次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
まず、本発明の第一の態様である流動性媒体の流れ評価方法は、粉体を含む流動性媒体の流れを、流動性媒体と異なる少なくとも一種類のトレーサー及び流動性媒体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収される電磁波を用いて、評価する。本発明の第一の態様である流動性媒体の流れ評価方法によれば、粉体を含む様々な流動性媒体の流れを評価することが可能な流動性媒体の流れ評価方法を提供することができる。
また、本発明の第二の態様である流動性媒体の流れ評価装置は、上記の流動性媒体の流れ評価方法を実行する手段を含む。すなわち、流動性媒体の流れ評価装置は、粉体を含む流動性媒体の流れを、流動性媒体と異なる少なくとも一種類のトレーサー及び流動性媒体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収される電磁波を用いて、評価する手段を含む。本発明の第二の態様である流動性媒体の流れ評価装置によれば、粉体を含む様々な流動性媒体の流れを評価することが可能な流動性媒体の流れ評価装置を提供することができる。
さらに、本発明の第三の態様である流動性媒体の流れ評価プログラムは、上記の流動性媒体の流れ評価方法をコンピュータに実行させる。すなわち、流動性媒体の流れ評価プログラムは、粉体を含む流動性媒体の流れを、流動性媒体と異なる少なくとも一種類のトレーサー及び流動性媒体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収される電磁波を用いて、評価する手順をコンピュータに実行させる。本発明の第三の態様である流動性媒体の流れ評価プログラムによれば、粉体を含む様々な流動性媒体の流れを評価することが可能な流動性媒体の流れ評価プログラムを提供することができる。なお、本発明の第三の態様である流動性媒体の流れ評価プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。
ここで、粉体を含む流動性媒体は、流れの評価の対象であり、粉体のみからなる流動性媒体並びに粉体及び流体の両方からなる流動性媒体を含む。粉体(粉末)は、1mmよりも小さい(平均)直径を有する複数の固体粒子の集合体又は凝集体である。流体は、液体及び気体並びに液体及び気体の混合物を含む。粉体及び流体を含む流動性媒体は、流動性媒体に照射される電磁波を透過する性質を有する材料からなる。ここで、流動性媒体が、粉体であるときには、粉体の流れを評価することができる。例えば、粉体が、トナーを含む現像剤である場合には、現像剤(を含む流動性媒体)の流れを評価することができる。
また、少なくとも一種類のトレーサーは、流動性媒体の流れの評価に使用するためのものであって、流動性媒体と異なる。少なくとも一種類のトレーサーは、流動性媒体に照射される電磁波の少なくとも一部を吸収する性質を有する材料を含む。
トレーサーとしては、例えば、流動性媒体に照射される電磁波が、エックス線であるときには、トレーサーとしてエックス線を吸収することが可能な金属を用いることができる。エックス線を吸収することが可能な金属としては、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、タングステン(W)、水銀(Hg)などが挙げられる。なお、トレーサーの材料の吸収端が、流動性媒体用の容器の材料の吸収端と近似する場合には、トレーサーによるエックス線の吸収と流動性媒体用の容器の材料によるエックス線の吸収とを明確に区別するため(トレーサーと背景とのコントラストを向上させるため)、トレーサーの材料を、流動性媒体用の容器の材料の吸収端と異なる吸収端を備えた材料に変更することが好ましい。
さらに、電磁波は、流動性媒体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収される電磁波である。電磁波としては、例えば、紫外線(1nmを超える400nm以下の波長を備えた電磁波)、エックス線(0.1nm以上1nm以下の波長を備えた電磁波)、ガンマ線(0.1nm未満の波長を備えた電磁波)などが挙げられる。しかしながら、電磁波が、流動性媒体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収されるのであれば、電磁波は、特に限定されず、例えば、可視光(780nm以上400nm未満の波長を備えた電磁波)であってもよい。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、好ましくは、電磁波は、エックス線である。この場合には、流動性媒体に対するエックス線の透過率は、一般的に、流動性媒体に対する紫外線の透過率よりも高い傾向があるため、より多くの種類の流動性媒体の流れを評価することができる。また、エックス線のエネルギーは、ガンマ線のエネルギーよりも低いため、エックス線の使用は、ガンマ線の使用よりも安全である。また、ガンマ線の使用は、ガンマ線を密閉する空間を管理する必要があるため、エックス線の使用は、ガンマ線の使用よりも低コストである。なお、エックス線は、特性エックス線であってもよく、フィルタなどを使用して得られる(特性エックス線を含んでもよい)連続エックス線の一部であってもよい。エックス線が、(特性エックス線を含んでもよい)連続X線の一部である場合には、高い輝度のエックス線を比較的容易に得ることができる。特性エックス線を使用する場合には、十分な輝度のエックス線を得るために、放射光施設によって発生させた高輝度の特性エックス線を用いることが好ましい。
ここで、好ましくは、エックス線の波長は、少なくとも一種類のトレーサーの少なくとも一つの吸収端の波長を含む。トレーサーの吸収端は、トレーサーの材料に固有である。この場合には、その少なくとも一つの吸収端の波長を備えたエックス線が、その少なくとも一つの吸収端を備えた少なくとも一種類のトレーサーに高い効率で吸収される。少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体のエックス線による画像において、吸収端の波長を備えたエックス線を透過させる流動性媒体の像と、その吸収端の波長を備えたエックス線を高い効率で吸収するその吸収端を備えたトレーサーの像とのコントラスト(画像の濃度分布のS/N)を向上させることができる。その結果、流動性媒体の流れと共に移動するトレーサーの対応付けの精度を向上させることができる。また、吸収端を備えたトレーサーが、その吸収端の波長を備えたエックス線を高い効率で吸収するので、流動性媒体に照射するその吸収端の波長を含むエックス線の強度を、低減させることができる。なお、少なくとも一種類のトレーサーの少なくとも一つの吸収端の波長を含むエックス線は、その吸収端を備えたトレーサーの材料と同じ材料を、エックス線の発生源のターゲットとして用いればよい。
加えて、流動性媒体の流れを評価することは、流動性媒体の流れを定性的に観察すること及び流動性媒体の流れを定量的に計測することの両方を含む。
このように、本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、粉体を含む流動性媒体の流れを追跡する、流動性媒体と異なる少なくとも一種類のトレーサーに対して、流動性媒体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収される電磁波を適用する。このとき、電磁波は、流動性媒体を透過するが、少なくとも一種類のトレーサーに吸収されるので、流動性媒体及び少なくとも一種類のトレーサーと相互作用した電磁波によって、少なくとも一種類のトレーサーの流れを得ることができる。そして、電磁波によって得られた少なくとも一種類のトレーサーの流れを、流動性媒体の流れとして評価することができる。
また、本発明による流動性媒体の流れ評価方法等によれば、少なくとも一種類のトレーサー及び流動性媒体を透過する電磁波を使用することによって、可視光によって内部を観察することができない粉体を含む流動性媒体の流れを評価することができる。例えば、電子写真装置内における有色の現像剤の流れを計測することができる。さらに、流動性媒体の搬送、輸送、攪拌、分散等が行われる装置内における流動性媒体の流れを評価することができる。例えば、電子写真装置における現像剤の現像挙動、電子写真装置の現像器内における現像剤の攪拌及び分散の挙動等を計測することができる。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、好ましくは、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に電磁波を照射し、電磁波によって形成される少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得し、画像を用いて粉体を含む流動性媒体の流れを評価することを含む。よって、本発明による流動性媒体の流れ評価装置は、好ましくは、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に電磁波を照射する手段、電磁波によって形成される少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得する手段、及び画像を用いて粉体を含む流動性媒体の流れを評価する手段を含む。また、本発明による流動性媒体の流れ評価プログラムは、好ましくは、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に電磁波を照射する手順、電磁波によって形成される少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得する手順、及び画像を用いて粉体を含む流動性媒体の流れを評価する手順をコンピュータに実行させることを含む。
上記の電磁波を照射する手段としては、使用する電磁波の波長に依存して、少なくとも電磁波の発生源を含む公知の電磁波を照射する手段を用いることができる。電磁波の発生源としては、電磁波が、紫外線である場合には、低圧水銀ランプ、キセノンランプなどを用いることができる。また、電磁波が、エックス線である場合には、公知のエックス線管などを用いることができる。さらに、電磁波が、ガンマ線である場合には、そのガンマ線を放出する放射性同位体を用いることができる。
