JP2006273949A - 積層板用樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄物中に大量に含まれる熱硬化性樹脂から構成されるプラスチックを、フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で分解および/または可溶化して得られる再生充填材を再利用して得られる積層板用樹脂組成物、該樹脂組成物を使用して得られるプリプレグ、および該プリプレグを使用して得られる積層板を提供する。
【解決手段】 フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを分解および/または可溶化して得られる再生充填材と、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を必須成分とすることを特徴とする積層板用樹脂組成物。前記積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグ。前記プリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板。
【解決手段】 フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを分解および/または可溶化して得られる再生充填材と、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を必須成分とすることを特徴とする積層板用樹脂組成物。前記積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグ。前記プリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板。
Description
本発明は、積層板用樹脂組成物、プリプレグ、および積層板に関するものである。
近年、化石資源の利用は不可欠なものとなっているが、化石資源は再生産が不可能であり、近い将来の枯渇が懸念されている。化石資源枯渇の問題解決のために、化学原料としての消費抑制(省エネルギー)技術の開発が進められており、化学原料としての消費抑制の一つとして、化石資源を原料としたプラスチックのリサイクル技術が注目されている。しかしながら、プラスチックは、金属やガラスなどの他の素材と比較してリサイクルが難しく、実用化は進んでいないのが実情である。特に、熱硬化性樹脂は、硬化すると、熱により軟化・融解せず、溶剤にも溶解しないため、その成形材料硬化物をプラスチック原料として再生すること、すなわちリサイクルは技術的に困難であった。
このようなプラスチックの処理あるいはリサイクルに関する課題を克服するため、超臨界流体または亜臨界流体を用いて、プラスチックを可溶化処理する方法が検討されており、例えば、超臨界水では処理が難しい熱硬化性樹脂を可溶化処理およびリサイクルするために、超臨界または亜臨界状態のフェノール化合物または水/フェノール化合物の溶液中で可溶化処理する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物が可溶化して、オリゴマー成分を熱硬化性樹脂の原料として再利用できるとしている。
前記リサイクル法においては、熱硬化性樹脂に充填材が含まれる場合には、主に充填材からなる分解残渣が生成するが、分解残渣のリサイクルにおいては、従来どおりの廃材処理をせざるを得ない現状があり、新たな再利用用途の展開が望まれている。
本発明は、プラスチック廃棄物の分解回収物を再生充填材として利用することができる積層板用樹脂組成物を提供するものであり、これを用いて得られる積層板で、再生充填材を含まない以外は同じ構成である積層板と比較しても、遜色ない良好な特性を有する積層板を提供するものである。
即ち、本発明は、
(1) (A)フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを分解および/または可溶化して得られる再生充填材と、(B)エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を必須成分とすることを特徴とする積層板用樹脂組成物、
(2) 前記(A)再生充填材における熱硬化性樹脂がフェノール樹脂および/またはエポキシ樹脂である第(1)項記載の積層板用樹脂組成物、
(3) 前記(A)再生充填材は、前記プラスチックに含まれる充填材と前記熱硬化性樹脂を含む有機成分とが複合されたものである第(1)項または第(2)項に記載の積層板用樹脂組成物、
(4) 前記有機成分が前記(A)再生充填材に1〜20重量%含むものである第(3)項に記載の積層板用樹脂組成物、
(5) 前記(A)再生充填材の粒度分布が250μm以下である第(1)項から第(4)項のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物、
(6) 第(1)項から第(5)項のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグ、
(7) 第(6)項に記載のプリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板、
を提供するものである。
(1) (A)フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを分解および/または可溶化して得られる再生充填材と、(B)エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を必須成分とすることを特徴とする積層板用樹脂組成物、
(2) 前記(A)再生充填材における熱硬化性樹脂がフェノール樹脂および/またはエポキシ樹脂である第(1)項記載の積層板用樹脂組成物、
(3) 前記(A)再生充填材は、前記プラスチックに含まれる充填材と前記熱硬化性樹脂を含む有機成分とが複合されたものである第(1)項または第(2)項に記載の積層板用樹脂組成物、
(4) 前記有機成分が前記(A)再生充填材に1〜20重量%含むものである第(3)項に記載の積層板用樹脂組成物、
(5) 前記(A)再生充填材の粒度分布が250μm以下である第(1)項から第(4)項のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物、
(6) 第(1)項から第(5)項のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグ、
(7) 第(6)項に記載のプリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板、
を提供するものである。
