JP2006284486A - 超音波探触子、及び超音波探触子用軟質遅延材 - Google Patents
超音波探触子、及び超音波探触子用軟質遅延材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】たとえ被検体の表面に粗さや凹凸や曲率があったとしても、探傷作業能率を低下することなく、高い精度で被検体に対する超音波探傷を実施する。
【解決手段】被検体15に対向する開口5,13を有する筐体3,12内に、被検体に対して超音波を送受信する振動子7と、一方面が開口を介して被検体に対向し他方面に振動子が取付けられ、送受信される超音波を伝搬する遅延材23,25とを収納した超音波探触子21,22において、遅延材の被検体に対向する面に、被検体に対向する面が開口より被検体側に露出する厚みを有し、遅延材より柔らかい材質で形成された軟質遅延材24,26を接着する。
【選択図】 図1
【解決手段】被検体15に対向する開口5,13を有する筐体3,12内に、被検体に対して超音波を送受信する振動子7と、一方面が開口を介して被検体に対向し他方面に振動子が取付けられ、送受信される超音波を伝搬する遅延材23,25とを収納した超音波探触子21,22において、遅延材の被検体に対向する面に、被検体に対向する面が開口より被検体側に露出する厚みを有し、遅延材より柔らかい材質で形成された軟質遅延材24,26を接着する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被検体の表面又は内部に存在するきずを超音波を用いて検出するための超音波探触子、及びこの超音波探触子に用いる超音波探触子用軟質遅延材に関する。
一般的に、鉄等の被検体の表面又は内部に存在するきずを超音波を用いて検出する超音波探傷に用いる超音波探触子は、大きく分けて、図9(a)(b)に示す斜角探触子1と、図10(a)(b)に示す垂直探触子2とがある。
図9(a)(b)に示す斜角探触子1においては、金属材料で箱型に形成された筐体3の上面に設けられた傾斜部に信号端子4が取付けられている。筐体3内には、例えばアクリル樹脂のくさび遅延材6が収納されている。このくさび遅延材6の下面6aは、筐体3の下端開口5を介して、図示しない被検体の表面に対向している。くさび遅延材6の傾斜面6bには、例えば水晶、チタン酸バリウム系磁器、セラミック等の圧電材料で形成された振動子7が貼付けられている。振動子7の一方面はリード線8を介して信号端子4の陽極10へ接続され、振動子7の他方面はリード線9を介して信号端子4の接地極11へ接続されている。
このような構成の斜角探触子1において、超音波探傷器から、例えば繰返し周波数500Hzのパルス信号を信号端子4を介して振動子7に印加すると、振動子7から、振動子7の厚みで定まる例えば振動周波数5MHzを有した繰返し周波数500Hzの超音波パルスが、くさび遅延材6へ入射され、くさび遅延材6の下面6aから指定された屈折角θで被検体内へ入射する。被検体内を伝搬しているに超音波パルスがきず(欠陥)に当接すると、超音波パルスはこのきずで反射され、きずエコーとして、元来た経路を逆進して、くさび遅延材6を介して振動子7へ入力される。振動子7はこのきずエコーを電気信号のきずエコー信号に変換して、超音波探傷器へ送信する。超音波探傷器はきずエコー信号とパルス信号とに基づいてきずの位置と規模とを算出する。
一方、図10(a)(b)に示す垂直探触子2においては、筐体12の上面に信号端子4が取付けられている。筐体内12には、例えばアクリル樹脂の平板遅延材14が収納されている。この平板遅延材14の下面14aは、筐体12の下端開口13を介して、図示しない被検体の表面に対向している。平板遅延材14の上面14bには振動子7が貼付けられている。振動子7の一方面はリード線8を介して信号端子4の陽極10へ接続され、振動子7の他方面はリード線9を介して信号端子4の接地極11へ接続されている。
このような構成の垂直探触子2において、超音波探傷器から前述したパルス信号を信号端子4を介して振動子7に印加すると、振動子7から、印加されたパルス信号に対応した超音波パルスが、平板遅延材14へ入射され、平板遅延材14の下面14aから垂直(屈折角θ=0)に被検体内へ入射する。
しかしながら、上述した斜角探触子1及び垂直探触子2においてもまだ解消すべき次のような課題があった。
すなわち、垂直探触子1及び垂直探触子2において、振動子7と被検体との間には、振動子7と鉄等の被検体と間で超音波が効率的に伝搬するように、両者の間に、音響インピーダンスのマッチングを図る目的で、くさび遅延材6、平板遅延材14が介挿されている。なお、くさび遅延材6は超音波を指定された屈折角θで被検体に入射させる機能が付加される。したがって、各遅延材6、14は各振動子7から入射した超音波を抑制したり、遅延させるダンパ機能を有する。