画像を取得する手段としては、使用する電磁波の波長に依存して、公知の撮像手段を用いることができる。電磁波が、紫外線である場合には、銀塩フィルム、光電子増倍管などを用いることができる。また、電磁波が、エックス線である場合には、X線フィルム、イメージングプレート、イメージインテンシファイアーなどを用いることができる。なお、イメージインテンシファイアーで得られた可視化された画像を、銀塩フィルム及びCCDなどに受光してもよい。さらに、電磁波が、ガンマ線である場合には、放射線検出器を用いることができる。
流動性媒体の流れを評価する手段としては、市販のコンピュータなどを用いることができる。また、流動性媒体の流れを評価する手段としてのコンピュータには、本発明による流動性媒体の流れ評価プログラムを実行させてもよい。
この場合には、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像に基づいて、粉体を含む様々な流動性媒体の流れを評価することができる。よって、得られた流動性媒体の画像を目視によって観察するのみならず、得られた流動性媒体の画像を適切に処理することによって、流動性媒体の流れの定量的な評価をすることができる。また、得られた流動性媒体の画像の誤差(歪み、移動誤差など)を修正することによって、流動性媒体の流れを、より正確に評価することができる。
図1は、本発明による流動性媒体の流れ評価装置及び方法の例を説明する図である。図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法においては、電磁波としてエックス線を用いる。エックス線を発生させる手段としてのエックス線発生装置1は、エックス線管であり、エックス線管内のターゲット材料を変更することによって、種々の特性エックス線を発生させることができる。ここでは、ターゲット材料として銅(Cu)を用いる。エックス線発生装置1から発生する特性エックス線(K線)のエネルギーは、約8.98keVである。
この特性エックス線を流動性媒体3に照射する。この流動性媒体3は、粉体4及びトレーサー5を含む。粉体4は、カラー樹脂トナーなどのような、可視光を全く透過せず、その内部の状態を観察することができない材料からなる。また、トレーサー5は、銅からなる粒子のトレーサーであり、流動性媒体3内で粉体4と共に流れている。粒子のトレーサー5は、粉体4よりも十分小さい。主成分が樹脂である粉体4は、ほぼすべてのエックス線の波長領域における電磁波を透過させる。一方、粒子のトレーサー5は、ほぼすべてのエックス線の波長領域における電磁波を吸収する。よって、流動性媒体3を透過した特性エックス線の像において、粉体4は、特性エックス線の像の背景として撮像され、粒子のトレーサ5は、特性エックス線の像の背景における明確に黒色の像として撮像される。
また、特性エックス線の照射方向において、流動性媒体3に対してエックス線発生装置1の反対側にイメージインテンシファイヤー6が設けられている。流動性媒体3における粒子状のトレーサー5の位置情報を有する流動性媒体3を透過した特性エックス線の像は、イメージインテンシファイヤー6に入力される。イメージインテンシファイヤー6は、内部における電界の強さを制御することができるガラスの真空管を有する。そして、ガラスの真空管の一端には、入射するエックス線に対して電子を放出するでに電子放出器が設けられ、ガラスの真空管の他端には、管内で発生した電子のエネルギーによって蛍光を放出する蛍光板が設けられている。流動性媒体3を透過した特性エックス線の像は、イメージインテンシファイヤー6の電子放出器に入射し、一旦、電子像に変換される。そして、その電子像は、ガラスの真空管内の電界によって集束及び増幅させられ、蛍光板上に投射される。蛍光板に投射された電子像は、蛍光板に塗布された蛍光材によって、可視光の像に変換される。この可視光の像は、回転鏡7等の光学系を通じて、CCDカメラ8の受光面に導かれる。なお、図1においては、イメージインテンシファイヤー6、回転鏡7、及びCCDカメラ8が、画像を取得する手段に対応する。
さらに、流動性媒体3を透過した特性エックス線に対応する可視光の像は、時系列のデジタル化された画像として、パーソナルコンピュータなどの演算装置9に送られる。演算装置9は、流動性媒体の流れを評価する手段に対応する。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、好ましくは、トレーサーは、粒子であり、流動性媒体の流れと共に移動する粒子の位置の対応付けを行うことを含む。この場合には、トレーサーが、粒子であるため、複数種類のトレーサーを比較的容易に用いることができる。また、粉体のみからなる流動性媒体の流れを比較的容易に評価することができる。ここで、粒子は、粉体(粉末)を含む。また、流動性媒体の流れと共に移動する粒子の位置の対応付けを行うため、時間と共に変動する流動性媒体の流れの情報を得ることができる。より具体的には、複数の時刻で得られる少なくとも一種類の粒子のトレーサーを含む流動性媒体の複数の画像を取得し、複数の画像の間における粒子のトレーサーの位置を対応付ける。複数の画像の間で対応付けられた粒子のトレーサーの位置における変動から、粒子のトレーサーの流れと実質的に一致する流動性媒体の流れを評価することができる。
複数の画像の間における粒子のトレーサーの位置の対応付けは、例えば、公知のPTV(Particle Tracking Velocimetry)の方法によって達成される。
図2は、複数の画像の間における粒子のトレーサーの位置の対応付けを説明する図である。まず、複数の時刻における粒子のトレーサーを含む流動性媒体の複数の画像を取得する。図2に示すように、二つの画像Image An及びImage An+1は、所定の時間間隔だけ異なる二つの時刻に得られた粒子のトレーサを含む流動性媒体の画像である。ある時刻での画像Image Anにおける一つの粒子のトレーサーに対応する、別の時刻での画像Image An+1における一つの粒子のトレーサーを探索し、ある時刻での画像Image Anにおける一つの粒子のトレーサーを、別の時刻での画像Image An+1における一つの粒子のトレーサーに対応付ける。その結果、所定の時間間隔における一つの粒子のトレーサーの位置変動の情報を得ることができる。同様に、この操作を、二つの時刻に得られた複数の画像における複数の粒子のトレーサーの各々に対して行うことによって、所定の時間間隔における複数の粒子のトレーサーの流れの位置変動の情報を得ることができ、結果として、流動性媒体の流れを評価することができる。ある時刻での画像における複数の粒子のトレーサーと、別の時刻での画像における複数の粒子のトレーサーとの対応付けには、様々なアルゴリズムが用いられる。
まず、複数の粒子のトレーサーの対応付けに関する前処理として、トレーサーを含む流動性媒体の画像に含まれる複数の粒子のトレーサーの像について、粒子分離処理を行う。図3は、トレーサーを含む流動性媒体の画像に含まれる複数の粒子のトレーサーの像に対する粒子分離処理を説明する図である。図3に示すように、トレーサーを含む流動性媒体の画像には、複数の粒子のトレーサーの像が、二次元的に互いに重なり合っている場合がある。このような互いに重なり合った複数の粒子のトレーサーの像を、粒子のトレーサーの形状に基づいて、複数の個別の粒子のトレーサーの像に分離する。例えば、図3に示すように、複数の粒子のトレーサーが、球形の形状を有するとすれば、互いに重なり合った粒子のトレーサーの像を、別個の球形のトレーサーの像に分離することができる。
図4は、PTVによる複数の画像の間における粒子のトレーサーの対応付けに関するアルゴリズムの例を説明する図である。図4に示すように、二つの画像Image Bn及びImage Bn+1は、所定の時間間隔だけ異なる二つの時刻に得られた粒子のトレーサを含む流動性媒体の画像である。まず、ある時刻での画像Image Bnにおける一つの粒子のトレーサーPxに注目する。ある時刻での画像Image Bnにおける一つの粒子のトレーサーPxの周囲における、粒子のトレーサーPxとの距離が短い四つの粒子のトレーサーP1、P2、P3、P4を探索する。ここで、粒子のトレーサーPxとの距離は、探索される粒子のトレーサP1、P2、P3、P4の重心と粒子のトレーサーPxの重心との距離である。次に、別の時刻での画像Image Bn+1において、粒子のトレーサーPxに対応する粒子のトレーサの候補として、一つの粒子のトレーサーPx’を選択する。そして、一つの粒子のトレーサーPx’を中心とした所定の探索領域に含まれる、一つの粒子のトレーサーPx’との距離が短い四つの粒子のトレーサーP1’、P2’、P3’、P4’を探索する。なお、所定の探索領域は、任意に設定することができる。例えば、流動性媒体の流れが、層流であり、その流れの乱れの最大幅が、Rであるときには、一つの粒子のトレーサーPx’の位置を中心とした半径Rの円であってもよい。次に、式
に従って、数値ERを計算する。ここで、PxPiは、Pxの重心とPi(i=1,2,3,4)の重心との間の距離であり、Px’Pj’は、Px’の重心とPj’(j=1,2,3,4)の重心との間の距離である。そして、別の時刻での画像Image B
n+1における探索領域内に含まれる全ての候補粒子について数値ERを計算し、最小のERを与える粒子のトレーサーを、粒子のトレーサーPxに対応する粒子のトレーサーとする。同様に、この操作を、画像Image B
nにおける全ての粒子のトレーサーについて行う。
このアルゴリズムは、二つの画像が取得された時間間隔が十分に小さく、一つの画像における複数の粒子のトレーサーにおける相対的な位置が、ほとんど変化しないという仮定のもとで有効である。二つの時刻に得られた二つの画像における粒子のトレーサーが、対応付けられると、二つの画像にの間における粒子のトレーサーの位置に関する変位ベクトルが得られる。そして、この変位ベクトルを、二つの画像が取得された時間間隔で割ることによって、粒子のトレーサーの速度ベクトルを得ることができる。すなわち、その粒子のトレーサーにおける流動性媒体の流れの速度を求めることができる。異なる時刻に取得されった複数の画像における必要な複数の粒子のトレーサーについて速度ベクトルを求めることで、それらの複数の粒子のトレーサーを含む流動性媒体の流れの速度場を得ることができる。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、トレーサーは、液体又は粒子集合体であり、流動性媒体の流れと共に移動する液体又は粒子集合体の対応付けを行うことを含む。この場合には、トレーサーとして、液体又は粒子集合体を用いても、流動性媒体の流れと共に移動する液体又は粒子集合体の対応付けを行うため、時間と共に変動する流動性媒体の流れの情報を得ることができる。
