JP2006291140A - セルロースアシレートフィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さい優れた光学性能を有するセルロースアシレートフィルムを提供する。また、けん化処理や、光照射に対する光学性能の変動、特にRthの変動が小さい耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供する。さらにまた、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さく、かつ耐久性に優れた優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、およびこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有し、かつ特定の紫外線吸収剤を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板および液晶表示装置。
【選択図】 なし
【解決手段】 700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有し、かつ特定の紫外線吸収剤を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板および液晶表示装置。
【選択図】 なし
Description
本発明は、セルロースアシレートフィルム、偏光板、および液晶表示装置に関する。
従来、セルロースアシレートフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学透明フィルムとして優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向から見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことが重要である。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学性能を評価した際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。
これまでに、正面のReを小さくしたセルロースアシレートフィルムはあったが、角度によるRe変化が小さい、すなわちRthが小さいセルロースアシレートフィルムは作製が難しかった。セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした、光学的に等方性である光学透明フィルムが強く望まれている。
一方、セルロースアシレートフィルムに種々の機能を持たせるために、様々な添加剤を添加することも行われてきた。特許文献1等に、近赤外線吸収剤を含有するセルロースアシレートフィルムが開示されており、電子機器の誤作動防止の赤外線カットフィルターの技術として提案されている。
レターデーションの調整のために添加剤を用いる技術としては、特許文献2に二色性を示すレターデーション調整剤として赤外線吸収剤および/または紫外線吸収剤を用い、該レターデーション調整剤を屈折率異方性を有する樹脂に混合して得られるフィルムのReが広い波長域にわたり変化を小さくする技術が提案されている。
また、特許文献3には赤外吸収染料を含有する光学フィルムが開示され、Re、Rthの値を小さくし得る技術が提案されている。さらに紫外線吸収剤を併用することによって、赤外吸収性が長期にわたって安定に得られることが記載されている。
特開2004−302177号公報
特開2004−325523号公報
特開2001−194522号公報
また、特許文献3には赤外吸収染料を含有する光学フィルムが開示され、Re、Rthの値を小さくし得る技術が提案されている。さらに紫外線吸収剤を併用することによって、赤外吸収性が長期にわたって安定に得られることが記載されている。
最近の液晶表示装置においては、表示色味の改善も要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、可視領域でReやRthを小さくするだけでなく、波長によるReやRthの変化、すなわち
波長分散を小さくすることが求められている。
波長分散を小さくすることが求められている。
また、セルロースアシレートフィルムは偏光板の透明保護フィルムとして広く利用されており、表面処理としてアルカリ水溶液でけん化処理を施すことが一般的である。しかし、赤外線吸収剤を含有するフィルムはけん化処理により光学性能、特にRthが変動しやすいという問題があり解決が望まれていた。
さらにモバイルや車載用途等、屋外で使用する場合が増加しており、光学性能、特にRthの曝光に対する耐久性も重要になってきている。
特許文献2や3に開示されている紫外線吸収剤を用いた態様では、セルロースアシレートフィルムの光学性能、特にRthの耐久性においても不十分であった。
さらにモバイルや車載用途等、屋外で使用する場合が増加しており、光学性能、特にRthの曝光に対する耐久性も重要になってきている。
特許文献2や3に開示されている紫外線吸収剤を用いた態様では、セルロースアシレートフィルムの光学性能、特にRthの耐久性においても不十分であった。
本発明の目的は、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さい優れた光学性能を有するセルロースアシレートフィルムを提供することである。
また本発明の別の目的は、けん化処理や、光照射に対する光学性能の変動、特にRthの変動が小さい耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することである。
さらにまた本発明のさらなる目的は、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さく、かつ耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、およびこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することにある。
また本発明の別の目的は、けん化処理や、光照射に対する光学性能の変動、特にRthの変動が小さい耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することである。
さらにまた本発明のさらなる目的は、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さく、かつ耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、およびこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することにある。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、以下に記載するセルロースアシレートフィルムにより、本発明の課題を達成することができた。
(1) 700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有し、かつ下記一般式(U)で表される紫外線吸収剤を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
一般式(U): Q71−Q72−OH
(式中、Q71は1,3,5-トリアジン環、Q72は芳香族環を表す。)
(2) セルロースアシレートフィルムのレターデーション値が、
膜厚方向のレターデーションRthの400nm以上700nm以下の波長範囲における変動が25nm以下、および
正面方向のレターデーションReの400nm以上700nm以下の波長範囲における変動が10nm以下、
の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(3) 波長630nmにおける膜厚方向のレターデーションRthおよび正面方向のレターデーションReが、各々下記式の範囲を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
−25nm≦Rth≦25nm、
0nm≦Re≦10nm
(4) 波長630nmにおける正面方向のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値が下記式i)およびii)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
i) |Re×Rth|≦200
ii) 0.1≦|Rth|/Re≦5.0(Re≧1)
(5) セルロースアシレートのアシル置換度が2.90〜3.00であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6) セルロースアシレートのアシル置換基がアセチル基のみからなり、その全置換度が2.85〜2.95であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする
(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(7) 波長630nmにおける正面方向のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値が下記式を満たすこと特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦5かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦10
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
(8) 膜厚が10〜120μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(9) セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(10) 延伸されて得られたセルロースアシレートフィルムにおいて、正面方向のレターデーションReが下記式を満足すること特徴とする(9)に記載のセルロースアシレートフィルム。
|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
[式中、Re(n)はn(%)延伸したフィルムのRe、Re(0)は延伸していないフィルムの波長630nmにおけるReである]
(11) 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
(12) 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が(11)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
(13) 液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする(12)記載の液晶表示装置。
(1) 700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有し、かつ下記一般式(U)で表される紫外線吸収剤を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
一般式(U): Q71−Q72−OH
(式中、Q71は1,3,5-トリアジン環、Q72は芳香族環を表す。)
(2) セルロースアシレートフィルムのレターデーション値が、
膜厚方向のレターデーションRthの400nm以上700nm以下の波長範囲における変動が25nm以下、および
正面方向のレターデーションReの400nm以上700nm以下の波長範囲における変動が10nm以下、
の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(3) 波長630nmにおける膜厚方向のレターデーションRthおよび正面方向のレターデーションReが、各々下記式の範囲を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
−25nm≦Rth≦25nm、
0nm≦Re≦10nm
(4) 波長630nmにおける正面方向のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値が下記式i)およびii)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
i) |Re×Rth|≦200
ii) 0.1≦|Rth|/Re≦5.0(Re≧1)
(5) セルロースアシレートのアシル置換度が2.90〜3.00であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6) セルロースアシレートのアシル置換基がアセチル基のみからなり、その全置換度が2.85〜2.95であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする
(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(7) 波長630nmにおける正面方向のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値が下記式を満たすこと特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦5かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦10
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
(8) 膜厚が10〜120μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(9) セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(10) 延伸されて得られたセルロースアシレートフィルムにおいて、正面方向のレターデーションReが下記式を満足すること特徴とする(9)に記載のセルロースアシレートフィルム。
|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
[式中、Re(n)はn(%)延伸したフィルムのRe、Re(0)は延伸していないフィルムの波長630nmにおけるReである]
(11) 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
(12) 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が(11)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
(13) 液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする(12)記載の液晶表示装置。
本発明により、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さい優れた光学性能を有するセルロースアシレートフィルムを提供することができる。
またけん化処理や、光照射に対する光学性能の変動、特にRthの変動が小さい耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することができる。
さらに、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さく、かつ耐久性に優れた優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、およびこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することができる。
またけん化処理や、光照射に対する光学性能の変動、特にRthの変動が小さい耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することができる。
さらに、広い波長域にわたりReおよびRthの変化が小さく、かつ耐久性に優れた優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、およびこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することができる。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい特性を有している。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthの値を大きくする、もしくは長波長側のRe、Rthを小さくすることによって波長範囲における変動を平滑にすることが可能である。
光の波長と屈折率とは、Kramers−Kronigの関係式から化合物の吸収極大の近傍で屈折率が大きく変化し、吸収極大の短波長側では負の屈折率が、吸収極大の長波長側では正の屈折率が発現することが知られている。
光の波長と屈折率とは、Kramers−Kronigの関係式から化合物の吸収極大の近傍で屈折率が大きく変化し、吸収極大の短波長側では負の屈折率が、吸収極大の長波長側では正の屈折率が発現することが知られている。
紫外線吸収剤は可視領域の短波長側に正の屈折率を発現し、短波長側のRthの値を大きくすることができる。また700〜1200nmに吸収極大を有する近赤外線吸収剤は可視領域の長波長側に負の屈折率を発現し、長波長側のRe、Rthの値を低下することができる。
[近赤外線吸収剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムは700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を有する近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有する。
以下、近赤外線吸収剤について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を有する近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有する。
