JP2006263608A - 水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水処理に用いる電極を効果的に洗浄する。
【解決手段】定期的に、洗浄用水供給路12を介して処理槽1内に洗浄用水を供給し、その洗浄用水に薬剤供給路14を介して薬剤を供給するとともに、冷却水流量調整弁11の開放量を調整することにより、熱交換器9に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させ、処理槽1内の洗浄用水(薬剤が供給された洗浄用水)の温度を上昇させて、電極5,6の洗浄処理を行なう。
【効果】処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させて洗浄処理を行なうことにより、薬剤による電極5,6の洗浄効果を高めることができる。熱交換器9に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させるだけで、特別な機構を別途設ける必要がない。
【選択図】 図1

Description

この発明は、汚水などの被処理水に対して水処理を行なうための水処理装置に関する。
従来より、家庭から出る洗濯排水や風呂排水などの生活排水、工場から排水される事業場排水といった汚水に対して、電気分解による水処理を行なう水処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この種の水処理装置には、たとえば、被処理水を貯めるための処理槽と、この処理槽内の被処理水を電気分解するために通電される1対の電極(アノードおよびカソード)とが備えられている。
被処理水に含まれる窒素成分を除去することができる水処理装置では、たとえば、アノードが、白金やイリジウムなどにより形成され、カソードが、銅や亜鉛などにより形成される。この種の水処理装置では、アノードおよびカソードが異なる材料で形成されるので、通常、アノードおよびカソードが同じ材料で形成された構成を有する水処理装置において行なわれるような、水処理時にアノードおよびカソードに印加する電圧の極性を切り替えることにより電極に析出したスケールを除去するといった処理は行なわれない。
特開2002−248473号公報
上記のように、アノードおよびカソードに印加する電圧の極性を切り替えることなく水処理を行なうような水処理装置では、時間の経過とともに電極に析出するスケールに起因して、電極間に短絡が生じたり、水処理の効率が低下するといった問題がある。
そこで、電極に析出したスケールを除去するために、定期的に、電極を洗浄するための薬剤を処理槽内に供給し、薬剤の作用によって電極を洗浄するといった作業が行なわれている。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、水処理に用いる電極を効果的に洗浄することができる水処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、水を貯めることができる処理槽(1)と、上記処理槽内に配置され、上記処理槽内の水を電気分解するために通電される電極(5,6)と、上記処理槽内の水を循環させるための循環路(7)と、上記循環路内を流れる水に対して熱交換を行なうための熱交換器(9)と、上記熱交換器に熱交換のための冷却水を供給する冷却水供給手段(10)と、上記電極に通電を行なうとともに、上記処理槽内の水を上記循環路に循環させることにより、その水を上記熱交換器で冷却しつつ電気分解による水処理を行なう水処理手段(23)と、上記循環路内を流れる水の流量、または、上記冷却水供給手段により上記熱交換器に供給される冷却水の流量が、上記水処理時よりも減少された処理を行なうことにより、上記処理槽内の水の温度を上昇させて、上記電極の洗浄処理を行なう洗浄処理手段(23)と、上記洗浄処理が行なわれる際に、上記処理槽内に、上記電極を洗浄するための薬剤を供給する薬剤供給手段(14,15,16)とを備えることを特徴とする水処理装置である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、電極に通電を行なうとともに、処理槽内の水を循環路に循環させることにより、その水を熱交換器で冷却しつつ電気分解による水処理を行なうことができる。そして、定期的に、薬剤供給手段により処理槽内に薬剤を供給し、循環路内を流れる水の流量、または、冷却水供給手段により熱交換器に供給される冷却水の流量が、水処理時よりも減少された処理を行なうことにより、処理槽内の水(薬剤が供給された水)の温度を上昇させて、電極の洗浄処理を行なうことができる。処理槽内の水の温度を上昇させて洗浄処理を行なうことにより、薬剤による電極の洗浄効果を高めることができるので、電極を効果的に洗浄することができる。