なお、トレーサーとしての液体は、一種類の液体であることが好ましいが、互いに混合しない複数の液体を用いることも可能である。液体のトレーサーとしては、例えば、水銀などが挙げられる。また、粒子集合体は、トレーサーを含む流動性媒体の画像の分解能よりも小さい粒子(粉末)の集合体であり、擬似的に液状に観察される。粒子集合体のトレーサーとしては、例えば、現在のマイクロフォーカスエックス線観察装置の実用分解能が、1μm程度であるため、1μm以下の(平均)直径を備えた鉄の粉末などが挙げられる。
また、流動性媒体の流れと共に移動する液体又は粒子集合体の位置の対応付けを行うため、時間と共に変動する流動性媒体の流れの情報を得ることができる。より具体的には、複数の時刻で得られる少なくとも一種類の液体又は粒子集合体のトレーサーを含む流動性媒体の複数の画像を取得し、複数の画像の間における液体又は粒子集合体のトレーサーを対応付ける。複数の画像の間で対応付けられた液体又は粒子集合体のトレーサーの位置における変動から、液体又は粒子集合体のトレーサーの流れと実質的に一致する流動性媒体の流れを評価することができる。
複数の画像の間における液体又は粒子集合体のトレーサーの対応付けは、例えば、公知のPIV(Particle Imaging Velocimetry)の方法によって達成される。
図5は、本発明による流動性媒体の流れ評価装置及び方法の別の例を説明する図である。図5に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法は、図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と同様であるが、トレーサーが、銅からなる粒子のトレーサー5ではなく、水銀からなる液体のトレーサー13である点で図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と異なっている。図5において、水銀からなる液体のトレーサー13もまた、ほぼすべてのエックス線の波長領域における電磁波を吸収する。よって、流動性媒体3を透過した特性エックス線の像において、粉体4は、特性エックス線の像の背景として撮像され、液体のトレーサ13は、特性エックス線の像の背景における明確に黒色の像として撮像される。
図6は、PIVによる複数の画像の間における液体のトレーサーの対応付けに関するアルゴリズムの例を説明する図である。図6に示すように、二つの画像Image A及びImage Bは、所定の時間間隔だけ異なる二つの時刻に得られた液体のトレーサを含む流動性媒体の画像である。まず、ある時刻での画像Image A及び別の時刻での画像Image Bにおける所定の範囲の領域を、それぞれ、横方向にn個の領域に分割し、縦方向にm個の領域に分割する。すなわち、画像Image A及び画像Image Bにおける所定の範囲の領域は、n×m個の領域に分割される。画像Image Aにおける分割された領域の一つPij(i=1,2,…n:j=1,2,…m)及び画像Image Bにおける分割された領域の一つQij(i=1,2,…n:j=1,2,…m)の大きさは、それぞれ、流動性媒体の流れの最小単位程度の大きさであることが好ましいが、十分な数の画素を含むことも必要である。そして、ある時刻での画像Image Aにおける分割された領域の一つPijに注目する。次に、流体のトレーサーの流れの特性を考慮して、Image B中に探索領域を設定する。次に、画像Image Aにおける分割された領域の一つPijを、画像Image Bにおける分割された領域の一つQijに対応付ける。具体的には、画像Image Aにおける分割された領域の一つPijの画像の濃度Pij(i,j)及び画像Image Bにおける任意の分割された領域の一つQijの画像の濃度Qij(i,j)を取得し、式
に従って、数値ERを計算する。そして、別の時刻での画像Image Bにおける探索領域内に含まれる全ての分割された領域Q
ijについて数値ERを計算し、最小のERを与える画像Image Bにおける分割された領域を、画像Image Aにおける分割された領域の一つP
ijに対応する画像Image Bにおける分割された領域とする。このアルゴリズムは、二つの画像が取得された時間間隔が十分に小さく、一つの画像における液体のトレーサーにおける形状及び濃度分布が、ほとんど変化しないという仮定のもとで有効である。二つの時刻に得られた二つの画像における液体のトレーサーが、対応付けられると、画像Image Aにおける分割された領域の一つP
ijの重心と、P
ijに対応付けられた画像Image Bにおける分割された領域の一つQ
ijの重心を結ぶ、液体のトレーサーにおける一つの領域P
ijの変位ベクトルが得られる。そして、この変位ベクトルを、二つの画像が取得された時間間隔で割ることによって、液体のトレーサーにおける一つの領域P
ijの重心における速度ベクトルを得ることができる。すなわち、その液体のトレーサーにおける一つの領域P
ijの重心における流動性媒体の流れの速度を求めることができる。この操作を、画像Image Aにおける分割された領域の全てについて行うと、液体のトレーサーが存在する流動性媒体の領域における流動性媒体の流れの速度場を得ることができる。さらに、異なる時刻に取得された複数の画像における液体のトレーサーについて速度場を求めることで、異なる時刻における液体のトレーサーを含む流動性媒体の流れの速度場を得ることができる。なお、異なる時刻に取得された複数の画像を任意の形状に分割することが可能である。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、好ましくは、少なくとも一種類のトレーサーは、複数種類のトレーサーである。この場合には、電磁波が、複数種類のトレーサーによって吸収される。ここで、トレーサーによって吸収される電磁波の吸収率は、一般的に、トレーサーの種類によって異なる。よって、複数種類のトレーサーに電磁波を適用した場合、トレーサーの種類によって異なるトレーサーによる電磁波の吸収率の差によって、流動性媒体に含まれるトレーサーの種類を区別することができる。例えば、複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得した場合には、トレーサーの種類によって、トレーサーの像の濃度が異なる。流動性媒体に含まれるトレーサーの種類を区別することができるため、異なる時間に取得された複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像の間において、トレーサーの総数を変更することなく、得られる流動性媒体の流れに関する情報の数を維持し、トレーサーの対応付けをより容易にすると共により正確にすることができる。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、好ましくは、電磁波は、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を含む。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波が、少なくとも一種類のトレーサーによって吸収される。ここで、トレーサーによって吸収される電磁波の吸収率は、一般的に、電磁波の波長によって異なる。よって、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波をトレーサーに適用した場合、電磁波の波長によって、トレーサーによる電磁波の吸収を調整することができる。特に、電磁波の波長が、トレーサーの吸収端を含むときには、その吸収端を備えたトレーサーの吸収を向上させることができる。例えば、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得した場合には、電磁波の波長によって、トレーサーの像の濃度が異なる。
特に、本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、望ましくは、少なくとも一種類のトレーサーは、複数種類のトレーサーであり、且つ、電磁波は、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を含む。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を複数種類のトレーサーに適用することで、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーによる電磁波の吸収を選択的に調整することができる。
さらに、互いに異なる波長の複数の電磁波の一部又は全てが、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーの吸収端を含むことが望ましい。例えば、互いに異なる波長の複数の電磁波の一部が、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーの吸収端を含み、且つ、互いに異なる波長の複数の電磁波の残りが、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーの吸収端を含まなくてもよい。また、互いに異なる波長の複数の電磁波の全部が、それぞれ、複数種類のトレーサーにおける別個のトレーサーの吸収端を含んでもよい。これらの場合には、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーによる電磁波の吸収を選択的に向上させることができる。すなわち、流動性媒体に含まれるトレーサーの種類を、より明確に区別することができるため、異なる時間に取得された複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像の間において、トレーサーの総数を変更することなく、得られる流動性媒体の流れに関する情報の数を維持し、トレーサーの対応付けをさらに容易にすると共にさらに正確にすることができる。
