JP2006285227A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】感光性シートの現像工程において、感光性シートおよびその支持体のダメージを軽減し、かつシート内のパターンが均一な成形体を得ることを課題とする。
【解決手段】無機粒子と感光性有機成分を含む感光性組成物に活性光線をパターン状に照射する工程、照射後、現像時に現像液中で周波数変調型超音波処理を行う工程の少なくとも2つの工程を有することを特徴とする成形体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性組成物を用いた成形体の製造方法に関する。
近年、携帯電話をはじめとする無線通信技術の普及が著しい。従来の携帯電話は800MHz〜1.5GHzの準マイクロ波帯を用いたものであったが、情報量の増大に伴い、搬送周波数をより高周波であるマイクロ波帯からミリ波帯とした無線技術が提案され、実現される状況にある。こうした高周波無線回路は、移動体通信やネットワーク機器としての応用が期待されており、中でもブルートゥース(Bluetooth)やITS(Intelligent Transport System、高度交通情報システム)での利用によってますます重要な技術となりつつある。
これらの高周波回路を実現するためには、そこで使用される基板材料も、使用波長帯、すなわち、1〜100GHzで優れた高周波伝送特性をもつ必要がある。優れた高周波伝送特性を実現するためには、低誘電率でかつ誘電損失が低いこと、加工精度が高いこと、寸法安定性がよいといった要件が必要であり、なかでもセラミックス基板が有望視されてきた。
寸法安定性に優れ、微細加工が可能なセラミックスを用いた成形体の製造法としては、感光性組成物から形成した感光性シートに、フォトリソグラフィーでビアホールを形成する方法(特許文献1参照)が提案されている。さらに高精細なパターンを形成するセラミックス成形体の製造方法としては、例えば露光光の散乱、反射に着目し、光の透過性、直進性を向上させるため、有機成分と無機成分の屈折率を整合する方法(特許文献2、3参照)がある。しかしながら、これらの技術では100μmを越えるような厚みのセラミックス成形体に対し、100μm以下のビアホールを精度良く、かつ均一に形成できずに、残査が残るという欠点があった。さらにこれらの問題を改良する方法として、スプレー法、浸漬法と超音波による現像方法を組み合わせた方法(特許文献4参照)がある。しかしながら、単一周波数の超音波による現像においては超音波応力分布に依存するため、超音波応力がゼロになる節が存在してしまう。ゼロの位置は超音波の周波数に依存して一定の場所にあるため、一定の部位にのみしか超音波応力がかからず、感光性シート内のパターンに不均一性(現像ムラ)が生じてしまう。また、一定の部位に超音波応力がかかりすぎると、セラミックス成形体のダメージなどの問題も起こる。
一方、超音波洗浄については、被洗浄物に洗浄ムラが生ずるのを防止する方法として共音波の基本周波数を所定の幅で連続変調させて被洗浄物に照射する方法がある(特許文献5参照)。
特開平6−202323号公報(第4−9頁) 特開平10−171106号公報(段落0008−0013) 特開平10−265270号公報(段落0007−0010) 特開2003−318313号公報(第2−3頁) 特開昭61−101283号公報(第1頁)
本発明は現像時のムラおよび支持体からの剥がれ等のダメージをなくし、均一にパターンが形成された成形体を得ることを目的とする。
すなわち本発明は、無機粒子と感光性有機成分を含む感光性組成物に活性光線をパターン状に照射する工程、照射後、現像時に現像液中で周波数変調型超音波処理を行う工程の少なくとも2つの工程を有することを特徴とする成形体の製造方法である。
本発明により、現像工程において感光性組成物から得られた感光性シートおよびその支持体のダメージを軽減し、かつ均一にパターンが形成されたセラミックスやガラスを有する成形体を得ることが可能である。さらに微細なパターン加工性が可能となる。
本発明は、無機粒子と感光性有機成分を含む感光性組成物に活性光線をパターン状に照射する工程、照射後、現像時に現像液中で周波数変調型超音波処理を行う工程の少なくとも2つの工程を有する成形体の製造方法である。以下にこの製造方法について詳細に説明する。
本発明で用いる感光性組成物は無機粒子と感光性有機成分を有するものであり、まず、この感光性組成物をドクターブレード法、押し出し成形法、スリットダイ、スクリーン印刷法などの一般的な方法で、必要に応じて各種コーティング処理などの施されたポリエステルやポリフェニレンスルフィド(PPS)などのプラスチックフィルム、ガラス、ガラスセラミックス、アルミ、スチールなどの支持体上に成形し、溶媒を乾燥除去することにより、支持体と感光性組成物からなる支持体付き感光性シート(以下支持体付き感光性シートという)を形成する。
次に支持体付き感光性シートに、活性光線をパターン状に照射する方法として、支持体付き感光性シートに対して、ビアホールやキャビティなどのパターンを有するフォトマスクを通して活性光線を照射する方法や、レーザー光を用いて支持体付き感光性シートにパターンを直描する方法が挙げられる。ここで照射する活性光線の種類としては、赤外線、近赤外線、可視光線、紫外線、X線などが挙げられるが、これらの中でも、紫外線が好ましく用いられる。紫外線に用いる光源は、超高圧水銀灯が特に好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。露光量は感光性シートの厚みや材料の感度によって異なるが、5〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯であれば5秒〜30分間露光を行うことが好ましい。なお、ビアホール形成と同じ手法でパターン加工済みの感光性シート積層時のアライメント用ガイド孔を形成しておくことができる。
次に活性光線を照射した支持体付き感光性シートを現像液で処理することで、現像液に可溶な部分(ネガ型では活性光線が照射されない部分、ポジ型では活性光線照射部)を溶解・除去し、感光性シート内にパターンを形成する。本発明は感光性シートを現像する時に、以下に具体的に示したような周波数変調型超音波処理を行うものである。
