JP2006294919A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶欠陥が抑制される半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】 素子形成領域8内に帯状に延在する複数のトレンチ分離領域7がそれぞれ間隔を隔てて島状に配設されている。隣り合う帯状に延在するトレンチ分離領域7によって挟まれた素子形成領域8に、MOSトランジスタT1,T2が形成されている。そのゲート電極にはワード線21が接続されている。ワード線21と略平行に間隔を隔てて所定のフィールドシールド電極11bが形成されている。フィールドシールド電極11bとワード線21とは同じ層から形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】 素子形成領域8内に帯状に延在する複数のトレンチ分離領域7がそれぞれ間隔を隔てて島状に配設されている。隣り合う帯状に延在するトレンチ分離領域7によって挟まれた素子形成領域8に、MOSトランジスタT1,T2が形成されている。そのゲート電極にはワード線21が接続されている。ワード線21と略平行に間隔を隔てて所定のフィールドシールド電極11bが形成されている。フィールドシールド電極11bとワード線21とは同じ層から形成されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に、結晶欠陥の抑制される半導体装置と、そのような半導体装置の製造方法に関するものである。
金属膜、酸化膜およびシリコン電界効果型トランジスタ(以下、「MOSトランジスタ」と記す。)を用いた半導体集積回路では、MOSトランジスタ等の能動素子を電気的に分離するために、シリコン酸化膜が適用される(非特許文献1)。従来、この種のシリコン酸化膜はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法と呼ばれる手法によって形成されていたが(非特許文献2)、近年の半導体装置のプロセスでは、トレンチ分離によって形成される(非特許文献2)。
このトレンチ分離を用いた従来の半導体装置の一例として、リードオンリーメモリ(以下、「ROM」と記す。)について説明する。ROMのメモリセルでは、2つのMOSトランジスタが直列に接続されている。その2つのMOSトランジスタは、シリコン基板上のトレンチ分離によるシリコン酸化膜によって区画されたn型またはp型の不純物を含んだシリコン基板の1つの領域内に形成されている。このシリコン基板における領域は、素子形成領域(活性領域)と呼ばれる。それぞれのMOSトランジスタのゲート電極は、その素子形成領域を横切るように間隔を隔てて並走するように配設されている。
S.M.Sze:半導体デバイス 基礎理論とプロセス技術、産業図書、(1987). N.G.Einspruch:VLSI Electronics Microstructure Science Volume 18,Advanced MOS Device Physics, Academic Press, 1989, Sandiego. P. M. Fahey, IBM J. Res. Develop. Vol. 36, 1992, p.158.
S.M.Sze:半導体デバイス 基礎理論とプロセス技術、産業図書、(1987). N.G.Einspruch:VLSI Electronics Microstructure Science Volume 18,Advanced MOS Device Physics, Academic Press, 1989, Sandiego. P. M. Fahey, IBM J. Res. Develop. Vol. 36, 1992, p.158.
従来の半導体装置では、トレンチ分離を用いて半導体装置を形成する場合に問題となるは、転位などの結晶欠陥の発生である(非特許文献3)。トレンチ分離では、シリコン基板にトレンチを形成した後に、トレンチ内部にシリコン酸化膜が充填されてトレンチが埋め込まれる。その後、所定の犠牲酸化やゲート酸化等の熱酸化処理がシリコン基板に施される。シリコンを熱酸化する工程では、所定の温度に加熱された石英管の内部にシリコン基板が挿入され、その石英管の内部に酸化性ガスが導入される。このとき、酸素(O2)等の酸化種が、石英管内の雰囲気からシリコン酸化膜内に浸入し、シリコン酸化膜中を拡散してシリコンとシリコン酸化膜との界面に到達する。
界面に到達した酸化種は、シリコンと反応してシリコン酸化膜が形成される。シリコンがシリコン酸化膜に変化する際には、体積が約2.2倍に膨張することになる。そのため、トレンチを埋め込んだ後の熱酸化処理では、トレンチ分離領域が膨らむことで素子形成領域内のシリコン中に応力が発生し、シリコンに転位等の結晶欠陥が生じることになる(非特許文献3)。シリコン中の結晶欠陥は、漏れ電流を誘発して半導体装置の特性を劣化させ、場合によっては、回路が正常に動作しない事態を引き起こすことになる。