例えば、二種類のトレーサー、それらトレーサーの一方の吸収端を含む電磁波及びそれらトレーサーの両方の吸収端を含まない電磁波を用いてもよい。それらトレーサーの一方の吸収端を含む電磁波を、二種類のトレーサーに照射すれば、その吸収端を備えたトレーサーの吸収のみを選択的に向上させることができ、二種類のトレーサーを明確に区別することができる。その結果、トレーサーの種類毎にトレーサーの対応付けを容易に行うことができ、トレーサーの対応付けの精度を向上させることができる。
同様に、二種類のトレーサー、それらトレーサーの一方の吸収端を含む電磁波及びそれらトレーサーの他方の吸収端を含む電磁波を用いてもよい。それらの電磁波を、二種類のトレーサーに別個に照射すれば、照射した電磁波に対応する吸収端を備えたトレーサーの吸収のみを選択的に向上させることができ、二種類のトレーサーを明確に区別することができる。その結果、トレーサーの種類毎にトレーサーの対応付けを容易に行うことができ、トレーサーの対応付けの精度を向上させることができる。
なお、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を、単一の電磁波の発生源から選択的に発生させてもよい。互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を、単一の電磁波の発生源から選択的に発生させるためには、例えば、単一の電磁波の発生源におけるターゲットの種類を変更すればよい。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を発生させるために、複数の電磁波の発生源を必要とせず、流動性媒体の流れ評価装置を小型化することができる。
また、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を、複数の電磁波の発生源から発生させてもよい。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を発生させるために、単一の電磁波の発生源から発生する電磁波を選択するための操作をする必要が無い。その結果、複数の電磁波の発生源による電磁波の発生を切り替えるだけで、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を、相対的に短い時間間隔で発生させることができる。
図7は、複数種類のトレーサーの材料としての金属によって吸収されるエックス線の質量吸収係数を説明する図である。図7に示すグラフにおいて、横軸は、トレーサーに照射されるエックス線のエネルギー(keV)の対数であり、縦軸は、エックス線に対するトレーサーの質量吸収係数(cm2/g)の対数である。なお、質量吸収係数は、エックス線に対するトレーサーの線減弱係数(1/cm)/トレーサーの密度(g/cm3)に等しい。また、トレーサーの材料としての金属は、鉄Fe、タングステンW、鉛Pb、又は銀Agである。図7に示すように、金属によるエックス線の吸収は、エックス線の波長(又はエネルギー)によって異なり、金属の種類によって、エックス線の吸収端が異なる。このように、複数種類の金属トレーサーを用いると共に特定の金属トレーサーの吸収端を含む波長を備えたエックス線を金属トレーサーに照射することで、複数種類の金属のトレーサーにおいてその特定の金属トレーサーの吸収を選択的に向上させることができる。その結果、複数種類の金属トレーサーにおいてその特定の金属トレーサーを明確に区別することができる。なお、複数種類の金属トレーサーを含む流動性媒体の画像においては、その特定の金属トレーサーの濃度を、他の金属トレーサーの濃度に対して大きく変化させることになる。その結果、異なる時刻に取得された画像における金属トレーサーの総数を増加させても、特定の金属トレーサーのみの対応付けを行うことによって、金属トレーサーの対応付けの誤差は、増加せず、金属トレーサーの対応付けを容易に且つ正確にすることができる。
図8(a)は、複数種類の直径100μmの球形粒子である複数種類のトレーサーによって吸収されるエックス線の相対吸収率を説明する図である。図8(a)に示すグラフにおいて、横軸は、トレーサーに照射されるエックス線のエネルギー(keV)の対数であり、縦軸は、直径100μmの球形粒子のトレーサーによって吸収されるエックス線の相対吸収率の対数である。また、トレーサーとしての直径100μmの球形粒子の金属材料は、鉄Fe、タングステンW、鉛Pb、又は銀Agである。図8(a)に示すグラフにおいて、縦軸の相対吸収率の基準については、鉛Pbの直径100μmの球形粒子によって吸収される10keVのエックス線の吸収量を1とした。
図8(b)は、複数種類のトレーサーとしての複数種類の直径100μmの球形粒子の中心を通過するエックス線の相対吸収率を説明する図である。図8(b)に示すグラフにおいて、横軸は、トレーサーに照射されるエックス線のエネルギー(keV)であり、縦軸は、トレーサーとしての直径100μmの球形粒子の中心を通過するエックス線の相対吸収率の対数である。また、トレーサーとしての直径100μmの球形粒子の金属材料は、鉄Fe、タングステンW、鉛Pb、銀Agである。図8(b)に示すグラフにおいて、縦軸の相対吸収率の基準については、鉛Pbの直径100μmの球形粒子によって吸収される20keVのエックス線の吸収量を1とした。
図8(a)及び(b)に示すように、金属によるエックス線の吸収は、エックス線の波長(又はエネルギー)によって異なり、金属の種類によって、エックス線の吸収端が異なる。このように、複数種類の金属トレーサーとしての直径100μmの球形粒子を用いると共に特定の金属からなる直径100μmの球形粒子の吸収端を含む波長を備えたエックス線を、複数種類の金属トレーサーとしての直径100μmの球形粒子に照射することで、複数種類の金属トレーサーとしての直径100μmの球形粒子において、その特定の金属からなる直径100μmの球形粒子の吸収を選択的に向上させることができる。その結果、複数種類の金属のトレーサーとしての直径100μmの球形粒子において、その特定の金属からなる直径100μmの球形粒子を明確に区別することができる。なお、複数種類の金属トレーサーとしての直径100μmの球形粒子を含む流動性媒体の画像においては、その特定の金属からなる直径100μmの球形粒子の濃度を、他の金属からなる直径100μmの球形粒子の濃度に対して大きく変化させることになる。その結果、異なる時刻に取得された画像における金属トレーサーとしての直径100μmの球形粒子の総数を増加させても、特定の金属からなる直径100μmの球形粒子のみの対応付けを行うことによって、直径100μmの球形粒子の対応付けの誤差は、増加せず、直径100μmの球形粒子の対応付けを容易に且つ正確にすることができる。
このように、エックス線の波長(又はエネルギー)を、複数種類のトレーサーにおける特定の金属材料からなるトレーサーの吸収端付近で変化させることによって、複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像における特定の金属材料からなるトレーサーの濃度を大きく変化させることができる。そして、流動性媒体の画像において、この特定の金属材料からなるトレーサーの濃度と大きく異なる濃度を備えた他の金属材料のトレーサーによる像を消去して、特定の金属材料からなるトレーサーの像のみを残す画像処理を行うことは、非常に容易である。例えば、鉄Fe、タングステンW、鉛Pb、又は銀Agからなる四種類のトレーサーを流動性媒体に混入し、流動性媒体に照射するエックス線の波長(又はエネルギー)を適切に変化させて、異なる時刻で四種類のトレーサーを含む流動性媒体の複数の画像を得る。そして、複数の画像の間で流動性媒体におけるトレーサーの対応付けを行うときには、画像におけるトレーサーの濃度差を用いた画像処理によって、特定の金属からなるトレーサー以外のトレーサーの像を消去し、特定のトレーサーの像のみを残す。得られた特定のトレーサーの像についてのみ、対応付けを行う。結果として、流動性媒体の流れの情報の総数に対応する、画像における四種類のトレーサーの総数を増加させても、より少ない数の特定のトレーサーの像に関する対応付けによって、トレーサーの像の対応付けの誤差は、増加せず、トレーサーの像の対応付けを容易に且つ正確にすることができる。
図9(a)及び(b)は、互いに異なるエネルギーを備えたエックス線を照射することによって得られた二種類の金属トレーサーを含む流動性媒体の画像における対応付けを説明する図である。図9(a)は、二種類の金属トレーサーを含む流動性媒体に60keVのエネルギーを備えたエックス線を照射することによって得られた異なる時刻における二つの画像を示す。図9(b)は、二種類の金属トレーサーを含む流動性媒体に80keVのエネルギーを備えたエックス線を照射すると共に相対的な濃度値0.5以上のトレーサー像を抽出することによって得られた異なる時刻における二つの画像を示す。図9(a)及び(b)において、二種類の金属トレーサーの材料は、銀(Ag)及びタングステン(W)である。『Wの100μmの吸収率を1』と正規化した場合、銀の100μmの吸収率は、60keVにおいて1.13(Wとほぼ同じ)、80keVにおいて0.316(Wの半分以下)である。よって、図9(a)に示すように、60keVのエネルギーを備えたエックス線を照射した場合には、銀のトレーサーによって吸収される60keVのエネルギーを備えたエックス線の吸収率と、タングステンのトレーサーによって吸収される60keVのエネルギーを備えたエックス線の吸収率がほぼ同じであるため、銀及びタングステンのトレーサーの両方は、画像において同程度の濃度を示す。よって、銀及びタングステンのトレーサーを正確に区別することは、容易ではなく、銀及びタングステンのトレーサーの両方を含むトレーサーの全部に対して対応付けをする必要があり、対応付けの誤差は、大きくなる。これに対して、図9(b)に示すように、80keVのエネルギーを備えたエックス線を照射した場合には、銀のトレーサーによって吸収される80keVのエネルギーを備えたエックス線の吸収率と、タングステンのトレーサーによって吸収される80keVのエネルギーを備えたエックス線の吸収率が異なるため、銀及びタングステンのトレーサーの両方は、画像において異なる濃度を示す。すなわち、銀のトレーサーは、0.5を超える相対的な濃度値を示す一方で、タングステンのトレーサーが、0.5未満の相対的な濃度値を示す。よって、画像において銀及びタングステンのトレーサーを容易に且つ正確に区別することができる。そして、画像において0.5以上の相対的な濃度値を示すトレーサーの像のみを、適当な公知の画像処理方法を用いて選択する(画像において0.5未満の相対的な濃度値を示すトレーサーを消去する)。すなわち、画像において0.5を超える相対的な濃度値を示す銀のトレーサーが、抽出される。その結果、銀のトレーサーに対してのみ対応付けをすることができるため、対応付けの誤差を、小さくすることができる。逆に、画像において0.5以下の相対的な濃度値を示すトレーサーの像のみを、適当な公知の画像処理方法を用いて選択すれば、タングステンのトレーサーに対しても対応付けをすることができる。