このような音響インピーダンスマッチング機能を保持する必要上、各遅延材6、14は、例えばセラミック等の硬質の振動子7と同様に硬質の材料である例えばアクリル樹脂で形成されている。したがって、垂直探触子1及び垂直探触子2における、被検体に接触する下面6a、14aの表面も硬質の材料面が露出している。
その結果、図11(a)に示すように、被検体15の表面15aが粗い場合は、表面15aと遅延材6、14の下面6a、14aとの間に隙間が生じて、超音波が効率的に伝搬できない事態となる。
従来、このような問題を解消するために、被検体15の表面(探傷面)15aと遅延材6、14の下面6a、14aとの間に液体の接触媒質を挟み良好な音響結合を得るようにしていた。
しかしながら、通常の液体の接触媒質で対応できる被検体15の表面(探傷面)15aの凹凸、粗さには限界があるので、限界を超える凹凸、粗さが存在すると、密着性に欠け、感度低下は避けられなかった。この対処技術としては作業性を犠牲にして音響インピーダンスの高い液体の接触媒質を使用することしか方法がなかった。
また、図11(b)に示すように、管、丸棒等の表面(探傷面)15aが曲率を有する被検体15の場合、斜角探触子1及び垂直探触子2における平坦な下面6a、14aと被検体15の表面(探傷面)15aとの接触が線接触状態になり、超音波の伝達面が極めて小さくなり超音波の伝達効率が下がって、感度低下を起こす。
これを防止するためには、斜角探触子1のクサビ遅延材6の下面6a又は垂直探触子2の平板遅延材14の下面14aを被検体15の表面(探傷面)15aの曲率に合ように加工し、接触面積を広くする必要がある。しかし、このように、クサビ遅延材6、平板遅延材14の下面6a、14aを被検体15の表面(探傷面)15aの曲率に合ように加工すると、この斜角探触子1、垂直探触子2を他の被検体15に適用できない問題が生じて現実的でない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、たとえ被検体の表面の粗さや凹凸が大きかったとしても、さらに、たとえ被検体の表面が曲率を有していたとしても、液体の接触媒質を使用することなく、探傷作業能率を低下することなく、高い精度で被検体に対する超音波探傷を実施できる超音波探触子、及び超音波探触子用軟質遅延材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、被検体に対向する開口を有する筐体内に、被検体に対して超音波を送受信する振動子と、一方面が開口を介して被検体に対向し他方面に振動子が取付けられ、送受信される超音波を伝搬する遅延材とを収納した超音波探触子において、遅延材の被検体に対向する面に、被検体に対向する面が開口より被検体側に露出する厚みを有し、遅延材より柔らかい材質で形成された軟質遅延材を接着している。
このように構成された超音波探触子においては、遅延材の被検体に対向する面に、この遅延材より柔らかい材質で形成された軟質遅延材が接着されている。したがって、たとえ被検体の表面の粗さや凹凸が大きかったとしても、また、被検体の表面が曲率を有していたとしても、超音波探触子を被検体の表面に押し当てることによって、被検体の表面の粗さ、凹凸、曲率を軟質遅延材が変形することによって、この表面の粗さ、凹凸、曲率を吸収している。
その結果、たとえ、液体の接触媒質を使用しなかったとしても、被検体の表面と軟質遅延材との間に隙間が生じることなく、超音波が効率的に伝搬され、探傷作業能率を低下することなく、高い精度で被検体に対する超音波探傷を実施できる。
また、別の発明は、上述した発明の超音波探触子における軟質遅延材の被検体に対向する面に軟質遅延材より高い耐摩耗性を有した高分子保護膜を貼付けている。
被検体における広範囲に亘って探傷を実施する場合は、超音波探触子を被検体の表面に押し当てた状態で、超音波探触子の位置を移動させる。この場合、軟質遅延材の下面と被検体の粗い表面との間で摺動が生じ、軟質遅延材が摩耗する。さらに、超音波探触子の位置移動が円滑に実行されない。そこで、軟質遅延材の被検体に対向する面に軟質遅延材より高い耐摩耗性を有した高分子保護膜を貼付けることによって、軟質遅延材が摩耗することを未然に防止でき、かつ探傷作業能率を向上できる。
また、別の発明は、上述した発明の超音波探触子において、筐体の被検体方向への付勢に応じて前記軟質遅延材が圧縮された状態において、遅延材と被検体との距離を固定するためのストッパー部を、筐体の開口の周縁に形成している。
