JP2006280385A - カテキン含有飲食物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを合計で500mg/L以上含有するカテキン溶液を作製し、これを80℃以上で加熱処理した後、濃縮及び乾燥することを特徴とするカテキン含有飲食物の製造方法を提案する。
【選択図】なし
Description
(A)+(B)=460〜1300mg、(ロ)(A)=160〜1040mg、(ハ)(A)/(B)=0.54〜4.0、(ニ)(C)=750〜5000mgであって、飲料のヘイズ値が22以下である容器詰飲料を開示している。
(1) (−)GCg及び(−)Cgの合計含有量が、エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量の40重量%以上である。
(2) (−)ECgの含有量が、エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量の20重量%以下である。
(3) (−)GCgの含有量が、(−)ECgの含有量以上である。
また、エステル型カテキンの中でも非エピ体である(−)GCg及び(−)Cgは、エピ体に比べて血清コレステロール低下効果等に関する優れた薬理活性を備えていることが分った。そこで、非エピ体、中でも特に(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量が、エステル型カテキン類の合計含有量の少なくとも40重量%を占めるように構成することとした。
更に、ECgの血清コレステロール低下効果等に関する薬理活性は、エステル型カテキンの中で最も小さいため、(−)ECgの含有量をエステル型カテキン類の合計含有量の20重量%以下とすることとした。
その一方、(−)GCgの血清コレステロール低下効果等に関する薬理活性はエステル型カテキンの中で最も優れているため、(−)ECgの薬理活性の低さを(−)GCgの効果で補償すべく、(−)GCgの含有量を(−)ECgの含有量以上とすることとした。
茶飲料などでは、製造後の保管時においてフロック状(綿状)の懸濁・沈殿物(「二次オリ」と言われる。)が発生する問題が長年に渡る課題であったが、本発明者はストリクチニンがその原因物質であることを究明した。すなわち、茶抽出液中の「ストリクチニン」が加熱処理されて「エラグ酸」に分解され、この「エラグ酸」が「タンパク質」等(カテキンも含まれる可能性がある。)と結合して二次オリを形成することを確認し、更に、飲料中のストリクチニン濃度が6ppm以下であれば二次オリが発生しないことを確認している。
また、上記の如く作製したカテキン溶液を80℃以上で加熱処理後、濃縮及び乾燥して得られた濃縮乾燥物を飲食品又は飲食品材料に配合するようにしてもよい。
さらにまた、エステル型カテキン類(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを合計で500〜6000mg/L含有するカテキン溶液を作製し、これを80℃以上で加熱処理するように製造してもよい。
したがって、上記のいずれの製造方法も、エステル型カテキン類を所定値以上含有するカテキン溶液を作製し、これを加熱処理することによって(−)EGCg及び(−)ECgの熱異性化を促すことにより(−)GCg及び(−)Cgの含有量を高めることができる。
「飲食品」とは、製品としての飲料又は食品を意味し、「飲食品材料」とは該飲食品の構成材料を意味する。
「エステル型カテキン類」とは、(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgのガレート基を有する4種類のカテキンを包含し、ガレート基を有しない遊離型カテキン類と区別することができる。
「エピ体」とは、(−)EC、(−)EGC、(−)ECg及び(−)EGCgを意味し、「非エピ体」とは(−)C、(−)GC、(−)Cg及び(−)GCgを意味する。
「全カテキン」とは(−)EC、(−)EGC、(−)ECg及び(−)EGCg、(−)C、(−)GC、(−)Cg及び(−)GCgの8種類を包含するカテキンの意である。
「(−)GCg、(−)Cg或いはこれらの混合物を有効成分とする」の「有効成分とする」とは、(−)GCg又は(−)Cgの血清コレステロール低下作用が阻害されなければ、その他の成分、例えば(−)EC、(−)ECg、(−)EGCgなどの成分を含んでいてもよいという意を包含する。