なお、銀及びタングステンのトレーサーを含む流動性媒体が、他の金属(例えば、Pb及び/又はFe)のトレーサーをさらに含む場合にも、互いに異なるエネルギーを備えた複数のエックス線を照射することによって得られるトレーサーの像の濃度差を用いて、トレーサーの種類を区別することができる。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、好ましくは、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波は、それぞれ、異なる時間に少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に照射される。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波が、それぞれ、異なる時間に少なくとも一種類のトレーサーによって吸収される。ここで、トレーサーによって吸収される電磁波の吸収率は、一般的に、電磁波の波長によって異なる。よって、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を、それぞれ、異なる時間にトレーサーに適用した場合、異なる時間に適用される電磁波の波長によって、トレーサーによる電磁波の吸収を調整することができる。特に、複数の電磁波における一部の電磁波の波長が、トレーサーの吸収端を含むときには、その吸収端を含む波長を備えた電磁波及びその吸収端を含まない波長を備えた電磁波が、異なる時間に、その吸収端を備えたトレーサーに適用される。その結果、その吸収端を含む波長を備えた電磁波が吸収されるときには、その吸収端を備えたトレーサーによる電磁波の吸収は、向上する。一方、その吸収端を含まない波長を備えた電磁波が吸収されるときには、その吸収端を備えたトレーサーによる電磁波の吸収は、低減される。よって、複数の電磁波が、適用される間に、その吸収端を備えたトレーサーによる電磁波の吸収を最適化することが可能となる。例えば、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得した場合には、異なる時間に照射される電磁波の波長によって、トレーサーの像の濃度を、最適化することが可能となる。
特に、本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、望ましくは、少なくとも一種類のトレーサーは、複数種類のトレーサーであり、且つ、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波は、それぞれ、異なる時間に少なくとも複数種類のトレーサーを含む流動性媒体に照射される。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を、異なる時間に複数種類のトレーサーに適用することで、複数種類のトレーサーにおける各々のトレーサーによる電磁波の吸収を、異なる時間に、選択的に最適化することが可能となる。例えば、複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得した場合には、異なる時間に照射される電磁波の波長によって、複数種類のトレーサーにおける各々のトレーサーの像の濃度を、異なる時間に、選択的に最適化することが可能となる。
さらに、互いに異なる波長の複数の電磁波の一部又は全てが、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーの吸収端を含むことが望ましい。例えば、互いに異なる波長の複数の電磁波の一部が、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーの吸収端を含み、且つ、互いに異なる波長の複数の電磁波の残りが、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーの吸収端を含まなくてもよい。また、互いに異なる波長の複数の電磁波の全部が、それぞれ、複数種類のトレーサーにおける別個のトレーサーの吸収端を含んでもよい。これらの場合には、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサーによる電磁波の吸収を、異なる時間に、十分に最適化することが可能となる。例えば、複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得した場合には、異なる時間に照射される電磁波の波長によって、複数種類のトレーサーにおける特定のトレーサー像の濃度を、異なる時間に、十分に最適化することが可能となる。
さらに好ましくは、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波は、それぞれ異なる時間に且つ少なくとも一回以上繰り返して、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に照射される。ここで、一回繰り返すことは、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波の各々を、一回ずつ、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に適用することを意味する。この場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波の各々が、異なる時間に少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に適用されると共に、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波が、少なくとも一回以上繰り返して、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に適用される。よって、例えば、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得した場合には、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波の各々一つを少なくとも一種類のトレーサーに照射して得られる複数の画像を、異なる時間に得ることができる。その結果、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波の各々一つを吸収する少なくとも一種類のトレーサーの流れに対応する流動性媒体の流れを評価することができる。
互いに異なる波長を備えた複数の電磁波が、エックス線である場合、少なくとも一回以上繰り返してエックス線を放出する手段としては、公知の様々な手段を用いることができる。例えば、エックス線のターゲットから放出されるエックス線を、鉛からなる物体によって繰り返し機械的に遮断する方法、溝が設けられたエックス線のターゲットを回転させる方法、エックス線を反射する反射膜を振動させてエックス線の照射方向を制御する方法、エックス線を反射する結晶の反射膜に電圧を印加して反射膜の結晶の原子間距離を変化させる方法などが挙げられる。
図10は、本発明による流動性媒体の流れ評価装置及び方法のまた別の例を説明する図である。図10に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法は、図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と同様であるが、複数のエックス線発生装置及び複数種類のトレーサーを採用すると共に複数のエックス線発生装置から放出されるエックス線を遮断することが可能なエックス線遮断機構を用いる点で、図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と異なっている。
図10において、流動性媒体3は、粒子のトレーサー5として、Fe、Ag、Pb又はWからなる四種類の直径100μmの粒子を含む。また、三つのエックス線発生装置1A、1B、1Cは、それぞれ、ターゲットとしてW、Ag、Pbを用いるエックス線管である。これら三つのエックス線発生装置1A、1B、1Cにおけるターゲットの大きさは、流動性媒体3に対して十分に小さく且つ十分に遠方にあるので、三つのエックス線発生装置1A、1B、1Cから放出されるエックス線は、概略平行光として、流動性媒体3に照射される。ターゲットとしてW、Ag、Pbを用いたエックス線管であるエックス線発生装置1A、1B、1Cに十分に大きい管電圧を印加すると、エックス線発生装置1A、1B、1Cにおけるターゲットの各々から、特性エックス線を含む連続エックス線が発生する。そして、三つのエックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する各W、Pb、AgのK吸収端の波長を備えた特性エックス線を、Si結晶等を用いたモノクロメータによって、連続エックス線から分光し、それらの特性エックス線を、流動性媒体3に照射する。