また、洗浄処理時には、循環路内を流れる水の流量を水処理時よりも減少させ、または、熱交換器に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させるだけで、特別な機構を別途設けることなく、電極を効果的に洗浄することができる。
さらに、洗浄処理時には、循環路内を流れる水の流量を水処理時よりも減少させ、または、熱交換器に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させるだけで、処理槽内の水の温度を上昇させることができるので、ヒータなどの加熱手段を用いて処理槽内の水の温度を上昇させるような構成とは異なり、処理槽内の水の温度を上昇させるための余分なエネルギーを必要としない。
請求項2記載の発明は、上記洗浄処理用の水を上記処理槽(1)内に供給するための洗浄用水供給手段(12,13)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の水処理装置である。
この構成によれば、洗浄処理時には、洗浄処理用の水が処理槽内に供給される。したがって、水処理が行なわれた水を用いて洗浄処理が行なわれるような構成とは異なり、水処理が行なわれた水に影響を与えることなく、洗浄処理用の水を用いて、電極を効果的に洗浄することができる。
請求項3記載の発明は、上記処理槽(1)内の上記水処理が行なわれた水を排水するための処理水排水手段(19,21)と、上記洗浄用水供給手段(12,13)により上記処理槽内に供給された上記洗浄処理用の水を、上記洗浄処理後に上記処理槽内から排水するための洗浄用水排水手段(20,22)とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の水処理装置である。
この構成によれば、水処理が行なわれた水は、洗浄処理時に薬剤を混入させることなく、処理水排水手段により河川などに排水し、洗浄処理時に処理槽内に供給された洗浄処理用の水は、洗浄処理終了後に、洗浄用水排水手段により下水道などに排水することができる。したがって、水処理が行なわれた水に薬剤が混入されて河川などに排水されるといったことがなく、環境保護の観点において好適である。
請求項4記載の発明は、上記処理槽(1)内の水の温度を測定するための温度測定手段(17)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水処理装置である。
この構成によれば、洗浄処理手段は、温度測定手段により測定した処理槽内の水の温度に基づいて、循環路内を流れる水の流量、または、冷却水供給手段により熱交換器に供給される冷却水の流量を調整することにより、処理槽内の水の温度を、洗浄処理に適した温度にすることができる。したがって、薬剤による電極の洗浄効果をより高めることができるので、電極をさらに効果的に洗浄することができる。
請求項5記載の発明は、上記薬剤供給手段(14,15,16)は、上記処理槽(1)内に、酸を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水処理装置である。
この構成によれば、安価で入手が容易な酸を薬剤として用いて、電極の洗浄処理を行なうことができる。
請求項6記載の発明は、上記処理槽(1)内の水のpHを測定するpH測定手段(18)をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の水処理装置である。
この構成によれば、pH測定手段により測定した処理槽内の水のpHに基づいて、薬剤供給手段により処理槽内に供給する酸の量を調整することにより、処理槽内の水のpHを、洗浄処理に適した値にすることができる。したがって、薬剤による電極の洗浄効果をより高めることができるので、電極をさらに効果的に洗浄することができる。
請求項7記載の発明は、上記水処理手段(23)は、上記処理槽(1)内の水を電気分解することにより、その水に含まれる窒素成分を除去することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水処理装置である。
上記電極は、たとえば、白金やイリジウムなどにより形成されたアノードと、銅や亜鉛などにより形成されたカソードとを含む、少なくとも1対の電極からなる。