このようなシリコン中に発生して結晶欠陥の原因となる応力は、トレンチを埋め込んだ後の熱酸化の量が大きいほど大きくなる。そのため、通常のMOSトランジスタを適用した半導体集積回路では、応力を抑制するためにトレンチを埋め込んだ後の熱酸化の量が最小限に抑えられている。しかしながら、メモリを混載するような半導体集積回路では、トレンチを埋め込んだ後に熱酸化処理を施すことによってシリコン酸化膜を所定回数形成する必要がある。そのため、ROMなどのメモリを搭載した半導体装置のプロセスでは結晶欠陥の発生が重大な問題となっていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は結晶欠陥が抑制される半導体装置を提供することであり、他の目的はそのような結晶欠陥の発生が抑制される半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明に係る半導体装置は、主表面を有する半導体基板と素子形成領域と所定の複数の素子と分離領域とを備えている。素子形成領域は半導体基板の主表面に形成されている。所定の複数の素子は素子形成領域に形成されている。分離領域は半導体基板の主表面に形成され、所定の複数の素子を電気的に分離する。その複数の分離領域のぞれぞれは、素子形成領域内に島状に配設されている。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。半導体基板の主表面に、互いに間隔を隔ててそれぞれ一方向に帯状に延在する第1分離領域および第2分離領域をそれぞれ形成する。その一方向と交差する他の方向に延在し、互いに間隔を隔てて第1分離領域および第2分離領域を横切るように第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極をそれぞれ形成する。第1分離領域、第2分離領域、第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極によって囲まれた領域内に、所定の素子として他の方向に延在するゲート電極を含むトランジスタを形成する。
第1分離領域および第2分離領域をそれぞれ形成する工程では、第1分離領域および第2分離領域は半導体基板の主表面に島状に配置される。第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極を形成する工程と、ゲート電極を形成する工程とは同時に行なわれる。
第1分離領域および第2分離領域をそれぞれ形成する工程では、第1分離領域および第2分離領域は半導体基板の主表面に島状に配置される。第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極を形成する工程と、ゲート電極を形成する工程とは同時に行なわれる。
本発明に係る半導体装置によれば、素子形成領域の海にトレンチ分離領域が島状に形成されたパターンであることで、半導体基板に発生する応力が緩和されて結晶欠陥を抑制することができる。
また、本発明に係る半導体装置によれば、第1分離領域および第2分離領域は半導体基板の主表面に島状に配置することで、半導体基板に発生する応力が緩和されて結晶欠陥を抑制することができる。また、素子形成領域に形成されるトランジスタのゲート電極と、素子間の電気的な絶縁を図るための第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極とを同じ工程において形成することで、付加的な工程を追加することなく形成することができる。また、ゲート電極と第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極とが交差する部分がなく、段差を軽減することができる。
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る半導体装置として、ROMを備えた半導体装置について説明する。まず、ROMのセルの等価回路図を図1に示す。図1に示すように、ROMのセルは、直列に接続された2つのMOSトランジスタT1,T2によって構成される。MOSトランジスタT1,T2のそれぞれのゲート電極はワード線21に接続され、ソース・ドレインはビット線22に接続されている。ROMを構成するMOSトランジスタT1,T2は、シリコン基板における所定の素子形成領域に形成される。また、そのMOSトランジスタT1,T2は、以下に説明するように、ROMを構成する他のMOSトランジスタとはトレンチ分離領域とフィールドシールド電極によって電気的に分離されることになる。
