばね61により弾性的に付勢されて軸62を中心とする軸回り方向に回動可能となっている。そして、前記カムギア45の回転に応じて前記ピン60がカム溝46の縁部と摺動してヘッドアーム59が軸62を中心に回動するようになっている。
図13は印刷開始前の初期状態を示している。この状態では図示のように、サーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離している。
図14は印刷開始の指示により印刷動作用モータ35が動作を開始した直後の状態を示している。印刷動作用モータ35が図の矢印で示す正転方向に回転すると、その駆動力はギア36〜40、第1の太陽ギア41、第1の遊星ギア42を介してカムギア45に伝わり、このカムギア45が時計方向に回転し、ピン60がカム溝46の縁部に沿って移動し、ヘッドアーム59が引張りばね61の弾性力で軸62を中心に反時計方向に回動し、サーマルヘッド8がプラテンローラ7に向って移動する。
また、印刷動作用モータ35の駆動力はギア36〜40、第1の太陽ギア41を介してラグギア機構49のラグギア49aに伝達されるが、このラグギア49aと他の一つのラグギア49bとの間ではラグ機能が働き、このため前記ラグギア49bは回転しない。前記ラグギア49bは、ワンウエイギア50を介してプラテンギア51に噛合しているが、このラグギア49bが回転しないため、プラテンローラ7には駆動力が伝達されない。
このとき、ラグギア49aとラグギア49cの間ではラグ機能は働かず、したがって第1の太陽ギア41の駆動力は中間ギア55を介して第3の太陽ギア56に伝達されるが、第4の遊星ギア57がリボン巻取ギア58から遊離しているため、リボン巻取軸9は駆動されない。このように、サーマルヘッド8がヘッドダウンする途中では、プラテンローラ7もリボン巻取軸9も駆動されない。
図15はサーマルヘッド8のプラテンローラ7への押圧が完了した状態を示している。この状態で印刷が開始されることになる。このときには、図示のように、カムギア45の回転で第1の遊星ギア42がカムギア45の第1の歯欠け部47に落ち込む。このため、動作用モータ35の駆動力の伝達が断ち切られ、カムギア45の回転が停止、サーマルヘッド8はプラテンローラ7に圧接した状態に保持される。
一方、このときには、ラグギア49aとラグギア49b間のラグ期間が終了し、モータ35の駆動力がワンウエイギア50を介してプラテンギア51に伝達されてプラテンローラ7が駆動される。更に、プラテンギア52を介して第2の太陽ギア53及び第3の遊星ギア54が駆動され、第3の遊星ギア54がリボン巻取ギア58に噛合し、駆動力が伝達されてリボン巻取軸9が回転駆動される。
図16は印刷が終了してサーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離して押圧が解除されるときの状態を示している。印刷が終了すると、動作用モータ35が逆転駆動される。これにより、第1の太陽ギア41が反時計方向に回転し、第1の遊星ギア42がカムギア45の第1の歯欠け部47から離脱するとともに、第2の遊星ギア43がカムギア45に噛合し、この噛合でモータ35の駆動力がカムギア45に伝達され、カムギア45が図15の状態から反時計方向に回転し、このカムギア45の回転でヘッドアーム59が時計方向に回動してサーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離する。
一方、ワンウエイギア50は、印刷動作用モータ35の正転時には時計方向に回転してモータ35の駆動力をプラテンギア51に伝達するが、印刷動作用モータ35の逆転時にはその駆動力の伝達を遮断し、したがってプラテンローラ7は回転しない。
また、このとき、第1の太陽ギア41の回転でラグギア機構49のラグギア49aは回転するが、このラグギア49aとラグギア49cの間ではラグ機能が働き、このため中間ギア55及び第3の太陽ギア56は回転せず、第4の遊星ギア57がリボン巻取ギア58から遊離する状態にあり、リボン巻取軸9への駆動力の伝達は行われない。
図17はサーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離するヘッドアップの完了後に行われるインクリボンの弛み取りの処理動作を示している。
サーマルヘッド8がプラテンローラ7から開離した後には、カムギア45の反時計方向の回転が進んで第2の遊星ギア43がカムギア45の第2の歯欠け部48に落ち込み、カムギア45の回転が停止し、サーマルヘッド8のヘッドアップの状態が保持される。