このように、処理槽内の水に含まれる窒素成分を除去することができる水処理装置では、アノードおよびカソードが異なる材料で形成されるので、水処理時にアノードおよびカソードに印加する電圧の極性を切り替えることにより電極に析出したスケールを除去するといった処理は行なわれないが、定期的に、薬剤供給手段により処理槽内に薬剤を供給し、循環路内を流れる水の流量、または、冷却水供給手段により熱交換器に供給される冷却水の流量が、水処理時よりも減少された処理を行なうことにより、処理槽内の水(薬剤が供給された水)の温度を上昇させて、電極に析出したスケールを除去することができる。
また、電極を洗浄するための薬剤として酸を用いた場合には、酸性が強いとカソードが溶出するおそれがあるが、循環路内を流れる水の流量、または、冷却水供給手段により熱交換器に供給される冷却水の流量が、水処理時よりも減少された処理を行なうことにより、処理槽内の水の温度を上昇させて洗浄処理を行えば、薬剤による電極の洗浄効果が高まるので、あまり酸性が強くない酸を薬剤として用いた場合でも、電極に析出したスケールを良好に除去することができる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る水処理装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照して、この水処理装置は、家庭から出る洗濯排水や風呂排水などの生活排水、工場から排水される事業場排水といった汚水などの被処理水に対して、電気分解による水処理を行なうことにより、被処理水を浄化するためのものであって、被処理水を貯めるための処理槽1を備えている。
処理槽1の上部には、処理槽1内に被処理水を供給するための被処理水供給路2が接続されている。被処理水供給路2には、被処理水供給ポンプ3と、被処理水供給弁4とが、処理槽1側に向かってこの順序で介装されている。被処理水供給弁4が開かれた状態で被処理水供給ポンプ3が駆動されることにより、被処理水供給路2を介して処理槽1内に被処理水が供給される。
処理槽1内には、1対の電極(アノード5およびカソード6)が配置されている。アノード5は、たとえば、白金やイリジウムなどの貴金属系の材料により形成されている。一方、カソード6は、たとえば、銅や亜鉛などの非貴金属系であって、周期表の第Ib族や第IIb族に属する材料により形成されている。被処理水として窒素成分を含む汚水が処理槽1内に貯められた状態で、アノード5およびカソード6に対して通電が行なわれ、電気分解による水処理が行なわれた場合には、アノード5側およびカソード6側において、下記のような電気化学反応が起こる。
すなわち、カソード6側では、被処理水中に含まれる硝酸イオンが、還元反応により亜硝酸イオンに変換されるとともに、硝酸イオンの還元反応により生成された亜硝酸イオンは、さらに、還元反応により、アンモニアに変換される。また、アノード5側では、アノード5の表面から活性酸素が発生し、被処理水中におけるアンモニアの脱窒作用により、窒素ガスが生成される。これにより、被処理水に含まれる硝酸態窒素、亜硝酸態窒素およびアンモニア態窒素などの窒素成分が除去され、被処理水が浄化される。
(カソード側)
NO +HO+2e→NO +2OH
NO +5HO+6e→NH(aq)+7OH
(アノード側)
NH(aq)+3(O)→N↑+3H
水処理中は、電極5,6に通電が行なわれることにより生じるジュール熱で、処理槽1内の被処理水が加熱され、被処理水の温度が上昇する。
水処理中、処理槽1内の被処理水は、循環路7内に循環される。循環路7は、その入口側の端部が処理槽1内の下部に連通し、出口側の端部が処理槽1内の上部に連通している。循環路7には、循環ポンプ8が介装されており、この循環ポンプ8が駆動されることにより、処理槽1内の被処理水が、矢印で示すように循環路7内を循環する。
循環路7における循環ポンプ8よりも下流側には、循環路7を流れる被処理水に対して熱交換を行なうための熱交換器9が配置されている。熱交換器9には、冷却水供給路10を介して熱交換のための冷却水が供給され、熱交換器9において、循環路7を流れる被処理水と冷却水供給路10を流れる冷却水との間で熱交換が行なわれることにより、被処理水が冷却される。これにより、電極5,6への通電により加熱された被処理水を冷却して、好適な温度で水処理を行なうことができる。冷却水供給路10における熱交換器9よりも上流側には、冷却水の流量を調整するための冷却水流量調整弁11が介装されている。
この実施形態のように、処理槽1内の水に含まれる窒素成分を除去することができる水処理装置では、アノード5およびカソード6が異なる材料で形成されるので、水処理時にアノード5およびカソード6に印加する電圧の極性を切り替えることにより電極5,6に析出したスケールを除去するといった処理を行なうことができず、時間の経過とともに電極5,6にスケールが析出し、その析出したスケールに起因して、電極5,6間に短絡が生じたり、水処理の効率が低下するといった問題がある。