本発明の実施の形態1に係る半導体装置として、ROMを備えた半導体装置について説明する。まず、ROMのセルの等価回路図を図1に示す。図1に示すように、ROMのセルは、直列に接続された2つのMOSトランジスタT1,T2によって構成される。MOSトランジスタT1,T2のそれぞれのゲート電極はワード線21に接続され、ソース・ドレインはビット線22に接続されている。ROMを構成するMOSトランジスタT1,T2は、シリコン基板における所定の素子形成領域に形成される。また、そのMOSトランジスタT1,T2は、以下に説明するように、ROMを構成する他のMOSトランジスタとはトレンチ分離領域とフィールドシールド電極によって電気的に分離されることになる。
本実施の形態に係る半導体装置におけるROMが形成される領域では、図2に示すように、素子形成領域8内に帯状に延在する複数のトレンチ分離領域7がそれぞれ間隔を隔てて配設されたパターンとされる。そのトレンチ分離領域の幅L1はたとえば約0.5μmとされ、間隔L2は約1.5μmとされる。すなわち、当該半導体装置では、いわば素子形成領域8の海にトレンチ分離領域7を島のように配置したパターンが採用されている。
そして、図3および図4に示すように、隣り合う帯状に延在するトレンチ分離領域7によって挟まれた素子形成領域8にMOSトランジスタT1,T2が形成されている。そのトレンチ分離領域7がそれぞれ延在する方向と略直交する方向に、MOSトランジスタT1,T2のゲート電極11aを含むワード線21が形成されている。
さらに、所定のフィールドシールド電極11bがワード線21と略平行に間隔を隔てて形成されている。素子形成領域8内に帯状に延在するトレンチ分離領域7を島のように配置したことに伴って、そのトレンチ分離領域7が延在する方向に配設されるMOSトランジスタT1,T2とMOSトランジスタT3,T4等をそれぞれ電気的に分離する必要があり、フィールドシールド電極11bはその電気的な分離のための電極である。そのフィールドシールド電極11bは、ワード線21と同じ層から形成されている。
一方、比較例に係る半導体装置では、図5に示すように、トレンチ分離領域107内に複数の素子形成領域108が形成されたパターンとされる。その素子形成領域108の長さLL1、LL2は、それぞれ約3.0μm、約1.5μmとされ、素子形成領域と素子形成領域との間隔LL3は約0.5μmとされる。すなわち、比較例に係る半導体装置では、いわばトレンチ分離領域107の海に素子形成領域108を島のように配置したパターンが採用されている。
そして、図6および図7に示すように、トレンチ分離領域107によって区画された素子形成領域108にMOSトランジスタTT1,TT2等が形成されている。その素子形成領域108を横切るように、MOSトランジスタTT1,TT2等のゲート電極111aを含むワード線121が形成されている。
次に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法と比較例に係る半導体装置の製造方法とについてそれぞれ説明する。まず、本実施の形態に係る半導体装置では、図8に示されるシリコン基板1に所定の熱酸化処理を施すことによって、図9に示すように、シリコン基板1の表面にシリコン酸化膜2が形成される。次に、図10に示すように、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってシリコン酸化膜2上にシリコン窒化膜3が形成される。
次に、図11に示すように、所定のリソグラフィ処理とエッチング処理を施すことにより、トレンチ分離領域を形成する部分に位置する窒化膜3の部分が除去されて、シリコン酸化膜2の表面を露出する開口部3aが形成される。さらに、所定のエッチング処理を施して露出したシリコン酸化膜2の部分を除去することにより、図12に示すように、シリコン基板1の表面を露出する開口部2aが形成される。次に、図13に示すように、所定のエッチング処理を施して露出したシリコン基板1の部分を除去することにより、トレンチ(溝)4が形成される。
次に、図14に示すように、所定の熱酸化処理を施すことにより、露出したトレンチ4の内壁にシリコン酸化膜5が形成される。次に、図15に示すように、たとえばCVD法によりトレンチ4内を充填するようにシリコン窒化膜3上に所定の厚さのシリコン酸化膜6が形成される。次に、そのシリコン酸化膜6に化学的機械研磨処理(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を施すことにより、図16に示すように、トレンチ4内に位置するシリコン酸化膜6の部分6aを残して、シリコン窒化膜3の上面上に位置するシリコン酸化膜6の部分が除去される。