以下、近赤外線吸収剤について説明する。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤は少なくとも1つの極大吸収波長が700nm以上1200nm以下にあることが好ましく、800nm以上1000nm以下であることがより好ましい。本発明において極大吸収波長はジクロロメタンを溶媒として測定して得られた値を指す。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤は、400nm以上600nm以下の波長領域に実質的に吸収を有さないことが好ましく、400nm以上550nm以下の波長領域に実質的に吸収を有さないことがより好ましい。実質的に吸収を有さないとは近赤外線吸収剤の1.0g/リットルのジクロロメタン溶液のセル長1cmでの吸光度が5.0以下であり、2.0以下であることがより好ましく、0〜1.0であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤は、400nm以上600nm以下の波長領域に実質的に吸収を有さないことが好ましく、400nm以上550nm以下の波長領域に実質的に吸収を有さないことがより好ましい。実質的に吸収を有さないとは近赤外線吸収剤の1.0g/リットルのジクロロメタン溶液のセル長1cmでの吸光度が5.0以下であり、2.0以下であることがより好ましく、0〜1.0であることがさらに好ましい。
近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポリメチン系化合物、チオール系金属錯塩、アミノチオフェレート系金属錯塩、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、アミニウム塩、ピリリウム系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、トリアリルメタン系化合物、アズレニウム系化合物、インドフェノール系化合物およびアントラキノン系化合物等の有機化合物、及びアルミニウム塩等の無機化合物等を挙げることができる。
好ましい近赤外線吸収剤としては、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、アミニウム塩、ポリメチン系化合物、ベンゼンジチオール金属錯体、およびアミノチオフェレート系金属錯塩等を挙げることができる。
具体的には、特開昭61−154888、特開昭61−197281、特開昭61−246091、特開昭63−37991、特開昭63−39388、特開昭62−233288、特開昭63−312889、特開平2−43269、特開平2−138382、特開平2−296885、特開平3−43461、特開平3−77840、特開平3−100066、特開平3−62878、特願平3−338557、特願平3−99730、特願平3−252414等に開示されているフタロシアンニン類あるいはナフタロシアニン類、特開昭61−291651、特開昭61−291652、特開昭62−15260、特開昭62−132963、特開平1−129068、特開平1−172458等に開示されているようなアントラキノン類が挙げられる。
好ましいシアニン化合物は下記一般式(C)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(C)
一般式(C)
式中、Q1、Q2は、縮合環を有してもよい5員または6員の含窒素へテロ環を形成するための原子群を示す。R3、R4は、炭素数1〜8のアルキル基を示す。nは、2〜4の整数を示す。
Q1、Q2は、縮合環を有してもよい5員または6員の含窒素へテロ環を形成するための原子群を示し、すなわち、Q1、Q2は、これらに隣接する炭素原子に結合する窒素原子とともに互いに結合して5員または6員の含窒素へテロ環を形成し、この含窒素へテロ環は、縮合環を有していてもよい。この縮合環としては、縮合ベンゼン環、縮合ナフタレン環等が挙げられる。
Q1、Q2は、縮合環を有してもよい5員または6員の含窒素へテロ環を形成するための原子群を示し、すなわち、Q1、Q2は、これらに隣接する炭素原子に結合する窒素原子とともに互いに結合して5員または6員の含窒素へテロ環を形成し、この含窒素へテロ環は、縮合環を有していてもよい。この縮合環としては、縮合ベンゼン環、縮合ナフタレン環等が挙げられる。
縮合環を有してもよい5員または6員の含窒素へテロ環としては、インドレニン環、4,5−ベンゾインドレニン環、5,6−ベンゾインドレニン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリミジン環等が挙げられる。
これらの環には、ハロゲン原子、アリール基、炭素数1〜4のアルキル基、同じくアルコキシ基、同じくアルキルアミノスルファミド基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基等が置換していてもよい。
ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アリール基としては、単環であっても縮合環を有するものであってもよく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらは、さらに置換基を有していてもよい。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、テトラフルオロプロポキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキルアミノスルファミド基としては、例えば、メチルアミノスルファミド基、エチルアミノスルファミド基、プロピルアミノスルファミド基、ブチルアミノスルファミド基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基等が挙げられる。
また、R3、R4は、炭素数1〜8のアルキル基を示す。これらには、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)等が置換していてもよい。
さらに、nは、2〜4の整数を示す。
好ましいフタロシアニンあるいはナフタロシアンは下記一般式(I)あるいは一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(I)
一般式(I)
一般式(II)
式(I)、(II)中、A1 〜A8 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、あるいは置換又は未置換のアルコキシ基を表し、かつ、A1 とA2 、A3 とA4 、A5 とA6 、およびA7 とA8 の各組み合わせにおいて、同時に水素原子で
ある組み合わせとなることはない。他方、B1 〜B8は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のアルコキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルチオ基、あるいは置換又は未置換のアリールチオ基を表す。Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、またはオキシ金属を表す。
ある組み合わせとなることはない。他方、B1 〜B8は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のアルコキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルチオ基、あるいは置換又は未置換のアリールチオ基を表す。Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、またはオキシ金属を表す。
式(I)、(II)中、A1 〜A8 或いはB1 〜B8 で表される置換又は未置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチル−プロピル基、n-ヘキシル基、cyclo-ヘキシル基、1,3-ジメチル-ブチル基、1-iso-プロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2-メチル1-iso-プロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-iso-プロピルブチル基、2-メチル-1-iso-プロピル基、1-t-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基、γ−エトキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、クロロメチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、1,1,1,3,3,3,-ヘキサフルオロ-2-プロピル基等のハロゲン化アルキル基、アルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
また、置換または未置換のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、iso-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、iso-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、iso-ペンチルオキシ基、neo-ペンチルオキシ基、1,2-ジメチル−プロピルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、cyclo-ヘキシルオキシ基、1,3-ジメチル-ブチルオキシ基、1-iso-プロピルプロピルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、1,4-ジメチルペンチルオキシ基、2-メチル-1-iso-プロピルプロピルオキシ基、1-エチル-3-メチルブチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-メチル-1-iso-プロピルブチルオキシ基、2-メチル-1-iso-プロピルオキシ基、1-t-ブチル-2-メチルプロピルオキシ基、n-ノニルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、γ−メトキシプロピルオキシ基、γ−エトキシプロピルオキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、ジメトキシメトキシ基、ジエトキシメトキシ基、ジメトキシエトキシ基、ジエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルコキシ基、クロロメトキシ基、2,2,2-トリクロロエトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリクロロエトキシ基、1,1,1,3,3,3,-ヘキサフルオロ-2-プロピルオキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、ジメチルアミノエトキシ基、ジエチルアミノエトキシ基などのアルキルアミノアルコキシ基、ジアルキルアミノアルコキシ基等が挙げられる。
B1 〜B8 で表される置換又は未置換のアリール基の例としては、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フッ素化フェニル基、ヨウ素化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ピリジル基などが挙げられる。置換又
は未置換のアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アルキルフェノキシ基、等が挙げられ、置換又は未置換のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチル−プロピルチオ基、n-ヘキシルチオ基、cyclo-ヘキシルチオ基、1,3-ジメチル-ブチルチオ基、1-iso-プロピルプロピルチオ基、1,2-ジメチルブチルチオ基、n-ヘプチルチオ基、1,4-ジメチルペンチルチオ基、2-メチル1-iso-プロピルプロピルチオ基、1-エチル-3-メチルブチルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、3-メチル-1-iso-プロピルブチルチオ基、2-メチル-1-iso-プロピルチオ基、1-t-ブチル-2-メチルプロピルチオ基、n-ノニルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキルチオ基、メトキシメチルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基、プロポキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、γ−メトキシプロピルチオ基、γ−エトキシプロピルチオ基、メトキシエトキシエチルチオ基、エトキシエトキシエチルチオ基、ジメトキシメチルチオ基、ジエトキシメチルチオ基、ジメトキシエチルチオ基、ジエトキシエチルチオ基等のアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキルチオ基、クロロメチルチオ基、2,2,2-トリクロロエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリクロロエチルチオ基、1,1,1,3,3,3,-ヘキサフルオロ-2-プロピルチオ基等のハロゲン化アルキルチオ基、ジメチルアミノエチルシチオ基、ジエチルアミノエチルチオ基等のアルキルアミノアルキルチオ基、ジアルキルアミノアルキルチオ基等が挙げられる。置換又は未置換のアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アルキルフェニルチオ基、等が挙げる。
は未置換のアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アルキルフェノキシ基、等が挙げられ、置換又は未置換のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチル−プロピルチオ基、n-ヘキシルチオ基、cyclo-ヘキシルチオ基、1,3-ジメチル-ブチルチオ基、1-iso-プロピルプロピルチオ基、1,2-ジメチルブチルチオ基、n-ヘプチルチオ基、1,4-ジメチルペンチルチオ基、2-メチル1-iso-プロピルプロピルチオ基、1-エチル-3-メチルブチルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、3-メチル-1-iso-プロピルブチルチオ基、2-メチル-1-iso-プロピルチオ基、1-t-ブチル-2-メチルプロピルチオ基、n-ノニルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキルチオ基、メトキシメチルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基、プロポキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、γ−メトキシプロピルチオ基、γ−エトキシプロピルチオ基、メトキシエトキシエチルチオ基、エトキシエトキシエチルチオ基、ジメトキシメチルチオ基、ジエトキシメチルチオ基、ジメトキシエチルチオ基、ジエトキシエチルチオ基等のアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキルチオ基、クロロメチルチオ基、2,2,2-トリクロロエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリクロロエチルチオ基、1,1,1,3,3,3,-ヘキサフルオロ-2-プロピルチオ基等のハロゲン化アルキルチオ基、ジメチルアミノエチルシチオ基、ジエチルアミノエチルチオ基等のアルキルアミノアルキルチオ基、ジアルキルアミノアルキルチオ基等が挙げられる。置換又は未置換のアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アルキルフェニルチオ基、等が挙げる。
また、Mで表される2価金属の例としては、Cu(II),Zn(II),Co(II),Ni(II),Ru(II),Rh(II),Pd(II),Pt(II),Mn(II),Mg(II),Ti(II),Be(II),Ca(II),Ba(II),Cd(II),Hg(II),Pb(II),Sn(II)などが挙げられる。1置換の3価金属の例としては、Al−Cl,Al−Br,Al−F,Al−I,Ga−Cl,Ga−F,Ga−I,Ga−Br,In−Cl,In−Br,In−I,In−F,Tl−Cl,Tl−Br,Tl−I,Tl−F,Al−C6 H5 ,Al−C6 H4 (CH3 ),In−C6 H5 ,In−C6 H4 (CH3 ),In−C6 H5 ,Mn(OH),Mn(OC6 H5),Mn〔OSi(CH3 )3 〕,Fe−Cl,Ru−Cl等が挙げられる。2置換の4価金属の例としては、CrCl2 ,SiCl2 ,SiBr2 ,SiF2 ,SiI2 ,ZrCl2 ,GeCl2 ,GeBr2 ,GeI2 ,GeF2 ,SnCl2 ,SnBr2 ,SnF2 ,TiCl2 ,TiBr2 ,TiF2 ,Si(OH)2 ,Ge(OH)2 ,Zr(OH)2 ,Mn(OH)2 ,Sn(OH)2 ,TiR2 ,CrR2 ,SiR2 ,SnR2 ,GeR2 〔Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す〕,Si(OR')2 ,Sn(OR')2 ,Ge(OR')2 ,Ti(OR')2 ,Cr(OR')2 〔R'はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す〕,Sn(SR")2 ,Ge(SR")2 (R"はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す)などが挙げられる。オキシ金属の例としては、VO,MnO,TiOなどが挙げられる。
好ましいポリメチン系化合物として下記一般式(B)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(B)
一般式(B)
R3〜R6は水素原子または一価の有機残基であって、R3とR4またはR5とR6の組み合わせで環を形成してもよい。またR3〜R6の末端は芳香環に結合する窒素原子に対してオ
