JP2006261834A - 秘密鍵配送装置および秘密鍵配送方法 - Google Patents

秘密鍵配送装置および秘密鍵配送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な構成でしきい値設定の容易な秘密鍵配送システムを提供する。
【解決手段】 本発明によれば、送信者がコヒーレントなパルス対を生成し、パルス対の位相差をモードと送信データに基づいて変調する。受信者はパルス対を受信し、パルス対の位相差を対応するモードで復調する。次に、パルス対を2分岐し、分岐経路間にパルス間隔に等しい遅延を与えて合波することによってパルス対を干渉させる。干渉光を2つの光強度検出器で検出し差動検波することでパルス対の位相差(0またはπ)に応じた電圧出力を得る。パルス対の位相には、モードに応じてビット「0」または「1」が割り当てられているので、この差動検波出力から送信データを判定することができる。しかし、モード情報を持たない盗聴者は、モードに対応する位相空間上のすべての点を判別しなければならず、量子雑音により送信データを判定することができない。
【選択図】 図5

Description

本発明は、暗号通信に用いる秘密鍵配送技術に関し、特に、量子雑音を利用した秘密鍵配送技術に関する。
データを盗聴者に読み取られないように暗号化して送受信する暗号通信には、公開鍵暗号方式と秘密鍵暗号方式がある。秘密鍵暗号方式は、送受信者が共通の秘密鍵を保有し、この秘密鍵を用いてデータの暗号化および復号化を行う。この方式は、秘密鍵が外部に知られない限りもっとも安全な暗号通信を提供する。しかし、この方式では、秘密鍵を送受信者に安全に供給する手段が問題となる。
秘密鍵を離れた2者に安全に供給する手段として、量子雑音を利用した秘密鍵配送方法が研究されている。図1にその基本構成を示す。秘密鍵配送システム10は、一般に、秘密鍵データを変調して送信する送信機20と、変調データを配送する伝送路30と、変調された秘密鍵データを受信して復調する受信機40とから構成される。この秘密鍵配送システムでは、送信機20および受信機40は、共通のモード選択鍵を保有しているものとする。送信機20は、このモード選択鍵に従って秘密鍵データを変調し、伝送路30を介して受信機40に送信する。受信機40は、伝送路30を介して送信機20からの変調された秘密鍵データを受信し、復調する。
この変復調の方法としては、従来、光の強度を用いたもの(例えば、非特許文献1、非特許文献2)や光の偏波を用いたもの(例えば、非特許文献3)が知られている。しかしながら、偏波を用いるものは、伝送に伴う偏波変動のために、光ファイバ伝送には適さない。そのため、ここでは光の強度を用いる方法について説明する。
図2は、強度変調を用いた従来の変復調方法を説明するための図である。従来の変復調方法では、送信機20は、図2に示すように、多値の光強度変調信号を送信する。図2では、例として4値の場合を示している。この4値のうちレベルの離れた2値をひとつのモードとする。図2では、レベル1とレベル3をモード1、レベル2とレベル4をモード2としている。そして、モード1とモード2の2つのモードのいずれか1つをモード選択鍵により選択する。この場合、モード選択鍵により、光強度に関するしきい値を設定する。すなわち、モードに応じて設定するしきい値を変える。図2の場合、モード1ならば、レベル1とレベル3との中間点であるしきい値を使用し、モード2ならば、レベル2とレベル4との中間点であるしきい値を使用する。次に、偶数次モードでは、例えば上位のレベルにビット「0」を、下位のレベルにビット「1」を割り当てる。また、奇数次モードでは、逆に上位のレベルにビット「1」を、下位のレベルにビット「0」を割り当てる。すなわち、図2の例では、レベル1にモード1のビット「0」を、レベル2にモード2のビット「1」を、レベル3にモード1のビット「1」を、レベル4にモード2のビット「0」を割り当てている。
