以下、本発明に係るヒートシンク材及びその製造方法の実施の形態例を図1〜図40を参照しながら説明する。
第1の実施の形態に係るヒートシンク材10Aは、図1に示すように、カーボン又はその同素体を焼成してネットワーク化することによって得られる多孔質焼結体12に金属14が含浸されて構成されている。
この場合、前記カーボン又はその同素体として、熱伝導率が100W/mK以上、望ましくは150W/mK以上(気孔がない状態での推定値)、さらに望ましくは200W/mK以上(気孔がない状態での推定値)のものを使用することが好ましい。
本例では、熱伝導率が100W/mK以上のグラファイトで構成された多孔質焼結体12の開気孔部に銅を含浸させたヒートシンク材を示す。含浸する金属14としては、銅のほかに、アルミニウムや銀を使用することができる。
また、多孔質焼結体12と金属14との体積率は、多孔質焼結体12が50vol%〜80vol%、金属14が50vol%〜20vol%の範囲としている。これにより、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180〜220W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が1×10-6/℃〜10×10-6/℃であるヒートシンク材を得ることができる。
前記多孔質焼結体12の気孔率としては、10vol%〜50vol%であることが望ましい。気孔率が10vol%以下では、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の180W/mK(室温)の熱伝導率を得ることができず、50vol%を超えると多孔質焼結体12の強度が低下し、熱膨張率を15.0×10-6/℃以下に抑えることができないからである。
前記多孔質焼結体12の平均開気孔径(気孔径)の値としては、0.1〜200μmが望ましい。前記気孔径が0.1μm未満であると、開気孔内に金属14を含浸することが困難になり、熱伝導率が低下する。一方、前記気孔径が200μmを超えると、多孔質焼結体12の強度が低下し、熱膨張率を低く抑えることができない。
前記多孔質焼結体12の平均開気孔に関する分布(気孔分布)としては、0.5〜50μmに90vol%以上分布することが好ましい。0.5〜50μmの気孔が90vol%以上分布していない場合は、金属14が含浸していない開気孔が増え、熱伝導率が低下する可能性がある。
また、多孔質焼結体12に金属14を含浸して得たヒートシンク材10Aの閉気孔率としては、12vol%以下であることが好ましい。5vol%を超えると、熱伝導率が低下する可能性があるからである。
なお、前記気孔率、気孔径及び気孔分布の測定には、株式会社島津製作所製の自動ポロシメータ(商品名「オートポア9200」)を使用した。
この第1の実施の形態に係るヒートシンク材10Aにおいて、前記グラファイトに、該グラファイトを焼成した際の閉気孔率を低減させる添加物を添加させることが好ましい。この添加物としては、SiC及び/又はSiを挙げることができる。これにより、焼成時の閉気孔(クローズドポア)を減少させることができ、多孔質焼結体12に対する金属14の含浸率を向上させることができる。
また、グラファイト中に、該グラファイトと反応する元素を添加するようにしてもよい。この添加元素としては、Ti、W、Mo、Nb、Cr、Zr、Be、Ta、V、B、Mnから選択された1種以上を挙げることができる。これにより、グラファイトの焼成時に、該グラファイトの表面(開気孔の表面を含む)に反応層(カーバイド層)が形成され、グラファイトの開気孔に含浸される金属14との濡れ性が改善し、低圧での含浸が可能になり、しかも、微細開気孔への含浸も可能になる。
一方、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、Te、Bi、Pb、Sn、Se、Li、Sb、Tl、Ca、Cd、Niから選択された1種以上を添加することが好ましい。これにより、多孔質焼結体12と金属14との界面の濡れ性が改善され、多孔質焼結体12の開気孔内に金属14が入り易くなる。特に、Niは、カーボンを溶解しやすく含浸しやすいという効果がある。
また、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、Nb、Cr、Zr、Be、Ti、Ta、V、B、Mnから選択された1種以上を添加することが好ましい。これにより、グラファイトと金属との反応性が向上し、開気孔内においてグラファイトと金属とが密着し易くなり、閉気孔の発生を抑制することができる。
また、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、湯流れ性を向上させると共に残留気孔が減少するため、固相/液相の温度範囲が30℃以上、望ましくは50℃以上の元素、例えばSn、P、Si、Mgから選択された1種以上を添加することが好ましい。これにより、含浸の際のばらつきを低減することができると共に、残留気孔が減少し強度の向上を図ることができる。なお、含浸圧力を上昇させても同様の効果を得ることができる。また、前記金属14に、融点を低減させるための元素を添加することが好ましい。この添加元素としては、例えばZn等がある。
次に、この第1の実施の形態に係るヒートシンク材10Aを製造するためのいくつかの方法を図2A〜図8を参照しながら説明する。
第1の実施の形態に係るヒートシンク材10Aを製造するための第1及び第2の製造方法は共に、グラファイトを焼成してネットワーク化することによって多孔質焼結体12を作製する焼成工程と、金属14を前記多孔質焼結体12中に含浸させる含浸工程とを有する。
そして、第1の製造方法は、具体的には図2A及び図2Bにその一例を示すように、高圧容器30を使用することによって行われる。この高圧容器30は、角筒状の筐体32における両側板34及び36のほぼ中央部分にそれぞれ回転軸38が設けられて、該回転軸38を中心として筐体32自体が回転できるようになっている。
筐体32内には、耐火容器40と該耐火容器40を加熱するためのヒータ42が設けられている。耐火容器40は、中空部44を有する角筒状の形状を有し、1つの側面における高さ方向中央部分に中空部44に連通する開口46が設けられている。中空部44のうち、開口46を中心として一方の中空部(以下、第1室44aと記す)には、含浸材料である金属14の塊、あるいは金属14の溶融金属が収容されるようになっている。
他方の中空部(以下、第2室44bと記す)は、被含浸試料である多孔質焼結体12が複数取り付けられるようになっており、第2室44bが上方に位置しても、多孔質焼結体12が落下しないように多孔質焼結体12の支持機構が設けられている。なお、ヒータ42は、300MPaの高圧力下でも破壊されない構造とされている。
また、前記高圧容器30には、真空引きのための吸気管48と、高圧力付与のためのガス及び冷却用ガスの導入管50及び導出管52が設けられている。
次に、前記高圧容器30を用いた第1の製造方法について図3を参照しながら説明する。
まず、ステップS1において、グラファイトを棒状に成形する工程、ピッチ(コールタールの一種)を含浸させる工程及び加熱焼成する工程を経てグラファイトによる多孔質焼結体12を作製する。
グラファイトを棒状に成形するには、グラファイト粉体にピッチを混合して、150℃程度の雰囲気中で押しだし成形を行って棒状(φ100〜φ600、長さ3000mm程度)のグラファイトを得る。このままの状態のグラファイトは、気孔が多くしかも熱伝導率が低い。
