JP2006273740A - 抗hmw−maa抗体を結合した磁性微粒子を含むリポソーム - Google Patents

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【課題】 抗HMW−MAA抗体を用いた、悪性黒色腫細胞の効果的かつ低副作用の処置方法やその処置のための医薬組成物を提供する。
【解決手段】 抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソーム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソーム、それを含む医薬組成物、及びその製造方法に関する。
温熱療法は、有望ながん療法である(非特許文献1及び2)。しかし、周囲の健康な組織に損害を与えることのない温度にまで、局所の腫瘍領域だけを加熱することが困難であるという技術的な課題があった(非特許文献3及び4)。
この課題を克服するために、温熱療法には磁性微粒子が用いられている。磁性微粒子を腫瘍組織のみに蓄積させることができれば、ヒステリシスロスによって交番磁場(AMF)において発熱を生じさせて、がんに特異的な温熱療法を達成することができる(非特許文献5)。
そこで、細胞内温熱療法のメディエーターとして、マグネタイト陽イオン性リポソーム(MCL)が開発されている(非特許文献6−8)。これらのMCLは、腫瘍細胞への吸着および取込みが改善されており、中性に荷電したマグネタイトリポソームに比べて10倍高い腫瘍細胞に対する親和性を有する(非特許文献6)。
MCL介在温熱療法は、B16マウスメラノーマ(非特許文献9)、T−9ラット神経膠腫(非特許文献8)、Os515ハムスター骨肉腫(未発表の結果)およびウサギ舌のVX−7扁平上皮がん(非特許文献10)を含む、数種類の腫瘍を有する動物において効果を示すことが知られている。
しかし、MCL介在温熱療法が腫瘍の完全寛解を誘導するために非常に有効であることが確認されているにもかかわらず、これらのMCLには、直接腫瘍組織に注入しなければならないという欠点があった。
この欠点を克服するために、磁性微粒子を含む抗体コンジュゲートリポソーム(イムノリポソーム)が開発され、すでに、ヒト神経膠腫細胞に対するマウスG22モノクローナル抗体(MAb)(非特許文献11)及びヒト腎細胞がん腫に対するマウスG250MAb(非特許文献12)を用いるイムノリポソームが構築され、そして、動物モデルを用いてそれらの腫瘍特異的ターゲッティング能力を明らかにした。
HMW−MAA(High Molecular Weight-Melanoma Associated Antigen)は、分子量280kDのコア蛋白質と440kDのプロテオグリカンの複合体であり、悪性黒色腫(メラノーマ)細胞に高率で存在し、正常組織は毛嚢などのごく限られた部位のみに発現していることが知られている。悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの一種であり、その治療法として、HMW−MAAに対するモノクローナル抗体の使用、アイソトープや毒素と結合した該抗体の使用が検討されたが、抗体単独では治療効果を有していないことや結合抗体では効果や副作用の問題があることが判明している(非特許文献13)。したがって、抗HMW−MAA抗体を用いる、効果的かつ低副作用の悪性黒色腫の治療法は知られていない。
ジェイ・バンダージー(J. Van der Zee)著、アニュアルズ・オブ・オンコロジー(Annals of oncology)、13巻、1173−1184頁、2002年 ピー・モローズら(P. Moroz et al)著、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ハイパーサーミア(International journal of hyperthermia)、18巻、267−284頁、2002年 エー・ジョーダンら(A. Jordan et al)著、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ハイパーサーミア(International journal of hyperthermia)、9巻、51−68頁、1993年 ティー・ミナミムラら(T. Minamimura)著、アニュアルズ・オブ・オンコロジー(Annals of oncology)、16巻、1153−1158頁、2000年 エム・シンカイら(M. Shinkai