JP2006289536A - 内歯歯車加工用ブローチ - Google Patents

Abstract

【課題】ブローチ加工中フランク面切刃、大径部切刃又は小径部切刃にいずれの切刃も切削に関与させ、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供。
【解決手段】被加工物である内歯歯車の左右フランク面を同時に切削する１対のフランク面切刃 1a,1bを有する第１刃 1と、第１刃 1に続く内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃2cと小径部切刃2dとを有する第２刃 2と、を交互に有し、第２刃 2の各フランク面切刃 2a,2bは切削を行わないようにその圧力角β2 を第２刃の各フランク面切刃の圧力角β1 より小さくされ、第１刃の大径部切刃1cと小径部切刃1dは切削を行わないように各高さ Ha,Daをそれぞれ第２刃の各大径部切刃2cと小径部切刃2dの高さ Hb,Dbより小さくされている。
【選択図】図２

Description

本発明は、被加工物である内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチに関し、特に、被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチに関する。

従来被加工物である内歯歯車の左右フランク面と、大径部と小径部とをブローチ加工するときは、１本の大径部切刃と小径部切刃とを有するブローチで大径部と小径部とを仕上げ加工した後に、１対の左右フランク面切刃を有する別のブローチで左右フランク面を歯幅方向に仕上げ加工するか、又は特許文献１に記載するように、１本の大径部切刃を有するブローチで大径部を仕上げ加工したに後、小径部切刃と左右フランク面切刃とを有する別のブローチで小径部及び左右フランク面を歯幅方向に、同時に仕上げ加工していた。
実公平６−２７２９７号公報

しかしながら、従来の被加工物である内歯歯車の左右フランク面と、大径部と小径部とをブローチ加工する従来のブローチ加工法では、被加工物である内歯歯車の被加工長さに対し、各々のブローチ切刃の軸方向間隔が長くなり、ブローチ加工中フランク面切刃、大径部切刃、又は小径部切刃のいずれかの１は切削に関与しないので、切削に関与しない切刃に向けてブローチ軸心はわずかに移動する結果となり、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度が安定せず、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工ができなかった。特に被加工物の硬さがロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチ軸心の位置精度が安定しなかった。

本発明の課題は、かる課題を解決した、ブローチ加工中フランク面切刃、大径部切刃又は小径部切刃にいずれの切刃も切削に関与させ、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供することにある。
本発明の別の課題は、特に、被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチにおいて、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する、内歯歯車加工用ブローチを提供することにある。

このため本発明は、食い付き側から仕上げ側に向けて被加工物である内歯歯車の左右フランク面を同時に切削する１対のフランク面切刃を有する第１刃と、第１刃に続く前記内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃と小径部切刃とを有する第２刃と、を交互に有し、前記第２刃のフランク面切刃は切削を行わないようにその圧力角β2 を前記第１刃のフランク面切刃の圧力角β1 より小さくされ、前記第１刃の大径部切刃と小径部切刃とは切削を行わないように各高さをそれぞれ前記第２刃の大径部切刃と小径部切刃の各高さより小さくされたことを特徴とする内歯歯車加工用ブローチによって上記課題を解決した。

本発明では、食い付き側から仕上げ側に向けて被加工物である内歯歯車の左右フランク面を同時に切削する１対のフランク面切刃を有する第１刃と、第１刃に続く前記内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃と小径部切刃とを有する第２刃と、を交互に有するので、１対のフランク面切刃と対をなす大径部切刃と小径部切刃とが同時に切削に関与し、ブローチ加工中にすべての切刃が内歯歯車の被加工面を拘束して、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供するものとなった。

好ましくは、被加工物である内歯歯車の軸方向被加工長より、前記第１刃と第２刃との軸方向間隔を小さくし、ブローチ切削中前記第１刃と第２刃とが前記内歯歯車の被加工部内に確実に同時に切削に関わるようにすることにより、切削長の短い被加工物であっても、ブローチ切刃長を短くし、高能率なブローチができ、かつブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供するものとなった。

より好ましくは、前記第１刃のフランク面切刃のすくい角をθ１、前記第２刃の大径部切刃と小径部切刃との各すくい角をθ２とし、θ１、θ２を、
０°≧ θ１ ≧ −30°
０°≧ θ２ ≧ −30°
に設定することにより、被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工をする、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供できるものとなった。

本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図１は本発明の実施の形態を示す内歯歯車加工用ブローチの全体側面図、図２（ａ）は図１の第１刃 1と第２刃 2の概略部分拡大図、（ｂ）は（ａ）の第１刃 1と第２刃 2をそれぞれＡ矢視方向からみた各概略正面図、を示す。本発明の内歯歯車加工用ブローチ58は、食い付き側52から仕上げ側55に向けて図示しない被加工物である内歯歯車の左右フランク面を歯厚方向に同時に切削する１対のフランク面切刃 1a,1bを有する第１刃 1と、第１刃 1に続く前記内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃2cと小径部切刃2dとを有する第２刃 2と、を交互に有し、第２刃 2の各フランク面切刃 2a,2bは切削を行わないようにその圧力角β2 を第１刃の各フランク面切刃の圧力角β1 より小さくされ、第１刃の大径部切刃1cと小径部切刃1dは切削を行わないように各高さ各高さ Ha,Daをそれぞれ第２刃の各大径部切刃2cと小径部切刃2dの高さ Hb,Dbより小さくされている。図１で、51は前つかみ部、50はガイド、53はブローチ本体、54はブローチ刃部、56は後つかみ部を示す。図２（ａ）で、α１、α２はそれぞれ第１刃の大径部切刃1cと小径部切刃1dの逃げ角である。

