JP2006265620A - 低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 通常の連続焼鈍−溶融めっきラインで、安定して良好な強度−延性バランスを呈し、しかも低降伏比と優れためっき密着性を有する高張力溶融めっき鋼板を製造する。
【解決手段】 C:0.03〜0.18質量%,Si:0.1〜0.5質量%,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.03質量%以下,S:0.005質量%以下を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼板に、Fe系めっき層を形成した後、フェライト+オーステナイト二相域にて焼鈍してフェライト相を20〜50%とした後に、一次冷却として平均冷却速度5〜20℃/秒で650〜500℃まで冷却し、引続き、二次冷却として亜鉛めっき浴温度まで平均冷却速度5℃/秒以下で冷却して冷却後のフェライト相を50〜70%とし、この後に溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施して、フェライト相が60〜80%,低温変態相が10〜30%,パーライト相が10%以下の複合組織とした鋼板を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、強度と延性のバランスに優れ、かつ低降伏比を呈する自動車用鋼板,建築用構造部材および家電製品向けの低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
近年、地球環境保全の観点から燃費向上を目的として自動車の軽量化が検討されており、使用される部品の軽量化が図られている。これらの用途に用いられる鋼板には、薄肉化した際にも所望の強度を確保する観点から、高張力化が進められている。
ところで、自動車用鋼板の多くがプレス加工により成形されているため、これらの鋼板には優れたプレス成形性が求められている。優れたプレス成形性の指標となる材料特性としては、高いr値や低い表面摩擦抵抗も挙げられるが、高い延性が必要である。同時にプレス成形性を安定させるためには、鋼板の降伏応力を引張強さに比べてより低く、すなわち低降伏比化することが肝要とされている。一方、自動車部品では使用される部位により耐食性が求められる場合が多い。この場合には、溶融めっきの中でも電着塗装性に優れた合金化亜鉛めっき鋼板が使用されることが多い。
このように、自動車部品の軽量化を図る上では、延性に優れた高張力合金化亜鉛めっき鋼板が必要になっている。同時に安価に工業的に安定して製造できることも肝要である。
これらの技術的課題から、めっき素材としての高延性を示す高張力鋼板に着目した従来技術として残留オーステナイトを利用した技術が提案されている。
特許文献1では、C:0.30〜0.55%,Si:0.7〜2.0%,Mn:0.5〜2.5%を含有する鋼板をオーステナイト単相域に加熱後、650〜750℃に4〜15秒保持し、続いてその後の冷却過程の450〜650℃間で合計10〜50秒の保持を行うことにより、“マルテンサイトあるいはベイナイト中に体積%で10%以上のフェライトと残留オーステナイトを含む複合組織”を出現させて、“高延性を示す高張力鋼板”を得ることが提案されている。
また、特許文献2では、C:0.12〜0.55%,Si:0.4〜1.8%,Mn:0.2〜2.5%のほか、必要により適量のP,Ni,Cu,Cr,Ti,Nb,VおよびMoの1種以上を含む鋼板を“フェライト+オーステナイト単相域”に加熱した後、その冷却途中の500〜350℃の温度域で30秒〜30分間保持することにより、“フェライト+ベイナイト+残留オーステナイト複合組織”を出現させて、“高延性を示す高張力鋼板”を得ることが提案されている。
さらに、特許文献3には、炭化物生成の抑制と残留オーステナイトの安定化を図る元素としてSiを利用した、Si添加型の残留オーステナイト含有鋼板が提案されている。特許文献3では、さらにTi,Nbを添加し、その炭窒化物を形成させることにより耐衝撃性をより向上させることも示されている。
特開昭60−43464号公報 特開昭61−157625号公報 特開平6−145808号公報
しかし特許文献1,2で提案されている技術は、残留オーステナイトによる変態誘起塑性(TRIP)を利用して高延性を得たものであり、残留オーステナイトを得るために焼鈍およびめっき工程での温度条件が、一般の合金化亜鉛めっき鋼板と異なり、特別の熱サイクルが必要になるため製造コストの増加を招いている。具体的には、焼鈍後の冷却工程においてベイナイト変態を進行させ、残留するオーステナイト中にCを濃化させる必要がある。また、これら残留オーステナイトを含む鋼板の延性は確かに高いが、用途によっては過大な延性となる場合もある。
