JP2006267894A - 定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定着ローラの両端部の異常な過加熱を有効に抑制することができるようにする。
【解決手段】 誘導コイル34からの磁気による誘導加熱によって昇温される定着部材30と、この定着部材30に当接して用紙Pを通過させるニップ部Nを形成する加圧部材40とを備えてなる定着装置30であり、当該定着部材30の構成要素である加熱層32は、誘導コイル34側に形成された感温金属からなる感温金属層321と、この感温金属層321に積層された非磁性金属からなる非磁性金属層322とから構成されている。非磁性金属層322は、比抵抗値が小さい金属であるアルミニウム(Al)によって形成され、かつ、厚み寸法が誘導加熱で実質的に温度を上昇させることのない50μmに設定されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複写機やファクシミリ装置、プリンタ等の画像形成装置に適用される定着装置に関するものであり、特に誘導加熱によってトナー像の被転写材に対する定着処理を施す定着装置に関するものである。
画像形成装置は、画像情報に基づく光線を回転している感光体ドラムの周面に照射し、これによって前記周面に形成された静電潜像に現像剤としてのトナーを供給してトナー像を形成させるようになされている。感光体ドラムの周面に形成されたトナー像は、搬送されてきた被転写材としての用紙に転写され、定着装置において加熱による用紙への定着処理が施されるようになっている。定着処理済みの用紙は装置本体から外部に排出される。
定着装置は、通常、高温に加熱される定着ローラと、周面がこの定着ローラの周面に当接状態で対向配置された加圧ローラとを備えて構成され、これら両ローラ間のニップ部に用紙を供給することによって定着処理を施すようになっている。従来、定着ローラの加熱源として当該定着ローラに内装されたハロゲンランプが採用されていたが、熱効率が劣り、かつ、ウォームアップ(加熱の立ち上がり)に長時間を要することから迅速性に欠けるという欠点がある。かかる欠点を解消するべく定着ローラの低熱容量化や薄肉化が図られているが、それにも限界がある。
そこで、近年、特許文献1に記載されているような誘導加熱により定着ローラを加熱する誘導加熱方式の定着装置が注目されている。この誘導加熱方式の定着装置は、定着ローラが良熱伝導性でかつ非磁性の中空金属ローラと、この中空金属ローラ外周に形成された磁性金属からなる磁性金属薄層とから構成されている。かかる定着ローラの内部に誘導コイルが設けられ、この誘導コイルの励起によって磁性金属薄層に渦電流を発生させることによるジュール熱で定着ローラを加熱するようになっている。
かかる誘導加熱方式の定着装置を採用することにより、従来のハロゲンランプ方式のものに比べて定着ローラの昇温速度が格段に速くなるため、定着装置のウォームアップの迅速化が実現するが、あまりに迅速に昇温するため定着ローラが過加熱されるという新たな問題点が提起される。かかる問題点を解消するために、定着ローラの温度をサーミスタやサーモスタット等の温度センサで検出し、予め設定された温度以上に高温になった場合に誘導コイルへの電力の供給を遮断するフィードバック制御が採用されるが、タイムラグによってこれら温度センサの検出信号の出力が誘導加熱による温度上昇に追随することができず、定着ローラが過加熱されてしまうことがあるという不都合が存在する。
また、薄肉化に伴い定着ローラは、長手方向に向かう熱の移動がスムーズに行われ難くなる傾向となるため、加熱幅より小さい用紙を連続通紙した場合、用紙の通過する頻度が少ない両端部に熱がこもりがちになり、この状態で幅広の用紙に定着処理を施すと、当該用紙のトナー像が定着ローラに融着してしまって次の用紙に転写される、いわゆるオフセット現象が生じるなどの画像不良を引き起こすという不都合も発生する。
このような不都合を解消するために、特許文献2には、定着ローラを筒状の感温金属製の感温金属層と、この感温金属層の外周面に同心で積層されてなる非磁性金属製の非磁性金属層とから構成し、筒状を呈した感温金属層の内部には磁気を発生させる誘導コイルの設けられたものが記載されている。かかる定着ローラにおいて、感温金属層の厚み寸法t(m)は、以下の不等式を満足するように設定されている。
503×√(ρ/(μs×f))<t<503×√(ρ/(1×f))
(但し、ρ:整磁合金の固有抵抗(Ω・m)、f:誘導コイル電源周波数(Hz)、μs:整磁合金のキュリー温度以下の比透磁率)。
なお、この式において「503×√(ρ/(μs×f))」は、感温金属層がキュリー温度(転移温度)以下のときの磁気の浸透深さであり、「503×√(ρ/(1×f))」は、感温金属層がキュリー温度以上のときの磁気の浸透深さである。
そして、このように構成された定着ローラを採用することにより、感温金属層がキュリー温度以下のときは、磁界の浸透深さが感温金属層の厚みより小さくなるため、これによって発生する渦電流に対する負荷(電気抵抗)が増大し(すなわち、狭い領域に電流が流れることにより渦電流密度が増大して負荷が増大し)、磁気の流れが電気抵抗の大きな感温金属層内を軸方向に走るようになり、これによって渦電流に起因した負荷による大きな発熱量(ジュール熱)により感温金属層は速やかに加熱されることになる。
この加熱によって感温金属層の温度がキュリー温度を越えると、磁気の浸透深さが感温金属層の厚みより大きくなるため、磁気は、非磁性でかつ感温金属層より低抵抗率の非磁性金属層にまで到達して当該低抵抗率の非磁性金属層を軸心方向に向けて走ることになり、これよって発熱量が抑えられて定着ローラの過加熱が抑制されることになる。
従って、このような定着ローラを採用すれば、定着ローラの温度をサーミスタやサーモスタット等の温度センサで検出して当該定着ローラの温度を抑える制御を行うことなく(すなわち、制御を行った場合には検出信号の出力遅れによるタイムラグが生じるが、かかるタイムラグのない状態で)、定着ローラが過加熱するのを防止することが可能になるという作用効果が得られる。
