JP2006296431A - 初乳由来の血清アミロイドaアイソフォーム - Google Patents

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Abstract

【課題】新規初乳関連血清アミロイドA(SAA)タンパクの提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列で示される単離かつ精製された初乳関連血清アミロイドA(SAA)タンパク質、または該アミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、付加及び/もしくは欠失されており、かつムチン3(MUC−3)産生を刺激できる当該SAAタンパク質のサイレント変異体であって、当該タンパク質のN末端領域に存在する配列TFLKをさらに特徴とするタンパク質を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、免疫学および哺乳類免疫系の分野に関する。特に本発明は、初乳中に見出される血清アミロイドAの新規のアイソフォームを提供する。
いくつかの化学的または特許出版物は、本発明が関係する業界の状態を説明するために本特許出願中で参照される。これらの出版物は各々、その記載内容が、参照により本明細書中に含まれる。
哺乳類は、さらなる組織損害を防止し、損害組織の修復を開始し、そして感染生物体を単離および破壊するための努力において複雑な一連の生物学的反応を実行することにより、組織損傷、外傷または感染に応答する。この過程は炎症応答と呼ばれ、その早期および中間段階は急性期応答と呼ばれる。
急性期応答は、広範な種々の媒介物質、例えばサイトカイン、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子を包含する。それは、肝臓の生合成プロフィールにおける根本的変化も包含する。正常環境下では、肝臓は一連の血漿タンパク質を定常状態濃度で合成する。これらのタンパク質のいくつか、即ち「急性期」タンパク質は、炎症応答においては、正常条件下で見出されるレベルの何倍ものレベルに誘導される。急性期タンパク質は、Steel & Whitehead(Immunology Today 15: 81-87, 1994)により再検討されている。
大量に誘導される急性期タンパク質の1つが、血清アミロイドA(SAA)である。SAAは実際に、多数の哺乳類種における多数の遺伝子によりコードされる多型タンパク質のファミリーを含む。SAAは累積し、炎症応答の急性期中に高密度リポタンパク質3(HDL3)と迅速に会合する小アポリポタンパク質である。ほとんどのSAAアイソフォームは、炎症に応答して誘導される。しかしながら、ある種のSAA(例えばヒトSAA4)は、構成的に発現されるかまたは炎症応答に際して最小度に誘導されると考えられる。
肝臓は、SAA産生の主要部位であると考えられてきた。しかしながら、肝臓外のSAA産生が、限定的に見出された。例えばSAAmRNAの発現は、ヒトアテローム硬化症病変において、ならびにヒト培養平滑筋細胞および単球/マクロファージ細胞株において報告されており(Meek et al., 1994; Urieli-Shoval et al., 1994; Yamada et al., 1996)、そしてSAAの独特のアイソフォーム(SAA3)がウサギ滑膜繊維芽細胞により産生される(Mitchell et al., J. Clin. Invest. 87:1177-1185, 1991)。さらに近年、SAAmRNAが多数の組織学的に正常な上皮組織、例えば胃、小腸、扁桃、乳房、前立腺、甲状腺、肺、膵臓、腎臓、皮膚および脳ニューロンにおいて広範に発現される、ということが発見された(Urieli-Shoval et al., J. Histochem. Cytochem. 46:1377-1384, 1998)。このような組織におけるSAAの役割は明らかにされておらず、それらの組織中に存在するSAAが血清中に見出されるものと同一アイソフォームであるか否か、あるいはそれらがSAAの付加的アイソフォームを表すか否かは確定されていない。
発明の要約
本発明の一局面によれば、哺乳類初乳から単離および精製され、そして乳腺の管状上皮細胞により産生される血清アミロイド(SAA)タンパク質が提供される。一実施態様では、SAAは、ウマ初乳から単離および精製される。好ましくはウマ初乳SAAは、(配列番号3)または(配列番号4)、ならびに(配列番号5)、(配列番号6)、(配列番号7)および(配列番号8)から成る群から選択される1つまたはそれ以上の配列を含む(図1参照)。
別の実施態様では、SAAはウシ初乳から単離および精製され、好ましくは(配列番号1)であるN末端アミノ酸配列を含む。
あるいは、SAAは、ヒツジ初乳から単離および精製され、好ましくは(配列番号2)であるN末端アミノ酸配列を含む。さらに初乳SAAのN末端配列からのアミノ酸領域はほとんどの種の間で保存されることが示されており、そして分子の重要な特性のいくつかに関する分子の活性部分を含有する。
本発明の別の局面によれば、哺乳類初乳SAAをコードする単離核酸分子が提供される。核酸分子は遺伝子、cDNAまたはRNAであり、一本鎖または二本鎖であり得る。好ましい実施態様では、核酸分子は1つまたはそれ以上の(配列番号1〜8)をコードする配列、あるいはそれらの保存的修飾化変異体を含む。最も好ましい実施態様では、核酸分子は、(配列番号12)(図2参照)またはそれらの保存的修飾化変異体、例えばその他の初乳SAA配列、同様に同定された配列、あるいは本明細書中の教示に記載されるような初乳関連SAAをコードする任意のその他の核酸を含む。
本発明の別の局面によれば、1つまたはそれ以上のアミノ酸配列番号1〜8を逆翻訳することにより得られる合成オリゴヌクレオチドの集団が提供される。オリゴヌクレオチドのこの集団の1つまたはそれ以上の成員は、初乳SAAをコードする遺伝子またはcDNAと特異的にハイブリダイズする。
本発明の別の局面によれば、初乳SAAの1つまたはそれ以上のエピトープに対して免疫学的に特異的な抗体が提供される。好ましくは抗体は、初乳SAAを血清SAAと識別する初乳SAAの少なくとも1つのエピトープに対して免疫学的に特異的である。
本発明の別の局面によれば、哺乳類からSAAを生成するための方法が提供される。本方法は、以下の:(1)哺乳類からの初乳の試料を提供し、そして(2)試料中に含有されるSAAを試料中に含有される他の物質から分離し、それにより哺乳類からのSAAを生成するという過程を包含する。この方法により製造されるSAAも提供される。
本発明によれば、新規の初乳関連SAA、特に高度保存領域(TFLK)は、ムチン3(MUC3)産生を刺激する能力も有する。したがって初乳関連SAAは、腸感染、あるいはその他のムチン抑制性疾患状態、例えば旅行者下痢、乳児下痢、壊死性腸炎および尿路感染を治療お呼び予防するために、そして家畜動物における下痢の予防のための獣医学に用いられ得る。したがって本発明は、これらのならびに同様の病状を有するその他の疾患を治療するための製薬的有効量の初乳関連SAAペプチドおよび担体を含む製剤組成物を包含する。最後に、ムチンを産生する粘膜表面のその他の上皮細胞裏張り、例えば鼻咽頭、膀胱等も、それに関連した感染を予防または治療するためのムチン産生を刺激するために、本発明の製剤組成物で治療され得る。
本発明のその他の特徴および利点は、以下の図面、詳細な説明および実施例を参照することによりさらに良く理解される。
I.定義
本発明の組成物および方法に関する種々の用語は、前記の本明細書中で、そして明細書全体および特許請求の範囲でも用いられる。
単位、冠詞および記号は、それらのSI容認形態で示され得る。別記しない限り、それぞれ、核酸は、5‘−3’配向で左から右に記述される。アミノ酸配列は、左から右にアミノ−カルボキシ配向で記述される。数値範囲はその範囲を限定する数を含め、そして限定範囲内の各整数を含む。アミノ酸は、本明細書中では、それらの一般的に既知の3つの文字記号により、またはIUPAC−IUB生化学命名委員会により推奨された一文字記号により示され得る。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に容認された一文字暗号により示され得る。別記しない限り、ソフトウエア、電気および電子用語は、本明細書中で用いる場合、The New IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Terms(5th edition, 1993)で定義されたものと同様である。以下で定義される用語は、全体として本明細書を参照することによりさらに詳細に定義される。
「増幅される」とは、鋳型として少なくとも1つの核酸配列を用いた核酸配列の多重コピーまたは核酸配列と相補的な多重コピーの構築を意味する。増幅系としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)系、リガーゼ連鎖反応(LCR)系、核酸配列ベースの増幅(NASBA、Canteen, Mississauga, Ontario)、Q−βレプリカーゼ系、転写ベースの増幅系(TAS)および標準置換増幅(SDS)が挙げられる(例えば、Diagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications, D.H. Persing et al., Ed., American Society for Microbiology, Washington, D.C.(1993)参照)。増幅の生成物は、アンプリコンと呼ばれる。
「抗体」という用語は、抗原結合形態の抗体(例えばFab、F(ab)2)への言及を含む。「抗体」という用語はしばしば、単数または複数の免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされるポリペプチド、あるいは分析物(抗原)を特異的に結合し、認識するそれらの断片を指す。しかしながら、種々の抗体断片は無傷抗体の消化の点から定義され得るが、一方、このような断片は、化学的にまたは組換えDNA法を利用することによりde novoで合成され得る、と当業者は理解する。したがって抗体という用語は、本明細書中で用いる場合、抗体断片、例えば一本鎖Fv、キメラ抗体(即ち、異なる種からの定常部および可変部を含む)、ヒト化抗体(即ち、非ヒト供給源からの相補性決定領域(CDR)を含む)ならびにヘテロ接合抗体(例えば、二重特異性抗体)も含む。
本明細書中で用いる場合、「アンチセンス配向」は、アンチセンス鎖が転写される配向でプロモーターと作用可能式に連結される二重鎖ポリヌクレオチド配列への言及を含む。アンチセンス鎖は、内在性転写産物の翻訳がしばしば抑制されるよう、内在性転写産物と十分に相補的である。
本明細書中で用いる場合、「初乳関連血清アミロイドA」、「初乳関連SAA」および/または「初乳SAA」は互換的に用いられ、それらの例としては本明細書中に開示された配列、それらの保存的修飾化変異体、供給源とは関係なく任意のその他の、初乳SAAの生物学的特性を保持する、そして本明細書中に開示された検定により実証されるような変異体が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で用いる場合、「染色体領域」は、それが含む線状セグメントに対する参照により測定され得る染色体の長さへの言及を含む。染色体領域は、2つの独特のDNA配列、即ちマーカーに対する参照により限定され得る。
「保存的修飾化変異体」という用語は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関しては、保存的修飾化変異体は、アミノ酸配列の同一または保存的修飾化変異体をコードする核酸を指す。遺伝暗号の縮重のために、多数の機能的に同一の核酸が任意の所定の核酸をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定されるすべての位置で、コドンは、コードポリペプチドを変えることなく、記載された対応するコドンのいずれかに変えられうる。このような核酸変異は、「サイレント変異」であり、保存的修飾化変異のある種を示す。遺伝暗号に対する参照によりポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列は、核酸のすべての考え得るサイレント変異を記載する。核酸中の各コドン(普通はメチオニンに関する唯一のコドンであるAUG、並びに普通はトリプトファンに関する唯一のコドンであるUGGは除く)は修飾されて、機能的に同一の分子を生じ得る、と当業者は認識する。したがって、本発明のポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各々の記載されたポリペプチド配列中に含蓄的であり、本発明の範囲内である。
アミノ酸に関しては、コード配列中の単一アミノ酸または小パーセンテージのアミノ酸を変更し、付加しまたは欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加は、変更がアミノ酸の化学的に同様のアミノ酸との置換を生じる「保存的修飾化変異体」である、と当業者は認識する。したがって、1〜15から成る整数の群から選択されるアミノ酸残基の任意の数は、そのように変更され得る。したがって、例えば1、2、3、4、5、7または10の変更が成され得る。保存的修飾化変異体は、典型的には、それらが由来する非修飾化ポリペプチド配列と同様の生物学的活性を提供する。例えば、基質特異性酵素活性またはリガンド/受容体結合は一般に、そのネイティブ基質に関するネイティブタンパク質の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%である。機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的置換表が、当業界では周知である。
以下の6つの群は各々、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
Creighton (1984) Proteins W.H.Freeman and Companyも参照されたい。
「コードする」または「コードされる」とは、特定の核酸に関して、特定のタンパク質への翻訳に関する情報を含むことを意味する。タンパク質をコードする核酸は、核酸の翻訳化領域内に非翻訳化配列(例えばイントロン)を含み得るか、またはこのような介在非翻訳化配列を欠くことがある(例えば、cDNA中のように)。タンパク質がコードされる情報は、コドンの使用により特定される。典型的には、アミノ酸配列は、「普遍的」遺伝暗号を用いて核酸によりコードされる。しかしながら、普遍的暗号の変異体、例えばいくつかの植物、動物および真菌ミトコンドリア、細菌のマイコプラズマ属のMycoplasma capricolumまたは繊毛虫類大核中に存在するものは、核酸がその中で発現される場合に用いられ得る。
核酸が合成的に調製または変更される場合、利点は、核酸が発現される意図された宿主の既知のコドン選択を採用し得ることである。例えば本発明の核酸配列は単子葉類および双子葉類植物種の両方で発現され得るが、しかし配列は、単子葉類または双子葉類の特定のコドン選択およびGC含量選択は異なることが示されているので、これらの選択を説明するよう修飾され得る(Murray et al., Nucl. Acids Res. 17:477-498 (1989))。したがって、特定のアミノ酸に関するトウモロコシの好ましいコドンは、トウモロコシからの既知の遺伝子配列に由来する。トウモロコシ植物体からの28の遺伝子に関するトウモロコシコドン使用法は、Murray等(上記)の表4に列挙されている。
本明細書中で用いる場合、特定ポリヌクレオチドまたはそのコードタンパク質と関連した「全長配列」とは、ネイティブ(非合成性)、内生的、生物学的活性形態の特定タンパク質の全アミノ酸配列を有することを意味する。配列が全長であるか否かを確定するための方法は当業界で周知であり、その例としては、ノーザンまたはウエスタンブロット、プライマー伸長、S1プロテクションおよびリボヌクレアーゼプロテクションといった技法が挙げられる(例えば、Plant Molecular Biology: A Laboratory Manual, Clark, Ed., Springer-Verlag, Berlin (1997)参照)。既知の全長相同(オルトおよび/またはパラ)配列との比較を用いて、本発明の全長配列を同定することもできる。さらに、典型的にはmRNAの5‘および3’非翻訳化領域に存在するコンセンサス配列は、全長としてのポリヌクレオチドの同定に役立つ。例えばコンセンサス配列ANNNNAUGG(ここで、下線を付したコドンはN末端メチオニンを表す)は、ポリヌクレオチドが完全5‘末端を有するか否かを確定するのに役立つ。3’末端のコンセンサス配列、例えばポリアデニル化配列は、ポリヌクレオチドが完全3‘末端を有するか否かを確定するのに役立つ。