本発明によれば、プラスチック廃棄物の分解回収物を再生充填材として利用することができる積層板用樹脂組成物を提供することができ、前記樹脂組成物を含浸させたプリプレグ、およびこれを用いて得られた積層板は、前記再生充填材を含まず同構造を有する積層板と比較しても遜色ない良好な特性を示す。
本発明は、(A)フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを分解および/または可溶化して得られる再生充填材と、(B)エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を必須成分とすることを特徴とする積層板用樹脂組成物であり、これにより、プラスチック廃棄物の分解回収物を再生充填材として利用することができる。
また、本発明は、前記積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグであり、さらに、本発明は、前記プリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板であり、これにより、前記再生充填材を含まず同様の構造を有する積層板と比較しても遜色ない良好な特性を示すものを提供できる。
以下、各項目毎に詳細に説明する。
また、本発明は、前記積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグであり、さらに、本発明は、前記プリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板であり、これにより、前記再生充填材を含まず同様の構造を有する積層板と比較しても遜色ない良好な特性を示すものを提供できる。
以下、各項目毎に詳細に説明する。
1.再生充填材の調製
本発明における再生充填材は、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを、フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で分解および/または可溶化処理して得られるものである。以下、再生充填材を得るための、原材料、工程を説明する。
なお、本発明におけるプラスチックの処理とは、化学的な分解による処理および/または物理的な可溶化による処理を含むものである。
本発明における再生充填材は、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを、フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で分解および/または可溶化処理して得られるものである。以下、再生充填材を得るための、原材料、工程を説明する。
なお、本発明におけるプラスチックの処理とは、化学的な分解による処理および/または物理的な可溶化による処理を含むものである。
(1)原材料
(a)プラスチック
本発明で処理される熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックは、硬化した樹脂、未硬化もしくは半硬化の樹脂、これらの樹脂を含有するワニスなどを含み、かつ、シリカ微粒子等の無機質充填材や、木粉等の有機質充填材を含む成形材料もしくは成形品、ガラス織布、ガラス不織布のような無機質基材や、紙、布等の有機質基材を用いた積層板、これに銅箔等の金属箔を張り合わせた金属張り積層板、さらには銅張り積層板などを加工して得られるプリント回路板のような熱硬化性樹脂製品も含むものとする。
また、処理に供するプラスチックの粒径は10,000μm以下の範囲が好ましい。前記範囲よりも大きい場合には、分解および/または可溶化処理に要する時間が増大し処理効率が低下するため、実用的ではない。
前記プラスチックの粒径の調整方法としては、粉砕による方法、篩分による方法、重力式分級機による方法、前記調整方法による調整物の混合による方法などが挙げられるが、前記粒径の範囲に調整できればよく、これらの方法に限定されるものではない。前記粉砕による方法としては、例えば、ハンマーミルおよびレイモンドミルなどの粉砕機により粗粉砕する方法、ボールミルなどの粉砕機により微粉砕する方法が挙げられ、これらの粉砕後に、篩い分けにより粒径を調整したものを用いるのが好ましい。
(a)プラスチック
本発明で処理される熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックは、硬化した樹脂、未硬化もしくは半硬化の樹脂、これらの樹脂を含有するワニスなどを含み、かつ、シリカ微粒子等の無機質充填材や、木粉等の有機質充填材を含む成形材料もしくは成形品、ガラス織布、ガラス不織布のような無機質基材や、紙、布等の有機質基材を用いた積層板、これに銅箔等の金属箔を張り合わせた金属張り積層板、さらには銅張り積層板などを加工して得られるプリント回路板のような熱硬化性樹脂製品も含むものとする。
また、処理に供するプラスチックの粒径は10,000μm以下の範囲が好ましい。前記範囲よりも大きい場合には、分解および/または可溶化処理に要する時間が増大し処理効率が低下するため、実用的ではない。
前記プラスチックの粒径の調整方法としては、粉砕による方法、篩分による方法、重力式分級機による方法、前記調整方法による調整物の混合による方法などが挙げられるが、前記粒径の範囲に調整できればよく、これらの方法に限定されるものではない。前記粉砕による方法としては、例えば、ハンマーミルおよびレイモンドミルなどの粉砕機により粗粉砕する方法、ボールミルなどの粉砕機により微粉砕する方法が挙げられ、これらの粉砕後に、篩い分けにより粒径を調整したものを用いるのが好ましい。
前記プラスチックに含まれる熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。これらは、単独又は2種含んでいても良い。
(b)溶媒
本発明で溶媒として用いるフェノール化合物は、芳香環の炭素に結合する水素の少なくとも一つが水酸基に置換しており、単独又は水との混合物として、プラスチックを分解および/または可溶化処理し得るフェノール化合物であれば、特に限定されない。通常、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、及びアルキル置換フェノールなどの単核フェノール化合物、または、1−ナフトール、2−ナフトールなどのフェノール化合物が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの内、コスト面及び分解および/または可溶化反応に与える効果から、フェノールが好ましい。また、前記フェノール化合物が、本発明のプラスチックの処理方法により、プラスチックを分解および/または可溶化した後、分離・精製して得られるフェノール化合物を含むものを用いることができる。