因みに、特許文献1に記載の定着ローラにあっては、感温金属層として鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金が採用されていると共に、非磁性金属層としてアルミニウム(Al)が採用されている。
特開平9−127810号公報 特開2004−151470号公報
しかしながら、たとえ上記の不等式を満足させるべく定着ローラの材質および寸法を設定すると共に、アルミニウム(Al)によって非磁性金属層(以下アルミニウム層という)を形成したとしても、定着処理のための誘導コイルの励磁で感温金属層の温度がキュリー温度を越えた場合、磁気が感温金属層を越えて低抵抗率のアルミニウム層を軸心方向に縦断するため、なるほど渦電流によるジュール熱の発生を低く抑えることはできるものの、必ずしも発熱が生じなくなる訳ではなく、引用文献2の図6に示された「経過時間に対する定着ローラの加熱温度の状態を示すグラフ」で明らかなように、時間の経過と共に定着ローラの温度は上昇を続けるのである。
従って、たとえ引用文献2の誘導加熱方式の定着装置を採用しても、定着処理を継続し続けると、その継続時間がそれ程長くなくても定着ローラが過加熱されてしまい、特に用紙の通過で熱が逃される中央部を除いた定着ローラの両端部の温度上昇が著しくなってしまうという問題点を有している。
かかる問題点を解消するために、比抵抗の値が低い非磁性金属製のアルミニウム層の厚み寸法を、当該アルミニウム層を構成するアルミニウムの最深浸透深さにまで厚くすることが考えられる。その理由は、渦電流負荷(Ω)は、アルミニウム層が磁気の浸透深さを越える厚み寸法である場合には、当該磁気の浸透深さによって決まるのであるが、アルミニウム層の厚み寸法が磁気の浸透深さ未満の場合にはアルミニウム層の厚み寸法に反比例するため、アルミニウム層の厚み寸法を薄くしていけば、渦電流負荷が大きくなってジュール熱による発熱量が多くなり、これによって定着ローラの過加熱を有効に防止することが困難になるからである。
実際、引用文献2の発明においては、アルミニウム層の厚み寸法は、磁気の浸透深さを大きく越えた0.7mmに設定されている。
しかしながら、アルミニウム層の厚み寸法を0.7mmなどという厚い寸法に設定すると、定着ローラの全体的な熱容量が大きくなり過ぎ、これによって定着ローラを迅速に昇温させる上でネックになるという新たな問題点が提起される。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、非磁性金属としてアルミニウムを用いることを前提とし、その厚み寸法を磁気の浸透深さより相当薄くすることによっ定着部材の加熱立ち上がり時の昇温速度の迅速化を達成した上で定着ローラの過加熱(特に両端部の過加熱)を有効に抑制することができる定着装置を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、転写されたトナー像を被転写材に熱処理で定着させる定着部材と、この定着部材に当接して被転写材を通過させるニップ部を形成する加圧部材とを備えてなる定着装置であって、前記定着部材は、表面側に被転写材が当接される円筒状の金属層と、この金属層に向けて磁気を供給して誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記金属層は、前記誘導コイル側に形成された感温金属からなる感温金属層と、この感温金属層に積層された非磁性金属からなる非磁性金属層とからなり、前記非磁性金属層は、アルミニウムによって形成され、かつ、誘導加熱で実質的に温度が上昇しない厚み寸法に設定されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、定着部材と加圧部材とが互いに当接したニップ部へ被転写材が供給されることにより、当該被転写材は、誘導コイルからの磁気を得て誘導加熱で昇温した定着部材によって加熱され、これによって被転写材に転写されているトナーが溶融して被転写材に溶着した状態になる定着処理が被転写材に施される。
そして、定着部材の構成要素である金属層は、誘導コイル側に形成された感温金属からなる感温金属層と、この感温金属層に積層された非磁性金属からなる非磁性金属層とから構成されているため、感温金属層の厚み寸法を、キュリー温度以下の条件下における磁気の浸透深さを表す「503×√(ρ/(μ×f))」(但し、ρ:感温金属の固有抵抗(Ω・m)、f:誘導コイル電源周波数(Hz)、μ:感温金属のキュリー温度以下の比透磁率)以上に設定すると共に、キュリー温度以上の条件下における磁気の浸透深さを表す「503×√(ρ/(1×f))」以下に設定することにより、キュリー温度以下の条件下(すなわち、誘導コイルの励起によって定着ローラが昇温しつつある状態で)において磁気は感温金属層内で感温金属層内を走ることになり、これによる感温金属層内での渦電流の発生で金属層の迅速な温度上昇が実現する。
これに対し、感温金属層の温度がキュリー温度を越えると、磁気の浸透深さは感温金属層の厚み寸法を越えた「503×√(ρ/(1×f))」になるため、磁気は感温金属層を越えて非磁性金属層に到達し、この非磁性金属層内を走ることになる。そして、この状態において、アルミニウムにより形成された非磁性金属層は、誘導加熱で実質的に温度が上昇しない厚み寸法に設定されているため、従来のようにアルミニウムの厚み寸法を磁気の浸透深さ近辺の厚さに設定した場合に比較し、定着部材の誘導加熱における迅速な昇温速度を確保した上で、当該定着装置が所定の温度にまで到達した後の昇温をさらに効果的に抑えることが可能になる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記非磁性金属層は、厚み寸法の下限値が50μmに設定されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、アルミニウムにより形成された非磁性金属層は、誘導加熱による過加熱を抑え得る、種々の確認試験の結果得られた50μmを下限値としているため、金属層の温度上昇を抑えた上で、非磁性金属層の厚み寸法を最大限の薄さにすることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記金属層は、筒心回りに回転可能に構成された定着ローラによって構成されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、円筒状の定着ローラの内部に誘導コイルを配設することで定着部材のコンパクト化が実現する。