タンパク質またはペプチドに関して、「単離タンパク質(またはペプチド)」または「単離および精製タンパク質(またはペプチド)」という用語は、時々本明細書中で用いられる。この用語は、「実質的に純粋」形態で存在するように、それが天然で一緒になっている他のタンパク質から十分に分離されたタンパク質を指す。あるいはこの用語は単離核酸分子の発現により生成されるタンパク質を示し得る。
核酸分子に関して、「単離核酸」という用語が時々用いられる。この用語は、DNAに適用される場合、それが由来した生物体の天然ゲノム中でそれが直接隣接する(5‘および3’方向に)配列から分離されるDNA分子を指す。例えば「単離核酸」は、プラスミドまたはウイルスベクターのようなベクター中に挿入されるかまたは原核生物または真核生物のゲノムDNA中に組み込まれるDNA分子を含み得る。「単離核酸分子」は、cDNA分子も含み得る。
RNA分子に関しては、「単離核酸」という用語は、前記のような単離DNA分子によりコードされるRNA分子を主として指す。あるいは、本用語は、それが「実質的に純粋」形態(「実質的に純粋」という用語は、以下で説明する)で存在するように、それがその天然状態で(即ち細胞または組織中で)会合されるRNA分子から十分に分離されたRNA分子を示し得る。
本明細書中で用いる場合、核酸と関連して「異種」とは、外来種から生じる核酸、あるいは同一種から生じる場合には、慎重なヒトの介入により組成および/またはゲノム座においてそのネイティブ形態から実質的に修飾される核酸である。例えば、異種構造遺伝子と作用可能式に連結されたプロモーターは、構造遺伝子が由来した種と異なる種からであり、あるいは同一種からの場合には、一方または両方がそのオリジナル形態から実質的に修飾される。異種タンパク質は外来種から生じ得るし、あるいは同一種からである場合には、慎重なヒトの介入によりそのオリジナル形態から実質的に修飾される。
「宿主細胞」とは、ベクターを含有し、ベクターの複製および/または発現を支持する細胞を意味する。宿主細胞は、原核生物細胞、例えば大腸菌、あるいは真核生物細胞、例えば酵母菌、昆虫、鳥類または哺乳類細胞であり得る。好ましくは宿主細胞は、単子葉または双子葉植物細胞である。特に好ましい単子葉宿主細胞は、トウモロコシ宿主細胞である。
「ハイブリダイゼーション複合体」という用語は、互いに選択的にハイブリダイズされた2つの一本鎖核酸配列により形成される二重鎖核酸構造への言及を含む。
細胞中に核酸を挿入するという情況において「導入される」という用語は、「トランスフェクション」または「形質転換」または「形質導入」を意味し、核酸が、細胞のゲノム中に組入れられ(例えば染色体、プラスミド、プラスチドまたはミトコンドリアDNA)、自律性レプリコンに変換され、あるいは一時的に発現され(例えばトランスフェクト化mRNA)得る真核生物または原核生物細胞中への核酸の組入れへの言及を含む。
別記しない限り、「初乳関連SAAコード核酸」という用語は、本発明の核酸であり、初乳関連SAAをコードする本発明のポリヌクレオチドを含む核酸を意味する。「初乳関連SAA遺伝子」とは本発明の遺伝子であり、異種ゲノム形態の全長初乳関連SAAポリヌクレオチドを指す。
本明細書中で用いる場合、特定マーカーに関して「それによりおよびそれを含めて限定される染色体領域内に局在化される」とは、所定のマーカーによりおよびそれを含めて限定される染色体の連続長への言及を含む。
本明細書中で用いる場合、「マーカー」とは、染色体上の独特の位置を同定するのに役立つ染色体上の遺伝子座への言及を含む。「多型マーカー」とは、異なる形態のマーカーが、それらが相同対で存在する場合に、その対の染色体の各々の伝達を追跡得るよう、多重形態(対立遺伝子)で出現するマーカーへの言及を含む。遺伝子型は、1つまたは複数のマーカーの使用により限定され得る。
本明細書中で用いる場合、「核酸」とは、一本鎖または二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーへの言及を含み、別記しない限り、天然ヌクレオチド(例えばペプチド核酸)と同様の方法で一本鎖核酸とハイブリダイズする天然ヌクレオチドの不可欠な性質を有する既知の類似体を包含する。
「核酸ライブラリー」とは、特定生物体のゲノムの全転写分画を含みそして実質的に示す単離DNAまたはRNA分子の集合を意味する。例示的核酸ライブラリー、例えばゲノムおよびcDNAライブラリーの構築は、標準的分子生物学参考文献、例えば、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger); Sambrook et al., Molecular Cloning-A laboratory Manual, 2nd ed., Vol. 1-3 (1989); およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., Eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc. (1994)に教示されている。
本明細書中で用いる場合、「ポリヌクレオチド」とは、デオキシリボポリヌクレオチド、リボポリヌクレオチド、またはストリンジェント下で、天然ヌクレオチドと実質的に同一のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、および/または天然ヌクレオチド(単数または複数)と同一アミノ酸(単数または複数)への翻訳を可能にする天然リボヌクレオチドの不可欠な性質を有するそれらの類似体への言及を含む。ポリヌクレオチドは、ネイティブまたは異種の構造または調節遺伝子の全長または亜配列であり得る。別記しない限り、本用語は、特定の配列ならびにその相補的配列への言及を含む。したがって、安定性のためにまたはその他の理由のために修飾された主鎖を有するDNAまたはRNAは、その用語が本明細書中で意図されるような「ポリヌクレオチド」である。さらに、ちょうど2つの例を挙げると、普通でない塩基、例えばイノシン、または修飾化塩基、例えばトリチル化塩基を含むDNAまたはRNAは、本用語が本明細書中で用いられるようなポリヌクレオチドである。当業者に既知の多数の有用な目的に役立つ非常に種々の修飾が、DNAおよびRNAに成されてきた。ポリヌクレオチドという用語は、本明細書中で用いられる場合、このような化学的、酵素的または代謝的修飾化形態のポリヌクレオチド、ならびにウイルスおよび細胞、例えばとりわけ単一および複合細胞に特徴的である化学的形態のDNAおよびRNAを包含する。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書中では互換的に用いられて、アミノ酸残基のポリマーを指す。本用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマーに、ならびに天然アミノ酸ポリマーに適用する。天然アミノ酸のこのような類似体の不可欠な性質は、タンパク質中に組入れられた場合、そのタンパク質が、同一タンパク質に引き出される抗体と特異的に反応するが、しかし全体的に天然アミノ酸から成るというものである。「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は修飾も中に含み、その例としてはリン酸化、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびIDP−リボシル化が挙げられるが、これらに限定されない。周知のように、そして前記したように、ポリペプチドはすべて線状というわけではない、と理解される。例えばポリペプチドはユビキチン化の結果として分枝され、それらは、一般的に翻訳後事象として、例えば天然プロセッシング事象および天然では起きないヒト操作によりもたらされる事象の結果として、分枝を伴うこともある、環状であり得る。環状分枝および分枝環状ポリペプチドは、非翻訳天然過程により、そして全合成法により同様に合成され得る。さらに本発明は、本発明のタンパク質のメチオニン含有およびメチオニン非含有アミノ末端変異体の両方の使用を意図する。タンパク質にかんして、「N末端領域」という用語は、タンパク質のアミノ末端に隣接する約50個のアミノ酸を含む。
本明細書中で用いる場合、「TFLKモチーフ」とは、アミノ酸によるにせよ、別の方法にせよ、初乳SAAのTFLK活性部位の構造的完全性および生物学的活性を保持するあらゆる処方物を含む。
本明細書中で用いる場合、「組換え体」は、異種核酸の導入により修飾された、または細胞がそのように修飾された細胞に由来する細胞またはベクターへの言及を含む。したがって、例えば組換え体細胞は、ネイティブ(非組換え体)形態の細胞内の同一形態に見出されない遺伝子を発現し、あるいはそうでなければ異常に発現されるか、または不完全発現されるかまたは全く発現されないネイティブ遺伝子を、慎重なヒト介入の結果として発現する。「組換え体」という用語は、本明細書中で用いる場合、天然事象(例えば、自発性突然変異、天然形質転換/形質導入/転位)、例えば慎重なヒトの介入を伴わずに生じるものによる細胞またはベクターの変更を包含しない。
本明細書中で用いる場合、「組換え体発現カセット」とは、宿主細胞中での特定の核酸の転写を可能にする一連の特定核酸素子を有する、組換え敵または合成的に生成された核酸構築物である。組換え体発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸断片中に組入れられ得る。典型的には、発現ベクターの組換え体発現カセット部分としては、他の配列の間で、転写される核酸、およびプロモーターが挙げられる。
「残基」または「アミノ酸残基」または「アミノ酸」という用語は、互換的に用いられて、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド(集合的に「タンパク質」)に組入れられるアミノ酸を指す。アミノ酸は天然アミノ酸であり、別記しない限り、天然アミノ酸と同様に機能し得る天然アミノ酸の非天然類似体を包含し得る。
「ストリンジェント条件」または「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」という用語は、プローブが、他の配列より検出可能的に大きい程度に(例えばバックグラウンドの少なくとも2倍)、その標的配列とハイブリダイズする条件への言及を含む。ストリンジェント条件は配列依存性であり、異なる環境では異なり得る。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブと100%相補的である標的配列が同定される(同種プロービング)。あるいはストリンジェンシー条件は、低度の類似性が検出されるよう、配列の多少の不適正性を可能にするように調整され得る(異種プローブ)。一般にプローブは、長さ約1000ヌクレオチド未満、任意に500ヌクレオチド未満である。
典型的にはストリンジェント条件は、塩濃度が約1.5 M未満のNaイオン、典型的には約0.01〜1.0 MのNaイオン濃度(または他の塩)で、pHは7.0〜8.3、そして温度は短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50ヌクレオチドより大きい)に関しては少なくとも約60℃である。ストリンジェント条件は、不安定剤、例えばホルムアミドの付加によっても達成され得る。低ストリンジェンシー条件の例としては、37℃で30〜35%ホルムアミド、1 MNaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液でのハイブリダイゼーション、ならびに50〜55℃での1x〜2xSSC(20xSSC=3.0 MNaCl/0.3 Mクエン酸三ナトリウム)中での洗浄が挙げられる。中等度ストリンジェンシー条件の例としては、37℃で40〜45%ホルムアミド、1 MNaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、ならびに50〜55℃での0.5x〜1xSSC中での洗浄が挙げられる。高ストリンジェンシー条件の例としては、37℃で50%ホルムアミド、1 MNaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、ならびに60〜65℃での0.1xSSC中での洗浄が挙げられる。
特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後洗浄の機能であり、重要な因子は最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリッドに関しては、TmはMeinkothとWahl(Anal. Biochem., 138:267-284(1984))の方程式から概算され得る:Tm=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L;式中、Mは一価陽イオンのモル数であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、そしてLは塩基対でのハイブリッドの長さである。Tmは、相補的標的配列の50%が完全適正プローブとハイブリダイズする温度(限定イオン強度およびpH下)である。温度は、各々不適正の1%に対して約1℃低減し、したがってハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を調整して所望の同一性の配列とハイブリダイズさせ得る。例えば、≧90%同一性を有する配列を探す場合には、Tmは10℃低減され得る。一般にストリンジェント条件は、限定イオン強度およびpHで、特定配列およびその相補体に関して熱融点(Tm)より低い約5℃であるよう選択される。しかしながら重度ストリンジェント条件は、熱融点(Tm)より1、2、3または4℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し、中等度ストリンジェント条件は、熱融点(Tm)より6、7、8、9または10℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し、低ストリンジェント条件は、熱融点(Tm)より11、12、13、14、15または20℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る。方程式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、ならびに所望のTmを用いて、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーの変動は固有に説明される、と当業者は理解する。所望程度の不適正が45℃(水性溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTmを生じる場合、高温が用いられ得るようSSC濃度を増大するのが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションについての広範な指針は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acids Probes, Part I, Chapter 2, Ausubel, et al., Eds., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York(1995)に見出される。
「実質的に純粋」という用語は、少なくとも50〜60重量%の当該化合物(例えば核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質等)を含む調製物をさす。さらに好ましくは、調製物は少なくとも75重量%、最も好ましくは90〜99重量%の当該化合物を含む。純度は、当該化合物に適した方法(例えばクロマトグラフィー法、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動法、HPLC分析等)により測定される。
核酸配列およびアミノ酸配列は、核酸またはアミノ酸の類似配列を並べて、そのようにして差を限定するコンピュータープログラムを用いて比較され得る。BLASTプログラム(NCBI)およびそこに用いられるパラメーターは、アミノ酸配列断片を並べるために多数の従業者により用いられる。しかしながら等価アラインメントおよび類似性/同一性査定は、任意の標準アラインメントソフトウエアの使用により得られる。例えば、GCGウィスコンシンパッケージバージョン9.1(Genetics Computer Group in Madison, Wisconsinから入手可能)およびベスト−フィットプログラムにより用いられるデフォルトパラメーター(ギャップ作製ペナルティー=12、ギャップ延長ペナルティー=4)も、配列同一性および類似性を比較するために用いられ得る。
