JP2008306474A - 量子暗号通信装置及び量子暗号通信方法 - Google Patents

量子暗号通信装置及び量子暗号通信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実装が容易でビットエラーの少ない量子暗号通信技術を提供する。
【解決手段】本発明による量子暗号通信システムは、時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信する送信機と、これら2つの光を受信し、その位相差を所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、送信機における変調位相情報を検出する受信機とを備える。これら2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定される。受信機から変調位相情報を検出した時刻を送信機に伝えることによって、送信機で共通の変調位相情報を生成する。これにより、送信機と受信機の間で、第三者に盗聴されることなく、秘密鍵を共有することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、暗号通信に用いる秘密鍵配送技術に関し、特に、量子雑音を利用した秘密鍵配送技術に関する。
情報を盗聴者に漏らすことなく、正規の通信者間のみで安全にデータをやり取りする暗号技術は、現代の生活に不可欠なものである。既存の暗号方式として有名なものには、公開鍵暗号方式と秘密鍵暗号方式がある。公開鍵暗号方式は、計算速度の非常に速い計算機により破られてしまうことが知られており、また非常に巧妙な数学のアルゴリズムにより破られてしまう可能性もある。その一方で、秘密鍵暗号方式は、送信者と受信者が盗聴者に知られていないビット値の乱数表、つまり秘密鍵を共有していれば安全であることが知られている。ここで問題となってくるのは、如何にして秘密鍵を共有するか、ということである。この問題を解決する方法として、量子暗号通信が最近注目されている。
量子暗号通信の基本的な構成を図1に示す。まず、送信者は、ビット値をランダムに発生させ、その値に応じて光源からの光の状態を変調した後、変調光を伝送路(多くの場合、光ファイバ)を介して受信者に送る。一方、受信者は、送信者が行なった変調を読み取るように測定を行う。その後、送信者と受信者が通常の電話回線122などを用いてデータ処理のための通信を行い、秘密鍵が生成される。
光の状態を変調する方法としては、光の位相変調を用いる方式(例えば、非特許文献1〜3)が光ファイバでの伝送に向いているために主流となっている。光の位相変調を用いる方式の中でも、受信者がしきい値を設ける方式(例えば、非特許文献3)としきい値を設けない方式(例えば、非特許文献1および2)がある。ここでは、非特許文献1で示されたB92と呼ばれる方式について説明する。
この方式の構成例を図2に示す。この方式では、まず、送信機において、レーザ光源からの強い光を、透過率と反射率が非対称なビームスプリッタABS0を用いて微弱な光と強度の強い参照光に分ける。その後、位相変調器PMで乱数の値に応じて微弱な光に対して位相変調を行い、位相変調光を得る。例えば、乱数のビット値が0なら0の位相変調を行い、乱数のビット値が1ならπの位相変調を行う。さらに、位相変調光に対しては、参照光に対して時間τだけの遅延を設け、位相変調光と参照光を透過率と反射率が同じ50:50のビームスプリッタBS0を介して、受信機に送る。
一方、受信機においては、時間間隔τで入射してきた位相変調光と参照光を50:50のビームスプリッタBS1を用いてそれぞれ2つの光に分け、干渉計に入射させる。この干渉計も時間差τが生じるように光路差が設けられている。さらに、この干渉計の長い方のアームには送信機側と同じ性質をもつ非対称なビームスプリッタABS1がセットされている。最後に、50:50のビームスプリッタBS2を用いて2つのアームからの光が合波され、2つの光検知器DET0およびDET1により信号が読み取られる仕組みになっている。
次に、この方式でビット情報を送る原理について説明する。送信機からは、強度の強い参照光を送った後、時間差τで位相変調光を送ることになる。受信機の50:50のビームスプリッタBS1にはまず強い参照光が入射し、続いて位相変調光が入射する。この参照光は、50:50のビームスプリッタBS1によって分岐され、干渉計の長いアームと短いアームを通る。次に続く位相変調光も、50:50のビームスプリッタBS1によって分岐され、干渉計の長いアームと短いアームを通る。ここで、参照光のうち長いアームを通ったものと、位相変調光のうち短いアームを通ったものに着目する。長いアームを通った参照光の強度は、非対称なビームスプリッタの作用により、短いアームを通った位相変調光の強度と同じになる。したがって、後段の50:50のビームスプリッタBS2には同じ強度で、同じ周波数の2つの光が入射することになり、この2つの光は干渉を起こす。
例えば、送信機から0の位相変調(例えば、ビット値0)を送った場合、位相変調光の位相は、参照光の位相と同じであるので、受信機の2つの光検知器DET0およびDET1のうち一方のみ(例えば、DET0)に光が入射する。また、送信機からπの位相変調(例えば、ビット値1)を送った場合、位相変調光の位相は、参照光の位相と逆になるので、2つの光検知器のうち他方のみ(例えば、DET1)に光が入射する。つまり、送信機で行なった位相変調の値に応じて、受信機の検出器のいずれかがシグナルを検出することになり、送信機から送ったビット情報が受信機に伝わる。そして、2つの光検知器にはそれぞれCPU0およびCPU1が接続され、データが記録される。
