JP2006259703A - 反射防止フィルム、並びにそれを用いた偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、並びにそれを用いた偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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博之 米山
Yasuhiro Okamoto
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Abstract

【課題】反射率が低く、水滴の付着跡が残りにくいと共に、塵埃除去性、耐擦傷性、オゾン耐性に優れる反射防止フィルムを提供すること。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】微細空孔を含む層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であり、且つ微細空孔を含む層と同一層あるいは異なる層である帯電防止層を有することを特徴とする、反射防止フィルム、並びにこのような反射防止フィルムを保護フィルムとして有する偏光板、及びこのような反射防止フィルム又は偏光板を有する画像表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶表示装置(LCD)のような表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するように表示装置の最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、支持体上の最表面に、適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体と低屈折率層との間に、適宜、高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フィルムは、最表面に用いられることからディスプレイ装置の保護膜としての機能が期待される。さらに反射防止フィルムには、汚れや塵埃が付着しにくいことや、付着しても容易に拭き取れること、保存条件に関わらず耐擦傷性が強いことが求められる。
材料の屈折率を下げるためには、フッ素原子を含有する有機基をバインダーに導入する、層の密度を下げる(空隙を導入する)といった手段がある。フッ素原子を含有する有機基をバインダーに使用する場合においては、バインダー自身の凝集力が低下してしまう傾向があり、それを補うためには結合基を導入することが必要となり、実用的には屈折率の低下には限界があって1.40以下にするのは困難であった。一方、低屈折率層に微小空隙を導入して屈折率を低下させる方法では、屈折率1.40を下回ることが可能であるが、層の膜強度が弱かったり、指紋や油等の汚れが浸入しやすかったりするという欠陥があった。
例えば、特許文献1には、バインダー中に微小空孔を形成させた低屈折率層が開示されている。また特許文献2には、多孔質シリカを使用し屈折率を低下させる技術が、また、特許文献3には、中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜の開示がある。
特開平6−3501号公報 特開平7−48527号公報 特開2001−233611号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、いずれも膜強度や指紋汚れ等の点で実用的に満足できるものではなかった。またこれら材料を使用した反射防止膜は、通常の室内での長期の使用をシミュレートしたオゾン暴露下の条件で膜強度が低下する傾向があることが分かった。
また、特許文献3に記載されているような中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜では、確かに従来のものに対して耐擦傷性や指紋等の汚れの付着耐性は向上したが、偏光板作成時の鹸化により膜が破壊されたり、また新たに水滴が付着した場合にその跡が残ったりするという問題が明らかになった。
反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に使用されるため、日常の使用で水滴が付
着する場合があり、実用的な耐久性を付与する観点で、水滴の跡が残らないような改良が必要である。
また塵埃除去性向上のため、帯電防止層を設けると、水滴付着跡が悪化したり、オゾン暴露後の膜強度の低下が大きくなる問題があることが分かった。
本発明の目的は、反射率が低く、水滴の付着跡が残りにくいと共に、塵埃除去性、耐擦傷性、オゾン耐性に優れる反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成の反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置により上記目標が達成できることを見出した。
(1)微細空孔を含む層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であり、且つ該微細空孔を含む層と同一層あるいは異なる層である帯電防止層を有することを特徴とする、反射防止フィルム。
(2)微細空孔を含む層のうちの少なくとも1層が、多孔質または中空の、無機微粒子を少なくとも1種含有する上記(1)に記載の反射防止フィルム。
(3)無機微粒子の少なくとも1種が、吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが5〜100nmである上記(2)に記載の反射防止フィルム。
(4)中空の無機微粒子が中空シリカ微粒子であり、該中空シリカ微粒子の屈折率が1.40以下である上記(2)又は(3)に記載の反射防止フィルム。
(5)無機微粒子の表面が、導電性の化合物で被覆されている(2)〜(4)に記載の反射防止フイルム。
(6)反射防止フィルムが、微細空孔を含む層と同一層あるいは異なる層である低屈折率層を含み、且つ低屈折率層がフッ化アルキル部及びジアルキルシロキサン部の少なくともいずれかを有する成分を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(7)偏光膜と保護フィルムからなる偏光板であって、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルムを保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は上記(7)に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、反射率が低く、且つ水滴の付着跡が残りにくいとともに、塵埃除去性にも優れている。更に、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板やディスプレイ装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本発明でいう「重合」には、共重合も含む趣旨である。さらに、本発明でいう「支持体上」又は「配向膜上」には、該支持体等の直接の表面をいう場合と、該支持体等の上に何らかの層(膜)を設けた表面をいう場合の両方を含む趣旨である。
<反射防止フィルム>
本発明の反射防止フィルムは、反射防止層を有する側の表面を、水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする。
(水滴付着跡の評価)
具体的には、水跡の評価方法は以下の手順とした。
試料である反射防止フィルム、又は偏光板もしくは画像表示装置の反射防止フィルム側の最表面を水平に設置した。次ぎにこの試料を、25℃、55%RHで30分間以上放置した後に、イオン交換水2.0mLをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下した。反射防止フィルムの表面の性質により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広げた。15分間放置後、「ベンコット」{旭化成(株)製}で水滴を拭き取った。水滴を滴下する前後で反射防止フィルムの反射スペクトルを測定した。測定は、日本分光(株)製“Model V−550UV/Vis”分光光度計を用い、D65標準光源下でのCIE1976L***色空間における色度変化(△E)を決定した。
△Eは、小さいほど好ましく、本発明においては0.45以下であることが必要で、より好ましくは0.35以下であり、更に好ましくは0.20以下であり、最も好ましくは0.10以下である。複数の被験者で官能検査を行ったところ、△Eが0.60以上であると水跡を十分に識別することができ、△Eが1.0を超えると故障として認識された。
〔微細空孔の反射防止フィルム構成層への導入〕
本発明においては、主として反射防止フィルムにおける反射防止機能を有する層(反射防止層)の屈折率を調節するために、微細空孔を層中に導入することが好ましく、その方法に特に制限は無いが、例えば気泡を層中で発生させ、層形成用バインダーを硬化させることにより固定する方法;層中に導入された粒子の積み重なりにより粒子間に形成されたボイドを利用する方法;層中に多孔質の微粒子を導入する方法;中空状の微粒子を導入する方法;などを挙げることができる。製造安定性等の観点から、層中に多孔質の微粒子を導入する方法及び中空状の微粒子を導入する方法が好ましい。
微細空孔の導入は、特に好ましくは低屈折率層であり、微細空孔により屈折率を低下させることで反射率の低下が達成できる。また、本発明においては、低屈折率層以外の層、例えば中屈折率層、帯電防止層、ハードコート層、防眩層に微細空孔を導入することで、屈折率を調節し、反射率の低下、干渉ムラ低減等の改良をすることもできる。
微細空孔の導入量は、低屈折率層の場合には1〜80体積%が好ましく、更に好ましくは5〜60体積%、最も好ましくは10〜50体積%である。空孔の導入量が多いほど屈折率の低下が大きく、該上限値以下であれば膜の強度の低下などの不都合が生じないので好ましい。低屈折率層以外の層に用いる場合においては、屈折率調節のための必要量を用いれば特に制限はないが、1〜80体積%が好ましく、更に好ましくは1〜50体積%である。
〔多孔質又は中空の微粒子〕
(中空微粒子の空隙率)
中空の微粒子(以下中空微粒子ともいう)においては、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとすると、空隙率xが下記数式(1)で表される。
数式(1):x=(ri/ro3×100(%)
上記中空微粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空微粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
上記多孔質又は中空の微粒子(以下まとめて空孔含有微粒子ともいう)を使用する際に、構造・種類に制限は無いが、好ましくは多孔質もしくは中空の無機微粒子又は有機ポリマー微粒子、さらに好ましくは中空の有機ポリマー又は無機微粒子である。無機微粒子の場合には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズを主成分とする微粒子が好ましい。特に中空のシリカ微粒子が、低屈折率化、膜強度付与、水滴付着跡の改良の観点から好ましい。
[空孔含有微粒子の調製方法]
中空微粒子の好ましい製造方法を以下に記載する。
第1段階として、後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル相の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、後述する無機微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。
(被覆粒子)
シェル厚を厚くすることで粒子表面の吸着サイトを減少させ、吸着水量を低減することが可能であり、好ましい。さらに導電性の成分でシェルを形成すると導電性も付与することができて好ましい。特に好ましくは、コア粒子としてシリカ系の多孔質または中空の粒子を用い、シェルとして、ZnO2、Y23、Sb25、ATO、ITO、SnO2の少なくともいずれかを用いる組み合わせである。中でも酸化アンチモンとの組み合わせが好ましい。以下特に好ましい酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子について述べる。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子が酸化アンチモン被覆層によって被覆されている。
前記多孔質シリカ系微粒子には、多孔質のシリカ微粒子とシリカを主成分とする複合酸化物微粒子が含まれ、特開平7−133105号公報に開示した、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で被覆した低屈折率のナノメーターサイズの複合酸化物微粒子は好適に用いることができる。
また、内部に空洞を有するシリカ系微粒子としては、特開2001−233611号公報に開示した、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなり、内部に空洞を有する低屈折率のナノメーターサイズのシリカ系微粒子も好適に用いることができる。
このような多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子は、平均粒子径が4〜270nm、さらには8〜170nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が4nm以上であれば、シリカ系微粒子を製造時の問題がなく得ることができ、得られた粒子も安定性が充分であり、また小サイズの粒子を用いた場合に起こり得る単分散の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子が得られないといった問題が生じない。平均粒子径が270nm以下であれば、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径を300nm以下に抑えることができ、大サイズの酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子を用いて透明被膜を形成した場合に起こり得る透明性の低下や、ヘイズが高くなるといった問題を抑制できるため、好ましい。
前記多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子の屈折率は、シリカの屈折率である1.45以下、さらには1.40以下であることが好ましい。なお、屈折率が1.45〜1.46である非孔質のシリカ微粒子を単独で用いることもできるが、反射防止性能の点から多孔質または内部に空洞を有するシリカ系微粒子を用いることが好ましい。
前記シリカ系微粒子は、被覆層の平均厚さが0.5〜30nm、好ましくは1〜10nmの範囲にある酸化アンチモンで被覆されていることが好ましい。被覆層の平均厚さが0.5nm以上であれば、シリカ系微粒子を完全に被覆でき、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の導電性も充分となるため、好ましい。被覆層の厚さが30nm以下であれば、導電性の向上効果が充分得られ、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が小さい場合の屈折率の不足といった問題を抑制できるため、好ましい。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、平均粒子径が5〜300nm、さらには10〜200nmの範囲にあることが好ましい。酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が5nm以上であれば、該微粒子を製造時の問題がなく得ることができ、得られた粒子における凝集粒子を抑制でき、好ましい。また、小粒子で起こり得る、分散性が不充分であるために透明被膜形成に用いた場合に、透明性、ヘイズ、被膜強度、基材との密着性等が不充分となるといった問題が生じず、好ましい。酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が300nm以下であれば、形成された透明被膜は透明性が充分であり、ヘイズも低く抑えられ、好ましい。また、基材との密着性が不充分となることもない。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の屈折率は1.35〜1.60、さらには1.35〜1.50の範囲にあることが好ましい。屈折率が1.35以上であれば、該粒子を製造時の問題がなく得ることができ、好ましい。また、得られた粒子の強度にも不足がない。他方、屈折率が1.60以下であれば、透明被膜の反射防止性能も充分であり、好ましい。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の体積抵抗値は10〜5000Ω/cm、さらには10〜2000Ω/cmの範囲にあることが好ましい。体積抵抗値が10Ω/cm以上であれば該粒子を製造時の問題がなく得ることができ、好ましい。また、得られた粒子の屈折率も1.6以下となり、透明被膜の反射防止性能も充分であり、好ましい。他方、体積抵抗値が5000Ω/cm以下であれば、得られる透明被膜の帯電防止性能も充分であり、好ましい。
本発明の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、必要に応じて常法によりシランカップリング剤により表面処理して用いることができる。
(空孔含有微粒子の吸着水量の測定)
本発明において、空孔含有微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。
粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃、55%RHで1時間保存した。島津(株)製“DTG−50”を用い、乾燥後の試料約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/分で温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下数式(2)により算出した。
数式(2):吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
ここで、
20:昇温開始時の初期質量、
200:200℃まで昇温した時点での質量。
なお粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。
層中に粒子サイズや調製条件が異なる粒子を複数種含む場合においては、それら粒子の少なくとも1種の吸着水量が6.1質量%以下であればよい。但し、吸着水量が6.1質量%以下の粒子の全粒子にしめる割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。吸着水量が上記範囲であれば、水滴付着跡が改善され、オゾン暴露後の膜強度を改善することができる。
(空孔含有微粒子の粒子サイズの測定)
本発明で用いられる空孔含有微粒子のサイズの測定は、粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、円相当径を1000個の平均で算出した。直径は5〜100nmが好ましく、更に好ましくは20〜100nm、最も好ましくは45〜80nmである。粒子径が該下限値以上であれば、屈折率の上昇や吸着水量の増大などの問題が生じることがないので好ましく、該上限値以下であれば、反射防止フィルムを構成した際の塗膜での散乱が大きくなるなどの不都合が生じないので好ましい。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していてもよく、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
(空孔含有微粒子の屈折率の測定)
本発明に好ましく用いることのできる空孔含有微粒子の屈折率は、シリカを主成分とする場合には、1.40以下であることが好ましく、1.15〜1.40がより好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.18〜1.30である。
また、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の成分を主とする場合には、空孔含有微粒子の屈折率は、1.50以上2.10以下が好ましく、更に好ましくは1.60以上1.90以下である。
粒子の屈折率は以下の方法により求めることができる。
(1)マトリックス形成成分液の調製
テトラエトキシシラン(TEOS)(SiO2濃度28質量%)55g、エタノール200g、濃硝酸1.4g及び水34gの混合溶液を、室温で5時間攪拌した。SiO2に換算したときの濃度が5質量%になるよう、エタノール量を調節してのマトリックス形成成分を含む液(M−1)を調製した。
(2)塗膜の作製
マトリックス形成成分液(M−1)と空孔含有微粒子とを、酸化物換算の質量比[マトリックス(SiO2):空孔含有微粒子(MOx+SiO2)]が、それぞれ100:0、90:10、80:20、60;40、50:50、25:75となるように混合した、屈折率測定用塗布液を調製した。ここで、シリカ以外の無機化合物をMOxで表す。各塗布液を、表面を50℃に保ったシリコンウェハー上に300rpm、スピナー法で各々塗布し、次いで160℃で30分加熱処理した後、エリプソメーターで形成したd屈折率測定用被膜の屈折率を測定した。
(3)屈折率の算出
次いで、得られた屈折率と粒子混合割合[粒子(MOx+SiO2)/{粒子(MOx+SiO2)+マトリックス(SiO2)}]をプロットし、外挿によって粒子が100%のときの屈折率を求めた。空孔含有微粒子の割合が多すぎると、測定用の被膜中に空隙が生じて被膜の屈折率を低下させることがあるため、空孔含有微粒子の割合の高いサンプルで量依存性から外れるデーターは排除した。
[空孔含有微粒子の表面処理方法]
次に空孔含有微粒子の表面の処理方法について、多孔質又は中空の無機微粒子を例として述べる。
後述のフッ化アルキル部及び/又はジメチルシロキサン部を含有する成分を含む低屈折率層形成用バインダーへの分散性を改良するために、無機微粒子の表面は下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒及び金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(1):
(R10a1−Si(X114-a1
一般式(1)において、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ヘキシル基、t−ブチル基、s−ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
11は、水酸基又は加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
a1は1〜3の整数を表す。好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。R10又はX11が複数存在するとき、複数のR10又はX11はそれぞれ異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i−プロピル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1−プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも1つが置換アルキル基又は置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基又は置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1−2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(1−2):
Figure 2006259703
一般式(1−2)において、R11は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R11としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
11は、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基又はウレア基を表す。単結合、エステル基及びアミド基が好ましく、単結合及びエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
11は、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、又は内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、中でも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
a2は0又は1を表す。X11が複数存在するとき、複数のX11はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。a2として好ましくは0である。
10は、前記一般式(1)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。X11も一般式(1)のX11と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(2)で表されるものも好ましい。
一般式(2):(Rf−L21b1−Si(X21b1-4
上記一般式(2)中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基
、又は炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L21は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。X21は、一般式(1)のX11と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
b1は前記一般式(1)のa1と同義であり、1〜3の整数を表す。好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
次に一般式(2)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(2−1)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(2−1):Cn2n+1−(CH2m−Si(X223
上記一般式(2−1)中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、X22はメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子を表す。
一般式(1)、一般式(1−2)、一般式(2)及び一般式(2−1)で表される化合物は2種類以上を併用してもよい。
以下に一般式(1)、一般式(1−2)、一般式(2)及び一般式(2−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006259703
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また、ジシロキサン系の化合物も表面処理剤として用いることができ、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジブチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサンなどが挙げられる。
これらの具体例の中で、(M−1)、(M−2)、(M−30)、(M−35)、(M
−49)、(M−51)、(M−56)、(M−57)等が特に好ましい。また、特許第3474330号公報の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。
本発明において、前記一般式(1)、一般式(1−2)、一般式(2)及び一般式(2−1)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3〜100質量%、最も好ましくは5〜50質量%である。無機微粒子の表面の水酸基当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。本発明においては、複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
〔無機微粒子の分散性の改善〕
本発明においては、以上述べたオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物を無機微粒子表面と作用させることにより、無機微粒子の分散性を改善することができる。オルガノシラン化合物の加水分解/縮合反応は、加水分解性基(X11、X21及びX22)1モルに対して、0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒又は、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[分散性改良処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び/又は金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない態様も好適である。
(金属キレート化合物)
本発明において、オルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物による分散性の改良処理に用いる金属キレート化合物は、下記一般式(3−1)で表されるアルコールと下記一般式(3−2)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。金属キレート化合物は、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば、特に制
限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
一般式(3−1):R31OH
一般式(3−2):R32COCH2COR33
(式中、R31及びR32は、同一又は異なってもよく、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R33は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)
本発明に好適に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。これらの金属キレート化合物の量は、オルガノシラン化合物に対して0.1〜10.0質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜5.0質量%、最も好ましくは1.0〜3.0質量%である。
[分散剤]
本発明において、無機微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においては、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、又はその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋性又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基{例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等}、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
これら分散剤の使用量は、無機微粒子に対して好ましくは、0.5〜30質量%、更に好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは2〜15質量%である。該範囲では、分散性の改良が認められ、かつ塗膜強度の低下等の弊害もなく好ましい。
〔低屈折率層〕
本発明の反射防止フィルムは、前述のとおり、反射防止層を構成する層として、微細空孔を有する層を必須の層として含有し、該微細空孔を有する層が低屈折率層であることが好ましい。また、該低屈折率層が反射防止層の最表面、すなわち反射防止フィルムの最表面であることが好ましい。
微細空孔含有微粒子を低屈折率層に導入する場合において、該微粒子の使用量は低屈折率層構成成分の総量に対して、5〜90質量%が好ましく、更に好ましくは10〜80質量%、最も好ましくは25〜65質量%である。微細空孔含有粒子が上記上限値以下では、水滴付着跡の悪化がなく好ましい。
[低屈折率層用材料]
以下に、本発明における低屈性率層に好ましく用いられる材料について説明する。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層は、前記の空孔含有微粒子を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成することが好ましい。バインダーは硬化性の化合物を用いることが好ましく、例えば(1)フッ化アルキル部を有するポリマーを含む硬化性組成物か、又は(2)2個以上の重合性もしくは縮合性官能基を有するモノマーを用いることができる。
まず(1)のフッ化アルキル部を有するポリマーについて説明する。
(フッ化アルキル部を有する成分)
本発明においては、低屈折率層の屈折率を下げ、反射防止フィルムの屈折率を下げるという観点から、下記のフッ化アルキル部を有するポリマーが硬化組成物の成分として好ましく用いられる。
フッ化アルキル部を導入するための含フッ素ビニルモノマーとしては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類[例えば「ビスコート6FM」{大阪有機化学工業(株)製}や“R−2020”{ダイキン工業(株)製}等]、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する傾向にある。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
フッ化アルキル部を有するポリマーは、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが、屈折率も高くなる傾向にある。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
フッ化アルキル部を有するポリマーは、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶媒への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚
性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明においては、フッ化アルキル基を有するポリマーの主鎖または側鎖にポリシロキサン構造が導入された化合物を用いることが好ましい。特に好ましくは、ジアルキルシロキサン構造を挙げることができる。