「実質的に同一」という用語は、タンパク質の性質(即ち、タンパク質の構造、安定性特徴、基質特異性および/または生物学的活性)に実利的に影響を及ぼさない配列変動を有する核酸またはアミノ酸配列を指す。特に核酸配列に関して、「実質的に同一」という用語は主に、コード領域を、ならびに発現を支配する保存配列を指すよう、そしてコードポリペプチド中の同一アミノ酸をコードする縮重コドンまたは保存的置換アミノ酸をコードする代替的コドンを指すよう意図される。アミノ酸配列に関しては、「実質的に同一」という用語は一般に、構造または機能の決定に関与しないポリペプチドの領域における保存的置換および/または変異を指す。
「同一パーセント」および「類似パーセント」という用語も、アミノ酸および核酸配列間の比較に際して本明細書中で用いられる。アミノ酸配列について言及する場合、「同一パーセント」とは、配列分析プログラムにより比較アミノ酸配列中の同一アミノ酸に対して適合した被験アミノ酸配列のアミノ酸のパーセントを示す。「類似パーセント」とは、同一または保存アミノ酸に対して適合した被験アミノ酸配列のアミノ酸のパーセントを指す。保存アミノ酸は、結果的に生じるタンパク質の三次構造を明らかに変えないよう、構造は異なるがしかし物理的特性は類似するものである。保存的置換は、Taylor(1986, J. Theor. Biol. 119:205)に定義されている。核酸分子に言及する場合、「同一パーセント」とは、配列分析プログラムにより同一ヌクレオチドに適合した被験核酸配列のヌクレオチドのパーセントを指す。
抗体に関して、「免疫学的に特異的な」という用語は、当該タンパク質の1つまたはそれ以上のエピトープと結合するが、抗原性生物学的分子の混合集団を含有する試料中の他の分子を実質的に認識せず且つ結合しない抗体を指す。
オリゴヌクレオチドまたはその他の一本鎖核酸分子に関して、「特異的にハイブリダイズする」という用語は、当業界で一般的に用いられる予定条件下で、即ちストリンジェント条件下でこのようなハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な相補的配列を有する2つの一本鎖核酸分子間の会合を指す(時としては「実質的に相補的である」といわれる)。特に本用語は、一本鎖DNAまたはRNA分子内に含入される実質的相補性配列とのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを、非相補性配列を有する一本鎖核酸とのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの実質的排除を指す。
「コード配列」または「コード領域」とは、配列が発現された場合に、遺伝子産物を産生するのに必要な配列情報を有する核酸分子を指す。
「作用可能式に連結される」または「作用可能式に挿入される」という用語は、コード配列の発現に必要な調節配列がコード配列の発現を可能にするためにコード配列に関して適切な位置で核酸分子中に置かれることを意味する。この同一定義は、時としては、発現ベクター中の他の転写制御素子(例えばエンハンサー)の整列に適用される。
転写および翻訳制御配列は、宿主細胞中でのコード配列の発現を提供するDNA調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化信号、ターミネーター等である。
「プロモーター」、「プロモーター領域」または「プロモーター配列」という用語は一般に、コード領域の5‘または3’側に、あるいはコード配列内またはイントロン内に見出され得る遺伝子の転写調節領域を指す。典型的には、プロモーターは、細胞中のRNAポリメラーゼを結合し、下流(3‘方向)コード配列の転写を開始し得るDNA調節領域である。典型的5’プロモーター配列は転写開始部位によりその3‘末端で結合され、そして上流(5’方向)に伸びて、バックグラウンドより高い検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基または素子を含む。プロモーター配列内には、転写開始部位(ヌクレアーゼS1を用いたマッピングにより便利に限定される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が存在する。
「ベクター」とは、セグメントの複製または発現を生じるよう、別の核酸セグメントが作用可能式に挿入され得るレプリコン、例えばプラスミド、ファージ、コスミドまたはウイルスである。
「核酸構築物」または「DNA構築物」という用語は、時としては、コード配列または適切な調節配列に作用可能式に連結され、細胞を形質転換するためにベクター中に素にされる配列を指す。この用語は、「形質転換DNA」という用語と互換的に用いられ得る。このような核酸構築物は、当該遺伝子産物のためのコード配列を、選択可能マーカー遺伝子および/またはレポーター遺伝子とともに含有し得る。
「選択可能マーカー遺伝子」という用語は、発現された場合に、選択可能な表現型、例えば抗生物質耐性を形質転換化細胞に付与する物質をコードする遺伝子を指す。
「レポーター遺伝子」という用語は、標準的方法により、直接的または間接的に容易に検出可能である生成物をコードする遺伝子を指す。
核酸構築物の「異種」領域とは、天然では大型分子に関連して見出されない大型分子内の核酸分子の同定可能なセグメント(単数または複数)である。したがって、異種領域が哺乳類遺伝子をコードする場合、遺伝子は通常、供給源生物体のゲノム中の哺乳類ゲノムDNAと側面を接しないDNAと側面を接する。別の例では、異種領域は、コード配列それ自体が天然では見いだされない構築物である(例えば、ゲノムコード配列がイントロンを含有するか、または合成配列がネイティブ遺伝子と異なるコドンを有するcDNA)。対立遺伝子変異または天然突然変異せい事象は、本明細書中に記載するようなDNAの異種領域を生じない。前記のような「DNA構築物」という用語は、異種領域、特に細胞の形質転換に用いるために構築されたものを指すためにも用いられる。
このようなDNAが細胞内部に導入された場合、細胞は外因性または異種DNAにより「形質転換され」または「トランスフェクトされ」たという。形質転換DNAは、細胞のゲノム中に組み込まれることもある(共有結合)。例えば原核生物、酵母および哺乳類細胞において、形質転換DNAは、エピソーム素子、例えばプラスミド上に保持され得る。真核生物細胞に関しては、安定的形質転換化細胞は、染色体複製により娘細胞に遺伝されるよう、形質転換DNAが染色体に組み込まれたものである。この安定性は、形質転換DNAを含有する娘細胞の週だ何からなる細胞株またはクローンを確立する真核生物細胞の能力により実証される。
「クローン」とは、有糸分裂により単一細胞または共通先祖から得られる細胞の集団である。「細胞株」とは、多数の世代でin vitroに安定成長し得る初代細胞のクローンである。
II.説明
血清アミロイドA(SAA)は、肝臓で産生される急性期タンパク質であり、組織損傷または感染に関連した炎症応答の一部として哺乳類の血清中に高レベルで生じる。初乳中に非常に高レベルで生じるSAAの独特のアイソフォームを、本発明人等は発見した。健常ウシにおける初乳SAA増大は、仔ウシ出産後4日以内に牛乳中に見出されるバックグラウンドレベルに戻る。初乳中では急性期SAA(A−SAA)の血中濃度とは無関係に生じるので、初乳SAAは局所的に(即ち、乳房管状上皮細胞に)産生されると考えられる(5匹の被験ウシから採取した初乳、乳漿および血清の試料中では、血清SAAは15μg/ml、no範囲であることが判明したが、一方初乳では、SAAは300μg/mlの平均範囲のレベルに増大した)。
初乳中のSAAの独特のアイソフォームは、新生児免疫の発達における初乳の一般的役割に関連した種々の機能を実行している。例えば初乳SAAは、新生児における腸および/または血管系の内皮膜を横断する脂質および免疫グロブリンの輸送のためのビヒクルとして作用し得る。それは損傷後に血管内皮により局所的に産生され、血管内間隙への免疫グロブリンの輸送のためのビヒクルとして役立つ。概して、初乳SAAは抗微生物活性(直接または間接的に)有し、そしていくつかの方法で免疫応答を調節すると考えられる。初乳SAAは、組織修復および分解に関与する酵素を誘導することにより、ならびに粘膜組織中の防御的ムチンの産生を調節することにより、組織リモデリングにも関与し得る。
高レベルのSAAが、ウシ、ウマ、ヒツジおよびブタの初乳で検出された。それは、実施例3に記載したような方法を用いて、ウシ、ヒツジおよびウマ初乳から精製された。これらの供給源からの精製初乳SAAに、N末端アミノ酸配列分析を施した。これらの配列を、ウサギ滑膜繊維芽細胞からのSAA3の対応する配列と比較して、以下に記述する。
初乳:
ウシ(配列番号1): MWXTFLKEAGQGAKDMWRAY
ヒツジ(配列番号2): WLLTFLKEAG
ウマ(配列番号3): RELKTFLKEAGQG
滑膜繊維芽細胞:
ウサギSAA3(配列番号9の一部): REWLTFLKEAGQGAKDMWRAYSDMKEA
初乳由来SAAは、アミノ末端(またはN末端)TFLK(TFLKモチーフ)での独特のアミノ酸配列を共有する。TFLKモチーフは任意の哺乳類からの血清由来SAAのいずれからも見出されないが、しかしウサギ滑膜繊維芽細胞により産生されるSAA3との相同を共有する。ヒトSAA3偽遺伝子(血清または組織中で発現されない)も、TFLK配列モチーフを含有する推定アミノ酸配列を含む。
しかしながらウマ初乳SAAのトリプシン消化断片のさらなる分析は、初乳SAAが、実際、独特のSAAであることを明示した。ウマ初乳SAAのトリプシン断片を以下に記述する(配列番号4は配列番号3の代替物である)。
(配列番号4) REWFTFL
(配列番号5) EANYIGADKYFH
(配列番号6) GNYDAAQRGPGGA
(配列番号7) VTDLFK
(配列番号8) SGKDPNHFRPHGLPDKY
図1では、5つのウマ初乳SAAトリプシン断片配列(配列番号3〜8)、ならびにウシおよびヒツジからのN末端配列、ならびにウマ初乳SAA(配列番号1〜3)が、ウサギからの滑膜繊維芽細胞(配列番号9)、ウマ血清SAA(配列番号10)およびミンクからの血清SAA1(配列番号11)の完全アミノ酸配列とともにアラインメントで示されている。アラインメントから判るように、ウマ初乳SAAは、ウサギ滑膜繊維芽細胞SAA3、ウマ血清SAAおよびミンク血清SAA1の各々との類似性の領域を共有し、さらにこれらのタンパク質の各々と互いに異なる。
したがって本発明は、初乳から単離される新規のSAAアイソフォームを提供する.ウマ、ウシおよびヒツジ初乳SAAが本明細書中に例示されているが、しかし本発明は、本発明人等がいくつかの哺乳類種から初乳SAAを同定したゆえに、あらゆる哺乳類種からの初乳SAAアイソフォームを含む。さらに、以下でより詳細に説明するように、初乳SAAをコードする核酸分子は、この新規のSAAアイソフォームに免疫学的に特異的な抗体であるので、本発明の一部であるとも意図される。
本発明にしたがって、ウシ初乳関連SAAのcDNAが確定され、当業界で既知の、そして本明細書中に開示された方法により、組換え体形態のタンパク質の産生を可能にした。(配列番号12)(図2参照)は、タンパク質に関するcDNA配列であり、本発明は、この配列ならびに保存的修飾化変異体を含む。さらに開示されるのは、高度に保存されたタンパク質の活性領域、ならびに乳腺炎に関連した炎症を検出するための検定に、あるいはムチン産生を刺激することにより胃腸障害を治療するための製剤に有用であるようにするタンパク質の特性である。
下記は、本発明の実行に関与する一般手法を記載する。特定の物質が言及される程度まで、それは単に説明のためであって、本発明を限定するものではない。別記しない限り、一般クローニング手法、例えばSambrook et al., Molecular cloning, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)(以後、「Sambrook et al.」)またはAusubel, et al.(eds.)Current protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons(1999)(以後、「Ausubel, et al.」)が用いられる。
A.初乳SAA、初乳SAAに特異的な抗体および初乳SAAをコードする核酸分子
1.タンパク質および抗体
初乳SAAは、血清からSAAを精製するために開発された種々の方法にしたがって、種々の方向で調製され得る。このような方法の1つが、実施例3に記述されている。疎水性クロマトグラフィーマトリックス計および溶離剤の変動、例えばSmith等(Protein Expression & Purification 2: 158-161, 1991)により記載されたものも用いられ得る。
あるいは、(配列番号1〜8)のようなアミノ酸配列情報の利用可能性は、初乳SAAをコードする核酸分子の単離を可能にする。これは、抗初乳SAA抗体を用いて、当業界で周知の方法にしたがって選定種からのcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることにより成し遂げられ得る。あるいは、(配列番号1〜8)(図1)の一部または全部をコードする一連の縮重オリゴヌクレオチドプローブは、以下で詳細に説明するように、cDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いられ得る。
一旦生成されると、cDNAまたは遺伝子は、in vitro転写のために適切なin vitro転写ベクター、例えばpSP64またはpSP65中でクローン化され、その後、適切な無細胞翻訳系、例えば小麦胚がまたはウサギ網状赤血球中で無細胞翻訳され得る。In vitro転写および翻訳系は、例えばPromega Biotech, Madison, WisconsinまたはBRL, Rockville, Marylandから市販されている。pCITEin vitro翻訳系(Novagen)も利用され得る。
好ましい実施態様によれば、適切な原核生物または真核生物系での発現により、大量のタンパク質が製造され得る。例えば初乳SAAコードDNA分子の一部または全部が、細菌細胞(例えば大腸菌)または酵母細胞(例えばビール酵母菌Saccharomyces cerevisiae)または哺乳類細胞中での発現に適応されたベクター中に挿入され得る。このようなベクターは、宿主細胞中でのDNAの発現を可能にするような方法で位置する、宿主細胞中でのDNAの発現に必要な調節素子を含む。発現に必要とされるこのような調節素子としては、プロモーター配列、転写開始配列、ならびに任意にエンハンサー配列が挙げられる。
組換え体原核生物または真核生物系における遺伝子発現により産生される初乳SAAは、当業界で既知の方法により精製され得る。好ましい実施態様では、市販の発現/分泌系が用いられ、それにより組換え体タンパク質が発現され、その後、宿主細胞から分泌され、周囲媒質から容易に精製され得る。発現/分泌ベクターが用いられない場合、代替的アプローチは、アフィニティー分離により、例えば組換え体タンパク質と特異的に結合する抗体との免疫学的相互作用により組換え体タンパク質を精製することを包含する。このような方法は、熟練従業者により一般に用いられる。
本発明は、1つまたはそれ以上の選定種からの初乳と結合し得る抗体も提供する。選定初乳SAAの一部または全部に向けられるポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、標準的方法により調製され得る。モノクローナル抗体は、KohlerとMilsteinの一般的方法とその後の標準プロトコールにしたがって調製され得る。好ましい実施態様では、それを他のSAAから識別する初乳SAAの選定エピトープと免疫特異的に反応する抗体が調製される。
2.核酸分子
一旦配列情報が得られれば、初乳SAAをコードする核酸分子は、2つの一般的方法により調製され得る:即ち、(1)それらは適切なヌクレオチド三リン酸塩から合成され得る、または(2)それらは生物学的供給源から単離され得る。両方法は、当業界で周知のプロトコールを利用する。