盗聴を防ぐためには、位相変調光の強度を微弱にする必要がある。この微弱性により盗聴者は自由にビットを盗むことができない。微弱な光を用いると、受信機でビット情報を検出する確率が低くなるが、検出できた場合には送信機から送ったビット情報が受信機に正しく伝わっていることになる。受信機でどのシグナルの検出に成功したかを電話線などを通じて送信機に伝え、送信機側で該当するビット値を残すことにより、送信機と受信機との間で共通のビット列を共有することができる。
盗聴方法として、盗聴者がビームスプリッタを用いて位相変調光と参照光を盗み、それらを測定する、という方法が考えられる。しかし、位相変調光が非常に微弱であるため、受信者がシグナルの検出に成功した光に対して、盗聴者もシグナルの検出に成功する確率は非常に小さく、従って漏れる情報も小さい。この漏れた情報は、秘匿性増強プロトコルによりいくらでも小さくできることが知られている。さらに、位相変調光の強さを十分に小さくし(平均光子数が0.1個程度)、参照光の強さを十分に強くすれば(平均光子数が107個程度)、任意の盗聴に対してもこのB92方式は安全であることが厳密に示されている(非特許文献4)。
C. H. Bennett, "Quantum Cryptography Using Any Two Nonorthogonal States," Physical Review Letter, Vol. 68, No. 21, May 25, 1992, pp.3121-3124 C. H. Bennett, and G. Brassard, "Quantum Cryptography: Public Key Distribution And Coin Tossing," Proceedings of IEEE International Conference of Computer Systems and Signal Processing, Bangalore, India, December 10-12, 1984 T. Hirano, H. Yamanaka, M. Ashikaga, T. Konishi, and R. Namiki, "Quantum Cryptography Using Pulsed Homodyne Detection," Physical Review A 68, 042331 (2003) K. Tamaki, N. Lutkenhaus, M. Koashi, and J. Batawantudawe, "Unconditional Security of the Bennett 1992 Quantum Key-Distribution Scheme with Strong Reference Pulse," http://jp.arxiv.org/abs/quant-ph/0607082
しかしながら、上記の従来技術で仮定されている、位相変調光と参照光の非常に大きな強度の差は、実際の実験で作るのは難しい。また、仮にこれらの光を生成することができたとしても、光ファイバ中のレイリー散乱により、参照光からの散乱光が位相変調光と混ざりビットエラーが生じてしまう。これら2つの問題を解決するために参照光と位相変調光の強度を同じにすることが考えられるが、そうすると受信機側でしきい値を設ける必要がある。これにより、さらにビットエラーが生じてしまうという問題が生じる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、実装が容易でビットエラーの少ない量子暗号通信技術を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、送信機と受信機との間で量子暗号通信を行なうためのシステムであって、時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信する送信機であって、前記2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定される送信機と、前記2つの光を受信し、その位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、前記送信機における変調位相情報を検出する受信機とを備え、前記変調位相情報を検出した時刻を受信機から送信機に伝えることによって、受信機および送信機で共通の変調位相情報を生成するように構成されたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、量子暗号通信を行なうための送信機であって、時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信するように構成され、前記2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定されたことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、量子暗号通信を行なうための送