JP2006279082A - 窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高輝度および高出力の窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】n型窒化物半導体のAlを含む窒化物半導体又はGaN層(6)と、その上に少なくとも、n型窒化物半導体のInGa1−xN(0≦x<0)の層(5)、InGa1−zN(0<z<1)の井戸層を包含する窒化物半導体の量子井戸構造を有する活性層(6)、p型窒化物半導体層のInGa1−xN(0≦x<0)の層(7)と、p型の窒化物半導体層のAlを含む窒化物半導体又はGaN層(8)と、をそれぞれ成長させる製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
窒化物半導体(Ina Alb Ga1-a-b N、0≦a、0≦b、a+b≦1)は、紫外ないし赤色に発光するLED、LD等の発光素子の材料として期待されている。事実、本出願人は、この半導体材料を用いて、1993年11月に光度1cdの青色LEDを発表し、1994年4月に光度2cdの青緑色LEDを発表し、1994年10月には光度2cdの青色LEDを発表した。これらのLEDは全て製品化されて、現在ディスプレイ、信号等の実用に供されている。
そのような青色、青緑色LEDの発光チップは、基本的には、サファイア基板の上に、n型GaNよりなるn型コンタクト層と、n型AlGaNよりなるn型クラッド層と、n型InGaNよりなる活性層と、p型AlGaNよりなるp型クラッド層と、p型GaNよりなるp型コンタクト層とが順に積層された構造を有している。サファイア基板11とn型コンタクト層との間には、GaN、AlGaNまたはAlNよりなるバッファ層が形成されている。活性層を形成するn型InGaNには、Si、Ge等のドナー不純物および/またはZn、Mg等のアクセプター不純物がドープされている。このLED素子の発光波長は、その活性層のInGaNのIn含有量を変えるか、または活性層にドープする不純物の種類を変えることにより、紫外領域から赤色まで変化させることが可能である。
しかしながら、前記LED素子は発光波長が長くなるに従って、発光出力が大きく低下するという問題がある。図4は従来のLED素子のピーク発光波長と発光出力の関係を示す図である。このLEDでは活性層のInGaNにZnとSiとをドープし、Znの準位を介して発光させることにより発光波長をInGaNのバンド間発光よりも発光エネルギーで約0.5eV小さくして発光波長を長くしている。図4に示すように、従来のLEDは、450nmでは3mW付近の出力を示すのに対し、発光ピークが長波長に移行するに従ってその出力は大きく減少し、550nmでは出力が0.1mW以下にまで低下している。例えば、450nm発光のLEDにおける活性層はIn0.05Ga0.95Nであり、500nm発光のLEDにおける活性層はIn0.18Ga0.82Nであり、550nm発光のLEDにおける活性層はIn0.25Ga0.75Nであり、さらに各活性層にはZnがドープされている。このように、不純物がドープされたInGaN活性層、より詳しくは、Inx Ga1-x N(0≦x<1)活性層は、In含有量が増えると結晶性が悪くなり発光出力は大きく低下する。このため実際に使用できるIn含有量すなわちx値はおよそ0.15以下でしか、高出力のLEDができないのが現状であるので、青色LEDしか高出力のものは実現されていない。しかも、Znをドープして発光させているので半値幅が約70nmと広く、青色の色純度に劣る。
ところで、高出力の青色LEDが実用化された現在、緑色LEDだけが色調、発光出力とも他のLEDに比べて劣っている。例えばフルカラーLEDディスプレイを赤色LED、緑色LED、青色LED各一個づつで実現する際には、緑色LEDが最も大きい光度を有していなければならない。しかし、緑色LEDの光度は未だ低く、青色LED、赤色LEDと全くバランスがとれないのが実状である。
窒化物半導体はバンドギャップエネルギーが1.95eV〜6.0eVまであるので、理論的には赤色から紫外まで広帯域に発光する材料である。窒化物半導体発光素子の長波長域の出力を向上させることができれば、従来のGaAs、AlInGaP系の材料に代わり、窒化物半導体で全ての可視領域の波長での発光が実現できる可能性がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高輝度、高出力の発光窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、Inx Ga1-x N(0≦x<1)よりなるn型窒化物半導体層の上に、インジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体を包含し、量子井戸構造を有する活性層を形成し、該活性層の上に、Aly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体層を形成することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法が提供される。
本発明において、活性層とn型窒化物半導体層とをそれらの総膜厚が300オングストローム以上となるように形成することが好ましい。
本発明において、p型窒化物半導体層上に、GaNよりなるp型コンタクト層をさらに形成することもできる。