そこで、この実施形態では、定期的(たとえば、1ヶ月ごと)に、処理槽1内の水処理が行なわれた水(処理水)を排水し、電極5,6を洗浄するための水(洗浄用水)を処理槽1内に供給して、電極5,6を洗浄するための洗浄処理が行なわれる。
処理槽1の上部には、処理槽1内に洗浄用水(たとえば、水道水)を供給するための洗浄用水供給路12が接続されている。洗浄用水供給路12には、洗浄用水供給弁13が介装されており、この洗浄用水供給弁13が開かれることにより、洗浄用水供給路12を介して処理槽1内に洗浄用水が供給される。
洗浄処理が行なわれる際には、電極5,6を洗浄するための薬剤として、たとえば、硫酸、塩酸、酢酸などの安価で入手が容易な酸が、処理槽1内に供給される。処理槽1の上部には、処理槽1内に薬剤を供給するための薬剤供給路14の一端部が接続されている。薬剤供給路14の他端部は、薬剤が収容されている薬剤収容部15に接続されている。薬剤供給路14には、薬剤供給ポンプ16が介装されており、この薬剤供給ポンプ16が駆動されることにより、薬剤供給路14を介して処理槽1内に薬剤が供給される。これにより、洗浄処理時には、薬剤が溶け込んだ酸性の洗浄用水を用いて、電極5,6が洗浄される。
処理槽1内には、水処理時に処理槽1内に貯められる被処理水および洗浄処理時に処理槽1内に貯められる洗浄用水の温度を測定するための温度センサ17と、洗浄処理時に処理槽1内に貯められる薬剤が溶け込んだ酸性の洗浄用水のpHを測定するためのpHセンサ18とが配置されている。
処理槽1の底部には、水処理が行なわれた後の処理槽1内の処理水を排水するための処理水排水路19と、洗浄処理が行なわれた後の処理槽1内の洗浄用水を排水するための洗浄用水排水路20とが接続されている。処理水排水路19には、処理水排水弁21が介装されており、この処理水排水弁21が開かれることにより、処理槽1内の処理水が、処理水排水路19を介して河川などに排水される。一方、洗浄用水排水路20には、洗浄用水排水弁22が介装されており、この洗浄用水排水弁22が開かれることにより、処理槽1内の洗浄用水が、洗浄用水排水路20を介して下水道などに排水される。
この水処理装置には、マイクロコンピュータを含む制御部23が備えられている。制御部23には、被処理水供給ポンプ3、被処理水供給弁4、アノード5、カソード6、循環ポンプ8、熱交換器9、冷却水流量調整弁11、洗浄用水供給弁13、薬剤供給ポンプ16、温度センサ17、pHセンサ18、処理水排水弁21および洗浄用水排水弁22が電気的に接続されている。制御部23は、温度センサ17やpHセンサ18からの入力信号などに基づいて、被処理水供給ポンプ3、被処理水供給弁4、アノード5、カソード6、循環ポンプ8、熱交換器9、冷却水流量調整弁11、洗浄用水供給弁13、薬剤供給ポンプ16、処理水排水弁21および洗浄用水排水弁22の駆動を制御する。
図2は、この水処理装置における制御部23の制御内容の一例を示すフローチャートである。
図2を参照して、この水処理装置が稼動されると、制御部23は、まず、被処理水供給弁4を開くとともに、被処理水供給ポンプ3を駆動させることにより、被処理水供給路2を介して処理槽1内に被処理水を供給し、処理槽1内に所定量の被処理水を貯める(ステップS1)。
その後、制御部23は、電極5,6に対する通電を開始させるとともに(ステップS2)、循環ポンプ8を駆動させて処理槽1内の被処理水を循環路7に循環させることにより(ステップS3)、処理槽1内の被処理水に対して、電気分解による水処理を行なう。このとき、制御部23は、冷却水流量調整弁11を開いて熱交換器9を駆動させることにより、循環路7内を流れる被処理水を冷却する(ステップS4)。
この水処理装置は、いわゆるバッチ式の水処理装置であって、処理槽1内に被処理水が貯められた状態で所定の電解時間だけ水処理が行なわれると、処理水排水弁21が開かれることにより、処理水排水路19を介して処理水が河川などに一旦排水され、再び、処理槽1内に被処理水が貯められて水処理が行なわれる。より具体的には、所定の電解時間が経過すると(ステップS24でYES)、制御部23は、電極5,6に対する通電を停止させるとともに(ステップS25)、循環ポンプ8の駆動を停止させて循環路7への被処理水の循環を停止させることにより(ステップS26)、水処理を終了する。そして、制御部23は、処理水排水弁21を開くことにより、処理水排水路19を介して、処理槽1内の処理水を河川などに排水した後(ステップS27)、再び被処理水供給弁4を開くとともに、被処理水供給ポンプ3を駆動させることにより、被処理水供給路2を介して処理槽1内に被処理水を供給し、処理槽1内に所定量の被処理水を貯める(ステップS1)。