また、別の発明は、上述した発明の超音波探触子において、筐体の被検体方向への付勢に応じて軟質遅延材が圧縮された状態において、遅延材と被検体との距離を固定するための環状のストッパー治具を、筐体の開口の外周縁に取付けている。
超音波探触子を用いて被検体内に存在するきずの位置(深さd、表面位置(X、Y))を正確に求めるには、超音波探触子内における超音波の伝搬経路を正確に決定する必要がある。そのために、探傷期間中において、遅延材と被検体との距離を一定値(固定値)に維持する必要がある。よって、軟質遅延材が圧縮された状態において、遅延材と被検体との距離を固定するためのストッパー部又は環状のストッパー治具の存在により、被検体内に存在するきずの位置(深さd、表面位置(X、Y))を正確に求めることが可能となる。
また、別の発明は、上述した発明の超音波探触子に用いられる超音波探触子用軟質遅延材である。すなわち、本発明の超音波探触子用軟質遅延材は、被検体に対して超音波を送受信する振動子と、被検体と振動子との間に介挿され超音波を伝搬する遅延材とを筐体内に収納した超音波探触子に用いられ、遅延材の被検体に対向する面に接着され、遅延材より柔らかい材質で形成されている。
このような超音波探触子用軟質遅延材を超音波探触子に用いることによって、探傷作業能率を低下することなく、高い精度で被検体に対する超音波探傷を実施できる。
本発明においては、他方面に振動子が取付けられた遅延材の被検体に対向する面に、この遅延材より柔らかい材質で形成された軟質遅延材を接着している。
したがって、超音波探触子を被検体の表面に押し当てることによって、被検体の表面の粗さ、凹凸、曲率を軟質遅延材で吸収でき、被検体の表面と軟質遅延材との間に隙間が生じることなく、超音波が効率的に伝搬され、探傷作業能率を低下することなく、高い精度で被検体に対する超音波探傷を実施できる。
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1(a)、図1(b)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21及び垂直探触子22の概略構成を示す断面図である。図9(b)、図10(b)に示す従来の斜角探触子1及び垂直探触子2と同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。なお、外観図は図9(a)、図10(a)に示す従来の外観図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
図1(a)、図1(b)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21及び垂直探触子22の概略構成を示す断面図である。図9(b)、図10(b)に示す従来の斜角探触子1及び垂直探触子2と同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。なお、外観図は図9(a)、図10(a)に示す従来の外観図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
図1(a)の第1実施形態の斜角探触子21において、筐体3の上面に設けられた傾斜部に信号端子4が取付けられている。筐体3内には、硬質材料で形成されたくさび遅延材23が収納されている。このくさび遅延材23の下面23aの上下位置は筐体3の下端開口5に一致している。くさび遅延材23の傾斜面23bには、例えば水晶、チタン酸バリウム系磁器、セラミック等の圧電材料で形成された振動子7が貼付けられている。振動子7の一方面はリード線8を介して信号端子4の陽極10へ接続され、振動子7の他方面はリード線9を介して信号端子4の接地極11へ接続されている。
ここで、振動子7が貼付けられているくさび遅延材23は、例えば、超音波の透過性に優れた、アクリル樹脂、ポリシチレン、ポリイミド、ポリイアミド、ポリエーテルイミド等の、振動子7と音響インピーダンスがほほ整合している硬質材料で形成されている。
そして、この第1実施形態においては、くさび遅延材23の下面23aに、厚さDの軟質遅延材24が接着剤で接着されている。この軟質遅延材24の下面24aが図2に示す被検体15の表面15aに対向する。
この軟質遅延材24は、上述したくさび遅延材23の材質より柔らかく、かつくさび遅延材23の材質との接着性に優れ、さらに超音波の透過性に優れた、針入度5以上の軟質度を有した、ゲル剤、軟質シリコンゴム、軟質ゴム等の軟質高分子材料で形成されている。