ここで周波数変調型超音波とは、超音波振動子から発生する超音波の基本周波数を所定の幅で連続変調させて被対象物に照射する方法である。超音波を用いた現像方法は通常の現像手段の他に超音波を照射することにより、可溶部分の溶解、除去を促進し、感光性シート上に精細なパターンを得る方法である。本発明は、超音波の基本周波数を所定の幅で連続変調させて照射することで、超音波応力の分布を無くして、支持体付き感光性シートのダメージを軽減し、かつ均一なパターンが形成された感光性シートを得る。本発明においては、超音波の周波数変調範囲は20〜50KHzの範囲の中から選ばれる波長範囲で行うことが好ましい。周波数が20KHzを下回ると必要以上に超音波応力が強くなり、支持体付き感光性シートのダメージが大きくなる。一方、50KHzを上回ると超音波応力が弱くなり、可溶部分の現像液の浸食が弱まるために好ましくない。
超音波の基板面積当たりの仕事密度は好ましくは40〜100W/cmである。仕事密度が40W/cmを下回ると可溶部分が除去しきれないことがあり、一方、100W/cmを上回るとパターンの残存部分(ネガ型の場合は活性光線照射部、ポジ型の場合は活性光線が照射されない部分。以下硬化部分という)の現像液による浸食や支持体付き感光性シートのダメージが大きくなる。また、超音波現像時間は5〜120秒が好ましい。現像時間が5秒を下回ると可溶部分が除去しきれないため好ましくなく、一方、120秒を上回ると硬化部分の侵食や支持体付き感光性シートのダメージが大きくなるため好ましくない。可溶部分の除去が十分に行われつつ、硬化部分の侵食と支持体付き感光性シートのダメージを抑えるための超音波現像時間は、より好ましくは5〜60秒、さらに好ましくは10〜30秒である。
本発明において現像時の支持体付き感光性シートに対する周波数変調型超音波の照射位置は特に限定はされないが、超音波照射方向に対して感光性シートが垂直に位置し、かつ感光性シート側から照射するように配置するのが好ましい。また、現像液中で基板を振動、回転、往復運動させるなどのように動かしても良い。あるいは現像液を循環、振動させるなどしても良い。
本発明で用いる現像方法は浸漬法、スプレー法などの現像方法と組み合わせて用いられることが好ましい。ここでいう浸漬法とは、例えば露光後の感光性シートを現像液に浸すことで、現像液に対し可溶部分の溶解・除去を進める方法である。またスプレー法とは、同様に活性光線照射後の感光性シートの可溶部分をスプレーの物理的な力も利用しながら溶解・除去を進める現像方法である。このスプレー法は、常に現像液の流出による入れ替わりがあり、現像液の溶解力低下が少なく、結果として現像時間が短くなる利点があり、特に好ましい。また、現像基板面積当たりのスプレー圧力は0.5〜20kg/cmが好ましい。スプレー圧力が0.5kg/cmを下回ると物理的な力が不十分であり、現像時間が長くなる。一方、20kg/cmを上回ると硬化部分への現像液の浸食により、支持体付き感光性シートのダメージが大きくなる。物理的な力を保持しつつ、硬化部分の侵食や支持体付き感光性シートのダメージを抑えるためのスプレー圧力は、より好ましくは1〜10kg/cm、更に好ましくは1〜5kg/cmである。なお、スプレー散布器と支持体付き感光性シートを相対的に移動させることにより、少ない散布器で面積の大きい支持体付き感光性シートを有効に現像液をスプレー散布することができ、支持体付き感光性シートの特定位置に現像液の散布が集中することが抑制されて好ましい。これら浸漬法、スプレー法を行った後に周波数変調型超音波照射を組み合わせることで超音波照射時間の短縮につながるため、支持体付き感光性シートのダメージ軽減につながる。
感光性シート内のパターン均一性は開孔率(%)で示す。ここでいう開孔率とは感光性シート内にパターン露光されたビアホール総数に対して、現像によって可溶部分が完全に除去されて感光性シートが貫通し、孔が形成されたビアホールの割合を表す。また、支持体付き感光性シートのダメージとは支持体付き感光性シートから感光性シートが現像工程の途中で剥がれたり、感光性シート上のパターンが変形したりすることをいう。
ここで必要とされるパターンの形状は様々であるが、例えば感光性シートをフィールドエミッションディスプレイの絶縁層に用いる場合は、直径3〜100μmの円形もしくは一辺3〜100μmの四角形のホール形状であることが好ましく、より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは3〜20μmである。
感光性シートの現像液としては、感光性組成物の活性光線照射部と非照射部に対して、異なった溶解性・膨潤性・親和性を有するものであれば、いずれも使用可能であるが、本発明においては、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリ水溶液としては、ナトリウムやカリウムなどの金属アルカリ水溶液、有機アルカリ水溶液が使用できる。金属アルカリ水溶液としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオンを含んでいる化合物を用いることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどが挙げられる。有機アルカリ水溶液としては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的にはメチルアミン、n−プロピルアミン、t−ブチルアミン、モノエタノールアミン、TMAH(テトラメチルハイドロオキサイド)などが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度は0.01〜10重量%が好ましい。アルカリ水溶液の濃度が0.01重量%を下回ると可溶部分が完全に除去されない場合がある。一方、10重量%を上回ると硬化部分の侵食やパターンの剥離が起こることがある。可溶部分の除去が十分に行われつつ、硬化部分の侵食やパターンの剥離を抑えるためのアルカリ濃度は、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%である。また現像液の温度は、工程管理上20〜50℃が好ましい。
現像された感光性シートに対しては、例えば、回路用基板などに使用する場合は、導体や抵抗体ペーストなどを用いて、ビアホールの孔埋め、配線の形成など、必要とされるパターンの形成を行うことが出来る。配線の形成はスクリーン印刷、オフセット印刷などにより印刷で形成してもよいし、感光性導体ペーストを用いてフォトリソ加工、さらにはインクジェット法による配線、配線パターンの転写などで形成してもよい。また、フラットパネルディスプレイの絶縁層などに使用する場合は、ゲート電極などの必要とされるパターン形成を行うことができる。