さらに、本発明によれば、GaNよりなるn型窒化物半導体層とGaNよりなるp型コンタクト層との間にインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の活性層を形成し、該p型コンタクト層側で該活性層に接してAly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体を形成することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、Inx Ga1-x N(0≦x<1)よりなるn型窒化物半導体層上にインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体よりなる井戸層を備える量子井戸構造の活性層を形成し、該活性層上にAly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体層を形成し、該p型窒化物半導体層側にGaNよりなるp型コンタクト層を形成する工程を備え、該n型窒化物半導体は、該活性層を構成するインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体よりも大きなバンドギャップエネルギーを有することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法が提供される。本発明において、Inx Ga1-x Nよりなるn型窒化物半導体層に接してAla Ga1-a N(0≦a≦1)よりなる第2のn型窒化物半導体層をさらに形成することができる。
さらにまた、本発明によれば、Inx Ga1-x N(0≦x<1)よりなるn型窒化物半導体層とAly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体層との間にインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の活性層を形成し、該p型窒化物半導体層を該活性層と接するように形成することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法が提供される。
また、本発明において、活性層は、ノンドープのものであってもよいし、ドナー不純物および/またはアクセプター不純物がドープされていてもよい。
さらに、本発明において、活性層は、厚さ100オングストローム以下、より好ましくは厚さ70オングストローム以下の井戸層を有することが好ましい。
そして、活性層は、Inz Ga1-z N(0<z<1)よりなる井戸層を有するものであり、または活性層は、Inz Ga1-z N(0<x<1)よりなる井戸層と、Inz'Ga1-z'N(0<z’<1、ただし、z’はzと異なる)もしくはGaNよりなる障壁層との組み合わせからなる多重量子井戸構造を有し得る。
なお、単一量子井戸構造とは、井戸層が一層よりなる構造を指す。すなわち、単一量子井戸構造の活性層は、単一の井戸層だけで構成される。また、多重量子井戸構造とは、井戸層と障壁層を交互に積層した多層膜構造を指す。
〔作用〕
本発明は理論により拘束されるものではないが、量子井戸構造の活性層と、これに接するクラッド層とに熱膨張係数の差を設けることにより、活性層とクラッド層との界面に応力が作用すると考えられ、それにより活性層(井戸層)を構成する窒化物半導体(インジウムとガリウムを含む窒化物半導体)本来のバンドギャップエネルギーよりも低いエネルギーの光を発光させるようにしたものであるということができる。すなわち、本発明においては、各窒化物半導体LEDは、第1のn型クラッド層および第1のp型クラッド層と異なる熱膨張係数(例えばそれらの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数)を有する活性層を形成することによって、クラッド層と活性層の界面に応力が発生していると考えられる。しかも、活性層を単一量子井戸構造またはは多重量子井戸構造とすることによって、活性層のバンドギャップエネルギーを小さくし、活性層の発光波長をが長波長化する。また、活性層の井戸層、障壁層を臨界膜厚まで薄くしたことにより、In組成比が大きいInGaNでも結晶性よく成長できる。
なお、InNのバンドギャップエネルギー(1.96eV)をEg1 で、GaNのバンドギャップエネルギー(3.40eV)をEg2 で表わすと、窒化物半導体Inx Ga1-x Nの本来のバンドギャップエネルギーEgは、式
Eg=Eg1 ・x + Eg2 ・(1−x) − x(1−x)
により算出することができる。活性層の本来の発光波長λは、λ=1240/Egに相当する。
本発明においては、従来では達成し得なかった高発光出力、高輝度を有し、発光の半値幅が従来の半分以下という高い色純度を有する窒化物半導体発光素子が提供される。
以下、本発明の窒化物半導体発光素子について記述する。
図1は、本発明の一態様により製造される窒化物半導体発光素子の構造の一例を示す概略断面図である。
図1に示す窒化物半導体素子は、基板1上に、バッファ層2、n型コンタクト層3、第2のn型クラッド層4、第1のn型クラッド層5、活性層6、第1のp型クラッド層7、第2のp型クラッド層8、およびp型コンタクト層9が順に積層されている。
活性層6は、Inを含む窒化物半導体で形成され、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造のものである。Inを含む活性層6は、他のAlGaN、GaN等の窒化物半導体に比べて柔らかく、例えば単一量子井戸構造の井戸層の膜厚を薄くすることにより発光波長を変化させることができる。量子井戸構造の活性層6はn型、p型のいずれでもよいが、特にノンドープ(不純物無添加)とすることによりバンド間発光により発光波長の半値幅が狭くなり、色純度のよい発光が得られるため好ましい。特に活性層6の井戸層の組成をInz Ga1-z N(0<z<1)とすると、バンド間発光で波長を紫外から赤色まで発光させることができるので一層好ましい。一方、多重量子井戸構造の場合、障壁層は特にInGaNで形成せずにGaNで形成してもよい。