一方、このときには、ラグギア49aとラグギア49cの間のラグ機能は解除され、ラグギア49aから中間ギア55、太陽ギア56に駆動力が伝達され、第4の遊星ギア57がリボン巻取ギア58に噛合し、リボン巻取軸9が巻取方向に回転駆動される。これにより、サーマルヘッド8のプラテンローラ7からの開離によって弛んだインクリボンが巻き取られることになり、その弛みが解消されることになる。このインクリボンの弛み取りは、印刷の終了時のヘッドアップ動作に対応して設定された所定時間だけ印刷動作用モータ35を逆転駆動することにより行われる。
このようにして、単一の印刷動作用モータ35を駆動して図13〜図17の動作を繰り返すことで印刷が行われる。
図19は本実施形態に係る印刷装置1の電気回路のブロック図を示している。この印刷装置1は装置全体の制御を行なう制御部(CPU)100を有し、この制御部100にROM101及びRAM102が備えられている。
ROM101には、印刷装置1の各部の動作を制御するためのシステムプログラムなどのプログラムデータが記憶されている。またROM101には、テープに印刷するテープ印刷モード及び光ディスクDに印刷するディスク印刷モードに応じてサーマルヘッド8の発熱素子8bへの通電時間を設定する通電時間テーブルのデータが記憶されている。
RAM102には、入力されたデータを記憶する入力データメモリや印刷パターンデータを記憶するための印刷データメモリなどが備えられ、また印刷動作に必要なデータが一時的に記憶される。
また、制御部100には、キー入力部3、表示部4が接続され、サーマルヘッド8を駆動する駆動回路103、印刷動作用モータ35を駆動する駆動回路104、カッタ用モータ105を駆動する駆動回路106が接続されている。また、テープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット検出スイッチ12及びディスク検出センサ13が接続されている。
次に、印刷装置1による印刷動作を説明する。図20及び図21は印刷装置1の制御の流れを示すフローチャートである。
まず、印刷対象物を印刷用テープとするテープ印刷モードか、それとも印刷対象物を光ディスクDとするディスク印刷モードかを設定するためのメニュー画面を表示部4に表示させて、ユーザがこのメニュー画面を介して印刷モードの設定を行なう(S1)。
次に、表示部4に入力編集画面及び書式設定画面を表示させ、ユーザによりキー入力部3を介して印刷すべきデータの入力が行なわれ、また文字サイズや行数、文字体などの書式の入力設定が行なわれる(S2)。
次に、キー入力部3の印刷キーの操作に基づく印刷の実行が指示されたか否かを判断する(S3)。印刷の実行が指示されていれば(S3のYES)、設定された印刷モードが印刷用テープ用か光ディスクD用かのいずれであるかを判断する(S4)。印刷の実行が指示されなければ処理を終了する(S3のNO)。
テープ印刷モードが設定されている場合には、収容部6に設けられたテープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット検出スイッチ12及びディスク検出センサ13の情報を取り込み(S5)、テープカセット検出スイッチ11a、11bからの情報に基づいてテープカセット70が収容部6に収容されているか否かを判断する(S6)。
テープカセット70が収容部6に収容されていないと判断したときには(S6のNO)、次に収容部6にリボンカセット85が収容されているか否かを判断する(S7)。また、リボンカセット85が収容部6に収容されていないと判断したときには(S7のNO)、表示部4にテープカセット70が未収容であることのエラー表示をし(S8)、S3の印刷実行の指示待ちに移行する。この間にユーザは収容部6にテープカセット70を収容して再度印刷の実行を指示することができる。
収容部6にリボンカセット85が収容されていると判断したときには(S7のYES)、リボンカセット85に代えてテープカセット70を収容すべきとのエラー表示を行ない(S9)、S3の印刷実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に収容されたリボンカセット85をテープカセット70に交換して再度印刷の実行を指示することができる。