信機であって、パルス光を発生するパルス光発生手段と、前記パルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、前記分岐したパルス光の位相差を所定の位相値でランダムに変調する位相変調手段と、前記位相差が変調されたパルス光を等しい強度で合波する合波手段とを備え、前記合波された2つのパルス光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定されたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、量子暗号通信を行なうための送信機であって、パルス光を発生するパルス光発生手段と、前記パルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、前記時間差τが与えられたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と、前記時間差τが与えられたパルス光の位相差を所定の位相値でランダムに変調する位相変調手段とを備え、前記位相差が変調されたパルス光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定されたことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、量子暗号通信を行なうための受信機であって、時間差τを有し、位相差が所定の位相値でランダムに変調された2つの光を受信し、その位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、前記受信した2つの光の変調位相情報を検出するように構成されたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、量子暗号通信を行なうための受信機であって、時間差τを有し、位相差が所定の位相値でランダムに変調された2つのパルス光を受信し、前記受信したパルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、前記分岐したパルス光の位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調する位相変調手段と、前記位相差が変調されたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と、前記合波したパルス光の干渉によって、前記受信した2つのパルス光の変調位相情報を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、量子暗号通信を行なうための受信機であって、時間差τを有し、位相差が所定の位相値でランダムに変調された2つのパルス光を受信し、前記受信した2つのパルス光の位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調する位相変調手段と、前記位相差が変調されたパルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、前記時間差τが与えられたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と、前記合波したパルス光の干渉によって、前記受信した2つのパルス光の変調位相情報を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、送信機と受信機との間で量子暗号通信を行なうための方法であって、送信機から時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信する工程であって、前記2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定される工程と、受信機で前記2つの光を受信し、その位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、前記送信機における変調位相情報を検出する工程と、前記変調位相情報を検出した時刻を受信機から送信機に伝えることによって、受信機および送信機で共通の変調位相情報を生成する工程とを備えることを特徴とする。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図3に、本発明の一実施形態による秘密鍵配送システムの構成例を示す。この秘密鍵配送システムは、送信機と、受信機を含み、これらが光ファイバなどの伝送路を介して接続されている。送信機は、パルス光を発生するレーザ光源と、パルス光を50:50で分岐するビームスプリッタBS0と、時間差τの光路差を有し、干渉計を構成する2つのアームと、長い方のアームの光の位相を変調する位相変調器PMと、2つのアームからの光を50:50で合波するビームスプリッタBS1とを備えている。一方、受信機は、送信機からの光を50:50で分岐するビームスプリッタBS2と、時間差τの光路差を有し、干渉計を構成する2つのアームと、短い方のアームの光の位相を変調する位相変調器PMと、2つのアームからの光を50:50で合波するビームスプリッタBS3と、ビームスプリッタBS3からの光をそれぞれのポートで検出するフォトカウンタDET−S,DET−Mとを備えている。