第1のn型クラッド層5は、活性層6よりもバンドギャップエネルギーが大きい窒化物半導体で形成されるが、特に好ましくはn型Inx Ga1-x N(0≦x<1)により形成する。InGaN、またはGaNよりなるn型の第1のクラッド層5は、Alを含む窒化物半導体に比べて、結晶が柔らかいので、この第1のクラッド層5がバッファ層のような作用をする。つまりこの第1のクラッド層5がバッファ層として作用しているために、活性層6を量子井戸構造としても活性層6にクラックが入らず、また第1のクラッド層5、7の外側に形成される第2のn型クラッド層4、第2のp型クラッド層8中にクラックが入るのを防止することができる。
第1のp型クラッド層7は、活性層6を構成する窒化物半導体よりもバンドギャップエネルギーが大きいp型窒化物半導体で形成されるが、好ましくはp型Aly Ga1-y N(0≦y≦1)で形成する。その中でも、p型AlGaN等のAlを含む窒化物半導体は、多重量子井戸構造または単一量子井戸構造よりなる活性層に接して形成することにより、発光出力を向上させる。
また、第1のn型クラッド層5、第1のp型クラッド層7のいずれかを省略することもできる。第1のn型クラッド層5を省略する場合は、第2のn型クラッド層4が第1のn型クラッド層5となり、また第1のp型クラッド層7を省略する場合は第2のp型クラッド層が第1のp型クラッド層5となる。但し、活性層には、n型GaNもしくはn型InGaNよりなる第1のn型クラッド層5が接して形成されていることが好ましい。
本発明の素子は、前記第1のn型クラッド層5に接して、n型の窒化物半導体よりなる第2のn型クラッド層4を備えることができる。第2のn型クラッド層4は、Ala Ga1-a N(0≦a≦1)で形成することが望ましい。但し、第1のn型クラッド層5がInGaNで形成されている場合は、この第2のn型クラッド層4をGaNまたはAlGaNで形成することができる。Alを含む窒化物半導体は熱膨張係数が小さく、また結晶自体が硬いので、第2のn型クラッド層4を第1のn型クラッド層5に接して形成すると、活性層にさらに発光波長を長波長側にシフトさせることが可能である。但し、活性層6に接してAlを含む第2のn型クラッド層4を形成する場合には、活性層の反対側の主面には、バッファ層としても作用する第1のp型クラッド層7をInGaN、GaN等で形成することが望ましい。
第2のn型クラッド層4は、n型Ala Ga1-a N(0≦a<1)により、50オングストロームないし1μmの膜厚で形成することが望ましい。また、Ala Ga1-a Nにおけるa値は0.6以下、さらに好ましくは0.4以下にすることが望ましい。なぜなら、前記のように第1のn型クラッド層5により、この第2のn型クラッド層4にはクラックが入りにくくなっているが、それでもAlGaNは結晶が硬く、a値が0.6より大きいとAlGaN層にクラックが発生しやすいからである。また、一般にAlの混晶比(a値)が多くなるに従って、活性層6の発光波長が長波長となる傾向にある。
また、本発明の素子では、第1のp型クラッド層7に接して、p型の窒化物半導体よりなる第2のp型クラッド層8を備えることもできる。第2のp型クラッド層8は、Alb Ga1-b N(0≦b≦1)で形成することが望ましい。但し、第1のp型クラッド層7がAlGaNで形成されている場合は、この第2のp型クラッド層8をコンタクト層としてGaNで形成することができる。活性層6に接してAlを含む第2のp型クラッド層8を形成する場合には、活性層6の反対側の主面(n層側)には、バッファ層としても作用し得るGaN、InGaN等の第1のn型クラッド層5が接して形成されていることが望ましい。
この第2のp型クラッド層8の作用も前記第2のn型クラッド層4の作用と同じであり、第2のp型クラッド層8は50オングストロームないし1μmの膜厚で形成することが望ましい。また、第2のp型クラッド層8を構成するAlb Ga1-b Nにおけるb値は0.6以下、さらに好ましくは0.4以下にすることが望ましく、一般にAlの混晶比(b値)が多くなるに従って活性層の発光波長が長波長となる傾向にある。
このようにAlを含む窒化物半導体層またはGaN層を前記第2のn型クラッド層4、前記第2のp型クラッド層8とすることにより、Inを含む活性層6、第1のn型、p型クラッド層5、7とのバンドオフセットを大きくできるので発光効率を上げることができ、また、活性層の発光波長を長波長に移行させることが可能となる。
ここで、活性層とクラッド層の好ましい組み合わせを述べる。まず、活性層6と第1のクラッド層5、7の組み合わせは、第1のn型クラッド層をInx Ga1-x N(0≦x<1)で形成し、活性層をInz Ga1-z N(0<z<1)を含む量子井戸構造とし、第1のp型クラッド層をAly Ga1-y N(0<y<1)で形成することである。但し、これらの組み合わせにおいて、バンドギャップエネルギーの関係からx<zの条件を満たしていることはいうまでもない。活性層6は、単一量子井戸構造の場合では井戸層を100オングストローム以下の厚さに形成し、多重量子井戸構造では井戸層を100オングストローム以下の厚さに、および障壁層を150オングストローム以下の厚さに形成する。いずれの量子井戸構造の活性層でも、n型またはノンドープとするとバンド間発光による半値幅の狭い発光が得られるので最も好ましい。
次に、最も好ましい組み合わせは、第2のn型クラッド層4をAla Ga1-a N(0≦a≦1)で形成し、第1のn型クラッド層5をInx Ga1-x N(0≦x<1)で形成し、活性層6をInz Ga1-z N(0<z<1)を含む量子井戸構造とし、第1のp型クラッド層7をAly Ga1-y N(0≦y<1)で形成し、第2のp型クラッド層8をAlb Ga1-b N(0≦b≦1)で形成することである。この組み合わせの場合は、第1のn型クラッド層5、第1のp型クラッド層7のいずれか一方または両方を省略してもよい。省略した場合、前記のように、第2のn型クラッド層4または第2のp型クラッド層8が、それぞれ第1のクラッド層として作用する。この組み合わせによると、第1のクラッド層5、7と活性層6だけでは、活性層6に十分な応力が得られない場合に、第1のクラッド層5、7の外側にさらにAlを含む第2のクラッド層を形成して、第2のクラッド層4、8の熱膨張係数と活性層6の熱膨張係数の差を大きくすることができると考えられる。従って、活性層6を膜厚の薄い井戸層と障壁層との多重量子井戸構造、または井戸層のみの単一量子井戸構造とすることにより、界面に作用する応力により、活性層のバンドギャップが小さくなり、発光波長が長波長側にシフトされ得る。