このように構成された第1実施形態の斜角探触子21において、超音波探傷器から、例えば繰返し周波数500Hzのパルス信号を信号端子4を介して振動子7に印加すると、振動子7から、振動子7の厚みで定まる例えば振動周波数5MHzを有した繰返し周波数500Hzの超音波パルスが、くさび遅延材23へ入射され、くさび遅延材23の下面23aから軟質遅延剤24へ入射し、さらに軟質遅延剤24の下面24aから被検体15の表面15aを介して被検体15内へ入射する。
被検体15内を伝搬しているに超音波パルスがきず(欠陥)に衝突すると、超音波パルスはこのきずで反射され、きずエコーとして、元来た経路を逆進して、くさび遅延材23を介して振動子7へ入力される。振動子7はこのきずエコーを電気信号のきずエコー信号に変換して、超音波探傷器へ送信する。超音波探傷器はきずエコー信号とパルス信号とに基づいてきずの位置と規模とを算出する。
また、図1(b)の第1実施形態の垂直探触子22において、筐体12の上面に信号端子4が取付けられている。筐体内12には、斜角探触子21のくさび遅延材23と同一材料で形成された平板遅延材25が収納されている。この平板遅延材25の下面25aの上下位置は筐体12の下端開口13に一致している。平板遅延材25の上面25bには振動子7が貼付けられている。振動子7の一方面はリード線8を介して信号端子4の陽極10へ接続され、振動子7の他方面はリード線9を介して信号端子4の接地極11へ接続されている。そして、この平板遅延材25の下面25aに、斜角探触子21の軟質遅延材24と同一材料で形成された厚さDの軟質遅延材26が接着剤で接着されている。この軟質遅延材26の下面26aが図2に示す被検体15の表面15aに対向する。
このような構成の垂直探触子22において、超音波探傷器から前述したパルス信号を信号端子4を介して振動子7に印加すると、振動子7から、印加されたパルス信号に対応した超音波パルスが、平板遅延材25へ垂直に入射され、平板遅延材25の下面25a、軟質遅延材26、軟質遅延材26の下面26aから垂直(屈折角θ=0)に被検体15内へ入射する。
このように構成された第1実施形態の斜角探触子21及び垂直探触子22においては、くさび遅延材23の下面23a、平板遅延材25の下面25aに、この遅延材23、25より柔らかい材質で形成された軟質遅延材24、26が接着されている。
したがって、図2に示すように、たとえ被検体15の表面15aの粗さや凹凸が大きかったとしても、また、図3に示すように、被検体15の表面15aが曲率を有していたとしても、その表面15aの変動の大きさが軟質遅延材24、26の厚さD以内の場合は、斜角探触子21、垂直探触子22を被検体15の表面15aに押し当てることによって、被検体15の表面15aの粗さ、凹凸、曲率を軟質遅延材24、26が変形することによって、この表面15aの粗さ、凹凸、曲率を吸収している。
その結果、たとえ、液体の接触媒質を使用しなかったとしても、被検体15の表面15aと軟質遅延材24、26との間に隙間が生じることなく、超音波が効率的に伝搬され、探傷作業能率を低下することなく、高い精度で被検体15に対する超音波探傷を実施できる。
特に、軟質遅延材24、26として、くさび遅延材23、平板遅延材25のアクリル樹脂、ポリシチレン、ポリイミド、ポリイアミド、ポリエーテルイミド等の硬質材料に対して、接着性に優れ、さらに超音波の透過性に優れた、針入度5以上の軟質度を有した、ゲル剤、軟質シリコンゴム、軟質ゴム等の軟質高分子材料を採用しているので、くさび遅延材23、平板遅延材25から被検体15に至る超音波の伝搬をより効率的に実施できる。
(第2実施形態)
図4(a)、図4(b)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21a及び垂直探触子22aの概略構成を示す断面図である。図1(a)、図1(b)に示す第1実施形態の斜角探触子21及び垂直探触子22と同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。なお、外観図は図9(a)、図10(a)に示す従来の外観図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
図4(a)、図4(b)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21a及び垂直探触子22aの概略構成を示す断面図である。図1(a)、図1(b)に示す第1実施形態の斜角探触子21及び垂直探触子22と同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。なお、外観図は図9(a)、図10(a)に示す従来の外観図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