et al)著、日本ハイパーサーミア学会誌、10巻、168−177頁、1994年 エム・シンカイら(M. Shinkai et al)著、日本癌学会誌、87巻、1179−1183頁、1996年 エム・ヤナセら(M. Yanase et al)著、日本癌学会誌、88巻、630−632頁、1997年 エム・ヤナセら(M. Yanase et al)著、日本癌学会誌、89巻、463−469頁、1998年 エム・スズキら(M. Suzuki et al)著、メラノーマ・リサーチ(Melanoma Research)、13巻、129−135頁、2003年 エイチ・マツノら(H. Matsuno et al)著、日本ハイパーサーミア学会誌、17巻、141−150頁、2001年 ビー・レら(B. Le et al)著、化学工学会誌、34巻、66−72頁、2001年 エム・シンカイら(M. Shinkai et al)著、日本癌学会誌、92巻、1138−1145頁、2001年 斎田ら編、「悪性黒色腫の診断・治療指針」、影下登志郎著、III 治療−悪性黒色腫治療の新展開、10 液性免疫療法、遺伝子治療、153−157頁、2001年3月、金原出版
したがって、本発明の課題は、抗HMW−MAA抗体を用いた、HMW−MAAを発現する細胞、特に悪性黒色腫細胞の効果的かつ低副作用の処置方法やその処置のための医薬組成物を提供することである。
本発明者等は、上記の課題を達成するために鋭意検討したところ、予想外にも、抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソームを用いる温熱療法が、HMW−MAA発現細胞の強い傷害効果を有するという知見を得て、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、下記の(1)〜(3)である。
(1)抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソーム。
(2)上記(1)に記載のリポソームを含む、医薬組成物。
(3)磁性微粒子を含むリポソームを抗HMW−MAA抗体と接触させることを含む、上記(1)に記載のリポソームを製造するための方法。
本発明により、HMW−MAAを発現する細胞、特に悪性黒色腫細胞を効果的に検出又は殺傷できるので、悪性黒色腫治療の診断と治療を効果的かつ低副作用で行うことができる。
本発明は、抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソームに関する。
HMW−MAAは、分子量280kDのコア蛋白質と440kDのプロテオグリカンの複合体であり、悪性黒色腫(メラノーマ)細胞にほぼ特異的に存在する。
本発明において、抗HMW−MAA抗体とは、HMW−MAAを抗原として作製された抗体をいい、従来公知の任意の方法を用いて調製することができる。抗体は、モノクローン又はポリクローンのいずれも、本発明に用いることができる。モノクローンの抗HMW−MAA抗体として、例えば、149.53、225.28S、VT68.2、TP41.2、VT1.3、TP61.5、TP32が挙げられ、好ましくは、149.53、225.28SおよびVT68.2である。
本発明に用いる磁性微粒子としては、電磁波を吸収して発熱し、人体に無害なものであれば、使用することができるが、特に人体に吸収されにくい周波数の電磁波を吸収して発熱するものが有利であり、なかでも強磁性微粒子は、電磁波の吸収効率が良好であることから好ましく使用でき、例えば、マグネタイト、フェライトなどのセラミックあるいはパーマロイなどの強磁性金属等を例示できる。前記磁性微粒子は、100μm以下、特に1μm以下の粒径であることが望ましい。
本発明に用いる磁性微粒子を含むリポソームは、公知の方法で製造できる中性、正又は負の電荷を持った任意のものであり得るが、特に好ましいものは、中性の電荷をもった脂質膜(リポソーム)を利用して、これで磁性マグネタイトを被覆することにより調製したマグネタイトリポソーム(ML)である。
本発明に用いる抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソームは、磁性微粒子を含むリポソームの表面に抗HMW−MAA抗体を結合したものであり、後述する方法により製造することができる。
抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソームは、HMW−MAAをその表面上に発現する細胞、特に悪性黒色腫細胞の付近に選択的に集中するので、MRIなどの造影剤として用いることにより、悪性黒色腫の診断を行うことができると同時に、電磁場におくことにより、悪性黒色腫細胞以外を加熱することなく悪性黒色腫の温熱療法を行うことができる。
本発明で使用する電磁場としては、高周波磁場を用いることが好ましく、特に、周波数が1KHz〜10MHzの電磁波による高周波磁場であることが好ましい。1KHzより高い周波数の高周波磁場が好ましい理由は、磁気ヒステリシス加熱の効率が高いからであり、10MHzより低い周波数の高周波磁場が好ましい理由は、誘導電流による生体の発熱を抑制したまま磁性微粒子を加熱することができるからである。
したがって、本発明の抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソームを含有する医薬組成物は、HMW−MAAをその表面上に発現する細胞、特に悪性黒色腫細胞の処置又は診断に適用することができる。
次に本発明のリポソーム医薬組成物を悪性黒色腫治療に用いる際の処方や用法について説明する。
本発明の医薬組成物の形態は特に限定されず、経口投与のための製剤としては例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤などが挙げられ、非経口投与のための製剤としては例えば、注射剤、点滴剤、座剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経皮吸収剤、点鼻剤、点耳剤などが挙げられる。本発明のリポソーム組成物はリポソームを分散形態で含み得、分散する溶媒としては、水系溶媒、例えば、蒸留水;生理的食塩水;リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝液などを使用することができる。このような水系溶媒のpHは5〜10が挙げられ、好ましくは6〜8である。
本発明の医薬組成物の形態、使用すべき製剤用添加物、製造方法などは、いずれも当業者が適宜選択可能である。本発明の医薬組成物の投与量は、患者の性別、年齢または体重、症状の重症度、予防または治療といった投与目的、あるいは他の合併症状の有無などを総合的に考慮して適宜選択することができる。投与量は、一般的には、0.001μg/kg体重/日〜1000μg/kg体重/日、好ましくは0.001μg/kg体重/日〜100μg/kg体重/日である。
また、本発明は、抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソームを製造するための方法にも関し、該方法は、磁性微粒子を含むリポソームを抗HMW−MAA抗体と接触させることを含む。
本発明の製造方法は、好ましくは、たとえば、特開平3−128331号公報に記載されている方法、すなわち、磁性微粒子に二官能性架橋剤を結合させた後、これに抗HMW−MAA抗体を反応させることを含む。磁性微粒子が、強磁性金属である場合には、前記強磁性金属に酸化処理を施して表面に酸化被膜を形成した後、二官能性架橋剤を結合させることが有利である。二官能性架橋剤を結合させる方法としては、例えば、磁性微粒子にγ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびグルタルアルデヒドを順に結合させる方法、ビニルアルデヒドおよびアクリルアルデヒドを順に結合させる方法、あるいはアミノシランおよびポリエチレングリコールを順に結合させる方法等を使用することが有利である。また、本発明の製造方法は、特に好ましくは、以下の方法である:抗体をN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)によって処理する;それから、SPDP修飾抗体を1,4−ジチオスレイトールも用いて還元する;還元した抗体を磁性微粒子を含むリポソームに添加する;続いて、ナトリウムリン酸緩衝液中でインキュベーションする。
調製例 実験材料
(培養細胞)
MV3ヒトメラノーマ細胞は、10%牛胎児血清および抗生物質(100U/mlペニシリンGおよび0.1mg/mlストレプトマイシン)添加RPMI 1640培地(ギブコBRL製、ゲーサーズバーグ、メリーランド)中で培養した。細胞は、5%COを含む雰囲気中、37℃で増殖させた。
(抗体)