ルト位に位置する炭素に結合して環を形成してもよい。R7〜R10は水素原子、ハロゲンまたは一価の有機残基を示す。nは0〜3の整数を示す。X-は、ハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオンを示す。
ルト位に位置する炭素に結合して環を形成してもよい。R7〜R10は水素原子、ハロゲンまたは一価の有機残基を示す。nは0〜3の整数を示す。X-は、ハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオンを示す。
R3〜R6中、一価の有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の5〜6員環のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の炭素数10以下のアリールアルキル基等が挙げられる。また環形成の場合、R3〜R6はエチレン、プロピレンおよびトリメチレンより選ばれるアルキレン基を意味し、この場合、窒素原子に結合しない他端は、窒素原子のオルト位に当たるベンゼン核炭素と結合するか、R3とR4の他端同志またはR5とR6の他端同志で結合して、環を形成する。
またR7〜R10中、一価の有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の5〜6員環のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;アセチル基;式−N(R11)R12で表されるアミノ基を例示することができる。
なお、式−N(R11)R12において、R11、R12は前記に例示の炭素数1〜6のアルキル基;5員または6員環のシクロアルキル基;アリール基;またはエチレン、プロピレンおよびトリメチレンより選ばれるアルキレン基を意味し、アルキレン基の場合、窒素原子に結合しない他端は、窒素原子のオルト位に当たるベンゼン核炭素と結合するか、R11とR12の他端同志で結合して環を形成する。
製造の容易性と商品化および特に要望される吸収波長特性の点から、前記一般式(2)において−N(R3)R4と−N(R5)R6とがジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびピロリジノ基から選ばれる同一の基であり、R7とR8とがメチル基、エチル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、および塩素原子から選ばれる同一の基であり、R9とR10とがいずれも水素原子であり、nが0または1である化合物が好ましい。
前記ハロゲンイオンとしては、例えば、ヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、フッ素イオン等が挙げられる。
前記無機酸イオンとしては、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
前記有機酸イオンとしては、例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
好ましいチオール系金属錯塩として下記一般式(A)で表されるベンゼンジチオール金属錯体を挙げることができる。
一般式(A)
一般式(A)
式中、R5は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、アリール基、ハロゲン原子または−COR6もしくは、−SO2R6で表される基を示す。R6、R7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいモルホリノ基、同じくピペリジノ基、同じくピロリジノ基、同じくチオモルホリノ基または同じくピペラジノ基を示す。mは1〜4の整数を示す。A+は第4級アンモニウムイオンまたは第4級ホスホニウムイオンを示す。Mは遷移金属原子を表す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−n−プロピルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−エチル−イソプロピルアミノ基、N,N−ジ−イソプロピルアミノ基、N,N−ジ−n−プロピルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロ−4−ブロモフェニル基、4−アミノフェニル基、2,4−ジアミノフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、2−アセチルフェニル基、4−アセチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メチルチオフェニル基、4−メチルチオフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。
上記のR6、および上記のR7は、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいモルホリノ基、同じくピペリジノ基、同じくピロリジノ基、同じくチオモルホリノ基または同じくピペラジノ基を示す。
置換基を有してもよいモルホリノ基としては、例えば、モルホリノ基、2−メチルモルホリノ基、3−メチルモルホリノ基、4−メチルモルホリノ基、2−エチルモルホリノ基、4−n−プロピルモルホリノ基、3−n−ブチルモルホリノ基、2,4−ジメチルモルホリノ基、2,6−ジメチルモルホリノ基、4−フェニルモルホニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいピペリジノ基としては、例えば、ピペリジノ基、2−メチルピペリジノ基、3−メチルピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、2−エチルピペリジノ基、4−n−プロピルピペリジノ基、3−n−ブチルピペリジノ基、2,4−ジメチルピペリジノ基、2,6−ジメチルピペリジノ基、4−フェニルピペリジノ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいピロリジノ基としては、例えば、ピロリジノ基、2−メチルピロリジノ基、3−メチルピロリジノ基、4−メチルピロリジノ基、2−エチルピロリジノ基、4−n−プロピルピロリジノ基、3−n−ブチルピロリジノ基、2,4−ジメチルピロリジノ基、2,5−ジメチルピロリジノ基、4−フェニルピロリジノ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいチオモルホリノ基としては、例えば、チオモルホリノ基、2−メチルチオモルホリノ基、3−メチルチオモルホリノ基、4−メチルチオモルホリノ基、2−エチルチオモルホリノ基、4−n−プロピルチオモルホリノ基、3−n−ブチルチオモルホリノ基、2,4−ジメチルチオモルホリノ基、2,6−ジメチルチオモルホリノ基、4−フェニルチオモルホリノ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいピペラジノ基としては、例えば、ピペラジノ基、2−メチルピペラジノ基、3−メチルピペラジノ基、4−メチルピペラジノ基、2−エチルピペラジノ基、4−n−プロピルピペラジノ基、3−n−ブチルピペラジノ基、2,4−ジメチルピペラジノ基、2,6−ジメチルピペラジノ基、4−フェニルピペラジノ基、2−ピリミジルピペラジノ基等が挙げられる。
R5が、上記した各種の置換基のうち、tert−ブチル基、N,N−ジエチルアミノ基、モルホリノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基、フェニルカルボニル基、N,N−ジエチルアミノカルボニル基、モルホリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、4−メチルピペラジノスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、塩素原子を用いると好ましい。
第4級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオン、テトラフェニルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、N−メチルピリジニウムイオン等が挙げられる。
第4級ホスホニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラ−n−ブチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラベンジルホスホニウムイオン、トリメチルベンジルホスホニウムイオン等が挙げられる。
Mで表される遷移金属原子はニッケル、銅、コバルト、白金、パラジウム原子が好ましく、ニッケル原子がより好ましい。
好ましいジインモニウム系化合物として下記一般式(D)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(D)
一般式(D)
式中、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基またはアリール基を、X-は、ハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオンを示す。
R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基またはアリール基を示す。また、X-は、ハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオンを示す。
R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基またはアリール基を示す。また、X-は、ハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオンを示す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−n−プロピルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−エチル−イソプロピルアミノ基、N,N−ジ−イソプロピルアミノ基、N,N−ジ−n−プロピルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロ−4−ブロモフェニル基、4−アミノフェニル基、2,4−ジアミノフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、2−アセチルフェニル基、4−アセチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メチルチオフェニル基、4−メチルチオフェニル基等が挙げられる。
ハロゲンイオンとしては、例えば、ヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、フッ素イオン等が挙げられる。
無機酸イオンとしては、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
有機酸イオンとしては、例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上述したジインモニウム塩は、例えば、日本カーリット株式会社の商品名CIR−1080、CIR−1081、日本化薬株式会社の商品名IRG−022、IRG−023、IRG−040として市販されているものを用いることができる。
好ましいアミノチオフェレート系金属錯塩として下記一般式(E)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(E)
一般式(E)
XはSまたはSeを表し、Mは、金属元素を表す。R1 〜R8 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、X1 〜X10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基,シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表わし、X1 〜X10のうちの少なくとも1つは水素原子ではない。
XはSまたはSeを表し、好ましくはSであり、Mは、金属元素を表し、2〜3価の遷移金属が好適に用いられる。好ましくはNi、Pd、Pt、Co、Fe、Ti、SnまたはCu、さらに好ましくはNi,Pd,Pt,Coが用いられ、Niである場合が最も好ましい。 中でも、XがSであり、MがNiである場合、性能的にも優れ、かつ経済的にも有利であることから好ましい。R1 〜R8 は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアン基を表し、さらに好ましくは、水素原子;メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基;アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜10のアリールオキシ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの置換アミノ基;またはシアノ基が挙げられ、特に好ましくは、水素原子が用いられる。最も好ましいのは、R1 〜R8 が全て水素原子である場合である。
X1 〜X10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基,ニトロ基,シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。具体的には、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜10のアリールオキシ基、ニトロ基,シアノ基,メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等の置換アルキル基、アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラキル基が挙げられ、好ましくは、水素原子及びフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ニトロ基、シアノ基等の電子吸引性基が挙げられ、X1 〜X10の中で、少なくともひとつは、水素原子でない。さらに好ましくはX1 〜X10の少なくとも1つがフッ素原子、塩素原子、またはシアノ基であり、残りは水素原子であるのが望ましい。中でも、一般式(E)で表される有機金属錯体が左右対称である場合が、色素としての安定性や合成の容易さの面から好ましい。X1 〜X5 、及びX6 〜X10のうちのそれぞれ1〜3個、さらに好ましくは1〜2個が、フッ素原子、塩素原子、またはシアノ基であり、残りが水素原子であるのが望ましい。
好ましいスクワリリウム系またはクロコニウム系化合物として下記一般式(F)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(F)
一般式(F)
一般式(F)において、Xは硫黄原子又は酸素原子を表し、R1、R2は水素及び1価の任意の基を表し、m、nは0、1、2、3又は4を表す。
一般式(F)を更に説明する。式中、R1、R2は各々1価の置換基を表す。1価の置換基には特に制限はないが、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、2
−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール基(例えばフェニル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、t−ブチル基であることが特に好ましい。R1、R2は共同して環を形成してもよい。m、nは各々0から4の整数を表し、2以下であることが好ましい。
一般式(F)を更に説明する。式中、R1、R2は各々1価の置換基を表す。1価の置換基には特に制限はないが、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、2
−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール基(例えばフェニル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、t−ブチル基であることが特に好ましい。R1、R2は共同して環を形成してもよい。m、nは各々0から4の整数を表し、2以下であることが好ましい。
好ましいクロコニウム系化合物として下記一般式(G)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(G)
一般式(G)
一般式(G)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は各々1価の置換基を表す。l、mは0〜4の整数を表す。
一般式(G)の置換基を更に詳しく説明する。式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が各々表す1価の置換基には制限はないが、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等)、ヒドロキシル基、アシル基(例えば、アセチル基等)であることが好ましく、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基であることがより好ましく、中でも、炭素数5以上の置換基、エーテル結合を有する置換基また、ヒドロキシル基を有していることが好ましい。更には、アルキル基であることが最も好ましい。特に、R1、R2、R3、R4は炭素数5以上の置換基またはエーテル結合をもつ置換基であることが有機溶媒に対する溶解度が改良されて特に好ましい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は協同して環を形成してもよく、例えばR1、R2、R5が協同してジュロリジル基を形成してもよい。l、mは各々0〜4の整数を表し、0または1であることが好ましい。