この第2実施形態の斜角探触子21aにおいては、図4(a)に示すように、軟質遅延材24の下面24aに、この軟質遅延材24より高い耐摩耗性を有した高分子保護膜27を貼付けている。具体的には、この高い耐摩耗性を有した高分子保護膜27として、テトロン系フイルム、ポリイミド系フイルムを採用している。
また、この第2実施形態の垂直探触子22aにおいては、図4(b)に示すように、軟質遅延材26の下面26aに、この軟質遅延材26より高い耐摩耗性を有した高分子保護膜28を貼付けている。具体的には、この高分子保護膜28として、テトロン系フイルム、ポリイミド系フイルムを採用している。
次に、このように構成された第2実施形態の斜角探触子21a及び垂直探触子22aの特徴を説明する。
被検体15における広範囲に亘って探傷を実施する場合は、斜角探触子21a又は垂直探触子22aを被検体15の表面15aに押し当てた状態で、この斜角探触子21a又は垂直探触子22aの位置を移動させる必要がある。
この場合、軟質遅延材24、26の下面24a、26aと被検体15の粗い表面15aとの間で摺動摩擦が生じ、柔らかい材料で形成された軟質遅延材24、26が摩耗する。さらに、斜角探触子21a又は垂直探触子22aの被検体15の表面15a上の位置移動が円滑に実行されない。
そこで、斜角探触子21a及び垂直探触子22aの被検体15に対向する面に軟質遅延材24、26より高い耐摩耗性を有した高分子保護膜27、28を貼付けることによって、軟質遅延材24、26が摩耗することを未然に防止でき、かつ探傷作業能率を向上できる。
(第3実施形態)
図5(a)、図5(b)はそれぞれ本発明の第3実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21b及び垂直探触子22bの概略構成を示す断面図であり、図5(c)、図5(d)はそれぞれ斜角探触子21b及び垂直探触子22bの外観図である。図4(a)、図4(b)に示す第2実施形態の斜角探触子21a及び垂直探触子22aと同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。
図5(a)、図5(b)はそれぞれ本発明の第3実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21b及び垂直探触子22bの概略構成を示す断面図であり、図5(c)、図5(d)はそれぞれ斜角探触子21b及び垂直探触子22bの外観図である。図4(a)、図4(b)に示す第2実施形態の斜角探触子21a及び垂直探触子22aと同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。
この第3実施形態の斜角探触子21bにおいては、くさび遅延材23の下面23aの上下方向位置は、筐体3の下端開口5から距離Hだけ上方位置である。くさび遅延材23の下面23aには、厚さD(D>H)の軟質遅延材24が接着され、この軟質遅延材24の下面24aには、高分子保護膜27が貼付けられている。
高分子保護膜27の膜厚を無視すれば、軟質遅延材24は筐体3の下端開口5から距離(D―H)だけ下方、すなわち被検体15側へ突出している。したがって、この斜角探触子21bを被検体15の表面15aに押付けると、図8に示すように、軟質遅延材24は、下端開口5であるストッパー部29が被検体15の表面15aに当接するまで圧縮される。すなわち、筐体3の下端開口5の周縁に形成されたストッパー部29は、斜角探触子21bを被検体15方向への付勢に応じて軟質遅延材24が圧縮された状態において、くさび遅延材23の下面23aと被検体15の表面15aとの距離をHに固定する機能を有する。
また、この第3実施形態の垂直探触子22bにおいても、平板遅延材25の下面25aの上下方向位置は、筐体12の下端開口13から距離Hだけ上方位置である。平板遅延材25の下面25aには、厚さD(D>H)の軟質遅延材26が接着され、この軟質遅延材26の下面26aには、高分子保護膜28が貼付けられている。
したがって、斜角探触子21bと同様に、筐体12の下端開口13の周縁に形成されたストッパー部30は、垂直探触子22bを被検体15方向への付勢に応じて軟質遅延材26が圧縮された状態において、平板遅延材25の下面25aと被検体15の表面15aとの距離をHに固定する機能を有する。
(第4実施形態)