収容部6にテープカセット70が収容されていると判断したときには(S6のYES)、続いて収容部6に光ディスクDが収容されている否かを判断する(S10)。収容部6に光ディスクDが収容されていると判断したときには(S10のYES)、表示部4に光ディスクDが収容されており、それを取り除くべきとのエラー表示を行ない(S11)、S3の印刷実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に収容された光ディスクDを取り除いて再度印刷の実行を指示することができる。
収容部6に光ディスクDが収容されていないと判断したときには(S10のNO)、設定された書式及び取り込んだテープ幅などのテープカセット情報に基づいて入力されたデータの印刷データを作成する(S12)。そして、印刷動作用モータ35を駆動して、図13〜図15で説明した、サーマルヘッド8のプラテンローラ7への押圧、プラテンローラ7及びリボン巻取軸9の回転駆動を行ない、印刷データによりサーマルヘッド8の発熱素子8bを発熱駆動することにより印刷用テープ71にインクリボン72のインクを熱転写して印刷する(S13)。
印刷が終了した後には、サーマルヘッド8をプラテンローラ7に押圧したままの状態でカッタモータ105によって切断機構17を駆動して可動刃17bを動作させて印刷用テープ71の切断を行ない(S14)、更に印刷動作用モータ35を逆転駆動することにより、サーマルヘッド8のプラテンローラ7からの開離を行って処理を終了する(S15、エンド)。
また、S4において、設定された印刷モードがディスク印刷モードであると判断したときには、収容部6に設けられたテープカセット検出スイッチ11a、11b、リボンカセット検出スイッチ12及びディスク検出センサ13の情報を取り込み(S16)、次にリボンカセット検出スイッチ12の情報に基づいて収容部6にリボンカセット85が収容されているかどうかを判断する(S17)。
収容部6にリボンカセット85が収容されていないと判断したときには(S17のNO)、続いて収容部6にテープカセット70が収容されているか否かを判断する(S18)。収容部6にテープカセット70が収容されていないと判断すると(S18のNO)、収容部6にリボンカセット85が未収容であるとのエラー表示を表示部4に行ない(S19)、S3の印刷実行の指示待ちに移行する。このエラー表示によってユーザは収容部6にリボンカセット85を収容して再度印刷の実行を指示することができる。
収容部6にテープカセット70が収容されていると判断したときには(S18のYES)、収容部6に収容されたテープカセット70をリボンカセット85に交換すべきとのエラー表示を行ない(S20)、S3の印刷実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に収容されたテープカセット70をリボンカセット85に交換して再度印刷の実行を指示することができる。
一方、収容部6にリボンカセット85が収容されていると判断したときには(S17のYES)、続いて収容部6に光ディスクDが収容されているか否かを判断する(S21)。収容部6に光ディスクDが収容されていないと判断したときには(S21のNO)、収容部6に光ディスクDが未収容であるとのエラー表示を行ない(S22)、S3の印刷実行の指示待ちに移行する。これによりユーザは収容部6に光ディスクDを収容して再度印刷の実行を指示することができる。
光ディスクDが収容部6に収容されていると判断したときには(S21のYES)、設定された書式に基づいて入力されたデータの印刷データを作成し(S23)、図13〜図15のように、印刷動作用モータ35を正転駆動して、サーマルヘッド8のプラテンローラ7への押圧、プラテンローラ7及びリボン巻取軸9の回転駆動を行ない、印刷データによりサーマルヘッド8の発熱素子8bを発熱駆動することにより光ディスクDのレーベル面にインクリボン87のインクを熱転写して印刷する(S24)。
この印刷が終了したときには、光ディスクDはガイド部15の下流側端部の排出部15bの位置まで搬送され、この排出部15bの上に支持された状態で停止する。続いて、図16及び図17で説明したように、印刷動作用モータ35を逆転駆動することにより、サーマルヘッド8のプラテンローラ7からの開離を行ない、更に一定時間だけ印刷動作用モータ35を逆転駆動することによりインクリボン87の弛み取りを行った上で処理を終了する(S25、エンド)。
次に、光ディスクDのレーベル面にそのタイトルなどの情報を印刷するときのユーザ側から見た作業手順について説明する。
まず、開閉蓋5を開き、収容部6内にリボンカセット85を装着し、開閉蓋5を閉じる。
次に、図8に示すように、光ディスクDをそのレーベル面を印刷装置1の手前側に向けた起立状態で開口部16から装置本体2内に挿入し、更にガイド部15に沿って移動させて収容部6内に収容する。
