JP2006260984A - 電磁継電器 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動接点を接点カバー8に設けられた突出部20に当接させることで、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制する電磁継電器において、固定接点と可動接点との分離を遅延させることなく、可動接点の突出部20への当接音を低減することにある。
【解決手段】可動接点の第1の当接面が当接する第2の当接面25に凹部26を形成する。これにより、第1の当接面が第2の当接面25に接近すると、凹部26での空気圧縮は、凹部26以外の第1の当接面と第2の当接面25との空間における空気圧縮に遅れて進行する。このため、追加的に空気圧縮による反力が増大する。この結果、凹部26以外における反力が増大しなくても、凹部26における反力のみで、可動接点が突出部20に当接する際の移動速度を低減し当接音を低減することができる。よって、接点室を局所的に気密にする必要がなくなるので、可動接点を固定接点から迅速に分離させることもできる。
【選択図】図2

Description

本発明は、コイルへの通電により生じる磁気吸引力を利用して、接点間の閉成を行う電磁継電器に関する。
従来から、コイルへの通電により生じる磁気吸引力を利用して、接点間の閉成を行う電磁継電器が、広く使用されている。この電磁継電器は、コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点と当接し、電気回路を閉成する可動接点と、可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、コイルへの通電停止時に可動接点を固定接点から分離させるリターンスプリングと、コイルへの通電停止時に、可動接点の固定接点からの過剰分離を防止するストッパ部材とを備える。
これにより、コイルへ通電が行われると可動鉄心が磁気吸引され、これに伴い、可動接点が固定接点に当接して電気回路が閉成される。また、コイルへの通電が停止されると、リターンスプリングにより可動鉄心が反固定鉄心側に付勢され、これに伴い、可動接点が固定接点から分離して電気回路が開成される。同時に、ストッパ部材が、可動鉄心や可動接点等の可動部材の移動を規制して、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制する。
近年、各種機器の低騒音化が進行しており、電磁継電器に関しても騒音低減が求められている。電磁継電器における騒音の発生源には、例えば、ストッパ部材における当接音が考えられる。すなわち、ストッパ部材は、可動鉄心や可動接点等の可動部材の移動を規制するため可動部材の当接を受けており、可動部材がストッパ部材に当接する際に当接音が発生している。
ここで、接点間の過剰分離を規制する形態には、主に、可動鉄心をストッパ部材に当接させる可動鉄心当接式と、可動接点をストッパ部材に当接させる可動接点当接式の2通りが考えられる。そして、前者の可動鉄心当接式を採用する電磁継電器では、可動鉄心のストッパ部材側の端面に緩衝材を装着することで当接音を低減する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
また、後者の可動接点当接式を採用する電磁継電器では、可動接点と固定接点およびストッパ部材とが離接する空間(接点室)に異物が侵入するのを防止するダイヤフラムが装着され、このダイヤフラムの存在により可動接点の移動速度が低減され、結果的に当接音が低減されている。すなわち、ダイヤフラムの存在により、接点室は、局所的に気密性が保持されている。このため、コイルへの通電が停止され、可動接点が固定接点から分離してストッパ部材に向かおうとすると、可動接点とストッパ部材との間で空気圧縮による反力が増大し、可動接点の移動が阻害される。この結果、可動接点の移動速度が低減され、結果的に当接音が低減される。
特開2004−207134号公報
しかしながら、従来技術による可動接点当接式の電磁継電器では、接点室を局所的に気密にすると、上記の空気圧縮による反力の増大が著しい。このため、固定接点と可動接点との分離が遅れ、コイルへの通電停止時のアークにより接点同士が固着する虞がある。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、可動接点をストッパ部材に当接させることで、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制する電磁継電器において、固定接点と可動接点との分離を遅延させることなく、可動接点のストッパ部材への当接音を低減することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の電磁継電器は、コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、電気回路を閉成する可動接点と、可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、コイルへの通電停止時に可動接点を固定接点から分離させるリターンスプリングとを備える。