図6(a)、図6(b)はそれぞれ本発明の第4実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21c及び垂直探触子22cの概略構成を示す断面図であり、図6(c)、図5(d)はそれぞれ斜角探触子21c及び垂直探触子22cの外観図である。図5(a)〜図5(d)に示す第3実施形態の斜角探触子21b及び垂直探触子22bと同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。
図6(a)、図6(b)はそれぞれ本発明の第4実施形態に係わる超音波探触子としての斜角探触子21c及び垂直探触子22cの概略構成を示す断面図であり、図6(c)、図5(d)はそれぞれ斜角探触子21c及び垂直探触子22cの外観図である。図5(a)〜図5(d)に示す第3実施形態の斜角探触子21b及び垂直探触子22bと同一部分には、同一符号を付して重複する詳細説明を省略する。
この第4実施形態の斜角探触子21cにおいては、くさび遅延材23の下面23aの上下方向位置は、筐体3の下端開口5の上下位置である。くさび遅延材23の下面23aには、厚さDの軟質遅延材24が接着され、この軟質遅延材24の下面24aには、高分子保護膜27が貼付けられている。筐体3の側面の下端開口5近傍には、環状の凸部31が形成されており、筐体3の側面の下端開口5近傍に図6(e)に示す環状のストッパー治具32が挿入されている。環状のストッパー治具32の上端は環状の凸部31の下端に当接している。そして、この環状のストッパー治具32を装着した状態で、環状のストッパー治具32の下端は筐体3の側面の下端開口5から距離Hだけ下方位置である。
高分子保護膜27の膜厚を無視すれば、軟質遅延材24は環状のストッパー治具32の下端から距離(D―H)だけ下方、すなわち被検体15側へ突出している。したがって、この斜角探触子21cを被検体15の表面15aに押付けると、軟質遅延材24は、環状のストッパー治具32が被検体15の表面15aに当接するまで圧縮される。すなわち、筐体3の下端開口5の周縁に装着されたストッパー治具32は、斜角探触子21cを被検体15方向への付勢に応じて軟質遅延材24が圧縮された状態において、くさび遅延材23の下面23aと被検体15の表面15aとの距離をHに固定する機能を有する。
また、第4実施形態の垂直探触子22cにおいては、平板遅延材25の下面25aの上下方向位置は、筐体12の下端開口13の上下位置である。平板遅延材25の下面25aには、厚さDの軟質遅延材26が接着され、この軟質遅延材26の下面26aには、高分子保護膜28が貼付けられている。筐体12の側面の下端開口13近傍には、環状の凸部33が形成されており、筐体12の側面の下端開口13近傍に環状のストッパー治具34が挿入されている。環状のストッパー治具34の上端は環状の凸部33の下端に当接している。そして、この環状のストッパー治具34を装着した状態で、環状のストッパー治具34の下端は筐体12の側面の下端開口13から距離Hだけ下方位置である。
高分子保護膜28の膜厚を無視すれば、軟質遅延材26は環状のストッパー治具34の下端から距離(D―H)だけ下方、すなわち被検体15側へ突出している。
次に、このように構成された第3、第4実施形態の斜角探触子21b、21c及び垂直探触子22b、22cの特徴を説明する。
斜角探触子21b、21c及び垂直探触子22b、22cにおいては、柔らかい軟質遅延材24、26が、ストッパー部29、30、ストッパー治具32、34の下端より距離(D―H)だけ被検体15側へ突出している。
したがって、探傷実施者は、この斜角探触子21b、21c又は垂直探触子22b、22cを手で持って、被検体15の表面15aに押付け、探触子を被検体15の表面15a上を移動させながら、手の力の入れ具わいで探触子から被検体15へ入射された超音波のビームの角度を振らせることができ、僅かな角度スキャンが可能で、きずの発見が容易になる。そして、きずが発見されると、この位置で探触子のストッパー部又はストッパー治具が被検体15の表面15aに当接するまで、探触子を被検体15に押当てる。
この状態においては、例えば図5(a)に示すストッパー部29を採用した斜角探触子21bにおいては、図8に示すように、くさび遅延材23の下面23aと被検体15の表面15aとの距離がHに固定される。したがって、振動子7から出力された超音波35の斜角探触子21b内における経路Bが一義的に定まるので、斜角探触子21bにおける超音波35の被検体15に対する入射位置Xsが定まる。
超音波35が被検体15内のきず36に当接するまでのビーム路程Wは、きずエコーの受信時刻から求まるので、超音波35が被検体15に入射した時の屈折角θ1を用いて、きず36の深さdと表面位置Xとを正確に求めることが可能である。
表面位置X=W・sinθ1
深さd=W・cosθ1