核酸配列情報の利用可能性は、オリゴヌクレオチド合成による本発明の単離核酸分子の調製を可能にする。合成オリゴヌクレオチドは、Applied Biosystems 38A DNA合成機または同様の装置で用いられるホスホロアミダイト法により調製され得る。その結果生じる構築物は、当業界で既知の方法、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製され得る。長い二本鎖ポリヌクレオチド、例えば本発明のDNA分子は、一般オリゴヌクレオチド合成法に固有のサイズ制限のために、段階的に合成されねばならない。したがって、例えば長い二本鎖分子は、適切な相補性を有するいくつかの小型セグメントとして合成され得る。このように生成された相補的セグメントは、各セグメントが隣接セグメントの結合のための適切な付着末端を保有するよう、アニーリングされ得る。隣接セグメントは、DNAリガーゼの存在下で付着末端をアニーリングすることにより結繋されて、全長二本鎖分子を構築し得る。そのように構築された合成DNA分子は次に、クローン化され、適切なベクター中で増幅され得る。
初乳SAAをコードする核酸分子は、当業界で周知の方法を用いて、当該哺乳類種からも単離され得る。選定種からの核酸分子は、初乳SAAコード遺伝子に特異的な核酸配列に適合するよう設計されたオリゴヌクレオチドを用いて、cDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより単離され得る。ある種からの遺伝子が望ましい場合には、ゲノムライブラリーがスクリーニングされる。あるいは、タンパク質コード配列が特定当該物を有する場合には、cDNAライブラリーがスクリーニングされる。1つより多くの核酸残基が適切なアミノ酸残基をコードするために用いられ得る縮重の位置では、すべての適切な核酸残基が組入れられて、混合オリゴヌクレオチド集団を作製するか、または中性塩基、例えばイノシンが用いられ得る。オリゴヌクレオチド設計の戦略は、当業界で周知である(Sambrook et al., Molecular cloning, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor NYも参照)。
あるいは、初乳SAAタンパク質の一部をコードするために、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)プライマーが前記の方法により設計され得る。これらのプライマーは、単離cDNAまたはゲノムDNAから核酸を増幅するために用いられる。好ましい実施態様では、血清SAAと対照したものとして初乳SAAに独特の配列をコードするために、初乳SAAコード核酸を単離するために用いられるオリゴヌクレオチドが設計される。
本発明によれば、適切なストリンジェントを有するハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を用いることにより、初乳SAAコード核酸分子と適切な配列相同性を有する核酸が同定され得る。例えばハイブリダイゼーションは、Sambrook et al.(1989、上記)の方法にしたがって、5xSSC,5xデンハード試薬、1.0%SDS、100μg/ml変性断片化サケ精子DNA、0.05%ピロリンサンナトリウムおよび50%までのホルムアミドを含むハイブリダイゼーション溶液を用いて実施され得る。ハイブリダイゼーションは、37〜42℃で少なくとも6時間実行される。ハイブリダイゼーション後、フィルターを以下のように洗浄する:(1)2xSSCおよび1%SDS中で室温で5分間、(2)2xSSCおよび0.1%SDS中で室温で15分間、(3)1xSSCおよび1%SDS中で37℃で30分〜1時間、(4)1xSSCおよび1%SDS中で65℃で2時間。
特定配列相同を有する核酸分子間のハイブリダイゼーションを達成するのに必要なストリンジェント条件を算定するため一一般式(Sambrook et al.,1989):
Tm=81.5℃+16.6Log[Na+]+0.4(G+C%)−0.63(ホルムアミド%)−600/二重鎖中bp数
前式の説明のように,[N+]=[0.368]および50%ホルムアミドを用いて、42%のGC含量および200塩基の平均プローブサイズで、Tmは57℃である。DNA二重鎖のTmは、相同性が1%低減する毎に1〜1.5℃低減する。したがって約75%より大きい配列同一性を有する標的が、42℃のハイブリダイゼーション温度を用いて観察される。好ましい実施態様では、ハイブリダイゼーションは37℃で、最終洗浄は42℃であり、さらに好ましい実施態様では、ハイブリダイゼーションは42℃で、最終洗浄は50℃であり、最も好ましい実施態様では、ハイブリダイゼーションは42℃で、最終洗浄は65℃であって、前記のハイブリダイゼーションおよび洗浄溶液を用いる。
ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシー度は、主に溶液の塩濃度および温度によっている。概して、その標的とのプローブのアニーリングの速度を最大にするために、ハイブリダイゼーションは通常は、ハイブリッドの算定Tmより20〜25℃低い塩および温度条件で実行される。洗浄条件は、標的に対するプローブの同一性の程度に関して考え得るのと同様にストリンジェントであるべきである。概して、洗浄条件は、ハイブリッドのTmより約12〜20℃低くなるように選定される。本発明の核酸に関しては、中等度ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、6xSSC,5xデンハード溶液、0.5%SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNA中で42℃でのハイブリダイゼーション、ならびに2xSSCおよび0.5%SDS中で55℃で15分の洗浄と定義される。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、6xSSC,5xデンハード溶液、0.5%SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNA中で42℃でのハイブリダイゼーション、ならびに1xSSCおよび0.5%SDS中で65℃で15分の洗浄と定義される。極高ストリンジェントハイブリダイゼーションは、6xSSC,5xデンハード溶液、0.5%SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNA中で42℃でのハイブリダイゼーション、ならびに0.1xSSCおよび0.5%SDS中で65℃で15分の洗浄と定義される。
本発明の核酸は、任意の便利なクローニングベクター中にDNAとして保持され得る。好ましい実施態様では、クローンはプラスミドクローニング/発現ベクター、例えばpGEM−T(Promega Biotech, Madison, WI)またはpBluescript(Stratagene, La Jolla CA)中に保持され、いずれも適切な大腸菌宿主中で増殖される。
本発明の初乳SAAコード核酸分子としては、一本鎖または二本鎖であり得るcDNA、ゲノムDNA、RNAおよびそれらの断片が挙げられる。したがって本発明は、本発明の核酸分子の少なくとも1つの配列とハイブリダイズし得る配列を有するオリゴヌクレオチド(DNAまたはRNAのセンスまたはアンチセンス鎖)を提供する。このようなオリゴヌクレオチドは、例えばPCR増幅により、被験試料中の初乳SAAコード遺伝子またはmRNAを検出するためのプローブとして有用である。
B.初乳SAAタンパク質、抗体および核酸の使用
1.タンパク質および抗体
精製初乳SAAまたはその断片を用いて、培養細胞または組織中および無傷生物体中のタンパク質の存在および蓄積に関する高感度検出試薬として役立ち得るポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成し得る。組換え技術は、選定初乳SAAの一部または全部を含有する融合タンパク質の発現を可能にする。全長タンパク質またはタンパク質の断片を用いて、タンパク質の種々のエピトープに特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体のアレイを生成するのを促し、それによりタンパク質の検出のためのより大きい感度をさえ提供し得る。好ましい実施態様では、初乳SAAを血清SAAと識別する初乳SAAの断片は、エピトープ特異的抗体を生成するために利用される。
初乳SAAに免疫学的に特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、タンパク質を検出および定量するよう意図された種々の検定に用いられ得る。このような検定としては、(1)免疫沈降とその後のタンパク質定量、(2)イムノブロット分析(例えばドットブロット、ウエスタンブロット)、(3)ラジオイムノアッセイ、(4)比濁分析、濁度測定または免疫クロマトグラフィー(側方流)検定、および(5)酵素結合検定、例えばELISA、ならびに種々の定性的迅速検定(例えばディップスティックおよび同様の試験)が挙げられるが、これらに限定されない。
初乳SAAと免疫特異的に相互作用するポリクローナルまたはモノクローナル抗体が、このようなタンパク質を同定および精製するために用いられ得る。例えば抗体は、それらが免疫特異的に相互作用するタンパク質のアフィニティー分離のために利用され得る。抗体は、タンパク質およびその他の生物学的分子の混合物を含有する試料からタンパク質を免疫沈降するためにも用いられ得る。
2.核酸
初乳SAAコード核酸は、本発明にしたがって種々の目的のために用いられ得る。DNA、RNAまたはそれらの断片は、遺伝子の存在および/または発現を検出するためのプローブとして用いられ得る。初乳SAAコード核酸がこのような検定のためのプローブとして利用され得る方法としては、(1)in situハイブリダイゼーション、(2)サザンハイブリダイゼーション、(3)ノーザンハイブリダイゼーション、ならびに(4)類別(アソーティド)増幅反応、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および逆転写酵素−PCR(RT−PCR)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の例示された初乳SAAコード核酸(例えばウシ、ヒツジ、ウマ)も、ヒトを含めた他の種から関連遺伝子を同定するためのプローブとして利用され得る。当業界で周知であり且つ前記したように、ハイブリダイゼーションストリンジェンシー度を調整して、種々の程度の相同性を有する相補的配列との核酸プローブのハイブリダイゼーションを可能にし得る。
初乳SAAコード核酸の前記の使用のほかに、それらは、トランスジェニック細胞、組織および生物体の作製における用途を有すると予測される。
本発明は、ウシ初乳関連SAAタンパク質をコードする新規の精製および単離核酸配列を提供する。本発明の好ましい形態では、DNA配列は新規のSAAをコードするcDNA配列を含み、あるいは初乳中に存在するその保存的修飾化変異体は、活性TFLK領域を含み、本明細書中に開示したタンパク質の生物学的活性を保有する。さらに好ましくは実施態様では、核酸配列は、(配列番号12)と少なくとも約93%の同一性を、または92%同一のコードアミノ酸配列を含む。特に、単離された配列は、(配列番号12)に示されている。代替的DNA形態、例えばゲノムDNA、および核酸からの部分的または全体的化学合成により調製されたDNA、ならびに欠失または突然変異を有するDNAも本発明の意図された範囲内である。
本発明により提供されたDNA配列の、同種または異種発現制御DNA配列、例えばプロモーター、オペレーター、レギュレーターなどとの会合は、mRNAからのin vivoおよびin vitro転写を可能にし、これは次に翻訳を受け易くなって、本発明の新規のナトリウムチャンネルタンパク質、ならびに関連ポリ−およびオリゴ−ペプチドを大量に提供する。本発明の目下の好ましいDNA発現系において、初乳関連SAAコードDNAは調節プロモーターDNA配列と作用可能式に連結されて、タンパク質のin vitro転写および翻訳を可能にする。
恐らくは適切なウイルスおよび環状DNAプラスミドベクターを包含する標準形質転換およびトランスフェクション法による原核生物および真核生物宿主細胞中へのDNA配列の組入れも、本発明の意図内であり、今までは天然供給源から利用可能でなかった量で有用なタンパク質を提供すると予測される。以後さらに詳細に記述するように、本発明の組換え体発現産物に最適生物学的活性を付与するのに必要であり得るので、哺乳類宿主細胞の使用は、このような翻訳後修飾(例えば、切頭化、グリコシル化、ならびにチロシン、セリンまたはトレオニンリン酸化)を提供すると予測される。
細胞を形質転換し、ベクターを構築し、メッセンジャーRNAを抽出し、cDNAライブラリーを調製するなどのために用いられる技法のほとんどは、当業界で広範に実行されており、ほとんどの従事者が特定の条件および手順を説明する標準資源物質に精通している。しかしながら便宜上、以下の語句は指針として役立ち得る。
宿主および制御配列
原核生物および真核生物系はともに、初乳関連SAAコード配列を発現するために用いられ得る。原核生物宿主は、もちろん、クローニング手法には最も便利である。原核生物は最も高頻度に、大腸菌の種々の菌株により代表される。しかしながらその他の微生物株も用いられ得る。複製部位、選択可能マーカーおよび宿主と比較可能な種に由来する対象配列を含有するプラスミドベクターが用いられる。例えば大腸菌は、典型的には、Bolivar, et al., Gene (1977) 2:95により大腸菌種から得られたプラスミドであるpBR322の誘導体を用いて形質転換される。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性に関する遺伝子を含有し、したがって所望のベクターの構築に際して保持または破壊され得る多重選択可能マーカーを提供する。転写開始のためのプロモーターを含み、任意にオペレーターを、リボソーム結合部位配列と共に含むよう本明細書中で定義された一般的に用いられる原核生物制御配列としては、β−ラクターゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトーゼ(lac)プロモーター系(Chang, et al., Nature(1977))およびトリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel, et al., Nucleic Acids Res(1980) 8:4057)、ならびにラムダ由来PLプロモーターおよびN−遺伝子リボース結合部位(Shimatake, et al., Nature (1981) 292:128)といったような一般的に用いられるプロモーターが挙げられる。
細菌のほかに、真核生物微生物、例えば酵母も宿主として用いられ得る。ビール酵母菌Saccharomyces cerevisiaeの実験室菌株であるベーカー酵母が最も用いられるが、しかし多数のその他の菌株または種が市販されている。例えばBroach, J.R., Meth Enz (1983) 101:307の2μ複製起点、またはその他の酵母適合性複製起点(例えば、Stinchcomb, et al., Nature (1979) 282:39、Tschumper, G., et al., Gene (1980) 10:157およびClarke, L, et al., Meth Enx (1983) 101:300参照)を用いるベクターが用いられ得る。酵母ベクターのための制御配列としては、解糖酵素の合成のためのプロモーターが挙げられる(Hess, et al., J Adv Enzyme Reg(1968) 7:149; Holland, et al., Biochemistry(1978) 17:4900)。当業界で既知のさらに別のプロモーターとしては、3−ホスホグリセレートキナーゼが挙げられる(Hitzeman, et al., J Biol Chem (1980) 255:2073)。増殖条件および/または遺伝的背景により制御される転写のさらに別の利点を有するその他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連した分解酵素、α因子系、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素のためのプロモーター領域である。ターミネーター配列は、コード配列の3‘末端で望ましい、ということも考えられる。このようなターミネーターは、酵母由来遺伝子中のコード配列後の3’非翻訳化領域に見出される。