本発明の製造方法によって得られた感光性シートは、焼成工程を経て回路用基板、あるいはフラットパネルディスプレイ用部材等に加工される。例えば、回路用基板などに使用する場合は、必要な枚数の配線パターンの形成された感光性シートをガイド孔を用いて積み重ね、80〜150℃の温度で5〜25MPaの圧力で接着し、多層シートを作製する。この多層シートの両面に、後に説明する難焼結性のセラミックスシートを積層して焼成してもよい。焼成は焼成炉において行う。焼成雰囲気や温度は感光性組成物中の無機粒子や有機成分の種類によって異なるが、空気中、窒素雰囲気中、または水素還元雰囲気中で焼成する。本発明において好ましく用いられる感光性組成物の焼成は、まず室温〜600℃で有機物を分解、飛散させる工程(脱バインダー工程)を経たのち、600〜950℃の温度で焼結を行う。このようにして得られたセラミックス多層基板は高周波回路用基板として用いられる。また、フラットパネルディスプレイ用絶縁層などに使用する場合は、コスト削減や生産性の点、支持体に用いるガラス基板の熱歪みの点から600℃未満の温度で焼結を行うのが好ましく、400〜600℃の温度で焼結を行うのがさらに好ましい。このようにして得られたフラットパネルディスプレイ用絶縁層は、例えばプラズマディスプレイ用隔壁、フィールドエミッションディスプレイ用絶縁層として用いられるが、これらに限定されるものではない。
難焼結性のセラミックスシートとは、基板焼結温度では焼結しない高融点ガラスやアモルファスシリカ、石英、アルミナ、マグネシア、ヘマタイト、チタン酸バリウムおよび窒化硼素などのセラミックス粉末を有するシートであり、ダミー用シートまたは拘束シートなどと称せられる。このシートには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムなどの酸化剤や感光性シートとの密着性改良剤となる酸化物粉末が1〜5重量%添加されることが好ましい。このような難焼結性のセラミックスシートの例としては、アルミナ粉末にポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレートなどの有機バインダー、ジオクチルフタレートなどの可塑剤、適当な酸化物、有機溶媒などを加えて、ドクターブレード法によってシート状に形成したものをあげることができる。
感光性シートを形成する組成物の成分や配合組成、焼成時の諸条件により不可避の収縮が存在するが、前記拘束シートを用いることによって、厚み方向にのみ収縮させ、X−Y平面にはほぼ無収縮にすることができる。X−Y平面方向の収縮率を1%以下に抑制できるならば、ほぼ無収縮を達成したものと考えることができるが、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
本発明において、感光性有機成分とは感光性シートを形成する感光性組成物中の有機成分の総体を指す。なお、本発明において感光性組成物は、ペースト体として、塗布・積層に際して、好適に溶媒が用いられるものではあるが、感光性有機成分の組成に関するパラメータ(各成分の含有割合など)についての以下の説明においては、原則として溶媒成分は除外して算出されたものである。
本発明における感光性有機成分は酸性基を有する重合体(成分A1)、エチレン性不飽和基含有化合物(成分A2)、重合開始剤等を含有することが好ましい。
成分A1は、酸性基を有する重合体であればどのようなものでも構わないが、好ましくはカルボキシル基を有する重合体であり、より好ましくは側鎖にエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する重合体である。側鎖にエチレン性不飽和基を有することでパターン形成性が向上し、また側鎖にカルボキシル基を含有することにより、アルカリ水溶液での現像を可能にする。このような重合体は例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルまたはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマーおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのモノマーを選択し、ラジカル重合開始剤を用いて重合または共重合させて重合体を得たのち、ポリマー中の活性水素含有基であるメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させることにより得られるが、これらに限定されるものではない。グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジルなどがある。イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリロイルイソシアネート、メタアクリロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート、メタアクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中の活性水素含有基に対して0.05〜0.95モル当量付加させることが好ましい。活性水素含有基がメルカプト基、アミノ基、水酸基の場合にはその全量を側鎖基の導入に利用することもできるが、カルボキシル基の場合には、ポリマーの酸価が好ましい範囲になるよう付加量を調整することが好ましい。
成分A1の酸価は50〜200mgKOH/gであることが好ましい。酸価を50mgKOH/g以上とすることで、可溶部分の現像液に対する溶解性が低下することがなく、200mgKOH/g以下とすることで、現像許容幅を広くすることができる。なお、酸価の測定は、バインダーポリマー1gをエタノール100mLに溶解した後、0.1N水酸化カリウム水溶液を用いた滴定を行い、求める。成分A1は、焼成時の熱分解温度が低いことから、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリル酸、メタアクリル酸を共重合成分とする共重合体が好ましく用いられる。成分A1の重量平均分子量は、好ましくは5000〜100000、より好ましくは15000〜75000、さらに好ましくは20000〜50000である。前記範囲内であれば、柔軟性が良好で、かつ現像時の溶解性も良好である。バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算により計算した。