また、この電磁継電器は、コイルへの通電停止時に可動接点に当接され、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、このストッパ部材は、可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともにコイルへの通電停止時に第1の当接面が当接する第2の当接面を有する。そして、第1の当接面が第2の当接面に当接することで、過剰分離が規制され、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、凹部が形成され開口している。
これにより、第1の当接面が第2の当接面に接近すると凹部で空気が圧縮される。この凹部での空気圧縮による反力は、凹部以外の第1の当接面と第2の当接面との間の空間における反力に遅れて増大する。このため、可動接点が固定接点から分離した後に、追加的に反力を増大させることができる。この結果、凹部以外の第1の当接面と第2の当接面との間の空間における反力が増大しなくても、凹部における反力のみで、可動接点がストッパ部材に当接する際の移動速度を低減し当接音を低減することが可能になる。したがって、可動接点の移動速度低減のために接点室を局所的に気密にする必要性がなくなるので、可動接点を固定接点から迅速に分離させることもできる。
以上により、固定接点と可動接点との分離を遅延させることなく、可動接点のストッパ部材への当接音を低減することができる。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の電磁継電器は、凹部の開口部が、第1の当接面または第2の当接面の面積の10%以上を占める。
これにより、接点室を局所的に気密にしなくても、凹部における反力により、可動接点がストッパ部材に当接する際の移動速度を確実に低減することができる。このため、確実に、可動接点のストッパ部材への当接音を低減することができる。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載の電磁継電器は、凹部の深さが、0.5mm以上である。
これにより、接点室を局所的に気密にしなくても、凹部における反力により、可動接点がストッパ部材に当接する際の移動速度を確実に低減することができる。このため、確実に、可動接点のストッパ部材への当接音を低減することができる。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載の電磁継電器は、コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、電気回路を閉成する可動接点と、可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、コイルへの通電停止時に可動接点を固定接点から分離させるリターンスプリングとを備える。また、この電磁継電器は、コイルへの通電停止時に可動接点に当接され、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、このストッパ部材は、可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともにコイルへの通電停止時に第1の当接面が当接する第2の当接面を有する。そして、第1の当接面が第2の当接面に当接することで、過剰分離が規制され、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、弾性部材が装着されている。
これにより、可動接点がストッパ部材に当接する際の衝撃を、弾性部材で受け止めることで、低減することができる。このため、空気圧縮の反力を利用せずに可動接点のストッパ部材への当接音を低減することができる。
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載の電磁継電器の弾性部材は、凹部が形成され開口している。
これにより、可動接点がストッパ部材に当接する際の衝撃を低減することができるとともに、凹部における空気圧縮の反力を利用して移動速度を低減することもできる。この結果、可動接点のストッパ部材への当接音を低減する効果を、さらに高めることができる。