本発明で溶媒として用いるフェノール化合物は、芳香環の炭素に結合する水素の少なくとも一つが水酸基に置換しており、単独又は水との混合物として、プラスチックを分解および/または可溶化処理し得るフェノール化合物であれば、特に限定されない。通常、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、及びアルキル置換フェノールなどの単核フェノール化合物、または、1−ナフトール、2−ナフトールなどのフェノール化合物が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの内、コスト面及び分解および/または可溶化反応に与える効果から、フェノールが好ましい。また、前記フェノール化合物が、本発明のプラスチックの処理方法により、プラスチックを分解および/または可溶化した後、分離・精製して得られるフェノール化合物を含むものを用いることができる。
前記溶媒として、フェノール化合物以外の、他の溶媒との混合物を用いる場合、他の溶媒としては、水をはじめとして、メタノールおよびエタノール等のモノマーアルコール類、エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のグリコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、有機酸類、酸無水物類など、通常の化学反応において溶媒として用いられるものは、いずれを用いても良く、また、複数の溶媒を使用しても良い。また、フェノール化合物に対する他の溶媒の混合割合としては、フェノール化合物100重量部に対して他の溶媒1〜500重量部の割合で混合して用いることが好ましく、さらに好ましくは、フェノール化合物100重量部に対して他の溶媒1〜100重量部の割合である。
また、本発明における、フェノール化合物を必須成分とする溶媒の使用割合は、プラスチック100重量部に対して、50〜1000重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは100〜400重量部の範囲である。反応溶媒が前記下限値よりも少なくなると、プラスチックの分解および/または可溶化反応を円滑に進行させるのが困難になることがある。一方、前記上限値よりも多くなると、反応溶媒を加熱するために多大な熱量を必要とし熱エネルギーの消費が多くなる反面、格別な効果が得られない場合がある。
(c)触媒
プラスチックの分解・可溶化においては、処理速度を促進する触媒を用いた方がより効果的である。その場合の触媒としては、特に限定はないが、例えば、ブレンステッド酸塩基・ルイス酸塩基、あるいは、天然無機・有機化合物、さらには金属酸化物で水和反応等によって同等の効果を示す化合物などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、前記触媒の添加量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量部である。
プラスチックの分解・可溶化においては、処理速度を促進する触媒を用いた方がより効果的である。その場合の触媒としては、特に限定はないが、例えば、ブレンステッド酸塩基・ルイス酸塩基、あるいは、天然無機・有機化合物、さらには金属酸化物で水和反応等によって同等の効果を示す化合物などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、前記触媒の添加量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量部である。
(2)分解および/または可溶化処理工程
本発明における分解および/または可溶化処理条件としては、前記フェノール化合物を必須成分とする溶媒を温度及び圧力により調整することができる。
前記温度としては、通常、100〜500℃の範囲が好ましく、より好ましくは200〜450℃の範囲である。温度が前記下限値よりも低くなると、プラスチックの分解および/または可溶化速度が低下し、短時間での処理が困難になる場合がある。一方、温度が前記上限値よりも高くなると、熱分解や脱水反応などの副反応が併発して、回収したプラスチックの樹脂成分や再生充填材の化学構造が変化するため、原料としての再利用が困難になる場合がある。
また、前記圧力としては、通常、1〜60MPaが好ましく、より好ましくは2〜40MPaの範囲である。圧力が前記下限値よりも低くなると、分解および/または可溶化速度が低下してしまい、プラスチックの処理自体が困難になる場合がある。圧力が前記上限値より高くなると、より過酷な条件で運転可能な設備が必要となり、高圧を維持するために必要なエネルギーが増加する反面、分解および/または可溶化速度はほとんど向上せず、格段な効果が得られない場合がある。
さらに、分解および/または可溶化処理の雰囲気としては、空気雰囲気下、窒素などの不活性ガス雰囲気下のどちらを選択してもよく、処理容器は開放系でも密封系でもどちらの系でも行うことができ、特に限定されることはないが、一例としては、オートクレーブをはじめとする加熱加圧処理容器などが挙げられる。
分解・可溶化工程の時間は、1〜60分の範囲で調節できるが、通常は3〜30分程度で処理が完了する。
本発明における分解および/または可溶化処理条件としては、前記フェノール化合物を必須成分とする溶媒を温度及び圧力により調整することができる。
前記温度としては、通常、100〜500℃の範囲が好ましく、より好ましくは200〜450℃の範囲である。温度が前記下限値よりも低くなると、プラスチックの分解および/または可溶化速度が低下し、短時間での処理が困難になる場合がある。一方、温度が前記上限値よりも高くなると、熱分解や脱水反応などの副反応が併発して、回収したプラスチックの樹脂成分や再生充填材の化学構造が変化するため、原料としての再利用が困難になる場合がある。
また、前記圧力としては、通常、1〜60MPaが好ましく、より好ましくは2〜40MPaの範囲である。圧力が前記下限値よりも低くなると、分解および/または可溶化速度が低下してしまい、プラスチックの処理自体が困難になる場合がある。圧力が前記上限値より高くなると、より過酷な条件で運転可能な設備が必要となり、高圧を維持するために必要なエネルギーが増加する反面、分解および/または可溶化速度はほとんど向上せず、格段な効果が得られない場合がある。
さらに、分解および/または可溶化処理の雰囲気としては、空気雰囲気下、窒素などの不活性ガス雰囲気下のどちらを選択してもよく、処理容器は開放系でも密封系でもどちらの系でも行うことができ、特に限定されることはないが、一例としては、オートクレーブをはじめとする加熱加圧処理容器などが挙げられる。
