JP2006289663A - 木質材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1の表面に化粧単板2を貼着して化粧単板2の表面に塗装3,4,5を施した後、基材1の裏面にV字溝6を形成し、そのV字溝6を中心にしてV字溝6を埋めるように折曲させる木質化粧単板貼着材の製造方法において、化粧単板2の表面の塗装時に、さらにホットメルト接着剤10を塗布する。ホットメルト接着剤10は、ウレタン系又はEVA系で、軟質であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
一方、安価な普及品は工場にて大量生産するのに好都合なように、各種方法が検討されてきたが、基材として使用される合板やMDF(中密度繊維板)等の安価な材料では、銘木の化粧単板を表に貼着しても、側面までは同時に貼着は出来ない。そこで以下のように側面にも化粧単板を貼着して無垢材に見せかける方法が行われてきた。
図6示すように、まず貼着工程100において基材1に化粧単板2が貼着される。さらに、下塗り工程200、中塗り工程300、サンダー工程400、上塗り工程500により化粧単板2の表面が塗装される。そして、Vカット工程600において基材1の裏面にV字溝6が形成される。
次に、図7に示すように、折曲工程700において、V字溝6を中心にしてV字溝6を埋めるように基材1を折曲させて曲げ加工を行う。なお、V字溝6の折曲接合部7には接着剤が塗布してある。
以上により、複数の面を形成することができる。
化粧単板は通常の使用では乾燥単板を用いるが、湿潤状態の単板が柔軟で容易に曲がるのに対して、乾燥単板は硬くて脆く、曲げに際して割れが発生しやすかった。更に、V字溝を加工してから曲げ加工を行う段階で、化粧単板には全体に引っ張りの力が加わり、破断の危険性があった。一旦、割れが発生すると、曲面だけに補修は困難であり、また最初に割れた部分から徐々に割れが広がる事もあった。
上記の従来例で説明すると、図7に示すように、曲げ加工後の角部8において、化粧単板2や下塗り層3,中塗り層4,上塗り層5に割れが生じてしまうのである。
割れの発生を防止するには、ライン速度(生産速度)を低下させて、曲げ加工を徐々に行えばある程度は割れの発生を抑制できるが、これでは折角の平板状態で能率よく生産できる特徴が減殺されてしまう。又、割れが発生した場合には手作業で補修する必要があるが、熟練と手間を要し、しかも補修箇所から後日割れが再発する危険性もはらんでいた。
また、曲げを行う際に弱粘着テープ(養生テープ)を曲げる部分に貼着し、曲げが終了した段階で撤去する方法も行われてきたが、テープの貼着と撤去が必要で、手間がかかり、ゴミの発生もあるので、大量生産には向かなかった。
また、特許文献4乃至6に記載された発明によれば、曲げ加工時の化粧単板の割れを防止する効果があるものの、予め化粧単板自体に加工を行う必要があり、事前の準備に手間と時間を要し、生産性の低下につながっていた。
また、特許文献7に記載された発明のように、化粧単板上にプラスチックシートを予め貼着する事も考えられるが、プラスチックシートは塗装に比較して厚く、仕上がり状態としては木質感を喪失して、ビニールパックされたようであり、木質よりも冷たいプラスチックの感じを呈する欠点を有していた。
また、割れの発生を防止できるので、ライン速度を上げることが可能となり、また手作業での補修も不要となるため、生産性を大幅に向上させることができる。
ホットメルト接着剤の塗布は、化粧単板の表面の塗装時に行うので、予め化粧単板自体に加工を行う必要がない。
さらに、プラスチックシートを使用する必要もなく、仕上がり感もよい。
従って、従来、裏面にV字溝を形成して曲げることは困難であった無垢材について、割れを防止しながら折曲加工を行うことができる。
図1に示すように、実施形態1に係る木質材の製造方法は、順に、貼着工程100、下塗り工程200、中塗り工程300、サンダー工程400、ホットメルト接着剤塗布工程1000、上塗り工程500、Vカット工程600、折曲工程700からなる。以下、各工程について説明する。
ここで、基材1は合板やMDF(中密度繊維板)等が用いられ、貼り付けには接着剤が用いられる。この際、化粧単板2に薬剤等の含浸等の前処理を必要に応じて実施してもよい。また、接着剤に関しても特に指定はなく、メラミン系等の熱硬化性接着剤、ウレタン系接着剤、或いはホットメルト型でも構わない。また、化粧単板2の貼り付け後に、着色を行ってもよい。
次に、下塗り工程200、中塗り工程300において、化粧単板2の表面を塗装し、下塗り層3、中塗り層4を形成する。そして、サンダー工程400において、サンディングを行い化粧単板2の表面を平滑化する。
また、ホットメルト接着剤10の塗布は、化粧単板2全体に行う必要はなく、化粧単板2の表面のうち折曲後に角部8となる部分を覆うように塗布すればよく、概ね角部8より数ミリ〜1センチ程度広く塗布する程度でよい。もちろん、化粧単板2の全体に塗布してもよい。