一般式(G)の置換基を更に詳しく説明する。式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が各々表す1価の置換基には制限はないが、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等)、ヒドロキシル基、アシル基(例えば、アセチル基等)であることが好ましく、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基であることがより好ましく、中でも、炭素数5以上の置換基、エーテル結合を有する置換基また、ヒドロキシル基を有していることが好ましい。更には、アルキル基であることが最も好ましい。特に、R1、R2、R3、R4は炭素数5以上の置換基またはエーテル結合をもつ置換基であることが有機溶媒に対する溶解度が改良されて特に好ましい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は協同して環を形成してもよく、例えばR1、R2、R5が協同してジュロリジル基を形成してもよい。l、mは各々0〜4の整数を表し、0または1であることが好ましい。
近赤外線吸収剤は上記のカチオン体とアニオン体との対イオン結合体として使用してもよい。具体的には一般式(A)のアニオン体と一般式(B)または(C)のカチオン体の対イオン結合体が好ましい例として挙げられる。
上記の近赤外線吸収剤は、例えば特公昭43−25335号公報、J.Am.Chem.Soc.,88巻、43頁(1966)、特開平9−309886号公報、特開平10−45767号公報、国際公開第98/34988号パンフレット、および特開2001−89492号公報に記載されている方法と同様の方法で合成することができる。
以下に本発明に用いられる近赤外線吸収剤の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明において近赤外線吸収剤は単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。
本発明において近赤外線吸収剤はセルロースアシレート100質量部に対して、0.001〜30質量部、好ましくは0.01〜10質量部用いられる。近赤外線吸収剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、ドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
[一般式(U)で表される紫外線吸収剤]
以下に、一般式(U)で表される紫外線吸収剤について説明する。
一般式(U):Q71−Q72−OH
一般式(U)において、Q71で表されるトリアジン環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
以下に、一般式(U)で表される紫外線吸収剤について説明する。
一般式(U):Q71−Q72−OH
一般式(U)において、Q71で表されるトリアジン環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
Q72で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、
例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(U)で表される紫外線吸収剤は、好ましくは下記一般式(U−1)で表される1,3,5−トリアジン環を有する化合物である。
一般式(U−1):
一般式(U−1):
一般式(U−1)中、R701は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;炭素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR704、−O−CO−R705、−O−CO−O−R706、−CO−NH2、−CO−NHR707、−CO−N(R707)(R708)、CN、NH2、NHR707、−N(R707)(R708)、−NH−CO−R705、フェノキシ基、炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜15のビシクロアルコキシ基、炭素数6〜15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基、もしくは炭素数6〜15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素数1〜18のアルキル基;OH、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基もしくは−O−CO−R705で置換された炭素数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R709;又は−SO2−R710を表すか;あるいは、1つ以上の酸素原子で中断され、及び/又はOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素数3〜50のアルキル基を表すか;あるいは、−A71;−CH2−CH(X71A71)−CH2−O−R712;−CR713R'713−(CH2)m−X71−A71;−CH2−CH(OA71)−R714;−CH2−CH(OH)−CH2−X71A71;
−CR715R'715−C(=CH2)−R"715;−CR713R'713−(CH2)m−CO−X71−A71;−CR713R'713−(CH2)m−CO−O−CR715R'715−C(=CH2)−R"715又は−CO−O−CR715R'715−C(=CH2)−R"715{A71は−CO−CR716=CH−R717を表す}を表す。
R702は、互いに独立して、炭素数6〜18のアルキル基;炭素数2〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;COOR704;CN;−NH−CO−R705;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;又は−O−R703を表す。R703はR701に対して与えられた定義と同一である。R704は、炭素数1〜18のアルキル基;炭
素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基を表すか;又は、1つ以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断され、且つOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素数3〜50のアルキル基を表す。
素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基を表すか;又は、1つ以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断され、且つOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素数3〜50のアルキル基を表す。
R705は、H;炭素数1〜18のアルキル基;炭素数2〜18のアルケニル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルケニル基;又は炭素数6〜15のトリシクロアルキル基を表す。R706は、H;炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;又は炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。R707及びR708は、互いに独立して、炭素数1〜12のアルキル基;炭素数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素数4〜16のジアルキルアミノアルキル基;又は炭素数5〜12のシクロアルキル基を表し;あるいは、R707及びR708は一緒になって、炭素数3〜9のアルキレン基、炭素数3〜9のオキサアルキレン基又は炭素数3〜9のアザアルキレン基を表す。
R709は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルキルアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルケニル基;又は炭素数6〜15のトリシクロアルキル基を表す。R710は、炭素数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;又は炭素数7〜14のアルキルフェニル基を表す。
R711は、互いに独立して、H;炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;又は炭素数1〜18のアルコキシ基を表す。
R712は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;炭素数6〜15のトリシクロアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルキルアルキル基;炭素数6〜15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−R705を表すか;又はR712は、1つ以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断され、且つOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素数3〜50のアルキル基を表す。
R713及びR'713は、互いに独立して、H;炭素数1〜18のアルキル基;フェニル基を表す。R714は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;又はフェニル−炭素数1〜4のアルキル基を表す。R715、R'715及びR"715は、互いに独立して、H又はCH3を表す。R716は、H;−CH2−COO−R704;炭素数1〜4のアルキル基;又はCNを表す。R717は、H;−COOR704;炭素数1〜17のアルキル基;又はフェニル基を表す。
X71は、−NH−;−NR707−;−O−;−NH−(CH2)p−NH−;又は−O−(CH2)q−NH−を表す。指数mは0〜19の整数を表し;nは1〜8の整数を表し;pは0〜4の整数を表し;qは2〜4の整数を表す。但し式(7−2)中、基R701、R702及びR711の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。
さらに一般式(U−1)の化合物について説明する。
アルキル基としての基R701〜R710、R712〜R714、R716及びR717は、直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基又はオクタデシル基である。
アルキル基としての基R701〜R710、R712〜R714、R716及びR717は、直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基又はオクタデシル基である。
炭素数5〜12のシクロアルキル基としてのR701、R703〜R709及びR712は、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましいのもはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基及びシクロドデシル基である。
アルケニル基としてのR706、R709、R711及びR712は、特にアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基及びn−オクタデセ−4−エニル基が含まれる。
置換されたアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、1回以上置換されることができ、且つ結合している炭素原子において(α−位において)、又は他の炭素原子において、置換基をもつことができ;置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、その結合は、好ましくはα−位においてではなく、且つ置換されたアルキル基は2つ、特には3つ又はそれ以上の炭素原子を含む。2つ以上の置換基を有するときは、それらの置換基は、好ましくは異なる炭素原子と結合するのがよい。
アルキル基が−O−、−NH−、−NR707−、−S−により中断されるとき、そのアルキル基はこれらの基の1つ以上で中断されていてもよく、それぞれの場合、一般に1つの結合中に1つの基が挿入されており、且つヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NH等は生じず;中断されたアルキル基がさらに置換されている場合には、置換基は、一般にヘテロ原子に対してα位にないのがよい。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−のタイプの中断する基が存在する場合、それらは一般に同一であるのがよい。
アリール基は、一般に芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ビフェニルイル基又はナフチル基であり、好ましくはフェニル基及びビフェニルイル基である。アラルアルキル基は、一般にアリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり;従って炭素数7〜20のアラルアルキル基は、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基及びフェニルヘキシル基を含み;炭素数7〜11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基及びα,α−ジメチルベンジル基である。
アルキルフェニル基及びアルキルフェノキシ基は、それぞれ、アルキル基で置換されたフェニル基又はフェノキシ基である。
ハロゲン置換基となるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、より好ましいものはフッ素原子又は塩素原子であり、特に塩素原子であることが好ましい。
炭素数1〜20のアルキレン基は、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
炭素数4〜12のシクロアルケニル基は、例えば2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、又は2−シクロオクテニ−1−イル基である。
炭素数6〜15のビシクロアルキル基は、例えばボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基及びノルボルニル基、特にボルニル基及びノルボルニ−2−イル基が 好ましい。
炭素数6〜15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基又はノルボルニ−2−イルオキシ基である。
炭素数6〜15のビシクロアルキル−アルキル基又は−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基又はアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり;具体例はノルボルナン−2−メチル基及びノルボルニル−2−メトキシ基である。
炭素数6〜15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特にノルボルネ−5−エン基である。
炭素数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり;ある実例はノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基である。
炭素数6〜15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基で示される。
炭素数6〜15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素数3〜12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル又はキノリニル基である。
式(7−1)で表される化合物は、さらに好ましくは、式中、R701が、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;炭素数3〜12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR704、−O−CO−R705、−O−CO−O−R706、−CO−NH2、−CO−NHR707、−CO−N(R707)(R708)、CN、NH2、NHR707、−N(R707)(R708)、−NH−CO−R705、フェノキシ基、炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素数1〜4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素数1〜18のアルキル基;OH、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基及び/又は−O−CO−R705で置換された炭素数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R709又は−SO2−R710を表すか;あるいは、R701は1以上の酸素原子で中断された及び/又はOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素数3〜50のアルキル基を表すか;あるいは、R701は−A71;−CH2−CH(X71A71)−CH2−O−R712;−CR713R'713−(CH2)m−X71−A71;−CH2−CH(OA)−R714;−CH2−CH(OH)−CH2−X71A71;
1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基及び/又は−O−CO−R705で置換された炭素数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R709又は−SO2−R710を表すか;あるいは、R701は1以上の酸素原子で中断された及び/又はOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素数3〜50のアルキル基を表すか;あるいは、R701は−A71;−CH2−CH(X71A71)−CH2−O−R712;−CR713R'713−(CH2)m−X71−A71;−CH2−CH(OA)−R714;−CH2−CH(OH)−CH2−X71A71;