送信機20では、あらかじめ共有しているモード選択鍵に従ってビットごとにどのモードで変調するかを選択する。そして、送信する暗号化データのビットを、選択したモードのレベルに割り当てる。これにより、ひとつのタイムスロットでは、多値のうちのひとつのレベルが選択されて送信されることになる。
受信機40では、送信された信号を直接検波し、しきい値によりビットが「0」か「1」かを判定する。その様子を図3に示す。ここで、受信機40は、あらかじめ共有しているモード選択鍵に従ってビットごとにどのモードで復調するかを選択する。すなわち、図3に示すように、モードに応じて設定するしきい値を変える。図3(a)のようにモード1ならば、レベル1とレベル3との中間点であるしきい値を使用し、図3(b)のようにモード2ならば、レベル2とレベル4との中間点であるしきい値を使用する。このようにして、受信信号を復調し、得られた結果を秘密鍵データとする。
このようなシステムでは、多値変調のレベルを適切に設定することにより、盗聴行為に対して安全な秘密鍵配送システムを構成することができる。次に、その原理について説明する。一般に、光の強度レベルは、図2に示すように、量子雑音による揺らぎが存在する。この揺らぎは、量子力学的に生じるものであり、通常のレーザ光を使用する限り不可避である。信号レベルに揺らぎが存在すると、しきい値による判定にエラーを生じる可能性がある。例えば、ビット「0」を送った場合でも、レベルの揺らぎによりしきい値を超えてビット「1」と判定されることがある。こうしたエラーの発生確率は、ビット「0」とビット「1」のレベル差と、揺らぎの幅によって決まる。同じ揺らぎ幅であれば、レベル差が小さいほどエラーが発生しやすい。そこで、多値変調のレベルを、隣り合うレベルの間隔は、誤り率が大きくなるように狭く設定する一方、モード内でのレベルの間隔は、誤り率が無視できる程度に広く設定する。図2の例では、レベル1とレベル2およびレベル3とレベル4の間隔は、誤り率が大きく判別不可能となるように設定し、レベル1とレベル3およびレベル2とレベル4の間隔は、誤り率が小さく判別可能であるように設定する。
正規の受信機40は、送信機20とモード選択鍵を共有しているので、どのモードで信号が送られているのかを知っている。そこで、各モードでのビットの判定に最適なしきい値を選択することができる。例えば、図3に示すように、モードに応じてしきい値を適切に選択することができる。これにより、正規の受信機40は、正しくビット情報を復調することができる。
一方、盗聴者は、どのモードで信号が送られているのかを知らない。そのため、伝送信号を復調するためには、多値のすべてのレベルの信号を識別しなければならない。すなわち、図4に示すように、隣り合うレベルの中間点にしきい値を設定して、各レベルを識別しビットを判定しなければならない。ところが、量子雑音のために、隣り合う信号レベルは、正しく識別することができない。したがって、盗聴者は正しいビット情報を復調することができず、モード鍵を共有する送信機20と受信機40の間でのみ秘密鍵が正しく伝送されることになる。
原澤、他、「光通信量子暗号伝送方式の原理実験」、電子情報通信学会、2004年通信ソサイエティ大会、B−10−34、pp.263 O. Hirota, et al., "Quantum key distribution with unconditional security for all optical fiber network," Quantum Physics, 1 Aug 2003. < http://jp.arxiv.org/abs/quant-ph/0308007 > T. Nishioka, et al., "How much security does Y-00 protocol provide us?" Physics Letters, A 327, pp.28-32, 2004.