また、高強度化のためにFeよりも酸化されやすいSiやMnを多量に含ませているため、焼鈍時にSiやMnの酸化物が鋼板表面に生成しやすくなっている。これらの酸化物はめっきの付着性および合金速度を著しく低下させるといった弊害をもたらす。そこで、これらの改善のため、焼鈍雰囲気を制御する案も提案されているが、その効果は限定的であり、安定しためっきの付着性を確保するには不十分である。
一方、特許文献3のように、TiやNb添加に基づく炭窒化物の析出物を利用した高強度化では、降伏比が高くなる。このため、自動車鋼板の成形法として一般的に採用されているプレス成形を採用したときに形状凍結性に劣るといった問題点もある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、安定して良好な強度−延性バランスを呈し、かつ低降伏比と優れためっき密着性を有する高張力溶融めっき鋼板を、通常の連続焼鈍−溶融めっき工程により得ることを目的とする。
本発明の低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、その目的を達成するため、C:0.03〜0.18質量%,Si:0.1〜0.5質量%,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.03質量%以下,S:0.005質量%以下を含み、さらに必要に応じてCr:0.1〜0.5質量%およびMo:0.03〜0.3質量%の1種または2種を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼板に、Fe系めっき層を形成した後、フェライト+オーステナイト二相域にて焼鈍してフェライト相の体積率を20〜50%とした後に、一次冷却として平均冷却速度5〜20℃/秒で650〜500℃まで冷却し、引続き、二次冷却として亜鉛めっき浴温度まで平均冷却速度5℃/秒以下で冷却して冷却後のフェライト相の体積率を50〜70%とし、この後に溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施すことを特徴とする。
Fe系めっき層の付着量は1〜6g/m2とし、焼鈍温度は700〜900℃の範囲とすることが好ましい。
上記条件で処理された鋼板に、溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施して室温まで冷却すると、その金属組織は、体積率で、フェライト相が60〜80%,低温変態相が10〜30%,パーライト相が10%以下の複合組織となっている。
本発明では、Ti,Nb等の炭窒化物形成元素を用いず、主にCおよびSi,Mn添加による高強度化と、溶融亜鉛めっきおよび合金化処理後の組織をフェライト+低温変態相の複相組織にすることにより、低降伏比化と高延性化を達成することができている。しかも、通常の連続焼鈍−溶融めっきラインでの各段階での温度−冷却条件の厳密な制御により上記複相組織化が安定して達成できるため、強度と延性のバランスに優れ、かつ低降伏比を呈する高張力溶融亜鉛めっき鋼板を安価にかつ工業的に安定して製造することができる。
本発明者等は、Ti,Nb等の炭窒化物形成元素を添加することなくSi,Mnを含有する鋼板を原材として用い、プレス成形性に優れ、しかも所要の強度を呈するように強度と延性のバランスが取れた高張力溶融めっき鋼板を、通常の連続焼鈍−溶融めっきラインで製造する手法について種々検討を重ねてきた。
その結果、各工程における処理温度および冷却速度を厳密に規制して各工程において適切な組織を作りこむことにより、通常の連続焼鈍−溶融めっきラインでも、溶融亜鉛めっきおよび合金化処理後の組織をフェライト+低温変態相の複相組織を得ることができ、低降伏比化と高延性化を両立させた高張力溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができた。
本発明では、低降伏比化のためにTiやNb等の炭窒化物形成元素を使用せず、基本的にはCおよびSi,Mnによる高強度化を図っている。また、MnによりAr3変態点を低下させ、焼鈍後の冷却時のパーライト変態を抑制している。さらに、焼鈍後の一次冷却および二次冷却を通じてフェライト変態をより進行させ、めっき層の合金化時まで主にフェライト+オーステナイトの二相組織とし、めっき層の合金化後の冷却にて初めてオーステナイト相からマルテンサイト+ベイナイトの低温変態相を生じさせることにより、最終的に、フェライトと低温変態相からなる複相組織を有する、強度−延性バランスの優れた高張力鋼板が得られる。
以下に、その詳細を説明する。