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記金属層は、周回可能な張設される定着ベルトによって構成されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、定着部材の構成要素である定着ベルトに構造的な強度が要求されないため、感温金属層の厚み寸法を可能な限り薄肉化することができ、これによって定着ベルトの昇温速度の可能な限りの迅速化が達成される。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記定着ベルトは、前記感温金属によって形成され、かつ、所定の支持ローラ間に張設され、前記支持ローラの一方の周面に前記非磁性金属層が形成され、前記誘導コイルは、前記一方の支持ローラの周面と前記定着ベルトを介して対向配置されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、感温金属によって形成された定着ベルトは、外側で当該定着ベルトと対向した誘導コイルからの磁気によって誘導加熱されつつ所定の支持ローラ間を周回し、ニップ部において被転写材に対しトナーの定着処理を施すことになる。そして、感温金属からなる定着ベルトがキュリー温度以上になると、誘導コイルからの磁気は、定着ベルトを透過して一方の支持ローラの周面に形成された低抵抗の被磁性金属層にまで浸透するため、以後のジュール熱の発生が抑制され、定着ベルトの過加熱が抑制される。
このように、金属層を感温金属からなる定着ベルトと、この定着ベルトが張設される支持ローラの周面に形成された非磁性金属層とに別けることにより、両者が一体的に積層されている場合に比較して定着ベルトの厚み寸法をさらに薄くすることが可能であり、これによって定着ベルトの弾性撓み量を大きくすることができるため、ベルト方式の定着部材のコンパクト化に貢献する。
請求項1記載の発明の発明によれば、アルミニウムにより形成された非磁性金属層は、誘導加熱による過加熱を抑え得る、種々の確認試験の結果得られた50μmを下限値としているため、従来のようにアルミニウムの厚み寸法を磁気の浸透深さ近辺の厚さに設定した場合に比較し、定着部材の誘導加熱における迅速な昇温速度を確保した上で、当該定着装置が所定の温度にまで到達した後の昇温をさらに効果的に抑えることが可能になり、かかる異常高温に起因したオフセット現象の発生を確実に防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、定着部材の構成要素である金属層として、筒心回りに回転可能に構成された円筒状の定着ローラが採用されているため、当該円筒状の定着ローラの内部に誘導コイルを配設することで定着部材のコンパクト化を実現することができる。
請求項4記載の発明によれば、定着部材の構成要素である金属層として所定の支持ローラ間に周回可能に張設される定着ベルトが採用されているため、かかる定着ベルトに構造的な強度が要求されることはなく、これによって感温金属層の厚み寸法を可能な限り薄肉化することが可能になり、定着ベルトの昇温速度の可能な限りの迅速化を達成することができる。
請求項5記載の発明によれば、定着部材の構成要素である金属層を感温金属からなる定着ベルトと、この定着ベルトが張設される支持ローラの周面に形成された非磁性金属層とに別けることにより、両者が一体的に積層されている場合に比較して定着ベルトの厚み寸法をさらに薄くすることが可能であるため、定着ベルトの弾性撓み量を大きくすることができ、これによってベルト方式の定着部材のコンパクト化に貢献することができる。
まず、本発明に係る現像装置が適用された画像形成装置の一例であるプリンタについて図1を基に説明する。図1は、プリンタの一実施形態を示すその内部構造の概要を説明するための正面断面視の説明図である。この図に示すように、プリンタ10(画像形成装置)10は、印刷処理に供する用紙(被転写材)Pを貯留する用紙貯留部12と、この用紙貯留部12に貯留された用紙束P1から繰り出された1枚ずつの用紙Pに対して画像の転写処理を施す転写部13と、この転写部13で転写処理の施された用紙Pに対して定着処理を施す定着部14とが装置本体11に内装されると共に、定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が装置本体11の頂部に設けられることによって構成されている。
前記用紙貯留部12には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット121が装置本体11に対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット121の上流端(図1の右方)には、用紙束P1から1枚ずつの用紙Pを繰り出させるピックアップローラ122が設けられている。このピックアップローラ122の駆動によって用紙カセット121から繰り出された用紙Pは、給紙搬送路123およびこの給紙搬送路123の下流端に設けられたレジストローラ対124を介して転写部13に給紙されるようになっている。
前記転写部13は、コンピュータ等から電送された画像情報に基づき用紙Pに転写処理を施すものであり、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム心回りに回転可能に設けられた感光体ドラム131の周面に沿うように、当該感光体ドラム131の直上位置から時計方向に向けて帯電器132、露光装置133、現像装置134、転写ローラ135およびクリーニング装置136が配設されることによって形成されている。
前記感光体ドラム131は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、周面にアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。