しかしながら、上記の従来技術では、受信しきい値をビットごとに切り替える必要があり、これを実装することは、容易ではない。具体的な実装方法としては、しきい値の異なる受信機をモードの数だけ用意してビットごとに対応する受信機を切り替える構成が考えられる。しかし、この方法では、モード数が多くなるにつれて、多くの受信機が必要となり、装置が大規模化する。また、量子雑音による光の強度の揺らぎは、信号光のレベルによって異なるので、多値のレベル間隔は等間隔ではなく、レベルに応じて間隔を設定する必要がある。そのため、正規の受信者には判別可能で、盗聴者には判別不可能となるように信号のレベルを設定するのが、特にモード数が多くなると、煩雑となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成でしきい値設定の容易な秘密鍵配送装置および秘密鍵配送方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、送信機から受信機に秘密鍵データを配送する秘密鍵配送装置において、コヒーレントな光パルス対を発生する光源と、前記パルス対の位相差を、予め送信機と受信機との間で共有されたモード選択鍵により選択されたモードに基づき、秘密鍵データに対応する位相変調を行う第1の位相変調手段とを具備する送信機と、前記送信機に具備された第1の位相変調手段により位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵により選択されたモードに基づき、位相変調する第2の位相変調手段と、前記第2の位相変調手段により位相変調された光パルス対の位相差に基づいて秘密鍵データを生成する秘密鍵生成手段とを具備する受信機とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の秘密鍵配送装置において、前記第1の位相変調手段は、前記光源で発生した光パルス対の位相差を、モード選択鍵をmとして、秘密鍵データの値に応じて、mδまたはmδ+πのいずれかで位相変調する(但し、δ=π/M、Mは整数、mは0≦m≦M−1を満たす整数)ことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の秘密鍵配送装置において、前記第2の位相変調手段は、前記第1の位相変調手段により位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵mを用いて、−mδで位相変調することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の秘密鍵配送装置において、前記秘密鍵生成手段は、前記第2の位相変調手段により位相変調された光パルス対を2分岐し、分岐した経路間に光パルス対のパルス間隔に等しい時間遅延を与えて合波することにより干渉した光の強度を検出することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、送信機から受信機に秘密鍵データを配送する秘密鍵配送方法であって、前記送信機において、コヒーレントな光パルス対を発生するステップと、前記パルス対の位相差を、予め送信機と受信機との間で共有されたモード選択鍵により選択されたモードに基づき、秘密鍵データに対応する位相変調を行う第1の位相変調ステップとを含み、前記受信機において、前記送信機において第1の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵により選択されたモードに基づき、位相変調する第2の位相変調ステップと、前記第2の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対の位相差に基づいて秘密鍵データを生成するステップとを含むことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の秘密鍵配送方法において、前記第1の位相変調ステップは、前記発生された光パルス対の位相差を、モード選択鍵をmとして、秘密鍵データの値に応じて、mδまたはmδ+πのいずれかで位相変調する(但し、δ=π/M、Mは整数、mは0≦m≦M−1を満たす整数)ことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の秘密鍵配送方法において、前記第2の位相変調ステップは、前記第1の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵mを用いて、−mδで位相変調することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7のいずれかに記載の秘密鍵配送方法において、前記秘密鍵データを生成するステップは、前記第2の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対を2分岐し、分岐した経路間に光パルス対のパルス間隔に等しい時間遅延を与えて合波することにより干渉した光の強度を検出することを特徴とする。