次に、Vカット工程600において、基材1の裏面にV字溝6を形成する。このV字溝6は、基材1の裏面から表面に向かって行い、化粧単板2を切断しないように化粧単板2に達する手前で止められる。
なお、実施形態1においては、複数のVカットを組み合わせてV字溝6を形成しており、これにより、折曲後の角部8を面取りした形状となるようにしている。ただしこれに限らず、一つのVカットによりV字溝6を形成して折曲後の角部8が直角となるように構成したり、より多くのVカットを組み合わせて角部8が曲面に近くなるように構成してもよい。
ホットメルト接着剤10の塗布は、化粧単板2の表面の塗装時に行うので、予め化粧単板2自体に加工を行う必要がない。
さらに、プラスチックシートを使用する必要もなく、仕上がり感もよい。
ホットメルト接着剤10の欠点として、軟質で一般の傷が付きやすいこと、通常の塗装と艶を合わせるのが困難であること、ある程度の厚みがあるため凹凸が生じやすいこと等があげられるが、角部8となる部分のみに塗布すれば、これらの欠点を最小限に抑えることができる。
図3は、実施形態2に係る木質材の製造方法の工程図である。
各工程の作業内容は実施形態1と同様であるが、実施形態2においては、ホットメルト接着剤塗布工程1000が上塗り工程500とVカット工程600の間で行われるようになっている。すなわち、実施形態2においては、化粧単板2の塗装工程は、3回の塗布工程200,300,500を有しており、この塗布工程のうち最終塗布工程である上塗り工程500の直後にホットメルト接着剤10を塗布する点に特徴がある。
また、化粧単板2の表面に対する複数の塗布工程200,300,500のうち最終塗布工程である上塗り工程500の直後にホットメルト接着剤10を塗布するので、通常の塗装工程の後からホットメルト接着剤10を塗布することができ、従来の工程に容易に追加することができる。また、塗装の密着性が良く、ホットメルト接着剤10により塗装が完全に保護される。
図4は、実施形態3に係る木質材の製造方法の工程図である。
各工程の作業内容は実施形態1と同様であるが、実施形態3においては、ホットメルト接着剤塗布工程1000が貼着工程100と下塗り工程200の間で行われるようになっている。
図5は、実施形態4に係る木質材の製造方法の工程図である。
各工程の作業内容は実施形態1と同様であるが、実施形態4においては、ホットメルト接着剤塗布工程1000が下塗り工程200と中塗り工程300の間で行われるようになっている。
さらに、ホットメルト接着剤やUV塗料に限らず、木質材の表面に軟質樹脂層を形成するようなものであれば、割れ防止材として使用することができる。
2 化粧単板
3 下塗り層
4 中塗り層
5 上塗り層
6 V字溝
7 折曲接合部
8 角部
10 ホットメルト接着剤
100 貼着工程
200 下塗り工程
300 中塗り工程
400 サンダー工程
500 上塗り工程
600 Vカット工程
700 折曲工程
1000 ホットメルト接着剤塗布工程
Claims (7)
- 基材の表面に化粧単板を貼着して前記化粧単板の表面に塗装を施した後、前記基材の裏面にV字溝を形成し、そのV字溝を中心にしてV字溝を埋めるように折曲させる木質材の製造方法において、
前記化粧単板の表面の塗装時に、さらにホットメルト接着剤を塗布することを特徴とする木質材の製造方法。 - 前記ホットメルト接着剤は、ウレタン系又はEVA系であり、軟質であることを特徴とする請求項1に記載の木質材の製造方法。
- 前記ホットメルト接着剤を、前記化粧単板の表面のうち折曲後に角部となる部分のみに塗布することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木質材の製造方法。
- 前記化粧単板の表面の塗装工程は複数回の塗布工程を有し、前記ホットメルト接着剤を、前記複数回の塗布工程のうち最終塗布工程の直前に塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の木質材の製造方法。
- 前記化粧単板の表面の塗装工程は複数回の塗布工程を有し、前記ホットメルト接着剤を、前記複数回の塗布工程のうち最終塗布工程の直後に塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の木質材の製造方法。
- 無垢材の表面に塗装を施した後、前記無垢材の裏面にV字溝を形成し、そのV字溝を中心にしてV字溝を埋めるように折曲させる木質材の製造方法において、
前記無垢材の表面の塗装時に、さらにホットメルト接着剤を塗布することを特徴とする木質材の製造方法。 - 前記ホットメルト接着剤に代えて、UV塗料を塗布することを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のうちいずれか一つに記載の木質材の製造方法。
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