JP2006288161A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パルス幅変調制御におけるキャリア周波数を設定可能な電力変換器と、その出力側と負荷との間に接続され、かつ、リアクトル、コンデンサ及び抵抗を備えたサージ抑制用の出力フィルタと、を備えた電力変換装置に関する。前記出力フィルタ3は、リアクトル31及びコンデンサ32による共振周波数をPWM制御のキャリア周波数の最大値よりも大きく設定すると共に、抵抗33またはその周辺温度を検出する温度センサ34を備え、この温度センサ34による温度検出値が所定値以上になった場合に電圧形インバータ2の運転を停止し、またはキャリア周波数を低下させて抵抗33の過熱を防止する。
【選択図】図1
Description
図3、図4はこの種の出力フィルタの従来技術を示しており、何れもリアクトル31、コンデンサ32、抵抗33により構成されている。これらの回路は、基本的にリアクトル31及びコンデンサ32からなるLC共振回路であり、抵抗33は、共振周波数fcにおいてフィルタのインピーダンスを制限するために不可欠な構成要素となっている。
なお、図3、図4において、U’,V’,W’は図示されていない三相電圧形インバータの出力側に接続される入力端子、U,V,Wは負荷側に接続される出力端子である。
[数1]
fo≪fsw
しかしながら、電圧形インバータによっては、キャリア周波数成分やその高調波成分の影響が負荷に及ばないように厳密に管理するべき適用用途があり、その場合には、図3や図4に示した出力フィルタを電圧形インバータと負荷との間に挿入し、このフィルタによってキャリア周波数成分やその高調波成分を減衰させて電源電圧に近い正弦波状の波形を出力させている。
この場合、電圧形インバータの出力周波数fo、キャリア周波数fsw、出力フィルタの共振周波数fcの関係は、数式2のようになる。
[数2]
fo≪fc<fsw
[数3]
fc=1/2π√(L・C)
従って、前述した数式2の関係を満たすようなフィルタを構成するためには、リアクトル31のインダクタンス値Lとコンデンサ32のキャパシタンス値Cとを大きくする必要があり、これがフィルタの大形化、高価格化を招くことから、その用途が特定の用途に限られてしまうという問題がある。
このサージ対策フィルタは、電圧形インバータのキャリア周波数fswに対し共振周波数fcを大きくしてdv/dtを抑制するのが特徴となっており、電圧形インバータの出力周波数fo、キャリア周波数fsw、フィルタの共振周波数fcの関係は数式4のようになっている。
[数4]
fo≪fsw<fc
このサージ対策フィルタでは共振周波数fcが高く設定されているため、フィルタを構成するリアクトルのインダクタンス値Lやコンデンサのキャパシタンス値Cは小さくてよく、装置の小形軽量化、低価格化が可能である。
このため、汎用インバータのようにキャリア周波数を自由に設定できるような電力変換装置の場合には、キャリア周波数に合わせて抵抗容量(抵抗値)を選定する必要がある。
その出力側と負荷との間に接続され、かつ、リアクトル、コンデンサ及び抵抗を備えたサージ吸収用の出力フィルタと、を備えた電力変換装置において、
前記出力フィルタは、
前記リアクトル及びコンデンサによる共振周波数を前記キャリア周波数の最大値よりも大きく設定すると共に、前記抵抗またはその周辺温度を検出する温度検出手段を備え、
この温度検出手段による温度検出値が所定値以上になった場合に前記電力変換器の運転を停止し、または前記キャリア周波数を低下させるものである。
これにより、例えばキャリア周波数を任意に設定可能な汎用インバータやマトリクスコンバータ等において、前記抵抗の容量を上回る損失が発生するようなキャリア周波数を設定した場合でも、安全に電力変換器を停止させたり、または自動的にキャリア周波数を低下させる対策が可能になる。従って、抵抗容量の増大を余儀なくされたり、キャリア周波数が固定されるといった制約がなくなり、電力変換装置全体の小形軽量化、低価格化に寄与することができる。
図1は本発明の第1実施形態を示す全体構成図であり、この実施形態は、本発明を汎用インバータとしての電圧形インバータに適用した場合のものである。
この電圧形インバータ2の各相出力端子には、例えば、図3に示したようにリアクトル31、コンデンサ32及び抵抗33からなる出力フィルタ3が接続され、その各相出力端子は三相交流電動機等の負荷4の各相入力端子にそれぞれ接続されている。
なお、出力フィルタ3のリアクトル31及びコンデンサ33による共振周波数は、インバータ2のPWM制御におけるキャリア周波数の最大値よりも十分に大きくなるように設定されている。
この三相交流電圧を出力フィルタ3を介して負荷4に供給することにより、インバータ2の半導体スイッチング素子のスイッチングに起因して発生するキャリア周波数成分やその高調波成分を前記出力フィルタ3により吸収して負荷4を駆動することができる。
上記温度センサ34としては、サーミスタのように温度によって抵抗値が連続的に変化するものや、バイメタルを応用して所定の温度以上になると状態を変化させるもの(オン/オフ機能を有するもの)を使用可能である。これらの温度センサ34をインバータ2に接続する場合、前者についてはその出力信号を制御回路のアナログ入力端子に取り込み、後者については外部接点信号入力端子に取り込めば良い。
なお、一般に、キャリア周波数は使用環境によらず一定値であることが望ましいため、制御回路が、温度センサ34による温度検出値によって一旦、抵抗33の過熱を検出した場合にはキャリア周波数を低下させる制御を行い、その後に温度検出値が所定値以下に回復したとしても、低下させたキャリア周波数により引き続き運転することが望ましい。
周知のように、マトリクスコンバータ2’は、大形の電解コンデンサのようなエネルギーバッファを持たずに、交流スイッチSWのスイッチング動作によって交流電圧を任意の大きさ及び周波数を有する交流電圧に直接変換するものであり、上記交流スイッチSWは、例えばIGBT等の半導体スイッチング素子を2個逆並列に接続して電流を双方向に制御可能である。
このようなマトリクスコンバータ2’においても、第1実施形態と同様にキャリア周波数に応じた出力フィルタ内の抵抗の過熱が問題になることから、図1と同様に内部に温度センサ34を設けた出力フィルタ3を三相交流出力端子U’,V’,W’と負荷との間に接続し、前記同様に温度センサ34による温度検出値に応じた運転の停止、キャリア周波数の低減等の制御を行えばよい。
2:電圧形インバータ
2’:マトリクスコンバータ
3:出力フィルタ
31:リアクトル
32:コンデンサ
33:抵抗
34:温度センサ
4:負荷
SW:交流スイッチ
Claims (3)
- パルス幅変調制御におけるキャリア周波数を設定可能な電力変換器と、
その出力側と負荷との間に接続され、かつ、リアクトル、コンデンサ及び抵抗を備えたサージ抑制用の出力フィルタと、を備えた電力変換装置において、
前記出力フィルタは、
前記リアクトル及びコンデンサによる共振周波数を前記キャリア周波数の最大値よりも大きく設定すると共に、前記抵抗またはその周辺温度を検出する温度検出手段を備え、
この温度検出手段による温度検出値が所定値以上になった場合に前記電力変換器の運転を停止し、または前記キャリア周波数を低下させることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1に記載した電力変換装置において、
前記電力変換器が電圧形インバータであることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1に記載した電力変換装置において、
前記電力変換器が、エネルギーバッファを用いずに交流電圧を任意の大きさ及び周波数の交流電圧に直接変換する交流−交流直接変換器であることを特徴とする電力変換装置。
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