本発明の低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当たっては、まず鋼の成分組成を次のように定める。
C:0.03〜0.18質量%
Cは、鋼の高強度化に有効な元素であり、二相域焼鈍時にオーステナイト中に濃化し、その後の冷却時に高強度化に有効な低温変態相の生成に寄与する。0.03質量%に満たないとそれらの効果は得られない。一方、0.18質量%を超えて含有させると、過度の高強度化による延性低下を招くばかりでなく、溶接性も劣化する。
Si:0.1〜0.5質量%
Siは、固溶強化元素として高強度化に有効である。0.1質量%に満たないとその効果が発揮されない。一方、0.5質量%を超えた含有させると、焼鈍時に母材表層よりFeめっき層まで拡散して酸化物を形成することにより、合金化に必要な温度が上昇することになる。そして、オーステナイトがよりパーライトに変態し、めっき後のベイナイトおよびマルテンサイトの量が減少して、所要強度が得られなくなる。
Mn:0.5〜2.5質量%
Mnは、固溶強化元素として高強度化に有効である。また、焼鈍後の一次冷却時のパーライト変態を抑制することにより、ベイナイトおよびマルテンサイトの生成を促進し、高強度化に寄与する。さらにAr3変態点を低下させ、一次および二次冷却にて強度低下の原因となるパーライト変態を抑制する作用を有する。0.5質量%に満たないとそれらの効果は発揮されない。一方、2.5質量%を超えて含有させると、強度が過度に上昇し、延性が低下して加工性を劣化させるばかりでなく、Siと同様にめっき密着性を低下させる。
P:0.03質量%以下
Pは、安定な固溶強化元素として高強度化に寄与する。しかしながら、多量に含まれると粒界偏析が顕著になって、鋼板の靭性を著しく劣化させる。したがってPの上限は0.03質量%とする。
S:0.005質量%以下
Sは、主にMnSとして鋼板中に存在し、鋼板の延性を劣化させるので少ない方が好ましい。本発明では、S含有量の上限は0.005質量%とした。
また本発明では、一次および二次冷却にて強度低下の原因となるパーライト変態を抑制する作用を有するCrおよびMoの一種または二種を必要に応じて添加してもよい。Crの場合は0.1質量%の含有で、Moの場合は0.03質量%の含有でその作用が発揮される。しかし、いずれも多量に含有させると、靭性が低下する。したがって、添加する場合、Crは0.5質量%を、Moは0.3質量%を上限とする。
脱酸剤として添加したAlを除き、以上に説明した成分以外は、不純物である。
次に、各製造工程についてその役割と手段内容を詳しく説明する。
連続鋳造にてスラブとした後、熱間のまま熱間圧延を行うか、または一旦室温まで冷却したものを加熱した後に熱間圧延を行って熱延鋼板とする。熱間圧延は、均熱加熱温度や圧延温度等には制限はなく通常の条件で行えばよいが、冷間圧延時の負荷や酸洗性の観点から、熱間圧延後の捲取りは500〜650℃の温度とすることが好ましい。
巻取られた熱延コイルは、次いで、常法通りに酸洗した後冷間圧延に供される。冷間圧延条件も特に限定する必要はないが、冷間圧延時の通板性を考慮すると冷間圧延率は30%以上とすることが好ましい。
冷延板にまずFe系のプレめっきを施し、その後に焼鈍を施す。
焼鈍前のFe系めっき
添加されているSiやMnの拡散によるめっき付着性および合金化速度の低下を安定的に防止するには、Fe系めっきを施した後に焼鈍加熱を行うことが有効である。Fe系めっきを施さない場合には合金化温度を高くせざるを得ず、合金化を促進させようとするとオーステナイトがパーライトに変態し、合金化以降の冷却工程で生成する低温変態相量が減少するため、所要の強度が発現しない。
Fe系めっきは付着量1〜6g/m2の範囲で形成することが好ましい。めっき付着量が1g/m2に満たないと、上記作用効果は発揮されない。Fe系めっき層を厚くしても上記作用は飽和し、製造コストの上昇を招く。したがってFe系めっき付着量の上限は、6g/m2とする。
なお、Fe系めっきの方法は限定しないが、電気めっき法を用いることが好ましい。
焼鈍
この工程では冷延板の再結晶を目的とするが、複相組織化を達成させるためフェライト+オーステナイトの二相域で焼鈍を行う。この焼鈍時には冷延板の炭化物を核としてオーステナイトが形成する。C濃度の高いオーステナイトを形成させ、その後の冷却時に低温変態相を形成させることにより、強度と延性を併せ持つ複相組織を得ることができる。この際、オーステナイトの体積率は、後の冷却−めっき過程で生じる低温変態相の種類および量を通じてめっき鋼板の引張特性に大きな影響を及ぼす。したがって、単に焼鈍条件だけではなく、生成するオーステナイト体積率を調整することが肝要である。