このように、ストッパー部29、30、ストッパー治具32、34を設けることによって、被検体15内に存在するきず36の位置(表面位置X、深さd)を正確に求めることができる。
深さd=W・cosθ1
このように、ストッパー部29、30、ストッパー治具32、34を設けることによって、被検体15内に存在するきず36の位置(表面位置X、深さd)を正確に求めることができる。
また、図7に示すように、被検体15の表面15aが曲率を有した場合であっても、探触子のストッパー部29、30又はストッパー治具32、34が被検体15の表面15aに当接するまで、探触子を被検体15に押当てると、被検体15の表面15aの2箇所以上で、ストッパー部29、30又はストッパー治具32、34に当接するので、安定した状態で被検体15に対する探傷を実施できる。
この場合、被検体15の表面15aの曲率が多少変化しても一定以上の探傷精度を維持できるので、被検体15の表面15aの曲率に対応した複数種類の超音波探触子を準備する必要ない。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態においては、斜角探触子と垂直探触子の超音波探触子を説明したが、二振動子垂直及び斜角探触子、点集束垂直・斜角探触子、アレイ探触子、マトリクス探触子等の各超音波探触子にも本発明を適用できる。
1,21,21a、21b,21c…斜角探触子、2,22,22a、22b,22c…垂直探触子、3,12…筐体、4…信号端子、5,13…下端開口、6,23…くさび遅延材、7…振動子、14,25…平板遅延剤、15…被検体、24,26…軟質遅延材、27,28…高分子保護膜、29,30…ストッパー部、31,33…凸部、32,34…ストッパー治具、35…超音波、36…きず
Claims (5)
- 被検体に対向する開口を有する筐体内に、前記被検体に対して超音波を送受信する振動子と、一方面が前記開口を介して前記被検体に対向し他方面に前記振動子が取付けられ、前記送受信される超音波を伝搬する遅延材とを収納した超音波探触子において、
前記遅延材の前記被検体に対向する面に、被検体に対向する面が前記開口より前記被検体側に露出する厚みを有し、前記遅延材より柔らかい材質で形成された軟質遅延材を接着したことを特徴とする超音波探触子。 - 前記軟質遅延材の前記被検体に対向する面に前記軟質遅延材より高い耐摩耗性を有した高分子保護膜を貼付けたことを特徴とする請求項1記載の超音波探触子。
- 前記筐体の前記被検体方向への付勢に応じて前記軟質遅延材が圧縮された状態において、前記遅延材と前記被検体との距離を固定するためのストッパー部を、前記筐体の開口の周縁に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の超音波探触子。
- 前記筐体の前記被検体方向への付勢に応じて前記軟質遅延材が圧縮された状態において、前記遅延材と前記被検体との距離を固定するための環状のストッパー治具を、前記筐体の開口の外周縁に取付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の超音波探触子。
- 被検体に対して超音波を送受信する振動子と、前記被検体と前記振動子との間に介挿され前記超音波を伝搬する遅延材とを筐体内に収納した超音波探触子に用いられ、前記遅延材の前記被検体に対向する面に接着され、前記遅延材より柔らかい材質で形成された超音波探触子用軟質遅延材。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015061310A (ja) * | 2013-09-20 | 2015-03-30 | 株式会社東芝 | 音響センサ及び音響センサシステム |
CN110361455A (zh) * | 2019-06-18 | 2019-10-22 | 航天科工防御技术研究试验中心 | 一种软膜超声波探头及其制备方法 |
-
2005
- 2005-04-04 JP JP2005107550A patent/JP2006284486A/ja active Pending
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CN110361455A (zh) * | 2019-06-18 | 2019-10-22 | 航天科工防御技术研究试验中心 | 一种软膜超声波探头及其制备方法 |
CN110361455B (zh) * | 2019-06-18 | 2022-03-08 | 航天科工防御技术研究试验中心 | 一种软膜超声波探头及其制备方法 |
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