分解・可溶化工程の時間は、1〜60分の範囲で調節できるが、通常は3〜30分程度で処理が完了する。
上記処理により得られる内容物としては、例えば、溶媒(フェノール化合物、水など)、200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物、およびプラスチックに含まれる充填材と熱硬化性樹脂を含む有機成分とを主体とした複合物、の混合物などである。
上記200〜100,000の重量平均分子量は、通常のフェノール樹脂など熱硬化性樹脂から構成されるプラスチック、中でも、成形材料や積層板などを製造する際に用いられる化学原料(プレポリマー)と同程度であるため、必要に応じて精製を行うことにより、プレポリマーとして再利用することができる。
前記樹脂成分の代表的な例としては、プラスチックがフェノール樹脂で構成される場合、フェノール骨格の核間がメチレン結合で結合した、フェノール樹脂またはオリゴマーが挙げられる。その他の例としては、フェノール樹脂以外にメラミン樹脂で構成される場合、メラミン骨格の核間がメチレン結合で結合したメラミン樹脂構造を含むフェノール樹脂またはオリゴマー、フェノール樹脂以外にユリア樹脂で構成される場合、ユリア骨格の核間がメチレン結合で結合したユリア樹脂構造を含むフェノール樹脂またはオリゴマー、あるいは、これらそれぞれを含む場合、上記それぞれの樹脂またはオリゴマーや、フェノール骨格、メラミン骨格、ユリア骨格のそれぞれがメチレン結合で共重合した構造を含むフェノール樹脂などが挙げられるが、これらの成分は一例であり、前記樹脂成分は何ら限定されるものではない。ここで、200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とするとは、ここで示した分子量の樹脂成分が50%以上含まれることを言うが、主体とする分子量の他に、重量平均分子量100,000以上の樹脂成分も含まれる。また、200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分としては、通常のフェノール樹脂の場合は、原料モノマーの2〜1,000核体程度である。また、前記200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物は、プラスチック中のフェノール樹脂など樹脂成分から得られる成分だけでなく、プラスチック中に含まれる有機質系充填材や基材から得られる成分を含む場合がある。
上記プラスチックに含まれる充填材と熱硬化性樹脂を含む有機成分とを主体とした複合物としては、例えば前記プラスチックに含まれ分解・可溶化処理により得られる、充填材と、分解樹脂成分および/または未分解有機成分と、が複合されたものが挙げられる。
上記200〜100,000の重量平均分子量は、通常のフェノール樹脂など熱硬化性樹脂から構成されるプラスチック、中でも、成形材料や積層板などを製造する際に用いられる化学原料(プレポリマー)と同程度であるため、必要に応じて精製を行うことにより、プレポリマーとして再利用することができる。
前記樹脂成分の代表的な例としては、プラスチックがフェノール樹脂で構成される場合、フェノール骨格の核間がメチレン結合で結合した、フェノール樹脂またはオリゴマーが挙げられる。その他の例としては、フェノール樹脂以外にメラミン樹脂で構成される場合、メラミン骨格の核間がメチレン結合で結合したメラミン樹脂構造を含むフェノール樹脂またはオリゴマー、フェノール樹脂以外にユリア樹脂で構成される場合、ユリア骨格の核間がメチレン結合で結合したユリア樹脂構造を含むフェノール樹脂またはオリゴマー、あるいは、これらそれぞれを含む場合、上記それぞれの樹脂またはオリゴマーや、フェノール骨格、メラミン骨格、ユリア骨格のそれぞれがメチレン結合で共重合した構造を含むフェノール樹脂などが挙げられるが、これらの成分は一例であり、前記樹脂成分は何ら限定されるものではない。ここで、200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とするとは、ここで示した分子量の樹脂成分が50%以上含まれることを言うが、主体とする分子量の他に、重量平均分子量100,000以上の樹脂成分も含まれる。また、200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分としては、通常のフェノール樹脂の場合は、原料モノマーの2〜1,000核体程度である。また、前記200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物は、プラスチック中のフェノール樹脂など樹脂成分から得られる成分だけでなく、プラスチック中に含まれる有機質系充填材や基材から得られる成分を含む場合がある。
上記プラスチックに含まれる充填材と熱硬化性樹脂を含む有機成分とを主体とした複合物としては、例えば前記プラスチックに含まれ分解・可溶化処理により得られる、充填材と、分解樹脂成分および/または未分解有機成分と、が複合されたものが挙げられる。
(3)分離・精製工程
前記再生充填材は、処理を行った加熱加圧処理容器の内容物に含まれる、溶媒及び200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物を分離することによって得られ、積層板用樹脂組成物の充填材として再利用することができる。前記分離方法としては、特に限定されるものではなく、通常の固液分離で用いられる、サイクロン・ろ過・重力沈降などの方法が挙げられる。また、処理で得られた再生充填材と前記200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物とを含む混合物を、有機溶媒で希釈した後に、サイクロン・ろ過・重力沈降などの固液分離操作をしても良い。
前記再生充填材は、処理を行った加熱加圧処理容器の内容物に含まれる、溶媒及び200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物を分離することによって得られ、積層板用樹脂組成物の充填材として再利用することができる。前記分離方法としては、特に限定されるものではなく、通常の固液分離で用いられる、サイクロン・ろ過・重力沈降などの方法が挙げられる。また、処理で得られた再生充填材と前記200〜100,000の重量平均分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物とを含む混合物を、有機溶媒で希釈した後に、サイクロン・ろ過・重力沈降などの固液分離操作をしても良い。