レーザ光源からは、単一光子レベルではなく、比較的大きな強度のパルス光が出射される。このパルス光は、50:50のビームスプリッタBS0で分岐される。干渉計の短い方のアームを通った光は、ビームスプリッタBS1から参照光として出力される。一方、干渉計の長い方のアームを通った光は、位相変調器PMで2値{0,δ}のどちらかに確率1/2でランダムに位相変調され、ビームスプリッタBS1から位相変調光として出力される。この位相変調光は、参照光に対して、干渉計の2つのアームの光路差に応じて時間差τだけ遅延されている。これにより、同じ強度で同じ周波数をもつ2つの連続する参照光と位相変調光が生成される。このとき、CPUで変調データを記録しておく。ここで、光の強度および位相変調の値δは、送信機端において、図4に示すように、量子雑音(量子揺らぎ)による信号状態拡がりが一部重なりあう程度とする。
この2つの連続する参照光と位相変調光は、伝送路を介して受信機に達する。受信機において、参照光と位相変調光は、50:50のビームスプリッタBS2で分岐される。分岐した参照光のうち干渉計の長い方のアームを通った光は、時間差τの遅延を受ける。一方、分岐した位相変調光のうち干渉計の短いアームを通った光は、位相変調器PMで2値{0,−δ}のどちらかに確率1/2でランダムに位相変調される。干渉計の2つのアームからの光は、50:50のビームスプリッタBS3で合波され、時間差τの遅延を受けた参照光と、位相変調された位相変調光とが干渉し、2つのフォトカウンタDET−S,DET−Mで検出される。実際には、時間差τの2連続パルスを分岐し、遅延光路を介して合波すると、3つの時間スロットで光が検出されるが、最初と最後のスロットのデータは破棄し、参照光と位相変調光が干渉する真中のスロットでの検出結果をCPU−S,CPU−Mで記録する。
次に、受信機での情報の検出について説明する。参照光の電場をER=Eexp[jωt]、位相変調光の電場をES=Eexp[j(ωt+θ)]とする。ここで、Eは、受信機への入射光の電場の複素振幅、ωはレーザ光源の角速度、θは送信機と受信機で施した合計の位相変調をそれぞれ表している。DET−Sへの入射光のパワーWSとDET−Mへの入射光のパワーWMは、それぞれ、次式のように表される。
S=|ES/√2+ER/√2|2=2E2sin2(θ/2)
M=|ES/√2−ER/√2|2=2E2cos2(θ/2)
この式から、送信機と受信機で施した合計の位相変調θが0のとき、すなわち、送信機での位相変調が0で受信機側での位相変調が0のとき、または送信機での位相変調がδで受信機側での位相変調が−δのとき、DET−Sへの入射光のパワーは常に0になることが分かる。上記以外の位相変調の組合せの場合、フォトカウンタDET−Sに光が入射する。
ここで、DET−Sに入射する光の強度を、盗聴を防ぐために、平均光子数が単一光子レベルより小さくなるように、送信機側で参照光と位相変調光の強度および位相変調δの値を予め選定しておく。そうすると、この微弱な光によりDET−Sが確率的にクリックする。従って、受信機の位相変調が0でDET−Sがクリックしたとき、送信機側ではδの位相変調を行なっていたことを知ることができる。同様に、受信機の位相変調が−δでDET−Sがクリックしたとき、送信機側では0の位相変調を行なっていたことを知ることができる。DET−Sにクリックを生じさせたパルスに対して受信機で施した位相変調の値、およびそのパルスを受け取った時刻を受信機のCPU−Sに記録しておく。また、DET−Mに起きたクリックの割合をCPU−Mに記録しておく。このDET−Mでのクリックの割合が非常に小さい場合、プロトコルを中止するよう送信機に伝える。
受信機は、どの時刻でパルスによるDET−Sのクリックが発生したのかを送信機に通常の回線を用いて伝える。送信機は、この情報を元にして、CPUに記録された位相変調データを調べ、対応するパルス以外のデータを消去する。送信機および受信機の位相変調を十分な精度で行い、伝送路の雑音および受信機の検出器のダークカウントが無視できる場合、送信機の残りのデータと受信機側のCPU−Sに記録されているデータは一致するので、これを秘密鍵とする。雑音がある場合、エラー訂正コードおよび秘匿性増強プロトコルを用いることにより、安全な秘密鍵を共有することができる。
図5に、本発明の別の実施形態による秘密鍵配送システムの構成例を示す。この秘密鍵配送システムでは、送信機の位相変調器PMを2つのアームからの光を合波するビームスプリッタBS1の後段に配置し、受信機の位相変調器PMを送信機からの光を分岐するビームスプリッタBS2の前段に配置しており、この点で図3のシステムと相違している。
図3のシステムと同様、レーザ光源からは、単一光子レベルではなく、比較的大きな強度のパルス光が出射される。このパルス光は、50:50のビームスプリッタBS0で分岐される。この分岐したパルス光は、干渉計を経て、50:50のビームスプリッタBS1で合波されると、時間差τの2つの連続するパルス光となる。遅延していない最初のパルス光は、位相変調器PMで変調されることなく出力され、参照光となる。一方、遅延した方のパルス光は、位相変調器PMで変調される。すなわち、2値{0,δ}のどちらかに確率1/2でランダムに位相変調され、位相変調光となる。これにより、同じ強度で同じ周波数をもつ2つの連続する参照光と位相変調光が生成される。このとき、CPUで変調データを記録しておく。ここで、光の強度および位相変調の値δは、送信機端において、図4に示すように、量子雑音(量子揺らぎ)による信号状態拡がりが一部重なりあう程度とする。