次に、グラファイトの気孔を減少させるために真空脱気を行い、その真空中でピッチを含浸させる。そして、1000℃程度で焼成しさらにピッチを含浸する工程を3回程度繰り返す。
そして、熱伝導率を向上させるために3000℃程度の炉の中でグラファイトを加熱焼成する。このとき、グラファイトが燃焼することを防止するために炉をカーボン粉末でカバーすると共に、グラファイト自身もカーボン粉末でカバーしておく。また、このグラファイトを加熱する工程は、グラファイトに直接通電することにより加熱焼成してもよい。
このようにすることで、多孔質焼結体12が得られるが、最終製品の形状によってはさらに予備加工をしておくことが望ましい。
その後、ステップS2において、高圧容器30を初期状態にして、高圧容器30内に設けられている耐火容器40の第1室44aを下方に位置させる。
その後、多孔質焼結体12と金属14の塊を高圧容器30の耐火容器40内に入れ、金属14の塊を耐火容器40の第1室44a内に配置し、多孔質焼結体12を第2室44bにセットする(ステップS3)。このとき予め多孔質焼結体12を予熱しておくことが好ましい。予熱を行うには、多孔質焼結体12をカーボンケースに収納するか又は断熱材にて覆った状態で予熱を行い、所定の温度に達したらケースに収納するか又は断熱材にて覆った状態のままで上記のとおり第2室44bにセットする。
その後、高圧容器30(及び耐火容器40)を密封した後、吸気管48を通じて高圧容器30内の真空引きを行って該高圧容器30内を負圧状態にする(ステップS4)。
その後、ヒータ42に通電して第1室44aの金属14を加熱溶解する(ステップS5)。以下の説明では、加熱溶解された金属14を便宜的に「溶融金属14」とも記す。
その後、第1室44a内の溶融金属14が所定温度に達した段階で、高圧容器30を180度転回させる(ステップS6)。この転回動作によって、第1室44aが上方に位置することから、第1室44a内の溶融金属14は、自重によって下方に位置する第2室44b内に落下し、この段階で、溶融金属14に多孔質焼結体12が浸された状態となる。
その後、ガス導入管50を通じて高圧容器30内に含浸用ガスを導入して、該高圧容器30内を加圧する(ステップS7)。この加圧処理によって、前記溶融金属14は多孔質焼結体12の開気孔部中に含浸することとなる。
この含浸工程が終了した時点で直ちに冷却工程に移行する。この冷却工程は、まず、前記高圧容器30を再び180度転回させる(ステップS8)。この転回動作によって、第1室44aが下方に位置することから、第2室44b内の溶融金属14は、再び第1室44a内に落下することになる。
前記ステップS7での加圧処理(含浸処理)によって、溶融金属14の一部が多孔質焼結体12の開気孔中に含浸されていることから、下方に位置する第1室44aに落下する溶融金属14は多孔質焼結体12に含浸されなかった残存溶融金属である。残存溶融金属が第1室44a内に落下した段階で、第2室44bには溶融金属14が含浸された多孔質焼結体12が残ることとなる。
その後、ガス導出管52を通じて高圧容器30内の含浸用ガスを排気すると同時に、ガス導入管50を通じて冷却用ガスを高圧容器30内に導入する(ステップS9)。この含浸用ガスの排気と冷却用ガスの導入によって、冷却用ガスが高圧容器30内を満遍なく循環し、高圧容器30は急速に冷却される。この速やかなる冷却によって、前記多孔質焼結体12に含浸された溶融金属14が、急速に金属14の塊に固化して体積が膨張することから、含浸された金属14は多孔質焼結体12に強固に保持される。
他の冷却工程としては、図3において一点鎖線の枠内に示すように、前記ステップS8での処理が終了した段階で、高圧容器30、あるいは溶融金属14が含浸された多孔質焼結体12を冷却ゾーンに搬送し、冷却ゾーンに設置されている冷やし金に接触させる方法がある(ステップS10参照)。
この冷やし金への接触によって多孔質焼結体12は急速に冷却されることになる。この冷却過程においては、多孔質焼結体12に冷却ガスを吹き付けたり、冷やし金を水冷しながら行うようにしてもよく、特に、押湯効果を考えて冷却した方が好ましい。
このように、第1の製造方法の各工程を踏むことにより、グラファイトによる多孔質焼結体12への金属14の含浸処理を容易に行うことができ、しかも、多孔質焼結体12への金属14の含浸率を向上させることができ、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180〜220W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が1×10-6/℃〜10×10-6/℃であるヒートシンク材10Aを容易に得ることができる。
ただし、後述する多孔質焼結体にSiCを採用する場合は、室温から200℃までの平均熱膨張率が4.0×10-6/℃〜9.0×10-6/℃で、かつ直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が160W/mK(室温)以上、好ましくは180W/mK以上であるヒートシンク材を得ることができる。
前記ステップS5において、ヒータ42に通電して第1室44aの金属14を加熱溶解する場合に、ステップS6に移行する所定温度(加熱温度)は、金属14の融点より30℃〜250℃高い温度がよく、好ましくは前記融点より50℃〜200℃高い温度が望ましい。この場合、高圧容器30内を1×10-3Torr以下の真空中にしておくことが好ましい。
また、前記ステップS7において、高圧容器30内に含浸用ガスを導入することによって高圧容器30に付与する圧力としては、0.98MPa以上、202MPa以下とする。この場合、4.9MPa以上、202MPa以下が好ましく、より好ましくは9.8MPa以上、202MP以下であるとよい。
この圧力は、高圧である方が含浸率の向上、冷却能力の向上の観点から好ましい。しかし、圧力が高すぎるとグラファイトの破損を生じやすくなり、また、高圧に耐えうる設備のコストが高くなるので、これらの要素を勘案して圧力を選択する。
また、高圧容器30への圧力の付与時間は1秒以上、60秒以下がよく、望ましくは1秒以上、30秒以下が好ましい。
なお、多孔質焼結体20の気孔としては、上述したように、平均直径が0.5μm〜50μmのものが90vol%以上存在し、かつ、気孔率が10vol%〜50vol%であることが望ましい。
ただし、後述する多孔質焼結体にSiCを採用する場合は、平均直径が5μm〜50μmのものが90%以上存在し、かつ、気孔率が20vol%〜70vol%であることが望ましい。
一方、冷却工程における冷却速度は、含浸時の温度から800℃までの期間において、−400℃/時間以上とすることが好ましく、より好ましくは−800℃/時間以上が望ましい。
前記ステップS7において、高圧容器30に付与する圧力は、多孔質焼結体12の開気孔部に金属14を完全に含浸させるために必要な圧力である。この場合、多孔質焼結体12に金属14が含浸されていない開気孔が残存すると、熱伝導性を著しく阻害するため、高い圧力を付与することが必要となる。