また、(−)GCgの重合体、(−)GCgと他のカテキンとの共重合体、(−)Cgの重合体、或いは(−)Cgと他のカテキンとの共重合体は、「(−)GCg、(−)Cg或いはこれらの混合物」の均等物であると考えることができる。
また、本発明が特定する数値範囲は、その上限値及び下限値から外れる場合であっても、当該数値範囲内と同一の作用効果を備えている限り、当該数値範囲と均等として本発明の範囲に含ませる意を包含する。
「(−)GCg、(−)Cg或いはこれらの混合物」を最終的に所望濃度となるようにその量を調整して、任意の飲食品(水を含む)或いは飲食品材料(水を含む)に配合することにより本発明のカテキン含有飲食物を製造することができる。その他の成分を配合したり、その他の処理を施すことは適宜可能である。
(−)GCg及び(−)Cgは、茶葉を含めて天然植物中にほとんど存在しないが、例えば「(−)EGCg、(−)ECg或いはこれらの混合物」を80℃以上で加熱処理して熱異性化(エピマ−化)させることにより得ることができる。
よって、「(−)GCg、(−)Cg或いはこれらの混合物」は、例えば精製した(−)EGCg或いは(−)ECg或いはこれらの混合物、又は、茶の抽出液或いは浸出液などの「(−)EGCg及び(−)ECgを含有するカテキン溶液」を、80℃以上で加熱処理してカテキンの熱異性化を促すことにより(−)GCg又は(−)Cgの含有濃度を高めることができ、この加熱処理物から(−)GCg、(−)Cg或いはこれらの混合物、或いはこれらを高濃度で含有する混合物を分離・精製することにより得ることができる。
この際、カテキン溶液をpH5〜6に調製した上で加熱処理するのが好ましい。pH4.5以下ではカテキンはほとんど熱異性化しない可能性がある(Seto et al.:Biosci.Biotech.Biochem.61(9),1434(1997))。
他方、配合する「飲食品」としては、現在公知の飲食品、例えばスポーツ飲料、果実飲料、乳飲料、茶飲料、野菜ジュース、乳性飲料、アルコール飲料、ゼリー、ゼリー飲料、炭酸飲料、チューインガム、チョコレート、キャンディ、ビスケット、スナック、パン、乳製品、魚肉練り製品、畜肉製品、冷菓、乾燥食品、サプリメントなどを挙げることができる。中でも、脂肪を多く含んだ飲食品に(−)GCg、(−)Cg、或いはこれらの混合物、或いはこの混合物を含むカテキン溶液などを加えて飲食物として調製すれば、含有脂肪量の割にコレステロールの上昇を抑制することができるから、低コレステロール飲食物或いはダイエット飲食物などとして提供することができる。
次に、茶から本発明のカテキン含有飲料を製造する方法について説明する。
よって、(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを所望量含有する(これら以外を含んでいてもよい。)「カテキン溶液」を作製し、これを所望温度で加熱処理することにより(−)GCg及び(−)Cgを所望量含有するカテキン含有飲料を製造することができる。
例えば、茶を抽出して得られる茶抽出物((−)EGCg及び(−)ECg含有)を水等に所定量添加して、(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgをそれぞれ所望量含有する(これら以外を含んでいてもよい。)「カテキン溶液」を作製し、これを所望温度で加熱処理することにより(−)GCg及び(−)Cgを所望量含有する所望組成の茶由来のカテキン含有飲料を製造することができる。
カテキン溶液のエステル型カテキン類濃度が500mg/L未満では、途中で濃縮工程が必要となるため生産コストが過大となる可能性がある。
カテキン溶液の加熱処理が80℃未満では、エステル型カテキン類のエピ体から非エピ体への変換(熱異性化)が容易に起こらず、平衡がエピ体リッチの方向にシフトするため好ましくない。
また、好ましくは、カテキン溶液をpH5〜6に調製した上で加熱処理するのが好ましい。pH4.5以下ではカテキンはほとんど熱異性化しない可能性がある旨が報告されている(Seto et al.:Biosci.Biotech.Biochem.61(9),1434(1997))。
なお、上記のようにして得られたカテキン溶液の加熱処理液をさらに濃縮・乾燥し、得られた固形物を配合して本発明のカテキン含有飲料を製造することもできる。この際の濃縮・乾燥工程は、減圧濃縮や凍結乾燥など通常の濃縮・乾燥方法により行うことができる。