また、エックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する特性エックス線を遮断する又は通過させるエックス線遮断機構11は、三つの穴を有する十分原子番号の大きい材料(例えば、鉛)からなる遮蔽板を有している。遮蔽板は、ソレノイド機構を用いて一定の時間間隔(例えば、1/60秒、1/30秒)で振動しており、遮蔽板及び遮蔽板の穴は、それぞれ、エックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する特性エックス線を、遮蔽板の振動の時間間隔で、遮蔽する及び通過させる。また、遮蔽板の振動に従って、遮蔽板の三つの穴は、エックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する特性エックス線の一つを通過させると共に残りの二つを遮断するように、遮蔽板に形成される。なお、エックス線遮断機構11の振動は、演算装置9によって制御される。
図11は、図10に示す流動性媒体の流れ評価方法等における特性エックス線の照射及び特性エックス線による撮像の時間スケジュールを示す図である。図11の横軸は、時間を表す。図11に示すように、三つのエックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する各W、Pb、AgのK吸収端(W:69.5keV、Pb:88.0keV、Ag:25.5keV)の波長を備えた特性エックス線は、交互に繰り返して照射される。また、各特性エックス線は、繰り返しで、流動性媒体3に1/60秒間照射され、1/30秒間遮断される。一方、CCDカメラ8は、1/120秒の一定の時間間隔で、流動性媒体3の画像を撮像する。なお、CCDカメラ8による流動性媒体3の撮像のタイミングは、流動性媒体3に対する特性エックス線の照射のタイミングと同期している。
また、図12(a)、(b)及び(c)は、図10に示す流動性媒体の流れ評価方法を用いて、図11に示す時間スケジュールに従って撮像された粒子のトレーサーの画像を示す図である。図12における数字は、画像における対応するトレーサーの像の吸収率である。画像として得られる各トレーサーの濃度は、装置の条件によって異なるが、透過率(=1−正規化された吸収率)と一般的に表すことができる。ここでは、吸収率の差によって、各トレーサーを判定する概念について説明する。図11に示す時間スケジュールに従って撮像された粒子のトレーサーの画像を、それぞれ、N=n0,n1,n2,…と番号付けると、N=3m(m:整数)番目の画像におけるFe、Ag、Pb、及びWのトレーサーの吸収率を図12(a)に示す。また、N=3m+1番目におけるFe、Ag、Pb、及びWのトレーサーの吸収率を図12(b)に示し、N=3m+2番目におけるFe、Ag、Pb、及びWのトレーサーの吸収率を図12(c)に示す。
まず、図12(a)に示すように、N=3m番目の画像においては、Wのトレーサーの吸収率が、他の金属材料のトレーサーの吸収率よりも十分に大きい。よって、N=3m番目の画像においては、Wのトレーサーを、他の金属材料のトレーサーと容易に区別することができる。そして、N=3m番目の画像におけるWのトレーサーの像の流れを、対応付けによって評価することで、Wのトレーサーの位置に対応する流動性媒体の流れを評価することができる。
次に、図12(b)に示すように、N=3m+1番目の画像においては、PbとWのトレーサーを、他の金属材料のトレーサーと容易に区別することができる。また、N=3mの流れでWのトレーサーが特定できるので、その情報をあわせて、Wのトレーサーを特定することができる。よって、そして、N=3m+1番目の画像におけるWのトレーサーの像の流れを、対応付けによって評価することで、Wのトレーサーの位置に対応する流動性媒体の流れを評価することができる。
最後に、図12(c)に示すように、N=3m+2番目の画像においては、特にFeのトレーサーは、それぞれ、他より低い吸収率を有する。従って、N=3m、N=3m+1番目の画像から得られた情報により、Feのトレーサー及びAgのトレーサーを識別することができる。そして、N=3m+2番目の画像におけるFeのトレーサーの像の流れ及びAgのトレーサーの像の流れを、対応付けによって評価することで、Feのトレーサー及びAgのトレーサーの位置に対応する流動性媒体の流れを評価することができる。
ここで、CCDカメラ8による撮像は、1/60秒間隔で行われており、例えば、N=3m+1の画像の撮像時刻は、N=3mの画像の撮像時刻と1/60秒だけ異なる。図12(a)に示すように、N=3mの画像のみで、Pbのトレーサーを識別することができる。しかしながら、1/60秒後のN=3m+1の画像においては、Wのトレーサーの吸収率及びPbのトレーサーの吸収率は、類似するため、Wのトレーサー及びPbのトレーサーの識別が、十分ではないことがある。そして、流動性媒体におけるW及びPbのトレーサーの流れが速く、N=3m+1の画像の撮像時刻とN=3mの画像の撮像時刻との差が小さい場合には、N=3mの画像及びN=3m+1の画像間におけるWのトレーサー及びPbのトレーサーの変位が大きくなる。その結果、類似の画像の吸収率を備えたWのトレーサーの対応付け及びPbのトレーサーの対応付けの誤差が大きくなる可能性もある。
そこで、互いに異なる複数の波長を備えた電磁波を発生させる複数の電磁波の発生源の各々に対応する、電磁波による画像を取得する手段を設けることが好ましい。この場合には、複数の電磁波の発生源の各々から放射される複数の電磁波による画像を、所定の時間間隔で、一つの電磁波による画像を取得する手段で取得する必要がなく、複数の電磁波による画像の各々を、複数の電磁波の各々に対応する、電磁波による画像を取得する手段によって、同時に取得することができる。その結果、複数のトレーサーの流れが速い場合であっても、複数のトレーサーの各々について、画像における複数のトレーサーの像の変位は、小さく、複数の電磁波の各々を適用して得られた画像ごとに、複数のトレーサーの識別及び対応付けの精度を向上させることができる。
このように、流動性媒体が、高速で移動している場合に、トレーサーの変位が大きいため、画像におけるトレーサーの濃度差を用いても、トレーサーの対応付けが、困難であることもある。図13は、本発明による流動性媒体の流れ評価装置及び方法のさらに別の例を説明する図である。図13に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法は、図10に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と同様であるが、複数のエックス線発生装置及び複数種類のトレーサーを採用すると共に、エックス線遮断機構を設けずに複数のエックス線発生装置の各々に対応する、エックス線発生装置から発生するエックス線を取得する複数の光学系を有する点で、図10に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と異なっている。
図13においては、エックス線発生装置1A、1B、1Cに対応する光学系12A、12B、12Cが設けられている。各々の光学系は、例えば、イメージインテンシファイヤー及びCCDカメラ等を有してもよい。ここでは、エックス線発生装置1A、1B、1Cの各々に対応して、各々の光学系12A、12B、12Cが設けられているので、エックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する特性エックス線を、エックス線遮断機構を使用して、遮断する又は通過させる必要はない。光学系12A、12B、12Cの各々は、それぞれ、エックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する三つの特性エックス線による流動性媒体3の画像を同時に取得する。その結果、エックス線発生装置1A、1B、1Cから発生する三つの特性エックス線による流動性媒体3の画像の間で、流動性媒体3に含まれるトレーサー5の変位は、ほとんどなく、複数種類のトレーサーの識別及び対応付けの精度を向上させることができる。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等においては、少なくとも一種類のトレーサーは、複数種類のトレーサーであり、電磁波は、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波を含み、互いに異なる波長を備えた複数の電磁波は、少なくとも一種類のトレーサーの一つの吸収端の波長よりも短い波長を備えた第一の電磁波及びその吸収端の波長よりも長い波長を備えた第二の電磁波を含み、第一の電磁波によって形成される複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の第一の画像及び第二の電磁波によって形成される複数種類のトレーサーを含む流動性媒体の第二の画像に少なくとも減算処理を施して、複数種類のトレーサーを識別することを含む。
この場合には、二つの画像に減算処理を施すことによって、複数種類のトレーサーの識別を、より容易にすると共により正確にすることができる。特に、複数種類のトレーサーの像が、互いに重なり合っている場合にも、複数種類のトレーサーを識別することができる。さらに、複数種類のトレーサーの形状によらずに、複数種類のトレーサーの識別をすることができる。従って、複数種類のトレーサーの形状は、球形である必要はない。
図14は、エネルギーサブトラクション法によるトレーサーの識別を説明する図である。ここでは、エネルギーサブトラクションは、互いに異なる複数の波長を備えた複数のエックス線によって、トレーサーの画像を撮像し、複数のエックス線によって得られた複数の画像に減算処理を施すことによって、トレーサーの像を画像上で強調する技術である。例えば、図14に示すように、トレーサーを構成する材料が、材料Xであり、周囲のノイズ源となる物体(例えば、容器)の材料が、材料Yであるとする。材料X及び材料Yは、それぞれ、図14に示すような、エックス線のエネルギーに対するエックス線の吸収率を有するものとする。ここで、材料Xのトレーサー及び材料Yの物体に対して、材料Xの吸収端よりも小さいエネルギーAのエックス線及び材料Xの吸収端よりも大きいエネルギーBのエックス線を別個に照射すると共に、材料Xのトレーサー及び材料Yの物体の画像を取得する。Image Aは、材料Xの吸収端よりも小さいエネルギーAのエックス線によって得られた材料Xのトレーサー及び材料Yの物体の画像であり、Image Bは、材料Xの吸収端よりも大きいエネルギーBのエックス線によって得られた材料Xのトレーサー及び材料Yの物体の画像である。Image Aにおいては、エネルギーAのエックス線に対する材料Xのトレーサー及び材料Yの物体の吸収率は、ほぼ同等であるため、材料Xのトレーサー及び材料Yの物体の像が、ほぼ同等の濃度を有する。一方、Image Bにおいては、エネルギーBのエックス線に対する材料Xのトレーサーの吸収率は、エネルギーBのエックス線に対する材料Yの物体の吸収率よりも顕著に大きいため、材料Xのトレーサーの像の濃度も、材料Yの物体の像の濃度よりも顕著に高くなる。ここで、Image A及びImage Bに対して、デジタル画像処理演算によって減算処理(サブストラクション)を行うと、ImageBにおける濃度分布からImageAの濃度分布を差し引いたような画像ImageB−ImageAが得られる。すなわち、ImageB−ImageAにおいては、材料Yの物体の像の濃度は、非常に小さく、材料Xのトレーサーの像の濃度のみが高くなる。すなわち、ImageB−ImageAでは、ImageA及びImagebにおけるよりも材料Xのトレーサーの像が強調されている。このようにして、トレーサーの像を強調することで、トレーサーの対応付けの精度を向上させることができる。