この圧力はその概略をワッシュバーン(Washburn)の式によって推定できるが、気孔径が小さいほど大きな力を必要とする。この式に従えば、0.1μmφのとき39.2MPa、1.0μmφのとき3.92MPa、10μmφのとき0.392MPaの圧力が適当である。しかしながら、実際は平均気孔径が0.1μmφの材料は0.01μmφ以下の気孔も存在する(図31及び図32参照)ためにより大きい圧力が必要になる。具体的には0.01μmφには392MPaが必要である。
なお、グラファイトへの添加元素や金属への添加元素の好ましい例については、すでに述べたのでここではその説明を省略する。
次に、第1の製造方法のいくつかの変形例を図4及び図5を参照しながら説明する。
第1の変形例は、図4に示すように、まず、グラファイトを焼成して、グラファイトによる多孔質焼結体12を作製する(ステップS101)。高圧容器30を初期状態にして、高圧容器30内に設けられている耐火容器40の第1室44aを下方に位置させる(ステップS102)。
その後、多孔質焼結体12を第2室44bにセットし、予め溶融された金属(溶融金属)14を第1室44a内に流し込む(ステップS103)。
その後、第1室44a内の溶融金属14が所定温度に達した段階で、高圧容器30を180度転回させる(ステップS104)。この転回動作によって、第1室44a内の溶融金属14が下方に位置する第2室44bに落下し、この段階で、溶融金属14に多孔質焼結体12が含浸された状態となる。
その後、ガス導入管50を通じて高圧容器30内に含浸用ガスを導入して、該高圧容器30内を加圧する(ステップS105)。この加圧処理によって、前記溶融金属14は多孔質焼結体12の開気孔部中に含浸することとなる。
次に、第2の変形例について図5を参照しながら説明する。この第2の変形例に係る含浸工程は、高圧容器30内に設置されている耐火容器40の内部中央部分に、多孔質セラミック材からなる仕切板(図示せず)が設けられた高圧容器30を用いる。耐火容器40内は、前記仕切板によって第1室44aと第2室44bとに仕切られることになる。
前記仕切板としては、気孔率が40vol%〜90vol%で、かつ気孔径が0.5mm〜3.0mmである多孔質セラミック材を用いることが望ましく、より好ましくは気孔率が70vol%〜85vol%であり、かつ気孔径が1.0mm〜2.0mmである多孔質セラミック材を用いることが望ましい。
そして、この第2の変形例では、図5に示すように、まず、グラファイトを焼成して、グラファイトによる多孔質焼結体12を作製する(ステップS201)。高圧容器30を初期状態にして、高圧容器30内に設けられている耐火容器40の第1室44aを下方に、第2室44bを上方に位置させる(ステップS202)。
その後、多孔質焼結体12と金属14の塊を高圧容器30の耐火容器40内に入れ、金属14の塊を上方に位置する第2室44b内に配置し、多孔質焼結体12を下方に位置する第1室44aにセットする(ステップS203)。
その後、高圧容器30(及び耐火容器40)を密封した後、吸気管48を通じて高圧容器30内の真空引きを行って該高圧容器30内を負圧状態にする(ステップS204)。
その後、ヒータ42に通電して第2室44bの金属14を加熱溶解する(ステップS205)。前記溶融金属14が所定温度に達した段階で、ガス導入管50を通じて高圧容器30内に含浸用ガスを導入して、該高圧容器30内を加圧する(ステップS206)。この加圧処理によって、上方に位置する第2室44b内の溶融金属14は、仕切板を通過し、下方に位置する第1室44a内の多孔質焼結体12の開気孔部中に含浸されることになる。
次に、第2の製造方法について図6〜図8を参照しながら説明する。この第2の製造方法では、図6に示すように、グラファイトを焼成して多孔質焼結体12を作製するための炉60と、図7に示すように、多孔質焼結体12に金属14を含浸させるためのプレス機62が使用される。
炉60は、図6に示すように、一般にはグラファイトを黒鉛化するために用いられるものであり、その内部にケース70が収容可能な空間72と、該空間72内に収容されたケース70を加熱するためのヒータ74が設けられている。ケース70はグラファイト、セラミックス、セラペーパ(アルミナ等のセラミックスから構成される断熱材)等の材料から構成される。そして、このケース70には、グラファイトが収容される。
プレス機62は、図7に示すように、上部開口の凹部80を有する金型82と、凹部80内に挿通可能とされ、かつ、凹部80内の内容物を押し下げ圧入するパンチ84とを有する。
次に、前記炉60とプレス機62を用いた第2の製造方法について図8を参照しながら説明する。
まず、ケース70内にグラファイトを入れ、該ケース70を炉60内に収容する(ステップS301)。炉60内の雰囲気を加熱して、グラファイトを焼成し多孔質焼結体12を作製する(ステップS302)。
また、この工程においては、グラファイトに対して電流を通電することにより3000℃程度まで加熱して、多孔質焼結体12を作製するようにしてもよい。
その後、炉60から多孔質焼結体12をケース70ごと取り出して、プレス機62の凹部80内に多孔質焼結体12をケース70ごと収容する(ステップS303)。
次に、ケース70内に金属14の溶湯86を注湯した後(ステップS304)、パンチ84を凹部80内に挿通し、ケース70内の前記溶湯86を押し下げ圧入する(ステップS305)。このパンチ84の押圧処理によって、金属14の溶湯86は、多孔質焼結体12の開気孔部中に含浸することとなる。
上述の第2の製造方法において、前記パンチ84による圧入時の圧力を1.01〜202MPa(10〜2000気圧)とすることが好ましい。また、図7に示すように、ケース70の底部や金型82の底部に、多孔質焼結体12に残存するガスを抜くためのガス抜き孔88及び90やガスを抜くための隙間部を形成するようにしてもよい。この場合、パンチ84の圧入時に、多孔質焼結体12に残存するガスがガス抜き孔88及び90を通して抜けるため、開気孔への溶湯86の含浸がスムーズに行われることになる。
このように、第2の製造方法の各工程を踏むことにより、グラファイトによる多孔質焼結体12への金属14の含浸処理を容易に行うことができ、しかも、多孔質焼結体12への金属14の含浸率を向上させることができ、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180〜220W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が1×10-6/℃〜10×10-6/℃であるヒートシンク材10Aを容易に得ることができる。
上述の炉60の代わりに、予熱を利用する炉を使用してもよい。この場合、予め圧粉した材料又はグラファイトによる多孔質焼結体12を予熱する。この処理によってネットワーク化しているグラファイト(又は後述のSiC)に対して金属14が含浸しやすくなる。予熱の温度は、溶湯86と同程度の温度まで予熱することが望ましい。具体的には、溶湯86が1200℃程度であるならば、グラファイトの予熱温度は1000℃〜1400℃が望ましい。
次に、第2の実施の形態に係るヒートシンク材10Bについて図9を参照しながら説明する。
第2の実施の形態に係るヒートシンク材10Bは、図9に示すように、カーボン又はその同素体の粉体12aと金属14の粉体14aとを混合し、所定温度、所定圧力下で成形されて構成されている。