成分A1のTg(ガラス転移温度)は、−60〜30℃が好ましい。Tgを−60℃以上とすることで感光性シートの粘着性を低減することができ、Tgを30℃以下とすることで感光性シートの柔軟性を保持することができる。感光性シートの粘着性を低減しつつ、柔軟性も保持するためのTgは、より好ましくは−40〜30℃で、さらに好ましくは−20〜30℃である。バインダーポリマーのTgの測定法は、島津製作所(株)製DSC−50型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温し、ベースラインの偏起が開始する温度をTgとした。
成分A1の添加量は、感光性有機成分中の10〜80重量%であることが好ましい。成分A1の添加量が、感光性有機成分中の10重量%を下回ると感光性シートが形成できず、一方、80重量%を上回ると感光性シート上にパターンが形成できなくなる。
成分A2は、光によるパターン形成をより効果的に行うために用いられる。成分A2の分子構造形態について、直鎖状、分枝状、環状、あるいはそれらの組み合わせなど、なんら限定されるものではないが、相溶性の点から直鎖状が好ましい。成分A2の分子量は好ましくは100〜100000、より好ましくは100〜50000、更に好ましくは300〜45000である。前記範囲内であれば、柔軟性が良好で、かつ現像時の溶解性も良好である。
本発明における成分A2のエチレン性不飽和基は、架橋反応性を考慮すれば一般的に立体障害が小さく分子運動の自由度が大きい方が好ましい。従って、一置換ついで二置換が好ましい。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。特に、アクリロイル基やメタクリロイル基を有することが好ましい。
アクリロイル基やメタクリロイル基を有する化合物の具体例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド付加物のアクリレート、パラクミルフェノール−エチレンオキサイド付加物のアクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物のアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレートおよびこれらのアクリレートの一部または全てをメタクリレートに代えたものなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
成分A2は、エチレン性不飽和基以外に有機基(結合)を有してもよい。そのような有機基(結合)の例としては、アルキレンオキサイド基、アルキル基、アリール基、アリーレン基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基、ウレタン結合などが例示できる。これらの中でも、相溶性の点からアルキレンオキサイド、特にエチレンオキサイドなどの極性基が好ましい。成分A2中のエチレンオキサイド含有量としては、成分A2に対して8〜70重量%が好ましい。このような化合物の中でも、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを含む化合物は、熱分解性が良いため特に好ましい。
成分A2の添加量は、感光性有機成分中の10〜80重量%であることが好ましい。成分A2の添加量が、感光性有機成分中の10重量%を下回ると感光性シートが形成できず、一方、80重量%を上回ると感光性シート上にパターンが形成できなくなる。
感光性有機成分に含有される成分A1及び成分A2には、一般的に活性光線のエネルギーを吸収する能力は低いので、光反応を開始するためには、光重合開始剤を加えることが好ましい。また光重合開始剤の効果を補助するために増感剤を用いてもよい。このような光重合開始剤には1分子系直接開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、2分子複合系など機構的に異なる種類があり、それらから選択して用いる。本発明に用いられる光重合開始剤としては、活性ラジカル種を発生するものが好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。
増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。
光重合開始剤や増感剤は1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤の添加量は、感光性有機成分に対し0.05〜10重量%が好ましい。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることにより、良好な光感度を得ることができる。増感剤を添加する場合、その添加量は感光性有機成分に対して0.05〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
また、感光性シートでの散乱光の吸収剤として有機系染料を添加するのが好ましい。有機系染料の中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが挙げられ、1種類または2種類以上使用することができる。有機系染料は紫外線吸収剤として添加した場合にも、焼成後の基板中に残存しないで紫外線吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。ペースト中の有機系染料の添加量は0.01〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.02〜1重量%である。0.01重量%未満では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、5重量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。
好ましい光重合開始剤、増感剤、有機系染料の組み合わせとしては、アゾ系染料とベンゾフェノン系化合物を含む組み合わせが好ましく、スダンIVと4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノンを含む組み合わせがさらに好ましい。