抗HMW−MAA抗体として149.53、225.28SおよびVT68.2を、対照としてマウスIgGを用いた。抗HMW−MAA抗体149.53、225.28S、VT68.2は米国Roswell Park Cancer Institute、免疫学教室のSoldano Ferrone主任教授より供与された。抗体の製造方法は以下の如くである。すなわち、Ferrone教授がすでに作製している抗体産生ハイブリドーマ細胞1×10-5−1×10-6個をBalb/cマウスの腹腔内に接種し、腹水を産生させた。得られた腹水を60mMの酢酸緩衝液(pH4.5)で5倍に薄め、その溶液に25μl/mlのカプリル酸をゆっくり加え、IgG以外の蛋白を沈殿させた。10,000G、30分(4℃)で遠沈した後、上清を濾過後、1Mトリス緩衝液(pH10.9−11)でpH7.5に調整し、0.277g/mlの硫酸アンモニウムをゆっくり加え上清中のIgG蛋白を沈殿させた(4℃)。10,000G、30分(4℃)で再び遠沈後、上清を除いた。得られた沈殿物(抗体)をリン酸緩衝液(PBS)で再び溶解し、透析チューブ(M.W.12,000−14,000)に入れ、4℃、6LのPBSの中で24時間透析した。この際、リン酸緩衝液は数回交換し、硫酸アンモニウムがリン酸緩衝液中に検出されないことを確認した。このようにして精製された抗体の濃度を分光光度計にて測定した。マウスIgGは、Chemicon社(米国)製を使用した。
(磁性微粒子を含むリポソーム)
磁性微粒子を含むリポソームとしてのMLは、以下の方法で製造した。
磁性微粒子(10nmマグネタイト:戸田工業株式会社製)を脱イオン水での洗浄を十分に行って余分なイオン成分を取り除き、超音波処理を行うことにより、水に分散するマグネタイト溶液を作製した。ホスファチジルコリン/ホスファチジルエタノールアミン(比、2:1)およびN−(6−マレイミドカプロイルオキシ)−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンからなる脂質混合物からナス型フラスコ内壁にリン脂質膜を作成した。このリン脂質膜に上記の方法で作製したマグネタイト溶液を加え、ボルテックス撹拌しながら膜を膨潤させた。膨潤させた膜と磁性微粒子に15分間の超音波処理を施し(28W)、その後10倍濃度の生理食塩水(PBS)200μlを加え、生理食塩水中に分散している状態にした。さらに超音波処理を15分間行い(28W)、マグネタイトリポソーム(ML)を得た。
実施例1
抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソーム(MML: anti-melanoma magnetoliposome)の製造
上記した3種の抗HMW−MAA抗体のそれぞれをN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)によって処理した。それから、SPDP修飾抗体を1,4−ジチオスレイトール(25mM))を用いて還元した。還元した抗体を70μg抗体/mgマグネタイトの濃度でMCLに添加した。続いて、リン酸ナトリウム緩衝液中で4℃で20時間インキュベーションし、MMLを製造した。対照としてのマウスIgGも同様にしてMCLに結合し、マウスIgGを結合した、磁性微粒子を含むリポソームを製造した。
実施例2 MV3細胞によるMMLの取り込み
20pgマグネタイト/細胞(0.11μg抗体/ml)の濃度で各MMLを含む実験的培地を用いて、MV3細胞を2×10細胞/ウェルの濃度で6ウェル細胞培養プレートに播種し、往復シェーカー(SHK−320、旭テクノグラス製、70rpm)によって、37℃で穏やかに振盪しながらインキュベーションした。1,3,6又は24時間インキュベーション後に、細胞をPBSで2回洗浄し、ラバーポリスマンを使用して回収し、MV3細胞による磁性微粒子のMML介在取り込みをみるため、マグネタイト濃度を測定した。マウスIgGを結合した、磁性微粒子を含むリポソームもMMLと同様にしてマグネタイト濃度を測定した。
マグネタイト濃度測定に基づく、MV3細胞による磁性微粒子の取り込みを図1に示す。MMLについては、3種のどの抗体を用いた場合も同様に、磁性微粒子は急速にMV3細胞内に取り込まれ、最大取り込みは、インキュベーション3時間後に、総添加磁性微粒子(20pgマグネタイト/細胞(0.11μg抗体/ml))の約65%であった。他方、マウスIgGを結合した、磁性微粒子を含むリポソームについては、総添加磁性粒子の16.6%が取り込まれたにすぎない。
実施例3 磁性微粒子誘導温熱療法