さらに、本発明の素子の好ましい態様おいて、インジウムを含むn型窒化物半導体またはn型GaNにより第1のn型クラッド層5を形成する場合に、前記第1のn型クラッド層と前記活性層6との総膜厚を300オングストローム以上に調整する。この総膜厚を300オングストローム以上とすることにより、GaN、InGaNがバッファ層の作用をして、活性層を好ましい量子井戸構造とすることができ、さらに第1のp型クラッド層7、第2のp型クラッド層8にクラックが入るのを防止できる。
なお、本発明において、前記Inx Ga1-x N、Iny Ga1-y N、Inz Ga1-z Nとは、その式中においてInGaNの効果を変化させない範囲でGaまたはInの一部を極微量のAlで置換したInAlGaNも前記式中に含まれるものとする。同様にAla Ga1-a N、Alb Ga1-b Nにおいても、その式中においてAlGaNの効果を変化させない範囲でGaまたはAlの一部を極微量のInで置換したInAlGaNも前記式中に含まれるものとする。
さらにまた、活性層6にドナー不純物および/またはアクセプター不純物をドープしてもよい。不純物をドープした活性層の結晶性がノンドープと同じであれば、ドナー不純物をドープすると、ノンドープのものに比べてバンド間発光強度をさらに強くすることができる。アクセプター不純物をドープするとバンド間発光のピーク波長よりも約0.5eV低エネルギー側にピーク波長をシフトさせることができるが、半値幅は広くなる。アクセプター不純物とドナー不純物との両者をドープすると、アクセプター不純物のみをドープした活性層の発光強度に比べその発光強度をさらに大きくすることができる。特に、アクセプター不純物をドープした活性層を形成する場合、活性層の導電型はSi等のドナー不純物をもドープしてn型とすることが好ましい。しかし、本発明では活性層はバンド間発光で強力に発光するのが理想であるので、活性層をノンドープのInGaNで形成することが最も好ましい。活性層に不純物をドープするとノンドープのものよりも結晶性が悪くなる傾向にある。また、ノンドープのInGaNを活性層とした発光素子は、不純物をドープした発光素子よりもVf(順方向電圧)を低くすることができる。
多重量子井戸構造の活性層は、例えばInGaN/GaN、InGaN/InGaN(組成が異なる)等の組み合わせで、それぞれの井戸層+障壁層を積層した薄膜積層構造である。活性層を多重量子井戸構造とすると、単一量子井戸構造の活性層よりも発光出力が向上する。多重量子井戸構造の活性層において、井戸層の厚さは、数オングストローム〜数十オングストロームにし、障壁層も同様に数オングストローム〜数十オングストロームの厚さとし、井戸層と障壁層とを積層して、多重量子井戸構造とする。その場合、井戸層は100オングストローム以下、さらに好ましくは70オングストローム以下の膜厚が望ましい。この井戸層の膜厚の範囲は単一量子井戸構造の活性層(単一の井戸層により構成される)についても同様である。一方、多重量子井戸構造における障壁層は、150オングストローム以下、さらに好ましくは100オングストローム以下の厚さが望ましい。また、井戸層、障壁層にドナー、アクセプター不純物をドープして多重量子井戸構造を形成してもよい。このように膜厚の薄い層を多層に積層することにより、結晶内の歪みを活性層で弾性的に吸収することができる。
また、図1に示すように、第1のn型クラッド層5または第2のn型クラッド層4に接して電極を形成する層としてn型GaNよりなるn型コンタクト層3を形成することが好ましく、前記第1のp型クラッド層7または第2のp型クラッド層8に接して電極を形成する層としてp型GaNよりなるp型コンタクト層9を形成することが好ましい。但し、このコンタクト層3、9は、第2のn型クラッド層4、第2のp型クラッド層8がGaNで形成されていれば、特に形成する必要はなく、第2のクラッド層4、8をコンタクト層とすることも可能である。GaNよりなるコンタクト層3、9を形成するのは、第1のクラッド層、第2のクラッド層のような3元以上の混晶は電極とオーミックコンタクトが得られにくいからである。特に第2のクラッド層のようにAlを含む窒化物半導体は電極とオーミックコンタクトを得るのが困難である。従って最もオーミックコンタクトの得られやすいGaNを電極とのコンタクト層に形成することによって、Vfが低く発光効率がよい発光素子を実現できる。
図2は単一量子井戸構造の活性層の厚さ、つまり井戸層の厚さと、発光素子の発光ピーク波長との関係を示す図である。なお、図2において線αは活性層がノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる発光素子を示し、線βは活性層がノンドープIn0.3 Ga0.7 Nよりなる発光素子を示している。両方とも発光素子の構造は第2のクラッド層と、第1のn型クラッド層と、活性層と、第1のp型クラッド層と、第2のp型クラッド層とを順に積層したダブルへテロ構造である。第2のn型クラッド層は0.1μmのSiドープn型Al0.3 Ga0.7 Nよりなり、第1のn型クラッド層は500オングストロームのIn0.01Ga0.99Nよりなり、第1のp型クラッド層は20オングストロームのMgドープp型In0.01Ga0.99Nよりなり、第2のp型クラッド層は0.1μmのMgドープp型Al0.3 Ga0.7 Nよりなるダブルへテロ構造である。図2では前記活性層の膜厚を変えた際に発光波長が変化することを示している。