本発明による流動性媒体の流れ評価方法等において、好ましくは、電磁波を、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体に対して複数の異なる方向から照射し、複数の方向に対して、電磁波によって形成される少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得し、複数の方向に対して取得された画像の対応付けを行うことを含む。この場合には、複数の方向に対して取得された画像の対応付けを行うことによって、流動性媒体の三次元的な流れを評価することが可能となる。
ここで、複数の異なる方向から照射される電磁波を、複数の電磁波の発生源から発生させてもよい。この場合には、電磁波の発生源を移動させる必要が無く、複数の方向に対して取得される複数の画像を、比較的短い時間差で取得することができ、比較的速い流動性媒体の三次元的な流れを評価することができる。
また、複数の異なる方向から照射される電磁波を、移動可能な電磁波の発生源から発生させてもよい。 さらに、少なくとも一種類のトレーサーを含む前記流動性媒体の全体を移動させ、少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の移動の前後に、電磁波によって形成される少なくとも一種類のトレーサーを含む流動性媒体の画像を取得し、移動の前後に取得された画像の対応付けを行うことを含む。これらの場合には、複数の電磁波の発生源を必要とせず、より小型の流動性媒体の流れ評価装置を提供することができる。
図15は、本発明による流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法の例を説明する図である。図15に示す流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法は、図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と同様であるが、二つの同一のエックス線発生装置1を用いる点で、図1に示す流動性媒体の流れ評価装置及び方法と異なっている。また、流動性媒体の画像を取得する手段としては、エックス線による流動性媒体の画像を可視化するために、イメージングプレート10を使用する。イメージングプレートの表面には、輝尽性蛍光体が塗布されており、この輝尽性蛍光体にエックス線が照射されると、エックス線のエネルギーが蓄積される。その後、イメージングプレートの輝尽性蛍光体にレーザー光等を照射すると、輝尽性蛍光体に蓄積されたエネルギーが、可視光として放射される。その結果、エックス線による流動性媒体の画像を可視化することができる。図15においては、イメージングプレート10は、(x,y,z)座標で、z=0のxy平面に対して平行に設置されている。また、二つのエックス線発生装置1におけるターゲットの位置は、それぞれ、(X,0,L)及び(−X,0,L)と設定する。ここで、ターゲットは、点状であり、ターゲットから放出される特性エックス線は、十分に平行光であるとする。このような図15に示す流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法を用いて、流動性媒体3の画像を取得する。
図16は、流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法を用いて得られる二つの画像を説明する図である。図16に示すように、二つのエックス線発生装置1から放射されるエックス線によって、流動性媒体3に含まれる粒子のトレーサー5の二つの像Image A及びImage Bが、イメージングプレート10に得られる。ここで、Image A及びImage Bにおけるトレーサー5の像は、前述の対応付けにより、同一のトレーサーである。すなわち、Image Aは、二つのエックス線発生装置1の一方から放射されるエックス線によって得られたトレーサーの像であり、そのトレーサーの像の二次元座標は、P1(x1,y1)であるとする。また、Image Bは、二つのエックス線発生装置1の他方から放射されるエックス線によって得られたトレーサーの像であり、そのトレーサーの像の二次元座標は、P2(x2,y2)であるとする。これらの二つの画像における同一のトレーサー5の座標P1(x1,y1)及びP2(x2,y2)並びに三角測量の原理を用いて、このトレーサー5の三次元的な真の位置(x,y,z)を、以下のような計算式
x=X(x1+x2)/(2X−(x1−x2))
y=2X×y1/(2X−(x1−x2))
z=(x1−x2)L/((x1−x2)−2X)
から得ることができる。このようにして、流動性媒体3におけるトレーサー5の三次元的な位置を得ることができる。そして、異なる時間において流動性媒体3の複数の画像を取得し、トレーサー5の三次元的な位置を用いて、トレーサー5の三次元的な流れを評価し、トレーサー5の位置に対応する流動性媒体3の位置における三次元的な流れを評価することができる。
また、二つの同一のエックス線発生装置1を用いる代わりに、単一の移動可能なエックス線装置を用いてもよい。まず、ある時刻に単一の移動可能なエックス線発生装置を、座標(X,0,L)に設置して、エックス線発生装置から放出されるエックス線による流動性媒体3の第一の画像を取得する。次に、その単一の移動可能なエックス線発生装置を、流動性媒体3の流れの速度に対して十分速い速度で、座標(−X,0,L)に移動させ、エックス線発生装置から放出されるエックス線による流動性媒体3の第二の画像を取得する。このようにして、上述したように、流動性媒体3におけるトレーサー5の三次元的な位置を得ることができる。
図17は、本発明による流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法の別の例を説明する図である。図17に示す流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法は、図15に示す流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法と同様であるが、単一のエックス線発生装置を用いると共にトレーサー5を含む流動性媒体3の全体を移動させる点で、図15に示す流動性媒体の三次元的な流れの評価装置及び方法と異なっている。より具体的には、トレーサー5を含む流動性媒体3の全体を含有する容器の全体を移動させる。ここで、トレーサー5を含む流動性媒体3の全体を移動させる速度は、流動性媒体3の流れの速度に対して十分速い速度で移動させる。また、トレーサー5を含む流動性媒体3の全体を移動させる際の加速度が、流動性媒体の流れに影響を与えないことが必要である。
図17においては、単一のエックス線発生装置1は、(x,y,z)座標において、(0,0,L)の位置に設置されている。そして、単一のエックス線発生装置1から放出されるエックス線を、トレーサー5を含む流動性媒体3の全体を含有する容器の移動の前後に、流動性媒体3に照射する。ここで、トレーサー5を含む流動性媒体3又はトレーサー5を含む流動性媒体3の全体を含有する容器における代表点を設定する。ただし、容器の移動の前後におけるその代表点のx座標が、X及び−Xであるように、代表点は、決定される。そして、トレーサー5を含む流動性媒体3の全体を含有する容器の移動の前後における流動性媒体3の二つの画像を、イメージングプレート10を用いて取得する。
イメージングプレート10上に得られた、容器の移動の前後における流動性媒体3の二つの画像が、図16に示すような二つの画像Image A及びImage Bであるとする。なお、二つの画像Image A及びImage Bにおけるトレーサー5の像は、対応付けによって、同一のトレーサーであるとする。Image Aにおけるトレーサー5の像の二次元座標P1(x1,y1)及びImage Bにおけるトレーサー5の像の二次元座標P2(x2,y2)並びに三角測量の原理を用いて、このトレーサー5の三次元的な真の位置(x,y,z)は、以下のような計算式
x=x1×X/(x2−x1)
y=y1×X/(x2−x1)
z=−X×L/(x2−x1)
から得ることができる。このようにして、流動性媒体3におけるトレーサー5の三次元的な位置を得ることができる。そして、異なる時間において流動性媒体3の複数の画像を取得し、トレーサー5の三次元的な位置を用いて、トレーサー5の三次元的な流れを評価し、トレーサー5の位置に対応する流動性媒体3の位置における三次元的な流れを評価することができる。
なお、本発明の発明者は、粉体(を含む流動性媒体)における、粉体の密度と大きく異なる密度を備えたトレーサーの流れが、粉体(を含む流動性媒体)の流れと実質的に一致することを発見し、本発明の第一、第二、及び第三の態様である流動性媒体の流れ評価方法、装置、及びプログラムを発明するに至った。
例えば、有色のトナーのような樹脂からなる有色の粉体の流れを計測するために、有色の粉体の内部に到達することが可能なX線及びX線を吸収することが可能な金属のトレーサー粒子を用いることが考えられるが、樹脂からなる粉体の密度と金属のトレーサー粒子の密度は、大きく(数十倍)異なる。このため、一般的には、樹脂からなる粉体の流れと金属のトレーサー粒子の流れは、大きく異なると予想される。