−CR715R'715−C(=CH2)−R"715;−CR713R'713−(CH2)m−CO−X71−A71;−CR713R'713−(CH2)m−CO−O−CR715R'715−C(=CH2)−R"715又は−CO−O−CR715R'715−C(=CH2)−R"715(式中、A71は−CO−CR716=CH−R717を表す)のいずれかを表す。R702は、炭素数6〜18のアルキル基;炭素数2〜6のアルケニル基;フェニル基;−O−R703又は−NH−CO−R705を表す。そしてR703は、互いに独立して、R701に対して与えられた定義と同一である。
R704は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基を表すか;あるいはR704は、1つ以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断され、且つOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素数3〜50のアルキル基を表す。
R705は、H;炭素数1〜18のアルキル基;炭素数2〜18のアルケニル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。R706は、H;炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。
R707及びR708は、互いに独立して炭素数1〜12のアルキル基;炭素数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素数4〜16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;又は炭素数5〜12のシクロアルキル基を表し;あるいはR707及びR708は、一緒になって、炭素数3〜9のアルキレン基;炭素数3〜9のオキサアルキレン基又は炭素数3〜9のアザアルキレン基を表す。R709は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;炭素数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
R710は、炭素数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;又は炭素数7〜14のアルキルフェニル基を表す。R711は、互いに独立して、H;炭素数1〜18のアルキル基;又は炭素数7〜11のフェニルアルキル基を表す。
R712は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基を表すか;又は炭素数7〜11のフェニルアルキル基;炭素数5〜12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−R705を表し;又はR712は、1つ以上の−O−、−NH−、−NR707−、−S−で中断され、且つOH、フェノキシ基もしくは炭素数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素数3〜50のアルキル基を表す。
R713及びR'713は、互いに独立して、H;炭素数1〜18のアルキル基;フェニル基を表す。R714は、炭素数1〜18のアルキル基;炭素数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素数1〜4のアルキル基を表す。R715、R'715及びR"715は、互いに独立して、H又はCH3を表す。R716は、H;−CH2−COO−R704;炭素数1〜4のアルキル基;又はCNを表す。R717は、H;−COOR704;炭素数1〜17のアルキル基;又はフェニル基を表す。
X71は−NH−;−NR717−;−O−;−NH−(CH2)p−NH−;又は−O−(CH2)q−NH−を表す。指数mは0〜19の整数を表し;nは1〜8の整数を表し;pは0〜4の整数を表し;qは2〜4の整数を表す。
一般式(U)及び(U−1)で表される化合物は、慣用の方法により、例えば特開平11−12219号公報、欧州特許第434608号明細書、又はH.Brunetti及びC.E.Luthi,"Helv.Chim.Acta",55巻、p.1566(1972年)などの刊行物に示される方法に従って、又はそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。
次に、一般式(U)又は一般式(U−1)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明における紫外線吸収剤は、揮散性の観点から、分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
上記の範囲内とすることで、紫外線吸収剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散することがなく好ましい。
(紫外線吸収剤の添加量)
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
本発明において近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤の添加量の重量比は紫外線吸収剤1.0質量部に対して近赤外線吸収剤は0.001質量部以上1.0質量部未満であることが好ましく、0.02質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。
(紫外線吸収剤の添加方法)
またこれら紫外線吸収剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら紫外線吸収剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ド
ープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明において近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤は同一層内に存在することが好ましく、少なくとも同一ドープ内に含有されたドープを用いて流延することが好ましい。
またこれら紫外線吸収剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら紫外線吸収剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ド
ープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明において近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤は同一層内に存在することが好ましく、少なくとも同一ドープ内に含有されたドープを用いて流延することが好ましい。
以下にレターデーションReおよびRthについて詳細に説明する。
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。
本発明のセルロースアシレートフィルムのレターデーションの測定方法について説明する。
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。
本発明のセルロースアシレートフィルムのレターデーションの測定方法について説明する。
(面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出した。
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出した。
(Re、Rthの400nm以上700nm以下の波長範囲での変動)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において波長700nmから400nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのReをもとめ、Reの波長による変動を測定した。また、Rthの波長による変動については、前記Re、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から700〜400nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長700〜400nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において波長700nmから400nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのReをもとめ、Reの波長による変動を測定した。また、Rthの波長による変動については、前記Re、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から700〜400nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長700〜400nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
本発明において、光学的異方性(Re、Rth)が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、波長630nmにおける面内のレターデーションRe(630)が10nm以下(0≦Re(630)≦10)でかつ、膜厚方向のレターデーションRth(630)の絶対値が25nm以下(|Rth|≦25nm)であることが好ましい。さらに好ましくは、0≦Re(630)≦5かつ|Rth|≦20nmであり、0≦Re(630)≦2かつ|Rth|≦15nmであることが特に好ましい。
400nm以上700nm以下での波長範囲でのRe、Rthの変動(以下、波長分散とも呼ぶ)は、Reが10以下かつRthが25以下であることが好ましい。さらに好ましくは、Reが5以下かつRthが10以下であり、Reが3以下かつRthが5以下であることが特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの波長630nmにおける面内のレターデーションRe(630)と膜厚方向のレターデーションRth(630)はその積|Re×Rth|が200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムの波長630nmにおける面内のレターデーションReが1以上の値の場合、膜厚方向のレターデーションRthと下記関係を満
たすことが好ましい。
0.1≦|Rth|/Re≦5.0
さらに好ましくは以下の関係をともに満たすことがより好ましい。
i) |Re×Rth|≦200
ii) 0.1≦|Rth|/Re≦5.0(Re≧1)
たすことが好ましい。
0.1≦|Rth|/Re≦5.0
さらに好ましくは以下の関係をともに満たすことがより好ましい。
i) |Re×Rth|≦200
ii) 0.1≦|Rth|/Re≦5.0(Re≧1)
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造されるセルロースアシレートについて記載する。本発明に用いられるセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明においてセルロースアシレートのセルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
次に上述のセルロースを原料に製造されるセルロースアシレートについて記載する。本発明に用いられるセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明においてセルロースアシレートのセルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明に用いられるセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが好ましい。さらには置換度が2.80〜3.00であることが好ましく、2.90〜3.00であることがより好ましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。最も好ましい基はアセチル基である。アシル基がアセチルの場合、その全置換度は2.50〜2.95が好ましく、2.85〜2.95がより好ましく、2.90〜2.95がさらに好ましい。
上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下でき、好ましい。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらに好ましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明に用いられるセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明に用いられるこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.7〜12に詳細に記載されている。
本発明に用いられるセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明に用いられるセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、上記の赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、その他に可塑剤、劣化防止剤、微粒子など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明に用いられるセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、上記の赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、その他に可塑剤、劣化防止剤、微粒子など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒
子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒
子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、セルロースアシレートフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、劣化防止剤、剥離剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その
融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.16〜22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
上記の近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、劣化防止剤、剥離剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その
融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.16〜22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることが好ましい。より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることが好ましい。より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明において主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明において主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。また主溶媒以外にセルロースアシレートの貧溶媒を用いてもよい。貧溶媒は主溶媒に対して5〜50%用いてよく、5〜30%がより好ましい。貧溶媒は例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。
その他、本発明に用いられるセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−6080
7、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの特許によると本発明に用いられるセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
7、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの特許によると本発明に用いられるセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明に用いられるセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.22〜25に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
[溶解工程]
本発明に用いられるセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.22〜25に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明におけるセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが好ましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