さらに、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性組成物に対し、0.001〜1重量%が好ましい。
また、可塑剤、酸化防止剤を添加してもよい。可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量はペースト組成物に対し0.001〜1重量%が好ましい。
感光性組成物中の感光性有機成分の配合量は10〜40重量%、さらには15〜35重量%であることが好ましい。10〜40重量%の配合量であれば、感光性シートの可撓性と通気性の両方の特性を満足させることができる。
本発明で用いられる感光性組成物は次のとおりである。まず感光性有機成分、例えば、必要に応じて側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する重合体、エチレン性不飽和基を有する化合物やイオン触媒、光重合開始剤、増感剤、有機系染料、溶媒や各種添加剤などを混合した後、濾過し、有機ビヒクルを作製する。これに、必要に応じて前処理された無機粒子を添加し、ボールミルや三本ロールなどの混練機で均等に混合・分散して感光性組成物のスラリーまたはペーストを作製する。このスラリーまたはペーストの粘度は無機粒子と感光性有機成分の配合比、有機溶媒の量、可塑剤その他の添加剤の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・sが好ましい。
スラリーもしくはペーストを作製する際に用いる溶媒は、感光性有機成分を溶解し得るものであればよい。例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、3−メチルメトキシブタノール、トルエン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、イソフォロン、メチルメトキシブタノール、ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる、単種でも複数種用いても良い。なお、有機溶媒がペーストに含まれる量は目的用途に応じて様々であり、前記粘度範囲であれば、なんら制限されるものではないが、例えば、塗布段階においては、ペースト(無機粉末を除く)中に10〜30重量%含まれていることが好ましい。
本発明において用いられる感光性組成物は、上記感光性有機成分の他に無機粒子を必須成分とする。無機粒子の種類は特に限定されないが、好ましくはセラミックス、あるいはガラスを有することが基板形成性の点で好ましい。またセラミックスとガラスの両方を有していても良い。さらに無機粒子としてセラミックス、あるいはガラスを有する感光性組成物からなる感光性シートの現像方法としては、現像液の浸透性の点から、微細パターンを形成するためには周波数変調型超音波処理を行なうことが特に好ましい。
本発明で用いられる無機粒子の具体例としては、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシア、チタニア、ヘマタイト、フェライト、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、ニオブ酸リチウム、窒化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化珪素、炭化硼素、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ガラスなどが挙げられる。本発明で用いられるガラスとしては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属からなる金属酸化物、酸化硼素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化珪素、酸化リン、酸化ビスマスの少なくともいずれかを含むものが好ましく用いられる。この無機粒子は焼成工程において焼結するものであり、本発明の目的とする例えば回路用基板形成では、1000℃以下、特に400〜900℃、また好ましくは700〜900℃の温度での焼成が好ましいので、いわゆる低温焼成無機粒子が好ましい。また、フラットパネルディスプレイ用絶縁層に用いる場合は、支持体に用いるガラス基板の熱歪みの点から400〜600℃の温度での焼成が好ましいので、軟化点が400〜600℃である低軟化点ガラスを用いることが好ましい。もちろん、これらの無機粒子が基板の電気的特性、強度、熱膨張係数などの基本物性を決めるものであるため、目的とする特性に応じて選択されるものである。
本発明で、例えば回路用基板に用いられる無機粒子として有用な成分には6つの態様が挙げられる。
前記の第1の態様は、一般式RO−Al−SiO系材料(x=1のとき、Rはアルカリ土類金属から選ばれ、x=2のときRはアルカリ金属から選ばれる)で表されるアルミノケイ酸塩系化合物である。特に限定されるものではないが、アノーサイト(CaO−Al−2SiO)、セルジアン(BaO−Al−2SiO)などであり、低温焼結セラミックス材料として用いられる無機粒子である。
第2の態様は、ホウ珪酸ガラス粉末50〜90重量%と、石英粉末および/またはアモルファスシリカ粉末10〜50重量%の割合からなるものである。この時高純度シリカ(石英)は、ホウ珪酸ガラスと溶解しないことが好ましい。また、球状シリカである方が、スラリーの充填性が上がり好ましい。
第3の態様は、ホウ珪酸ガラス粉末30〜60重量%、石英粉末および/またはアモルファスシリカ粉末20〜50重量%およびコーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイトおよびセルジアンの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミックス粉末20〜50重量%との混合物である。
第4の態様では、ガラス粉末は酸化物換算表記でSiO:30〜70重量%、Al:5〜40重量%、CaO:3〜25重量%、B:3〜50重量%の組成範囲で、無機粉末としては前記の組成で示された態様を有するガラス粉末が30〜70重量%と、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミックス粉末30〜70重量%との混合物である。