次に、所定のエッチング処理を施すことにより、図17に示すように、シリコン窒化膜3が除去され、さらに、図18に示すように、シリコン酸化膜2が除去される。このようにして、トレンチ4にシリコン酸化膜6aが埋め込まれたトレンチ分離領域7と素子形成領域8とが形成される。これにより、トレンチ分離領域7は、図2に示すように、素子形成領域8内に島のように形成された状態となる。
次に、図19に示すように、所定の熱酸化処理を施すことにより、素子形成領域8の表面にシリコン酸化膜からなる犠牲酸化膜9が形成される。次に、図20に示すように、イオン注入法により、ウェルの形成およびしきい値制御のための所定の不純物イオンが犠牲酸化膜9越しにシリコン基板1に注入される。その後、所定のエッチング処理を施すことにより、図21に示すように、犠牲酸化膜9が除去されてシリコン基板1の表面が露出する。
次に、所定の熱酸化処理を施すことにより、図22に示すように、露出したシリコン基板1の表面にゲート酸化膜となるシリコン酸化膜10が形成される。次に、図23に示すように、そのシリコン酸化膜10上に、たとえばCVD法によりゲート電極となるn型またはp型の不純物を含んだポリシリコン膜11が形成される。次に、所定のフォトリソグラフィ処理を施すことによって、ポリシリコン膜11上にゲート電極をパターニングするためのフォトレジスト(図示せず)が形成される。
そのフォトレジストをマスクとして、ポリシリコン膜11に所定のエッチングを施すことにより、図24に示すように、ゲート電極11aが形成される。このとき、シリコン酸化膜10も一部エッチングされることになる。ゲート電極11aとシリコン基板1との間に位置するシリコン酸化膜がゲート酸化膜10aとなる。
次に、図25に示すように、フィールドシールドのための所定の注入マスクとなるフォトレジスト12が形成される。このフォトレジスト12は、フィールドシールド分離を形成する領域を開口(露出)するように形成される。そのフォトレジスト12をマスクとして露出したシリコン基板の表面にn型またはp型の不純物をイオン注入により導入することで、フィールドシールド分離として用いられるMOSトランジスタのしきい値電圧が、セルを構成するMOSトランジスタのしきい値よりも高く設定される。その後、フォトレジスト12が除去される。
次に、図26に示すように、たとえばCVD法によりゲート電極11aを覆うようにシリコン基板1上にシリコン酸化膜13が形成される。そのシリコン酸化膜13に異方性エッチングを施すことにより、図27に示すように、ゲート電極11aの側面上にサイドウォール酸化膜13aが形成される。次に、n型またはp型の不純物をイオン注入法によりシリコン基板1の表面に導入し、所定の熱処理を施して不純物を電気的に活性化させることで、図28に示すように、ソース・ドレイン領域14a,14bが形成される。
その後、図29に示すように、ゲート電極11aを覆うシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜15,16,17と、所定の配線18,19,20とがそれぞれ形成されて、半導体装置が完成する。このように、本実施の形態に係る半導体装置では、素子形成領域8内に帯状に延在する複数のトレンチ分離領域7がそれぞれ間隔を隔てて配設され、その隣り合う帯状に延在するトレンチ分離領域7によって挟まれた素子形成領域8にMOSトランジスタT1,T2等が形成されることになる。なお、後述するように、MOSトランジスタT1,T2は、他のMOSトランジスタ(図示せず)とは、フィールドシールド電極11bによって電気的に分離されることになる。
次に、比較例に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、前述した図8〜図9に示す工程と同様の工程を経て、図30に示すように、シリコン基板101上にシリコン酸化膜102およびシリコン窒化膜103がそれぞれ形成される。次に、図31に示すように、所定のリソグラフィ処理とエッチング処理を施すことにより、トレンチ分離領域を形成する部分に位置する窒化膜103の部分が除去されて、シリコン酸化膜102の表面を露出する開口部103aが形成される。さらに、所定のエッチング処理を施して露出したシリコン酸化膜102の部分を除去することにより、図32に示すように、シリコン基板101の表面を露出する開口部102aが形成される。
次に、図33に示すように、所定のエッチング処理を施して露出したシリコン基板1の部分を除去することにより、トレンチ(溝)104が形成される。次に、図34に示すように、所定の熱酸化処理を施すことにより、露出したトレンチ104の内壁にシリコン酸化膜105が形成される。次に、図35に示すように、たとえばCVD法によりトレンチ104内を充填するようにシリコン窒化膜103上に所定の厚さのシリコン酸化膜106が形成される。