図5に、本発明の一実施形態による秘密鍵配送システムの構成を示す。秘密鍵配送システム10は、図1の場合と同様に、秘密鍵データを変調して送信する送信機20と、変調データを配送する伝送路30と、変調された秘密鍵データを受信して復調する受信機40とから構成され、送信機20および受信機40は、共通のモード選択鍵を保有している。
送信機20は、コヒーレントな連続光パルスを出力するコヒーレントパルス光源22と、光パルスを位相変調する位相変調器24とから構成され、光ファイバなどの伝送路30を介して、受信機40に変調光パルスを送信する。コヒーレントパルス光源22は、コヒーレントな2つの連続する光パルスを出力し、位相変調器24は、2つの連続する光パルスのうちの最初のパルスに、後述する手順に従って位相変調を加え、2番目のパルスには位相変調を加えない。送信機20からのこれら2つの連続するパルスは、光ファイバなどの伝送路30を介して受信機40に伝送される。受信機40では、位相変調器42が受信した2つの連続するパルスのうちの最初のパルスに、後述する手順に従って位相変調を加え、2番目のパルスには位相変調を加えない。位相変調器42からの出力光は、光カップラ44aにより2分岐され、2分岐された光の一方に時間遅延が与えられ、その後2×2光カップラ44bにより再び合波される。ここで与えられる時間遅延は、2つの連続するパルスのパルス間隔に等しくなるように設定される。これにより、2つの連続するパルスは合波カップラ44bで干渉し、2つの出力からパルスの位相差に応じた干渉光が出力される。この干渉光はそれぞれ、光強度検出器46aおよび46bで検出され、この検出された信号は差動検波器48により差動検波される。
次に、図6を参照して、秘密鍵配送システム10における位相変調について説明する。図6に示すように、0から2πまでの位相を2Mで等分割し(M:整数)、モード選択鍵および送信データの組み合わせに従ってひとつの位相を選択する。位相変調器24では、この選択した位相により、2つの連続するパルスの最初のパルスを位相変調する。
図6では、等分割された位相のひとつがmδまたはmδ+πとして表されている(但し、mは0≦m≦(M−1)の整数、δ=π/M)。ここで、{mδ,mδ+π}をひとつのモードとし、mはモード番号を表すものとする。すなわち、全モード数はMとなる。そして、各位相値と送信データビットの対応付けを、mが偶数ならば{mδ=「0」,mδ+π=「1」}とし、mが奇数ならば{mδ=「1」,mδ+π=「0」}とする。このようにして、位相変調器24は、モード選択鍵と送信データに対応する位相を選択して、最初のパルスを位相変調する。
一方、位相変調器42は、送信機20とあらかじめ共有しているモード選択鍵に従って、受信した2つの連続するパルスの最初のパルスを位相変調(復調)する。このとき加える位相変調は、モードmに対して−mδの位相変調とする。このような位相変調を加えると、位相変調器42の出力段での2つの連続するパルスの位相は、(0,0)または(π,0)のいずれかとなる。いずれになるかは、送信機20から送信される2つの連続パルスの位相によって決まる。すなわち、偶数次モードでは、ビット「0」に対して送信される2つの連続パルスの位相は(mδ,0)であり、それゆえ位相変調器42の出力段では(0,0)となり、ビット「1」に対して送信される2つの連続パルスの位相は(mδ+π,0)であり、それゆえ位相変調器42の出力段では(π,0)となる。一方、奇数次モードでは、ビット「0」に対して送信される2つの連続パルスの位相は(mδ+π,0)であり、それゆえ位相変調器42の出力段では(π,0)となり、ビット「1」に対して送信される2つの連続パルスの位相は(mδ,0)であり、それゆえ位相変調器42の出力段では(0,0)となる。
位相変調器42からの出力は次いで、光カップラ44aで2分岐され、分岐した2つの経路間で2つの連続パルスのパルス間隔に等しい時間差が与えられる。長経路を通った最初のパルスと短経路を通った2番目のパルスは、合波カップラ44bで干渉し、パルス間の位相差に応じて、光強度検出器46aまたは46bで干渉光が検出される。2つの経路の伝播位相差を0とすると、光カップラ44aでの2つの連続するパルスの位相が(0,0)であれば光強度検出器46bで、(π,0)であれば光強度検出器46aで干渉光が検出される。
次に、これら2つの光強度検出器からの電気信号が差動検出器48で差動検波される。光強度検出器46aからの出力信号電圧をV1とし、光強度検出器46bからの出力信号電圧をV2とすると、この差動検出器からはV1−V2という信号が出力される。すなわち、2つの連続するパルスの位相が(0,0)であれば{V1=0,V2=v}、(π,0)であれば{V1=v,V2=0}となる(但し、vはある所与の定数)。したがって、差動検波器48からの出力Sは、位相(0,0)の時にS=−v、位相(π,0)の時にS=vとなる。前述のように、位相が(0,0)であるか(π,0)であるかは、送信される2つの連続パルスの位相によって決まる。ここで、送信データビットと差動検波出力Sの関係をまとめると、表1のようになる。