前記再生充填材は、篩い分けによって250μm以下の範囲に粒径を調整されたものが望ましい。前記範囲よりも粒径が大きな再生充填材を使用した場合には、塗布工程中に沈降して塗布工程の妨げとなる場合がある。また、製品の外観を損ねるような粗粒が混入する場合がある。尚、前記再生充填材を篩い分けする工程は、再生充填材を乾燥した後でも、溶媒中に分散した状態でも行うことができる。
前記再生充填材は、前記プラスチックに含まれていた充填材と前記プラスチックの有機成分が、前記処理工程において複合されたものであることが好ましい。
前記有機成分としては、分解樹脂成分および/または前記プラスチックの未分解有機成分、溶媒、重合炭化生成物などが挙げられ、本発明においては、前記有機成分が再生充填材に占める重量百分率が1〜20重量%であるものが望ましい。
有機成分重量が前記範囲より上回る場合、耐熱性が低下する場合がある。また、前記範囲より下回ると、ワニスに対する分散性が低下する場合がある。本発明においては、物理的に前記有機成分がもと含まれる充填材の表面に吸着する場合もあるが、充填材の表面上で有機成分が化学反応によって吸着する場合もある。さらに、本発明によって得られる再生充填材中のもと含まれる充填材の表面には、分解および/または可溶化処理時に、溶媒として用いたフェノールが物理および/または化学吸着している場合もある。
前記有機成分としては、分解樹脂成分および/または前記プラスチックの未分解有機成分、溶媒、重合炭化生成物などが挙げられ、本発明においては、前記有機成分が再生充填材に占める重量百分率が1〜20重量%であるものが望ましい。
有機成分重量が前記範囲より上回る場合、耐熱性が低下する場合がある。また、前記範囲より下回ると、ワニスに対する分散性が低下する場合がある。本発明においては、物理的に前記有機成分がもと含まれる充填材の表面に吸着する場合もあるが、充填材の表面上で有機成分が化学反応によって吸着する場合もある。さらに、本発明によって得られる再生充填材中のもと含まれる充填材の表面には、分解および/または可溶化処理時に、溶媒として用いたフェノールが物理および/または化学吸着している場合もある。
2.積層板用樹脂組成物
本発明の積層板用樹脂組成物に用いる樹脂としては、通常のプリント配線板用積層板に用いられるエポキシ樹脂およびフェノール樹脂であれば良い。
本発明の積層板用樹脂組成物に用いる樹脂としては、通常のプリント配線板用積層板に用いられるエポキシ樹脂およびフェノール樹脂であれば良い。
(1)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(2)フェノール樹脂
フェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(2)フェノール樹脂
フェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
(3)硬化剤
本発明の積層板用樹脂組成物には、上記成分の他に硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、ノボラック型フェノール樹脂が使用でき耐熱性を向上させることができるので好ましいものである。種類としては、フェノール型、ビスフェノールA型、クレゾール型等があり、これらは単独または2種以上混合して使用することが出来る。また、エポキシ樹脂の硬化剤として、アミノ基を有する硬化剤も使用でき、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パレキシレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシリレンジアミン、パラキシレンナフタレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアンジアミドなどが例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。耐熱性、硬化性等の点で、好ましい硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジシアンアミド、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタンである。これらのうち何種類かを併用しても良い。
本発明の積層板用樹脂組成物には、上記成分の他に硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、ノボラック型フェノール樹脂が使用でき耐熱性を向上させることができるので好ましいものである。種類としては、フェノール型、ビスフェノールA型、クレゾール型等があり、これらは単独または2種以上混合して使用することが出来る。また、エポキシ樹脂の硬化剤として、アミノ基を有する硬化剤も使用でき、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パレキシレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシリレンジアミン、パラキシレンナフタレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアンジアミドなどが例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。耐熱性、硬化性等の点で、好ましい硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジシアンアミド、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタンである。これらのうち何種類かを併用しても良い。
(4)その他の成分
本発明の樹脂組成物には、さらに、硬化促進剤、難燃剤、無機充填材などを用いることができる。硬化促進剤としては、例えばイミダゾール化合物、第3級アミン化合物等、通常使用されているものが使用される。また、積層板に難燃性を付与するために、例えば臭素化エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール化合物等のハロゲン化合物、あるいはノンハロゲン化のために燐酸エステル類や9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等のリン系難燃剤を配合することができる。無機充填材としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレー等が挙げられ、耐熱性および耐燃性に支障のない範囲で使用できる。