この際、光ディスクDは、下端部がガイド部15内に、上下の略中間部が開閉蓋5の挿通口23に挿入されると共にそのガイド部15及び挿通口23にガイドされながら移動する。光ディスクDが挿通口23に挿入される際には、その光ディスクDに押されて位置合せ部材25が上方に回動して起立する。
光ディスクDを装置本体2内に移動すると、図10に示すようにその移動先方側の側縁がガイド部15の位置決め部18に当接し、下端部がガイド面15aに当接する所定のセット位置にセットされ、この光ディスクDがディスク検出センサ13により検出される。
この後、光ディスクDを手先で回して、光ディスクDのレーベル面に予め印刷されている文字列などのプレ印刷像の文字の並びの方向と位置合せ部材25の長さ方向、あるいは位置合せ指標27の長さ方向とが平行に揃うように調整する。
位置合せ部材25の長さ方向、及び位置合せ指標27の長さ方向は、ガイド部15のガイド面15aの傾斜の方向と平行であるから、光ディスクDのプレ印刷像の各文字像の並びの方向はガイド面15aの傾斜の方向と平行になる。
収容部6内に収容された光ディスクDは、ガイド部15のガイド面15aと位置決め部18とで支持されて所定のセット位置に配置されているが、光ディスクDの下端部を支持するガイド面15aは位置決め部18の反対側の排出部15bに向けて斜め上方にθの角度で傾斜しており、したがって、光ディスクDは、その重力の作用によって位置決め部18に向く力が加わって常に位置決め部18に向って移動しようとする一方で位置決め部18によって搬送方向の上流側への移動が規制されているため、、この力により光ディスクDは所定のセット位置に安定して定置し、搬送方向の下流側に向けて不用意にずれ動くようなことがない。つまり、プレ印刷像の並びの方向と位置合せ部材25の長さ方向、あるいは位置合せ指標27の長さ方向とが平行に揃うように調整した後に、光ディスクDの動きでその調整が崩れるような不都合が防止される。
この後、キー入力部3の所定のキーを操作して印刷の開始を指示する。この操作に応じてサーマルヘッド8が回動し、光ディスクDがそのサーマルヘッド8とプラテンローラ7とで挟み込まれて拘束される。そしてプラテンローラ7の回転により光ディスクDがガイド部15のガイド面15aに沿って移動するように排出部15bに向けて搬送され、この搬送の途中に光ディスクDのレーベル面にそのタイトルなどの所定の情報が印刷される。
ガイド部15のガイド面15aは排出部15bに向けて斜め上方に傾斜しているが、プラテンローラ7の回転軸7aはそのガイド面15aの長さ方向に対して直交する方向に延びており、このため光ディスクDはそのガイド面15aの傾斜の角度θと同じ角度で排出部15bに向けて円滑に搬送される。
また、サーマルヘッド8の発熱素子8bもガイド面15aの長さ方向に対して直交する方向に配列されており、このため光ディスクDのレーベル面にはガイド面15aと平行に、つまり図22(a)に示すように光ディスクDのレーベル面にはプレ印刷と平行にタイトルなどの所定の情報が印刷される。
光ディスクDを収容部6のセット位置にセットしてその向きを調整した後に、その光ディスクDが印刷の開始の前にずれ動いてその調整が崩れると、図22(b)に示すように光ディスクDのレーベル面のプレ印刷と交差するような不体裁な文字列が印刷されてしまうが、本発明では印刷開始前の光ディスクDの不用意なずれ動きを防止することができるため、そのような印刷の失敗を招くことがない。
印刷の終了後には、光ディスクDが排出部15bにまで搬送されるとともに、サーマルヘッド8が回動してこのサーマルヘッド8とプラテンローラ7とでの光ディスクDの挟み込みが解除され、光ディスクDの拘束が解かれる。
排出部15bの底面は水平面となっており、したがってこの排出部15bに搬送された光ディスクDは排出部15bに安定して定置し、傾斜するガイド面15a側に不用意に戻るようなことがない。そしてこの排出部15bに搬送された光ディスクDをユーザが手先で持ち上げて取り出し、印刷の作業が完了する。
この印刷装置1においては、上述のように、装置本体2の所定のセット位置にセットされた光ディスクDを水平に対して斜め上方に傾斜するガイド部15に沿って搬送しながらその光ディスクDのレーベル面に所定の文字列を印刷するものであり、このためガイド部15を所定の一定の長さとしたとき、ガイド部15が水平である場合に比べ、ガイド部15が傾斜する本実施形態ではその傾斜に基づき、印刷装置1の平面視の左右の幅寸法を小さくすることができる。