この2つの連続する参照光と位相変調光は、図3のシステムと同様、伝送路を介して受信機に達する。受信機において、参照光は、位相変調器PMで変調されることなく出力される。一方、位相変調光は、位相変調器PMで2値{0,−δ}のどちらかに確率1/2でランダムに位相変調される。次に、これら2つの光は、50:50のビームスプリッタBS2で分岐される。分岐した参照光のうち干渉計の長い方のアームを通った光は、時間差τの遅延を受ける。この参照光は、分岐した位相変調光のうち干渉計の短いアームを通った光と、50:50のビームスプリッタBS3で合波される。時間差τの遅延を受けた参照光と、位相変調された位相変調光とが干渉し、2つのフォトカウンタDET−S,DET−Mで検出される。実際には、時間差τの2つの連続パルスを分岐し、遅延光路を介して合波すると、3つの時間スロットで光が検出されるが、最初と最後のスロットのデータは破棄し、参照光と位相変調光が干渉する真中のスロットでの検出結果をCPU−S,CPU−Mで記録する。
図3のシステムと同様、送信機と受信機で施した合計の位相変調θが0のとき、すなわち、送信機での位相変調が0で受信機側での位相変調が0のとき、または送信機での位相変調がδで受信機側での位相変調が−δのとき、DET−Sへの入射光のパワーは常に0になることが分かる。上記以外の位相変調の組合せの場合、フォトカウンタDET−Sに光が入射する。
ここで、DET−Sに入射する光の強度を、盗聴を防ぐために、平均光子数が単一光子レベルより小さくなるように、送信機側で参照光と位相変調光の強度および位相変調δの値を予め選定しておく。そうすると、この微弱な光によりDET−Sが確率的にクリックする。従って、受信機の位相変調が0でDET−Sがクリックしたとき、送信機側ではδの位相変調を行なっていたことを知ることができる。同様に、受信機の位相変調が−δでDET−Sがクリックしたとき、送信機側では0の位相変調を行なっていたことを知ることができる。DET−Sにクリックを生じさせたパルスに対して受信機で施した位相変調の値、およびそのパルスを受け取った時刻を受信機のCPU−Sに記録しておく。また、DET−Mに起きたクリックの割合をCPU−Mに記録しておく。このDET−Mでのクリックの割合が非常に小さい場合、プロトコルを中止するよう送信機に伝える。
受信機は、どの時刻でパルスによるDET−Sのクリックが発生したのかを送信機に通常の回線を用いて伝える。送信機は、この情報を元にして、CPUに記録された位相変調データを調べ、対応するパルス以外のデータを消去する。送信機および受信機の位相変調を十分な精度で行い、伝送路の雑音および受信機の検出器のダークカウントが無視できる場合、送信機の残りのデータと受信機側のCPU−Sに記録されているデータは一致するので、これを秘密鍵とする。雑音がある場合、エラー訂正コードおよび秘匿性増強プロトコルを用いることにより、安全な秘密鍵を共有することができる。
本発明による秘密鍵配送方式に対する盗聴方法として、盗聴者は、ビームスプリッタを用いて、参照光と位相変調光を盗み、それらを測定する、という方法が考えられる。しかし、送信機および受信機における位相変調器による位相変調が小さいため、受信機がビット情報の検出に成功した光に対して、盗聴者もビット情報の検出に成功する確率は非常に小さく、従って漏れる情報も小さい。この漏れた情報は、秘匿性増強プロトコルを用いることによりいくらでも小さくできる。さらに、DET−Mで発生したクリックの割合も監視しているので、盗聴者が位相変調光と参照光を盗んだとしても、受信機側でその監視および検知が可能である。
以上、本発明について、具体的にいくつかの実施形態について説明したが、本発明の原理を適用できる多くの実施可能な形態に鑑みて、ここに記載した実施形態は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、図3の送信機と、図5の受信機を組合せて使用することができる。このように、ここに例示した実施形態は、本発明の趣旨から逸脱することなくその構成と詳細を変更することができる。さらに、説明のための構成要素および手順は、本発明の趣旨から逸脱することなく変更、補足、またはその順序を変えてもよい。
従来の量子暗号通信の基本的な構成例を示す図である。 従来の秘密鍵配送方式の構成例を示す図である。 本発明の一実施形態による秘密鍵配送システムの構成例を示す図である。 光の強度および位相変調の程度について説明するための図である。 本発明の別の実施形態による秘密鍵配送システムの構成例を示す図である。

Claims (8)

  1. 送信機と受信機との間で量子暗号通信を行なうためのシステムであって、
    時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信する送信機であって、前記2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定される送信機と、
    前記2つの光を受信し、その位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、前記送信機における変調位相情報を検出する受信機と