本発明の樹脂組成物には、さらに、硬化促進剤、難燃剤、無機充填材などを用いることができる。硬化促進剤としては、例えばイミダゾール化合物、第3級アミン化合物等、通常使用されているものが使用される。また、積層板に難燃性を付与するために、例えば臭素化エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール化合物等のハロゲン化合物、あるいはノンハロゲン化のために燐酸エステル類や9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等のリン系難燃剤を配合することができる。無機充填材としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレー等が挙げられ、耐熱性および耐燃性に支障のない範囲で使用できる。
(5)溶剤
本発明による積層板用樹脂組成物のワニスの調製には、通常の溶剤が用いられる。溶剤としては、組成物の一部あるいはすべてに対して、良好な溶解性を示すことが必要であるが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒も用いることができる。具体例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンおよびメシチレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの各種グリコールエーテル系溶剤、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートおよび酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジアルキルグリコールエーテル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノールおよびエタノールなどのアルコール系溶剤があり、これらは2種以上を併用して用いることもできる。
本発明による積層板用樹脂組成物のワニスの調製には、通常の溶剤が用いられる。溶剤としては、組成物の一部あるいはすべてに対して、良好な溶解性を示すことが必要であるが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒も用いることができる。具体例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンおよびメシチレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの各種グリコールエーテル系溶剤、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートおよび酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジアルキルグリコールエーテル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノールおよびエタノールなどのアルコール系溶剤があり、これらは2種以上を併用して用いることもできる。
3.ワニスの調製
積層板用樹脂組成物は、前記再生充填材と、前記エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を混合して得られる。再生充填材との配合割合は、特に限定されないが、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂100重量部に対して、再生充填材が1〜200重量部含まれるように配合することが好ましく、更には10〜110重量部の範囲で配合されることがより好ましい。前記下限値を下回ると、得られる積層板の寸法安定性が低下する場合がある。また、前記上限値を上回ると、得られる積層板の成形性が低下する場合がある。
積層板用樹脂組成物は、前記再生充填材と、前記エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を混合して得られる。再生充填材との配合割合は、特に限定されないが、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂100重量部に対して、再生充填材が1〜200重量部含まれるように配合することが好ましく、更には10〜110重量部の範囲で配合されることがより好ましい。前記下限値を下回ると、得られる積層板の寸法安定性が低下する場合がある。また、前記上限値を上回ると、得られる積層板の成形性が低下する場合がある。
4.プリプレグ調製、積層板製造
本発明による積層板の製造方法としては、まず、前記積層板用樹脂組成物を前記溶剤に溶解して得られるワニスを、ガラス織布、ガラス不織布などの基材に塗布して、含浸させ、乾燥炉中で80〜200℃程度の範囲内で乾燥させることにより、プリプレグを調製することができる。
上記で得たプリプレグを1枚または2枚以上含んで積層したのち、加熱・加圧して積層板を得ることができ、さらに銅箔などの金属板を積層して加熱・加圧することにより、プリント配線板用の金属張り積層板などを製造することができる。
なお、本発明において、プリプレグ調製、積層板製造の工程は特に限定されるものではなく、当業者が通常使用するような塗布機、乾燥機、プレス機等が使用できる。
本発明による積層板の製造方法としては、まず、前記積層板用樹脂組成物を前記溶剤に溶解して得られるワニスを、ガラス織布、ガラス不織布などの基材に塗布して、含浸させ、乾燥炉中で80〜200℃程度の範囲内で乾燥させることにより、プリプレグを調製することができる。
上記で得たプリプレグを1枚または2枚以上含んで積層したのち、加熱・加圧して積層板を得ることができ、さらに銅箔などの金属板を積層して加熱・加圧することにより、プリント配線板用の金属張り積層板などを製造することができる。
なお、本発明において、プリプレグ調製、積層板製造の工程は特に限定されるものではなく、当業者が通常使用するような塗布機、乾燥機、プレス機等が使用できる。
以下、再生充填材の調製例と、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これによって何ら限定されるものではない。
[調製例1]
(1)ガラス繊維強化プラスチック硬化物の準備
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト製、PR−51714):35重量部、ヘキサメチレンテトラミン(和光純薬製、特級):10重量部をクッキングミル(松下電器製、ファイバーミキサー)で乾式混合して、その混合物にEガラス繊維(日本板硝子製、チョップドストランド):55重量部を加え、袋の中で乾式混合することによってフェノール樹脂成形材料を得た。これを、プレス成形機(温度:175℃、圧力:10MPa、成形時間:3分間)により成形し、ガラス繊維強化プラスチック硬化物を得た。
(2)ガラス繊維強化プラスチック硬化物の分解・可溶化処理と再生充填材の調製