前記カーボン又はその同素体としては、熱伝導率が100W/mK以上、望ましくは150W/mK以上(気孔がない状態での推定値)、さらに望ましくは200W/mK以上(気孔がない状態での推定値)のものを使用することが好ましい。特に、この第2の実施の形態では、グラファイトのほかに、ダイヤモンドを使用することができる。本例では、熱伝導率が100W/mK以上のグラファイトの粉体と銅の粉体を混合し、成形して構成されたヒートシンク材10Bを示す。前記金属14としては、銅のほかに、アルミニウムや銀を使用することができる。
また、この第2の実施の形態に係るヒートシンク材10Bは、前記カーボン又はその同素体の粉砕裁断材(例えば炭素繊維の粉砕裁断材)と前記金属14の粉体14aとを混合し、所定温度、所定圧力下で成形して構成することもできる。
そして、前記所定温度としては、プレス型内での成形を考慮すると、前記金属14における融点の−10℃〜−50℃が好ましく、前記所定圧力としては、10.13〜101.32MPa(100〜1000気圧)が好ましい。
また、前記カーボン又はその同素体の粉体12aと、金属14の粉体14aの平均粉末粒度は、1μm〜500μmであることが好ましい。カーボン又はその同素体と金属14との体積率は、カーボン又はその同素体が20vol%〜60vol%、金属14が80vol%〜40vol%の範囲としている。これにより、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が200〜350W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が3×10-6/℃〜14×10-6/℃であるヒートシンク材10Bを得ることができる。
この第2の実施の形態に係るヒートシンク材10Bにおいて、カーボン又はその同素体に、成形後の再焼成を可能とする添加物を添加させることが好ましい。この添加物としては、SiC及び/又はSiを挙げることができる。これにより、成形後において、前記金属14の融点以上の温度での再焼成が可能となる。この場合、成形後に生じた粒同士が前記再焼成によって結合することになるため、熱伝導を阻害する粒界をほとんどなくすことができ、ヒートシンク材10Bの熱伝導率の向上を図ることができる。
また、カーボン又はその同素体中に、該カーボン又はその同素体と反応する元素を添加するようにしてもよい。この添加元素としては、Ti、W、Mo、Nb、Cr、Zr、Be、Ta、V、B、Mnから選択された1種以上を挙げることができる。これにより、成形時や再焼成時に、カーボン又はその同素体の表面に反応層(カーバイド層)が形成され、ヒートシンク材10Bの表面における粒同士の結合を向上させることができる。
一方、前記金属14には、低融点金属、例えばTe、Bi、Pb、Sn、Se、Li、Sb、Tl、Ca、Cd、Niから選択された1種以上を添加することが好ましい。これにより、カーボン又はその同素体と金属14との界面の濡れ性が改善され、熱伝導を阻害する粒界の発生を抑えることができる。なお、熱伝導の観点から、前記低融点金属は前記金属14に固溶しないことが好ましい。
また、前記金属14に、Nb、Cr、Zr、Be、Ti、Ta、V、B、Mnから選択された1種以上を添加することが好ましい。これにより、カーボン又はその同素体と金属14との反応性が向上し、この場合も、成形時における粒界の発生を抑えることができる。
また、前記金属14に、湯流れ性を向上させると共に残留気孔を減少させるため、固相/液相の温度範囲が30℃以上、望ましくは50℃以上の元素、例えばSn、P、Si、Mgから選択された1種以上を添加することが好ましい。これにより、含浸の際のばらつきを低減することができると共に、残留気孔が減少し強度の向上を図ることができる。なお、含浸圧力を上昇させても同様の効果を得ることができる。
また、前記金属14に、融点を低減させるための元素を添加することが好ましい。この添加元素としては、例えばZn等がある。
次に、この第2の実施の形態に係るヒートシンク材10Bを製造するためのいくつかの方法(第3及び第4の製造方法)を図10〜図14を参照しながら説明する。
まず、第3の製造方法は、具体的には図10及び図11にその一例を示すように、予備成形機100(図10参照)と、ホットプレス機102(図11参照)を使用することによって行われる。
予備成形機100は、図10に示すように、上部開口の凹部110を有する金型112と、凹部110内に挿通可能とされ、かつ、凹部110内の内容物を押し下げ圧入するパンチ114とを有する。ケース70には、カーボン又はその同素体の粉体12aと金属14の粉体14aとを混合したもの、即ち、混合物104が収容される。
ホットプレス機102は、図11に示すように、筒状の筐体120内に、基台を兼ねる下パンチ122と、該下パンチ122上に固定された上面開口の黒鉛製の耐火容器124と、該耐火容器124内に上方から進退自在とされた上パンチ126と、前記耐火容器124を加熱するためのヒータ128が設けられている。耐火容器124には、前記予備成形機100で成形された混合物104の予備成形体106が収容される。なお、このホットプレス機102には、真空引きのための吸気管130が設けられている。
下パンチ122の内部には、耐火容器124内を加熱するための加熱用流体や耐火容器124内を冷却するための冷却用流体を流通させる通路132が設けられている。
そして、第3の製造方法は、図12に示す工程を踏むことにより行われる。まず、ケース70内にカーボン又はその同素体の粉体12aと金属14の粉体14aとを入れて混合して混合物104を得た後(ステップS401)、該混合物104が入ったケース70を予備成形機100における金型112の凹部110内に収容する(ステップS402)。その後、パンチ114を凹部110内に圧入して混合物104を予備成形して予備成形体106を成形する(ステップS403)。
次に、金型112から予備成形体106を取り出して、該予備成形体106をホットプレス機102における耐火容器124内に収容する(ステップS404)。耐火容器124を密封した後、吸気管130を通じて耐火容器124内の真空引きを行って該耐火容器124内を負圧状態にする(ステップS405)。その後、ヒータ128に通電して、耐火容器124内の温度を金属14の融点の−10℃〜−50℃にする(ステップS406)。
所定温度に達した段階で、上パンチ126を下方に移動させて、予備成形体106を加圧してヒートシンク材10Bを得る(ステップS407)。その後、加工工程等を経ることによって実際のヒートシンク材10Bとして使用される。但し、カーボン又はその同素体と金属14との結合力を高める元素が添加されている場合には、加圧後に、金属14の融点以上まで加熱してもよい。
なお、カーボン又はその同素体への添加元素や金属14への添加元素の好ましい例については、すでに述べたのでここではその詳細な説明を省略する。
このように、第3の製造方法の各工程を踏むことにより、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が200〜350W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が3×10-6/℃〜14×10-6/℃であるヒートシンク材10Bを容易に得ることができる。
次に、第4の製造方法について図13及び図14を参照しながら説明する。この第4の製造方法では、図14に示すように、予備成形機100は使用せずに、ホットプレス機102のみを使用することによって行われる。