線αで示すIn0.05Ga0.95N活性層は、本来のバンドギャップエネルギーでは380nm付近の紫外発光を示すが、膜厚を薄くすることにより420nm近くまで波長を長して青紫色の発光にできる。また線βで示すIn0.3 Ga0.7 N活性層は本来のバンドギャップエネルギーでは480nm付近の青緑色発光であるが、同じく膜厚を薄くすることにより、520nm近くの純緑色発光が得られる。このように第1のn型クラッド層と第1のp型クラッド層で挟まれた活性層の膜厚を薄くすることにより、発光波長を長波長にすることができる。つまり、通常の膜厚の厚い活性層ではその活性層のバンドギャップエネルギーに相当する発光しか示さないが、本発明の単一量子井戸構造の活性層では、井戸層の膜厚を薄くすることによって、バンドギャップエネルギーが小さくなり、元の井戸層のバンドギャップエネルギーよりも低エネルギーの光、即ち長波長を発光させることが可能となる。しかもノンドープであるので、不純物をドープしたものよりも結晶性がよいので出力が高くなり、さらにバンド間発光で半値幅の狭い色純度に優れた発光が得られる。
また、従来の膜厚が厚いInGaNで活性層を形成すると、活性層の結晶性が悪く、例えばIn組成比が0.3〜0.5では結晶性が悪くなって発光出力が非常に低かったが、薄膜にすることにより、大きなIn組成比でも結晶性良く成長できるようになるという作用もある。
従って、本発明において、井戸層の膜厚は100オングストローム以下、さらに好ましくは70オングストローム以下となるように形成することが望ましい。図2は本発明の素子による発光素子の一例を示したものであるが、発光波長が長波長側に移行する波長範囲は、熱膨張係数差により活性層に応力を与える第2のクラッド層、第1のクラッド層の組成によっても異なり、またそれらの組成によって活性層の好ましい膜厚も多少変化する。
窒化物半導体において、AlNの熱膨張係数は4.2×10-6/Kであり、GaNの膨張係数は5.59×10-6/Kであることが知られている。InNに関しては、完全な結晶が得られていないため熱膨張係数は不明であるが、仮にInNの熱膨張係数がいちばん大きいと仮定すると、熱膨張係数の順序はInN>GaN>AlNとなる。一方、窒化物半導体の成長温度を見てみると、通常MBE法では500℃、MOVPE法では時に900℃以上の高温で成長させる。例えばMOVPE法によるとInGaNで700℃以上、AlGaNであると900℃以上で成長させる。本発明は、理論により拘束されるものではないが、所定の活性層を、所定のクラッド層で挟んだ素子を高温で形成した後、室温にまで温度を下げると、熱膨張係数差により応力が活性層に作用し、このため、活性層のバンドギャップエネルギーが小さくなり、発光波長が長波長になると考えられる。
本発明の素子において好ましい態様は、インジウムを含むn型窒化物半導体、またはn型GaNを第1のn型クラッド層として備え、その第1のn型クラッド層に接して、インジウムを含む窒化物半導体よりなる活性層を備え、この活性層を単一量子井戸若しくは多重量子井戸構造とすることによって、本来の活性層のバンドギャップエネルギーよりも低エネルギーの光が発光される素子であり、この素子において、前記第1のn型クラッド層と前記活性層との総膜厚が300オングストローム以上あることがさらに好ましい。また他の態様として、インジウムを含む窒化物半導体よりなる単一量子井戸構造若しくは多重量子井戸構造の活性層を備え、その活性層に接して、アルミニウムを含むp型窒化物半導体を第1のp型クラッド層として備え、この活性層を単一量子井戸構造若しくは多重量子井戸構造とすることによって、本来の活性層のバンドギャップエネルギーよりも低エネルギーの光が発光される素子である。
従来の窒化物半導体発光素子は、上にも説明したように、InGaNを主とする活性層をAlGaNを主とする2つのクラッド層で挟んだ構造を有している。InGaN活性層をAlGaNクラッド層を挟んだ従来の構造では、活性層の厚さを薄くするに従って、InGaN活性層、AlGaNクラッド層にクラックが生じる傾向にある。例えば、活性層の厚さを200オングストローム未満にするとクラックが多数入ってしまうために素子作製が困難となる。これはAlを含むクラッド層が結晶の性質上、非常に硬い性質を有しており、薄い膜厚のInGaN活性層のみではAlGaNクラッド層との界面から生じる格子不整合と、熱膨張係数差から生じる歪をInGaN活性層で弾性的に緩和できないことを示している。このため、従来ではクラッド層、活性層中にクラックが入るために、活性層を薄くしようとしてもできなかったのが実状であった。
一方、本発明では図1に示すように、InとGaとを含む活性層6に接する層として、新たに第1のn型クラッド層5を形成している。この第1のn型クラッド層5は、活性層とAlを含む第2のn型クラッド層4の間のバッファ層として作用する。つまり第1のn型クラッド層5であるInを含む窒化物半導体またはGaNは結晶の性質として柔らかい性質を有しているので、Alを含む第2のクラッド層4と活性層6の格子定数不整と熱膨張係数差によって生じる歪を吸収する働きがある。従って活性層を薄くしても活性層6、第2のn型クラッド層4にクラックが入りにくいと推察される。第1のクラッド層5によって歪が吸収されるので、活性層は特に膜厚が200オングストローム以下になると応力が作用して弾性的に変形してバンドギャップエネルギーが小さくなり発光波長が長くなる傾向にある。しかも活性層の結晶欠陥が少なくなる。従って、活性層の膜厚が薄い状態においても、活性層の結晶性が良くなるので発光出力が増大する。このように第1のn型クラッド層5をバッファ層として作用させるためには、結晶が柔らかい層である活性層6と第1のn型クラッド層5との膜厚の合計が300オングストローム以上あることが好ましい。