本発明の実施の形態では、食い付き側52から仕上げ側55に向けて図示しない被加工物である内歯歯車の左右フランク面を歯厚方向に同時に切削する１対のフランク面切刃 1a,1bを有する第１刃 1と、第１刃 1に続く前記内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃2cと小径部切刃2dとを有する第２刃 2と、を交互に有するので、１対のフランク面切刃と対をなす大径部切刃と小径部切刃とが同時に切削に関与し、ブローチ加工中にすべての切刃が内歯歯車の被加工面を拘束して、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供するものとなった。

本発明の実施の形態では、図示しない被加工物である内歯歯車の軸方向被加工長より、第１刃 1と第２刃 2との軸方向間隔Ｌを小さくし、ブローチ切削中前記第１刃 1と第２刃 2とが内歯歯車の被加工部内に確実に同時に切削に関わるようにすることにより、切削長の短い被加工物であっても、ブローチ切刃長を短くし、高能率なブローチができ、かつブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供するものとなった。

より好ましくは、前記第１刃のフランク面切刃のすくい角をθ１、前記第２刃の大径部切刃と小径部切刃との各すくい角をθ２とし、θ１、θ２を、
図３は図２（ａ）とは異なる本発明の実施の形態である、図１の第１刃と第２刃の概略部分拡大図で、この実施の形態では、第１刃11のフランク面切刃 11a,11bのすくい角をθ１、第２刃12の大径部切刃 12cと小径部切刃 12dとの各すくい角をθ２とし、θ１、θ２を、 ０°≧ θ１ ≧ −30°
０°≧ θ２ ≧ −30°
に設定することにより、被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工をする、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供できるものとなった。図３の第１刃11と第２刃12をそれぞれ図３のＡ矢視方向からみた各概略正面図は、図２（ｂ）と同じである。

好ましくは、第１刃11のフランク面切刃 11a,11bのすくい角θ１、第２刃12の大径部切刃 12cと小径部切刃 12dとの各すくい角θ２を、
−10°≧ θ１ ≧ −20°
−5 °≧ θ２ ≧ −15°
に設定することにより、被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工をする、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度をより安定させ、より安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供できるものとなった。

本発明では、食い付き側から仕上げ側に向けて被加工物である内歯歯車の左右フランク面を同時に切削する１対のフランク面切刃を有する第１刃と、第１刃に続く前記内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃と小径部切刃とを有する第２刃と、を交互に有するので、１対のフランク面切刃と対をなす大径部切刃と小径部切刃とが同時に切削に関与し、ブローチ加工中にすべての切刃が内歯歯車の被加工面を拘束して、ブローチ加工中のブローチ軸心の位置精度を安定させ、安定した加工精度を保証する内歯歯車の仕上げ加工に用いられる内歯歯車加工用ブローチを提供するものとなった。

本発明の実施の形態を示す内歯歯車加工用ブローチの全体側面図 （ａ）は図１の第１刃 1と第２刃 2の概略部分拡大図、（ｂ）は（ａ）の第１刃 1と第２刃 2をそれぞれＡ矢視方向からみた各概略正面図、を示す。 図２（ａ）とは異なる本発明の実施の形態である図１の第１刃と第２刃の概略部分拡大図、を示す。

符号の説明

1、11 ：第１刃 1a,1b：第１刃のフランク面切刃 1c：第１刃の大径部切刃
1d：第１刃の小径部切刃 2、12：第２刃 2a,2b：第２刃のフランク面切刃
2c ：第２刃の大径部切刃 2d ：第２刃の小径部切刃
52：食い付き側 55：仕上げ側 58：内歯歯車加工用ブローチ
Da：第１刃の小径部高さ Db：第２刃の小径部高さ
Ha：第１刃の大径部高さ Hb：第２刃の大径部高さ
β1 ：第１刃のフランク面切刃の圧力角 β2 ：第２刃のフランク面切刃の圧力角
θ1 ：第１刃のフランク面切刃のすくい角
θ2 ：第２刃の大径部切刃 12cと小径部切刃 12dとの各すくい角

Claims (4)

1. 食い付き側から仕上げ側に向けて被加工物である内歯歯車の左右フランク面を同時に切削する１対のフランク面切刃を有する第１刃と、第１刃に続く前記内歯歯車の大径部と小径部とを同時に切削する対をなす大径部切刃と小径部切刃とを有する第２刃と、を交互に有し、前記第２刃のフランク面切刃は切削を行わないようにその圧力角β2 を前記第１刃のフランク面切刃の圧力角β1 より小さくされ、前記第１刃の大径部切刃と小径部切刃とは切削を行わないように各高さをそれぞれ前記第２刃の大径部切刃と小径部切刃の各高さより小さくされたことを特徴とする内歯歯車加工用ブローチ。
2. 前記被加工物である内歯歯車の軸方向被加工長より、前記第１刃と第２刃との軸方向間隔を小さくし、ブローチ切削中前記第１刃と第２刃とが前記内歯歯車の被加工部内に同時に切削に関わるようにしたことを特徴とする請求項１記載の内歯歯車加工用ブローチ。
3. 前記第１刃のフランク面切刃のすくい角をθ１、前記第２刃の大径部切刃と小径部切刃との各すくい角をθ２とし、θ１、θ２を、
   ０°≧ θ１ ≧ −30°
   ０°≧ θ２ ≧ −30°
   に設定した、前記被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工をすることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の内歯歯車加工用ブローチ。
4. 前記第１刃のフランク面切刃のすくい角をθ１、前記第２刃の大径部切刃と小径部切刃との各すくい角をθ２とし、θ１、θ２を、
   −10°≧ θ１ ≧ −20°
   −5 °≧ θ２ ≧ −15°
   に設定した、前記被加工物の硬さが、ロックウエル硬度45〜65 HRCの内歯歯車の仕上げ加工をすることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の内歯歯車加工用ブローチ。

Images