ポリマー主鎖へのポリシロキサン構造の導入方法には特に制限はなく、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS−0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法、重合開始剤、連鎖移動剤由来の反応性基(例えばメルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)をポリマー末端に導入した後、片末端あるいは両末端反応性基(例えばエポキシ基、イソシアネート基等)含有ポリシロキサンと反応させる方法、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の環状シロキサンオリゴマーをアニオン開環重合にて共重合させる方法等が挙げられるが、中でもポリシロキサン構造を有する開始剤を利用する手法が容易であり好ましい。
側鎖にポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
上記のポリシロキサン部位はポリマー中の0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%の場合であり、特に好ましくは、0.5〜5質量%の場合である。
低屈折率層の屈折率を下げ、耐擦傷性に優れるという観点から、本発明に用いるフッ化アルキル部を有するポリマーとして、特開2004−45462号公報の一般式1及び一般式2で表されるポリマーが特に好ましく、その具体例及び合成方法は、該公報の段落番号[0043]〜[0053]及び[0079]〜[0082]に記載されている。またその他の好ましいポリマーは、特開2002−243907号公報、同2003−267
32号公報、同2003−222702号公報、同2004−272198号公報等に記載のものを好ましく使用することができる。
また本発明において、低屈折率層に含有させることのできるポリマーの数平均分子量は、5000以上1000000万以下が好ましく、更に好ましくは10000以上500000以下、最も好ましくは15000以上300000以下である。ポリマーは分子量の異なるものを複数使用して用いることが塗布面状の安定化や膜の強度の向上の点で好ましい。
(2)2個以上の重合性又は縮合性官能基を有するモノマー
本発明の低屈折率層のバインダーには、1分子内に2個以上の重合性又は縮合性官能基を有する化合物を用いることもできる。
低屈折率層を構成するための材料としては、本発明で好適に用いられる空孔含有微粒子と、後述する皮膜形成バインダー{例えば、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、特に好ましくは多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル}を含有する硬化性組成物もまた、好ましく用いることができる。2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。これらモノマーは2種以上併用してもよい。これらモノマーは、バインダー中の架橋基の密度を上げることができ、硬度の高い硬化膜を形成できる。一方、含フッ素ポリマーバインダーに比較すると屈折率は低くないが、屈折率の低い多孔質または中空構造を有する無機微粒子と併用することで、本発明の低屈折率層として十分に有効な屈折率を得ることができる。
このような皮膜形成バインダーを、上記フッ化アルキル部を有するポリマーと併用すると、塗膜面状や無機微粒子の分散安定性向上、膜強度向上、水滴付着跡のより有意な低減などの点で好ましい。低屈折率層を構成するための硬化性組成物が電離放射線硬化型の場合には、該硬化性組成物が、〔皮膜形成バインダー〕の項で後述する、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
フッ化アルキル部を有するポリマーや、皮膜形成バインダーとして用いる2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、又はそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造を層形成ポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような
金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
上記架橋性官能基を有するモノマーは、反射防止フィルム作製に際して塗布前に、予めポリマーと反応させて架橋性ポリマーを形成していてもよいが、塗布後にポリマー本体と架橋させてマトリックスを形成させることもできる。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
本発明に好適に用いられるフッ化アルキル部を有するポリマーである、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい形態として、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
一般式(4):
Figure 2006259703
一般式(4)中、L41は炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは2〜4の連結基を表し、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**、*−(CH22−NH−**、*−
(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH22−O−**、−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**{*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す}等が挙げられる。b1は0又は1を表わす。
一般式(4)中、R41は水素原子又はメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式(4)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶媒への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて、単一又は複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。但し、x+y+z=100である。
さらに上記共重合体の特に好ましい形態として一般式(4−1)で表されるものが挙げられる。
一般式(4−1):
Figure 2006259703
一般式(4−1)中、R41、x、yはそれぞれ前記一般式(4)と同義であり、好ましい範囲も同じである。b2は2≦b2≦10の整数を表わし、2≦b2≦6であることが好ましく、2≦b2≦4であることが特に好ましい。Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(4)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1及びz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表わす。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。但し、x+y+z1+z2=100である。
一般式(4−1)で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z
2=0を満たすものが特に好ましい。
一般式(4)又は一般式(4−1)で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に、前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に、本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006259703
Figure 2006259703
Figure 2006259703
Figure 2006259703
Figure 2006259703
Figure 2006259703
本発明においては、上記の電離放射線又は熱硬化性のフッ化アルキル部を有するポリマーバインダーと併用して、膜強度が向上できるという観点から、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加することが好ましい。オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物(以下、ゾル成分ともいう)の合成には、〔多孔質又は中空の微粒子〕の項において表面処理、分散性の改良処理に用いたオルガノシラン化合物、並びに触媒としての酸及び/又は金属キレート化合物を用いることができる。
上記のオルガノシラン化合物としては、前記一般式(1)、(1−2)、(2)及び(2−1)で表されるオルガノシラン化合物を挙げることができる。オルガノシラン化合物がフッ化アルキル部を有すると、屈折率低下の点から好ましい。好ましいゾル成分の例は、例えば、特開2002−202406号公報、同2002−265866号公報、同317152号公報等に記載されている。
低屈折率層における、フッ化アルキル部を有するポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、該ゾル成分の使用の効果、形成される層の屈折率、及び形成される層の形状・面状等の観点から、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
また、本発明においては、低屈折率層形成用硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。このβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサジオン、2,4−ヘプタジオン、3,5−ヘプタジオン、2,4−オクタジオン、2,4−ノナジオン、5−メチルヘキサジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。
これらのβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル以上用いることにより、得られる組成物の保存安定性の低下などの不都合を回避することができるので好ましい。
[低表面自由エネルギー成分の添加]
本発明においては、防汚性向上の観点から、反射防止フィルム表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。このような表面自由エネルギーを下げる成分(低表面自由エネルギー成分ともいう)として、低屈折率層にしばしば滑り剤が使用される。このような滑り剤としては、含フッ素エーテル化合物(ペルフルオロポリエーテル及びその誘導体など)、ポリシロキサン化合物(ジメチルポリシロキサン及びその誘導体など)などが挙げられる。特にジアルキルシロキサン化合物が好ましい。
ポリシロキサン化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物の末端、及び/又は、側鎖に置換基を有するものが挙げられる。
ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として含む化合物中には、ジメチルシリルオキシ単位以外の構造単位(置換基)を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。
好ましい置換基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
滑り剤の分子量に特に制限はないが、300以上100万以下であることが好ましく、1500以上20万以下であることが特に好ましく、3000以上10万以下であることが最も好ましい。
シロキサン化合物のSi原子含有量には、特に制限はないが5質量%以上であることが好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましく、15〜50質量%であることが最も好ましい。
特に好ましい滑り剤は、下記一般式(5)で表わされる架橋性又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及びその誘導体{誘導体とは、例えば、一般式(5)で表わされるポリシロキサン化合物の架橋体又は重合体、一般式(5)で表わされるポリシロキサン化合物とポリシロキサン化合物以外の架橋又は重合可能な官能基を有する化合物との反応生成物など}である。
一般式(5):
Figure 2006259703
一般式(5)中、R51〜R54は、それぞれ独立に、炭素数1〜20を含む基を表し、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、R51、R53、R54のうち、少なくとも1つの基が架橋性又は重合性の官能基を表す。pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、好ましくは50≦q≦400であり、特に好ましくは100≦q≦300である。rは0≦r≦500を満たす整数を表し、好ましくは0≦r≦qであり、特に好ましくは0≦r≦0.5qである。また{ }で囲われているポリシロキサン部分は、r≠0の時、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっ
てもよい。
本発明における最外層は、一般式(5)で表わされる架橋性又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体と、フッ化アルキル部を有する成分とを含む硬化物を含有することが好ましい。
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の含有量は、最外層の総構成成分に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体において、好ましい架橋性又は重合性の官能基は、最外層の他の構成成分(フッ化アルキル部を有する成分、バインダーなど)と架橋又は重合反応して結合を形成することができる官能基であればよく、例えば、活性水素原子を有する基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等)、ラジカル種による架橋又は重合が可能な不飽和二重結合を有する基{(メタ)アクリロイル基、アリル基等}、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、酸無水物、イソシアネート基、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらの架橋性又は重合性官能基は最外層の構成成分に合わせて適宜選択される。好ましくは、電離放射線硬化性の官能基である。
また、一般式(5)の架橋性又は重合性の官能基は、最外層を形成するバインダー成分が有する架橋性又は重合性の官能基と、架橋又は重合反応することが好ましく、特に好ましい官能基はカチオン開環重合反応性基(特にエポキシ基、オキセタニル基など)、ラジカル重合反応性基{特に(メタ)アクリロイル基}である。
一般式(5)のR52が表す基は、炭素数1〜20の置換又は無置換の有機基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基等)、フッ素化アルキル基(トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)又は炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、フッ素化アルキル基又はフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
一般式(5)のR51、R53、R54が架橋性又は重合性の官能基でない場合、上記有機基をとることができる。
一般式(5)で表わされる化合物のポリシロキサン構造は、その繰り返し単位[−OSi(R522−]が単一の置換基(R52)のみで構成された単独重合体であっても、異なる置換基を有する繰り返し単位の組み合わせによって構成されたランダム共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
一般式(5)で表わされる化合物の質量平均分子量は、1500以上20万以下であることが好ましく、より好ましくは3000以上10万以下であり、特に好ましくは5000以上5万以下である。
一般式(5)で表されるポリシロキサン化合物は市販されているもの、例えば、“KF−100T”、“X−22−169AS”、“KF−102”、“X−22−3701I
E”、“X−22−164B”、 “X−22−164C”、“X−22−5002”、“X−22−173B”、“X−22−174D”、“X−22−167B”、“X−22−161AS”、“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X−22−170DX”、“X−22−176D”、“X−22−1821”{以上、信越化学工業(株)製};“AK−5”、“AK−30”、“AK−32”{以上、東亜合成化学(株)製};「サイラプレーンFM−0275」、「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーンFM−0725」、「サイラプレーンFM−7725」、「サイラプレーンDMS−U22」、「サイラプレーンRMS−033」、「サイラプレーンRMS−083」、「サイラプレーンUMS−182」{以上、チッソ(株)製}等を用いることもできる。また、市販のポリシロキサン化合物が含有する水酸基、アミノ基、メルカプト基等に、架橋性又は重合性官能基を導入することで作製することもできる。
以下に、一般式(5)で表わされる好ましいポリシロキサン化合物の例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006259703