本発明のカテキン飲食物の好ましい組成としては、エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを合計で、全カテキン合計含有量の70重量%以上含有し、かつ、次の(1)〜(3)の条件を満足する。
(1)(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量が、エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量の40重量%以上である。
(2)(−)ECgの含有量が、エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量の20重量%以下である。
(3)(−)GCgの含有量が、(−)ECgの含有量以上である。
更に、非エピ体の血清コレステロール低減効果はエピ体(それなりに効果がある)のそれより優れているため、非エピ体、特に(−)GCg及び(−)Cgの合計含有量が、エピ体を含めたエステル型カテキン類の合計含有量の少なくとも40重量%を占めるのが好ましい。
また、ECgの血清コレステロール低減効果は、エステル型カテキン中もっとも小さいため、(−)ECgの含有量は、エステル型カテキン類の合計含有量の20重量%以下とするのが好ましい。
さらに、ECgの血清コレステロール低減効果の低さを最も低減効果の優れているGCgで補償するため、(−)GCgの含有量を(−)ECgの含有量以上とするのが好ましい。
以上の条件を満たす本発明の血清コレステロール低下飲食物は、そのエステル型カテキンの合計量と同量のEGCgを含有する飲食物と同等若しくはそれ以上の血清コレステロール低下作用を発揮する。
「ストリクチニン(1-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucose)」は、茶から抽出されるタンニン、詳しくはエラジタンニン(ellagitannins)の一種である(「Casuariin,Stachyurin and Strictinin, new Ellagitannins from Casuarina Stricta and Stachyurus Praecox」、Chem.Pharm.Bull.30(2)766-769(1982))。
本発明者は、液中のストリクチニン濃度と二次オリとの間に密接な相関があることを見出すと共に、液中の「ストリクチニン」が加熱殺菌によって「エラグ酸」に分解され、この「エラグ酸」が「タンパク質」等と結合して二次オリを形成することを見出している。また、ストリクチニン濃度(含有量)は、原料茶葉の産地、摘採時期、摘採方法などによって異なることも見出しており、カテキン溶液の配合量とは関係なく、飲料中のストリクチニン濃度(含有量)を低下させるためには、適切な原料(茶)を選定すること方法が現在最も確実な方法であると考えられる。
なお、液中のストリクチニン量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で測定することができる。
本発明のカテキン含有飲食物におけるエステル型カテキン類の必要摂取量は、1日当たり300〜2100mg程度が好ましいと考えられる。
使用方法によっても異なるが、(−)GCg、(−)Cg或いはこれらの混合物を、乾燥重量換算で大人一日に120〜2100mg、好ましくは250〜1500mg程度摂取するのが好ましい。
エステル型カテキン類0.1重量%未満では、摂取すべき固形物の量が1日当たり2kgを超えることがあるため好ましくない。
エステル型カテキン類濃度が500mg/L未満では、摂取すべき飲料の体積が1日当たり4Lを超えることがあるため好ましくない。6000mg/Lを超えると、カテキン
が高濃度となり渋味が強すぎるため好ましくない。より好ましくは、エステル型カテキン類濃度750〜3750mg/L程度である。
カテキンのコレステロール吸収阻害能を測定し、異性化カテキンのコレステロール吸収阻害能を比較検討した。
15mM リン酸緩衝液(pH6.8)に0.5mMコレステロール、6.6mMタウロコ−ル酸Na、0.6mM卵黄レシチン、132mM Naclを添加し、超音波処理により胆汁酸混合ミセルを調製した。
この胆汁酸ミセルをアルゴンガス封入し、37℃で24時間保持してミセルを安定化させた後、脱イオン水に溶解させて上記8種類のカテキンをそれぞれ最終濃度1000μM或いは2000μMとなるようにミセルに添加し、1時間インキュベートした。この際、いくつかのカテキン添加群においてミセル溶液は白濁し、沈殿した。なお、カテキン無添加群には、脱イオン水のみを添加した。