図23には第2の実施形態を示してあり、この実施形態においては、収容部6が前記第1の実施形態の場合と同様の構造に構成されていると共に、更にガイド部15のガイド面15a及び排出部15bの底面に、それぞれ布織布やフェルトなどからなりガイド部15を形成している樹脂材に比べて摩擦抵抗の大きい摩擦部材130,131がそのガイド面15a及び底面と面一に設けられている。
ガイド面15aに設けられた摩擦部材130は、ガイド部15の所定のセット位置に光ディスクDがセットされたときにその光ディスクDの下端部が当接する位置に配置され、また排出部15bの底面に設けられた摩擦部材131は、その排出部15bの長さ方向の略全区間に渡るように設けられている。
この実施形態の場合には、ガイド部15の所定のセット位置に光ディスクDがセットされると、ガイド面15aの傾斜に基づいて光ディスクDに位置決め部18に向く力が加わり、これにより光ディスクDの不用意なずれ動きが防止されるが、この際、光ディスクDの下端部がガイド面15aの摩擦部材130と接触しているため、その摩擦力により光ディスクDのずれ動きがより確実に抑えられ、より安定して光ディスクDをセット位置に定置させることができる。
したがって、光ディスクDのプレ印刷の文字列の方向を図8に示す位置合せ部材25や位置合せ指標27を基準にしてガイド面15aの傾斜の方向と平行に揃うように調整した後に光ディスクDのずれ動きでその調整が崩れるようなことがなく、その後の光ディスクDの搬送時には光ディスクDのプレ印刷の文字列とガイド面15aとを平行に保った適正な状態で光ディスクDを搬送し、サーマルヘッド8でプレ印刷の文字列と平行に所定の情報の文字列を光ディスクDのレーベル面に印刷することができる。
また、印刷の終了後に、光ディスクDが排出部15bに搬送されてこの排出部15bの底面の上で停止したときには、その底面に摩擦部材131が設けられ、光ディスクDの下端部がその摩擦部材131と接触する状態にあり、このためその摩擦力で光ディスクDを排出部15bの底面の上により安定して保持することができ、これにより光ディスクDのガイド面15a側への戻りをより確実に防止することができる。
図24には第3の実施形態を示してあり、この実施形態においては、収容部6に設けられたガイド部15のガイド面15a及び排出部15bの底面が共に水平面となっている。そして、ガイド部15のガイド面15a及び排出部15bの底面に、それぞれ布織布やフェルトなどからなる摩擦部材132,133がそのガイド面15a及び底面と面一に設けられている。
ガイド面15aに設けられた摩擦部材132は、ガイド部15の所定のセット位置に光ディスクDがセットされたときにその光ディスクDの下端部が当接する位置に配置され、また排出部15bの底面に設けられた摩擦部材132は、その排出部15bの長さ方向の略全区間に渡るように設けられている。
そしてこの実施形態の場合には、プラテンローラ7及びその回転軸7aは、水平方向に延びるガイド面15aに対して直交する方向つまり垂直に起立する状態に支持され、またサーマルヘッド8の発熱素子8bもガイド面15aに対して直交する垂直方向に配列されている。また、この実施形態の場合には、図8に示す位置合せ部材25及び位置合せ指標27がガイド面15aと平行となるように水平に設けられている。
この実施形態の場合には、光ディスクDをガイド部15に沿って移動して所定のセット位置にセットすると、その光ディスクDの下端部がガイド面15aの摩擦部材132と接触し、この接触による摩擦力で光ディスクDのずれ動きが抑えられる。このため、安定して光ディスクDをセット位置に定置させることができる。
したがって、光ディスクDのプレ印刷の文字列の方向を図8に示す位置合せ部材25や位置合せ指標27を基準にして水平なガイド面15aと平行に揃うように調整した後に光ディスクDのずれ動きでその調整が崩れるようなことがなく、その後の光ディスクDの搬送時には光ディスクDのプレ印刷の文字列とガイド面15aとを平行に保った適正な状態で光ディスクDを搬送し、サーマルヘッド8でプレ印刷の文字列と平行に所定の文字列を光ディスクDのレーベル面に印刷することができる。
また、印刷の終了後に、光ディスクDが排出部15bに搬送されてこの排出部15bの底面の上に光ディスクDが停止したときには、その底面に摩擦部材133が設けられ、光ディスクDの下端部がその摩擦部材133と接触するため、その摩擦力で光ディスクDを排出部15bの底面の上に安定して保持することができ、これにより光ディスクDのガイド面15a側への戻りを防止することができる。