次に、そのシリコン酸化膜106に化学的機械研磨処理を施すことにより、図36に示すように、トレンチ104内に位置するシリコン酸化膜106の部分106aを残して、シリコン窒化膜103の上面上に位置するシリコン酸化膜106の部分が除去される。
次に、所定のエッチング処理を施すことにより、図37に示すように、シリコン窒化膜103が除去され、さらに、図38に示すように、シリコン酸化膜102が除去される。このようにして、トレンチ104にシリコン酸化膜106aが埋め込まれたトレンチ分離領域107と素子形成領域108が形成される。これにより、素子形成領域108は、図5に示すように、トレンチ分離領域107内に島のように形成された状態となる。
次に、図39に示すように、所定の熱酸化処理を施すことにより、素子形成領域108の表面にシリコン酸化膜からなる犠牲酸化膜109が形成される。次に、図40に示すように、イオン注入法により、ウェルの形成およびしきい値制御のための所定の不純物イオンが犠牲酸化膜109越しにシリコン基板101に注入される。その後、所定のエッチング処理を施すことにより、図41に示すように、犠牲酸化膜109が除去されてシリコン基板101の表面が露出する。
次に、所定の熱酸化処理を施すことにより、図42に示すように、露出したシリコン基板101の表面にゲート酸化膜となるシリコン酸化膜110が形成される。次に、図43に示すように、そのシリコン酸化膜110上に、たとえばCVD法によりゲート電極となるn型またはp型の不純物を含んだポリシリコン膜111が形成される。次に、所定のフォトリソグラフィ処理を施すことによって、ポリシリコン膜111上にゲート電極をパターニングするためのフォトレジスト(図示せず)が形成される。
そのフォトレジストをマスクとして、ポリシリコン膜111に所定のエッチングを施すことにより、図44に示すように、ゲート電極111aが形成される。このとき、シリコン酸化膜110も一部エッチングされることになる。ゲート電極111aとシリコン基板101との間に位置するシリコン酸化膜がゲート酸化膜110aとなる。
次に、図45に示すように、たとえばCVD法によりゲート電極111aを覆うようにシリコン基板101上にシリコン酸化膜113が形成される。そのシリコン酸化膜113に異方性エッチングを施すことにより、図46に示すように、ゲート電極111aの側面上にサイドウォール酸化膜113aが形成される。次に、n型またはp型の不純物をイオン注入法によりシリコン基板101の表面に導入し、所定の熱処理を施して不純物を電気的に活性化させることで、図47に示すように、ソース・ドレイン領域114a,114bが形成される。
その後、図48に示すように、ゲート電極111aを覆うシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜115,116,117と、所定の配線118,119,120とがそれぞれ形成されて、半導体装置が完成する。このように、比較例に係る半導体装置では、トレンチ分離領域107内に素子形成領域108が島のように形成されて、その素子形成領域108内にMOSトランジスタTT1,TT2が形成されることになる。
本実施の形態に係る半導体装置では、素子形成領域の海にトレンチ分離領域が島状に形成されたパターンであるのに対して、比較例に係る半導体装置では、トレンチ分離領域の海に素子形成領域が島状に形成されたパターンである。これにより、本実施の形態に係る半導体装置においては、シリコン基板に発生する応力が緩和されて結晶欠陥を抑制することができる。以下、このことについて詳しく説明する。
まず、トレンチ分離領域を形成した後の熱酸化処理によってシリコン基板に応力が発生するメカニズムについて説明する。上述したように、トレンチ分離領域を形成した後では、犠牲酸化膜を形成したり、あるいは、ゲート酸化膜を形成する際にシリコン酸化膜に熱酸化処理が施される。
シリコン基板に熱酸化処理を施す工程では、図49に示すように、発熱体31により所定の温度に加熱された石英管30の内部にシリコン基板1が挿入され、その石英管30の内部に酸化性ガス32が導入される。このとき、図50に示すように、酸素(O2)等の酸化種37が、石英管30内の雰囲気38からシリコン酸化膜36内に浸入し、シリコン酸化膜36中を拡散してシリコン35,1とシリコン酸化膜36との界面39に到達する。界面39に到達した酸化種37は、シリコン35,1と反応してシリコン酸化膜36が形成(成長)される。
シリコンがシリコン酸化膜に変化する際には、体積が約2.2倍に膨張する。そのため、トレンチ分離領域を形成した後の熱酸化処理では、図51に示すように、トレンチ分離領域7,107が膨張して、素子形成領域内のシリコン35に大きな応力を発生させることになる。その結果、比較例に係る半導体装置では、図52に示すように、素子形成領域108には転位40等の結晶欠陥が生じることになる。