    を備え、
    前記変調位相情報を検出した時刻を受信機から送信機に伝えることによって、受信機および送信機で共通の変調位相情報を生成するように構成されたことを特徴とするシステム。
  2. 量子暗号通信を行なうための送信機であって、
    時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信するように構成され、前記2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定されたことを特徴とする送信機。
  3. 量子暗号通信を行なうための送信機であって、
    パルス光を発生するパルス光発生手段と、
    前記パルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、
    前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、
    前記分岐したパルス光の位相差を所定の位相値でランダムに変調する位相変調手段と、
    前記位相差が変調されたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と
    を備え、
    前記合波された2つのパルス光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定されたことを特徴とする送信機。
  4. 量子暗号通信を行なうための送信機であって、
    パルス光を発生するパルス光発生手段と、
    前記パルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、
    前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、
    前記時間差τが与えられたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と、
    前記時間差τが与えられたパルス光の位相差を所定の位相値でランダムに変調する位相変調手段と
    を備え、
    前記位相差が変調されたパルス光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定されたことを特徴とする送信機。
  5. 量子暗号通信を行なうための受信機であって、
    時間差τを有し、位相差が所定の位相値でランダムに変調された2つの光を受信し、その位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、前記受信した2つの光の変調位相情報を検出するように構成されたことを特徴とする受信機。
  6. 量子暗号通信を行なうための受信機であって、時間差τを有し、位相差が所定の位相値でランダムに変調された2つのパルス光を受信し、
    前記受信したパルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、
    前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、
    前記分岐したパルス光の位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調する位相変調手段と、
    前記位相差が変調されたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と、
    前記合波したパルス光の干渉によって、前記受信した2つのパルス光の変調位相情報を検出する検出手段と
    を備えたことを特徴とする受信機。
  7. 量子暗号通信を行なうための受信機であって、時間差τを有し、位相差が所定の位相値でランダムに変調された2つのパルス光を受信し、
    前記受信した2つのパルス光の位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調する位相変調手段と、
    前記位相差が変調されたパルス光を等しい強度で分岐する分岐手段と、
    前記分岐したパルス光に時間差τを与える遅延手段と、
    前記時間差τが与えられたパルス光を等しい強度で合波する合波手段と、
    前記合波したパルス光の干渉によって、前記受信した2つのパルス光の変調位相情報を検出する検出手段と
    を備えたことを特徴とする受信機。
  8. 送信機と受信機との間で量子暗号通信を行なうための方法であって、
    送信機から時間差τを有する2つの光の位相差を所定の位相値でランダムに変調して送信する工程であって、前記2つの光の強度および所定の位相値は、量子雑音による信号分布が部分的に重なるように設定される工程と、
    受信機で前記2つの光を受信し、その位相差を前記所定の位相値と符号が逆の位相値でランダムに変調し、時間差τで干渉させることによって、前記送信機における変調位相情報を検出する工程と、
    前記変調位相情報を検出した時刻を受信機から送信機に伝えることによって、受信機および送信機で共通の変調位相情報を生成する工程と
    を備えることを特徴とする方法。
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