多細胞生物由来の真核生物宿主細胞培養中でポリペプチドをコードする遺伝子を発現することも、もちろん考えられる(例えば、米国特許第4,399,216号(Axel等)参照)。これらの系は、イントロンをスプライスアウトする能力というさらなる利点を有し、したがってゲノム断片を発現するために直接用いられ得る。有用な宿主細胞株としては、VEROおよびHeLa細胞、ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。このような細胞のための発現ベクターとしては、普通は、哺乳類細胞に適合可能なプロモーターおよび制御配列、例えばサルウイルス40(SV40)からの一般的に用いられる初期および後期プロモーター(Fiers, et al., Nature (1978) 273:113)、あるいはその他のウイルスプロモーター、例えばポリオーマ、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルスまたは鳥肉腫ウイルスに由来するものが挙げられる。制御可能プロモーターhMT1I(Karin, M., et al., Nature (1982) 299:797-802)も用いられ得る。哺乳類細胞宿主系形質転換の一般的局面は、Axel(上記)により記載されている。「エンハンサー」領域が発現を最適にするのに重要である、ということも個々で明らかである。これらは一般に、非コードDNA領域のプロモーター領域の上流または下流に見出される配列である。複製起点は、必要な場合には、ウイルス供給源から得られる。しかしながら染色体中への組込みは、真核生物におけるDNA複製のための一般的メカニズムである。
形質転換
用いられる宿主細胞によって、このような細胞に適切な標準技法を用いて形質転換が実行される。Cohen, S.N., Pro. Natl. Acad. Sci. (USA) 1972, 69: 2110により記載されたような塩化カルシウムを用いるカルシウム処理、あるいはManiatis, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1982) Cold Spring Harbor Press, p.254およびHanahan, D., J Mol Biol (1983) 166: 557-580に記載されたrbC12法が、原核生物または実質的細胞壁バリアを含有するその他の細胞のために用いられ得る。このような細胞壁を有さない哺乳類細胞に関しては、任意にWigler, M., et al., Cell (1979) 16: 777-785により修正されるようなGraham and van der Eb, Virology (1978) 52:546のリン酸カルシウム沈降法が用いられ得る。酵母中での形質転換は、Beggs, J.D. Nature (1978) 275:104-109またはHinnen, A., et al., Pro. Natl. Acad. Sci.(USA)(1978) 75:1929の方法にしたがって実行され得る。
ベクター構築
所望のコードおよび制御配列を含有する適切なベクターの構築は、当業界で十分理解されている標準結繋および制限技法を用いる。単離プラスミド、DNA配列または合成オリゴヌクレオチドは、切断され、仕立てられ、そして所望の形態に再結繋される。
ベクターを構成するDNA配列は、多数の供給源から利用可能である。主鎖ベクターおよび制御系は一般に、構築に際して配列の嵩のために用いられる利用可能「宿主」ベクター上に見出される。典型的配列は、前記されている。関連コード配列に関しては、初期構築は、cDNAまたはゲノムDNAライブラリーから適切な配列を取り戻すという課題であり得るし、通常はそうである。しかしながら配列が一旦開示されると、個々のヌクレオチド誘導体から出発してin vitroで全遺伝子配列を合成することができる。相当の大きさの長さ、例えば500〜1000 bpの遺伝子またはcDNAに関する全配列は、デオキシリボヌクレオチド三リン酸塩の存在下でDNAポリメラーゼを用いて、個々の重複相補的オリゴヌクレオチドを合成し、一本鎖化非重複部分に充填することにより調製され得る。このアプローチは、既知の配列のいくつかの遺伝子の構築に首尾よく用いられてきた(例えば、Edge, M.D., Nature (1981) 292: 756; Nambair, K.P., et al., Science(1984) 223:1299; Jay, Ernest J Biol Chem (1984) 259:6311参照)。
合成オリゴヌクレオチドは、Edge, M.D., Nature (上記)およびDuckworth, et al., Nucleic Acids Res (1981) 9:1691により記載されたようなホスホトリエステル法により、またはBeaucage, S.L., and Caruthers, M.H., Tet Letts (1981) 22:1859およびMatteucci, M.D., and Caruthers, M.H., J Am Chem Soc (1981) 103:3185に記載されているようなホスホロアミダイト法により調製され、そして市販の自動オリゴヌクレオチド合成機を用いて調製され得る。アニーリング前のまたはラベリングのための一本鎖のキナーゼ処理は、50mMのトリス、pH7.6、10mMのMgCl2、5mMのジチオトレイトール、1〜2mMのATP、1.7y pmolのγ32P−ATP(2.9 mCi/mmol)、0.1mMのスペルミジン、0.1mMのEDTAの存在下で、余分量の、例えば1 nmolの基質に対して約10単位のポリヌクレオチドキナーゼを用いて成し遂げられる。
所望のベクターの構成成分が利用可能になれば、標準制限および結繋手法を用いて、それらは切り取られ、結繋され得る。
部位特異的DNA切断は、当業界で一般に理解されている条件下で、適切な制限酵素(単数または複数)で処理することにより実施され、それらのうちの特殊なものは、これらの市販の制限酵素の製造により特定される(例えば、New England Biolabs, Product Catalog参照)。概して、約20μlの緩衝液中の1単位の酵素により、約1μgのプラスミドまたはDNA配列が切断される。本明細書中の実施例では、典型的には余分量の制限酵素を用いて、DNA基質の完全消化を保証する。37℃で約1時間〜2時間のインキュベーション時間が実行可能であるが、しかし変動は耐容され得る。各インキュベーション後、フェノール/クロロホルムを用いた抽出によりタンパク質は除去され、その後エーテル抽出されて、エタノールを用いた沈降により水性分画から核酸が回収される。所望により、標準技法を用いたポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲル電気泳動により、切断断片のサイズ分離が実施され得る。サイズ分離の一般的説明は、Methods in Enzymology(1980) 65: 499-560に見出される。
制限切断断片は、50mMのトリス、pH7.6、6mMのNaCl、6mMのMgCl2、6 mMのDTTおよび0.1〜1.0 mMのdNTP中で20℃〜25℃で約15〜25分のインキュベーション時間を用いて、4デオキシヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)の存在下で、大腸菌DNAポリメラーゼIの大型断片(Klenow)で処理することにより平滑末端化され得る。クレノウ断片は5‘一本鎖オーバーハングを埋めるが、しかし4dNTPが存在しても、突出3’一本鎖はバラバラにする。所望により、選択的修復は、オーバーハングの性質により決定される制約内でdNTPのうちの1つだけまたは選定dNTPを供給することにより実施され得る。クレノウによる処理後、混合物はフェノール/クロロホルムで抽出され、そしてエタノール沈降される。S1ヌクレアーゼまたはBAL−31を用いた適切な条件下での処理は、任意の一本鎖化部分の加水分解を引き起こす。
結繋は、以下の標準条件および温度下で、15〜50μl容積中で実施される:例えば、20mMのトリス−Cl、pH7.5、10mMのMgCl2、10mMのDTT、33μg/mlのBSA、10mM〜50mMのNaClおよび0℃で40μMのATP、0.01〜0.02(Weiss)単位のT4DNAリガーゼ(「付着末端」結繋用)あるいは14℃で1 mMのATP、0.3〜0.6(Weiss)単位のT4DNAリガーゼ(「平滑末端」結繋用)。分子間「付着末端」結繋は、通常は33〜100μg/mlの総DNA濃度(5〜100 Nmの総最終濃度)で実施される。分子間平滑末端結繋は、1μM総最終濃度で実施される。
「ベクター断片」を用いるベクター構築において、ベクター断片は普通は、5‘ホスフェートを除去し、ベクターの自己結繋を防止するために、細菌アルカリ性ホスファターゼ(BAP)または仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(CIP)を用いて処理される。消化は、約1単位のBAPまたはCIP/ベクター1μgを用いて、60℃で約1時間、約10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA中でpH8で実行される。核酸断片を回収するために、調製物はフェノール/クロロホルムで抽出され、エタノール沈降される。あるいは、再結繋は、付加的制限酵素消化および/または望ましくない断片の分離により二重消化されるベクターにおいて防止される。
配列修飾を要するcDNAまたはゲノムDNA由来のベクターの部分に関しては、部位特異的プライマー指示突然変異誘発が用いられ得る(Zoller, M.J., and Smith, M. Nucleic Acids Res (1982) 10:6487-6500およびAdelman, J.P., et al., DNA (1983)2:183-193)。これは、突然変異化される一本鎖ファージDNAと相補的なプライマー合成オリゴヌクレオチドを用いて実行されるが、但し、限定不適正は所望の突然変異を表す。要するに、合成オリゴヌクレオチドは、ファージと相補的な鎖の合成を指図するためのプライマーとして用いられ、その結果生じる部分的または完全二本鎖DNAはファージ支持宿主細菌中で形質転換される。形質転換化細菌の培養は、上部寒天中でプレート化されて、ファージを保有する単一細胞からのプラーク形成を可能にする。
理論的には、新しいプラークの50%が、一本鎖として、突然変異化形態を有するファージを含有する。50%はオリジナル配列を有する。その結果生じるプラークは、抽出物の結合を適正にさせるが、しかしオリジナル鎖との不適正は結合を防止するのに十分である洗浄温度でのキナーゼ処理合成プライマーとのハイブリダイゼーション後に洗浄される。プローブとハイブリダイズするプラークは次に摘み取られ、培養され、そしてDNAが回収される。
構築の確認
プラスミド構築のための的確な結繋は、M.Casadaban博士(Casadaban, M., et al., J Mol Biol (1980) 138:179-207)から入手した大腸菌MC1061株またはその他の適切な宿主を結繋混合物で先ず形質転換することにより確証され得る。当業界で理解されているように、プラスミド構築の様式によって、その他のマーカーを用いることにより、アンピシリン、テトラサイクリンまたはその他の抗生物質により、うまくいった形質転換体を選択する。次に、形質転換体からのプラスミドを、Clewell, D.B., et al., Pro. Natl. Acad. Sci.(USA) (1969) 62:1159の方法により、任意にクロラムフェニコール増幅(Clewell, D.B. J Bacteriol (1972) 110:667)後に、調製する。いくつかのミニDNA標本は、一般的に用いられる(例えば、Holmes, D.S., et al., Anal Biochem Acids Res (1979)7:1513-1523)。単離DNAは、制限により分析されおよび/または、Messing, et al., Nucleic Acids Res (1981) 9:309によりさらに記載されているようにSanger, F., et al., Pro. Natl. Acad. Sci.(USA) (1977) 74:5463のジデオキシヌクレオチド法により、あるいはMaxam, et al., Methods in Enzymology (1980) 65:499の方法により、シーケンシングされる。
宿主例
本明細書中のクローニングおよび原核生物発現に用いられる宿主下部は、以下の通りである:
クローニングおよびシーケンシングのために、およびほとんどの細菌プロモーターの制御下での構築の発現のために、大腸菌株、例えばMC1061、DH1、RR1、C600hfl、K803、HB101、JA221およびJM101が用いられ得る。
3.初乳中のSAAの発見に基づいた検定
初乳中の特定の構成的発現形態のSAAの発見は、生物学的流体(例えば初乳および乳)の混合物を含有する試料中の初乳の存在を検出する新規の方法を可能にする。例えばSAAは、正常乳腺組織からの初乳中では上昇し、乳中では上昇しないため、乳試料中の測定初乳SAAを用いて、乳から初乳を弁別し得る。したがって、初乳を含有する乳を有するのが望ましくない場合(いくつかの国はこの実行のための法律を有する)、前記のような免疫学的またはハイブリダイゼーション検定を用いて、初乳汚染乳を検出し得る。したがって、初乳を含有する乳を有するのが望ましくない場合には、前記のような免疫学的またはハイブリダイゼーション検定を用いて、初乳汚染乳を検出し得る。
初乳SAAは、種々のその他の目的のためにも用いられ得る。これらの例としては、(1)腸または血管系を通り抜ける分子の送達のための担体、(2)新生児における腸粘膜の発達のための影響供給、ならびに(3)免疫応答のレギュレーター(注射または経口投与による)が挙げられるが、これらに限定されない。
4.医薬製剤
本発明によって、本発明の初乳関連SAA、特にその活性部位(TFLKモチーフ)が小腸におけるムチン産生を刺激することを、出願人は発見した。これは、ムチンが腸感染の予防および治療に重要な役割を有することが示されているので有意であり、そして多数の共生物質がムチン産生の誘導により作用する(Mack et al., “Probiotics inhibit enteropathogenic Esherechia coli adherence in vitro by induding intestinal mucin gene expression”, 1999, Am J Physiol, 4Part 1 G941-950参照)(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。したがって本発明は、初乳関連SAAを含む動物のための医薬製剤も包含する。製剤組成物の用量および投与スケジュールが投薬等よりむしろ動物の年齢、健康状態、性別および体重によって変化する、と医学業界の当業者は容易に理解する。これらのパラメーターは、十分確立された手法および例えばI、IIおよびIII期における分析により各系に関して確定され得る。
投薬のために、初乳関連SAAは製薬上許容可能な担体、例えば適切な液体ビヒクルまたは賦形剤、ならびに単数または複数の任意の補助添加剤と併合され得る。液体ビヒクルおよび賦形剤が慣用的であり、市販されている。それらの実例は、蒸留水、生理食塩水、デキストロースの水性溶液等である。
概して、活性化合物のほかに、本発明の製剤組成物は、製薬的に用いられ得る調製物中への活性化合物の加工を促す適切な賦形剤および助剤を含有し得る。直腸的に投与され得る調製物としては、座薬が上げられる。その他の投薬形態としては、非経口的または経口的投与に適した溶液、および頬または舌下に投与され得る組成物が挙げられる。
本発明の医薬製剤は、それ自体当業界で周知の方法で製造される。例えば医薬製剤は、慣用的混合、造粒、糖衣錠製造、溶解、凍結乾燥法により製造され得る。用いられる方法は、最終的には用いられる活性成分の物理的特性によっている。
適切な賦形剤は、特に充填剤、例えば糖、例えばラクトースまたはスクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、ならびに結合剤、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプンを用いたデンプンペースト、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドンである。所望により、崩壊剤、例えば前記のデンプン、ならびにカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天あるいはアルギニン酸またはその塩、例えばアルギニン酸ナトリウムが付加され得る。助剤は、流動調節剤および滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウムおよび/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠コアは、所望により胃液に耐性であり得る適切なコーティングとともに提供される。