Figure 2006259703
Figure 2006259703
Figure 2006259703
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一般式(5)で表わされるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の添加量は、最外層の全固形分に対し、0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
また、特開2002−277604号公報等に記載のパーフルオロエーテル基含有のシランカップリング剤の防汚層を設けることも好ましい。
[低屈折率層の物性]
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.45であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.25〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。低屈折率層の表面強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
[オゾン暴露後の反射防止フィルムの耐擦傷性]
本発明の反射防止フィルムは、10ppmのオゾンに192時間暴露後の反射防止フィルム表面の、水綿棒擦り試験での限界荷重が400g以上であることが好ましい。より好
ましくは500g以上、更に好ましくは600g以上である。
水綿棒擦り試験での限界荷重は以下のようにして求める。
各試料を偏光板に加工後、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に192時間(8日)保管した後に、大気中に取り出す。ラビングテスターのこすり先端部に綿棒{(株)トーヨー衛材製「ヘルスリフレ」(商品名)}を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に荷重をかけて20往復擦り試験を行う。
こすり距離(片道):1cm、
こすり速度:約2往復/秒
擦り後の試料の表面の水を乾燥させた後に、膜がはがれているかを目視で観察する。同じ試料で10回試験を行い、5回以上膜はがれが起きるまで、初期荷重100gからスタートし荷重を50gずつ上げて試験を行う。膜はがれが10回の試験中5回未満であった荷重を限界荷重と定義する。膜はがれは、目視で表面の反射状態が変わっているかで判断を行う。反射状態が変わっている膜は、その切片を電子顕微鏡で観察すると、最上層の膜厚が5%以上薄くなっているか、又は最上層やその他構成層が剥離していることが観察される。
〔反射防止フィルムの層構成〕
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材(以下、「支持体」とも言うことがある。)上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、必須の構成層として帯電防止層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように、屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して一層以上の反射防止層が積層されている。
反射防止フィルムは、一般に、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、支持体として機能している。また、下記構成において、(帯電防止層)と表記したものは、その他の機能を有する層が帯電防止層の機能も合わせ持つ構成である。帯電防止層に帯電防止以外の機能を持たせることで、形成する層の数を減らすことができるため、該構成は生産性が向上し好ましい。
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/低屈折率層(帯電防止層)、
・基材フィルム/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層(帯電防止層)/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層(帯電防止層)/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層(帯電防止層)/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層(帯電防止層)/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。 また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子{例えば、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)}を含む層であることが好ましく、塗布又は大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
〔帯電防止層〕
本発明における帯電防止層について説明する。
本発明の反射防止フィルムは、帯電防止層を構築することで、反射防止フィルム表面に塵埃(埃など)が付着するのを防止する、すなわち優れた防塵性を発現させることができる。防塵性は、反射防止フィルム表面の表面抵抗値を下げることで発現され、帯電防止層の導電性が高いほど高い効果が得られる。
本発明の反射防止フィルムにおいては、最外層を有する側の表面の表面抵抗値が、1×1013Ω/□以下であることが好ましく、1×1012Ω/□以下であることがより好ましく、好ましく1×1011Ω/□以下であることが更に好ましく、1×109Ω/□以下であることが更により好ましく、1×108Ω/□以下であることが特に好ましい。
本発明の反射防止フィルムにおいて、帯電防止層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)、塗布法のどちらで作製してもよいが、低コストで帯電防止層を作製できる点で塗布法が好ましい。
気相法による帯電防止層の作製は、例えば、フィルム上に導電性物質を真空蒸着やスパッタリングすることで実施できる。導電性物質としては、具体的にはアルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル等の金属単体もしくは合金、又は、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることができる。気相法で帯電防止層を作製する場合、帯電防止層の膜厚は、通常5〜200nm程度とすればよく、好ましくは10〜150nm、より好ましくは20〜120nm、特に好ましくは30〜100nmである。気相法を用いた帯電防止層の作製には従来公知の手法を用いることができる。
帯電防止層を塗布で作製する場合、導電材(電子伝導型の導電性粒子、イオン伝導型の有機化合物など)を結着剤(バインダーなど)に含有させて、帯電防止層を作製することが好ましい。特に、電子伝導型の導電材は、環境の変化を受け難く導電性能が安定し、特
に低湿環境下でも良好な導電性能を発現する点で好ましい。以下、塗布法で帯電防止層を作製する好ましい方法について記載する。
[導電材]
帯電防止層に用いられる好ましい導電材としては、π共役系導電性有機化合物、導電性微粒子などの電子伝導型の導電材が好ましい。
π共役系導電性有機化合物としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)等が挙げられる。
導電性微粒子としては、カーボン系、金属系、金属酸化物系、導電被覆系微粒子等が挙げられる。
カーボン系微粒子としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等のカーボン繊維、膨張化黒鉛粉砕品のカーボンフレーク等が挙げられる。
金属系微粒子としては、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル等の金属、及び、それらの金属を含有する合金の粉末や、金属フレーク、鉄、銅、ステンレス、銀メッキ銅、黄銅等の金属繊維等が挙げられる。
金属酸化物系微粒子としては、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、などが挙げられる。
導電被覆系微粒子としては、例えば、酸化チタン(球状、針状)、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ等の各種微粒子表面を、酸化錫、ATO、ITO等の導電材で被覆した導電性微粒子;金及び/又はニッケルなどの金属や金属酸化物で表面処理されたポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂等の樹脂ビーズなどが好ましい。これらは非導電材の外表面に金属又は金属酸化物の導電性部分を形成してなる粒子であり、粒子内部に対して表面の方が導電性が高いという特徴を有している。表面処理に用いるものとしては金属及び金属酸化物であり、金属であることが好ましい。またその中でも導電性が高く、安定な金属である金、銀又はニッケルが好ましく、金であることが最も好ましい。
屈折率が低く、隣接層との干渉ムラなどの低減に有効な粒子として、多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子に酸化アンチモンが被覆されてなる粒子を挙げることができる。具体的な調製方法は特開2005−119909号公報に記載されている。
帯電防止層の導電材としては、π共役系導電性有機化合物(特に、ポリチオフェン系導電性ポリマー)、導電性微粒子として金属系微粒子(特に、金、銀、銀/パラジウム合金、銅、ニッケル、アルミニウム)や金属酸化物系微粒子(特に、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛)が好ましい。特に、金属や金属酸化物などの電子伝導型の導電材が好ましく、なかでも金属酸化物系微粒子が特に好ましい。
導電材の一次粒子の質量平均粒径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。導電材の平均粒径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電材の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
導電材の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、針状又は不定形状であることが好ましく、不定形状、針状、鱗片状であることが特に好ましい。
これら導電性微粒子をバインダーに分散して帯電防止層を形成するには、帯電防止層の総構成成分に対して該導電性微粒子の使用量は、5〜95質量%が好ましく、更に好ましくは、10〜90質量%、最も好ましくは30〜90%である。上記範囲だと導電性に優れ、膜強度の低下やヘイズの上昇などの弊害が少なく好ましい。
これら粒子を使用した帯電防止層の膜厚は、5nm〜10μmが好ましく、更に好ましくは10nm〜5μmであり、最も好ましくは30nm〜3μmである。帯電防止層は、前述の反射防止膜構成層を兼ねることもでき、その場合にはその構成層に必要な膜厚をとることができる。
[帯電防止層の形成法]
帯電防止層を塗布法で作製する場合、導電材は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することが好ましい。導電材の分散においては、分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散剤を用いて分散することにより、導電材は極めて微細に分散することができ、透明な帯電防止層の作製を可能にする。特に、帯電防止層を光学干渉層として用いて層に反射防止機能ももたせる場合には、導電材を微細に分散することで層の透明性が上がり、反射防止性能も向上させることができる点で好ましい。
(分散剤)
本発明に用いられる導電材の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)、リン酸基(ホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、又はその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。
1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は1個以上であればよい。導電材の分散性をさらに改良する目的で、分散剤にはアニオン性基が1分子当たり複数個含有されていてもよい。1分子当たり平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
アニオン性の極性基を有する分散剤としては、「ホスファノール」{PE−510、PE−610、LB−400、EC−6103、RE−410など;以上東邦化学工業(株)製}、“Disperbyk”(−110、−111、−116、−140、−161、−162、−163、−164、−170、−171など;以上ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
分散剤は、さらに架橋性又は重合性の官能基を含有することが好ましい。架橋性又は重合性の官能基としては、ラジカル種による架橋反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基{例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等}、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明における帯電防止層での導電材の分散に用いる分散剤は、アニオン性基、及び、架橋性又は重合性の官能基を有し、且つ該架橋性又は重合性の官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
上記の、本発明において特に好ましい分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。該分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
分散剤の導電材に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
導電材は分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
(分散媒体)
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例えば、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
(導電材の分散)
導電材は、分散機を用いて分散することが好ましい。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例えば、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルなどが含まれる。サンドグラインダーミル、ダイノミルなどのメディア分散機が特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが含まれる。
導電材は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均粒径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。導電材を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない帯電防止層を作製できる。
本発明に用いられる帯電防止層は、上記導電材以外に有機化合物のバインダーを含有することが好ましく、該バインダーにより層のマトリックスを形成し、導電材を分散させることが好ましい。このため帯電防止層は、分散媒体中に導電材を分散した分散液に、好ましくは、バインダー又はバインダー前駆体を添加して作製することが好ましい。バインダー又はバインダー前駆体としては、非硬化系の熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のような硬化系樹脂等を用いることができる。
〔皮膜形成バインダー〕
本発明において、帯電防止層、ハードコート層、高(中)屈折率層等の各層を形成するための、皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を
有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダーとは、無機微粒子(微細空孔を含む層の場合には、空孔含有微粒子も考慮に入れる。)を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上をしめるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
上記の皮膜形成バインダーは、飽和炭化水素鎖又はポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、且つ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。形成される層を高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート};ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン);ビニルスルホン(例えばジビニルスルホン);アクリルアミド(例えばメチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。なお、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