このようにして水処理が1ヶ月間行なわれ(ステップS5でYES)、所定の電解時間が経過すると(ステップS6でYES)、制御部23は、電極5,6に対する通電を停止させるとともに(ステップS7)、循環ポンプ8の駆動を停止させて循環路7への被処理水の循環を停止させることにより(ステップS8)、水処理を終了する。そして、制御部23は、処理水排水弁21を開くことにより、処理水排水路19を介して、処理槽1内の処理水を河川などに排水する(ステップS9)。
その後、制御部23は、洗浄用水供給弁13を開くことにより、洗浄用水供給路12を介して処理槽1内に洗浄用水を供給し、処理槽1内に所定量の洗浄用水を貯める(ステップS10)。そして、制御部23は、pHセンサ18により測定される洗浄用水のpHが「4」以下になるまで(ステップS12でYESとなるまで)、薬剤供給ポンプ16を駆動させることにより、薬剤収容部15内の薬剤を、薬剤供給路14を介して処理槽1内に供給する。
処理槽1内の洗浄用水のpHが「4」以下になると(ステップS12でYES)、制御部23は、薬剤の供給を停止し、冷却水流量調整弁11を完全に閉じた状態(全閉)とした後(ステップS13)、電極5,6に対する通電を開始させるとともに(ステップS14)、循環ポンプ8を駆動させて処理槽1内の洗浄用水を循環路7に循環させることにより(ステップS15)、処理槽1内の電極5,6に対する洗浄処理を行なう。
このように、冷却水流量調整弁11を全閉とした状態で、電極5,6に対する通電を行なうと、処理槽1内の洗浄用水は、電極5,6に通電が行なわれることにより生じるジュール熱で加熱される一方、熱交換器9に冷却水が供給されないので、洗浄用水は熱交換器9により冷却されず、洗浄用水の温度が上昇する。
洗浄処理は、一定時間(たとえば、1時間)だけ行なわれる。洗浄処理が行なわれている間に、温度センサ17により測定される処理槽1内の洗浄用水の温度が50℃以上になった場合には(ステップS20でYES)、制御部23は、冷却水流量調整弁11を完全に開いた状態(全開)とすることにより、熱交換器9に冷却水を供給し、洗浄用水を熱交換器9により冷却して、洗浄用水の温度を低下させる(ステップS21)。そして、この状態が維持されることにより、温度センサ17により測定される処理槽1内の洗浄用水の温度が45℃以下になった場合には(ステップS22でYES)、制御部23は、冷却水流量調整弁11を全閉とすることにより、熱交換器9への冷却水の供給を停止し、洗浄用水の温度を再び上昇させる(ステップS23)。このようにして、洗浄処理中は、処理槽1内の洗浄用水の温度が45℃〜50℃の温度範囲に保たれ、電極5,6に析出したスケールが良好に除去される。
洗浄処理を1時間行なった後(ステップS16でYES)、制御部23は、電極5,6に対する通電を停止させるとともに(ステップS17)、循環ポンプ8の駆動を停止させて循環路7への洗浄用水の循環を停止させることにより(ステップS18)、洗浄処理を終了する。そして、制御部23は、洗浄用水排水弁22を開くことにより、洗浄用水排水路20を介して、処理槽1内の洗浄用水を下水道などに排水する(ステップS19)。
その後、制御部23は、被処理水供給弁4を開くとともに、被処理水供給ポンプ3を駆動させることにより、被処理水供給路2を介して処理槽1内に被処理水を供給し(ステップS1)、再び水処理を行なう。
この実施形態では、電極5,6に通電を行なうとともに、処理槽1内の被処理水を循環路7に循環させることにより、その被処理水を熱交換器9で冷却しつつ電気分解による水処理を行なうことができる。そして、定期的に、処理槽1内に洗浄用水を供給するとともに、その洗浄用水に薬剤を供給し、熱交換器9に供給される冷却水の流量が水処理時よりも減少された処理を行なうことにより、処理槽1内の洗浄用水(薬剤が供給された洗浄用水)の温度を上昇させて、電極5,6の洗浄処理を行なうことができる。処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させて洗浄処理を行なうことにより、薬剤による電極5,6の洗浄効果を高めることができるので、電極5,6を効果的に洗浄することができる。
また、洗浄処理時には、熱交換器9に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させるだけで、特別な機構を別途設けることなく、電極5,6を効果的に洗浄することができる。