本発明では、700〜900℃の範囲で焼鈍を施して、オーステナイト相が50〜80%、すなわちフェライト相の体積率が20〜50%の二相組織を得る。めっき後に強度−延性のバランスのよい鋼板を得るには、軟質なフェライトと硬質な低温変態相の複相組織とする必要があり、このためには、焼鈍後の冷却時に各種変態相を生成するオーステナイトの体積率を所定の範囲にしておく必要がある。焼鈍後において、オーステナイト相が体積率で50〜80%の範囲にないと、その後、所望の強度を発現する体積率の低温変態相が得られない。
焼鈍温度が700℃に満たないと、未溶解炭素量が多量に残存し、オーステナイト量が低く、しかもオーステナイト中のC濃度も低くなるため、焼鈍後の冷却過程で生成する低温変態相の体積率が低下し、所望の強度が得られない。逆に、900℃を超えるほどに高い温度で焼鈍すると、オーステナイト体積率が過大となりすぎ、またC濃度も低下するため、焼鈍後の冷却過程にてパーライトが過大に生成し、低温変態相の体積率が低下して、所望の強度が得られない。
一次冷却
ここでは、連続焼鈍−めっき工程において、鋼板がめっき欲に浸漬されるまでを冷却帯とし、前部を一次冷却、後部を二次冷却と称することとする。
一次冷却過程では、フェライト変態を進行させ、オーステナイトの体積率を減少させてC濃度を増加させる。冷却速度および冷却停止温度を規制することにより、強度および延性確保の阻害要因であるパーライトの生成を抑制し、以降の冷却時に低温変態相を形成するオーステナイトを残留させる。
一次冷却過程での冷却停止温度は、二相域焼鈍時に再結晶したフェライトの粒成長の進行に影響を与える要件である。650℃を超えるとフェライト核生成速度の低下によりフェライト体積率が低下する。逆に500℃よりも低いと、Feの拡散速度が低下するためにフェライト変態速度が低下し、加えて二次冷却にてベイナイトが生成しやすくなり、オーステナイト中へのC濃化が妨げられる。
一次冷却過程での冷却速度も同様にフェライト変態の進行を支配する。20℃/秒を超えるほどに速いとフェライト変態の進行が不十分となり、C濃度の低いオーステナイトが残留するため、硬質で強度に寄与する低温変態相の強度が低下する。また軟質なフェライトの体積率が低下するため延性も低下する。逆に、5℃/秒に満たないほどに遅いと、一次冷却停止温度までの冷却に長時間を要するため、製造コストの上昇を招く。
二次冷却
めっき浴温度まで冷却する二次冷却過程では、フェライト変態を進行させるとともにパーライト変態を抑止する必要がある。これを実現するには、前記したように鋼成分としてMnの添加によりAr3変態点を低下させた上で、冷却速度を一定以下に規制する必要がある。さらに、めっき浴に浸漬する温度まで冷却した際の組織、特にオーステナイト体積率を規制し、合金化後の冷却時に生成する低温変態相の体積率を調整することが重要となる。
二次冷却過程での冷却速度が5℃/秒を超えるほどに速いと、フェライト変態の進行が不十分となる。
めっき浴に浸漬する時点で、フェライトの体積率を50〜70%に、オーステナイトの体積率を30〜50%に調整しておく必要がある。めっき後の冷却過程で硬質な低温変態相を生成させるためには少なくとも30%の体積率のオーステナイトが必要である。フェライトの体積率が50%に満たないと、十分な延性は確保できない。
溶融亜鉛めっきおよび合金化処理
所定割合の二相組織を有するように焼鈍・冷却された鋼板は、その後、通常の条件で溶融亜鉛めっきされ、同じく通常の条件で合金化処理される。合金化後の冷却速度についても特に制限する必要はなく、通常の冷却条件が採用される。
Fe系のプレめっき層の存在により、SiやMnの添加量が多くても合金化速度は通常と同様に速いため、通常の合金化条件、冷却条件を変更する必要はない。
最終組織
合金化後に残留しているオーステナイトは、通常の冷却速度でパーライト変態せずに低温変態相に変化する。
最終的な金属組織は、体積率で、フェライト相が60〜80%,マルテンサイトとベイナイトからなる低温変態相が10〜30%,パーライト相が10%以下の複合組織となっている。フェライト相が60%に満たないと降伏比が高くなり、80%を超えると必要な強度が得られない。またマルテンサイトとベイナイトからなる低温変態相が10%に満たないと必要な強度が確保できない。逆に30%を超えると延性の低下が著しくなる。さらに、パーライト相は、強度−延性のバランスを整える意味では少ないほど好ましく、10%以下とする。
このような最終的金属組織は、連続焼鈍−溶融亜鉛めっきラインでの各段階の温度管理、冷却速度管理を厳密に行い、各時点での素材鋼板の二相組織を正確に制御することにより達成することができる。
実施例1;
表1に示す組成を有するスラブを、熱延仕上げ温度880℃,巻取り温度550℃の条件で、板厚3.6mmまで熱間圧延した後、板厚2.0mmまで冷間圧延した。