この目的のために、任意にアラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含有し得る濃縮糖溶液が用いられ得る。胃液に耐性のコーティングを生成するために、適切なセルロース調製物、例えばアセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、染料および顔料の溶液が、例えば同定のために、あるいは化合物用量の異なる組合せを特性化するために、糖衣錠に付加され得る。
経口的に用いられ得るその他の医薬製剤としては、ゼラチン製のプッシュ−フィットカプセル、ならびにゼラチン製の軟質密封カプセルおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールが挙げられる。プッシュ−フィットカプセルは、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプンおよび/または滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、そして任意に安定剤と混合され得る顆粒形態の活性化合物を含有し得る。軟質カプセル中では、活性化合物は好ましくは適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁される。さらに安定剤が付加され得る。直腸的に用いられ得る考えられる医薬製剤としては、例えば座薬が挙げられるが、これは活性化合物と座薬基剤の組合せから成る。適切な座薬基剤は、例えば天然または合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素,ポリエチレングリコールまたは高級アルコールである。さらに、活性化合物と基剤の組合せから成るゼラチン直腸カプセルの使用も考えられる。考え得る基剤材料としては、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールまたはパラフィン炭化水素が挙げられる。
非経口投与のための適切な処方物としては、水溶性または水分散性形態の活性化合物の水性溶液が挙げられる。さらに適切な油状注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液が投与され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、あるいは合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエートまたは採りグリセリドが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質を含有し、その例としては、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランが挙げられ、任意に懸濁液は安定剤も含有し得る。
慣用的担体を伴う投与のほかに、活性成分は、当業者に既知の種々の特殊送達薬技法により投与され得る。以下の実施例は説明のためだけに示されており、どの点においても本発明を限定するものではない。
本明細書中で用いる場合、「有効量」とは、本明細書中に開示した方法およびプロトコールにより測定した場合に粘膜細胞への病原体の付着が低減されるよう、ムチン産生を増大するのに十分な初乳関連SAAの量を意味する。
本発明によれば、新規の初乳関連SAA、ならびに特にそのTFLKモチーフ活性部位は、ムチン産生を、特にMUC3を刺激することが示されている。ムチン産生は大腸菌の付着を抑制することが示されており、それを実行する共生作因は、ムチンの刺激により作用することが示されている。初乳関連SAAおよび/またはペプチドは、共生物質として用いられ得る。
腸感染におけるムチンの意義は、感染生物体が疾患を引き起こすのに必要な事象を防止するそれらの能力にある。
ムチンは小腸上皮細胞により産生され、それらの表面に分泌される。したがってムチンは戦略的に腸の上皮細胞と、腸管中に摂取された攻撃作因(即ち感染作因、有害物質)との間に位置する。
ムチンは腸管の上皮細胞への細菌の付着も抑制する。腸の生細胞との細菌の結合は、侵襲、毒素送達および下痢性疾患の発症の第一段階である。腸病原体の結合が抑制される場合には、疾患は発症しない。
ムチンはウイルスの複製を抑制することが示されている。
ムチンは、腸の固有の免疫および塩基性防御系の一部である。したがって抗体/T細胞駆動後天性免疫系との比較に際して、ムチンは以下のような利点を提供する:攻撃作因に対する間接的または迅速誘導可能応答、広範囲の作用、局所的有効性、動物界全体で無傷。
ムチン産生増大は、小腸細胞の外側に影響を及ぼすことにより可能である。
感染作因によるムチン分泌増大は、周知の臨床的現象である。ムチンは感染性腸細菌が小腸細胞に付着するのを抑制し、したがって感染を防止する。これは、普通は細胞に付着するのに用いられる細菌の壁上の構造へのムチン付着により成し遂げられる。共生細菌(非感染性細菌)は腸管を裏打ちする上皮細胞への感染性腸細菌の付着を防止する。共生細菌からの分泌物質は、より多くのムチンを腸細胞に産生させる。これが、共生作因が感染を防止するメカニズムである。
初乳関連SAAは哺乳類種の初乳中に存在し、乳腺の管状上皮細胞により産生される、ということを出願人は実証した。さらにアミノ酸配列分析により、初乳関連SAAの一部が多数の動物種の間に保存されることが明示された。出願人は、分子の保存領域であるTFLKモチーフを含有するウシ初乳関連SAAから10アミノ酸ペプチドを合成した。このペプチドは、ムチン産生に関与する遺伝子を活性化することにより、小腸から単離された細胞中のMUC3の産生を増大する。小腸ムチン遺伝子はこのペプチドにより非常に迅速に(30分以内)作動される、ということを出願人は示した。さらにこのペプチドによるムチン産生の増大は、小腸細胞周囲のその濃度に関連する。実験は、低濃度の初乳関連SAAペプチドはムチン産生の増大を生じないが、一方多すぎる初乳関連SAAペプチドはムチンの遺伝子駆動性産生を低減することを示す。この現象は生物学的系においては非常に一般的であり、それが特定用量依存性作用であることを示す。初乳関連SAAペプチド内の4つのアミノ酸領域「TFLK」および4つのアミノ酸の特定順序は、ムチン産生刺激に関与する。独特の初乳関連SAA領域に無関係なアミロイド分子のその他のペプチドはムチン産生を刺激しない、ということが示されている。
これは、多数の腸病変、例えば旅行者下痢に対するこのペプチドの製薬的適用を実証する。多数の感染生物体は実際地理学的であり、それら自体の領域外の旅行者は、通常はこれらの生物体にそれまで曝露されたことがなく、したがってそれらに対する免疫が発達していない。多数の人々は旅行前に抗生物質を摂取するが、しかしいくつかの抗生物質は有害副作用を有し、さらに生物は多数の抗生物質に対して耐性になる。
もうひとつのその他の考え得る用途は、特に軍隊のための赤痢およびその他の感染性疾患の予防である。ワクチン開発は、例えば新兵のワクチン接種の失敗(炭疽菌ワクチン)ならびにワクチンの市場からの除去をもたらしているワクチン接種により引き起こされた疾患(ロタウイルスワクチン)といった問題を提示している。初乳関連SAAは、腸関連感染を低減または防止するための迅速、安全且つ有効な手段である。
別の例としては、乳児下痢の予防または治療が挙げられる。母乳乳児は調合乳乳児よりはるかに感染が少ない。初乳は乳児に有益な天然物質であり、初乳関連SAAは初乳の構成成分であるため、それは調合乳へのきわめて大切な天然付加物である。このような調合乳は一般に、例えばインファメルTM、シミラックTM、カーネーショングッドスタートTMおよびベルベルTMとして市販されている。共生物質は、ウイルス性下痢の重症度を低減し、回復時間を単種つくすることが示されている。したがって、初乳関連SAAに関するもうひとつの用途は、この症状を有する小児に対してであり、これは入院日数および経費を低減することにより経済的影響も有する。
さらに別の例としては、壊死性腸炎(NEC)の予防または治療が挙げられる。これは、未熟児に起こる重篤合併症である。目下用いられている種々の生殖技術により、未熟児数が急増した。NECのための治療は、この20〜30年間、旧態依然としている。未熟児の腸内の細菌はNECの発症に大きな役割を有しているため、この症状の治療は、乳児を栄養補給、強力な抗生物質の投与から遠ざけて、そして腸が穿孔しないよう願うことである。
別の例としては、溶血性尿毒症症候群による死を引き起こし得る大腸菌O157:H7発生の発生領域における下痢の予防が挙げられる。ムチン産生が上皮細胞への大腸菌の付着を防止し、したがってこの感染を防止する、ということをわれわれは示した。
さらに別の例としては、尿路感染の治療および予防が挙げられる。膀胱上皮細胞は小腸上皮細胞と非常によく似ており、ムチンを産生し得る。したがって、尿カテーテルを有する入院患者を含めた尿路感染の予防も、本発明の製剤組成物の一用途である。
さらに別の例としては、飼料からの抗生物質の除去を可能にするための家畜動物における感染性下痢の予防のための獣医学が挙げられる。
本開示は小腸ムチン上向き調節を含むが、他の粘膜表面(例えば鼻咽頭、膀胱等)を裏張りする上皮細胞もムチンを産生する。これらのムチンは小腸ムチンと同様に感染を防止するよう機能し、本発明の治療のための有効な標的である。
本発明をさらに詳細に説明するために、以下の実施例を提供する。それらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1
血清、初乳および乳漿中のSAAの比較分析
この試験の目的は、乳腺炎無症候性および症候性ウシにおいて、初乳および乳漿中のSAAレベルが血清SAAレベルに対応するか否かを確定することであった。
初乳、乳漿および血清試料は、蓄牛にグラム陽性生物に対するワクチン接種を施した試験モデル研究から得た。2組の試料を用いた:一方の組(4頭)は乳腺炎の臨床症状を示すワクチン接種動物からで、他方の組(5頭)は臨床症状を示さないワクチン接種動物からであった。試料名を以下に示す:
ワクチン接種−無臨床症状(NC)
NCウシA
NCウシB
NCウシC
NCウシD
NCウシE
ワクチン接種−臨床症状(C)
CウシA
CウシB
CウシC
CウシD
乳漿/初乳試料は、臨床症状を示す1/4から得た。
ウシSAAアイソフォームと交差反応するラット抗SAA(ヒト)モノクロナール抗体を用いて、例えばMcDonald等(J. Immunol. Meth. 144: 149-155, 1991)による記載と同様に標準プロトコールにしたがってELISA検定を実行した。結果を表1に示す:
表1:ウシ乳腺炎血清、乳漿および初乳SAA値の比較
Figure 2006296431
Figure 2006296431
表1に記載した結果からわかるように、試験した動物の80%において、出産時に、SAAは高レベルでウシの初乳中に存在した。14日後のほとんどの臨床的に健常なウシの乳漿試料中では、SAAは検出されなかった。初乳および乳漿中のSAAレベルは、SAAの血清レベルとは無関係であった。対照ウシの出産時のSAAの血清レベルは正常であった(15μg/ml)が、一方、出産時の初乳中の平均レベルは約300 μg/mlであった。1頭のウシでは、初乳SAAは1100μg/mlと高かった。乳腺炎試験ワクチン接種ウシCCは、非常に高レベルのSAAを示したが、しかし乳漿試料中のSAAはほぼ正常であった。ワクチン接種試験ウシCDは、血清中および乳漿中で高レベルのSAAを示した。
実施例2
初乳およびその後の連続牛乳サンプリング中のSAAの評価
この試験の目的は、初乳およびその後の連続牛乳サンプリングを評価して、SAA含量を確定することであった。試料は、ネブラスカ大学Lincoln Dairy Research Facilityのホルスタイン酪農牛から得た。出産時に初乳の試料を採取し、その後の牛乳試料は週2回、3週間採取した。乳房四分円の4つすべてからの試料をプールした。結果を表2に示す。
表2:初乳および牛乳試料中のSAAレベル
Figure 2006296431
結果は、SAAは正常動物の初乳中で高かったが、しかし初乳がなくなった後の正常牛乳試料中では非常に低レベルであるかまたは検出されなかった。
実施例3
初乳からのSAAの精製
下記の手法は、任意の動物種からの血清、血漿、乳または初乳からのSAAの精製のために用い得る。本手法は、2つの基本段階からなる:疎水性クロマトグラフィーによりSAAを約20%純度に精製する。次に、SDS−PAGEおよび電子ブロッティングにより、さらに約95%純度に精製する。
約10容積(300 ml)の水でそれを洗浄して、約30 mlのオクチルセファロースCL−4B(Pharmacia #17-0790-01)を調製して、あらゆる微量エタノールを除去した。これは、焼結ガラス漏斗(粗製、漏斗容積600 ml)中でのゲル洗浄により、またはビーカー中のゲルへの水の付加と、その後、ゲルを沈降させた後、水を注ぎだしてゲルを再洗浄することにより、実行し得る。
ゲルの最終洗浄(2x4 ml)は、0.5 M硫酸アンモニウムの溶液を用いた。
脂質部分は精製手法を妨げると思われたため、使用前に、初乳を4℃で放置して、脂質層を水性相から分離させた。硫酸アンモニウムを注ぎだした後、高レベルのSAA(好ましくは>1μg/ml)を含有する20 mlの4℃冷蔵初乳をゲル(ビーカー中)に付加した。初乳とゲルの懸濁液を室温での1時間インキュベーション中数回書きませて、SAAをゲルと結合させた。
次にゲルを600 mlの焼結ガラス漏斗(粗製)に注ぎ入れて、非結合分画を収集した。この非結合分画を、SAAに関して試験して、結合効率を確定し得る。
ゲルを50 mlの50 mMトリス、10 mMNaCl緩衝液、pH7.6で5回洗浄した。最終洗浄液は透明になる必要がある。
カラムを、トリス/NaCl中の2x50 mlの30%イソプロパノールでさらに洗浄した。これらの洗浄は、10ゲージ針を用いた注射器を用いてイソプロパノール/緩衝液をゲル上に射出した場合はほぼ完全であった。この手法を後に用いた場合、ゲルは完全に混合された。
トリス/NaCl中の60%イソプロパノールの溶液を用いて、ゲルからSAAを溶離した。一般に、これは各々10 mlの4つの溶離液中で実行した。
溶出液は種々のタンパク質を含有下。そのうち約20%がSAAであった。SAAが薄すぎる試料では、遠心分離濃縮機(RC 1010, Jouan Inc.)でイソプロパノールを蒸発させて、それを濃縮した。
シーケンシングまたはアミノ酸分析のためにさらに精製するために、SDS−PAGEにより溶出液中のタンパク質を分離して、電子ブロッティングによりPVDF膜に移した。
SAA特異的抗体によりSAAと同定された帯域を次に切り出して、シーケンシングのために用いた。
実施例4
初乳関連SAAcDNAの単離
RNA単離:メーカー推奨にしたがってTRIZOL(Gibco BRL)を用いて、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)用の全RNAを哺乳類乳腺上皮細胞から単離した。1%(重量/容量)アガロースゲル上での分別およびその後の臭化H時有無染色により、RNAの完全性を調べた。
一次鎖cDNA合成:本質的にメーカーが記載したとおりにスーパースクリプトII RNアーゼH−逆転写酵素(Gibco BRL)を用いて、一次鎖cDNA合成を実施した。要するに,5μgの総RNAをRNアーゼ無含有滅菌水および20μMのCDNA1−T14プライマー(5’-GTTGTCGACTGTAGTGGAGT14-3’)(配列番号14)と一緒に混合して、12μLの最終容積を得た。反応混合物を75℃で10分間インキュベートした後、室温で10分間インキュベートした。次に混合物を氷上に載せながら、4 μLの5x一時標準緩衝液(Gibco BRL)、2Μlの0.1 MDTTおよび1Μlの10mMdNTPミックス(10mMdATP、10mMdGTP、10mMdCTPおよび10mMdTTP、中性pH)を付加した。反応内容物を静かに混合し、42℃で2分間インキュベートした。スーパースクリプトII RNアーゼH−逆転写酵素(200単位)を反応に付加した。静かに混合後、反応物を42℃で1時間インキュベートした。混合物を70℃で15分間加熱することにより、逆転写酵素を不活性化した。cDNAと相補性のRNAを除去するために、2単位の大腸菌RNアーゼH(Gibco BRL)を付加し、混合物を37℃で20分間インキュベートした。反応混合物を、二次cDNA合成のために必要とされるまで、−20℃で保存した。