本発明におけるセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが好ましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護フィルムやハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.25〜30に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの流延性膜工程上の任意の点における残留溶剤含有率は下式で定義される。
(Wt−W0)×100/W0
Wt:実測ドープ膜の測定重量
W0:乾燥終了後さらに110℃3時間乾燥したフィルム重量
剥離点における残留溶剤含有率をは5%〜90%が好ましく、該残留溶剤のうち貧溶剤の含有率が10%〜95%であることが好ましい。
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護フィルムやハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.25〜30に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの流延性膜工程上の任意の点における残留溶剤含有率は下式で定義される。
(Wt−W0)×100/W0
Wt:実測ドープ膜の測定重量
W0:乾燥終了後さらに110℃3時間乾燥したフィルム重量
剥離点における残留溶剤含有率をは5%〜90%が好ましく、該残留溶剤のうち貧溶剤の含有率が10%〜95%であることが好ましい。
[延伸]
本発明のセルロースアシレートフィルムは延伸を施してもよく、延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらでも可能である。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62-115035号、特開平4-152125号、同4-284211号、同4-298310号、同11-48271号などの各公報に記載されている。フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの、搬送方向(長手方向)の延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、1〜100%の範囲にあることが好ましく、1〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、1〜35%の範囲にあることが最も好ましい。また搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)の延伸倍率は1〜100%にあることが好ましく、5〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、10〜40%の範囲にあることが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの延伸終了時の残留溶剤含有率は延伸開始時に対して40%〜80%であることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは延伸を施してもよく、延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらでも可能である。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62-115035号、特開平4-152125号、同4-284211号、同4-298310号、同11-48271号などの各公報に記載されている。フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの、搬送方向(長手方向)の延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、1〜100%の範囲にあることが好ましく、1〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、1〜35%の範囲にあることが最も好ましい。また搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)の延伸倍率は1〜100%にあることが好ましく、5〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、10〜40%の範囲にあることが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの延伸終了時の残留溶剤含有率は延伸開始時に対して40%〜80%であることが好ましい。
[膜厚]
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は厚さの平均値に対し10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は厚さの平均値に対し10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
[分光透過率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長400nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長400nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
[高湿度処理後のフィルムの光学性能変化]
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
本発明のセルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
本発明のセルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
また、80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
本発明のセルロースアシレートフィルムに好ましく用いることができる、Rthを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることが好ましい。より好ましくは25%以下以下であり、20%以下であることがさらに好ましい。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)= {(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
本発明のセルロースアシレートフィルムに好ましく用いることができる、Rthを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることが好ましい。より好ましくは25%以下以下であり、20%以下であることがさらに好ましい。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)= {(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1600g/m2・24h
であることがより好ましく、600〜1200g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償フィルムや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1600g/m2・24h
であることがより好ましく、600〜1200g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償フィルムや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[フィルムの寸度変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることが好ましい。
より好ましくは0.3%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることが好ましい。
より好ましくは0.3%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの弾性率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速
度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
本発明のセルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速
度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの光弾性係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[延伸前後における正面レターデーション変化]
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の波長630nmにおける正面レターデーションを自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の波長630nmにおける正面レターデーションを自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
(本発明のセルロースアシレートフィルムの評価方法)
本発明のセルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
本発明のセルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
[分光特性、分光透過率]
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
[フィルム表面の性状]
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
[セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき]
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦5かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦10
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
さらに好ましくは下式である。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦5かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦10
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
さらに好ましくは下式である。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[フィルムの保留性]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の
保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の
保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
<保留性の評価方法>
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
本発明のセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体として用いる際、残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
本発明のセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体として用いる際、残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起され
る気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.30〜32に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起され
る気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.30〜32に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。
以下、アルカリ鹸化処理を具体的に説明する。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温ないし90℃の範囲にあることが好ましく、40ないし70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。
以下、アルカリ鹸化処理を具体的に説明する。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温ないし90℃の範囲にあることが好ましく、40ないし70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
上記鹸化処理においてセルロースアシレートフィルム中の近赤外線吸収剤または紫外線吸収剤の含量は下記関係を満たすことが好ましい。
0.9<Crs/Cr0≦1.0
Cr0:鹸化処理前の含量、Crs:鹸化処理後の含量
さらに好ましくは、
0.95<Crs/Cr0≦1.0
である。
0.9<Crs/Cr0≦1.0
Cr0:鹸化処理前の含量、Crs:鹸化処理後の含量
さらに好ましくは、
0.95<Crs/Cr0≦1.0
である。
アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることがさらに好ましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
[フィルム表面を鹸化処理する前と鹸化処理した後におけるRe、Rth値の変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム表面をアルカリ溶液で鹸化処理する前と鹸化処理した後におけるRth値の変化が、下式を満たすことが好ましい。
|Rth(0)−Rth(S)|≦20
より好ましくは
|Rth(0)−Rth(S)|≦15
であり、さらに好ましくは、
|Rth(0)−Rth(S)|≦10
である。
さらに、フィルム表面をアルカリ溶液で鹸化処理する前と鹸化処理した後におけるRe値の変化が、下式を満たすことが好ましい。
|Re(0)−Re(S)|≦10
より好ましくは
|Re(0)−Re(S)|≦8
であり、さらに好ましくは、
|Re(0)−Re(S)|≦5
である。
Rth値の変動がより重要であり、Rth値の変動が小さいことが優先して好ましい。
Re(0)、Re(S)及びRth(0)、Rth(S)は上記の方法と同条件で調湿を行った後測定した。
上記の範囲内であれば、保護フィルムの光学性能に遜色なく、偏光板、光学補償フィルム、液晶表示装置に適用した際に、光漏れが起こらない。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム表面をアルカリ溶液で鹸化処理する前と鹸化処理した後におけるRth値の変化が、下式を満たすことが好ましい。
|Rth(0)−Rth(S)|≦20
より好ましくは
|Rth(0)−Rth(S)|≦15
であり、さらに好ましくは、
|Rth(0)−Rth(S)|≦10
である。
さらに、フィルム表面をアルカリ溶液で鹸化処理する前と鹸化処理した後におけるRe値の変化が、下式を満たすことが好ましい。
|Re(0)−Re(S)|≦10
より好ましくは
|Re(0)−Re(S)|≦8
であり、さらに好ましくは、
|Re(0)−Re(S)|≦5
である。
Rth値の変動がより重要であり、Rth値の変動が小さいことが優先して好ましい。
Re(0)、Re(S)及びRth(0)、Rth(S)は上記の方法と同条件で調湿を行った後測定した。
上記の範囲内であれば、保護フィルムの光学性能に遜色なく、偏光板、光学補償フィルム、液晶表示装置に適用した際に、光漏れが起こらない。
(耐光性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を200時間照射したフィルムのRth値の変動を測定した。キセノン光照射は、セルロースアシレートフィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)製、60℃50%RH条件)にてキセノン光を22万ルクス200時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、上記と同様に調湿を行った後、測定した。本発明のセルロースアシレートフィルムは、光照射する前とした後におけるRth値の変化が15以下であることが好ましい。より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を200時間照射したフィルムのRth値の変動を測定した。キセノン光照射は、セルロースアシレートフィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)製、60℃50%RH条件)にてキセノン光を22万ルクス200時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、上記と同様に調湿を行った後、測定した。本発明のセルロースアシレートフィルムは、光照射する前とした後におけるRth値の変化が15以下であることが好ましい。より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
また、光耐久性の指標色差ΔE*abを用いてもよく、上記と同様の条件でスーパーキセノン光を照射し、その前後の色差ΔE*abが20以下であることが好ましい。より好ましくは18以下であり、15以下であることがさらに好ましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で、60℃50%RH条件にてキセノン光を照射し、所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*−L1*)2+(a0*−a1*)2+(b0*−b1*)2)0.5を求めた。