上記で得たガラス繊維強化プラスチック硬化物を粉砕後、篩いわけして、粒子径を1,000μm以下に調整したものを用いた。
上記のガラス繊維強化プラスチック:58.3gと、フェノール:85.6gと水:21.3gの混合物からなる反応溶媒とを混合する際に、塩基性触媒として、粉末状の水酸化カルシウム(関東化学社製)0.6gを加えた。上記の混合物を、オートクレーブ(日東高圧(株)製 内容積200cm3)に仕込んだのち、300rpmで攪拌しながら、内温を300℃とすることで、反応器内圧を5.0MPaまで上昇させ、20分保持して分解・可溶化処理を行った後、空冷して、常温・常圧に戻した。前記処理による生成物と未反応溶媒の混合物にメタノールを加え樹脂成分を溶解させたのち、孔径1.0μmのフィルターでろ過して、そのろ残を回収した。さらに、回収したろ残に対してメタノールを加え、攪拌しながら40℃で30分間洗浄し、再度1.0μmのフィルターでろ過したのちに、120℃で2時間乾燥させることによって再生充填材29gを得た。
(1)ガラス繊維強化プラスチック硬化物の準備
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト製、PR−51714):35重量部、ヘキサメチレンテトラミン(和光純薬製、特級):10重量部をクッキングミル(松下電器製、ファイバーミキサー)で乾式混合して、その混合物にEガラス繊維(日本板硝子製、チョップドストランド):55重量部を加え、袋の中で乾式混合することによってフェノール樹脂成形材料を得た。これを、プレス成形機(温度:175℃、圧力:10MPa、成形時間:3分間)により成形し、ガラス繊維強化プラスチック硬化物を得た。
(2)ガラス繊維強化プラスチック硬化物の分解・可溶化処理と再生充填材の調製
上記で得たガラス繊維強化プラスチック硬化物を粉砕後、篩いわけして、粒子径を1,000μm以下に調整したものを用いた。
上記のガラス繊維強化プラスチック:58.3gと、フェノール:85.6gと水:21.3gの混合物からなる反応溶媒とを混合する際に、塩基性触媒として、粉末状の水酸化カルシウム(関東化学社製)0.6gを加えた。上記の混合物を、オートクレーブ(日東高圧(株)製 内容積200cm3)に仕込んだのち、300rpmで攪拌しながら、内温を300℃とすることで、反応器内圧を5.0MPaまで上昇させ、20分保持して分解・可溶化処理を行った後、空冷して、常温・常圧に戻した。前記処理による生成物と未反応溶媒の混合物にメタノールを加え樹脂成分を溶解させたのち、孔径1.0μmのフィルターでろ過して、そのろ残を回収した。さらに、回収したろ残に対してメタノールを加え、攪拌しながら40℃で30分間洗浄し、再度1.0μmのフィルターでろ過したのちに、120℃で2時間乾燥させることによって再生充填材29gを得た。
上記で得られた再生充填材を篩い分けによって、250μm以下の粒径に調整した。このようにして得られた再生充填材を、以降、再生充填材(I)とする。再生充填材(I)に含まれる有機成分は、500℃で5時間燃焼した後の重量減少を測定することによって求め、その結果、再生充填材全重量中の5重量%であることがわかった。さらに、再生充填材(I)1重量部に対して99重量部の塩化カリウムを配合し、フーリエ変換赤外分光光度計によって分析を行ったところ、ガラス成分に由来するスペクトル以外に、フェノール、フェノール樹脂あるいはその硬化物に由来するピークがあることを確認した。
[調製例2]
前記調製例1において、分解・可溶化処理時間を15分に変更した以外は調製例1と同様の手順を経て、再生充填材(II)を得た。その結果、有機成分含有量は15重量%であった。
前記調製例1において、分解・可溶化処理時間を15分に変更した以外は調製例1と同様の手順を経て、再生充填材(II)を得た。その結果、有機成分含有量は15重量%であった。
[調製例3]
前記調製例1において、分解・可溶化処理時間を5分に変更した以外は調製例1と同様の手順を経て、再生充填材(III)を得た。その結果、有機成分含有量は40重量%であった。
前記調製例1において、分解・可溶化処理時間を5分に変更した以外は調製例1と同様の手順を経て、再生充填材(III)を得た。その結果、有機成分含有量は40重量%であった。
[調製例4]
前記調製例1において、再生充填材の篩いによる調整粒度を750μmに変更した以外は調製例1と同様の手順を経て、再生充填材(IV)を得た。その結果、有機成分含有量は18重量%であった。
以上、再生充填材(I)〜(IV)の有機成分含有量と粒度を表1にまとめて示す。
前記調製例1において、再生充填材の篩いによる調整粒度を750μmに変更した以外は調製例1と同様の手順を経て、再生充填材(IV)を得た。その結果、有機成分含有量は18重量%であった。
以上、再生充填材(I)〜(IV)の有機成分含有量と粒度を表1にまとめて示す。
[実施例1]
(積層板の作成)
アセトン120重量部に2−フェニル−4メチルイミダゾール0.1重量部を溶解させた後に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学(株)製エピクロンN−770、エポキシ当量190)100重量部、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51470、OH当量104)55重量部、及びトリフェニルホスフェート(リン含有率9.5%)13重量部を溶解させ、エポキシ樹脂ワニスAを調製した。更に、無機充填材として水酸化アルミニウムA(メジアン径12μm)を85重量部と、上記調整例1で得た調製した再生充填材(I)155重量部とを加えて、攪拌・分散し、ワニスBを作製した。
(積層板の作成)
アセトン120重量部に2−フェニル−4メチルイミダゾール0.1重量部を溶解させた後に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学(株)製エピクロンN−770、エポキシ当量190)100重量部、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51470、OH当量104)55重量部、及びトリフェニルホスフェート(リン含有率9.5%)13重量部を溶解させ、エポキシ樹脂ワニスAを調製した。更に、無機充填材として水酸化アルミニウムA(メジアン径12μm)を85重量部と、上記調整例1で得た調製した再生充填材(I)155重量部とを加えて、攪拌・分散し、ワニスBを作製した。
このワニスBを用いて、ガラス不織布(厚さ0.4mm、日本バイリーン製EPM−4075)100重量部に対しワニス固形分で700重量部含浸させて、150℃の乾燥装置で5分間乾燥させてプリプレグaを作成した。