前記帯電器132は、ドラム心回り時計方向に回転している感光体ドラム131の周面に一様な電荷を形成させるものであり、図1に示す例では、コロナ放電によって感光体ドラム131の周面に電荷を付与する方式が採用されている。なお、感光体ドラム131の周面に電荷を付与する部材として帯電器132に代えて周面が感光体ドラム131の周面と当接しながら従動回転しつつ電荷を付与する帯電ローラを採用してもよい。
前記露光装置133は、コンピュータ等の外部の機器から電送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザー光を回転している感光体ドラム131の周面に照射し、これによる感光体ドラム131周面のレーザー光が照査された部分の電荷の消去によって当該感光体ドラム131の周面に静電潜像を形成させるものである。
前記現像装置134は、感光体ドラム131の周面にトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム131の周面にトナー像を形成させるものである。
前記転写ローラ135は、感光体ドラム131の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して当該感光体ドラム131の周面に形成されているプラスに帯電したトナー像を用紙Pに転写させるものであり、トナー像の電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙Pに付与するようになっている。
従って、感光体ドラム131の直下位置に到達した用紙Pは、転写ローラ135と感光体ドラム131とによって押圧挟持されつつ、プラスに帯電した感光体ドラム131周面のトナー像がマイナスに帯電した用紙Pの表面に向けて引き剥がされ、これによって用紙Pに対し転写処理が施されることになる。
前記クリーニング装置136は、転写処理後の感光体ドラム131の周面に残留しているトナーを取り除いて清浄化するためのものである。この転写ローラ136によって清浄化された感光体ドラム131の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電器132へ向かうことになる。
前記定着部14は、転写部13によって転写処理の施された用紙Pのトナー像に加熱による定着処理を施すものであり、用紙Pに熱を加える定着部材30と、この定着部材30の下部に対向配置された加圧部材40とを有する定着装置20備えて構成されている。そして、転写処理後の用紙Pは、定着部材30と加圧部材40との間に形成されたニップ部Nへ向けて送り込まれ、当該ニップ部Nを通過することによって、定着部材30からの熱を得て定着処理が施されるようになっている。定着処理の施された用紙Pは、排紙搬送路143を通って排紙部15へ排出されることになる。
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
図2は、定着装置20の第1実施形態を示す一部切り欠き斜視概略図である。また、図3は、そのA−A線断面図であり、図4は、そのB−B線断面図である。これらの図においては、定着ローラ31および加圧ローラ軸41の厚み寸法を誇張して示している。まず、図2に示すように、定着装置20は、箱形を呈した筐体21内に定着部材30および加圧部材40が装着されることによって形成されている。
前記定着部材30は、筐体21内の上部位置に装着された筒状の定着ローラ31と、この定着ローラ31に内装された誘導コイル34とを備えている。前記定着ローラ31は、筐体21内の上部に、用紙搬送方向(図2に白抜き矢印で表示)と直交する用紙幅方向に延びた筒心310(図3)回りに回転可能に装着されている。かかる定着ローラ31は、筐体21の外部に設けられた図略の駆動モータの駆動で筒心310回りに時計方向に向けて駆動回転されるようになっている。かかる定着部材30は、本実施形態においては、外径寸法が40mmに設定されているが、定着部材30の外径寸法が40mmであることい限定されるものではなく、状況に応じて最適の径寸法を設定することができる。
前記加圧部材40は、筐体21内の下部において外周面を定着ローラ31の外周面に当接させた状態で当該定着ローラ31と平行に配設されている。かかる加圧部材40は、筐体21の両側壁間に軸心回りに回転自在に架設された加圧ローラ軸41と、この加圧ローラ軸41回りに回転可能に同心で軸支された加圧ローラ42とを備えて構成されている。
前記加圧ローラ42は、弾力性を有するシリコンゴム等のエラストマーによって形成され、これによって周面が、図3に示すように、定着ローラ31の周面に押圧当接された状態で径方向の内方に向けて弾性変形するようになっている。かかる加圧ローラ42は、定着ローラ31の筒心310回りの駆動回転に従動して回転するようになっている。加圧ローラ軸41の定着ローラ31に対して当接する位置には、用紙Pをニップして通過させるニップ部Nが形成されている。従って、定着ローラ31および加圧ローラ42が互いに逆方向に回転した状態で画像形成部13から送り込まれた用紙Pは、弾性変形している加圧ローラ軸41により表面が定着ローラ31に押圧されつつニップ部Nを通過しながら定着ローラ31により加熱され、これによって溶融したトナーが用紙Pの表面に溶着される定着処理が施されるようになっている。
前記誘導コイル34は、図2に示すように、定着ローラ31内に長手方向に延びるように装着された磁性材料性のコア341における上下の鍔部間に長手方向に向かうように巻回されている。かかる各誘導コイル34に誘導加熱用電源としての図略の高周波発生回路からの電力が供給されるようになっている。そして、誘導コイル34に誘導加熱用電力が供給されることにより、誘導コイル34のコア341の一方の鍔部から出力された磁力線の束(磁束)が、図5に矢印で示すように、定着ローラ31内を走り、誘導コイル34のコア341の他方の鍔部へ向かうことになる。そして、このような磁束の流れによって定着ローラ31内には渦電流が励起され、これによるジュール発熱で定着ローラ31が加熱されるようになっている。