即ち、図13に示すように、まず、ケース70内にカーボン又はその同素体の粉体12aと金属14の粉体14aとを入れて混合して混合物104を得た後(ステップS501)、ケース70内の混合物104を直接ホットプレス機102における耐火容器124内に収容する(ステップS502)。耐火容器124を密封した後、吸気管130を通じて耐火容器124内の真空引きを行って該耐火容器124内を負圧状態にする(ステップS503)。その後、ヒータ128に通電して、耐火容器124内の温度を金属14の融点の−10℃〜−50℃にする(ステップS504)。
所定温度に達した段階で、上パンチ126を下方に移動させて、混合物104を加圧してヒートシンク材10Bを得る(ステップS505)。
この第4の製造方法においても、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が200〜350W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が3×10-6/℃〜14×10-6/℃であるヒートシンク材10Bを容易に得ることができる。
次に、第3の実施の形態に係るヒートシンク材10Cについて図15を参照しながら説明する。
第3の実施の形態に係るヒートシンク材10Cは、図15に示すように、カーボン又はその同素体の粉体12bとバインダー(結合体)等とを混合した混合物を加圧して予備成形体及びブロック(立方体、直方体、又は任意形状であってもよい)を成形し、さらに、このブロックに金属を含浸させて構成している。粉体12bは、第2の実施の形態で用いたカーボン又はその同素体の粉体12aと同じものでもよい。このヒートシンク材10Cは、最終形状に近い任意の形状に作ることができる。
前記カーボン又はその同素体としては、グラファイトのほかに、ダイヤモンドを使用することができる。また、金属14としては、銅のほかに、アルミニウムや銀を使用することができる。
また、前記カーボン又はその同素体の粉体12bの平均粉末粒度は、1μm〜2000μmであり、前記粉体12bが最小の長さをとる方向と、最大の長さをとる方向で、その長さの比が1:5以下であることが好ましい。この場合、強いネットワークはないものの、最終形状に近い任意の形状に作ることができる。従って、後工程の加工を省略することも可能である。そして、カーボン又はその同素体の粉体12bと金属14との体積率は、カーボン又はその同素体が20vol%〜80vol%、金属14が80vol%〜20vol%の範囲が望ましい。
また、カーボン又はその同素体の粉体12b中に、該カーボン又はその同素体と反応するための添加元素を添加することが望ましい。この添加元素は第2の実施の形態と同様に選択すればよい。
前記金属14には、第1の実施の形態の場合と同様に各添加元素を用いることが望ましい。つまり、濡れ性改善のための添加元素、カーボン又はその同素体と金属14との反応性を向上させるための添加元素、湯流れ性を向上させるための添加元素、融点を低減させるための添加元素等である。
次に、第3の実施の形態の第5の製造方法について図16を参照しながら説明する。この第5の製造方法では、まず、カーボン又はその同素体の粉体12bに水、バインダー(結合材)を混合させて混合物を用意する(ステップS601)。
そして、その混合物を所定圧力で加圧して予備成形体を成形する(ステップS602)。加圧装置としてはプレス機62(図7参照)又は予備成形機100(図10参照)を用いるとよい。
次に、得られた予備成形体に溶融金属14を含浸しやすくするために予熱処理を行う(ステップS603)。この予熱温度は、例えば、溶融金属14が1200℃程度であるならば、グラファイトの予熱温度は1000℃〜1400℃が望ましい。この予熱処理を行うことで、ステップS601において用いたバインダーを除去することもできる。
さらに、ステップS604において、予備成形体を焼成してブロックを成形する。焼成する方法は第1の実施の形態と同様に行う。
そして、予備成形体に溶融金属14を含浸させる(ステップS605)。この含浸工程は、第1の実施の形態で示した各含浸工程と同じ処理を行えばよい。例えば、高圧容器30(図2参照)を使用して、第1の製造方法(図3参照)におけるステップS2からステップS9の工程を行うことでヒートシンク材10Cを得ることができる。
この第5の製造方法によれば、ステップS602で行う加圧処理において、粉体の圧粉状況により熱膨張率と熱伝導率を所望の値に制御することができる。
また、得られたヒートシンク材10Cは、熱伝導率がより等方性になり、濡れ性、材料歩留まりも向上するという特徴を持つ。
さらに、金属14の方がネットワークになるので強度を上げることができ、残留気孔も減少させることができる。
またさらに、ヒートシンク材10Cを廉価に製造することができる。すなわち、含浸前のブロックは脆いためにそのままでは加工できない。しかし、粉末予備成形品は、そのものの形状に成形しておいてから含浸することができ、かつ、その後多少の塑性変形にも耐えうるため、複雑形状のヒートシンク材10Cを廉価に得ることができる。
この第5の製造方法においても、前述の各製造方法の場合と同様に、含浸させる金属14に炭化物を形成する元素を添加することで熱膨張を下げることができる。また、濡れ性等の改良元素を添加することにより含浸率を向上させることができる。
また、高い含浸圧力を付与した場合の方が、含浸率が上がり、強度、熱伝導率も向上する。
ここで、第5の製造方法による含浸実施例を図17に示す。図17の充填方法の欄で「無加圧」と表示されているものは、上記加圧工程ステップS602を省略して粉体を敷き詰めた混合物にそのまま金属14を含浸させたことを示している。また、「加圧」と表示されているものは、粉体1000cm3に水ガラス10cm3と水100cm3を添加して圧粉し、その後予熱時(1200℃)に水と水ガラスを除去させて成形したものである。
次に、第3の実施の形態に係るヒートシンク材10Cの第6の製造方法について図18を参照しながら説明する。この第6の製造方法では、まず、金属を溶解した溶融金属14又は固液共存状態の金属(固液共存金属)を用意する(ステップS701)。ここで、固液共存状態とは金属(一般には合金)を半融状態にしたもの、又は金属溶湯を冷却、撹拌して半凝固状態にしたものをいい、金属を加熱し直接的に半融状態にしたものと、一度完全に溶解した後に冷却して半凝固状態にしたものの両方を指す。
次に、カーボン又はその同素体の粉体12aを前記溶融金属14又は固液共存状態の金属に混合させる(ステップS702)。
そして、この粉体12aを混合させた溶融金属14又は固液共存金属を鋳造加工し、所望の形状に成形することでヒートシンク材10Cを得ることができる(ステップS703)。
第6の製造方法において得られたヒートシンク材10Cは、第5の製造方法により作製したものと同様の特徴を有する。
次に、1つの実験例(第1の実験例)を示す。この第1の実験例は、3種類のカーボン(P、M、N)について、含浸する金属14の種類、添加元素の種類、含浸方法を変えて、2方向の熱伝導率の違い、2方向の熱膨張率の違い、2方向の曲げ強度の違い、耐水性、添加元素の効果をそれぞれ見たものである。この実験例の結果を図19〜図21に示す。また、3種類のカーボン(P、M、N)の各特性を図22に示す。
なお、耐水性は、デシケータ内に少量の水とサンプルを入れ、サンプルを水に浸さずに水の雰囲気に曝した状態にして検査した。