本発明においては、ポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、又はそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解し
た結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Ja
pan"42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、
特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocycl
ic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ
、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503号公報のp14〜p30、特開昭55−77742号公報のp6〜p10、特公昭60−27673号公報のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5−2,4-シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。反射防止フイルムの最上層の低屈折率層に用いる場合には、重合開始剤の少なくとも1種の分子量は250〜10000が好ましく、更に好ましくは300〜2000である。この範囲だと、開始剤の揮散が少なく、また硬度低下などの弊害も少なく好ましい。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ又はジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビ
ス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。熱ラジカル開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
更に光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。また、酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物等が挙げられ、これらのうち有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
本発明における酸発生剤としては、オニウム塩が特に好適に用いられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
酸発生剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
〔高屈折率層〕
[高屈折率層用材料]
本発明には高屈折率層を設けることが好ましい。高屈折率層は、前記の皮膜形成用バインダー、防眩性又は内部散乱性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを任意に組み合わせて形成することができる。
(マット粒子)
高屈折率層には、防眩性や内部散乱性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子が含有させることができる。マット粒子とバインダー間の屈折率差は大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることが特に好ましい。マット粒子のバインダーに対する添加量も屈折率同様、大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、3〜30質量パーセントであることが好ましく、5〜20質量パーセントであることが特に好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。2種類以上のマット粒子を用いる場合には両者の混合による屈折率制御を効果的に発揮するために屈折率の差が0.02以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。
またより大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに光学フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほどよい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された高屈折率層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるように高屈折率層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
(無機フィラー)
高屈折率層には、層の屈折率を調節するため、及び硬化収縮を低減するために、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン、シリカのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また高屈折率マット粒子を用いた高屈折率層では、マット粒子との屈折率差を大きくし層の屈折率を低目に保つために、フィラーとして珪素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は、前記の無機フィラーと同じである。この目的のために、本発明で好ましく用いられる前記の空孔含有微粒子を用いることもできる。
高屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、SiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、高屈折率層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明における高屈折率層のバインダー及び無機フィラーの混合物の、バルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。高屈
折率層の厚さは、特に制限はないが50nm以上10μm以下が好ましい、更に好ましくは80nm以上8μm以下である。
〔中屈折率層〕
本発明の反射防止フィルムは、高屈折率層よりも屈折率が低く、支持体より屈折率が高い、中屈折率層を設けることも好ましく、中屈折率層は高屈折率層に用いられる高屈折率フィラーや高屈折率モノマーの使用量を調節することにより、高屈折率層と同様に形成することができる。
このようにしてマット粒子を使用して形成された本発明の反射防止フィルムは、ヘイズ値が、一般に3〜70%、好ましくは4〜60%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が、一般に3.0%以下、好ましくは2.5%以下である。本発明の反射防止フィルムが上記範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴わずに、良好な防眩性もしくは内部散乱性、及び反射防止性が得られる。
〔支持体〕
本発明の反射防止フィルムの支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル{例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム(株)製“TAC−TD80U,TD80UF”など}、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルム及びその製造法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、その片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。反射防止フィルムの支持体がトリアセチルセルロースの場合は、偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースがしばしば用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムとして用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用したりする場合には、その接着性を向上させるため、支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬などして実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和したりすることが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の支持体の表面が親水化される。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムとの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止フィルムの反射防止層側まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
本発明で好ましく用いることのできるフッ化アルキル部及びジアルキルシロキサン部の少なくともいずれかを有する成分を含有する低屈折率層は、アルカリ鹸化の耐性が高いため、(1)の方法を採用することもできる。
(1)支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、反射防止フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)支持体上に反射防止層を形成する前又は後に、アルカリ液を反射防止フィルムの反射防止層を形成する面又は形成された面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明においては、以下に述べる条件を標準の鹸化条件とするが、偏光板製造工程において一般的に連続処理で鹸化され偏光板に加工された状態の偏光板も本発明の「鹸化後の反射防止フィルムを有する偏光板」と定義する。
鹸化標準条件:
反射防止フィルムを以下の工程で処理・乾燥したものとする。
アルカリ浴:1.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒
中和浴:0.05mol/L硫酸、30℃−20秒
第2水洗浴:水道水、60秒
乾燥:120℃、60秒
〔塗膜形成方法〕
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した組成物からなる塗布液が調製される。この塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)などにより支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができるので、反射防止層の各層の形成などには特に好ましい。グラビアコート法の中でもマイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
またダイコート法を用いても、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶媒の蒸散が少ないため、好ましい。湿潤膜厚が数十ミクロン以下の薄層塗布液を、例えばプラスチックフィルムに特定のスロットダイや塗布方法を用いて塗布する方法として、特開2003−200097号、同2003−211052号、同2003−230862号、同2003−236434号、同2003−236451号、同200
3−245595号、同2003−251260号、同2003−260400号、同2003−260402号、同2003−275652号、同2004−141806号等の各公報に記載された方法も好ましい。2層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚として用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、水滴の付着跡が残りにくく、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
〔偏光膜〕
偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は、以下の方法により作成される。
すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を、保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45゜傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、以上述べた本発明の反射防止フィルム、又は反射防止フィルムを保護フィルムとして有する偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする。このように、本発明の反射防止フィルム又は、反射防止フィルムを保護フィルムとして有する偏光板は、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイのような画像表示装置に適用することができる。そして、本発明の画像表示装置は、TN、STN、IPS、VA及びOCBのいずれかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置に適用するのが好ましい。以下、さらに説明する。
〔液晶表示装置〕
液晶表示装置としては、従来公知の何れも用いることができる。例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」[(株)シーエムシー、1999年刊]、「フラットパネルディスプレイの新展開」[(株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊]、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」[富士キメラ総研(株)、2003年刊]等に記載されているものが挙げられる。
具体的には、例えばツイステッドネマチック(TN)、スーパーツイステッドネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
[TNモード液晶表示装置]
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
[OCBモード液晶表示装置]
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
[VAモード液晶表示装置]
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモード)の液晶セル[SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載]、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル[日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載]、及び
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
[IPSモード液晶表示装置]
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。
液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レターデーションΔn・dが0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。なお液晶層の厚み(ギャップ)はポリマービーズで制御している。もちろんガラスビーズやファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶分子は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性Δnは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、且つギャップばらつきを少なくすることができる。
[その他液晶モード]
STNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で本発明の偏光板を供することができる。ECBモードにも同様に適用することができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面及び内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特別の断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔無機微粒子の調製〕
調製例1−無機微粒子(Pc−1)の調製
エチルシリケート(SiO2含有量28%)360gとメタノール530gを混合し、この混合液に25℃において、純水100gとアンモニア水(28%アンモニア含有)をそれぞれ滴下して24時間攪拌し熟成した。オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換し、固形分濃度20%の無機微粒子(Pc−1)の分散液を調製した。透過電子顕微鏡観察により多孔質の粒子であることが確認された。
調製例2−無機微粒子(Pc−2)の調製