前記定着ローラ31は、誘導加熱により当該定着ローラ31を加熱する金属製の加熱層(金属層)32と、この加熱層32の周面に積層された樹脂層33とを備えて構成されている。樹脂層33は、加熱層32の周面を保護するためと、用紙Pに対する剥離性を確保するために設けられるものであり、シリコンゴム等の弾性材料によって形成された弾性層331と、この弾性層331の周面に積層されたPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)等からなる剥離層332とからなっている。本実施形態においては、弾性層331は、厚み寸法が略100μmに設定されていると共に、剥離層332は、厚み寸法が略50μmに設定されている。
前記加熱層32は、図3および図4に示すように、感温金属からなる環状の感温金属層321と、この感温金属層321の外周面に積層された非磁性金属からなる非磁性金属層322(前記引用文献2の金属層に対応)とからなっている。前記感温金属は、温度により磁気特性が変化する金属のことであり、本実施形態においては鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金によって形成されたものが採用されている。このような感温金属は、磁気特性が変化する磁気転移温度(キュリー温度)を境にして、磁気の浸透深さが変化する性質を有している。本実施形態においては、感温金属を構成する鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金比率を調節することによってキュリー温度を略200℃になるようにしている。そして、本発明においては、感温金属のこのような性質を利用することによって定着ローラ31の誘導加熱による過加熱を防止するようになされている。
以下、感温金属における磁気の浸透深さについて説明する。まず、キュリー温度以下において感温金属の磁気の浸透深さσは、以下の(i)式によって表現される。
σ=503×√(ρ/(μ×f))・・・(i)
(但し、σ:磁気の浸透深さ(m)、ρ:比抵抗(Ω・m)、f:誘導加熱電源周波数(Hz)、μ:キュリー温度以下の比透磁率)
(i)式から判るように、磁気の浸透深さσは、感温金属の固有抵抗ρの平方根に比例する一方、比透磁率μおよび誘導加熱電源周波数fの平方根に反比例するようになっている。従って、感温金属において比抵抗ρの値が大きくなる程磁気の浸透深さσは深くなる一方、比透磁率μおよび誘導加熱電源周波数fが大きくなればなる程磁気の浸透深さσが浅くなるのが判る。通常、金属のキュリー温度以下の比透磁率μの値は1より相当大きい。
これに対し、感温金属の温度がキュリー温度を越えると、当該感温金属の磁気の浸透深さσは、以下の(ii)のようになる。
σ=503×√(ρ/(1×f))・・・(ii)
(但し、σ:磁気の浸透深さ(m)、ρ:比抵抗(Ω・m)、f:誘導加熱電源周波数(Hz)、μ=1:キュリー温度以上の比透磁率)
すなわち、感温金属においては、キュリー温度を越えると、比透磁率μの値が最小の「1」になってしまうため、その分磁気の浸透深さσが深くなることになる。なお、本実施形態においては、誘導加熱電源周波数fは、25kHzに設定されている。
つぎに、金属が磁界中に存在することにより励起される渦電流負荷について説明する。因みに、「渦電流負荷」という概念は、本発明をより適確に表現するために本発明者が導入したものである。渦電流負荷Rは、以下の(iii)式によって表現される。
R=ρ/z・・・(iii)
(但し、R:渦電流負荷(Ω)、ρ:比抵抗(Ω・m)、z:渦電流が発生する深さ(m))
すなわち、渦電流負荷Rは、その金属の比抵抗ρに比例する一方、渦電流発生深さzに反比例するため、同一の比抵抗ρを有する金属については、渦電流発生深さzが深くなる程渦電流負荷Rは小さくなることが判る。
ところで、渦電流発生深さzは、前記(i)式および(ii)式における磁気の浸透深さσと同一(z=σ)であるため、磁気の浸透深さσが大きくなると、渦電流負荷Rが小さくなる。このことは、感温金属の厚み寸法を(ii)式における磁気の浸透深さσより厚くすることにより、当該感温金属の温度がキュリー温度を越えるまで加熱されると、渦電流負荷Rが(iii)式によって規定され、これによって渦電流負荷Rを小さくすることができるため、渦電流に起因したジュール熱による発熱量を小さく抑え得る(すなわち、定着ローラ31の過加熱を防止できる)ことが期待されるが、このようにすると感温金属層321が相当厚い厚み寸法になってしまい、定着ローラ31の薄肉化に逆行することになる。
そこで、感温金属層321の厚み寸法を渦電流発生深さz(すなわち磁気の浸透深さσ)より薄くすると、渦電流負荷Rは、以下の(iv)式のようになる。
R=ρ/d・・・(iv)
(但し、d:感温金属層の厚み寸法d(d<z=σ))
すなわち、定着ローラ31の薄肉化を達成するために感温金属層321の厚み寸法を薄くしていくと、渦電流負荷Rが大きくなり、これによるジュール熱の増大で定着ローラ31の過加熱を有効に抑制することができなくなるのである。さらに、これに加えて、感温金属は、本来的に比抵抗の値が大きいため、感温金属層321内で渦電流が発生する限り効果的な過加熱防止効果を望むことができない。
そこで、本発明においては、図3に示すように、鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金からなる感温金属層321の厚み寸法を可能な限り薄くした上で(具体的には、前記(i)式により求めた磁気の浸透深さσより厚めに設定(本実施形態においては250μm)した上で)、当該感温金属層321の外周面に、非磁性金属であるアルミニウム(Al)製の非磁性金属層322を積層し、しかも、このアルミニウム製の非磁性金属層322の厚み寸法を最下限値である50μmに設定している。これによって感温金属層321がキュリー温度を越えた状態で、磁気を比抵抗の小さい非磁性金属層322へ導き、磁気を比抵抗の値が小さい非磁性金属層322内で走らせるようにしている。
こうすることによって、加熱層32の温度がキュリー温度を越えた状態(具体的には200℃を越えた状態)で、比抵抗の値が大きい感温金属層321内でジュール熱が発生することはなく、非磁性金属層322内でジュール熱が発生することになるが、非磁性金属層322を構成しているアルミニウム(Al)は、50μmに設定されている。この「50μm」という数値は、種々の効果確認試験を実施した結果、実質的に定着ローラ31の温度を上昇させない温度として得られた値である。