まず、含浸方法として金型プレスを用いた場合について見てみると、熱伝導率については、添加元素を含んだ銅合金を含浸させたものの方が純銅を含浸させたものよりも全体に高くなっている。本来、純銅の方が熱伝導率が高いが、カーボンとの濡れ性が悪く、含浸しにくいこと、含浸後のカーボンと金属の界面で熱伝導率が低下すること等が原因と考えられる。
また、純アルミを含浸させたものは、カーバイドを生成する効果とカーボンに対する濡れ性が高いため、純銅を含浸させた場合よりも熱伝導率の高いものが得られるが、添加元素を含む銅合金を含浸させたものの方が熱伝導率が高くなっている。
しかし、含浸方法としてガス加圧を用いた場合は、金型プレスによる場合よりも熱伝導率が高くなっており、ガス加圧によって純銅を含浸させたものの熱伝導率は、添加元素を含んだ銅合金を含浸させたものとほぼ同じになっている。図23に、図19〜図21に示す実験結果のうち、金型プレスによる場合とガス加圧による場合の各代表例を抽出して示す。
これは、ガス加圧の方が予熱温度及び溶湯温度の制御がやりやすいためである。もちろん、金型プレスにおいても、設備上の工夫をすることで同レベルの含浸特性(熱伝導率が高くなる)を得ることができる。
熱膨張率については、すべてのカーボンにおいて、純銅を含浸させたもの、銅合金を含浸させたもの、純アルミを含浸させたもので違いはなく、含浸方法によっても違いはなかった。
また、濡れ性を向上させる添加元素を含む銅合金を含浸させたものは、耐水性が良好であり、カーバイドの生成が容易になる添加元素を含む銅合金を含浸させたものは、カーボンのみよりも曲げ強度が向上していることがわかる。
また、これら各サンプルは、面方向と厚さ方向の熱伝導率の比が1:5以下となっており、ほとんど等方性に近い特性を有するため、ヒートシンクとして使用する場合に、設置方向をいちいち考慮する必要がなく、実装面で有利となる。
さらに、2つの実験例(第2及び第3の実験例)を示す。これらの実験例は、第1の実施の形態における、カーボンに金属を含浸させる含浸工程で、容器内を含浸加圧する際の含浸圧力を変えて、残留気孔、密度、均質化、圧縮強度、及び直交する2つの面方向における熱伝導率の違いをそれぞれ見たものである。
第2の実験例は、含浸圧力を26.7MPa(272kgf/cm2)、及び156.0MPa(1592kgf/cm2)で行った。この実験例の結果を図24に示す。
図24は、縦軸に気孔率(□で示す)、及び密度(○で示す)をとって、横軸に含浸圧力をとり、プロットしたものである。気孔率のプロットを□で示し、密度のプロットを○で示す。この実験結果から高い含浸圧力を付与した場合の方が、密度は大きくなり、しかも気孔率は減少していることがわかる。
また、カーボンの圧縮強度(規格:JIS R 1608 ファインセラミックスの圧縮強さ試験方法)は面方向で24.5〜34.3MPa(250〜35kgf/cm2)、厚さ方向で34.3〜44.1MPa(350〜450kgf/cm2)なので、この実験から、上記含浸工程ではカーボンの圧縮強度の4〜5倍の含浸圧力を付与した場合でも製造上問題のないことが確認できた。
第3の実験例は、含浸圧力を26.7MPa(272kgf/cm2)、及び60.0MPa(612kgf/cm2)で行った。この実験例の結果を図25〜図29に示す。
図25は縦軸に測定密度をとって、横軸に各ロットの密度平均をとりプロットしたものである。
この図25から、含浸圧力を高くした方がロットごとの密度平均のばらつきが小さいことが分かる。
図26〜図28は、横軸に含浸圧力をとって、縦軸にはそれぞれ、厚さ方向の熱伝導率、圧縮強度、及び密度をとってプロットしたものである。これらの図26〜図28から、高い含浸圧力を付与した場合の方が、各特性とも値が向上してることがわかる。
図29は、直交する2つの面方向での熱伝導率の違いをプロットしたものである。一方をX方向として横軸にとり、もう一方をY方向として縦軸にとった。この図29から、高い含浸圧力を付与した場合の方が、面方向でのばらつきが少ないことがわかる。
前記第2及び第3の実験例では、含浸圧力を高くしたことで、金属14の含浸量が増えたことにより、各効果を奏したものと考えられる。
さらに、別の2つの実験例(第4及び第5の実験例)を示す。この第4及び第5の実験例は、第4の実施の形態において、カーボンに金属14を含浸させる含浸工程で、含浸加圧する際の含浸圧力と、金属14に添加する元素とを変えて、残留気孔の変化をそれぞれ見たものである。
第4の実験例は、含浸金属にCu0.1Nbを採用し、含浸圧力を加えない元素材と、27MPa、48MPa、及び60MPaを加圧した場合で行った。この実験例の結果を図31に示す。
図31は横軸に気孔径、縦軸に残留気孔容積をとり、各含浸圧力の場合における違いを見たものである。この図31から、含浸圧力を上げることで含浸後の残留気孔率が減少していることが分かる。
第5の実験例は、含浸させる金属に元素を添加しない元素材と、Cu5Siを添加した場合及びCu0.1Nbを添加した場合であり、含浸圧力については27MPaの場合と43MPaの場合で実験した。この実験例の結果を図32に示す。
図32における元素材は、図31における元素材と同条件であるので、それぞれの波形はほぼ同じ形状になっている。
添加した元素のCu5Siは、固相/液相温度範囲が30℃以上あるので、Cu0.1Nbに比べて湯流れ性(濡れ性)がよい。その結果、Cu5Siを添加したものの方が残留気孔が減少していることが分かる。また、含浸圧力を上げた方が含浸後の残留気孔が減少する傾向がみられるが、これは図31と同じ傾向といえる。また、残留気孔が減少することにより強度の向上を図ることができる。
次に、カーボン又はその同素体に代えて、SiCを多孔質焼結体として利用する場合について説明する。
SiCに濡れ性改善のための添加剤を入れるには、金属の成分に5%までの範囲で、Be、Al、Si、Mg、Ti、Niから選択された1種以上の添加元素を含むことが好ましい。これらの元素は、カーボンを多孔質焼結体として利用した場合とは異なるので注意する。
そして、SiCと金属14との濡れ性の向上を図って、SiCに予め1〜10vol%、望ましくは3〜5vol%のNiめっきを施すことが好ましい。この場合、低圧力での含浸を実現させることができる。ここでいう、Niめっきとしては、予熱時に溶融しないめっき処理が望ましく、例えばNi−P−WのめっきやNi−B−Wのめっき等が含まれる。
また、SiCと金属14との濡れ性の向上を図って、SiCに予めSiを1〜10vol%、望ましくは3〜5vol%含浸させることが好ましい。この場合も低圧力での含浸を実現させることができる。
そして、前記SiCに予め1〜10vol%のNiめっきを施す、あるいは、予めSiを1〜10vol%含浸させることに関連して、SiCに予めパラジウムめっきを施すようにしてもよい。この場合、前記パラジウムめっきに加えて、NiやSiとの複合めっきを施すことも可能である。
また、SiCと金属14は高温において反応が生じ、該SiCがSiとCに分解されて本来の機能が発揮されなくなる。このため、SiCと金属14とが高温で直接接触する時間を短縮することが必要である。第1の処理条件(高圧容器30に付与する圧力=0.98MPa(10kgf/cm2)以上、98MPa(1000kgf/cm2)以下)、第2の処理条件(加熱温度=金属14の融点より30℃〜250℃高い温度)又は第3の処理条件(SiCに予め1〜10vol%のNiめっきを施す)を満足させることにより、SiCと金属14との接触時間を短くすることができるため、前記のようなSiCの分解反応を事前に回避することができる。