インキュベート開始から1時間後、この溶液を220nmのフィルターでろ過し、清澄なミセル溶液を得、この溶液中のコレステロール濃度を測定した。結果を、図1及び図2に示す。
図1を見ると、エステル型カテキンである(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgの胆汁酸ミセルへの添加は、ミセル中のコレステロール濃度を添加量依存的に減少させた。その作用は、1000μM添加では、(−)EGCg、(−)GCg、(−)Cgは、(−)ECgに比較して強い低下作用を示した(P<0.05)。
前者の3種のカテキンのうちでは、(−)GCgが最も低下作用が強く、(−)EGCgに対して有意に低下(P<0.05)し、次いで(−)Cg、(−)EGCgの順であった。
他方、図2を見ると、遊離型カテキンである(−)EGC、(−)EC、(−)GC及び(−)Cgは、胆汁酸ミセル中のコレステロール濃度はほとんど低下しなかった。
以上の結果、カテキンのガレートエステルはエピ体だけでなく、異性体も胆汁酸混合ミセル中のコレステロールを沈殿させ、ミセルから脱離させていることが明らかとなった。
さらに、異性体である(−)GCg及び(−)Cgは、エピ体である(−)EGCg及び(−)ECgよりも作用が強いと考えることができる。
異性化カテキン混合物による相乗効果を検討すべく、試験1と同じ方法を用いて、(−)GCg及び(−)Cgを含むエステル型カテキン混合物(実施例1の飲料)、含まないエステル型カテキン混合物(テアフラン90S)、EGCgの三者のコレステロール吸収阻害効果を図3に示し、比較検討した。
また、(−)GCg及び(−)Cgを含まないエステル型カテキン混合物としてテアフラン90S(伊藤園製緑茶抽出物、組成は表1参照)を用い、この実施例飲料から試験1同様に胆汁酸混合ミセルを調製した。
テアフラン90S(伊藤園製カテキンエキス、組成は表1参照)を1450mg/Lの濃度となるように60℃の温水に溶解させ、35℃に冷却後ビタミンCを300mg/L添加し、次いでサイクロデキストリンを1重量%、緑茶エキスを0.2重量%、重曹を300mg/Lを加え、蒸留水で最終的に1kgに調製してカテキン溶液を得た。この際、1缶当たりポリフェノールは250mg含有していた。
このようにして得られたカテキン溶液を、95℃に加熱した後、缶に充填して123℃・10分間の加熱処理を行うか、或いは、95℃に加熱した後、133.5度・45秒の加熱処理を行ってPETボトルに充填し、各工程におけるカテキンの含有量を測定し、それぞれの含有量(mg/L)を表2に示し、カテキンの異性化率(変化率%)を表3に示した。
ロール濃度は272、244、337、262であるから、沈殿させたコレステロールは、初期値425μMとの差をとって153、181、88、163となり、1μM当たりのコレステロール沈殿能は、1.53、1.81、0.88、1.63となる。
他方、本試験飲料190mL中に含まれるカテキン組成を、(−)EGCg:(−)GCg:(−)ECg:(−)Cg=51.3mg(589.5μM):62.7mg(720.5μM):19.0mg(226.2μM):17.0mg(202.4μM)とすると、上記の1μM当たりのコレステロール沈殿能より、本試験飲料190mL中に含まれるカテキンのコレステロール低下作用に関する寄与率は、(−)EGCg:(−)GCg:(−)ECg:(−)Cg=33.0:47.7:7.3:12.0(%)と算出できる。
1)対象者
本試験は、健常な生活を営む20歳以上の男性のうち、血清総コレステロールが200mg/dL以上280mg/dL以下の境界領域及び軽度高血清コレステロール値にある被験者42名を、試験に直接参加しない医師により抽出した。
対象者は病院での加療を受けていない者であることを条件とし、入院や通院による脂質降下剤や降圧剤等の薬剤の服用者、重篤な肝機能障害、腎障害、呼吸器障害、内分泌障害、心血管障害のある者は対象から除外した。
試験開始にあたっては、42名の被験者をA群、B群、C群の3群にわけ、各群14名
とした。開始時の各群の血圧や総コレステロール値に差はなかった。
本試験には、茶カテキンを1本当たり150mg(茶ポリフェノールとして250mg:(株)伊藤園製商品名テアフラン90S)となるよう配合した飲料190gを用いた。試