MMLを用いるインビトロの温熱療法実験を行った。方法を概略すると、MV3細胞を、MMLでの処理の前に、サブコンフルエントまで培養した。次に、細胞を、20pgのマグネタイト/細胞(0.11μg抗体/ml)の濃度でMMLを含む実験的培地で培養した。MMLを含む培地での培養開始の4時間後に、細胞をマイクロ遠心チューブに集め、穏やかに遠心分離し、細胞ペレットを形成させた。チューブを、高周波磁場発生器(360kHz、120Oe、第一高周波製)のコイルの中央に配置した。細胞ペレットの温度を光ファイバ・プローブ(安立計器)をその中央に挿入することで測定し、手動で磁場強度を調整することによってペレットを恒温に維持した。交番磁場(AMF)照射時間は、30分であった。AMF照射の間、周囲温度を37℃に維持した。マウスIgGを結合した磁性微粒子を含むリポソームについても同様に処理した。処理した細胞を2×10細胞/ウェルで6ウェル細胞培養プレートに再播種した。生細胞数を、血球計数盤を用いるトリパンブルー排除方法で測定した。
交番磁場(AMF)が、MMLによって処理されたMV3細胞において熱を生じるか否かをチェックするため、細胞の温度を観察した。図2は、360kHzおよび120OeでのAMF照射の間のMMLで処理された細胞ペレットの温度を示す。熱は、MML(225.28S)を取り込んでいるMV3細胞において発生した。これらの細胞の温度は急速に上昇し、42.5℃に達した。そして、それは温熱療法に有効な温度であって、AMFの強さを制御することによって30分の間のその温度に維持された。対照的に、マウスIgGを結合した磁性微粒子を含むリポソームで処理された細胞においては、AMF照射の間の温度は1℃増加したに過ぎなかった。
図3は、AMF照射の後の生細胞数を示す。生細胞数は、血球計数盤を用いるトリパンブルー排除方法で測定した。MV3細胞がマウスIgGを結合した磁性微粒子を含むリポソーム(ML)で処理され、AMFによって1回照射を受けるとき、未処置のコントロールと比較して、有意な成長阻止は観察されなかった。対照的に、細胞がMML(使用抗体は225.28S)によって処理されるとき、生細胞数は未処置のコントロールの約4分の1に減少した。また、MML処理24時間後であってもMV3細胞には温熱療法に充分な量(6pgマグネタイト/細胞)の磁性微粒子が残存していたこと(図1)から反復温熱療法もおこなった。AMF照射を24時間の間隔で2回繰り返したとき、図2に示すものと同様の温度プロフィールを示し(データは示さず)、生細胞数の激しい減少を引き起こし、そして細胞増殖が少なくとも8日間強く抑制された。そして驚くべきことに、3回AMF照射を繰り返すことで、MV3細胞は死滅するという格別の効果が見られた。これらの結果は、MMLによって処理されたHMW−MAAを過剰発現するがん細胞がAMF照射によって特異的に加熱され、そして、MMLによって介在されるその温熱療法が強い抗がん効果を有することを示唆する。
本発明により、悪性黒色腫治療を効果的かつ低副作用で行うことができる医薬組成物を提供できる。
図1は、MV3細胞による磁性微粒子の取り込みを示す。黒丸は抗HMW−MAA抗体149.53、黒三角は抗HMW−MAA抗体225.28S、黒四角は抗HMW−MAA抗体VT68.2、白丸はマウスIgGをそれぞれ結合した磁性微粒子を含むリポソームを介在した、MV3細胞による磁性微粒子の取り込みを示す。 図2は、抗HMW−MAA抗体を結合した磁性微粒子を含むリポソーム(MML)によって誘導される温熱療法の結果を示す。MML(225.28S:黒四角)及びマウスIgGを結合した磁性微粒子を含むリポソーム(黒丸)で処理し、4時間のインキュベーションの後、細胞を回収し、交番磁場(AMF)で30分照射した場合の細胞ペレットの温度上昇を示す。 図3は、AMF照射後の精細胞数を示す。MML(225.28S:黒四角)及びマウスIgGを結合した磁性微粒子を含むリポソーム(ML:黒丸)処理の場合のAMF1回照射後の生細胞数を示す。24時間の間隔で、もう一回、AMF照射(磁場照射2回(白四角))あるいはもう二回AMF照射(磁場照射2回(黒三角))に付した場合の生細胞数も示す。

Claims (3)

  1. 抗HMW−MAA抗体を結合した、磁性微粒子を含むリポソーム。
  2. 請求項1に記載のリポソームを含む、医薬組成物。
  3. 磁性微粒子を含むリポソームを抗HMW−MAA抗体と接触させることを含む、請求項1に記載のリポソームを製造するための方法。
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