冷延板にめっき付着量3g/m2のFe系めっき層を電気めっき法で形成した後、800℃にて加熱焼鈍し、一次冷却として10℃/秒で550℃まで冷却し、引続き、3℃/秒で460℃まで冷却した。460℃まで冷却した焼鈍板を、460℃にセットした溶融亜鉛浴に浸漬し、引続き、460℃で合金化処理を行った。
得られた各溶融亜鉛めっき鋼板の引張特性を調査した。
引張特性は、圧延方向に直角に切り出したJIS Z2201に記載の5号試験片を用いて、JIS Z2241に準拠して調査した。
その結果を表2に示す。
本発明例であるNo.1〜7では、引張強度が590MPa以上と高強度で、しかも降伏比が70%以下の低降伏比高張力を有している。
これに対して、比較例であるNo.8では、C量が少ないために引張強度が465MPaと低く、高強度が得られていない。またNo.9では、Mnが本発明範囲を超えて多量に添加されているために、全伸びが著しく低下しており、強度と延性のバランスが良くなかった。
Figure 2006265620
Figure 2006265620
実施例2;
成分組成が本発明範囲内であるNo.1,4および6の鋼を用い、表3に示すように製造条件を種々変更して各種溶融亜鉛めっき鋼板を作製し、それぞれのめっき鋼板の引張特性を実施例1と同じ方法で調査した。
その結果を表4に示す。
製造No.1は焼鈍温度が高すぎたために、オーステナイト体積率が過大になって冷却後のパーライトの体積率が大きくなりすぎ、引張強度が600MPa以下と低強度であった。製造No.4は焼鈍温度が低すぎたために、オーステナイト体積率が低く、冷却後に強度の向上に寄与する低温変態相が少なくなって、引張強度が600MPa以下と低強度であった。
製造No.5は一次冷却工程での冷却速度が速すぎたため、フェライト変態の進行が不十分で、C濃度の低い低温変態相が多く生成して全伸びが低く、強度と延性のバランスが悪かった。製造No.6は一次冷却工程の終了温度が高すぎたためにフェライト体積率が低くなり、冷却後にパーライトの体積率が高くなって全伸びが低く、強度と延性のバランスが悪かった。また、製造No.7は一次冷却工程の終了温度が低すぎたためにオーステナイトの体積率が高くなりすぎ、冷却後に低温変態相の体積率が高くなって全伸びが低く、強度と延性のバランスが悪かった。
製造No.11は二次冷却工程での冷却速度が速すぎたため、フェライト変態の進行が不十分で、C濃度の低い低温変態相が多く生成して全伸びが低く、強度と延性のバランスが悪かった。
これに対して、本発明範囲内で製造したものは、引張強度が600MPaを超え、全伸びも25%を超えて、優れた強度−延性のバランスを有していた。
Figure 2006265620
Figure 2006265620

Claims (4)

  1. C:0.03〜0.18質量%,Si:0.1〜0.5質量%,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.03質量%以下,S:0.005質量%以下を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼板に、Fe系めっき層を形成した後、フェライト+オーステナイト二相域にて焼鈍してフェライト相の体積率を20〜50%とした後に、一次冷却として平均冷却速度5〜20℃/秒で650〜500℃まで冷却し、引続き、二次冷却として亜鉛めっき浴温度まで平均冷却速度5℃/秒以下で冷却して冷却後のフェライト相の体積率を50〜70%とし、この後に溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施すことを特徴とする低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. Fe系めっき層の付着量が1〜6g/m2,焼鈍温度が700〜900℃である請求項1に記載の低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施して室温まで冷却した後の組織が、体積率で、フェライト相が60〜80%,低温変態相が10〜30%,パーライト相が10%以下の複合組織を有している請求項1または2に記載の低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 鋼板の組成が、さらにCr:0.1〜0.5質量%およびMo:0.03〜0.3質量%の1種または2種を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の低降伏比高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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