また、本発明において耐光性の試験には、同様の加速試験であるカーボンアーク照射を用いてもよい。
[機能層]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学材料と写真感光材料に適用される。特に光学材料が液晶表示装置用部材であることが好ましい。
光学材料として本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与して機能性光学フィルムとしてもよい。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムに用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.32〜45に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明の偏光板は、偏光子の両側に保護フィルムが貼りあわされ、該保護フィルムの少なくとも1枚が本発明のセルロースアシレートフィルムである(図1(A))。偏光板の保護フィルムとして、前記の機能性光学フィルムを用いることも好ましい(図1(B))。
本発明の液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両
側に配置された二枚の偏光板を配置した構成であり、該偏光板の少なくとも1枚が本発明の偏光板である。機能層として光学異方性層を積層した光学補償フィルムを用いることも好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成も好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムを光学材料として適用する際の液晶表示装置の一例を図2に示すが、これに限定されない。
液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学材料と写真感光材料に適用される。特に光学材料が液晶表示装置用部材であることが好ましい。
光学材料として本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与して機能性光学フィルムとしてもよい。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムに用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.32〜45に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明の偏光板は、偏光子の両側に保護フィルムが貼りあわされ、該保護フィルムの少なくとも1枚が本発明のセルロースアシレートフィルムである(図1(A))。偏光板の保護フィルムとして、前記の機能性光学フィルムを用いることも好ましい(図1(B))。
本発明の液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両
側に配置された二枚の偏光板を配置した構成であり、該偏光板の少なくとも1枚が本発明の偏光板である。機能層として光学異方性層を積層した光学補償フィルムを用いることも好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成も好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムを光学材料として適用する際の液晶表示装置の一例を図2に示すが、これに限定されない。
液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムの各用途について順次説明する。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムに用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムに用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
したがって本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムに用いる場合、併用する光学異方性層のReおよびRthはRe=0〜200nmかつ|Rth|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した
縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明のセルロースアシレートフィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
(一般的な液晶表示装置の構成)
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムに用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムを含む光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムに用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムを含む光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6
−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6
−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いることができる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いることができる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いることができる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. V
ol.38(1999)p.2837)に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いることができる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. V
ol.38(1999)p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムとしても用いることが出来る。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号明細書の各文献に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムとしても用いることが出来る。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号明細書の各文献に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いることが出来る。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の偏光板保護フィルムまたは光学補償フィルムの支持体としても用いることが出来る。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.54〜57に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.54〜57に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
(写真フィルム支持体)
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、下記特許等に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、下記特許等に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
(透明基板)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するため
の透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079や特開2000−227603などに公開されている。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するため
の透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079や特開2000−227603などに公開されている。
以下に本発明の実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
〔セルロースアシレートフィルム1の作製〕
<セルロースアシレート溶液の調整>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
〔セルロースアシレートフィルム1の作製〕
<セルロースアシレート溶液の調整>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
(セルロースアシレート溶液A組成)
アセチル置換度2.92のセルロースアセテート 100質量部
(平均重合度310)
メチレンクロライド(第1溶媒) 402質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
アセチル置換度2.92のセルロースアセテート 100質量部
(平均重合度310)
メチレンクロライド(第1溶媒) 402質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液
{AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製} 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液
{AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製} 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
<波長分散調整剤溶液の調製>
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、波長分散調整剤溶液を調製した。
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、波長分散調整剤溶液を調製した。
(波長分散調整剤溶液組成)
紫外線吸収剤UV−19 2.1質量部
近赤外線吸収剤IR−48 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 62.5質量部
エタノール(第2溶媒) 7.9質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
紫外線吸収剤UV−19 2.1質量部
近赤外線吸収剤IR−48 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 62.5質量部
エタノール(第2溶媒) 7.9質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
<セルロースアシレートフィルム1の作製>
セルロースアシレート溶液Aの94.6質量部、マット剤溶液1.3質量部、波長分散調整剤溶液2.5質量部を各々濾過後に投入し、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。ドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量37質量%で剥ぎ取り後に140℃で40分間乾燥させ、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料1を作製した。
上記組成でセルロースアセテート100gに対する添加量はUV−19は0.5g、近赤外
線吸収剤IR−48は0.05gであった。
セルロースアシレート溶液Aの94.6質量部、マット剤溶液1.3質量部、波長分散調整剤溶液2.5質量部を各々濾過後に投入し、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。ドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量37質量%で剥ぎ取り後に140℃で40分間乾燥させ、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料1を作製した。
上記組成でセルロースアセテート100gに対する添加量はUV−19は0.5g、近赤外
線吸収剤IR−48は0.05gであった。
〔セルロースアシレートフィルム2〜13の作製〕
近赤外線吸収剤および紫外線吸収剤の種類、添加量を下表の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料2〜13を作製した。
セルロースアシレートフィルム試料1〜13の膜厚は何れも79.5〜80.5μmの範囲であった。また試料1〜13では、任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は厚さの平均値に対し何れも5%以内であった。
近赤外線吸収剤および紫外線吸収剤の種類、添加量を下表の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料2〜13を作製した。
セルロースアシレートフィルム試料1〜13の膜厚は何れも79.5〜80.5μmの範囲であった。また試料1〜13では、任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は厚さの平均値に対し何れも5%以内であった。
セルロースアシレートフィルム試料1〜13について各々光学性能を測定した。結果を表2に示す。尚、けん化処理前後での光学性能の変動および光照射に対する耐久性の評価については、以下のとおり測定を行った。
(けん化処理前後での光学性能の変動)
セルロースアシレートフィルム試料1〜13を2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、60℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。けん化を施した前後のフィルム試料のRthを上記同様、調湿を行った後、測定した。両者の測定値の差の絶対値を算出した。
セルロースアシレートフィルム試料1〜13を2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、60℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。けん化を施した前後のフィルム試料のRthを上記同様、調湿を行った後、測定した。両者の測定値の差の絶対値を算出した。
(光照射に対する耐久性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を200時間照射したフィルムのRth値の変動を測定した。キセノン光照射は、セルロースアシレートフィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)製、60℃50%RH条件)にてキセノン光を22万ルクスで200時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、上記と同様に調湿を行った後、測定した。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を200時間照射したフィルムのRth値の変動を測定した。キセノン光照射は、セルロースアシレートフィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)製、60℃50%RH条件)にてキセノン光を22万ルクスで200時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、上記と同様に調湿を行った後、測定した。
また、セルロースアシレートフィルム試料1〜13のRe、Rthの1m四方のフィルム内でのばらつきを測定したところ、何れの試料も|Re(MAX)−Re(MIN)|は3nm以下、|Rth(MAX)−Rth(MIN)|は5nm以下であった。
表2の結果から、近赤外線吸収剤と一般式(U)で表される紫外線吸収剤(以下、トリアジン系紫外線吸収剤とも言う。)を併用することで、Rthの400〜700nmの波長範囲での変動を、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系紫外線吸収剤と併用した場合より小さくすることが可能である。これは近赤外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤存在下で好適な状態となり、近赤外線吸収剤の優れたRth調整効果を引き出していると推定される。また、Rthのけん化処理での変動についても、近赤外線吸収剤をトリアジン系紫外線吸収剤と併用した場合に顕著な効果が得られた。キセノン照射での変動においてもトリアジン系紫外線吸収剤を組あわせた場合に優れた結果を示した。
[実施例2]
〔セルロースアシレートフィルム試料21の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−13(極大波長814nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料21を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料21のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
〔セルロースアシレートフィルム試料21の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−13(極大波長814nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料21を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料21のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