さらに、洗浄処理時には、熱交換器9に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させるだけで、処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させることができるので、ヒータなどの加熱手段を用いて処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させるような構成とは異なり、処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させるための余分なエネルギーを必要としない。
ただし、洗浄処理時には、冷却水流量調整弁11が全閉とされることにより、熱交換器9に冷却水が全く供給されなくなるような構成に限らず、冷却水流量調整弁11が、水処理時よりも小さい開放量で開かれた状態とされることにより、熱交換器9に供給される冷却水の流量が水処理時よりも減少されるような構成であってもよい。
また、この実施形態では、洗浄処理時には、処理水が処理槽1内から排水され、洗浄用水が処理槽1内に供給される。したがって、処理水を用いて洗浄処理が行なわれるような構成とは異なり、被処理水に影響を与えることなく、洗浄用水を用いて、電極5,6を効果的に洗浄することができる。
特に、処理水は、洗浄処理時に薬剤を混入させることなく、処理水排水路19を介して河川などに排水し、洗浄用水は、洗浄処理終了後に、洗浄用水排水路20を介して下水道などに排水することができる。したがって、処理水に薬剤が混入されて河川などに排水されるといったことがなく、環境保護の観点において好適である。
また、洗浄処理時には、温度センサ17により測定した処理槽1内の洗浄用水の温度に基づいて、熱交換器9に供給される冷却水の流量を調整することにより、処理槽1内の洗浄用水の温度を、洗浄処理に適した温度にすることができる。したがって、薬剤による電極5,6の洗浄効果をより高めることができるので、電極5,6をさらに効果的に洗浄することができる。
また、洗浄処理時には、pHセンサ18により測定した処理槽1内の洗浄用水のpHに基づいて、薬剤供給路14を介して処理槽1内に供給する酸の量を調整することにより、処理槽1内の洗浄用水のpHを、洗浄処理に適した値にすることができる。したがって、薬剤による電極5,6の洗浄効果をより高めることができるので、電極5,6をさらに効果的に洗浄することができる。
また、電極5,6を洗浄するための薬剤として酸を用いた場合には、酸性が強いとカソード6が溶出するおそれがあるが、熱交換器9に供給される冷却水の流量を水処理時よりも減少させることにより、処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させて洗浄処理を行えば、薬剤による電極5,6の洗浄効果が高まるので、あまり酸性が強くない酸を薬剤として用いた場合でも、電極5,6に析出したスケールを良好に除去することができる。
図3は、水処理装置の変形例を示すブロック図である。
図3を参照して、この変形例に係る水処理装置では、上記実施形態のように、冷却水の流量を調整するための冷却水流量調整弁11が冷却水供給路10に介装された構成とは異なり、循環路7を流れる水の流量を調整するための循環流量調整弁24が循環路7(の熱交換器9よりも上流側)に介装されている。この点を除けば、この変形例に係る水処理装置は、上記実施形態に係る水処理装置と同様の構成を有しているので、以下では、上記実施形態と同様の構成については、図に同一符号を付して、その説明を省略することとする。
この変形例では、洗浄処理時において、上記実施形態に係る水処理装置のように、冷却水流量調整弁11の開放量が調整されることにより、熱交換器9に供給される冷却水の流量が水処理時よりも減少されるのではなく、循環流量調整弁24の開放量が調整されることにより、循環路7内を流れる洗浄用水の流量が、水処理時に循環路7内を流れる被処理水の流量よりも減少され、処理槽1内の洗浄用水(薬剤が供給された洗浄用水)の温度が上昇する。
このような構成であっても、処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させて洗浄処理を行なうことにより、薬剤による電極5,6の洗浄効果を高めることができるので、電極5,6を効果的に洗浄することができる。
また、洗浄処理時には、循環路7内を流れる洗浄用水の流量を、水処理時に循環路7内を流れる被処理水の流量よりも減少させるだけで、特別な機構を別途設けることなく、電極5,6を効果的に洗浄することができる。