図25には第4の実施形態を示してあり、この実施形態においては、収容部6に設けられたガイド部15のガイド面15a及び排出部15bの底面が共に水平面となっている。そして、ガイド部15のガイド面15aには光ディスクDがセットされる所定のセット位置において凹部140が形成され、この凹部140に光ディスクDを保持してその移動を阻止する移動阻止手段としての保持部材141が設けられている。
保持部材141は、一端部がガイド部15の上流側の端部にピン142を介して上下方向に回動自在に枢着されている。この保持部材141の他端部と凹部140の底面との間には付勢手段としてのスプリング143が設けられ、このスプリング143により保持部材141が前記ピン142を中心に上方に回動する方向に弾性的に付勢されている。
保持部材141の他端側の端部には係止片145が一体に設けられ、またこの係止片145に対応して凹部140の壁部には受け片146が設けられている。そして前記スプリング143の付勢力により保持部材141の係止片145が前記受け片146に当接し、この当接で保持部材141が水平な初期位置に保持されるようになっている。
保持部材141の上面には光ディスクDが所定のセット位置に配置されるときに、その光ディスクDの下端部が接触して保持される円弧状の保持部147が形成されている。
この実施形態の場合も前記第3の実施形態と同様に、プラテンローラ7及びその回転軸7aは、水平方向の延びるガイド面15aに対して直交する方向つまり垂直に起立する状態に支持され、またサーマルヘッド8の発熱素子8bもガイド面15aに対して直交する垂直方向に配列され、図8に示す位置合せ部材25及び位置合せ指標27がガイド面15aと平行となるように水平に設けられている。
この実施形態の場合には、光ディスクDをその下端部がガイド面15aに当接する起立状態で排出部15b側からガイド部15に沿ってセット位置に移動させると、セット位置に達する直前に光ディスクDにより押されて保持部材141がスプリング143に抗して初期位置(記録媒体保持位置)から下方に回動し、凹部140内に退避する。そして、光ディスクDの下端部が保持部材141の保持部147の上部側に達した際に保持部材141がスプリング143の付勢力で上方に回動して初期位置(記録媒体保持位置)に戻り、円弧状の保持部147が光ディスクDの下端部に当接して嵌合し、光ディスクDがセット位置に保持される。
このように、光ディスクDを所定のセット位置にセットすると、光ディスクDの下端部が保持部材141の保持部147により保持されてそのずれ動きが抑えられる。このため、安定して光ディスクDをセット位置に定置させることができる。
そしてこの状態において、光ディスクDのプレ印刷の文字列の方向を図8に示す位置合せ部材25や位置合せ指標27を基準にして水平なガイド面15aと平行に揃うように調整する。
光ディスクDは保持部材141を介してセット位置に安定して定置するように保持されており、したがってその位置合せの調整後に光ディスクDがずれ動いてその調整が崩れるというようなことがない。
この後、光ディスクDはサーマルヘッド8とプラテンローラ7とで挟まれてセット位置からガイド部15に沿って排出部15bに向けて搬送される。搬送の開始時には、光ディスクDの搬送に伴い、保持部材141が光ディスクDにより押されてスプリング143に抗して下方に回動し、凹部140内の退避位置(記録媒体保持解除位置)に退避する。この退避により光ディスクDの搬送方向への移動が許容され、光ディスクDが排出部15bに向けて円滑に搬送される。
そして、光ディスクDの搬送の途中に、サーマルヘッド8により光ディスクDのレーベル面にプレ印刷の文字列と平行に所定の文字列が印刷され、印刷の終了後に、光ディスクDが排出部15bに搬送される。なお、光ディスクDがセット位置から退出したときには、保持部材141がスプリング143の付勢力で上方に回動し、係止片145が受け片46に当接して自動的に水平な初期位置に戻る。
図26には第5の実施形態を示してあり、この実施形態においては、収容部6に設けられたガイド部15のガイド面15a及び排出部15bの底面が共に水平面となっている。そして、ガイド部15のガイド面15aには光ディスクDがセットされる所定のセット位置の近傍において、光ディスクDを係止してその移動を阻止する移動阻止手段としてのストッパー部材150が設けられている。
このストッパー部材150は、ガイド部15のガイド面15aに対して突没可能に設けられている。すなわち、このストッパー部材150は付勢手段としてのスプリング151により弾性的に付勢されて通常時にはガイド面15aからその上方に所定の高さだけ突出し、この状態から下方に所定以上の力で押圧されたときに、上端がガイド面15aと面一となるまでその下方に没入するようになっている。