[実施例3]
〔セルロースアシレートフィルム試料31の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−23(極大波長888nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料31を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料31のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
〔セルロースアシレートフィルム試料31の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−23(極大波長888nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料31を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料31のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
[実施例4]
〔セルロースアシレートフィルム試料41の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−47(極大波長835nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料41を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料41のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
〔セルロースアシレートフィルム試料41の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−47(極大波長835nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料41を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料41のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
[実施例5]
〔セルロースアシレートフィルム試料51の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−35(極大波長1000nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料51を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料51のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
〔セルロースアシレートフィルム試料51の作成〕
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料1において、近赤外線吸収剤IR−48を例示化合物IR−35(極大波長1000nm)に1倍質量部に置き換えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料51を作成した。
セルロースアシレートフィルム試料51のRth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動はセルロースアシレートフィルム試料1と同等の好ましい結果を得た。
[実施例6]
〔セルロースアシレートフィルム試料61の作成〕
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
〔セルロースアシレートフィルム試料61の作成〕
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
(セルロースアシレート溶液B組成)
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
(平均重合度310)
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 400質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
(平均重合度310)
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 400質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
<波長分散調整剤溶液の調製>
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、波長分散調整剤溶液Bを調製した。
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、波長分散調整剤溶液Bを調製した。
(波長分散調整剤溶液B組成)
下記紫外線吸収剤UV−a 0.2質量部
下記紫外線吸収剤UV−b 0.2質量部
紫外線吸収剤UV−19 0.4質量部
近赤外線吸収剤IR−48 0.08質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 70.0質量部
メタノール(第2溶媒) 10.4質量部
下記紫外線吸収剤UV−a 0.2質量部
下記紫外線吸収剤UV−b 0.2質量部
紫外線吸収剤UV−19 0.4質量部
近赤外線吸収剤IR−48 0.08質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 70.0質量部
メタノール(第2溶媒) 10.4質量部
<セルロースアシレートフィルム試料61の作製>
セルロースアシレート溶液Bを477質量部に、実施例1のマット剤溶液5.2質量部、及び波長分散調整剤溶液Bの35質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率55質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3ないし5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が7%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料61を作製した。
セルロースアシレート溶液Bを477質量部に、実施例1のマット剤溶液5.2質量部、及び波長分散調整剤溶液Bの35質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率55質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3ないし5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が7%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料61を作製した。
このようにして作製したセルロースアシレートフィルム試料61を実施例1と同様にして評価した結果を表3に示した。Rth及びReの400〜700nmの範囲の変動、けん化処理前後およびキセノン光照射前後のRth変動が小さく好ましいことが分かった。また、セルロースアシレートフィルム試料61の延伸によるReの変化率( |Re(n)−Re(0)|/n)は0.24であり、延伸前後のReの変化も小さく好ましいことが分かった。
[実施例7]
<鹸化処理>
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料10を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
<鹸化処理>
実施例1のセルロースアシレートフィルム試料10を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
<偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、けん化処理したセルロースアシレートフィルム試料10を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を上記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のセルロースアシレートフィルム試料10を貼り付けた側とは反対側に貼り付けた。このようにして、偏光板(1)を作製した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、けん化処理したセルロースアシレートフィルム試料10を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を上記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のセルロースアシレートフィルム試料10を貼り付けた側とは反対側に貼り付けた。このようにして、偏光板(1)を作製した。
<位相差フィルムつき偏光板の作製>
厚さ100μmのノルボルネン系樹脂フィルム(JSR社製、アートン)をテンター延伸機にて175℃延伸処理して、nx>ny>nzの屈折率特性を有して、Reが40nm、Rthが30nmの位相差フィルムを作製し、粘着剤を用いて前記偏光板(1)のセルロースアシレートフィルム10側に貼り付けて、位相差フィルムつき偏光板(2)を作製した。
厚さ100μmのノルボルネン系樹脂フィルム(JSR社製、アートン)をテンター延伸機にて175℃延伸処理して、nx>ny>nzの屈折率特性を有して、Reが40nm、Rthが30nmの位相差フィルムを作製し、粘着剤を用いて前記偏光板(1)のセルロースアシレートフィルム10側に貼り付けて、位相差フィルムつき偏光板(2)を作製した。
[実施例8]
(IPS液晶表示装置への実装評価)
実施例1で作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料1を用いて実施例7と同様にして偏光板を作製し、位相差フィルムの代わりに一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能つき偏光板(3)を作製した。この際、光学補償フィルムの正面方向のレターデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面方向の特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの正面方向のレターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
上記のようにして作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料1を用いた偏光板と光学補償フィルムの積層して得られた光学補償機能つき偏光板(3)、IPS型の液晶セル、本発明のセルロースアシレートフィルム試料1を用いた偏光板(3)、の順番に上から重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定したところ、0.1%以下であった。本発明のセルロースアシレートフィルムにより作製した光学補償フィルムおよび偏光板は、光漏れ率が十分小さく、コントラスト視野角が広く好ましいことがわかった。
(IPS液晶表示装置への実装評価)
実施例1で作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料1を用いて実施例7と同様にして偏光板を作製し、位相差フィルムの代わりに一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能つき偏光板(3)を作製した。この際、光学補償フィルムの正面方向のレターデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面方向の特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの正面方向のレターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
上記のようにして作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料1を用いた偏光板と光学補償フィルムの積層して得られた光学補償機能つき偏光板(3)、IPS型の液晶セル、本発明のセルロースアシレートフィルム試料1を用いた偏光板(3)、の順番に上から重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定したところ、0.1%以下であった。本発明のセルロースアシレートフィルムにより作製した光学補償フィルムおよび偏光板は、光漏れ率が十分小さく、コントラスト視野角が広く好ましいことがわかった。
1、1a、1b 保護フィルム
2 偏光子
3 機能層
4 粘着層
11 上側偏光板
12 上側偏光板吸収軸
13 上光学異方性層
14 上光学異方性層配向制御方向
15 液晶セル上側基板
16 上側基板配向制御方向
17 液晶分子
18 液晶セル下側基板
19 下基板配向制御方向
20 下光学異方性層
21 下光学異方性層配向制御方向
22 下側側偏光板
23 下側偏光板吸収軸
2 偏光子
3 機能層
4 粘着層
11 上側偏光板
12 上側偏光板吸収軸
13 上光学異方性層
14 上光学異方性層配向制御方向
15 液晶セル上側基板
16 上側基板配向制御方向
17 液晶分子
18 液晶セル下側基板
19 下基板配向制御方向
20 下光学異方性層
21 下光学異方性層配向制御方向
22 下側側偏光板
23 下側偏光板吸収軸
Claims (13)
- 700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近赤外線吸収剤を少なくとも1つ含有し、かつ下記一般式(U)で表される紫外線吸収剤を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
一般式(U): Q71−Q72−OH
(式中、Q71は1,3,5−トリアジン環、Q72は芳香族環を表す。) - セルロースアシレートフィルムのレターデーション値が、
膜厚方向のレターデーションRthの400nm以上700nm以下の波長範囲における変動が25nm以下、および
正面方向のレターデーションReの400nm以上700nm以下の波長範囲における変動が10nm以下、
の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。 - 波長630nmにおける膜厚方向のレターデーションRthおよび正面方向のレターデーションReが、各々下記式の範囲を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
−25nm≦Rth≦25nm、
0nm≦Re≦10nm - 波長630nmにおける正面方向のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値が下記式i)およびii)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
i) |Re×Rth|≦200
ii) 0.1≦|Rth|/Re≦5.0(Re≧1) - セルロースアシレートのアシル置換度が2.90〜3.00であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- セルロースアシレートのアシル置換基がアセチル基のみからなり、その全置換度が2.85〜2.95であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 波長630nmにおける正面方向のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値が下記式を満たすこと特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦5かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦10
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。] - 膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 延伸されて得られたセルロースアシレートフィルムにおいて、正面方向のレターデーションReが下記式を満足すること特徴とする請求項9に記載のセルロースアシレートフィルム。
|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
[式中、Re(n)はn(%)延伸したフィルムのRe、Re(0)は延伸していないフィルムの波長630nmにおけるReである] - 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が請求項11に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする請求項12記載の液晶表示装置。
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JP2012226060A (ja) * | 2011-04-18 | 2012-11-15 | Fujifilm Corp | セルロースエステルフィルム、偏光板、及び液晶表示装置 |
US8945420B2 (en) | 2010-02-11 | 2015-02-03 | Merck Patent Gmbh | Liquid crystal display and liquid crystalline medium |
-
2005
- 2005-04-14 JP JP2005117342A patent/JP2006291140A/ja active Pending
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