二次鎖cDNA合成およびポリメラーゼ連鎖反応:それぞれのDNAポリメラーゼに関して各々メーカーの推奨にしたがって、プラチナTaqDNAポリメラーゼ高忠実度(Gibco BRL)またはAmpliTaqDNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems)を用いて、二本鎖cDNAの二次鎖cDNA合成および増幅を実施した。プラチナTaqDNAポリメラーゼ高忠実度とのPCR反応物(50μL)は、前記の5μgのcDNA、20μMの前方プライマー、20μMの逆プライマー、5μLの10x高忠実度PCR緩衝液(Gibco BRL)、1μLの10mMdNTPミックス、2μLの50mM硫酸マグネシウム、1単位のプラチナTaqDNAポリメラーゼ高忠実度(Gibco BRL)、ならびに最終容積を50μLにするための滅菌水を含有した。プラチナTaqDNAポリメラーゼ高忠実度(Gibco BRL)による熱循環パラメーターは、40サイクルで94℃で30分間、45〜56℃で25〜30秒,ならびに50℃で1〜4分であった。
AmpliTaqDNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems)を用いたPCR反応(50μL)は、前記の5μgのcDNA、20μMの前方プライマー、20μMの逆プライマー、15mMの塩化マグネシウムを含有する5μLの10xGeneAmp緩衝液(PE Applied Biosystems)、1μLの10mMdNTPミックス、1.3単位のAmpliTaqDNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems)、ならびに最終容積を50μLにするための滅菌水を含有した。AmpliTaqDNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems)による熱循環パラメーターは、熱スタートで開始して、40サイクルで95℃で1分間、50℃で30秒,ならびに72℃で1分、次に72℃で15分を1サイクルであった。
初乳関連SAAアミの末端およびトリプシン消化断片から得たアミノ酸配列を逆翻訳することにより、初乳関連SAAcDNAのPCR増幅に適した初期オリゴヌクレオチドプライマーを設計した(図2参照)。前方縮重プライマーF1C(5’-ACNTTYCTNAARGARGCNGGNCA-3’)(配列番号15)および逆縮重プライマーR3B(5’-GAAGTGRTTGGGTCTTTGCCACT-3’)(配列番号16)(これらは成熟初乳関連SAAタンパク質中のそれぞれアミの末端残基TFLKEAGQ(配列番号17)およびカルボキシ末端残基SGKDPNF(配列番号18)に対応する)を、初乳関連SAAに関する300 bp中間cDNA配列の初期増幅のためのPCRに用いた。初乳関連SAAに関する5‘cDNA配列は、PCRとその後の前方プライマーM5RT2(5’-AGCACAGGCAGCTCAGCTTCACCAGGA-3’)(配列番号19)および逆プライマーM5GW2(5’-GAAGTATTTGTCTGCACCCCTGTAGTTGGCTTCTT-3’)(配列番号20)を用いたDNAシーケンシングにより得た。M5RT2プライマーは、GenBankに寄託したSAAcDNA配列を基礎にし、M5GW2は前記の300 bp初乳関連SAAcDNA配列を基礎にした(図2参照)。初乳関連SAAに関する3‘cDNA配列は、PCRとその後の前方プライマーM3GW2(5’-CTGTTTAAGGGTATGACCAGGGACCAGGTACG-3’)(配列番号21)および逆プライマーCDNA1(5’-GTTGTCGACTGTAGTGGAG-3’)(配列番号22)を用いたDNAシーケンシングにより得た。M3GW2プライマーは、前記の300 bp初乳関連SAAcDNA配列を基礎にし(図2参照)、CDNA1プライマーは、一次鎖cDNA合成に用いたプライマーCDNA1−T14の最初の19ヌクレオチドと同一であった(CDNA1−T14に関する前記参照)。
初乳関連SAAcDNAのクローニング:縮重オリゴヌクレオチドF1CおよびR3Bを使用して、AmpliTaqDNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems)を用いて結果的に生じた300bpRT−PCR産物を、メーカーの推奨にしたがって、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いてアガロースゲル精製し、pCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中でクローン化した。Invitrogenの推奨どおりに、TOPOクローニング反応物を大腸菌TOP10中で形質転換させて、50μg/mLカナマイシンおよびX−Galを含有するLuria-Bertani上でプレート化した。PCRでM13前方(−20)およびM13逆プライマーを用いて、推定陽性コロニーをスクリーニングした。2%(重量/容量)アガロースゲル中で再増幅挿入物を分別し、適切なDNAサイズマーカーとともに臭化H時有無染色により可視化した。
初乳関連SAAcDNAのDNAスクリーニングおよびコンピューター分析:クローン化300bp初乳関連SAAcDNA配列を、高忠実度PCRでM13前方(−20)およびM13逆プライマーを用いて再増幅した。M5RT2/M5GW2およびM3GW2/CDNA1プライマー対をそれぞれ用いて、高忠実度RT−PCRで、初乳関連SAA配列の5‘および3’領域を再増幅した。その結果生じたアンプリコンを、QIAquickPCR精製系(Qiagen)を用いて精製し、自動ABI377DNAシーケンサーでアイオワ州立大学(Ames, IA)のDNAシーケンス施設により、両方向にシーケンシングした。SP6およびT7−2プライマーを、クローン化300bp初乳関連SAAcDNAのシーケンシングに用いた。プライマーM5RT2およびM5GW2は、初乳関連SAAcDNAの5‘領域のシーケンシングのために、そしてプライマーM3GW2およびCDNA1は初乳関連SAAcDNAの3‘領域のシーケンシングのために用いた。Wisconsin Genetics Computer Group (GCG) Package Version 10.1(Madison, WI) SeqEd、PileUpおよびBLASTXプログラムを用いて、DNA配列を分析した。SignalP(バージョン1.1)プログラム(Nielsen et al., 1997)を用いて、網の末端信号ペプチド切断部位を同定した。
ウシ乳腺上皮細胞による初乳関連SAAおよび急性期SAAmRNA発現のRT−PCR検出:前記で詳述したように、存在するmRNAからの一次鎖合成のためにプライマーCDNA1を用いて、その後、二次鎖合成および増幅のためにプライマーF1CおよびR3Bを用いて、ウシ乳腺上皮細胞から300bpRT−PCR産物を得た。図は、この300bpRT−PCR産物から得たヌクレオチド配列を示す。このヌクレオチド配列は、初乳関連およびウシ乳腺関連SAAアイソフォームから得たペプチドシーケンシングデータと相関した(図2参照)。
前方縮重プライマーF2(5’-GACATGTGGMGAGCCTACTCYGACATG-3’)(配列番号23)および逆縮重プライマーR3B(前記)を、A−SAAcDNAの増幅のためのRT−PCRに用いた。前方プライマーF2は、急性期SAA(A−SAA)タンパク質(SWISS-PROT寄託番号P35541)中のアミの末端残基DMWRAYSDM(配列番号24)に対応し、そして逆プライマーR3Bは、A−SAAタンパク質および初乳関連SAAタンパク質の両方におけるカルボキシ末端残基SGKDPNHF(配列番号25)に対応する。その結果生じた267bpcDNA配列のその後のクローニングおよびヌクレオチドシーケンシングは、初乳関連SAAcDNAと相関したが、これは、初乳関連SAAおよび非A−SAA転写体が存在したことを示唆する。
制限エンドヌクレアーゼXhoI部位は、ウシA−SAAのcDNA配列中に存在することが判明した(データは示されない)が、ウシ初乳関連SAAのcDNA中には見出されなかった。前記の300bpおよび267bpcDNA配列のXhoI制限エンドヌクレアーゼ消化は、これら2つのRT−PCR産物のいずれも切断しなかった。この結果はSらに、初乳関連SAAおよび非A−SAAmRNAのみがウシ乳腺上皮細胞により転写されることを示唆した。
初乳関連SAAおよび非A−SAAmRNAがウシ乳腺上皮細胞により発現されたことをさらに立証するために、前方初乳関連SAA特異的プライマーM3GW2(前記および図2)および逆CDNA1プライマー(前記)を再びRT−PCRに用いた。さらに成熟A−SAA中の残基FKGTTSGQGQ(配列番号27)に対応する前方A−SAA特異的プライマーS3GW1(5’-TAAGGGTACGACCAGTGGCCAGGGTCA-3’)(配列番号26)および逆CDNA1プライマー(前記)をRT−PCRに用いた。しかしながら、前方A−SAA特異的プライマーおよび逆CDNA1プライマーを用いてRT−PCR産物は観察されず、ウシ乳腺上皮細胞による発現は認められないかまたは低量のA−SAAmRNA発現が生じることを確証した。
実施例5
ウシMAC−T乳腺上皮細胞による初乳SAA産生
ウシMAC−T乳腺上皮細胞をATCC(CRL-10274)から入手して、推奨条件にしたがって培養した(Turner, JD and Huynh H.Immortalized bovine mammary epithelial cell line。米国特許第5,227,301号(1993年7月13日))。10%ウシ胎仔血清(FCS)、5μg/mlインスリン、1μg/mlヒドロコルチゾンおよびフンジゾンを補充したダルベッコの変法培地(DMEM)上で、MAC−T細胞を培養した。5%CO2を用いて37℃で細胞をインキュベートした。初乳SAA産生のために、細胞をI型コラーゲン被覆プレート上に植え付けた。14時間インキュベーション後、細胞をダルベッコのリン酸塩緩衝食塩水(DPBS)で2回洗浄し、初乳SAA産生刺激のためにヒツジ上皮小体からのプロラクチン(5μg/ml)を補充した培地(DMEM,5μg/mlインスリン、1μg/mlヒドロコルチゾンおよび2.5%FCS)中でインキュベートした。およそ半分の培地を毎日プロラクチン補充培地と取り替えた。SAAの定量のための標準ELISA(図3)を用いて、初乳SAAの存在に関して、異なる日に収集した増殖培地のアリコートを検定した。
プロラクチンを補充した培地中に細胞を41日間保持した。初乳SAA産生レベルは、ほぼ3000 ng/mlの最大に達した。
細胞培養液からの初乳関連SAAの精製 アフィニティークロマトグラフィーにより、細胞培養液から初乳SAAを精製した。要するに、SAAに対する特異性を有するモノクローナル抗体を臭化シアン活性化セファロース4Bと結合させることにより、アフィニティーカラムを調製した。カラムを50mMのトリス、0.1NaCl、0.2 Mグリシン、pH8、緩衝液で処理して、ゲル上の残留活性基をブロッキングした。次にカラムを50Mmトリス、0.1 MNaCl、pH7.2緩衝液で洗浄して、余分の非結合タンパク質を除去した。約50 mlの培養液をカラムに通した。カラムをトリス−NaCl緩衝液で洗浄して、カラム中に閉じ込められていたあらゆる非結合タンパク質を除去した。次に、0.1 Mグリシン−HCl、pH2.8を用いてカラムからタンパク質を溶離した。分画を直ちに中和した。ELISAにより全分画を検定して、最大量の初乳関連SAAを含有する分画を確定し、ウエスタンブロットにより分画の総タンパク質含量も査定した(図4)。
精製タンパク質のアミノ酸配列の確定 最大量の初乳SAAを含有する分画を12%SDS−PAGEに付して、ミニトランスブロット系(Bio-Rad Laboratories)によりPVDF膜上で電気泳動的転写を実行した。膜上の一レーンの切片を切り出して、SAAに対するモノクローナル抗体で染色して、初乳SAAの存在を立証した。残りの膜は、0.5%(重量/容量)ブロムフェノールブルーを含有するメタノール:水(40:60)の溶液中で5分間染色し、メタノール:水(50:50)の溶液中で脱色した。初乳SAAタンパク質(モノクローナル抗体染色により同定)を膜から切り出した。pfuピログルタメートアミノペプチダーゼ(TaKaRa Biochemicals)を用いて脱ブロッキングし、その後、エドマン分解を用いてN末端シーケンシングを実行した。シーケンシングは、プロサイス49(University of Nebraska Medical Center’s Protein Core FacilityによるPE-Biosystems製)上で実施した。初乳SAAに関するN末端配列が認められた(図5)。
血清、初乳および細胞培養液からのSAAの等電点電気泳動(IEF) 種々のSAA調製物の等電点電気泳動のために、プロテインIEFセル(BioRad)を用いた。IEFのためには、3〜10のpH範囲を有するReady Strip IPG Strip(BioRad Laboratories)を用いた。IPGストリップを12%SDS−PAGEゲルに付し、PVDF膜上で電気泳動的転写を実施することにより、二次元タンパク質分析を実行した。ストリップおよびブロットは、ブロットの一方がタンパク質染色、クーマシーブリリアントブルー(CBB)で染色され、SAAタンパク質アイソフォームの同定のために他方が抗SAAモノクローナル抗体で染色されるよう、2通りに実行した。各SAAアイソフォームの等電点(pI)が確定され得るよう、試料は内部IEF標準(BioRad Laboratories)も含有した。抗体染色スポットとCBBで染色された標準のスポットを比較することにより、SAAアイソフォームの見かけのpIを確定し得る。これらの手法はすべて、メーカー推奨のプロトコールにしたがって実行した。
IEFおよび2−D分析を施したタンパク質を、細胞培養液に関して前記されているようにアフィニティー精製し、あるいは血清の場合には、疎水性クロマトグラフィーにより半精製しただけであった。SAAは高疎水性分子であり、オクチルセファロースビーズと容易に結合し、次に適切な条件下でマトリックスから溶離され得る。要するに、高SAAレベルの血清を等量のオクチルセファロースCL−4Bゲルと1時間混ぜ合わせて、血清からのタンパク質とゲルとの疎水性結合を可能にした。ゲルをトリス−HCl緩衝液で洗浄して、マトリックス内に閉じ込められていたあらゆるタンパク質を除去した。トリス−NaCl緩衝液中の60%イソプロパノールにより、ゲルと結合したタンパク質を溶離した。これらの溶出液は、種々のタンパク質を含有し、その約20%がSAAである。この調製物のアリコート、あるいは細胞培養液または初乳からのアフィニティー精製初乳SAAをIPGストリップ上に載せて、次に標準手法でIEFおよび2−Dに関して追跡調査した。
染色ゲルを分析後、初乳およびMAC−T細胞培養液の両方からの初乳SAAが8より大きいpIを有することを確定し、9.4〜9.6の見かけのpIを有すると概算した。血清からのSAAは、約7.01、5.8および5.5の見かけのpI地を有する3つのアイソフォームを含有した。初乳SAAのpIに適合するアイソフォームは血清中には認められなかった(図6)。
実施例6
初乳SAAの機能的役割
ヒトの生理学の顕著な特徴は、腸管を裏打ちする粘膜上皮細胞が膨大な数の微生物を接触し、さらに感染および炎症性合併症の発症率が低いということである。これは、局所的宿主防御メカニズムが非常に有効な、広範囲の非炎症性抗菌防御を包含することを示唆する。後天性免疫系が有効応答を生じ、それは数日または数週間という期間に亘っているが、乳児においては、後天性免疫系は未熟で、十分に機能しない。対照して、腸管の固有の免疫系は継続的であり、あるいは腸管に導入される多数の考え得る病原体に対して直ちに誘導可能であって、粘膜上皮細胞と出生時の機能の非常に密接な近似性に気づかされる。腸固有免疫としては、単一無機分子、例えば一酸化窒素からナチュラルキラー細胞までの範囲の最前線宿主防御素子が挙げられる。固有免疫系のエフェクターアームを含む上皮細胞により産生される多数の分子も存在する。これらの例としては、相対的に小型の抗菌性ペプチドおよびより複雑な糖タンパク質分子、例えばムチンが挙げられる。
腸管を含めた多数の器官系の上皮細胞により、ムチンが分泌され、細胞表面高分子量糖タンパク質が合成される。腸管の腸管腔と下層の粘膜上皮細胞との間の戦略的介入は、ムチンが多数の重要な生物学的機能を有することを示唆した。腸管において、ムチンは、ウイルス複製を抑制し、腸管からのウイルス清掃を強化することによりウイルス感染に対して防御する。細菌性病原体は、腸上皮に付着するのを妨げられる。腸内病原体の付着は、その後の侵襲、コロニー形成または毒素送達の重要な第一段階である。ムチンによる腸上皮細胞への腸病原体の付着抑制は、立体的妨害によるものである。出願人の過去の研究および他の人々の研究も、特定のムチン−細菌相互作用が、ムチンが宿主に有益に作用する重要なメカニズムであることを示している。しかしながらそのメカニズムにかかわらず、粘膜感染の予防はムチンの重要な機能である。