なお、本実施形態においては、感温金属層321の厚み寸法を、前記(i)式によって計算される厚み寸法(略25μm)の10倍に設定しているが、その理由は、感温金属層321に定着ローラ31がローラとして機能するための機械的な強度を維持させるためである。
図5は、本発明の作用を説明するための模式化した定着部材30の正面断面視の説明図であり、(イ)は、加熱層32の温度がキュリー温度未満の状態、(ロ)は、加熱層32の温度がキュリー温度以上の状態をそれぞれ示している。なお、図5では、樹脂層33の図示を省略している。
まず、加熱層32の温度がキュリー温度未満の図5の(イ)に示す状態においては、誘導コイル34からの磁気の浸透深さσ(前記(i)式参照)が感温金属層321の厚み寸法dを越えていないため、誘導コイル34からの磁束は、矢印で示すように、非磁性金属層322へ到達することはなく、感温金属層321内を走るため、感温金属層321内で励起された渦電流に基づくジュール熱が発生し、これによって感温金属層321は速やかに加熱される。
ついで、感温金属層321がキュリー温度として設定された200℃を越えると、誘導コイル34からの磁気の浸透深さσ(前記(ii)式参照)が非磁性金属層322の厚み寸法dを越えるため、誘導コイル34からの磁束は、図5の(ロ)に示すように、感温金属層321を通り越して非磁性金属層322へ到り、この非磁性金属層322内を走ることになる。
そして、この場合も非磁性金属層322内で渦電流によるジュール熱が発生するが、非磁性金属層322を構成する非磁性金属として比抵抗の値が低いアルミニウム(Al)が採用され、しかも非磁性金属層322内におけるキュリー温度以下の部分に磁界が集中してジュール熱による加熱パワーが落ちたり、高周波電源に設けられた負荷検知手段による過負荷の検知で誘導コイル34への電力供給が遮断されたりすることにより、定着ローラ31がキュリー温度を大幅に越えるような過加熱が有効に防止される。
その後、加熱層32の温度がキュリー温度である200℃未満になると、誘導コイル34からの磁気の浸透深さσが感温金属層321の厚み寸法dより浅くなるため、図5の(イ)の状態に戻り、再度感温金属層321におけるジュール熱による加熱が行われる。
このようなキュリー温度を境にした磁束通路の切り換えによって定着ローラ31の加熱および冷却が繰り返されることにより、特に温度センサを用いたフィードバック制御を行わなくても、定着ローラ31は、許容範囲内でばらついた温度制御が実現するため、その分装置コストの低減化に貢献することができる。
図6は、第2実施形態の定着装置20′の概略を説明するための説明図であり、(イ)は、定着装置20′の断面視の正面図、(ロ)は、定着ベルト37の拡大断面図である。まず、図6の(イ)に示すように、第2実施形態の定着装置20′においては、定着部材30′がテンションローラ(一方の支持ローラ)35と、下部でこのテンションローラ35に対向配置された定着ローラ(他方の支持ローラ)36と、これらテンションローラ35と定着ローラ36との間に張設された定着ベルト37と、前記テンションローラ35の上方位置で定着ベルト37と対向配置された誘導コイル34′とを備えて構成されている。定着装置20′のその他の構成は第1実施形態のものと同様である。
前記テンションローラ35は、テンションローラ軸351と、このテンションローラ軸351回りに同心で一体回転可能に形成された筒状の非磁性金属筒体352とからなっている。前記テンションローラ軸351は、図略の駆動モータの駆動で時計方向に向けて回転され、これによって非磁性金属筒体352がテンションローラ軸351と一体回転するようになっている。本実施形態においては、非磁性金属筒体352として厚み寸法が0.1mmに設定されたステンレススチール(SUS304)が採用されている。
前記定着ローラ36は、前記テンションローラ軸351と同一方向に向けて平行に配された定着ローラ軸361と、この定着ローラ軸361の周面に同心で一体的に形成された定着ローラ本体362とからなっている。定着ローラ本体362は、本実施形態においては、シリコンゴムの発泡体からなる、いわゆるシリコンスポンジが採用され、これによって定着ローラ本体362が定着ベルト37を介し加圧ローラ42に押圧当接された状態で当該定着ローラ本体362が径方向に向けて圧縮弾性変形するようになっている。
前記定着ベルト37は、図6の(ロ)に示すように、内面側に形成された金属層38と、この金属層38の外面側に積層された樹脂層39とを備えて構成されている。前記金属層38は、内面側のアルミニウム(Al)からなる非磁性金属層381と、この非磁性金属層381の外面側に積層された感温金属である鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金製の感温金属層382とからなっている。本実施形態においては、アルミニウム(Al)からなる非磁性金属層381の厚み寸法が50μmに設定されていると共に、感温金属層382の厚み寸法が前記(i)式によって計算される磁気の浸透深さσ(24.6μm)より僅かに大きい25μmに設定されている。これら非磁性金属層381および感温金属層382は、第1実施形態の非磁性金属層322および感温金属層321と同様の機能を有している。
前記樹脂層39は、第1実施形態の弾性層331と同様の機能を有し、かつ、同様の厚み寸法(100μm)に設定されたシリコンゴム製の弾性層391と、第1実施形態の剥離層332と同様の機能を有し、かつ、同様の厚み寸法(50μm)に設定されたPFA性の剥離層392とからなっている。
このように構成された第2実施形態の定着装置20′によれば、定着ベルト37がテンションローラ35の駆動回転により当該テンションローラ35と定着ローラ36との間で周回されている状態で、誘導コイル34′からの磁束が定着ベルト37の表面側に供給されることにより、その金属層38がキュリー温度(200℃)に到達していない状態では、感温金属層382が渦電流の励起によるジュール熱で速やかにキュリー温度にまで加熱される。