調製例1で作製した無機微粒子(Pc−1)分散液100.0gに対して、純水を900g及びエタノール800gを加えた混合液を、30℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2含有量28%)360gと28%アンモニア水626gを添加し、粒子表面に、エチルシリケートの加水分解重縮合物によりシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5%まで濃縮した後、濃度15%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20%の無機微粒子(Pc−2)の分散液を調製した。
調製例3−無機微粒子(Pc−3)の調製
(第1調製工程)
平均粒径5nm、SiO2濃度20%のシリカゾル10gと、純水190gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であった。次ぎに同母液に、SiO2含有量1.5%の珪酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al23含有量0.5%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を91℃に保持した。添加終了後、反応液を室温まで冷却し限外濾過膜で洗浄して、固形分濃度20%のSiO2・Al23多孔質物質前駆体粒子の分散液を調製した。
(第2調製工程)
次いで、上記多孔質物質前駆体粒子の分散液500gを採取し、純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られた珪酸水性液(SiO2濃度3.5%)2,100gを添加して、多孔質物質前駆体粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られた多孔質物質前駆体粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13%に調整したのち、この多孔質物質
前駆体粒子の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、粒子前駆体分散液を調製した。
(第3調製工程)
上記粒子前駆体分散液1500gと、純水500g及びエタノール1,750gとの混合液を30℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2含有量28%)60gと28%アンモニア水626gを速度を制御しながら添加し、粒子前駆体表面にエチルシリケートの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成することによって、外殻層内部に空洞を有する粒子を作製した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5%まで濃縮した後、濃度15%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20%の無機微粒子(Pc−3)の分散液を調製した。
調製例4−無機微粒子(Pc−4)の調製
無機微粒子(Pc−3)の第3調製工程において、エチルシリケート(SiO2含有量28%)の添加量を120gに変更した以外は、無機微粒子(Pc−3)の調製工程と同様にして無機微粒子(Pc−4)を調製した。
調製例5〜8−無機微粒子(Pc−5)〜(Pc−8)の調製
無機微粒子(Pc−3)の調製において、以下の工程を調整することで粒子サイズ、水吸着量、屈折率の異なる粒子を作製した。
(粒子サイズの変更)
第1調製工程において、珪酸ナトリウム水溶液とアルミン酸ナトリウム水溶液の添加時間を調節して粒子サイズの変更を行った。
(吸着水量の変更)
第2調製工程において、珪酸液(SiO2濃度3.5%)の量を調節又は、第3調製工程において、エチルシリケート量、アンモニア量、添加タイミング、温度、時間を制御して粒子を形成した。
調製例9−無機微粒子(Pc−9)の調製
比較用の多孔質でないシリカ微粒子として、平均粒子径50nmのシリカ粒子“IPA−ST−L”{(株)日産化学製、シリカ固形分濃度30%、溶媒イソプロピルアルコール}を購入し、シリカ固形分濃度が20%になるようにイソプロピルアルコールで希釈した。
[無機微粒子の評価]
この様にして得られた粒子を用い以下の評価を行った。
(評価1:粒子サイズ測定)
分散液を希釈してグリッド上にすくい取り透過型電子顕微鏡で観察した。1000個の粒子の平均の粒子サイズを求めた。
(評価2:吸着水量)
分散液をエバポレーターで乾燥し粉末化した後に、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として、下記の数式(2)により算出した。
数式(2):吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
ここで、
20:昇温開始時の初期質量
200:200℃まで昇温した時点での質量
(評価3:粒子屈折率)
本明細書の前記(空孔含有粒子の屈折率の測定)の項に記載の方法に従い、無機微粒子のマトリックス中における含有量を変えて塗膜を形成した。塗膜の屈折率を測定し、無機微粒子100%時に外挿して無機微粒子の屈折率とした。
無機微粒子についての評価(1)〜(3)の結果を表7に示す。
Figure 2006259703
〔反射防止フィルムの作製〕
実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜15
以下に示す多層の反射防止フィルムを作製した。
[低屈折率層の形成]
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。得られたゾルの質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量1000〜20000の成分が100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
{無機微粒子分散液(A−4)の調製}
調製例4で作製した中空シリカ微粒子(Pc−4)のゾル500部(シリカ濃度20%、エタノール分散液)対して、シリカの含量がほぼ一定となるようにイソプロピルアルコールを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。このようにして得られたシリカ分散液(シリカ濃度20%)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}30部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにシリカの含量がほぼ一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20hPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた無機微粒子分散液(A−4)のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
{無機微粒子分散液(A−1)〜(A−3)及び(A−5)〜(A−9)の調製}
前記無機微粒子の調製で作製した、中空シリカ微粒子(Pc−4)以外の無機微粒子についても、上記無機微粒子分散液(A−4)の調製に準じて処理を行い、対応する無機微粒子分散液(A−1)〜(A−9)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製}
メチルエチルケトン200部に対して、本文記載の含フッ素共重合体(P−3)(数平
均分子量2.8万)86.0部、“DPHA”{ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:日本化薬(株)製}6.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS‐033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア369」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}4.5部を加えて溶解した。その後塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−1)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製}
メチルエチルケトン150部に対して、本文記載の含フッ素共重合体(P−3)(数平均分子量2.8万)46.0部、“DPHA”{ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:日本化薬(株)製}3.5質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア369」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3.5部を加えて溶解した。その後に、無機微粒子分散液(A−1)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6%になり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−2)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−3)〜(Ln−10)の調製}
低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製において、分散液(A−1)を用いる代わりに分散液(A−2)〜(A−9)のいずれかを用いる以外は低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製と全く同様にして低屈折率層用塗布液(Ln−3)〜(Ln−10)を調製した。
{帯電防止層用塗布液(AS−1)の調製}
市販の導電性微粒子ATO「アンチモンドープ酸化錫T−1」{比表面積80m2/g、三菱マテリアル(株)製}20.0部に、アニオン性基とメタアクリロイル基を有する下記の分散剤(B−1)6.0部、メチルイソブチルケトン74部を添加して撹拌した。
Figure 2006259703
メディア分散機(直径0.1mmのジルコニアビーズ使用)を用いて、上記液中のATO粒子を分散した。光散乱法で分散液中のATO粒子の質量平均粒径を評価した結果、55nmであった。このようにして、ATO分散液を作製した。
上記ATO分散液100部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}6部、重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}0.8部を添加して撹拌した。このようにして帯電防止層用塗布液(AS−1)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.63であった。
{ハードコート層用塗布液(HC−1)の調製}
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”{日本化薬(株)製}50.0部に、重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}2.0部、下記のフッ素系面状改良剤(FP−1)0.075部、オルガノシラン化合物“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}10.0部、トルエン38.5部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
Figure 2006259703
さらにこの溶液に、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子“SX−350”{屈折率1.60、綜研化学(株)製}の30%トルエン分散液1.7部、及びポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子{屈折率1.55、綜研化学(株)製}の30%トルエン分散液13.3部を添加して撹拌した。次いで孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩性ハードコート層用塗布液(HC−1)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.51であった。得られたハードコート層用塗布液(HC−1)の表面張力は32mN/mであった。
[反射防止フィルム(101)の作製]
(防眩性を有するハードコート層の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗布液(HC−1)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚6μmの防眩性を有するハードコート層を作製した。このようにしてハードコート層を有する長さ1000mのフィルムを作製した。
(帯電防止層の作製)
このようにして得られたハードコート層の上に、前記帯電防止層用塗布液(AS−1)を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度15m/分の条件で塗布し100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚1.2μmの帯電防止層を作製した。このようにして帯電防止層を有する長さ1000mのフィルムを作製した。
(低屈折率層の作製)
このようにして得られた帯電防止層の上に、上記低屈折率層用塗布液(Ln−1)を用いて低屈折率層膜厚が90nmになるように調節して反射防止フィルム試料(101)を作製した。低屈折率層の乾燥条件は90℃、150秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。
[反射防止フィルム(102)〜(110)の作製]
反射防止フィルム(101)の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln−1)を用いる代わりに、低屈折率層用塗布液(Ln−2)〜(L−10)のいずれかを用いる以外は反射防止フィルム(101)と同様にして、反射防止フィルム(102)〜(110)を作製した。
[反射防止フィルム(111)〜(120)の作製]
反射防止フィルム(101)〜(110)の作製において、帯電防止層を形成しない以外は同様にして、反射防止フィルム(111)〜(120)を作製した。
得られた反射防止フィルム(101)〜(120)の各層の構成について、表8に示す。
Figure 2006259703
[反射防止フィルムの鹸化処理]
得られた反射防止フィルムは以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒
第1水洗浴:水道水、60秒
中和浴:0.05mol/L 硫酸、30℃−20秒
第2水洗浴:水道水、60秒
乾燥:120℃、60秒
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価4:平均反射率の測定)
分光光度計{日本分光(株)製“V−550”}を用いて、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5゜における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価5:水滴付着跡の△Eの測定)
フィルム、偏光板、又は画像表示装置の反射防止フィルムの最表面を水平に設置した。25℃、55%RHに30分以上放置した後に、純水2.0mLをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下した。反射防止フィルムの表面により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広げた。15分放置後、「ベンコット」{旭化成(株)製}で水滴を拭き取った。水滴を滴下する前後で反射防止フィルムの反射スペクトルを測定した。測定は日本分光(株)製“Model V−550UV/Vis”分光光度計を用い、D65光源下でのCIE1976Lab色空間における色度変化(△E)を決定した。
(評価6:表面抵抗の評価)
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面の表面抵抗を、超絶縁抵抗/微小電流計“TR8601”{(株)アドバンテスト製}を用いて、25℃、相対湿度60%RHの条件下で測定した。表面抵抗(Ω/□)の常用対数をとり、logSRの値を算出した。
(評価7:塵埃除去性の評価)
反射防止フィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけた。クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃の除去性を調べ、下記4段階で評価した。
○ ;3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けたもの。
○△;塵埃が完全に取り除けるが、4回以上6回以下の拭き取りが必要。
△ ;6回の拭き取りでは塵埃が若干残ったもの。
× ;塵埃がかなり残ったもの。
(評価8:SW耐擦傷性の評価)
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面において、ラビングテスターを用いてスチールウールによる擦りテストを実施した。
こすり材としてスチールウール{日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000}を用い、移動距離(片道)13cm、こすり速度13cm/秒、荷重500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数10往復の条件で実施した。最外層の表面についた傷について目視観察して、下記4段階で評価した。