異なるムチン遺伝子が同定されており、今日までに、12のヒトムチン遺伝子が同定されている。しかしながらMUC3ムチンは、優性腸ムチンである。MUC3ムチンは、腸内病原体大腸菌(EPEC)の腸上皮細胞への付着を防止するのに有効である、ということがこれまで示されてきた。普通は腸管内でコロニー化する非有害細菌のような作因(即ち共生菌)はEPEC上皮細胞付着を抑制し、腸ムチン遺伝子の上向き調節によりそのようにする、ということも出願人は示した。母乳栄養乳児は調合乳栄養乳児よりはるかに感染性下痢に罹りにくい、ということも周知である。これがなぜそうなのかについての多数の理論が存在するが、しかし乳関連アミロイド(初乳SAA)がMUC3遺伝子発現の重要な誘導物質であり得ると仮定されている。In vitroヒト細胞培養検定系を用いて、MUC3mRNA発現を出願人は評価した。この系では、初乳SAAのN末端ペプチド配列とともにインキュベートした腸細胞が、細胞培地への初乳SAAの付加なしで増殖させた対照細胞と比較した場合、MUC3mRNA発現増大を示した。この知見をさらに調べるために、無作為に増殖させた初乳SAAN末端ペプチド配列ならびにN末端配列の下流の初乳SAAペプチド配列を用いた、同一in vitro検定におけるMUC3発現の評価により、初乳SAAのN末端ペプチド配列の機能的特異性を出願人は評価した。MUC3の発現が増大した場合には、初乳SAAの存在下で増殖した腸細胞は細菌病原体の付着を抑制するさらに大きな能力を有するに違いない。細胞培養中で初乳SAAで予備インキュベートしたin vitro検定系で、EPECを用いて、これを調べた。腸内病原体大腸菌は、第三世界における、そして先進国におけるデイケア環境における下痢の有意の原因であることが認識されている非侵襲性、非毒素産生性病原体である。さらに別の研究は、in vivo試験における初乳SAAの利点を評価し,ヒトEPECと等価の動物EPECを特性化した。初乳関連SAAは、ヒト腸の固有の防御メカニズムを天然に上向き調節するための手段を提供し、第三世界で高頻度に生じすぎて乳児の死をもたらし、先進国では有意の罹患率と経費をもたらす共通の問題に対する新規の治療形態を提供する。さらに、旅行者または衛生習慣が変化する状態で生活しなければならない人々のための腸感染の予防も罹患率を低減する。したがって、この両方は、有効、天然、非薬剤/化学療法を提供する。
初乳SAAの考え得る機能的役割を取り扱うために、出願人は、標準アミノ酸合成機で、保存TFLKを含有する成熟タンパク質のN末端部分を示すウシからの分子の10アミノ酸領域を合成した。ペプチドは、以下のアミノ酸で構成されていた:MWGTFLKEAG(配列番号30)(「N末端」と呼ぶ)。TFLKアミノ酸はペプチドの重要な素子であると思われたため、それら4つのアミノ酸をそれらの順にMWGLTKFEAG(配列番号28)中でスクランブルさせたペプチドも構築した(「限定スクランブル」と呼ぶ)。対照のために、2つのペプチドを合成した。その一方は全N−末端ペプチド中のアミノ酸が無作為順GKFAWEGMTL(配列番号29)(「全スクランブル」呼ぶ)に整列されており、10アミノ酸ペプチドは、最初の7つがウシSAADAAQRGPQQAの残基62〜69からであった(配列番号30)(「C末端」と呼ぶ)。
これら4つのペプチドを、Mack等(Biochem. Biophys. Res. Commun. 199: 1012-1018, 1994 and Am J Physiol. Vol. 4, part 1, pg, G841-950, 1999)が記載した方法にしたがって、MUC3またはMUC2であるムチン(MUC)mRNA産生を誘導するそれらの特性に関してそれらを評価する容易とされた細胞培養検定に用いた。
N末端ペプチド滴定MUC3 小腸上皮細胞(Mack et al., 1994, 1999)を、種々の濃度で37℃で30分間のインキュベーション中にN末端10アミノ酸ウシ初乳SAAペプチド(配列番号30)に曝露した。試験培地を、ペプチドを含有しない新鮮な培地と取り替えた後、細胞をさらに1時間インキュベートし、次に全細胞mRNAを単離して、MUC3特異的mRNAに関して分析した。図7は、TFLKモチーフを含有するウシ初乳SAA「N末端」ペプチドであるN末端10アミノ酸が、ベースライン対照レベルの1〜1/2倍までMUC3mRNAの産生を刺激したことを示す(P-.0002有意)。最適濃度は50μg/ml培地であった(図7参照)。
MUC3/28sRNA比に関するANOVA表
Figure 2006296431
MUC3/28sRNA比に関する平均表
作用:初乳SAA濃度
Figure 2006296431
MUC3刺激 N末端10アミノ酸ウシ初乳SAAペプチドのMUC3刺激活性を、「限定スクランブル」、「全スクランブル」および「C末端ペプチド」の活性と比較した。インキュベーションの最適時間および温度、ならびにペプチドの濃度は、それぞれ37℃で30分間、50μg/mlであった。図8のデータは、オリジナルN末端ペプチドが、対照値より統計学的に有意に上回ってMUC3mRNAを刺激する唯一のペプチドであったことを示す(p-.008)。新規のTFLK配列が再整列されたにすぎない「限定スクランブル」ペプチドによる刺激の欠如は、このモチーフが生物学的活性を付与する場合の重要な素子であり、そして恐らくは種間で保存されている理由であることを強く示唆する(図8参照)。
MUC2mRNA/28sRNA比に関するANOVA表
Figure 2006296431
MUC2mRNA/28sRNA比に関する平均表
作用:初乳SAAペプチド
Figure 2006296431
MUC2刺激 N末端10アミノ酸ウシ初乳SAAペプチドがMUC2産生に関するmRNA合成を刺激するか否かを考えるために、MUC3よりむしろMUC2発現に好ましい条件下で、腸上皮細胞を培養した。MUC3刺激のために前に最適化した濃度および条件で、すべてのペプチドを用いた。図9に示すように、ペプチドはいずれもMUC2mRNAの産生を刺激しなかった。MUC3を刺激したN末端10アミノ酸ペプチドを対照ベースライン値と比較した場合、値は有意に異ならなかった。MUC2刺激の欠如が培養条件のためではないことを示すために、細胞をN末端10アミノ酸ウシ初乳SAAペプチドに、MUC3に関する最適レベル(それぞれ100および500μg/ml)の2倍および5倍で曝露した。さらに、条件を最適MUC3インキュベーション時間(1時間)の2倍に変えた。これらの変更は、MUC2mRNAが対照値より増大させなかった。本証拠は、主として小腸において産生されるムチン(MUC3)の産生が、大腸で主に産生されるもの(MUC2)より大きく刺激するという機能の特異性を強く示している(図9参照)。
MUC3mRNA/28sRNA比に関するANOVA表
Figure 2006296431
MUC3mRNA/28sRNA比に関する平均表
作用:初乳SAAペプチド
Figure 2006296431
本発明は前記の実施耐用に限定されないが、しかし添付の特許請求の範囲内での修正は可能である。
ウシ(配列番号1)、ヒツジ(配列番号2)およびウマ(配列番号3)初乳SAAのトリプシン断片、ウマ初乳SAA(配列番号4〜8)、ウサギ滑膜繊維芽細胞SAA(配列番号9)、ウマ血清SAA(配列番号10)、およびミンク血清SAA1(配列番号11)のトリプシン断片のN末端アミノ酸配列アラインメント。 ウシ初乳関連SAAcDNAのヌクレオチドおよび完全推定アミノ酸配列。ヌクレオチド位置を右側に示す。予測アミノ酸配列はコード配列上の一文字暗号で示し、停止コドンは星印を付して示し、そしてリーダー配列を除去するための推測信号ペプチド切断部位を逆三角形で示す。精製初乳関連SAAタンパク質のエドマン分解により確定された配列には、二重下線を付す。初乳関連SAA300 bpcDNA配列のPCR増幅に用いられる初期変性オリゴヌクレオチドプライマーに関して逆翻訳された残基をイタリック体で示す。それぞれ初乳関連SAAcDNA配列の5‘および3’領域のPCR増幅に用いられるオリゴヌクレオチドプライマーM5GW2およびM3GW2には下線を付す。 プロラクチンによる刺激後8日間のMAC−Tウシ上皮細胞による初乳SAAの産生を示すグラフである。測定可能量の初乳SAAが2日目に検出された。 初乳SAAのアフィニティー精製で生成された異なる分画のSDS−PAGE12%ゲル。分画は以下の通りである:オリジナル培養液(レーン1)、非結合(レーン2)、洗浄分画(レーン3〜8)および溶離分画(レーン9〜15)。ブロット(a.)はCCBで染色したものであり、(b.)はビオチニルか抗SAAモノクローナル抗体で染色した同一ブロットである。レーン11は、モノクローナル抗体で同定されたのと同様の初乳SAAを含有する。これは、アミノ酸分裂分析用およびIEF用に用いた分画である。 配列分析により確定した場合のアミノ酸の一覧である。主配列は、初乳SAAに関するN末端配列を含有する。 図6a乃至dのブロットは、MAC−T細胞液(A.およびB.)、ウシ血清(C.)、ならびにウシ初乳(D.)の等電点電気泳動からの2−Dゲルを表す。図6Aは、アフィニティー精製MAC−T細胞液の等電点電気泳動のために標準とともに用いたpH3〜10IPGストリップから二次元として得た2−Dゲルのブロットを表す。すべてのタンパク質が染色されるように、ブロットはCBBで染色した。市販標準のいくつかの等電点(pI)ならびに初乳SAAのおよその見かけのpI(pIは9.4〜9.6の範囲)を図に示した。これは、Swiss Institute of BioinformaticsのExPASy Proteomic Serverの計算pI/Mwツールを用いた初乳SAAに関する9.6という予測pIと一致する。 同一ブロットであるが、これはSAAに対する特異性を有するモノクローナル抗体で染色した。染まる唯一のスポットは初乳SAAに対応するものであり、このスポットはCBB染色ブロットで観察されたスポットに適合する。 半精製ウシ血清の分析からのモノクローナル抗体染色ブロットである。7.0、5.8および5.5というおよその見かけのpI値を有する3つのアイソフォームは、SAAに対する特異性を有するモノクローナル抗体で染まる。 アフィニティー精製ウシ初乳からの2−Dゲルのモノクローナル抗体染色ブロットである。約9.4〜9.6の範囲でのおよその見かけのpIで初乳SAAに対応するスポットのみが、モノクローナル抗体に染まる。MAC−T生成SAAは、9.4〜9.6のpIを有する。したがって、モノクローナル抗体で同定されたスポットは同一pIおよび分子量(12 Kda)を有し、そしてこの値は血清中に見いだされるアイソフォームのいずれのpIとも有意に異なるため、MAC−T培地および初乳はともに初乳SAAを含有する。 (N末端ペプチド滴定ムチン3(MUC3))MUC3特異的mRNAを測定する検定の結果を示す。N末端の10個のアミノ酸のウシ初乳SAAペプチド含有TFLKは、ベースライン対照レベルの1〜1/2倍までMUC3mRNAの産生を刺激した(有意P−.0002)。理想濃度は50μg/培地1 mlであった。 ムチン3(MUC3)刺激)N末端10アミノ酸ウシ初乳SAAペプチドのMUC3刺激活性を、細胞に及ぼす「限定スクランブル」、「全体的スクランブル」および「C末端ペプチド」の活性との比較を示すグラフである。図8は、オリジナルN末端ペプチドが対照値を統計学的に有意に(p−.008)上回ってMUC3mRNAを刺激した唯一のペプチドであったことを示す。 (ムチン2(MUC2)刺激)MUC2発現に好都合な培養条件下でのMUC2産生のグラフであって、ペプチドはいずれも、MUC3産生を刺激したN末端10アミノ酸ペプチドを含めたMUC2mRNAの産生を刺激しなかった。実験地はいずれも、対照値と有意に異ならなかった。

Claims (40)

  1. 単離および精製初乳関連血清アミロイドA(SAA)タンパク質であって、前記タンパク質のN末端領域に存在する配列TFLKをさらに特徴とするタンパク質。
  2. ウマ初乳から単離および精製される請求項1記載のSAA。
  3. (配列番号3)または(配列番号4)、ならびに(配列番号5)、(配列番号6)、(配列番号7)および(配列番号8)から成る群から選択される1つまたはそれ以上の配列を含む請求項2記載のSAA。
  4. ウシ初乳から単離および精製される請求項1記載のSAA。
  5. アミノ酸(配列番号1)を含む請求項4記載のSAA。
  6. ヒツジ初乳から単離および精製される請求項1記載のSAA。
  7. アミノ酸(配列番号2)を含む請求項6記載のSAA。
  8. 請求項1記載の初乳関連SAAをコードする精製および単離核酸分子。
  9. (配列番号12)と93%またはそれ以上の配列同一性を有する配列を含む請求項8記載の核酸分子。
  10. (配列番号12)を含む請求項9記載の核酸分子。
  11. プロモーター領域と作用可能式に連結される請求項8記載の核酸分子を含む発現カセット。
  12. 請求項11記載の発現カセットを含むクローニングまたは発現ベクター。
  13. 請求項12記載のベクターで形質転換される真核生物または原核生物宿主細胞。
  14. 1つまたはそれ以上の(配列番号1〜8)あるいはそれらの保存的修飾化変異体をコードする配列を含む請求項8記載の核酸分子。
  15. 1つまたはそれ以上のアミノ酸配列番号1〜8を逆翻訳することによって得られる配列を有し、初乳SAAをコードする遺伝子またはcDNAと特異的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドの集団。
  16. 請求項1記載の初乳SAAの1つまたはそれ以上のエピトープに対して免疫学的に特異的な抗体。
  17. ポリクローナルである請求項16記載の抗体。
  18. モノクローナルである請求項16記載の抗体。
  19. 初乳SAAを血清SAAと識別する請求項1記載の初乳SAAの少なくとも1つのエピトープに対して免疫学的に特異的である請求項16記載の抗体。
  20. 哺乳類からの初乳関連SAAの生成方法であって、以下の:
    a)哺乳類からの初乳の試料を提供し、そして
    b)試料中に含有されるSAAを試料中に含有される他の物質から分離し、それにより哺乳類からのSAAを生成する
    過程を包含する方法。
  21. 哺乳類がウシ、ウマ、ブタ、ヒツジおよびヒトから成る群から選択される請求項20記載の方法。
  22. 請求項20記載の方法により製造されるSAA。
  23. 有効量の初乳関連血清アミロイドAタンパク質であって、N末端TFLK領域を含むタンパク質、ならびに製薬上許容可能な担体を含む製剤組成物。
  24. 前記タンパク質が配列番号1〜8またはそれらの保存的修飾化変異体を含む請求項23記載の製剤組成物。
  25. 前記タンパク質が(配列番号13)を含む請求項23記載の製剤組成物。
  26. 前記担体が水である請求項23記載の製剤組成物。
  27. 前記担体が食塩水である請求項23記載の製剤組成物。
  28. 賦形剤をさらに含む請求項23記載の製剤組成物。
  29. 前記賦形剤がラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールから成る群から選択される充填剤である請求項28記載の製剤組成物。
  30. 経口投与形態である請求項23記載の製剤組成物。
  31. 動物における腸病原体に関連した疾患の治療および予防方法であって、TFLKモチーフN末端配列を含む有効量のタンパク質であって、MUC3上皮細胞を誘導し得るタンパク質、ならびに製薬上許容可能な担体を前記動物に導入することを包含する方法。
  32. 前記配列が粘膜上皮細胞においてMUC3産生を刺激し得る請求項31記載の方法。
  33. 前記タンパク質が初乳関連血清アミロイドAタンパク質である請求項31記載の方法。
  34. 前記タンパク質が(配列番号17)である請求項31記載の方法。
  35. 前記N末端アミノ酸配列が(配列番号30)またはその保存的修飾化変異体である請求項31記載の方法。
  36. 前記腸病原体が大腸菌である請求項31記載の方法。
  37. 前記疾患が旅行者下痢、壊死性腸炎および尿路感染から成る群から選択される請求項31記載の方法。
  38. (配列番号30)またはその保存的修飾化変異体を含む有効量のタンパク質を用いる乳児処方箋を包含する乳児処方箋製剤。
  39. 初乳関連SAAタンパク質コードヌクレオチド配列の同定方法であって、ストリンジェント条件下で(配列番号12)またはその7〜10連続塩基とハイブリダイズする配列に関してDNAの試料を検定することを包含する方法。
  40. 単離および精製初乳血清アミロイドAタンパク質であって、初乳中に存在し、ラット抗SAA(ヒト)モノクローナル抗体であって、ウシSAAアイソフォームと反応する抗体と反応するタンパク質。
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