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の電磁継電器は、コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、電気回路を閉成する可動接点と、可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、コイルへの通電停止時に可動接点を固定接点から分離させるリターンスプリングとを備える。また、この電磁継電器は、コイルへの通電停止時に可動接点に当接され、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、このストッパ部材は、可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともにコイルへの通電停止時に第1の当接面が当接する第2の当接面を有する。そして、第1の当接面が第2の当接面に当接することで、過剰分離が規制され、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方が、弾性材で形成されている。
これにより、可動接点がストッパ部材に当接する際の衝撃を、弾性材で受け止めることで、低減することができる。このため、空気圧縮の反力を利用せずに可動接点のストッパ部材への当接音を低減することができる。
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の電磁継電器では、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、凹部が形成され開口している。
これにより、請求項5の手段と同様の効果を得ることができる。
〔請求項8の手段〕
請求項8に記載の電磁継電器では、ストッパ部材に、可動接点を固定接点の方に付勢する接点圧スプリングが装着されている。
この手段によれば、ストッパ部材は、可動接点を固定接点の方に付勢する付勢力、つまり、可動接点を固定接点に当接させる圧力(接点圧)を調節するアジャスタとしての機能を有する。このため、可動接点のストッパ部材への当接により、ストッパ部材が損傷し接点圧が変動する虞がある。これに対し、可動接点の移動速度を低減したり、可動接点がストッパ部材に当接する際の衝撃を低減したりすることで、ストッパ部材の損傷を防止して接点圧変動の虞を低減することができる。
最良の形態1の電磁継電器は、コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、電気回路を閉成する可動接点と、可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、コイルへの通電停止時に可動接点を固定接点から分離させるリターンスプリングとを備える。また、この電磁継電器は、コイルへの通電停止時に可動接点に当接され、可動接点の固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、このストッパ部材は、可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともにコイルへの通電停止時に第1の当接面が当接する第2の当接面を有する。そして、第1の当接面が第2の当接面に当接することで、過剰分離が規制され、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、凹部が形成され開口している。
また、電磁継電器は、凹部の開口部が、第1の当接面または第2の当接面の面積の10%以上を占める。さらに電磁継電器は、凹部の深さが、0.5mm以上である。
また、ストッパ部材には、可動接点を固定接点の方に付勢する接点圧スプリングが装着されている。
最良の形態2の電磁継電器は、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、弾性部材が装着されている。
最良の形態3の電磁継電器は、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、弾性部材が装着されている。そして、この弾性部材には、凹部が形成され開口している。
最良の形態4の電磁継電器は、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方が、弾性材で形成されている。そして、第1の当接面または第2の当接面の少なくとも一方に、凹部が形成され開口している。
〔実施例1の構成〕
実施例1の電磁継電器1の構成を、図1および図2を用いて説明する。