従って、この状態で用紙Pがニップ部Nに供給されると、当該用紙Pは、定着ローラ本体362が圧縮弾性変形した状態で周回している定着ベルト37と加圧ローラ42との間で押圧挟持されつつ図6における左方に向けて移動させられ、この移動中に用紙Pに対し定着ベルト37からの加熱による定着処理が施される。
そして、感温金属層382の温度がキュリー温度を越えると、誘導コイル34′からの磁気は、感温金属層382を越えて比抵抗が小さい非磁性金属層381に到達するため、ジュール熱による発熱量が少なくなると共に、非磁性金属層381における未だキュリー温度に到達していない部分に磁界が集中して加熱パワーが落ちたり、さらには高周波電源サイドでの負荷検知により誘導コイル34への電力供給が遮断されることで定着ベルト37の過加熱が防止される。定着ベルト37がキュリー温度以下になると、感温金属層382が再び誘導加熱されるため、以後、定着ベルト37はキュリー温度を境にして許容範囲内で上下にばらつきながら推移することになる。
そして、第2実施形態においては、定着ベルト37に機械的な強度が要求されないため、感温金属層382を極限の薄さ(25ミクロン)にまで薄くすることが可能になり、これによってより迅速な昇温速度を確保することができる。
以上詳述したように、本発明に係る定着装置20,20′は、誘導コイル34,34′からの磁気による誘導加熱によって昇温される定着部材30,30′と、この定着部材30,30′に当接して用紙Pを通過させるニップ部Nを形成する加圧部材40とを備えてなるものであるため、定着部材30,30′と加圧部材40とが互いに当接したニップ部Nへ用紙Pが供給されることにより、当該用紙Pは、誘導コイル34,34′からの磁気を得て誘導加熱で昇温した定着部材30,30′によって加熱され、これによって転写されているトナーが溶融して用紙Pに溶着した状態になる定着処理を当該用紙Pに施すことができる。
そして、定着部材30,30′の構成要素である加熱層32,38は、誘導コイル34,34′側に形成された感温金属からなる感温金属層321,382と、この感温金属層321,382に積層された非磁性金属からなる非磁性金属層322,381とから構成されているため、感温金属層321,382の厚み寸法dを、キュリー温度以下の条件下における磁気の浸透深さを表す前記(i)式によって計算された値(σ=503×√(ρ/(μ×f))以上に設定する(d>σ)と共に、キュリー温度以上の条件下における磁気の浸透深さを表す前記(ii)式によって計算された値(σ=503×√(ρ/(1×f))以下に設定する(d<σ)ことにより、キュリー温度以下の条件下(すなわち、誘導コイル34,34′の励起によって定着ローラが昇温しつつある状態で)において磁気は感温金属層321,382内で感温金属層321,382内を走ることになり、これによる感温金属層321,382内での渦電流の発生で加熱層32,38の迅速な温度上昇を実現させることができる。
これに対し、感温金属層321,382の温度がキュリー温度を越えると、磁気の浸透深さは感温金属層321,382の厚み寸法を越えるため、磁気は感温金属層321,382を越えて非磁性金属層322,381に到達し、この非磁性金属層322,381内を走ることになる。そして、非磁性金属層322,381は、比抵抗値が小さい金属であるアルミニウム(Al)によって形成され、かつ、厚み寸法が誘導加熱で実質的に温度を上昇させることのない50μmに設定されているため、従来のように非磁性金属層322,381の厚み寸法を磁気の浸透深さと略同一の厚み寸法(略500μm)に設定した場合に比較し、加熱層32,38の立ち上がり時の昇温速度の迅速化に貢献することができる。
そして、上記の第1実施形態においては、加熱層32は、筒心310回りに回転可能に構成された円筒状の定着ローラ31の構成要素とされているため、円筒状の定着ローラの内部に誘導コイル34を配設することで定着部材30のコンパクト化を実現することができる。
これに対し、上記の第2実施形態においては、加熱層38は、テンションローラ35と定着ローラ36との間に張設された定着ベルト37の構成要素とされているため、当該定着ベルトに構造的な強度が要求されることがないため、感温金属層382の厚み寸法を可能な限り薄肉化することができ、これによって定着ベルト37の昇温速度の可能な限りの迅速化を達成することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、画像液製装置としてプリンタ10が採用されているが、本発明は、画像形成装置がプリンタ10であることに限定されるものではなく、スキャナーによって読み取った画像情報に基づくトナー像を用紙Pに転写する複写機や、電送されてきた画像情報に基づくトナー像を用紙Pに転写するファクシミリ装置であってもよい。
(2)上記の第2実施形態において、定着ベルト37を感温金属層382のみによって構成する一方、テンションローラ35の周面に非磁性金属であるアルミニウム(Al)によって非磁性金属層を形成してもよい。かかる構成によれば、感温金属のみによって形成された定着ベルト37は、外側で当該定着ベルト37と対向した誘導コイル34′からの磁気によって誘導加熱されつつテンションローラ35と定着ローラ36との間を周回し、ニップ部Nにおいて用紙Pに対しトナーの定着処理を施すことになる。
そして、感温金属のみからなる定着ベルト37がキュリー温度以上になると、誘導コイル34′からの磁気が当該定着ベルト37を透過してテンションローラ35の周面に形成された低抵抗のアルミニウム(Al)にまで浸透するため、以後のジュール熱の発生が抑制され、定着ベルト37の過加熱を抑制することができる。
このように、加熱層を感温金属のみからなる定着ベルト37と、この定着ベルト37が張設されるテンションローラ35の周面に形成された非磁性金属層とに別けることにより、両者が一体的に積層されている場合に比較して定着ベルト37の厚み寸法をさらに薄くすることが可能であり、これによってベルト方式の定着部材30′のさらなる昇温速度の迅速化を達成することができると共に、定着ベルト37の撓み量を大きくすることが可能になり、これによるテンションローラ35および定着ローラ36の小径化で定着装置20′のコンパクト化に貢献することができる。