また、第1のp型クラッド層はアルミニウムを含む窒化物半導体で形成すると、出力が向上する。これはAlGaNが他の窒化物半導体に比べて、p型化しやすいか、あるいはInGaNよりなる活性層の分解を、第1のp型クラッド層成長時に抑える作用があるためと推察されるが、詳しいことは不明である。
窒化物半導体よりなる本発明の発光素子を製造するには、例えばMOVPE(有機金属気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、HDVPE(ハイドライド気相成長法)等の気相成長法を用いて、基板上にIna Alb Ga1-a-b N(0≦a、0≦b、a+b≦1)をn型、p型等の導電型でダブルへテロ構造になるように積層することによって得られる。基板には例えばサファイア(C面、A面、R面を含む)、SiC(6H−SiC、4H−SiCも含む)、スピネル(MgAl2 O4 、特にその(111)面)、ZnO、Si、GaAs、あるいは他の酸化物単結晶基板(NGO等)が使用できる。また、n型の窒化物半導体はノンドープの状態でも得られるが、Si、Ge、S等のドナー不純物を結晶成長中に半導体層中に導入することによって得られる。またp型の窒化物半導体層はMg、Zn、Cd、Ca、Be、C等のアクセプター不純物を同じく結晶成長中に半導体層中に導入するか、または導入後400℃以上でアニーリングを行うことにより得られる。
本発明の発光ダイオード表示装置は、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオードおよび赤色発光ダイオードを備えるものであって、少なくとも青色発光ダイオードおよび緑色発光ダイオードがそれぞれ本発明の窒化物半導体発光素子から構成されるものである。
〔実施例〕
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。以下の実施例は、MOVPE法による窒化物半導体層の成長方法を例示している。
実施例1
本実施例を図1を参照して記述する。
TMG(トリメチルガリウム)とNH3 とを用い、反応容器にセットしたサファイア基板1のC面に500℃でGaNよりなるバッファ層2を500オングストロームの膜厚で成長させた。
次に温度を1050℃まで上げ、TMG、NH3 に加えSiH4 ガスを用い、Siドープn型GaNよりなるn型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させた。
続いて原料ガスにTMA(トリメチルアルミニウム)を加え、同じく1050℃でSiドープn型Al0.3 Ga0.7 N層よりなる第2のクラッド層4を0.1μmの膜厚で成長させた。
次に、温度を800℃に下げ、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、NH3 およびSiH4 を用い、Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第1のn型クラッド層5を500オングストロームの膜厚で成長させた。
続いてTMG、TMIおよびNH3 を用い、800℃でノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる活性層6(単一量子井戸構造)を30オングストロームの膜厚で成長させた。
さらに、TMG、TMI、NH3 に加え新たにCp2 Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い800℃でMgドープp型In0.01Ga0.99Nよりなる第1のp型クラッド層7を500オングストロームの膜厚で成長させた。
次に温度を1050℃に上げ、TMG、TMA、NH3 、Cp2 Mgを用い、Mgドープp型Al0.3 Ga0.7 Nよりなる第2のp型クラッド層8を0.1μmの膜厚で成長させた。
続いて、1050℃でTMG、NH3 およびCp2 Mgを用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層9を0.5μmの膜厚で成長させた。
以上の操作終了後、温度を室温まで下げてウェーハを反応容器から取り出し、700℃でウェーハのアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化した。次に、最上層のp型コンタクト層9の表面に所定の形状のマスクを形成し、n型コンタクト層3の表面が露出するまでエッチングした。エッチング後、n型コンタクト層3の表面にTiとAlよりなる負電極、p型コンタクト層9の表面にNiとAuよりなる正電極を形成した。電極形成後、ウェーハを350μm角のチップに分離した後、常法に従い半値角15度の指向特性を持つLED素子とした。このLED素子はIf(順方向電流)20mAでVf3.5V、発光ピーク波長410nmの青色発光を示し、発光出力は5mWであった。さらに、発光スペクトルの半値幅は20nmであり、非常に色純度のよい発光を示した。
実施例2
活性層をIn0.05Ga0.95Nで形成し、その膜厚を10オングストロームとした以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子は、If20mAにおいて、発光ピーク波長425nmの青紫色発光を示し、発光出力が5mWと非常に優れた特性を示し、発光スペクトルの半値幅も20nmと色純度のよい青色発光を示した。
実施例3
活性層6をノンドープIn0.2 Ga0.8 Nで形成した以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子は、If20mAにおいて、発光ピーク波長465nmの青色発光を示し、発光出力が5mWと非常に優れた特性を示し、発光スペクトルの半値幅も25nmと色純度のよい青色発光を示した。
実施例4
第1のp型クラッド層7を形成しない以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子は、If20mAでVf3.5V、発光ピーク波長425nmの青色発光を示し、同じく発光出力は7mWであった。さらに、発光スペクトルの半値幅は20nmであった。この発光素子は、ピーク波長が長波長になると共に、発光出力が増大した。