次に、トレンチ分離領域を形成した後の熱酸化処理に伴ってシリコン基板に発生する応力をシミュレーションによって見積もった。これについて説明する。まず、トレンチ分離領域と素子形成領域のパターンを、図53に示すように、素子形成領域41の三方がトレンチ分離領域42によって囲まれたパターンとし、素子形成領域41の角の部分(I−J)と中央付近の部分(G−H)の2箇所について、それぞれG−H(center)とI−J(edge)に沿った分解せん断応力を算出した。
なお、図53では、形状の対称性により、X方向およびY方向(平面)のそれぞれの領域の半分は省略されている。また、熱酸化条件として、温度約1050℃のもとで、水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)を石英管内で燃焼させることによって生成されるスチーム(H2O)(パイロジェニック・スチーム)による酸化を約45秒行なった場合を想定した。
分解せん断応力のシミュレーション結果を図54に示す。この図54に示される結果から、素子形成領域41の角のトレンチ分離領域42の底(I)の部分にける応力が最も高くなることが判明した。
次に、素子形成領域の角の部分における応力について、図55に示すように、素子形成領域41の三方がトレンチ分離領域42によって囲まれたパターン(三方分離領域)と、図56に示すように、トレンチ分離領域42の三方が素子形成領域41によって囲まれたパターン(三方素子形成領域)とについてその大きさを求めた。三方分離領域のパターンでは、図57に示すように、素子形成領域41の角の部分K−Lに沿った分解せん断応力を算出し、三方素子形成領域のパターンでは、図58に示すように、素子形成領域41の角の部分M−Nに沿った分解せん断応力を算出した。なお、図55および図56では、形状の対称性により、X方向およびY方向(平面)のそれぞれの領域の半分は省略されている。また、熱酸化条件を上記条件と同じ条件を想定した。
その分解せん断応力のシミュレーション結果を図59に示す。図59に示すように、三方素子形成領域のパターンにおける角の部分(M−N)の応力は、三方分離領域のパターンにおける角の部分(K−L)の応力よりも大幅に小さくなっていることが判明した。
本実施の形態に係る半導体装置では、このシミュレーションの結果に基づいてトレンチ分離領域の三方が、素子形成領域によって囲まれたパターンが採用されている。すなわち、図2に示すように、素子形成領域8の海にトレンチ分離領域7を島のように配置することによって、トレンチ分離領域7の三方(矢印70)が素子形成領域8によって囲まれていることになる。このように、本実施の形態に係る半導体装置では、トレンチ分離領域7の三方が素子形成領域8によって囲まれたパターンを採用することによって、トレンチ分離領域7形成後の熱酸化処理によってシリコンに発生する応力を大幅に低減することができる。
さらに、本実施の形態に係る半導体装置では、トレンチ分離領域の三方が素子形成領域によって囲まれたパターンだけによって半導体装置を構成するために、素子を電気的に絶縁する構造構造として、トレンチ分離構造に加えて、フィールドシールド分離構造が採用されている。そこで、次に、トレンチ分離構造とフィールドシールド分離構造とによる電気的な分離について説明する。
半導体素子として、それぞれnチャネル型のMOSトランジスタが形成されたトレンチ分離構造の半導体装置を図60に示し、フィールドシールド分離構造の半導体装置を図61に示す。
まず、図60に示すように、トレンチ分離構造の半導体装置では、一つの素子形成領域にn型の不純物領域47およびゲート電極46を含むMOSトランジスタが形成されている。他の素子形成領域には、他の素子となるn型の不純物領域51が形成されている。その素子形成領域と他の素子形成領域との間にトレンチ分離領域48が形成されている。
素子形成領域内のn型の不純物領域47と他の素子形成領域内のn型の不純物領域51とにそれぞれ所定の電圧を印加することで、n型の不純物領域47と半導体基板におけるp型の領域45との界面からp型の領域45へ向かって空乏層49aが形成される一方、n型の不純物領域51と半導体基板におけるp型の領域45との界面からも空乏層49bが形成される。このとき、空乏層49aと空乏層49bとの間にトレンチ分領域48が位置していることで、空乏層49aと空乏層49bとが繋がらず、たとえn型の不純物領域47とn型の不純物領域51との間に電位差があっても電流が流れるのを阻止することができる。