さらに、洗浄処理時には、循環路7内を流れる洗浄用水の流量を、水処理時に循環路7内を流れる被処理水の流量よりも減少させるだけで、処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させることができるので、ヒータなどの加熱手段を用いて処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させるような構成とは異なり、処理槽1内の洗浄用水の温度を上昇させるための余分なエネルギーを必要としない。
洗浄処理時には、循環流量調整弁24が完全に閉じられることにより、循環路7内に洗浄用水が全く循環されなくなるような構成であってもよいし、循環流量調整弁24が、水処理時よりも小さい開放量で開かれた状態とされることにより、循環路7内を流れる洗浄用水の流量が、水処理時に循環路7内を流れる被処理水の流量よりも減少されるような構成であってもよい。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、処理槽1内に配置される電極は、アノード5およびカソード6をそれぞれ少なくとも1つ備えた構成であれば、1対の電極に限らず、3つ以上の電極を備えた構成であってもよい。
また、上記実施形態および変形例においては、水処理装置の一例として、バッチ式の水処理装置について説明したが、この発明は、バッチ式の水処理装置に限らず、処理槽1内に一定量の被処理水が常時貯められた状態で使用され、処理槽1内に流入した被処理水の量だけ、処理槽1内から処理水が流出するような、いわゆる連続式の水処理装置にも適用可能である。
この発明の一実施形態に係る水処理装置の構成を示すブロック図である。 この水処理装置における制御部の制御内容の一例を示すフローチャートである。 水処理装置の変形例を示すブロック図である。
符号の説明
1 処理槽
5 アノード
6 カソード
7 循環路
9 熱交換器
10 冷却水供給路
12 洗浄用水供給路
13 洗浄用水供給弁
14 薬剤供給路
15 薬剤収容部
16 薬剤供給ポンプ
17 温度センサ
18 pHセンサ
19 処理水排水路
20 洗浄用水排水路
21 処理水排水弁
22 洗浄用水排水弁
23 制御部

Claims (7)

  1. 水を貯めることができる処理槽と、
    上記処理槽内に配置され、上記処理槽内の水を電気分解するために通電される電極と、
    上記処理槽内の水を循環させるための循環路と、
    上記循環路内を流れる水に対して熱交換を行なうための熱交換器と、
    上記熱交換器に熱交換のための冷却水を供給する冷却水供給手段と、
    上記電極に通電を行なうとともに、上記処理槽内の水を上記循環路に循環させることにより、その水を上記熱交換器で冷却しつつ電気分解による水処理を行なう水処理手段と、
    上記循環路内を流れる水の流量、または、上記冷却水供給手段により上記熱交換器に供給される冷却水の流量が、上記水処理時よりも減少された処理を行なうことにより、上記処理槽内の水の温度を上昇させて、上記電極の洗浄処理を行なう洗浄処理手段と、
    上記洗浄処理が行なわれる際に、上記処理槽内に、上記電極を洗浄するための薬剤を供給する薬剤供給手段とを備えることを特徴とする水処理装置。
  2. 上記洗浄処理用の水を上記処理槽内に供給するための洗浄用水供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
  3. 上記処理槽内の上記水処理が行なわれた水を排水するための処理水排水手段と、
    上記洗浄用水供給手段により上記処理槽内に供給された上記洗浄処理用の水を、上記洗浄処理後に上記処理槽内から排水するための洗浄用水排水手段とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の水処理装置。
  4. 上記処理槽内の水の温度を測定するための温度測定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水処理装置。
  5. 上記薬剤供給手段は、上記処理槽内に、酸を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水処理装置。
  6. 上記処理槽内の水のpHを測定するpH測定手段をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の水処理装置。
  7. 上記水処理手段は、上記処理槽内の水を電気分解することにより、その水に含まれる窒素成分を除去することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水処理装置。
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