実施例5
第1のn型クラッド層5としてSiドープn型In0.01Ga0.99Nを300オングストロームの膜厚で成長させ、次に活性層6としてノンドープIn0.3 Ga0.7 Nを10オングストロームの膜厚で成長させ、次に第1のp型クラッド層7としてMgドープIn0.01Ga0.99N層を300オングストロームの膜厚で成長させた以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発光ピーク波長500nm、半値幅40nmの緑色発光を示し、発光出力3mWと非常に優れた特性を示した。
実施例6
実施例1の手法において、n型コンタクト層3を成長させた後、次に直接膜厚70オングストロームのIn0.4 Ga0.6 Nからなる単一量子井戸構造の活性層6を成長させた。なお、本素子において、n型コンタクト層3が第1のn型クラッド層として作用している。次に活性層6の上に、第2のp型クラッド層8を成長させ、最後にp型コンタクト層9を成長させた。これ以降は実施例1と同様にして発光素子を作製した。このLED素子は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発光ピーク波長525nm、半値幅40nmの緑色発光を示し、発光出力4mWと非常に優れた特性を示した。
実施例7
第1のn型クラッド層5としてSiドープn型GaNを300オングストロームの膜厚で成長させ、次に活性層6としてノンドープIn0.3 Ga0.7 Nを20オングストロームの膜厚で成長させ、次に第1のp型クラッド層7としてMgドープp型GaN層を300オングストロームの膜厚で成長させた以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発光ピーク波長515nm、半値幅40nmの緑色発光を示し、発光出力3mWであった。
実施例8
アクセプター不純物源としてDEZ(ジエチルジンク)、ドナー不純物源としてSiH4 を用い、活性層6としてSiとZnをドープしたn型In0.05Ga0.95N層を50オングストロームの膜厚で形成した以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子は、このLED素子はIf20mAにおいて、Vf3.5V、発光ピーク波長480nm、半値幅80nmの緑色発光を示し、発光出力2mWであった。
実施例9
活性層をノンドープIn0.8 Ga0.2 Nで形成した以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製した。このLEDは、If20mAでVf3.5V、発光ピーク波長650nmの赤色発光を示し、発光出力は0.7mWであった。
実施例10
第1のn型クラッド層5としてSiドープn型In0.01Ga0.99Nを500オングストロームの膜厚で形成した。次に活性層6を形成するために、井戸層としてノンドープIn0.15Ga0.85Nを10オングストロームの厚さに形成し、その上に障壁層としてノンドープIn0.05Ga0.95Nを10オングストロームの厚さに形成し、これを交互に4回づつ繰り返し、最後にノンドープのIn0.15Ga0.85N井戸層を10オングストローム形成して、総厚90オングストロームの多重量子井戸構造の活性層を形成した。次に、活性層の上に第1のp型クラッド層として、Mgドープp型In0.01Ga0.99Nを500オングストロームの膜厚で形成する。その他は実施例1と同様にしてサファイアの上に所定の窒化物半導体を積層したウェーハを作製した。
しかる後、実施例1と同様にして窒化物半導体層をエッチングした後、最上層であるp型コンタクト層9の表面に所定の形状のマスクを形成し、n型コンタクト層3に20μmの幅で負電極、p型コンタクト層9に2μmの幅で正電極をそれぞれ形成した。
ついで、窒化物半導体層を形成していない方のサファイア基板面を研磨して基板の厚さを90μmにし、サファイア基板表面のM面(六方晶系において六角柱の側面に相当する面)をスクライブする。スクライブ後、ウェーハを700μm角のチップに分割し、図3に示すようなストライプ型のレーザを作製した。なお、図3は本実施例によるレーザ素子の斜視図を示しており、ストライプ状の正電極と直交した窒化物半導体層面を光共振面としている。次に、このチップをヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワイヤーボンドした後、レーザ発振を試みたところ、常温において、しきい値電流密度1.5kA/cm2 で発振波長415nmのレーザ発振が確認された。
実施例11
第1のn型クラッド層5としてSiドープn型In0.01Ga0.09Nを500オングストロームの厚さに形成した後、活性層6を形成するために井戸層としてノンドープIn0.15Ga0.85Nを25オングストロームの厚さに形成し、その上に障壁層としてノンドープIn0.05Ga0.95Nを50オングストロームの厚さに形成する操作を交互に13回づつ繰り返し、最後にノンドープIn0.15Ga0.85Nを25オングストロームの厚さに形成して合計膜厚1000オングストロームの多重量子井戸構造の活性層を形成した。これ以外は実施例10と同様にしてレーザー素子を作製した。このレーザー素子は、常温で、しきい値電流密度1.0kA/cm2 で415nmの発振波長のレーザー発振が確認された。
実施例12
活性層6を形成するために井戸層としてノンドープIn0.15Ga0.85Nを25オングストロームの厚さに形成し、その上に障壁層としてノンドープIn0.05Ga0.95Nを50オングストロームの厚さに形成する操作を交互に26回づつ繰り返し、最後にノンドープIn0.15Ga0.85Nを25オングストロームの厚さに形成して合計膜厚1975オングストロームの多重量子井戸構造の活性層を形成した以外は実施例11と同様にしてレーザー素子を作製した。このレーザー素子は、常温で、しきい値電流密度1.0kA/cm2 で415nmの発振波長のレーザー発振が確認された。