これに対して、図61に示すフィールドシールド分離構造の半導体装置では、n型の不純物領域47とn型の不純物領域51との間に位置する半導体基板の部分にはトレンチ分領域は形成されずフィールドシールド電極50が形成されている。この領域にトレンチ分離領域もフィールドシールド電極も形成されていない場合には、図62に示すように、n型の不純物領域47と半導体基板のp型の領域45との界面から延びる空乏層49aと、n型の不純物領域51と半導体基板のp型の領域45との界面から延びる空乏層49bとが繋がってしまう。そのため、空乏層49aと空乏層49bとの間に電位差があると電流が流れてしまうことになる。
そこで、フィールドシールド分離構造では、フィールドシールド電極50を形成し、そのフィールドシールド電極50にたとえば0Vの電圧をバイアスすることによって、フィールドシールド電極50の直下に位置するp型領域45の部分では、空乏層49aの延びと空乏層49bの延びが抑制されて、空乏層49aと空乏層49bとが繋がるのを阻止することができる。これにより、空乏層49aと空乏層49bとの間に電位差があっても電流が流れるのを阻止して、一つの素子形成領域に形成される素子と他の素子形成領域に形成される素子とを電気的に分離することができる。
ところで、フィールドシールド分離構造はトレンチ分離構造に比べて、たとえば文献(T.Iwamatsu, IEEE Trans. Electron Devices, vol. 42, 1995, p1934)にあるように、フィールドシールド電極を形成するための工程が付加的に必要とされる。さらに、フィールドシールド電極とゲート電極が交差すると、その交差した部分において段差が生じることになり、後のリソグラフィ工程において微細加工に支障をきたすことになる。
そのため、半導体装置のパターンをすべてフィールドシールド分離構造によって分離させることは望ましくない。そこで、本実施の形態に係る半導体装置では、上述したように、トレンチ分離構造とフィールドシールド分離構造を併用している。これにより、フィールドシールド電極11bとゲート電極11aを交差させることがなくなり、また、ゲート電極11aとフィールドシールド電極11bを同じ工程において同時に形成することができる。
実施の形態2
前述した半導体装置では、トレンチ分離領域の形状として、帯状に延在するトレンチ分離とし、その端部の三方が素子形成領域(半導体基板の領域)に囲まれた場合を例に挙げて説明した。ここでは、トレンチ分離領域の形状のバリエーションについて説明する。
前述した半導体装置では、トレンチ分離領域の形状として、帯状に延在するトレンチ分離とし、その端部の三方が素子形成領域(半導体基板の領域)に囲まれた場合を例に挙げて説明した。ここでは、トレンチ分離領域の形状のバリエーションについて説明する。
まず、トレンチ分離領域の形状として、図63に示すように、帯状に延在するトレンチ分離領域42の端部の角を落とした形状としてもよい。トレンチ分離領域42の端部の角を落とすことで、素子形成領域41に作用するストレスをさらに緩和することができる。
また、トレンチ分離領域の形状として、単一閉曲線によって囲まれたパターンとしてもよい。単一閉曲線とは、文献(藤本敦夫著、「ベクトル解析」、現代数学レクチャーズC−1、培風館、1982)によれば、たとえば図64に示される閉曲線60と図65に示される単一曲線61との双方の性質を備えた図66に示される曲線62をいう。その閉曲線とは、任意の曲線Cのパラメータ表示を、r=r(t)(a≦t≦b)とすると、r(a)=r(b)となる曲線、すなわち、始点と終点とが一致する曲線60をいう。また、単一曲線とは、a≦t<t'<bに対して、常にr(t)≠r(t')である曲線61をいう。
このように、トレンチ分離領域を単一閉曲線によって囲まれたパターンと定義すると、半導体装置では、図67に示すように、トレンチ分離領域42は、いわば素子形成領域41の海に島状に配置されたパターンということになる。一方、従来の半導体装置では、図68に示すように、トレンチ分離領域42の海に素子形成領域41が島状に配置されたパターンということになる。
このようなパターン(形状)としては、他に、たとえば図69に示されるトレンチ分離領域41の4隅の角を落とした構造、そのトレンチ分離領域41の4隅の角をさらに落とした図70に示される構造、帯状のトレンチ分離領域42が断続的に形成された図71に示される構造、あるいは、トレンチ分離領域42がアルファベットのH字型の形状をした図72に示される構造などとしてもよい。
なお、素子形成領域は半導体基板の表面に無限に広がっているわけではなく、たとえば図73に示すように、比較的広いウェル間分離領域43によって囲まれた領域内に素子形成領域41が形成されていることが好ましい。そのような素子形成領域41内に単一閉曲線によって囲まれたパターン形状を有するトレンチ分離領域42が島状に配置されていることになる。