◎;注意深く見ても、全く傷が見えない。
○;注意深く見ると、僅かに弱い傷が見える。
△;弱い傷が見える。
×;一目見ただけで目立つ傷が見える。
(評価9:オゾン暴露後の水綿棒擦りでの限界荷重)
各試料を偏光板に加工後、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に192時間(8日)保管した後に、大気中に取り出した。ラビングテスターのこすり先端部に綿棒{(株)トーヨー衛材製「ヘルスリフレ」(商品名)}を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に荷重をかけて20往復擦り試験を行った。
こすり距離(片道):1cm、こすり速度:約2往復/秒
擦り後の試料の表面の水を乾燥させた後に、膜がはがれているかを目視で観察した。同じ試料で10回試験を行い、5回以上膜はがれが起きるまで、初期荷重100gからスタートし荷重を50gずつ上げて試験を行った。膜はがれが10回の試験中5回未満であった荷重を限界荷重と定義した。膜はがれは、目視で表面の反射状態が変わっているかで判断を行った。限界荷重が大きい方が耐擦傷性に優れることに対応する。
評価結果を表9に示す。
Figure 2006259703
表9に示される結果より、以下のことが明らかである。
微細空孔を含む層を低屈折率層として設け、水滴付着跡のΔEが0.45以下であり、帯電防止層を有する、本発明の反射防止フィルムは、反射率が低く、表面抵抗が低下しており、防塵性も改良されており、優れた反射防止フイルムである。特に、吸着水量が6.1質量%以下である無機微粒子を用いると、水滴付着跡や、オゾン暴露後の水綿棒の限界荷重が有意に改善され、低反射でSW耐擦傷性に優れた反射防止フィルムが得られる。
実施例2−1〜2−7
{低屈折率層用塗布液(Ln−11)の調製}
メチルエチルケトン200部に対して、本文記載の含フッ素共重合体(P−3)(数平均分子量2.8万)23.0部、本文記載の含フッ素共重合体(P−34)(数平均分子量11.0万)23.0部、“DPHA”{ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:日本化薬(株)製}3.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア1870」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3.5部を加えて溶解した。その後に、実施例1で調製した無機微粒子分散液(A−5)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。その後塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−11)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−12)の調製}
メチルエチルケトン200部に対して、本文記載の含フッ素共重合体(P−2)(数平均分子量4.0万)23.0部、本文記載の含フッ素共重合体P−5(数平均分子量5.0万)23.0部、“DPHA”{ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:日本化薬(株)製}3.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア1870」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3.5部を加えて溶解した。その後に、実施例1で調製した無機微粒子分散液(A−5)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。その後塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−12)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−13)の調製}
光硬化性含フッ素バインダー樹脂「オプスターJM5010」(商品名){JSR(株)製、屈折率1.41、固形分10%、メチルイソブチルケトン溶液}460部に対して、“DPHA”{ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:日本化薬(株)製}3.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア1870」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}0.5部、“F3035”{日本油脂(株)製}3.0部を加えて溶解した。その後に、実施例1で調製した無機微粒子分散液(A−5)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。その後塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、及びメチルエチルケトンの比率が10対30対60になるようにシクロヘキサノン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−13)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−14)の調製}
光硬化性含フッ素含シリコーンバインダー樹脂「オプスターJM5025」(商品名){JSR(株)製、屈折率1.42、固形分10%、メチルイソブチルケトン溶液}460部に対して、“DPHA”{ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:日本化薬(株)製}3.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア1870」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}0.5部、“F3035”{日本油脂(株)製}0.5部を加えて溶解した。その後に、実施例1で調製した無機微粒子分散液(A−5)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。その後塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、及びメチルエチルケトンの比率が10対30対60になるようにシクロヘキサノン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−14)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−15)の調製}
メチルエチルケトン500部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}40.5部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア1870」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3.0部、“F3035”{日本油脂(株)製}3.0部を加えて溶解した。その後に、実施例1で調製した無機微粒子分散液(A−5)を227.5部(シリカ+表面処理剤固形分として45.5部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6%になり、シクロヘキサンとメチルエチル
ケトンの比率が15対85になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−15)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−16)の調製}
「オプスターJN7228A」{熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製}858.3部(固形分として51.5部)に対して、実施例1で調製した無機微粒子分散液(A−5)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。コロイダルシリカ分散物{シリカ、“MEK−ST”の粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製}15.0部(固形分として4.5部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−16)を調製した。
{低屈折率層用塗布液(Ln−17)の調製}
「オプスターJTA113」{熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製}858.3部(固形分として51.5部)に対して、無機微粒子分散液(A−5)を195部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)、コロイダルシリカ分散物{シリカ、“MEK−ST”の粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製}15.0部(固形分として4.5部)、ゾル液a17.2部(固形分として5.0部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(Ln−17)を調製した。
[反射防止フィルム(201)〜(205)の作製]
実施例1−4の反射防止フィルム(106)の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln−6)を用いる代わりに、低屈折率層用塗布液(Ln−11)〜(Ln−15)のいずれかを用いる以外は反射防止フィルム(106)と同様にして、反射防止フィルム(201)〜(205)を作製した。
[反射防止フィルム(206)及び(207)の作製]
実施例1−4の反射防止フィルム(106)の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln−6)を用いる代わりに、低屈折率層用塗布液(Ln−16)又は(Ln−17)を用い、紫外線硬化に先立つ低屈折率層の乾燥条件を、90℃、150秒乾燥後に110℃で15分硬化させる以外は反射防止フィルム(106)と同様にして、反射防止フィルム(206)及び(207)を作製した。
得られた反射防止フィルム(201)〜(207)の各層の構成について、表10に示す。
Figure 2006259703
得られた反射防止フィルムは実施例1に準じて鹸化処理した後に、実施例1に準じた評価を行った。評価結果を表11に示す。
Figure 2006259703
表11に示される結果より、本発明において好適な吸着水量の範囲の多孔質又は中空の無機微粒子を用いバインダーとフッ化アルキル部及びジアルキルシロキサン部の少なくと
もいずれかを有する成分を含有して低屈折率層を形成し、帯電防止層を設けると、低反射でSW耐性・水滴付着跡・塵埃除去性・オゾン暴露後の水綿棒の限界荷重の大きい反射防止フィルムが得られる。
実施例3−1〜3−8及び比較例3−1〜3−4
{帯電防止層用塗布液(AS−2)の調製}
市販の透明帯電防止層用塗料「ペルトロンC−4456S−7」{固形分濃度45%、日本ペルノックス(株)製}を帯電防止層用塗布液(AS−2)として用いた。「ペルトロンC−4456S−7」は、分散剤を用いて分散された導電性微粒子ATOを含有する透明帯電防止層用塗料である。この塗料による塗膜の屈折率は1.55であった。
{ハードコート層用塗布液(HC−2)の調製}
ハードコート層用塗布液(HC−1)に対して更に、「ブライト20GNR4.6−EH」{ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物球状粉体にニッケル及び金をめっきしたもの、日本化学工業(株)製}を0.12%分散し、ハードコート層用塗布液(HC−2)を調製した。
{ハードコート層用塗布液(HC−3)の調製}
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”{日本化薬(株)製}20.0部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}20.0部に、コロイダルシリカ分散物{シリカ、“MEK−ST”、平均粒径12nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製}33.0部、重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}2.0部、前記のフッ素系面状改良剤(FP−1)0.75部、オルガノシラン化合物“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}10.0部、トルエン38.5部、シクロヘキサノン5.0部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。次いで孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩性ハードコート層用塗布液(HC−3)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.51であった。得られた防眩性ハードコート層用塗布液(HC−3)の表面張力は32mN/mであった。
{ハードコート層用塗布液(HC−4)の調製}
ハードコート層用塗布液(HC−3)に対して更に、「ブライト20GNR4.6−EH」{ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物球状粉体にニッケル及び金をめっきしたもの、日本化学工業(株)製}を0.12%分散し、ハードコート層用塗布液(HC−4)を調製した。
{ハードコート層用塗布液(HC−5)の調製}
酸化ジルコニウム微粒子を含有する透明高屈折率ハードコート材料「デソライトZ7404」{JSR(株)製}285.0部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}85.0部、オルガノシラン化合物“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}28.0部、メチルイソブチルケトン80.0部、メチルエチルケトン80.0部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用塗布液(HC−5)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.61であった。得られたハードコート層用塗布液(HC−5)の表面張力は25mN/mであった。
{ハードコート層用塗布液(HC−6)の調製}
ハードコート層用塗布液(HC−5)に対して更に、「ブライト20GNR4.6−E
H」{ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物球状粉体にニッケル及び金をめっきしたもの、日本化学工業(株)製}を0.12%分散し、ハードコート層用塗布液(HC−6)を調製した。
{ハードコート層用塗布液(HC−7)の調製}
酸化ジルコニウム微粒子を含有する透明高屈折率ハードコート材料「デソライトZ7404」{JSR(株)製}285.0部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}85.0部、オルガノシラン化合物“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}28.0部、メチルイソブチルケトン60.0部、メチルエチルケトン17.0部を添加して撹拌した。
さらにこの溶液に、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.0μmの分級を強化した架橋PMMA粒子“MXS−300”{屈折率1.49、綜研化学(株)製}の30%メチルイソブチルケトン分散液35.0部、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径1.5μmのシリカ粒子「シーホスタKE−P150」{屈折率1.46、(株)日本触媒製}の30%メチルエチルケトン分散液90.0部を添加して撹拌した。孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用塗布液(HC7)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.61であった。得られたハードコート層用塗布液(HC−7)の表面張力は25mN/mであった。
{ハードコート層用塗布液(HC−8)の調製}
ハードコート層用塗布液(HC−7)に対して更に、「ブライト20GNR4.6−EH」{ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物球状粉体にニッケル及び金をめっきしたもの、日本化学工業(株)製}を0.12%分散し、ハードコート層用塗布液(HC−8)を調製した。
[反射防止フィルム(301)の作製]
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}上に、帯電防止層用塗布液(AS−2)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚1.5μmの帯電防止層を作製した。このようにして帯電防止層を有する長さ1000mのフィルムを作製した。
このようにして得られた帯電防止層の上に、ハードコート層用塗布液(HC−1)を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度15m/分の条件で塗布し100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚5.0μmのハードコート層を作製した。このようにしてハードコート層を有する長さ1000mのフィルムを作製した。