実施例13
実施例3で得られた450nmの青色LEDと、実施例5で得られた515nmの緑色LEDと、従来のGaAs系材料またはAlInGaP系の材料よりなる発光出力3mW、660nmの赤色LED一個づつを1ドットとし、このドットを16×16で組み合わせてLEDパネルにし、そのLEDパネルを並べて320×240画素のフルカラーLEDディスプレイを作製したところ、白色の発光輝度で一万ニットの面発光を達成した。
本発明の窒化物半導体発光素子の構造を示す概略断面図。 活性層の厚さと発光素子の発光ピーク波長との関係を示すグラフ図。 本発明の他の窒化物半導体レーザ素子の構造を示す斜視図。 従来のLED素子のピーク発光波長と発光出力の関係を示すグラフ図。
符号の説明
1…サファイア基板
2…バッファ層
3…n型コンタクト層
4…第2のn型クラッド層
5…第1のn型クラッド層
6…活性層
7…第1のp型クラッド層
8…第2のp型クラッド層
9…p型コンタクト層

Claims (13)

  1. Inx Ga1-x N(0≦x<1)よりなるn型窒化物半導体層の上に、インジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体を包含し、量子井戸構造を有する活性層を形成し、該活性層の上に、Aly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体層を形成することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
  2. 活性層とn型窒化物半導体層とをそれらの総膜厚が300オングストローム以上となるように形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. p型窒化物半導体層上に、GaNよりなるp型コンタクト層をさらに形成することを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. GaNよりなるn型窒化物半導体層とGaNよりなるp型コンタクト層との間にインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の活性層を形成し、該p型コンタクト層側で該活性層に接してAly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体を形成することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
  5. Inx Ga1-x N(0≦x<1)よりなるn型窒化物半導体層上にインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体よりなる井戸層を備える量子井戸構造の活性層を形成し、該活性層上にAly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体層を形成し、該p型窒化物半導体層側にGaNよりなるp型コンタクト層を形成する工程を備え、該n型窒化物半導体は、該活性層を構成するインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体よりも大きなバンドギャップエネルギーを有することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
  6. Inx Ga1-x Nよりなるn型窒化物半導体層に接してAla Ga1-a N(0≦a≦1)よりなる第2のn型窒化物半導体層をさらに形成することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 活性層が、ノンドープのものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 活性層にドナー不純物および/またはアクセプター不純物がドープすることをさらに含む特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 活性層が、厚さ100オングストローム以下の井戸層を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 活性層が、厚さ70オングストローム以下の井戸層を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 活性層が、Inz Ga1-z N(0<z<1)よりなる井戸層を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 活性層が、Inz Ga1-z N(0<x<1)よりなる井戸層と、Inz'Ga1-z'N(0<z’<1、ただし、z’はzと異なる)もしくはGaNよりなる障壁層との組み合わせからなる多重量子井戸構造を有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. Inx Ga1-x N(0≦x<1)よりなるn型窒化物半導体層とAly Ga1-y N(0<y<1)よりなるp型窒化物半導体層との間にインジウムおよびガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の活性層を形成し、該p型窒化物半導体層を該活性層と接するように形成することを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
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