また、SiCと金属14とは濡れ性が悪いことから、金属14を十分に含浸させるには高圧力をかけることが必要である。第3の処理条件(SiCに予め1〜10vol%のNiめっきを施す)、又は第4の処理条件(SiCに予めSiを1〜10vol%含浸させる)を行うことによりSiCの気孔表面が改質され、SiCと金属14との濡れ性が良好となるため、より低圧力でより細かい気孔にまで金属14を含浸させることができる。
ここで、さらに別の実験例(第6の実験例)を示す。この第6の実験例は、SiCの気孔率、気孔径、Niめっきの有無、Si含浸の有無、含浸温度、加圧力、加圧時間、冷却速度を適宜変えて、そのときのSiC/Cuの反応状況とCuの含浸状況の違いをみたものである。その実験結果を図30の表図に示す。この図30において、SiC/Cuの反応状況は、SiCとCuとの間に形成された反応層の厚み(平均値)によって決定させた。その決定条件は、以下の通りである。また、この決定条件の根拠は、SiCとCuとの間に5μm以上の反応層が生じると、SiCとCu間の熱伝達が悪化し、半導体ヒートシンク用複合材料とした場合の熱伝導率が低下するからである。
・反応層の厚み(平均)が1μm以下 → 「反応無し」
・反応層の厚み(平均)が1μmを超え5μm以下 →「反応少」
・反応層の厚み(平均)が5μmを超える → 「反応大」
この実験結果から、SiCの気孔率、気孔径、含浸温度、加圧力、加圧時間及び冷却速度についてそれぞれ所定範囲を満足するもの(サンプル3、7、8、11及び12)については、いずれもSiC/Cuの反応状況が「反応無し」で、かつCuの含浸状況が良好となっており、良好な結果が得られている。
これらサンプルのうち、サンプル3、7、11及び12については、NiめっきあるいはSi含浸を行っているため、Cuとの濡れ性が良好となり、加圧時間を短くしても前記のように良好な結果が得られた。また、サンプル8については、Niめっき及びSi含浸を行っていないが、加圧力を高くしたことによって、加圧時間を短くすることが可能となり、前記のように良好な結果が得られた。
一方、加圧力が前記所定範囲よりも低い0.78MPa(8kgf/cm2)であるサンプル1、5及び9については、Cuの含浸状況がいずれも不十分となっており、これらサンプルのうち、加圧時間が長いものについては(サンプル1及び5)、SiC/Cuの反応状況が「反応大」となっている。
なお、サンプル6について、SiC/Cuの反応状況が「反応少」にも拘わらず含浸状況が不十分となっているのは、気孔率及び気孔径がそれぞれ所定範囲を満たしていないからと考えられ、サンプル14について、含浸状況が良好であるにも拘わらずSiC/Cuの反応状況が「反応大」となっているのは、気孔径が所定範囲よりも大きく、加圧時間が比較的長いからと考えられる。
次に、多孔質焼結体にSiCを利用した実施の形態について説明する。まず、前記第1の実施の形態(第1の製造方法、第1の変形例、第2の変形例、及び第2の製造方法)において、SiCを利用する場合は、グラファイトを焼成して多孔質焼結体を作製する工程(ステップS1、ステップS101、ステップS201、ステップS301、及びステップS302)は不要であり、その後のステップでは同じ工程で製造することができる。
さらに、多孔質焼結体にSiCを利用した実施の形態として、第4の実施の形態に係る製造方法(第7の製造方法)について、図33〜図36を参照しながら説明する。
この第7の製造方法は、具体的には図33にその一例を示すように、ホットプレス機1060を使用することによって行われる。このホットプレス機1060は、前記第2の実施の形態で説明したホットプレス機102とほぼ同じ構造であるが、便宜上、図を分けて説明する。
このホットプレス機1060は、筒状の筐体1062内に、基台を兼ねる下パンチ1064と、該下パンチ1064上に固定された上面開口の耐火容器1066と、該耐火容器1066内に上方から進退自在とされた上パンチ1068と、前記耐火容器1066を加熱するためのヒータ1070が設けられている。なお、このホットプレス機1060には、真空引きのための吸気管1072が設けられている。
前記耐火容器1066は、中空部1074を有する筒状の形状を有する。上パンチ1068は、その側面に、該上パンチ1068の行程(ストローク)を決定するフランジ部1076が設けられ、該フランジ部1076の下面には、前記耐火容器1066の上周面と接触して耐火容器1066を密閉状態にするためのパッキン1078が取り付けられている。一方、下パンチ1064の内部には、耐火容器1066内を加熱するための加熱用流体や耐火容器1066内を冷却するための冷却用流体を流通させる通路1080が設けられている。
そして、第7の製造方法は、図34に示す工程を踏むことにより行われる。
まず、耐火容器1066の中空部1074内に、下からSiC1020、多孔質セラミック製のフィルタ1054、金属14の塊の順で投入する(ステップS1301)。フィルタ1054としては、気孔率が40%〜90%で、かつ気孔径が0.5mm〜3.0mmである多孔質セラミック材を用いることが望ましく、より好ましくは気孔率が70%〜85%で、かつ気孔径が1.0mm〜2.0mmである多孔質セラミック材を用いることが望ましい。
また、前記フィルタ1054は、SiC1020と金属14の塊とを仕切って両者を非接触状態におく仕切板としての機能を果たし、中空部1074のうち、フィルタ1054上の金属14の塊がセットされた部分を上室1074a、フィルタ1054下のSiC1020がセットされた部分を下室1074bとして定義することができる。
次に、耐火容器1066を密封した後、吸気管1072を通じて耐火容器1066内の真空引きを行って該耐火容器1066の両室1074a及び1074b内を負圧状態にする(ステップS1302)。
その後、ヒータ1070に通電して上室1074a内の金属14を加熱溶解する(ステップS1303)。このとき、前記ヒータ1070への通電と併せて下パンチ1064の通路1080内に加熱用流体を流して耐火容器1066の内部を加熱するようにしてもよい。
上室1074a内の金属14の溶解物(溶融金属)が所定温度に達した段階で、上パンチ1068を下方に移動させて上室1074a内を所定圧まで加圧する(ステップS1304)。このとき、上パンチ1068のフランジ部1076に取り付けられたパッキン1078と耐火容器1066の上周面との接触及び互いの押圧により、耐火容器1066が密封され、内部の溶融金属が耐火容器1066の外に漏れるという不都合が有効に防止される。
所定圧になった上室1074a内の金属14の溶解物(溶融金属)は上室1074a内の圧力によってフィルタ1054を通して下室1074b側に押し出されて該下室1074b内に導入されると同時に、該下室1074b内に設置されたSiC1020に含浸される。
時間管理によって予め設定されている終点(SiC1020内への溶融金属14の含浸が飽和状態とされた時点)となった段階において、今度は、下パンチ1064内の通路1080に冷却用流体を流して耐火容器1066を下方から上方に向かって冷却させることにより(ステップS1305)、SiC1020に含浸された溶融金属14を凝固させる。凝固が完了するまで上パンチ1068と下パンチ1064による耐火容器1066内の加圧状態は保持される。