このようにして得られた帯電防止層の上に、上記低屈折率層用塗布液(Ln−7)を用いて、低屈折率層膜厚が90nmになるように調節して、反射防止フィルム試料(301)を作製した。低屈折率層の乾燥条件は90℃、150秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。硬化後の低屈折率層の屈折率は1.38で
あった。
[反射防止フィルム(302)〜(308)の作製]
反射防止フイルム(301)の作製において、ハードコート層用塗布液(HC−1)を用いる代わりに、ハードコート層用塗布液(HC−2)〜(HC−8)のいずれかを用いる以外は反射防止フィルム(301)と同様にして、反射防止フィルム(302)〜(308)を作製した。
[反射防止フィルム(309)〜(312)の作製]
反射防止フィルム(301)、(302)、(307)及び(308)の作製において、帯電防止層の塗布と硬化を行わない以外は同様にして、反射防止フィルム(309)〜(312)を作製した。
得られた反射防止フィルム(301)〜(312)の各層の構成について、表12に示す。
Figure 2006259703
得られた反射防止フィルムは実施例1に準じて鹸化処理した後に、実施例1に準じた評価を行った。評価結果を表13に示す。
Figure 2006259703
表13に示される結果より、以下のことが明らかである。
帯電防止層を設け、かつ微細空孔を含む層を有し、さらにΔEが0.45以下であることで、表面抵抗が低く、塵埃の除去性が充分な、低反射の反射防止膜が得られる。特に帯電防止層の上層に金メッキした粒子を含有するハードコートを設けると、塵埃除去性の改良効果が著しいことが分かった。
実施例4
実施例3の帯電防止層用塗布液(AS−2)とハードコート層用塗布液(HC−1)〜(HC−8)を塗布し硬化させた試料の上に、実施例1及び2で使用した低屈折率層用塗布液(Ln−1)〜(Ln−17)を塗布し硬化させた試料を作製した。実施例1と同様に鹸化を行い、実施例1に準じて評価を行った結果、本発明の試料は、低反射で塵埃除去性に優れ、SW耐性、耐水滴付着性、オゾン暴露後の水綿棒限界荷重の高いことが確認された。
実施例5−1及び比較例5−1〜5−3
〔無機微粒子の調製〕
調製例10−無機微粒子(Pc−10)の調製
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.17質量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として0.83質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23一次粒子分散液を調製した。
この一次粒子分散液500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、濃度0.5質量%の硫酸アンモニウム53,200gを添加し、ついでSi
2として濃度1.17質量%の珪酸ナトリウム水溶液3,000gとAl23としての濃度0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9,000gを添加して複合酸化物微粒子(1)の分散液を得た。
ついで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった複合酸化物微粒子(1)の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離して固形分濃度20質量%のシリカ系微粒子(Pc−10H)分散液とした。限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して固形分濃度20質量%とし、無機微粒子(Pc−10)分散液とした。
調製例11−無機微粒子(Pc−11)の調製
[アンチモン酸の調製]
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85質量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5質量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35質量%)32.8gを純水110.7gで希釈した水溶液を9時間で添加(0.1mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後11時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk−216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.1、電導度は2.4mS/cmであった。
ついで、上記で調製したシリカ系微粒子(Pc−10H)分散液を固形分濃度1質量%に希釈した分散液400gに固形分濃度1質量%のアンチモン酸40gを加え、70℃で10時間撹拌し、限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子分散液を調製した。この酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径は60nm、酸化アンチモン被覆層の厚さは2nmであった。
この酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子分散液100gに純水300gとメタノール400gを加え、これに正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)3.57gを混合し、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子分散液を調製した。この分散液を限外濾過膜を用い、エタノールにて溶媒置換するとともに固形分濃度20質量%になるまで濃縮し、無機微粒子(Pc−11)分散液を得た。
調製例11−無機微粒子(Pc−12)の調製
無機微粒子(Pc−11)の調製において、使用する固形分濃度1質量%のアンチモン酸の量を40gから240gに増量した以外は無機微粒子(Pc−11)と同様にしてシリカ被覆層を形成し、表面処理した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(Pc−12)を調製した。なお、シリカ被覆層の形成と表面処理前における酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(Pc−12)の平均粒子径は64nm、酸化アンチモン被覆層の厚さは3nmであった。
[無機微粒子の評価]
この様にして得られた粒子を用い実施例1で行った評価に加え、更に以下の評価を行った。
(評価4:体積抵抗値の測定)
内部に円柱状のくりぬき(断面積:0.5cm2)を有するセラミック製セルを用い、まず、架台電極上にセルを置き、内部に試料粉体0.6gを充填し、円柱状突起を有する上部電極の突起を挿入し、油圧機にて上下電極を加圧したペレットを作成した。100kg/cm2加圧時の抵抗値(Ω)と試料の高さ(cm)を測定し、抵抗値に高さを乗することによって体積抵抗値を算出した。
評価結果を表14に示す。
Figure 2006259703
中空のシリカ粒子の表面を酸化アンチモンで被覆することで、吸着水量が減少した無機微粒子が得られることが分かる。
{無機微粒子分散液(A−10)の調製}
調製例10で作製した中空シリカ微粒子(Pc−10)のゾル500部(シリカ濃度20%、エタノール分散液)対して、シリカの含量がほぼ一定となるようにイソプロピルアルコールを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。このようにして得られたシリカ分散液(シリカ濃度20%)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}10部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水3部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにシリカの含量がほぼ一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20hPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた無機微粒子分散液(A−10)のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
{無機微粒子分散液(A−11)(A−12)の調製}
前記無機微粒子の調製で作製した(Pc−11)および(Pc−12)についても、無機微粒子分散液(A−10)の調製に準じて処理を行い、無機微粒子分散液(A−11)および(A−12)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−18)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー(特開平11−189621公報実施例1に記載の含フッ素含シリコーン熱硬化ポリマー)4.48g、硬化剤(サイメル303;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)1.13g、硬化触媒(キャタリスト4050;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.11g、無機微粒子分散物(A−11)(酸化アンチモン被覆シリカ粒子、平均粒径60nm、無機微粒子+表面処理剤の固形分濃度20%、)20.0g、ゾル液a1.4gおよびメチルエチルケトン118gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(Ln−18)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−19)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−18)の調製において、無機微粒子分散物を(A−10)に変更した以外は(Ln−18)と同様にして、低屈折率層用塗布液(Ln−19)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−20)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−18)の調製において、無機微粒子分散物を(A−9)に変更した以外は(Ln−18)と同様にして、低屈折率層用塗布液(Ln−20)を調製した。
〔反射防止フイルム501の作製〕
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}上に、上記ハードコート層用塗布液(HC−5)を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度15m/分の条件で塗布し100℃で150秒乾燥した後、窒素パ
ージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚5.0μmのハードコート層を作製した。
該ハードコート層上に上記低屈折率層用塗布液(Ln−18)を用いて、低屈折率層膜厚が90nmになるように調節して、反射防止フィルム試料(501)を作製した。低屈折率層の乾燥条件は90℃、150秒とし、その後100℃、10分の熱硬化を行った。その後、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量で紫外線硬化を行った。硬化後の低屈折率層の屈折率は1.43であった。
[反射防止フィルム(502)〜(503)の作製]
反射防止フイルム(501)の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln−18)を用いる代わりに、低屈折率層用塗布液(Ln−19)、(Ln−20)を用いる以外は反射防止フィルム(501)と同様にして、反射防止フィルム(502)〜(503)を作製した。
[反射防止フィルム(504)の作製]
反射防止フイルム(501)の作製において、ハードコート層の厚みを3.8μmになるように変更する以外は(501)と同様にハードコートフイルムを作製した。
該ハードコート層上に上記帯電防止層用塗布液(AS−1)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚1.2μmの帯電防止層を作製した。
このようにして得られた帯電防止層の上に上記低屈折率層用塗布液(Ln−20)を用いて、低屈折率層膜厚が90nmになるように調節して、反射防止フィルム試料(504)を作製した。乾燥・硬化条件は(501)と同様に行った。
得られた反射防止フィルム(501)〜(504)の各層の構成について、表15に示す。試料(501)は、低屈折率層が帯電防止層を兼ねる本発明の構成である。
Figure 2006259703
得られた反射防止フィルムを用い、実施例1に準じた評価を行った。評価結果を表16に示す。
Figure 2006259703
表16に示される結果より、以下のことが明らかである。
吸着水量の多いシリカの表面を酸化アンチモンで被覆することにより吸着水量を低下させた粒子(Pc−11)を低屈折率層に用いた試料(501)は、表面抵抗が低く、塵埃の除去性が充分であり、低反射で耐擦傷性に優れた反射防止膜が得られる。また、低屈折率層と帯電防止層を兼ねる構成であり、構成層数が少なく、反射防止フイルムの生産性に優れる。
実施例6
〔帯電防止層用塗布液(AS−3)の調製〕
上記無機微粒子分散液(A−12)110部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}8部、重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}0.8部を添加して撹拌した。このようにして帯電防止層用塗布液(AS−3)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.54であった。
[反射防止フィルムの作製]
実施例3−1〜3−8の反射防止フイルムの作製において、帯電防止層用塗布液の種類を(AS−2)から(AS−3)に変更し、硬化後の帯電防止層の膜厚が1.5μmになるように調節した。その後実施例3−1〜3−8と同様にハードコート層及び低屈折率層を塗設して反射防止膜を作製した。
実施例3に準じた評価を行った結果、表面抵抗が更に低い反射防止膜が得られ、水滴付着跡、SW耐擦傷性、オゾン暴露後の水綿棒耐性に優れることが分かった。
<反射防止フィルム付き偏光板の作製>
実施例7
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次ぎに、実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルムの支持体側(トリアセチルセルロース)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA 12B」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。この偏光板状態で実施例1に準じた評価を行った結果、微細空孔を含む層を低屈折率層として設け、吸着水量の少ない多孔質又は中空の無機微粒子を含有し、ΔEが0.45以下であり、帯電防止層を有する、本発明の反射防止フィルムは、反射率が低く水滴付着跡が改良されることが分かった。
実施例8
実施例1〜4の反射防止フィルム試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。また、吸着水量の少ない多孔質又は中空の無機微粒子を含有する試料は水滴跡が改良されていることが確認された。

Claims (8)

  1. 微細空孔を含む層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であり、且つ該微細空孔を含む層と同一層あるいは異なる層である帯電防止層を有することを特徴とする、反射防止フィルム。
  2. 微細空孔を含む層のうちの少なくとも1層が、多孔質または中空の、無機微粒子を少なくとも1種含有する請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 無機微粒子の少なくとも1種が、吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが5〜100nmである請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 中空の無機微粒子が中空シリカ微粒子であり、該中空シリカ微粒子の屈折率が1.40以下である請求項2又は3に記載の反射防止フィルム。
  5. 無機微粒子の表面が、導電性の化合物で被覆されている請求項2〜4に記載の反射防止フイルム。
  6. 反射防止フィルムが、微細空孔を含む層と同一層あるいは異なる層である低屈折率層を含み、且つ該低屈折率層がフッ化アルキル部及びジアルキルシロキサン部の少なくともいずれかを有する成分を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 偏光膜と保護フィルムからなる偏光板であって、請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルムを保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は請求項7に記載の偏光板を有することを特徴とする、画像表示装置。
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