第5の態様は、酸化物換算表記でSiO:80〜90重量%、B:10〜15重量%、Al:0〜5重量%、KO:0〜5重量%の割合で含まれる無機粒子である。
第6の態様では、ガラス粉末は酸化物表記で、SiO45〜60重量%、AlO30.1〜10重量%、B9〜24重量%、CaO2〜15重量%、MgO0.1〜12重量%、NaO0.1〜1.5重量%、ZrO0.1〜5重量%、KO0.1〜1重量%、TiO0.1〜5重量%の組成範囲で、無機粒子としては前記の組成で示された態様を有するガラス粉末が30〜70重量%と、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、コーディエライト、および窒化アルミから選ばれる少なくとも1種類のセラミックス粉末30から70重量%との混合物である。
第4の態様および第6の態様におけるフィラー成分としてのセラミックス粉末は、基板の機械的強度の向上や熱膨張係数を制御するのに有効である。
特に、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コーディエライト、アノーサイトはその効果が優れている。これらのセラミックス粉末の混合により、焼成温度を800〜900℃とし、強度、誘電率、熱膨張係数、焼結密度、体積固有抵抗、収縮率を所望の特性とすることができる。
本発明において、無機粒子の態様としては、セラミックスの特性を制御しやすいこと、さらには、感光性有機成分との相性の観点から、第4の態様、第6の態様が好ましい。
本発明で、例えばフラットパネルディスプレイ用絶縁層として用いる無機粒子としては軟化点が400〜600℃である低軟化点ガラスを用いることが好ましく、少なくとも酸化ビスマスを含有したビスマス系ガラスを用いることが好ましい。
さらに、感光性組成物が、高いパターン形成性を保持するために、無機粒子の平均粒子径は500nm以下が好ましい。無機粒子の平均粒子径は300nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。パターン加工に有効な活性光線の波長(500nm〜350nm)と同等、または活性光線波長より小さいサイズの無機粉末を複合することにより、活性光線照射時の光散乱が少なくなり、感光性シートの深部まで露光される。その結果、高精細で高アスペクト比のパターン加工が可能となる。平均粒子径が500nmを超えると、光散乱の割合が高くなり紫外線が深部まで届かない。またはパターン周辺が散乱光により露光されるため、得られるパターンが高精細で高アスペクト比にならない場合がある。平均粒子径500nm以下の無機粒子の含有量は、用途に応じて異なるが、感光性組成物に対して5〜90重量が好ましく、20〜80重量がより好ましい。5重量%以上とすることで焼成後の誘電率特性が保たれる。一方、90重量%以下とすることで感光性シートの光透過率を保持することができる。
本発明で用いる無機粒子は、例えば回路用基板としてCu、Ag、Auなどを配線導体として多層化した場合、600〜900℃での焼成が可能であり、チップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い基板を与える材料を選ぶ必要がある。
本発明の成形体の製造方法は、基板表面の表層および内層用電極の微細な回路パターン形成を必要とする半導体素子の高密度実装用回路基板の製造、高周波無線用回路基板、特に多層回路基板の製造、フラットパネルディスプレイの各種部材の製造用途に好適に用いられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、濃度(%)は特に断らない限り重量%である。実施例に用いた無機粒子および感光性有機成分は次の通りである。
A.感光性有機成分
重合体I(成分A1):2−エチルヘキシルアクリレート40%、ブチルメタクリレート40%、アクリル酸20%からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.2当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したもの。1000mLの4つ口フラスコにメトキシメチルブタノールを100g仕込み、これをオイルバス中で80℃に保ち、窒素シール、攪拌を行いながら2−エチルヘキシルアクリレート40gとブチルメタクリレート40g、アクリル酸20gにN,N−アゾビスイソブチロニトリル2gを混合してこれを滴下ロートで30分かけて滴下した。そして、4時間反応を続けた後、ハイドロキノンモノメチルエーテルを1g添加してから常温に戻し重合を完了し、ポリマーを得た。つぎにこのポリマーにメトキシメチルブタノール100gを添加した後、これを75℃に保ちながらグリシジルメタクリレート40gとトリエチルベンジルアンモニウムクロライド3gを添加し3時間反応させた。得られたポリマー(重合体I)の重量平均分子量は36000、酸価は100、Tgは15℃であった。なお、バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、ポリスチレン換算により計算した。Tgの測定法は、島津製作所(株)製DSC−50型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温し、ベースラインの偏起が開始する温度をTgとした。また、酸価の測定は、バインダーポリマー1gをエタノール100mLに溶解した後、0.1N水酸化カリウム水溶液を用いた滴定を行い、求めた。
重合体II:アクリル酸メチル30%、アクリル酸エチル40%、メタクリル酸30%からなる共重合体のカルボキシル基に対し、0.4当量のグリシジルメタクリレート(GMA)を付加反応させた。得られた重合体IIの重量平均分子量19000、酸価107mgKOH/g、Tgは25℃である。
エチレン性不飽和基含有化合物I(成分A2):ポリエチレングリコールジアクリレート(“M−245”東亞合成(株)製)
エチレン性不飽和基含有化合物II(成分A2):ウレタンアクリレート(“UV6100B”日本合成化学工業(株)製)
エチレン性不飽和基含有化合物III(成分A2):アクリルモノマー(日本化薬(株)製カラヤッドTPA−330)
可塑剤I:ジブチルフタレート(和光純薬工業(株)製)
光重合開始剤I: “イルガキュア819”(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)