凝固が完了した時点で、金属14が含浸されたSiC1020を耐火容器1066から取り出す(ステップS1306)。
この製造方法においては、SiC1020と金属14とを十分に脱気しつつ加熱し、金属14を溶融した後、速やかにSiC1020に接触させ、かつ、これらを加圧状態とし、さらにその加圧状態を冷却操作完了時まで保持するようにしたので、SiC1020に金属14を効率的に含浸することができる。前記例では含浸処理を負圧下で行うようにしたが、常圧下で行ってもよい。
このように、溶融金属14とSiC1020を共に加圧下においた後に、互いに接触させて、含浸処理を行うようにしたので、両者を接触させる際の圧力低下を最小限にすることができ、含浸処理時における加圧状態を良好に保持させることができる。
前記例では、溶融金属14の漏れを防止するために、上パンチ1068におけるフランジ部1076の下面にパッキン1078を設けるようにしたが、図33の二点鎖線で示すように、耐火容器1066の上周面にパッキン1078を設けるようにしてもよい。また、図35Aに示すように、リング状の割型パッキン1100を2枚重ねにしたパッキン部材1102を、図36に示すように、上パンチ1068の下部に設けるようにしてもよい。この場合、パッキン部材1102の中空部1104に溶融金属が入り込むことにより各割型パッキン1100の直径が拡大し、結果的に上室1074aが密封されて溶融金属14の漏れが防止されることになる。
次に、第7の製造方法の変形例について図37及び図38を参照しながら説明する。なお、図33と対応する構成要素については同符号を付してその重複説明を省略する。
この変形例に係る製造方法においては、ホットプレス機1060として、図37に示すように、耐火容器1066における中空部1074の高さ方向中央部に多孔質セラミックスにて構成されたフィルタ部材1110が固着され、下室1074bの側面に扉1112が開閉自在に取り付けられたものが使用される。従って、耐火容器1066の中空部1074のうち、フィルタ部材1110よりも上の部分が上室1074aとなり、フィルタ部材1110よりも下の部分が下室1074bとなる。特に、下室1074bに取り付けられた扉1112に関しては、該扉1112を閉じたときに下室1074bが密封されるような構造が採用される。
そして、この変形例に係る製造方法は、図38に示す工程を踏むことにより行われる。
まず、耐火容器1066の上室1074a内に金属14の塊を投入し、下室1074bの扉1112を開いて該下室1074b内にSiC1020を投入する(ステップS1401)。
次に、扉1112を閉じて下室1074bを密封し、さらにホットプレス機1060を密封した後、吸気管1072を通じて耐火容器1066内の真空引きを行って該耐火容器1066の両室1074a及び1074b内を負圧状態にする(ステップS1402)。
その後、ヒータ1070に通電して上室1074a内の金属14を加熱溶解する(ステップS1403)。この場合も前記ヒータ1070への通電と併せて下パンチ1064の通路1080内に加熱用流体を流して耐火容器1066の内部を加熱するようにしてもよい。
上室1074a内の金属14の溶解物(溶融金属)が所定温度に達した段階で、上パンチ1068を下方に移動させて上室1074a内を所定圧まで加圧する(ステップS1404)。
所定圧になった上室1074a内の金属14の溶解物(溶融金属)は上室1074a内の圧力によってフィルタ部材1110を通して下室1074b側に押し出されて該下室1074b内に導入されると同時に、該下室1074b内に設置されたSiC1020に含浸される。
時間管理によって予め設定されている終点となった段階において、今度は、下パンチ1064内の通路1080に冷却用流体を流して耐火容器1066を下方から上方に向かって冷却させることにより(ステップS1405)、SiC1020に含浸された溶融金属14を凝固させる。
凝固が完了した時点で、金属14が含浸されたSiC1020を耐火容器1066から取り出す(ステップS1406)。
この変形例に係る製造方法においても、第7の製造方法と同様に、SiC1020に金属14を効率的に含浸することができる。また、この変形例でも、溶融金属14とSiC1020を共に加圧下においた後に、互いに接触させて、含浸処理を行うようにしているため、両者を接触させる際の圧力低下を最小限にすることができ、含浸処理時における加圧状態を良好に保持させることができる。なお、この変形例では、負圧下で含浸処理を行うようにしたが、常圧下で行ってもよい。
さらに、多孔質焼結体にSiCを利用した実施の形態として、第5の実施の形態に係る製造方法(第8の製造方法)について、図39及び図40を参照しながら説明する。なお、図33と対応する構成要素については同符号を記してその重複説明を省略する。
この第8の製造方法は、前記第4の実施の形態に係る製造方法と原理的にはほぼ同じであるが、含浸工程において、SiC1020と金属14とを負圧下又は常圧下で接触させ、加熱処理して前記金属14を溶融する点で異なる。
具体的には、図33に示した第3の実施の形態に係る製造方法にて使用されるホットプレス機1060の耐火容器1066内にフィルタ1054を投入せずに、下からSiC1020、金属14の順に投入する点で異なる。
そして、第5の実施の形態に係る製造方法は、図40に示す工程を踏むことにより行われる。
まず、耐火容器1066の中空部1074内に、下からSiC1020、金属14の塊の順に投入する(ステップS1501)。
次に、ホットプレス機1060を密封した後、吸気管1072を通じて耐火容器1066内の真空引きを行って該耐火容器1066内を負圧状態にする(ステップS1502)。
その後、ヒータ1070に通電して耐火容器1066内の金属14を加熱溶解する(ステップS1503)。このとき、前記ヒータ1070への通電と併せて下パンチ1064の通路1080内に加熱用流体を流して耐火容器1066の内部を加熱するようにしてもよい。
耐火容器1066内の金属14の溶解物(溶融金属)が所定温度に達した段階で、上パンチ1068を下方に移動させて耐火容器1066内を所定圧まで加圧する(ステップS1504)。
所定圧になった金属14の溶解物(溶融金属)は耐火容器1066内の圧力によってSiC1020に含浸される。
時間管理によって予め設定されている終点(SiC1020内への溶融金属の含浸が飽和状態とされた時点)となった段階において、今度は、下パンチ1064内の通路1080に冷却用流体を流して耐火容器1066を下方から上方に向かって冷却することにより(ステップS1505)、SiC1020に含浸された溶融金属を凝固させる。凝固が完了するまで上パンチ1068と下パンチ1064による耐火容器1066内の加圧状態は保持される。
凝固が完了した時点で、金属14が含浸されたSiC1020を耐火容器1066から取り出す(ステップS1506)。
この第8の製造方法においても、SiC1020と金属14とを十分に脱気しつつ加熱し、金属14とSiC1020とを接触させた状態で金属14を溶融した後、耐火容器1066内を加圧状態とし、さらにその加圧状態を冷却操作完了時まで保持するようにしたので、SiC1020に金属14を効率的に含浸することができる。
なお、この発明に係るヒートシンク材及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。