そしてこのストッパー部材150がガイド面15aから突出することにより、光ディスクDがガイド部15の所定のセット位置に配置されているときに、そのストッパー部材150が光ディスクDの搬送方向側の縁部に当接して光ディスクDが所定のセット位置に安定して保持されるようになっている。
この実施形態の場合にもプラテンローラ7及びその回転軸7aは、水平方向の延びるガイド面15aに対して直交する方向つまり垂直に起立する状態に支持され、またサーマルヘッド8の発熱素子8bもガイド面15aに対して直交する垂直方向に配列され、図8に示す位置合せ部材25及び位置合せ指標27がガイド面15aと平行となるように水平に設けられている。
この実施形態の場合には、光ディスクDをその下端部がガイド面15aに当接する起立状態で排出部15b側からガイド部15に沿ってセット位置に移動させると、セット位置に達する直前に光ディスクDにより押されてストッパー部材150がスプリング151に抗して初期位置から下方に移動してガイド面15aの下方に退避する。
そして、光ディスクDの下端部がストッパー部材150の上端部の上を通過した後にストッパー部材150がスプリング151の付勢力でガイド面15aの上方に突出して初期位置に戻り、光ディスクDの縁部に当接する。この当接により光ディスクDがストッパー部材150とガイド部15の位置決め部18とで支持され、所定のセット位置に保持される。
このように、光ディスクDを所定のセット位置にセットすると、光ディスクDがストッパー部材150により保持されてそのずれ動きが抑えられる。このため、安定して光ディスクDをセット位置に定置させることができる。
そしてこの状態において、光ディスクDのプレ印刷の文字列の方向を図8に示す位置合せ部材25や位置合せ指標27を基準にして水平なガイド面15aと平行に揃うように調整する。
光ディスクDはストッパー部材150を介してセット位置に安定して定置するように保持されており、したがってその位置合せの調整後に光ディスクDがずれ動いてその調整が崩れるというようなことがない。
この後、光ディスクDはサーマルヘッド8とプラテンローラ7とで挟まれてセット位置からガイド部15に沿って排出部15bに向けて搬送される。搬送が開始した直後には、ストッパー部材150が光ディスクDにより押されてスプリング151に抗してガイド面15aの下方に没入してガイド面15aから退避する。この退避により光ディスクDの搬送方向への移動が許容され、光ディスクDが排出部15bに向けて円滑に搬送される。
そして、光ディスクDの搬送の途中に、サーマルヘッド8により光ディスクDのレーベル面にプレ印刷の文字列と平行に所定の文字列が印刷され、印刷の終了後に、光ディスクDが排出部15bに搬送される。なお、光ディスクDがセット位置から退出したときには、ストッパー部材150がスプリング151の付勢力で上方に突出して自動的に初期位置に戻る。
図27には第6の実施形態を示してあり、この実施形態においては、収容部6に設けられたガイド部15のガイド面15a及び排出部15bの底面が共に水平面となっている。そして、前記第5の実施形態の場合と同様に、ガイド部15のガイド面15aには光ディスクDがセットされる所定のセット位置の近傍において、光ディスクDを係止してその移動を阻止する移動阻止手段としてのストッパー部材155が設けられている。
この場合のストッパー部材155は、駆動源としてのソレノイド156により駆動されるようになっている。通常時には、ストッパー部材155はガイド面15aの下方に没入する初期位置に配置されている。
そしてこのストッパー部材155がガイド面15aから突出することにより、光ディスクDがガイド部15の所定のセット位置に配置されているときに、そのストッパー部材155がその光ディスクDの搬送方向側の縁部に当接して光ディスクDを所定のセット位置に保持するようになっている。
ストッパー部材155を駆動するソレノイド156は、図28に示すように、制御部100に駆動回路157を介して接続されている。そして、光ディスクDのセット位置に設けられたディスク検出センサ13が光ディスクDを検出する信号により、また印刷開始のキー操作の信号により制御されるようになっている。