電磁継電器1は、通電を受けるコイル2、コイル2への通電により励磁される固定鉄心3、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心4、所定の電気回路(図示せず、以下、外部回路と呼ぶ)に組み込まれた固定接点5、固定接点5に当接し外部回路を閉成する可動接点6、可動接点6を固定接点5から分離させるリターンスプリング7、可動接点6の固定接点5からの過剰分離を規制するストッパ部材としての機能を有する接点カバー8、可動接点6を固定接点5の方に付勢する接点圧スプリング9等により構成されている。
コイル2は、絶縁体からなるボビン13に導線を巻線することで設けられ、通電を受けて固定鉄心3や可動鉄心4等を励磁する励磁コイルである。このコイル2は、ボビン13とともに有底筒状のヨーク14に収容されている。
なお、ヨーク14は、磁性材を素材として設けられ、コイル2への通電により励磁されて磁気回路を形成する。また、ヨーク14は、コイル2、固定鉄心3および可動鉄心4等を収容することで、電磁継電器1の主構成要素を内部に収容するケース15の一部をなす。
また、ボビン13には、磁気回路を形成するためのグランドプレート16が埋め込まれている。
固定鉄心3および可動鉄心4は、コイル2の内周側に所定のギャップを形成するように対向して収容され、コイル2への通電により励磁され磁気回路を形成する。そして、可動鉄心4は、磁気吸引されて固定鉄心側に移動する。
固定接点5は、2本の端子ボルト17と一体に設けられ、端子ボルト17を介して外部回路に組み込まれている。また、端子ボルト17は接点カバー8に装着され、固定接点5は接点カバー8の内部で外側端部を支持されている。
可動接点6は、固定接点5の内側部分と所定の距離(接点間距離)を有するように対向配置されて、接点カバー8に収容されている。また、可動接点6は、ロッド18を介して可動鉄心4と一体的に移動する。これにより、コイル2への通電が行われると、可動接点6は、可動鉄心4の移動と連動して固定接点5に当接し、外部回路を閉成する。
リターンスプリング7は、固定鉄心3と可動鉄心4との間に配設され、可動鉄心4を反固定鉄心側に付勢するようにセットされている。そして、コイル2への通電が停止されると、リターンスプリング7により、可動鉄心4が反固定鉄心側に付勢されるとともに、この可動鉄心4の移動に連動して可動接点6が固定接点5から分離する。このように、リターンスプリング7は、可動鉄心4を反固定鉄心側に付勢することで、コイル2への通電停止時に可動接点6を固定接点5から分離させる。
接点カバー8は、固定接点5および可動接点6を収容する容器として機能するとともに、内部に向かい突出する突出部20により、可動接点6の固定接点5からの過剰分離を規制するストッパ部材として機能する。すなわち、突出部20がストッパ部材として機能する。そして、接点カバー8は、可動接点6と固定接点5および突出部20とが離接する空間としての接点室21を形成する。
また、接点カバー8は、固定接点5、可動接点6およびストッパ部材としての突出部20等を収容することで、電磁継電器1の主構成要素を内部に収容するケース15の一部をなす。そして、接点カバー8は、同様にケース15の一部をなすヨーク14の内周側に挿入され、ヨーク14の先端部をかしめることで、接点カバー8とヨーク14とが一体に連結され、1つのケース15をなしている。なお、ケース15は、外部に対する気密性を保つため、必要箇所にOリング22が装着されている。これにより、電磁継電器1は、固定鉄心3、可動鉄心4、固定接点5および可動接点6等の主構成部品を収容する内部を外部に対し気密に保つ密閉型になっている。
突出部20は、コイル2への通電停止時に可動接点6に当接され、可動接点6は、突出部20に当接することで、固定接点5からの過剰分離を規制される。ここで、突出部20の下端面は、可動接点6の上面に設けられた第1の当接面24に対向するとともにコイル2への通電停止時に第1の当接面24が当接する第2の当接面25をなす。そして、第1の当接面24が第2の当接面25に当接することで、可動接点6と固定接点5との過剰分離が規制されるとともに、可動接点6と固定接点5との間に所定の接点間距離が保持される。
また、第2の当接面25には、図2に示すように、第1の当接面24に向けて開口する凹部26が設けられている。この凹部26の開口部の面積は、第2の当接面25の面積の10%以上を占め、凹部26の深さは、0.5mm以上である。なお、凹部26の形状は、図2に示すような幅広の波型の溝に限定されず、様々な形状を取り得る。例えば、複数の溝を設けて凹部26としてもよく、単数または複数の穴を設けて凹部26としてもよい。また、溝の形状は直線状でもよく、環状でもよく、さらにこれらの形状を組み合わせたものでもよい。また、穴の形状も円形、楕円形でもよく、多角形でもよく、さらにこれらの形状を組み合わせたものでもよい。さらに、溝と穴との両方を設けて、ともに凹部26としてもよい。
なお、接点カバー8には、端子ボルト17が挿入される挿入穴28、接点圧スプリング9を収容する収容溝29、コイル2へ通電するための端子が挿入される端子穴30等が設けられている。