非磁性金属層322,381にアルミニウム(Al)を採用した場合、定着部材30,30′の過加熱を防止した上で当該非磁性金属層322,381の厚み寸法をどの程度にまで薄くすることが可能であるかを確認するために、以下の効果確認試験を実施した。
図7は、効果確認試験に用いた試験装置の概要を説明するための説明図である。この図に示すように、試験装置50は、内部に負荷検出回路511を有する誘導加熱用電源51と、この誘導加熱用電源51から供給される誘導加熱用の電力によって高周波の磁力を発生する誘導加熱コイル52とから構成されている。かかる試験装置50において、誘導加熱コイル52には、誘導加熱用電源51から周波数が25kHzの高周波電力を供給するようにした。
このような試験装置50において、誘導加熱コイル52の上方位置にテストピース53を配置した状態で誘導加熱用電源51の駆動により当該テストピース53に磁力を供給し、これによるテストピース53の温度の上昇状況を測定することによって温度上昇抑止効果を確認した。
テストピース53は、平面寸法が100mm×100mmの正方形状に設定した厚み寸法が25μmの鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金からなる感温金属層531と、この感温金属層531に積層されたアルミニウム(Al)からなる非磁性金属層532とを備えてなるものを採用した。そして、非磁性金属層532の厚み寸法については、10μm、20μm、30μm、40μm、50μmおよび60μmの6種類を設定した。そして、各種類のテストピース53について、誘導加熱を実行し、負荷検出回路511によるテストピース53の負荷の検出結果が通常負荷(感温金属層531の負荷)の30%以下になったときに温度上昇の抑止効果が認められるかを判定した。なお、30%を判断基準にした理由は以下のとおりである。すなわち、30%程度の負荷における誘導加熱による発熱量は、実際の定着装置20における放熱量とバランスしており、定着ローラ31がキュリー温度(本実施形態では略200℃)を大幅に越えて昇温されないことが各種の機種を対象とした実機試験の結果確認されたからである。試験結果は、表1に示すとおりである。
Figure 2006267894
表1に示すように、非磁性金属層532の厚み寸法が50μm以上で温度上昇の抑止効果が認められ、これによって感温金属層531としてアルミニウムを採用した場合、その厚み寸法を50μm以上に設定することにより、定着部材30,30′の過加熱を防止し得ることを確認することができた。
プリンタの一実施形態を示すその内部構造の概要を説明するための正面断面視の説明図である。 定着装置の第1実施形態を示す一部切り欠き斜視概略図である。 図1に示す定着装置のA−A線断面図である。 図1に示す定着装置のB−B線断面図である。 本発明の作用を説明するための模式化した定着部材の正面断面視の説明図であり、(イ)は、加熱層の温度がキュリー温度未満の状態、(ロ)は、加熱層の温度がキュリー温度以上の状態をそれぞれ示している。 第2実施形態の定着装置の概略を説明するための説明図であり、(イ)は、定着装置の断面視の正面図、(ロ)は、定着ベルトの拡大断面図である。 効果確認試験に用いた試験装置の概要を説明するための説明図である。
符号の説明
10 プリンタ(画像形成装置)
11 装置本体 12 用紙貯留部
121 用紙カセット 122 ピックアップローラ
123 給紙搬送路 124 レジストローラ対
13 画像形成部 131 感光体ドラム
132 帯電器 133 露光装置
134 現像装置 135 転写器
136 クリーニング装置 14 定着部
15 排紙部 151 排紙トレイ
20,20′ 定着装置 21 筐体
30,30′ 定着部材 310 筒心
31 定着ローラ 32 加熱層(金属層)
321 感温金属層 322 非磁性金属層
33 樹脂層 331 弾性層
332 剥離層 34,34′ 誘導コイル
35 テンションローラ(一方の支持ローラ)
351 テンションローラ軸 352 非磁性金属筒体
36 定着ローラ(他方の支持ローラ)
361 定着ローラ軸 362 定着ローラ本体
37 定着ベルト 38 金属層
381 非磁性金属層 382 感温金属層
39 樹脂層 391 弾性層
392 剥離層 40 加圧部材
41 加圧ローラ軸 42 加圧ローラ
50 試験装置 51 誘導加熱用電源
511 負荷検出回路 52 誘導加熱コイル
53 テストピース 531 感温金属層
532 非磁性金属層 N ニップ部
P 用紙

Claims (5)

  1. 転写されたトナー像を被転写材に熱処理で定着させる定着部材と、この定着部材に当接して被転写材を通過させるニップ部を形成する加圧部材とを備えてなる定着装置であって、
    前記定着部材は、表面側に被転写材が当接される円筒状の金属層と、この金属層に向けて磁気を供給して誘導加熱する誘導コイルとを備え、
    前記金属層は、前記誘導コイル側に形成された感温金属からなる感温金属層と、この感温金属層に積層された非磁性金属からなる非磁性金属層とからなり、
    前記非磁性金属層は、アルミニウムによって形成され、かつ、誘導加熱で実質的に温度が上昇しない厚み寸法に設定されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記非磁性金属層は、厚み寸法の下限値が50μmに設定されていることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記金属層は、筒心回りに回転可能に構成された定着ローラによって構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
  4. 前記金属層は、周回可能な定着ベルトによって構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
  5. 前記定着ベルトは、前記感温金属によって形成され、かつ、所定の支持ローラ間に張設され、前記支持ローラの一方の周面に前記非磁性金属層が形成され、前記誘導コイルは、前記一方の支持ローラの周面と前記定着ベルトを介して対向配置されていることを特徴とする請求項4記載の定着装置。
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