この実施形態の場合にもプラテンローラ7及びその回転軸7aは、水平方向の延びるガイド面15aに対して直交する方向つまり垂直に起立する状態に支持され、またサーマルヘッド8の発熱素子8bもガイド面15aに対して直交する垂直方向に配列され、図8に示す位置合せ部材25及び位置合せ指標27がガイド面15aと平行となるように水平に設けられている。
この実施形態の場合には、光ディスクDを起立状態で排出部15b側からガイド部15に沿ってセット位置に移動させてそのセット位置にセットすると、そのセットが検出センサ13により検出され、この検出の信号に基づいてソレノイド156が通電されて駆動され、このソレノイド156の動作でストッパー部材155が初期位置からガイド面15aの上方に突出し、このストッパー部材155が光ディスクDの縁部に当接する。この当接により光ディスクDがストッパー部材155とガイド部15の位置決め部18とで支持され、所定のセット位置に保持され、その移動が阻止される。
このように、光ディスクDを所定のセット位置にセットすると、光ディスクDがストッパー部材155により保持されてそのずれ動きが抑えられる。このため、安定して光ディスクDをセット位置に定置させることができる。
そしてこの状態において、光ディスクDのプレ印刷の文字列の方向を図8に示す位置合せ部材25や位置合せ指標27を基準にして水平なガイド面15aと平行に揃うように調整する。
光ディスクDはストッパー部材155を介してセット位置に安定して定置するように保持されており、したがってその位置合せの調整後に光ディスクDがずれ動いてその調整が崩れるというようなことがない。
この後、ユーザが印刷開始のキーを操作して印刷開始を指示すると、その信号でソレノイド156の通電が切れ、ストッパー部材155がガイド面15aの下方に没入して搬送路から退避するとともに、サーマルヘッド8が回動して光ディスクDがサーマルヘッド8とプラテンローラ7とで挟まれ、かつプラテンローラ7が回転駆動され、これにより光ディスクDの搬送が開始され、光ディスクDがセット位置からガイド部15に沿って排出部15bに向けて搬送される。
そして、光ディスクDの搬送の途中に、サーマルヘッド8により光ディスクDのレーベル面にプレ印刷の文字列と平行に所定の文字列が印刷され、印刷の終了後に、光ディスクDが排出部15bに搬送される。
前記第6の実施形態では、光ディスクDをセット位置にセットするときに、ストッパー部材155がガイド面15aの下方に没入していて、光ディスクDをセット位置にセットした後にストッパー部材155が突出して光ディスクDが保持される構成としたが、光ディスクDをセット位置にセットするときには、ストッパー部材155がガイド面15aの上方に突出する状態にあり、ユーザが印刷開始のキーを操作したときに、その信号でソレノイド156が通電され、ストッパー部材155がガイド面15aの下方に没入する構成とする場合であってもよい。
この場合には、光ディスクDを起立状態でセット位置にセットする際に、光ディスクDをガイド部15に沿って移動させるとストッパー部材155が邪魔となるから、光ディスクDを浮かせて、あるいは印刷装置1の上方から光ディスクDを収容部6内に挿入してセット位置にセットする。
光ディスクDをセット位置にセットすると、その光ディスクDの縁部がガイド面15aの上方に突出しているストッパー部材155に当接し、光ディスクDがセット位置に保持されてその搬送方向への移動が阻止される。
そしてこの状態において、光ディスクDのプレ印刷の文字列の方向を図8に示す位置合せ部材25や位置合せ指標27を基準にして水平なガイド面15aと平行に揃うように調整する。
光ディスクDはストッパー部材155を介してセット位置に安定して定置するように保持されており、したがってその位置合せの調整後に光ディスクDがずれ動いてその調整が崩れるというようなことがない。
この後、ユーザが印刷開始のキーを操作して印刷開始を指示すると、その信号でソレノイド156が通電され、ストッパー部材155がガイド面15aの下方に没入して搬送路から退避するとともに、サーマルヘッド8が回動して光ディスクDがサーマルヘッド8とプラテンローラ7とで挟まれ、かつプラテンローラ7が回転駆動され、これにより光ディスクDの搬送が開始され、光ディスクDがセット位置からガイド部15に沿って排出部15bに向けて搬送される。
そして、光ディスクDの搬送の途中に、サーマルヘッド8により光ディスクDのレーベル面にプレ印刷の文字列と平行に所定の文字列が印刷され、印刷の終了後に、光ディスクDが排出部15bに搬送される。
なお、第4乃至第6の実施形態において、収容部6に設けられたガイド部15のガイド面15aの底面は水平面に限らず、図10に示す第1の実施形態の場合と同様な傾斜面としてもよい。