験飲料中の茶カテキン組成を表4に示す。
試験飲料には茶カテキンのほか、茶カテキンを含まない緑茶抽出液、サイクロデキストリン、ビタミンCを加えた。
また、プラセボ飲料として茶カテキン以外同成分の飲料を用いた。
試験は二重盲検法により実施した。試験スケジュールを図4に示す。いずれの群も各期間の開始時及び終了時に血液検査を行った。
A群には対照飲料を1日3本摂取させ、B群には試験飲料を1日2本、C群には試験飲
料を1日3本摂取させた。各群とも食事とともに1本ずつ摂取させた。
なおB群においては、茶カテキン以外の1日当たりの総摂取量をA群、C群と合わせるため、昼食時のみ対照飲料を1本摂取させた。
全被験者に対し、血清脂質として総コレステロール(TC)、HDL−コレステロール(HDL
-C)、LDL−コレステロール(LDL-C)、中性脂肪(TG)を測定した。
TC,HDL−C及びTGについては酵素法にて測定した。LDL−CについてはFriedewa1dらの式(LDL-C=TC-HDL-C-TG/5)によって算出した。
また健康状態を確認するため、BUN、尿酸、総タンパク、ALP、GOT、GPT、LDH、γ−GTP、CPK、Na、K、Ca、Cl、Fe、UIBC、フェリチン、HbA1c、ヘモグロビン、赤血球数、白血球数、血小板数及びヘマトクリットを測定した
。さらに各採血前3日間、食事調査及び運動量調査を行った。食事については被験者に食事調査票に記入させ、「五訂日本食品標準成分表」に準拠して栄養計算を行った。運動量については全被験者に万歩計(登録商標)を配布し、1日の総歩数を記入させた。
なお、採血は早朝空腹時に行った。各採血日には医師による診察を行い、体調の変化について観察を行った。
各測定値は平均値±標準偏差で示した。有意差検定はSAS統計解析プログラムを用い、危険率を5%未満として解析を行った。
各測定値の検定は、正規性が認められた場合、多重比較検定(Dunnett法)を行った。正
規性が認められなかった場合Stea1法にて検定を行った。
(1)栄養摂取量・運動量
試験期間中の1日当たりの栄養摂取量及び運動量を表5に示す。食事調査・運動量調査は各採血日前、平日3日間の平均値として示した。全体を通して摂取エネルギーの平均値が1638〜1846kcal/dayと低かったが、医師による聞き取りの結果、すべての被験者が有職者であり、食習慣として平日朝・昼食は極めて簡単な食事で済まし、平日夜及び休日にアルコールとともに多食する傾向があったためと判断された。
各群間のエネルギー摂取量には有意な差は認められなかった。また摂取開始4週時に、C群(106.1±95.6mg/d1)においてA群(198.O±69.3mg/d1)に比してコレステロール摂取量が有意に低かったが、一般的に一時的なコレステロール摂取の多寡が即時に血清コレステロール値に反映されることはなく、実際この時点において各群の血清脂質濃度に差が認められていないことから、特に影響はないものと考えられた。その他の各被験者の栄養摂取量及び運動量に差は認められなかった。
試験期間中の血清脂質関連検査値の推移を表6に示す。C群(3本/day)では、TC値が226.9±20.2mg/dl(摂取開始時)から203.0±22.7mg/dl(8週後)と摂取開始時に比べて有意(
ρ<O.05 by
Dunnett-test)に低下した。
開始8週後のA群(対照飲料群)のTC値236.O±19.1mg/dlに対しても有意(ρ<O.01)に
低かった。同様にLDL−C値も141.6±22.3mg/dl(摂取開始時)から116.9±14.4mg/dl(8週後)と摂取開始時に比べて有意(ρ<O.01)に低下し、開始8週後のA群(対照飲料群)のL
DL−C値147.3±22.3mg/d1に対しても有意(ρ<0.01)に低かった。
B群(2本/day)においてもTC値が236.O±25.8mg/d1(摂取開始時)から219.1±21.Omg/d1(8週後)と推移し、摂取開始8週後において、A群(対照飲料群)のTC値236.O±19.1mg/d1に対して低い傾向(ρ<0.1)にあった。一方、HDL−C、TG、HbA1cの各数値にはB群、C群とも摂取開始時に比べて有意な差は認められなかった。またA群(対照飲料
群)に対しても有意な差は認められなかった。
被験者の血液成分及びミネラルの推移を表7に示す。摂取期問中、B群、C群ともに開始時と比較して、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、フェリチン及びFe、Ca、K、Cl、Naの各数値に有意な変化は認められなかった。