光重合開始剤II:2,4−ジメチルオキサントン(日本化薬(株)製)と“イルガキュア369”(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)の重量比1:2の混合物
光重合開始剤III:4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)
紫外線吸光剤:“スダンIV”(東京化成工業(株)製)
重合禁止剤:p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製)
溶媒:“ソルフィット”((株)クラレ製)。
B.無機粒子
アルミナ粉末I:平均粒子径37nm、アルミナ粉末II:平均粒径350nm、アルミナ粉末III:平均粒径700nm、アルミナ粉末IV:平均粒径2μm
ガラス粉末I:SiO(60%)、PbO(17.5%)、CaO(7.5%)、MgO(3%)、NaO(3.15%)、KO(2%)、B(5.8%)の組成のものを用いた。このガラス粉末のガラス転移点565℃、熱膨張係数60.5×10−7/K、誘電率8.0(1MHz)、平均粒子径2μmである。
ガラス粉末II:Bi(37%)、SiO(7%)、B(19%)、ZnO(20%)、BaO(12%)、Al(5%)の組成のものを用いた。このガラス粉末のガラス転移点は445℃、軟化点は509℃、平均粒子径は0.5μmである。
なお、アルミナ粉末I〜III、ガラス粉末IIの平均粒子径は日機装(株)製比表面積測定装置にて測定を実施し、Nガス吸着量から比表面積を求め、平均粒子径に換算した値である。アルミナ粉末IVおよびガラス粉末Iの平均粒子径は日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置“HRA”にて測定したD50である。
C.現像液
現像液I:0.5%TMAH水溶液
現像液II:1%炭酸ナトリウム水溶液
現像液III:0.5%水酸化カルシウム水溶液
現像液IV:0.5%モノエタノールアミン水溶液
現像液V:0.1%炭酸ナトリウム水溶液
D.有機ビヒクルの作製
有機溶剤(ソルフィット)および重合体を混合し、撹拌しながらすべての重合体を溶解させた。続いてエチレン性不飽和基含有化合物、光開始剤、紫外線吸収剤を加えて溶解させ、有機ビヒクルを調製した。
E.ペースト調製
上記の有機ビヒクルに無機粉末を混合し、三本ロールで5回通してペーストとした。感光性有機成分25重量部に対して無機粉末の量は75重量部とした。
F.感光性シートの作製
紫外線を遮断した室内でポリエステルの支持体とブレードとの間隔を0.1〜0.8mmとし、成形速度0.2m/分でドクターブレード法によって支持体付き感光性シートを作製した。感光性シートの厚みは100μmであった。
G.ビアホ−ルの形成
支持体付き感光性シートを100mm角に切断した後、温度80℃で1時間乾燥し、溶媒を蒸発させた。ビアホール径80、100μm、ビアホールピッチは各ビアホール径の3倍、ホール数は各100ずつのクロムマスクを用いて、感光性シート面に対し、10mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて感光性シートとクロムマスクの間を密着させ、10秒間パターン露光した。次に、25℃に保持した現像液により支持体付き感光性シートのパターン現像を行った。現像方法は、現像液の満たされた浴槽にパターン露光された支持体付き感光性シートを浸し、周波数変調型超音波または超音波による照射を行った。周波数変調型超音波の周波数は26±5KHz、あるいは38±5KHzで、超音波の周波数は26、38、100、200KHzで現像した。浸漬法またはスプレー法を併用する場合は、浸漬法またはスプレー法による現像を行った後、前記超音波による現像を行った。スプレー法を用いた場合のスプレー圧力は、1.5Kg/cmとした。
実施例1
表1のとおり、無機粒子としてガラス粉末I(45%)とアルミナ粒子I(30%)を、感光性有機成分としてエチレン性不飽和基含有化合物I(1.9%)、エチレン性不飽和基含有化合物II(1.9%)、重合体I(15%)、光重合開始剤I(1.1%)、紫外線吸収剤(0.1%)、溶媒(5%)を用いてペーストを調製し、ドクターブレード法によってポリエステル支持体上に膜厚100μmの感光性シートを得た。このシートを上記G.項に記載したようにパターン露光し、さらにこのシートを25℃に保持した0.5%TMAH現像液を満たした浴槽中に浸し、38±5KHzの周波数変調型超音波を120秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径100μm(表1における評価1)で98%、ビア径80μm(表1における評価2)で85%のシートが得られた。また、現像工程時に支持体から感光性シートが剥がれることはなかった。
実施例2〜3
実施例1と同様にして、表1記載の組成からなる感光性組成物を用いて感光性シートを作製し、表1記載の現像条件、現像時間を用いてビアホールを作製した。結果を表1に示した。現像工程時に支持体から感光性シートが剥がれることはなかった。
実施例4
表1のとおり、無機粒子としてガラス粉末I(45%)とアルミナ粒子I(30%)を、感光性有機成分としてエチレン性不飽和基含有化合物I(1.9%)、エチレン性不飽和基含有化合物II(1.9%)、重合体I(15%)、光重合開始剤I(1.1%)、紫外線吸収剤(0.1%)、溶媒(5%)を用いてペーストを調製し、ドクターブレード法によってポリエステル支持体上に膜厚100μmの感光性シートを得た。このシートを上記G.項に記載したようにパターン露光し、さらにこのシートを25℃に保持した0.5%TMAH現像液を満たした浴槽中に120秒間浸した後、26±5KHzの周波数変調型超音波を45秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径100μm(表1における評価1)で95%、ビア径80μm(表1における評価2)で80%のシートが得られた。また、現像工程時に支持体から感光性シートが剥がれることはなかった。
実施例5〜7
実施例1と同様にして、表1記載の組成からなる感光性組成物を用いて感光性シートを作製し、表1記載の現像条件、現像時間を用いてビアホールを作製した。結果を表1に示した。現像工程時に支持体から感光性シートが剥がれることはなかった。
実施例8〜10