次に、アセトン30重量部とメチルセロソルブ20重量部の混合液に、2−フェニル−4−メチルイミダゾール0.15重量部およびジシアンジアミド4重量部を溶解させ、次に、非臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学製エピクロン850、エポキシ当量190)100重量部を溶解させ、エポキシ樹脂ワニスCを調製した。さらに、水酸化アルミニウムを50重量部加えて攪拌・分散し、ワニスDを作製した。このワニスDを用いて、ガラス織布(厚さ0.18mm、日東紡績(株)製WEA−18KRB−84)100重量部に対しワニス固形分で100重量部含浸させて、150℃の乾燥装置で5分乾燥させプリプレグbを作成した。
上記で得たガラス不織布使用プリプレグaを3枚積層した上下に、上記で得たガラス織布使用プリプレグbを各1枚重ね、更に上下に厚さ18μmの電解銅箔を重ねて、圧力2MPa、温度170℃で120分加熱加圧成形を行い、厚さ1.6mmの両面銅張積層板を得た。
(実施例2〜9及び比較例1)
表2上欄に示した配合処方で、これ以外は全て実施例1と同様の方法で両面銅張積層板を作製した。評価結果を表2下欄に示す。実施例で得られた積層板は再生充填材を含まない比較例1と較べても遜色ない良好な特性を有していることが確認できた。また、実施例1〜7のように表面層および中間層両方に配合した場合でも、実施例8、9のように表面層または中間層単独で配合した場合でも問題ないことを確認した。ただし、実施例1〜4のように、再生充填材のエポキシ樹脂およびフェノール樹脂100重量部に対する配合量が1〜200重量部、有機成分含有率が1〜20重量%、粒度分布が250μm以下の要件を満たしている場合の方が、より再生充填材を使用しないものの特性に近く、より望ましいといえる。
表2上欄に示した配合処方で、これ以外は全て実施例1と同様の方法で両面銅張積層板を作製した。評価結果を表2下欄に示す。実施例で得られた積層板は再生充填材を含まない比較例1と較べても遜色ない良好な特性を有していることが確認できた。また、実施例1〜7のように表面層および中間層両方に配合した場合でも、実施例8、9のように表面層または中間層単独で配合した場合でも問題ないことを確認した。ただし、実施例1〜4のように、再生充填材のエポキシ樹脂およびフェノール樹脂100重量部に対する配合量が1〜200重量部、有機成分含有率が1〜20重量%、粒度分布が250μm以下の要件を満たしている場合の方が、より再生充填材を使用しないものの特性に近く、より望ましいといえる。
得られた積層板の特性の測定方法は以下の通りである。
1.半田耐熱性:、JIS C 6481に準じて測定し、煮沸2時間の吸湿処理を行ったあと、260℃の半田槽に300秒浮かべた後の、外観の異常の有無を観察した。
○:異常なし、×:フクレ発生
2.難燃性:UL−94規格に従い垂直法により評価した。
3.耐トラッキング性:銅箔をエッチング後、0.1%塩化アンモニウム水溶液を50滴以上滴下しても短絡しなかった時の印加電圧値を求めた。
4.銅箔引き剥がし強度:JIS C 6481に準じて測定した。
5.電気絶縁性:常態での体積抵抗率をJIS C 6481に準じて測定した。
6.耐クリープ性:60×10mmの試験片の57mmの位置に、20gのおもりを取り付け、150℃の雰囲気中にて15分処理後のたわみ量を測定した。
1.半田耐熱性:、JIS C 6481に準じて測定し、煮沸2時間の吸湿処理を行ったあと、260℃の半田槽に300秒浮かべた後の、外観の異常の有無を観察した。
○:異常なし、×:フクレ発生
2.難燃性:UL−94規格に従い垂直法により評価した。
3.耐トラッキング性:銅箔をエッチング後、0.1%塩化アンモニウム水溶液を50滴以上滴下しても短絡しなかった時の印加電圧値を求めた。
4.銅箔引き剥がし強度:JIS C 6481に準じて測定した。
5.電気絶縁性:常態での体積抵抗率をJIS C 6481に準じて測定した。
6.耐クリープ性:60×10mmの試験片の57mmの位置に、20gのおもりを取り付け、150℃の雰囲気中にて15分処理後のたわみ量を測定した。
本発明は、熱硬化性樹脂と充填材から構成されるプラスチックのリサイクル方法として有用であり、該プラスチックをフェノール化合物を必須成分とする溶媒中で分解および/または可溶化して得られる再生充填材を、積層板用樹脂組成物の充填材として再利用することで、該樹脂組成物を基材に含浸させて得られるプリプレグを1枚または2枚以上含んで積層成形してなる積層板の諸特性が、再生充填材を含まないものと比較しても遜色のないものとして得ることができる。このように、プラスチック廃棄物に含まれる充填材を有効な資源として再利用することができる。
Claims (7)
- (A)フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、熱硬化性樹脂と充填材を含むプラスチックを分解および/または可溶化して得られる再生充填材と、(B)エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂と、を必須成分とすることを特徴とする積層板用樹脂組成物。
- 前記(A)再生充填材における熱硬化性樹脂がフェノール樹脂および/またはエポキシ樹脂である請求項1記載の積層板用樹脂組成物。
- 前記(A)再生充填材は、前記プラスチックに含まれる充填材と前記熱硬化性樹脂を含む有機成分とが複合されたものである請求項1または請求項2に記載の積層板用樹脂組成物。
- 前記有機成分が前記(A)再生充填材に1〜20重量%含むものである請求項3に記載の積層板用樹脂組成物。
- 前記(A)再生充填材の粒度分布が250μm以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物をガラス織布および/またはガラス不織布に含浸させて得られるプリプレグ。
- 請求項6に記載のプリプレグ一枚または二枚以上を含んで積層成形してなる積層板。
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JP2005092730A JP2006273949A (ja) | 2005-03-28 | 2005-03-28 | 積層板用樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110300493A (zh) * | 2018-03-22 | 2019-10-01 | 太阳油墨制造株式会社 | 干膜、固化物和电子部件 |
-
2005
- 2005-03-28 JP JP2005092730A patent/JP2006273949A/ja active Pending
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