また各群間にも有意な差は認められなかった。
後経過観察期間後に、摂取開始時に比してC群でNaの有意(ρ<0.01)な増加(141.7±1.3mg/d1→143.4±1.3mg/d1)が、B群でCaの有意(ρ<0.05)な増加(4.7±O.2mg/d1→4.9
±O.1mg/d1)が認められたが、ともに正常範囲内であり、医師により医学的に問題ないと
判断された。
試験期間中、γ−GTP、GOT、GPTにも有意な変化は認められず、医師の診察時に有害事象と思われる所見も一切観察されなかった。
本試験では、被験者に1本当たり茶ポリフェノール250mg、うち茶カテキンとして150mg(EGCg51.3mg,GCg62.7mg,ECg19.Omg,Cg17.0mg)を含む飲料を、1日2本または3本を8週間摂取させた。したがって1日当たりの摂取量は、B群で茶ポリフェノール500mg、茶カテキンとして300mg(EGCg102.6mg,GCg125.4mg,ECg38.Omg,Cg34.Omg)、C群で茶ポリフェノール750mg、茶カテキンとして450mg(EGCg153.9mg,GCg188.1mg,ECg57.Omg,Cg51.Omg)となる。このC群の1日当たり450mgの茶カテキン摂取量は、通常の緑茶8〜9杯分の茶カテキン量に相当する。
摂取されたカテキンが食事由来コレステロール、腸管に排泄された内因性のコレメテロール及び胆汁酸ミセル中のコレステロールと不溶性沈殿を形成することによって、小腸か
らのコレステロール吸収が阻害され、糞便中に胆汁酸ならびにコレステロールが排泄される。特にエステル型カテキンは胆汁酸ミセルからのコレステロール脱離能が他のカテキン種に比べて高いことから、エステル型カテキンを主として配合している本飲料の効果は、腸管からのコレステロール吸収阻害によるものであると推察される。
また、茶カテキンは腸内乳酸菌を増殖させるなど腸内細菌叢を変化させることが知られている。食事由来の食物繊維は乳酸菌等により容易に資化され、その結果、産生されるプロピオン酸が増加する。産生されたプロピオン酸は肝臓のHMG-CoA synthase活性を阻害し、コレステロール合成を抑制することが報告されていることから、本試験の後経過観察期間後の血清コレステロール値の推移には、この機序の寄与も考えられる。すなわち茶カテキン摂取期間中は、1)腸管に排出された内因性コレステロールの再取り込み阻害、2)乳酸菌増殖に起因するコレステロール合成阻害、3)胆汁酸が腸管循環阻害を受けたことに起因するコレステロールから胆汁酸への合成の亢進によって、内因性コレステロールプールが低下するとともに胆汁中のコレステロール飽和度も低下すると考えられる。茶カテキン摂取終了後は、内因性コレステロールプールが回復して胆汁酸合成が低下した後、余剰の内因性コレステロールが血中に流出し血清コレステロール値の増加に至ると考えられる。しかしながら茶カテキン摂取開始後、血清コレステロール値の低下が顕著になるまでに4週を要していることを考慮すれば、被験者の血清コレステロール値が摂取開始前に復帰するためには若干の時間的遅延があったものと推察される。
一方、本試験においては茶カテキンによる血清ミネラル値の低下は認められなかった。加えて血清鉄やUIBC、ヘモグロビン、ヘマトクリットの各数値にも有意な変化が認められなかった。
この結果は、茶の摂取は微量金属元素の吸収に影響を与えないとするRecordらの報告と一致する。したがって今回の検討は8週間であったが、茶カテキンを配合した茶飲料の摂取は、血清ミネラルの各数値を低下させることなく、長期にわたって摂取可能であることが確認された。
官能テストは、株式会社伊藤園のパネルにおいて、茶の渋味、収斂味を予め識別できるかどうかの予備テストを行った後、男女各10名を選抜し、次の各飲料を、直前に水色による影響を避けるため赤色グラスに注いでパネルに与え、1〜5点(高い方が嗜好性に優れる)の評点法で評価させた。
飲料中のストリクチニン含有量とオリ発生の相関を観察するために本試験を行った。
1) 試験1のサンプルNo.5と同様の原料茶葉の製造方法において、調湿及び揉捻の条件を調節し、得られた原料茶葉を用いて茶飲料のストリクチニン濃度と二次オリの発生状況を確認した。
即ち、各原料茶葉サンプル20gを70℃の蒸留水(pH5.9)800mlにて3.