Figure 2006261834
正規の受信機40は、どのモードでデータビットが送られているかを知っているので、表1に基づいて、差動検波出力から送信データのビットを正しく判定することができる。これにより、送信機20と受信機40との間で秘密鍵の送受信が可能となる。
上記の説明では、位相変調器42は、受信した2つの連続するパルスの最初のパルスを位相変調(復調)する場合について説明したが、最初のパルスではなく、2番目のパルスを位相変調してもよい。このとき加える位相変調は、モードmに対してmδの位相変調とすることができる。このような位相変調を加えると、位相変調器42の出力段での2つの連続するパルスの位相は、(mδ,mδ)または(mδ+π,mδ)のいずれかとなり、この場合の差動検出器の出力は、それぞれS=−v、S=vとなる。
図7を参照して、上記の手順をまとめると次のようになる。送信機20において、コヒーレントパルス光源22により、コヒーレントな2つの連続するパルスが生成される(ステップ102)。位相変調器24により、モード選択鍵および送信データに従って、連続パルスのうちの最初のパルスがmδまたはmδ+πで位相変調される(ステップ104)。位相変調後、連続パルスが伝送路30を介して伝送される(ステップ106)。受信機40において、位相変調器42により、受信した連続パルスの最初のパルスがモード選択鍵に従って−mδで位相変調(復調)される(ステップ108)。位相変調した受信連続パルスが光カップラ44aにより2分岐され、分岐した経路間にパルス間隔に等しい遅延時間を与え、合波カップラ44bにより再び合波することによって最初のパルスと2番目のパルスを干渉させる(ステップ110)。干渉した光が、連続パルスの位相差に応じて、2つの光強度検出器46aおよび46bで検出される(ステップ112)。2つの強度検出器46a、46bからの電気信号を差動検波して送信データを判定する(ステップ114)。
次に、上記のシステムが盗聴に対して安全である理由について説明する。一般に、位相値を知るためには、位相空間上の点をある軸に射影して測定する。図8は、位相測定の様子を示している。図8では、位相空間上の点をx軸に射影する例を示している。具体的な射影方法としては、例えば、遅延マッハツェンダ干渉計により2つのパルスを干渉させると、cos(θ)という信号が得られ、これはx軸への射影測定と等価となる。しかし、x軸への射影だけではθと2π−θの区別がつかないので、0から2πまでの任意の位相を識別するには、信号を2分岐し、一方についてx軸の射影測定を、他方についてはy軸への射影測定を行う。また、射影軸の設定は、例えば、遅延マッハツェンダ干渉計の2つの経路の位相差を調整することにより可能である。
正規の受信機40は、どのモードでデータが送られているかを知っているので、{0,π}の位相差を識別することができれば、送信データを正しく判定することができる。これは、図8においてx軸上の最も離れた2点を判別することに相当する。これに対して、モード情報を知らない盗聴者は、0からπまでのM分割された位相をすべて判別しなければならない。すなわち、x軸上に射影される近接した2点を判別しなければならない。このことは、従来の秘密鍵配送システムにおいて、多値の隣接する2つの信号レベルを判別しなければならないことに相当する。この場合、従来のシステムと同様に、信号レベルには量子雑音揺らぎが存在し、レベル設定が適切であれば、離れた2値の信号レベルは判別可能であるが、多値の近接する信号レベルは判別不可能とすることができる。すなわち、モード情報を有する正規の受信者は、送信データを正しく判定できる一方、モード情報を持たない盗聴者は送信データを正しく判定できないようにすることができる。
本発明によれば、正規の受信機は、復調信号が+vであるか−vであるかを判定すればよく、判定のしきい値を常に0に設定することができる。従来技術のように、ビットごとにしきい値レベルを切り替える必要がない。これは、本発明では、しきい値の切り替えを実効的に受信機内の位相変調器で行っているためである。また、位相変調において0から2πまでの等分割の位相値を使用することで、従来技術の多値のレベル設定に比べて、変調の条件設定が容易となる。したがって、本発明により、簡単な構成でしきい値設定の容易な秘密鍵配送装置および秘密鍵配送方法を提供することができる。
以上、本発明について、具体的に説明してきたが、本発明の原理を適用できる多くの実施可能な形態に鑑みて、ここに記載した実施例は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、上記の実施例では、2つの連続するパルスの最初のパルスを位相変調したが、2つの連続するパルス間の位相差が変調されていればよく、最初のパルスではなく、2番目のパルスを位相変調しても、または両方のパルスを位相変調してもよい。このように、ここに例示した実施例は、本発明の趣旨から逸脱することなくその構成と詳細を変更することができる。さらに、説明のための構成要素は、本発明の趣旨から逸脱することなく変更、補足、またはその順序を変えてもよい。