接点圧スプリング9は、可動接点6を固定接点5の方に付勢することで、コイル2への通電時に、確実に、可動接点6を固定接点5に当接させて外部回路を閉成させるものである。接点圧スプリング9は、突出部20の周囲に設けられた収容溝29内に収容されることで、突出部20に装着されている。そして、突出部20の内部への突出量に応じて、可動接点6を固定接点5に当接させる圧力(接点圧)が設定されている。このため、突出部20は、接点圧を調節するアジャスタとしての機能を有する。
〔実施例1の作用〕
実施例1の電磁継電器1の作用を説明する。
コイル2への通電が行われると、固定鉄心3と可動鉄心4との間に磁気回路が形成され、この磁気回路に起因する磁気吸引力が発生する。これにより、可動鉄心4および可動接点6等の可動部材に作用する付勢力は、可動接点6を固定接点5に当接させる方向の付勢力(閉成側付勢力:磁気吸引力および接点圧スプリング9による付勢力)の方が、可動接点6を固定接点5から分離させる方向の付勢力(開成側付勢力:リターンスプリング7による付勢力)よりも強くなる。この結果、可動鉄心4が固定鉄心側に移動するとともに、可動接点6が固定接点5に当接し外部回路が閉成する。
また、コイル2への通電が停止されると、固定鉄心3と可動鉄心4との間の磁気回路が消滅し、磁気吸引力が消滅する。これにより、可動部材に作用する付勢力は、開成側付勢力の方が、閉成側付勢力よりも強くなる。この結果、可動鉄心4が反固定鉄心側に移動するとともに、可動接点6が固定接点5から分離し外部回路が開成する。そして、固定接点5から分離した可動接点6は、さらに反固定接点側に移動し、突出部20に当接して移動を停止する。
ここで、可動接点6の反固定接点側への移動により、可動接点6の第1の当接面24が突出部20の第2の当接面25に接近すると、凹部26における空気圧縮により第1の当接面24に反力が作用する。これにより、第1の当接面24が第2の当接面25に接近すると、可動接点6は、移動速度が低減され、低減した移動速度で突出部20に当接する。
〔実施例1の効果〕
実施例1の電磁継電器1の接点カバー8は、コイル2への通電停止時に可動接点6に当接され、可動接点6の固定接点5からの過剰分離を規制する突出部20を有する。突出部20は、可動接点6に設けられた第1の当接面24に対向するとともに、コイル2への通電停止時に第1の当接面24が当接する第2の当接面25を有し、第1の当接面24が第2の当接面25に当接することで、可動接点6の固定接点5からの過剰分離が規制される。そして、第2の当接面25には、凹部26が形成され第1の当接面24に向けて開口している。
これにより、第1の当接面24が第2の当接面25に接近すると凹部26で空気が圧縮される。この凹部26での空気圧縮による反力は、凹部26以外の第1の当接面24と第2の当接面25との間の空間における反力に遅れて増大する。このため、可動接点6が固定接点5から分離した後、追加的に反力を増大させることができる。この結果、凹部26以外の第1の当接面24と第2の当接面25との間の空間における反力が増大しなくても、凹部26における反力のみで、可動接点6が突出部20に当接する際の移動速度を低減し当接音を低減することが可能になる。したがって、可動接点6の移動速度低減のために接点室21を局所的に気密にする必要性がなくなるので、可動接点6を固定接点5から迅速に分離させることもできる。
以上により、固定接点5と可動接点6との分離を遅延させることなく、可動接点6の突出部20への当接音を低減することができる。
実施例1に記載の電磁継電器1は、凹部26の開口部が、第2の当接面25の面積の10%以上を占める。
これにより、接点室21を局所的に気密にしなくても、凹部26における反力により、可動接点6が突出部20に当接する際の移動速度を確実に低減することができる。このため、確実に、可動接点6の突出部20への当接音を低減することができる。なお、図3(a)に示すように、当接音の大きさは、凹部26の開口部が第2の当接面25の面積に占める割合(%)の増加とともに低減している。そして、この低減効果は、割合が5%を超えると現われ、10%以上で顕著になる。
実施例1に記載の電磁継電器1は、凹部26の深さが、0.5mm以上である。
これにより、接点室21を局所的に気密にしなくても、凹部26における反力により、可動接点6が突出部20に当接する際の移動速度を確実に低減することができる。このため、確実に、可動接点6の突出部20への当接音を低減することができる。なお、図3(b)に示すように、当接音の大きさは、凹部26の深さの増加とともに低減している。そして、この低減効果は、深さが0.4mmを超えると現われ、0.5mm以上で顕著になる。
実施例1の電磁継電器1では、突出部20に、可動接点6を固定接点5の方に付勢する接点圧スプリング9が装着され、突出部20は、接点圧を調節するアジャスタとして機能する。