また、上述した実施の形態では、半導体装置としてROMを例に挙げて説明したが、半導体装置としてはROMに限られず、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリやフラッシュメモリなどのMOSトランジスタを用いた半導体装置に広く適用することができる。また、MOSトランジスタとしては、nチャネル型のMOSトランジスタを例に挙げて説明したが、pチャネル型のMOSトランジスタであってもよい。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シリコン基板、2,5,6,6a,10,13,36 シリコン酸化膜、2a,3a 開口部、3 シリコン窒化膜、4 トレンチ、7,42,48 トレンチ分離領域、8,41 素子形成領域、9 犠牲酸化膜、10a ゲート酸化膜、11 ポリシリコン膜、11a ゲート電極、11b,50 フィールドシールド電極、12 フォトレジスト、13a サイドウォール酸化膜、14a,14b ソース・ドレイン領域、15,16,17 層間絶縁膜、18,19,20 配線、21 ワード線、22 ビット線、30 石英管、31 発熱体、32 酸化ガス、35 シリコン、37 酸化種、38 雰囲気、39 界面、40 転位、43 ウェル間分離領域、45 p型の領域、46 ゲート電極、47 n型の領域、49 空乏層、60 閉曲線、61 単一曲線、62 単一閉曲線。
Claims (9)
- 主表面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の主表面に形成された素子形成領域と、
前記素子形成領域に形成された所定の複数の素子と、
前記半導体基板の主表面に形成され、前記所定の複数の素子を電気的に分離するための複数の分離領域と
を備え、
複数の前記分離領域のぞれぞれは、前記素子形成領域内に島状に配設された、半導体装置。 - 複数の前記分離領域のそれぞれは、単一閉曲線によって囲まれたパターンとされた、請求項1記載の半導体装置。
- 複数の前記分離領域のいずれかは、三方向が前記素子形成領域によって囲まれた端部を含む、請求項1記載の半導体装置。
- 複数の前記分離領域は、互いに間隔を隔ててそれぞれ一方向に帯状に延在する第1分離領域および第2分離領域を含み、
前記一方向と交差する他の方向に延在し、互いに間隔を隔てて前記第1分離領域および前記第2分離領域を横切るように形成された第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極を備え、
前記第1分離領域、前記第2分離領域、前記第1フィールドシールド電極および前記第2フィールドシールド電極によって囲まれた領域内に、前記複数の所定の素子のうちの少なくとも一つの素子が形成された、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。 - 前記素子として、前記他の方向に延在するゲート電極を含むトランジスタが形成された、請求項4記載の半導体装置。
- 前記ゲート電極、前記第1フィールドシールド電極および前記第2フィールドシールド電極は同じ層から形成された、請求項5記載の半導体装置。
- 半導体基板の主表面に、互いに間隔を隔ててそれぞれ一方向に帯状に延在する第1分離領域および第2分離領域をそれぞれ形成する工程と、
前記一方向と交差する他の方向に延在し、互いに間隔を隔てて前記第1分離領域および前記第2分離領域を横切るように第1フィールドシールド電極および第2フィールドシールド電極をそれぞれ形成する工程と、
前記第1分離領域、前記第2分離領域、前記第1フィールドシールド電極および前記第2フィールドシールド電極によって囲まれた領域内に、所定の素子として前記他の方向に延在するゲート電極を含むトランジスタを形成する工程と
を備え、
前記第1分離領域および前記第2分離領域をそれぞれ形成する工程では、前記第1分離領域および前記第2分離領域は前記半導体基板の主表面に島状に配置され、
前記第1フィールドシールド電極および前記第2フィールドシールド電極を形成する工程と前記ゲート電極を形成する工程とは同時に行なわれる、半導体装置の製造方法。 - 前記第1フィールドシールド電極および前記第2フィールドシールド電極を形成する工程と前記ゲート電極を形成する工程は、
前記半導体基板の主表面上に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜に所定のパターニングを施す工程と
を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。 - 前記導電膜はポリシリコン膜を含む、請求項8記載の半導体装置の製造方法。
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