秘密鍵配送システムの基本構成を示す図である。 強度変調を用いた従来の秘密鍵配送システムにおける変調方法を示す図である。 強度変調を用いた従来の秘密鍵配送システムにおける各モードでの信号の判別方法を示す図であり、図3(a)はモード1の場合を、図3(b)はモード2の場合を示している。 強度変調を用いた従来の秘密鍵配送システムにおいて、モード情報を持たない盗聴者の信号判別方法を示す図である。 本発明による秘密鍵配送システムの構成を示す図である。 本発明による秘密鍵配送システムにおける変調方法を示す図である。 本発明による秘密鍵配送方法を示すフローチャートである。 本発明による秘密鍵配送システムにおいて、モード情報を持たない盗聴者の信号判別方法を示す図である。
符号の説明
10 秘密鍵配送システム
20 送信機
22 コヒーレントパルス光源
24 位相変調器
30 伝送路
40 受信機
42 位相変調器
44a 分岐光カップラ
44b 合波光カップラ
46a、46b 光強度検出器
48 差動検波器

Claims (8)

  1. 送信機から受信機に秘密鍵データを配送する秘密鍵配送装置において、
    コヒーレントな光パルス対を発生する光源と、
    前記パルス対の位相差を、予め送信機と受信機との間で共有されたモード選択鍵により選択されたモードに基づき、秘密鍵データに対応する位相変調を行う第1の位相変調手段と、
    を具備する送信機と、
    前記送信機に具備された第1の位相変調手段により位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵により選択されたモードに基づき、位相変調する第2の位相変調手段と、
    前記第2の位相変調手段により位相変調された光パルス対の位相差に基づいて秘密鍵データを生成する秘密鍵生成手段と、
    を具備する受信機と
    を備えたことを特徴とする秘密鍵配送装置。
  2. 請求項1に記載の秘密鍵配送装置において、
    前記第1の位相変調手段は、前記光源で発生した光パルス対の位相差を、モード選択鍵をmとして、秘密鍵データの値に応じて、mδまたはmδ+πのいずれかで位相変調する(但し、δ=π/M、Mは整数、mは0≦m≦M−1を満たす整数)ことを特徴とする秘密鍵配送装置。
  3. 請求項2に記載の秘密鍵配送装置において、
    前記第2の位相変調手段は、前記第1の位相変調手段により位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵mを用いて、−mδで位相変調することを特徴とする秘密鍵配送装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の秘密鍵配送装置において、
    前記秘密鍵生成手段は、前記第2の位相変調手段により位相変調された光パルス対を2分岐し、分岐した経路間に光パルス対のパルス間隔に等しい時間遅延を与えて合波することにより干渉した光の強度を検出することを特徴とする秘密鍵配送方法。
  5. 送信機から受信機に秘密鍵データを配送する秘密鍵配送方法であって、
    前記送信機において、
    コヒーレントな光パルス対を発生するステップと、
    前記パルス対の位相差を、予め送信機と受信機との間で共有されたモード選択鍵により選択されたモードに基づき、秘密鍵データに対応する位相変調を行う第1の位相変調ステップとを含み、
    前記受信機において、
    前記送信機において第1の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵により選択されたモードに基づき、位相変調する第2の位相変調ステップと、
    前記第2の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対の位相差に基づいて秘密鍵データを生成するステップと
    を含むことを特徴とする秘密鍵配送方法。
  6. 請求項5に記載の秘密鍵配送方法において、
    前記第1の位相変調ステップは、前記発生された光パルス対の位相差を、モード選択鍵をmとして、秘密鍵データの値に応じて、mδまたはmδ+πのいずれかで位相変調する(但し、δ=π/M、Mは整数、mは0≦m≦M−1を満たす整数)ことを特徴とする秘密鍵配送方法。
  7. 請求項6に記載の秘密鍵配送方法において、
    前記第2の位相変調ステップは、前記第1の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対の位相差を、前記モード選択鍵mを用いて、−mδで位相変調することを特徴とする秘密鍵配送方法。
  8. 請求項5ないし7のいずれかに記載の秘密鍵配送方法において、
    前記秘密鍵データを生成するステップは、前記第2の位相変調ステップにより位相変調された光パルス対を2分岐し、分岐した経路間に光パルス対のパルス間隔に等しい時間遅延を与えて合波することにより干渉した光の強度を検出することを特徴とする秘密鍵配送方法。
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