実施例1と同様にして、表1記載の組成からなる感光性組成物を用いて感光性シートを作製し、表1記載の現像条件、現像時間を用いてビアホールを作製した。結果を表1に示した。現像工程時に支持体から感光性シートが剥がれることはなかった。
実施例11
表1のとおり、無機粒子としてガラス粉末I(45%)とアルミナ粒子I(30%)を、感光性有機成分としてエチレン性不飽和基含有化合物I(1.9%)、エチレン性不飽和基含有化合物II(1.9%)、重合体I(15%)、光重合開始剤I(0.8%)、光重合開始剤III(0.3%)、紫外線吸収剤(0.1%)、溶媒(5%)を用いてペーストを調製し、ドクターブレード法によってポリエステル支持体上に膜厚100μmの感光性シートを得た。このシートを上記G.項に記載したようにパターン露光し、さらにこのシートを25℃に保持した0.5%TMAH現像液を満たした浴槽中に120秒間浸した後、38±5KHzの周波数変調型超音波を30秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径100μm(表1における評価1)で100%、ビア径80μm(表1における評価2)で100%のシートが得られた。また、現像工程時に支持体から感光性シートが剥がれることはなかった。
実施例12
表1のとおり、無機粒子としてガラス粉末II(75%)を、感光性有機成分としてエチレン性不飽和基含有化合物III(10%)、重合体II(8%)、光重合開始剤II(4%)、紫外線吸収剤(0.1%)、溶媒(2.9%)を用いてペーストを調製し、スクリーン印刷法によってガラス基板上に膜厚15μmで100mm角の感光性シートを得た。このシートをビアホール径20、30μm、ビアホールピッチは各ビアホール径の3倍、ホール数は各100ずつのクロムマスクを用いて、感光性シート面に対してクロムマスクを密着させ、10mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて100秒間パターン露光した。さらにこのシートを25℃に保持した0.1%炭酸ナトリウム現像液を用いてスプレー圧力1.5kg/cmで30秒間現像した後、38±5KHzの周波数変調型超音波を15秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径30μm(表1における評価1)で100%、ビア径20μm(表1における評価2)で96%のシートが得られた。また、現像工程時に支持体のガラス基板から感光性シートが剥がれることはなかった。
Figure 2006285227
比較例1
表2のとおり、無機粒子としてガラス粉末I(45%)とアルミナ粒子I(30%)を、感光性有機成分としてエチレン性不飽和基含有化合物I(1.9%)、エチレン性不飽和基含有化合物II(1.9%)、重合体I(15%)、光重合開始剤I(1.1%)、紫外線吸収剤(0.1%)、溶媒(5%)を用いてペーストを調製し、ドクターブレード法によってポリエステル支持体上に膜厚100μmの感光性シートを得た。このシートを上記G.項に記載したようにパターン露光し、さらにこのシートを25℃に保持した0.5%TMAH現像液を満たした浴槽中に浸し、38KHzの超音波を120秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径100μm(表2における評価1)で49%、ビア径80μm(表2における評価2)で3%と現像ムラが生じ、感光性シートが支持体から剥がれるなどのダメージがあった。
比較例2〜4
比較例1と同様にして、表2記載の組成からなる感光性組成物を用いて感光性シートを作製し、表2記載の現像条件、現像時間を用いてビアホールを作製した。結果は表2に示した。セラミックスグリーンシートが支持体から剥がれるなどのダメージがあった。
比較例5〜6
比較例1と同様にして、表2記載の組成からなる感光性組成物を用いて感光性シートを作製し、表2記載の現像条件、現像時間を用いてビアホールを作製した。支持体付き感光性シートのダメージは無いものの、ビアホールの開孔率はビア径100μm、ビア径80μm共に0%と全く現像できなかった。
比較例7
実施例11と同様にしてポリエステル支持体上に膜厚100μmの感光性シートを得た。このシートを上記G.項に記載したようにパターン露光し、さらにこのシートを25℃に保持した0.5%TMAH現像液を満たした浴槽中に120秒間浸した後、38KHzの超音波を30秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径100μm(表2における評価1)で63%、ビア径80μm(表2における評価2)で26%のシートと現像ムラが生じ、感光性シートが支持体から剥がれるなどのダメージがあった。
比較例8
実施例12と同様にして感光性シートを得た。このシートをビアホール径20、30μm、ビアホールピッチは各ビアホール径の3倍、ホール数は各100ずつのクロムマスクを用いて、感光性シート面に対してクロムマスクを密着させ、10mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて100秒間パターン露光した。さらにこのシートを25℃に保持した0.1%炭酸ナトリウム現像液を用いてスプレー圧力1.5kg/cmで30秒間現像した後、38KHzの超音波を15秒間照射した。ビアホールの開孔率はビア径30μm(表2における評価1)で60%、ビア径20μm(表2における評価2)で12%と現像ムラが生じ、感光性シートが支持体のガラス基板から剥がれるなどのダメージがあった。
Figure 2006285227

Claims (3)

  1. 無機粒子と感光性有機成分を含む感光性組成物に活性光線をパターン状に照射する工程、照射後、現像時に現像液中で周波数変調型超音波処理を行う工程の少なくとも2つの工程を有することを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 周波数変調型超音波処理における超音波は、20〜50KHzの間から選択される波長範囲で変調されることを特徴とする請求項1記載の成形体の製造方法。
  3. 現像液が、金属アルカリ、アミン化合物の少なくとも1種を含むアルカリ水溶液であることを特徴とする請求項1記載の成形体の製造方法。
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