このため、可動接点6の突出部20への当接により、突出部20が損傷し接点圧が変動する虞がある。これに対し、可動接点6の移動速度を低減することで、突出部20の損傷を防止して接点圧変動の虞を低減することができる。
実施例2の電磁継電器1では、図4に示すように、第2の当接面25に弾性部材32が装着されている。この弾性部材32は、例えば、スポンジ、ゴム等を素材としており、第2の当接面25から第1の当接面24に向けて突出するように装着されている(図4(b)参照)。そして、この弾性部材32は、第1の当接面24が第2の当接面25に当接したときに、第1の当接面24により圧縮される(図4(a)参照)。
これにより、可動接点6が突出部20に当接する際の衝撃を、弾性部材32で受け止めることで、低減することができる。このため、空気圧縮の反力を利用せずに可動接点6の突出部20への当接音を低減することができる。
実施例3の電磁継電器1では、図5に示すように、第2の当接面25に装着された弾性部材32に、凹部26が形成され第1の当接面24に向けて開口している。
これにより、可動接点6が突出部20に当接する際の衝撃を低減することができるとともに、凹部26における空気圧縮の反力を利用して可動接点6の移動速度を低減することもできる。この結果、当接音低減の効果を、さらに高めることができる。
実施例4の電磁継電器1では、図6に示すように、突出部20の先端部分34が弾性材で形成されている。すなわち、第2の当接面25が弾性材で形成されている。また、弾性材からなる第2の当接面25に、凹部26が形成され第1の当接面24に向けて開口している。そして、弾性体からなる先端部分34は、第1の当接面24が第2の当接面25に当接することで圧縮され(図6(a)参照)、第1の当接面24が第2の当接面25から分離しているとき(図6(b)参照)よりも上下方向に短くなっている。
これにより、可動接点6が突出部20に当接する際の衝撃を、弾性材からなる第2の当接面25で受け止めることで、低減することができる。このため、空気圧縮の反力を利用せずに、可動接点6の突出部20への当接音を低減することができる。
また、凹部26における空気圧縮の反力を利用して可動接点6の移動速度を低減することもできるので、当接音低減の効果を、さらに高めることができる。
〔変形例〕
実施例1、実施例3および実施例4では、凹部26が第2の当接面25の側で設けられていたが、第1の当接面24の側に設けてもよく、第1の当接面24、第2の当接面25の両方の側に設けてもよい。
また、実施例2および実施例3では、弾性部材が第2の当接面25の側に装着されていたが、第1の当接面24の側に装着してもよく、第1の当接面24、第2の当接面25の両方の側に装着してもよい。
また、実施例4では、第2の当接面25が弾性体により形成されていたが、第1の当接面24を弾性体により形成してもよく、第1の当接面24、第2の当接面25の両方を弾性体により形成してもよい。
本実施例の可動接点6、可動鉄心4およびロッド18等の可動部材は、各々、別体であったが、このような形態に限定されない。例えば、可動接点6、可動鉄心4およびロッド18が、全て一体になっていてもよく、可動接点6とロッド18とが一体になっていてもよく、可動鉄心4とロッド18とが一体になっていてもよい。また、可動接点6とロッド18との間、ロッド18と可動鉄心4との間に別の可動部材が配設されていてもよい。
本実施例の電磁継電器1は、固定鉄心3、可動鉄心4、固定接点5および可動接点6等の主構成部品を収容する内部を外部に対し気密に保つ密閉型であったが、電磁継電器1を、密閉型ではない非密閉型にしても、本発明を適用して同様の効果を得ることができる。
電磁継電器の構成図である(実施例1)。 接点カバーの底面図である(実施例1)。 (a)は凹部の開口部が第2の当接面に占める面積の割合(%)と当接音の大きさとの相関を示す相関図であり、(b)は凹部の深さと当接音の大きさとの相関を示す相関図である(実施例1)。 (a)は電磁継電器の構成図であり、(b)は突出部から可動接点が分離した状態を示す状態図である(実施例2)。 (a)は電磁継電器の構成図であり、(b)は突出部から可動接点が分離した状態を示す状態図である(実施例3)。 (a)は電磁継電器の構成図であり、(b)は突出部から可動接点が分離した状態を示す状態図である(実施例4)。
符号の説明
1 電磁継電器
2 コイル
3 固定鉄心
4 可動鉄心
5 固定接点
6 可動接点
7 リターンスプリング
9 接点圧スプリング
20 突出部(ストッパ部材)
24 第1の当接面
25 第2の当接面
26 凹部
32 弾性部材

Claims (8)

  1. コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、
    磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、
    この可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、前記電気回路を閉成する可動接点と、
    前記可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、前記コイルへの通電停止時に前記可動接点を前記固定接点から分離させるリターンスプリングと
    を備えた電磁継電器において、
    前記コイルへの通電停止時に前記可動接点に当接され、前記可動接点の前記固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、
    このストッパ部材は、前記可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともに前記コイルへの通電停止時に前記第1の当接面が当接する第2の当接面を有し、
    前記第1の当接面が前記第2の当接面に当接することで、前記過剰分離が規制され、
    前記第1の当接面または前記第2の当接面の少なくとも一方に、凹部が形成され開口していることを特徴とする電磁継電器。
  2. 請求項1に記載の電磁継電器において、
    前記凹部の開口部は、前記第1の当接面または前記第2の当接面の面積の10%以上を占めることを特徴とする電磁継電器。
  3. 請求項1に記載の電磁継電器において、
    前記凹部の深さは、0.5mm以上であることを特徴とする電磁継電器。
  4. コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、
    磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、
    この可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、前記電気回路を閉成する可動接点と、
    前記可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、前記コイルへの通電停止時に前記可動接点を前記固定接点から分離させるリターンスプリングと
    を備えた電磁継電器において、
    前記コイルへの通電停止時に前記可動接点に当接され、前記可動接点の前記固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、
    このストッパ部材は、前記可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともに前記コイルへの通電停止時に前記第1の当接面が当接する第2の当接面を有し、
    前記第1の当接面が前記第2の当接面に当接することで、前記過剰分離が規制され、
    前記第1の当接面または前記第2の当接面の少なくとも一方に、弾性部材が装着されていることを特徴とする電磁継電器。
  5. 請求項4に記載の電磁継電器において、
    前記弾性部材は、凹部が形成され開口していることを特徴とする電磁継電器。
  6. コイルへの通電により励磁される固定鉄心と、
    磁気吸引されて固定鉄心側に移動する可動鉄心と、
    この可動鉄心の移動と連動して、所定の電気回路に組み込まれた固定接点に当接し、前記電気回路を閉成する可動接点と、
    前記可動鉄心を反固定鉄心側に付勢することで、前記コイルへの通電停止時に前記可動接点を前記固定接点から分離させるリターンスプリングと
    を備えた電磁継電器において、
    前記コイルへの通電停止時に前記可動接点に当接され、前記可動接点の前記固定接点からの過剰分離を規制するストッパ部材を備え、
    このストッパ部材は、前記可動接点に設けられた第1の当接面に対向するとともに前記コイルへの通電停止時に前記第1の当接面が当接する第2の当接面を有し、
    前記第1の当接面が前記第2の当接面に当接することで、前記過剰分離が規制され、
    前記第1の当接面または前記第2の当接面の少なくとも一方が、弾性材で形成されていることを特徴とする電磁継電器。
  7. 請求項6に記載の電磁継電器において、
    前記第1の当接面または前記第2の当接面の少なくとも一方に、凹部が形成され開口していることを特徴とする電磁継電器。
  8. 請求項1ないし請求項7に記載の電磁継電器において、
    前記ストッパ部材には、前記可動接点を前記固定接点の方に付勢する接点圧スプリングが装着されていることを特徴とする電磁継電器。
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