5分間抽出し、メッシュ(150メッシュ)にて残渣を除去した。室温まで急冷し、さらに遠心分離(7000rpm、10分)処理を行って不溶性画分を除去した後、L−アスコルビン酸を調合メスアップ量に対して300ppm加え、重曹にてpH6.0に調整し、蒸留水にて全体を2000mlにメスアップした。
2) 得られた調合液を133℃〜135℃にて30秒間UHT殺菌後、PETボトルに充填し急冷して容器詰茶飲料とした。
1)ストリクチニン含有量
4種類の原料茶葉を熱水に抽出して調製した煎茶A〜D及び前述のテアフラン90Sの水溶液のストリクチニン含有量を測定した。調製した煎茶及びテアフラン水溶液を撹拌し
て0.45μMフィルターで処理した後、下記条件(HPLC条件・表10)の下で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にてストリクチニン濃度を測定した。測定結果を下記表11に示す。
装置:日立D−7000アドバンストHPLC、D−7000型アドバンストHPLCシステムマネージャーカラム:Wakosil−II5C18HG φ4.6×(30+250)mm
カラム温度:40℃
流速:0.6ml/min
検出:UV280
移動相A:15%MetOH(0.1%リン酸)
移動相B:45%MetOH(0.1%リン酸)
37℃にて保管し、1日後、6日後、8日後、12日後及び15日後に目視確認した。結果を表11に示す。
テアフラン90S(伊藤園製緑茶抽出物、組成は表1参照)を1450mg/Lの濃度となるように60℃の温水に溶解させ、35℃に冷却後ビタミンCを300mg/L添加し、次いでサイクロデキストリンを1重量%、重曹を300mg/Lを加え、蒸留水で最終的に1kgに調製してカテキン溶液を得た。得られたカテキン溶液を、95℃に加熱した後、缶に充填して123℃・10分間の加熱処理を行い、下記組成のカテキン含有飲料を作製した。
(−) GCg 62.7mg
(−)EGCg 51.3mg
(−) ECg 19.0mg
(−) Cg 17.0mg
ビタミンC 50mg
サイクロデキストリン 500mg
水 全体を190mLに調製
Claims (3)
- エステル型カテキン類である(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを合計で500mg/L以上含有するカテキン溶液を作製し、これを80℃以上で加熱処理した後、濃縮及び乾燥することを特徴とするカテキン含有飲食物の製造方法。
- エステル型カテキン類(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを合計で500mg/L以上含有するカテキン溶液を作製し、これを80℃以上で加熱処理後、濃縮及び乾燥し、得られた濃縮乾燥物を飲食品又は飲食品材料に配合することを特徴とするカテキン含有飲食物の製造方法。
- エステル型カテキン類(−)EGCg、(−)ECg、(−)GCg及び(−)Cgを合計で500〜6000mg/L含有するカテキン溶液を作製し、これを80℃以上で加熱処理することを特徴とするカテキン含有飲料の製造方法。
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