また、流体の流れの可視化については、流体の流れに対するトレーサーの追随性のガイドラインに関する研究(例えば(社)可視化情報学会編:PIVハンドブック(2002),pp.30−35.)は、行われてきたが、粉体の流れに対するトレーサーの追随性に関する研究は、粉体におけるトレーサーの流れが、粉体がトレーサーに及ぼす機械的力場によって、粉体の流れと大きく異なると予想されるため、現在までのところ行われていない。
驚くべきことに、発明の発明者は、樹脂からなる有色の粉体であるトナーの流れを、X線及び金属のトレーサー粒子を用いて計測し、樹脂からなる粉体であるトナーの流れと、金属のトレーサー粒子の流れとが、実質的に一致することを確認した。すなわち、本発明の発明者は、粉体を含む流動性媒体の流れを、流動性媒体と異なる少なくとも一種類のトレーサー及び粉体を透過すると共に少なくとも一種類のトレーサーに吸収される電磁波を用いて、評価することが可能であることを新たに見出した。
具体的には、本発明による流動性媒体の流れ評価方法等が適用され得る、電子写真装置内の現像器における(トナーの粉体である)現像剤の搬送を、複数種類の金属トレーサーを用いて評価した。ここで、複数種類の金属トレーサーは、それぞれ、タングステンからなる粒径8μmのトレーサー及び鉄からなる粒径50μmのトレーサーである。
図18(a)は、現像剤の搬送の評価に使用したスクリュー搬送式の現像器の概略図である。現像剤の搬送の評価に使用したスクリュー搬送式の現像器による現像剤のスクリュー搬送速度は、4.84mm/秒とした。また、現像剤は、平均粒子径8μm及び平均密度1200kg/m3のトナーの粉体であった。
図18(b)は、スクリュー搬送式の現像器によって搬送される、現像剤の搬送方向におけるタングステン及び鉄のトレーサーの移動度に関する測定結果を示す図である。図18(b)に示すグラフの横軸は、時間(秒)であり、縦軸は、トレーサーの移動距離(mm)である。本発明による流動性媒体の流れ評価方法等に従って、タングステン及び鉄のトレーサーの移動度を測定した。なお、現像剤(トナー)の移動度は、現像剤のトナーと異なる色のトナー(異色トナー)を現像剤に混入させ、現像剤の表面に露出した異色トナーの位置を測定して、現像剤の移動度を推定した。
図18(b)に示すように、タングステン及び鉄のトレーサーの移動度は、それぞれ、現像剤(トナー)の移動度とほぼ同一の傾向を示している。よって、少なくともスクリュー搬送方式の現像器における粉体の現像剤の搬送に関しては、トレーサーの流れ(搬送)は、粉体の現像剤の流れ(搬送)と実質的に一致することが確認された。よって、(一定の振動を与えるような場のような)特殊な機械的作用場を除き、トレーサーの流れは、粉体を含む流動性媒体の流れと概略一致し、本発明による流動性媒体の流れ評価方法等は、粉体を含む流動性媒体の流れに広く適用することができると言える。
次に、本発明による流動性媒体の流れ評価プログラムのアルゴリズムの例を説明する。この流動性媒体の流れ評価プログラムのアルゴリズムは、事前計測部、画像取得部、及び画像解析部を含み得るが、事前計測部を除く画像取得部及び画像解析部からなるアルゴリズムであってもよい。
<事前計測部>
(i)トレーサーとして使用するi種類のトレーサー(iは、トレーサーの種類の数であり、自然数である)を用意し、それぞれを質量順にT(1)〜T(i)とインデックスする。例えば、直径100μmのFe、W及びPbの3種類の粒子(i=3)を用意し、それぞれの粒子を、T(1)、T(2)、T(3)とする。
(ii)流動性媒体の流れの評価に使用する電磁波に対して、画像におけるT(1)〜T(i)のトレーサーの濃度を検出しておき、それらのトレーサーの濃度を、それぞれ、D(1)〜D(i)とする。トレーサーの濃度は相対値である。また、複数の波長を備えた複数の電磁波を用いる場合には、複数の電磁波の各々に対して、トレーサーの濃度を検出する。例えば、画像におけるT(1)(直径100μmのFe粒子)の濃度を計測し、その濃度の値をD(1)とする。
<画像取得部>
(i)粉体を含む流動性媒体の流れに、T(1)〜T(i)のトレーサーを混入させ、電磁波を照射させる。また、複数の波長を備えた複数の電磁波を用いる場合には、複数の電磁波の各々を照射させる。さらに、粉体を含む流動性媒体の流れを三次元的に評価する場合には、同一の電磁波を、流動性媒体に対して異なる方向から照射させる。
(ii)画像を取得する適当な手段に、T(1)〜T(i)のトレーサーを含む流動性媒体に電磁波を照射して得られる静止画像を、適当な時間間隔dt毎に取得させる。ここで、適当な時間間隔dtは、流動性媒体の流れの性質に依存して決定される。時間間隔dtが長いときには、画像解析部における全体の計算量は少なくなり、計算の高速化が達成され望る。しかしながら、流動性媒体の流れの変動が激しい場合、又は流動性媒体の流れが、複雑な流れ場を示す場合には、時間間隔dtを短くする必要がある。
(iii)時間間隔dt毎に取得された静止画像を、時系列にI(n)とインデックスする。nは、最初の静止画像に対する静止画像の番号である。例えばI(100)は、100番目に取得された静止画像である。その静止画像が取得された時刻は、最初の静止画像が取得された時刻が0であるとすると、100×dt経過後の時刻となる。
<画像解析部>
(i)流動性媒体の流れの情報を必要とする時間領域tを、t0≦t≦t1とする。
(ii)以下の1)〜4)の操作を、t0≦t≦t1の間に時間間隔dt毎に得られた静止画像に対して、繰り返す。
1)静止画像I(t)及びI(t+dt)に着目する。
2)静止画像I(t)及びI(t+dt)内におけるトレーサーの像に対してトレーサー粒子認識を行う。トレーサー粒子認識は、画像内にトレーサーとして認識される画像領域を定義することを意味する。トレーサー粒子認識には、公知の粒子認識アルゴリズムを利用することができる。例えば、8近傍連結成分のラベリング処理が挙げられる。また、トレーサーの形状及び大きさを、予め規定することができれば、粒子認識の精度を向上させることができる。トレーサー粒子認識によって、静止画像I(t)にx個のトレーサーが認識され、静止画像I(t+dt)にy個のトレーサーが認識されたとする。静止画像I(t)にx個のトレーサーを、P(1)〜P(x)とラベリングし、静止画像I(t+dt)におけるy個のトレーサーを、Q(1)〜Q(y)とラベリングする。
3)トレーサーP(1)〜P(x)及びQ(1)〜Q(y)の粒子画像平均濃度を算出し、粒子画像平均濃度のそれぞれをDP(1)〜DP(x)、DQ(1)〜DQ(y)とする。ここで、粒子画像平均濃度は、例えば、粒子認識で定義された粒子空間内に含まれる画像ピクセルの濃度の算術平均値である。
4)以下の操作a)〜d)を、1≦s≦xとなるsに対して行う。画像I(t)内の粒子P(s)に着目し、粒子P(s)に対応する画像I(t+dt)内に対応する粒子を以下の操作a)〜d)で見つける。ここで、粒子Pが粒子Qに対応するとは、画像I(t)内で認識された粒子Pが、流動性媒体の流れに従って移動し、画像(I+dt)において粒子Qとして撮影されることを意味する。
a)粒子P(s)のトレーサー種を判定する。
DP(s)−DP(i)の絶対値が最小となるiを備えたT(i)を、P(s)のトレーサーの種類とする。このiをaとする。
b)画像I(t+1)内に粒子P(s)に対応する粒子候補を選択する。そのひとつをQ(u)とする。粒子候補の選択は、例えば、画像I(t+dt)内の座標(P(s)x、P(s)y)を中心として、一定の距離しきい値である距離ds内に含まれる全粒子を候補とする。しきい値dsは、流れの性質によって定める。流動性媒体における解析空間内の流れの予想最大速度が、vである場合には、dsは、v×dt程度とする。次に、粒子Q(u)のトレーサーの種類を判定する。DQ(u)−DQ(i)の絶対値が最小となるiを備えたT(i)を、Q(u)のトレーサーの種類とする。このiをbとする。
c)Q(u)のP(s)に対する粒子対応指数ERを下記のように計算する。
ER=k×位置対応指数+(1−k)トレーサー種対応指数(kは、0以上1以下の重み付け係数とする。)
ここで、位置対応指数には、公知のPTVアルゴリズムを利用することができ、例えば、図4と共に説明した近傍4粒子距離判定アルゴリズムが挙げられる。周囲の粒子の状況が異なるほど、位置対応指数は大きくなる(候補の判定の可能性が下がる)。また、トレーサー種対応指数は、例えばa−bの絶対値と定義する。すなわちトレーサーの種類が一致すれば、トレーサー種対応指数は、0である。トレーサーの種類が異なると判定された候補粒子に対しては、そのトレーサーの質量の差が大きいほど、対応指数は、大きくなる(候補の判定の可能性が下がる)。
そして、最も小さいERを備えたQ(u)をP(s)の対応粒子と定義する。
d)P(s)及びQ(u)の重心座標を結ぶ位置ベクトルをもって、流動性媒体の座標(P(s)x、P(s)y)における流れのベクトルとする。ここで、P(s)x及びP(s)yは、それぞれ、粒子P(s)の重心のx座標及びy座標である。
(iii)適当な過誤ベクトル消去処理を行う。過誤ベクトル消去処理には、公知のアルゴリズムを利用することができる。例えば、流れの連続性を仮定した消去アルゴリズムである。
以上のようなアルゴリズムによって、時間t0≦t≦t1における流動性媒体の流れ場のベクトル情報を得ることができる。
なお、複数の波長を備えた複数の電磁波を用いる場合には、複数の電磁波の各々に対して画像解析部の操作を行う。また、流動性媒体の三次元的な流れを評価する場合には、二つの異なる方向から照射された電磁波による二つの画像の間で、トレーサー粒子の対応付けをさらに行う。
なお、本発明による流動性媒体の流れ評価方法、流動性媒体の流れ評価装置、及び流動性媒体の流れ評価プログラムは、粉体及び/又は流体を含む流動性媒体の全体に適用され得る。すなわち、本発明による流動性媒体の流れ評価方法、流動性媒体の流れ評価装置、及び流動性媒体の流れ評価プログラムは、粉体のみからなる流動性媒体並びに粉体及び流体の両方を含む流動性媒体のような、粉体を含む流動性媒体のみならず、粉体を含まない流動性媒体、すなわち、液体及び気体並びに液体及び気体の混合物のような、流体のみからなる流動性媒体などにも適用され得る。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。