JP2006257747A - 粉塵抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粉塵の飛散を効率的に抑制するとともに、作業効率を低下させたり作業環境や周辺環境を悪化させることのない粉塵抑制方法の提供。
【解決手段】投射ノズル13,21,35,45により起泡剤溶液を投射し、これを粉塵発生部位に衝突させて気泡を生成させる粉塵抑制方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は、建設工事現場や土木工事現場で行われるコンクリート塊の破砕作業等において発生する粉塵の飛散を抑制する方法に関する。
コンクリート構造物の解体作業現場でのコンクリート塊の破砕作業や、トンネル掘削現場での岩塊の機械掘削作業の際には、多量の粉塵が飛散して作業環境および工事現場の周辺環境を悪化させ、特に、焼却施設等の解体作業において発生する粉塵は、ダイオキシン類等の有害物質を含むこともあるので、従来より、粉塵の発生する部位の周辺に散水して、粉塵の飛散を抑制することが行われていた。
しかし、この方法では、多量の水が必要となるため水道料金コストが上昇し、また、多量の濁水が発生するので路盤が泥濘化してしまうとか濁水処理設備が必要になり、しかも、粉塵の飛散を十分に抑えることができずある程度の粉塵の飛散は避けることができないという問題があった。
このような問題を改善するものとして、図8に示すように、側面に空気取り入れ口1を開口させた円筒状の投射管本体部2の先端開口を塞ぐようにしてスクリーン積層体3を装着するとともに、その投射管本体部2の後端にスプレーノズル4を取り付けてなる粉塵抑制装置5を用いて気泡を投射する粉塵抑制方法が知られている(特許文献1)。
上記粉塵抑制装置5は、上記スプレーノズル4から噴出させた起泡剤溶液を、上記空気取り入れ口1から取り入れた空気とともに上記スクリーン積層体3を通過させることで気泡を生成し、この気泡を前方に投射するように構成されているもので、この粉塵抑制装置5を用いて行う粉塵抑制方法は、ブレーカによるコンクリート塊の破砕作業等の際に、気泡を投射して粉塵発生部位を被覆することにより、粉塵を捕捉してその飛散を抑制するものである。
特開2004-353218号公報
しかしながら、上記粉塵抑制装置5により生成される気泡の発泡倍率(生成した気泡の起泡剤溶液に対する体積比)は100〜150倍程度にもなるので(特許文献1段落0006参照)、これを投射すると粉塵発生部位周辺が気泡により過度に被覆され、かえってその部位が視認しづらくなり、したがって、正確な位置へ上記粉塵抑制装置5を向けて気泡を投射することが難しかったり、また、コンクリート塊を破砕するブレーカロッドの先端の視認が困難になるためその操作も難しくなり、作業効率が低下するという問題がある。
また、その気泡は発泡倍率が高く流動性が低いものであるから、破砕対象物に衝突してもその表面に速やかに広がりにくく、また、破砕対象物の亀裂内部へ速やかに浸透(湿潤)しないので、発生する粉塵を十分に捕捉しきれなかった。
しかも、その投射される気泡は、投射の過程で風により周囲に飛散しやすいし、また、粉塵発生部位に到達した後も暫く消滅しないものであるため、粉塵発生部位を被覆し粉塵を捕捉した気泡が風によって飛散しやすい。
したがって、飛散した気泡が作業員の皮膚に付着するとか、近隣住民の洗濯物に付着するなど作業環境や周辺環境を悪化させるおそれもある。
そこで本発明は、粉塵の飛散を効率的に抑制するとともに、作業効率を低下させたり作業環境や周辺環境を悪化させることのない粉塵抑制方法を提供することを課題とする。
請求項1記載の本発明粉塵抑制方法は、投射ノズル13,21,35,45により起泡剤溶液を投射し、これを粉塵発生部位に衝突させて気泡を生成させるものである。
請求項2記載の本発明は、上記投射ノズル21が、任意の方向に起泡剤溶液の投射を行えるようにしてマニュピレータ22に支持されている請求項1記載の粉塵抑制方法である。
請求項3記載の本発明は、上記投射ノズル35,45が、任意の方向に起泡剤溶液の投射を行えるようにして破壊機械に取り付けられている請求項1記載の粉塵抑制方法である。
請求項4記載の本発明は、上記投射ノズルが、任意の方向に起泡剤溶液の投射を行えるようにしてトンネル掘削機に取り付けられている請求項1記載の粉塵抑制方法である。
請求項5記載の本発明は、生成した上記気泡の発泡倍率が1.5〜10倍程度である請求項1,2,3または4記載の粉塵抑制方法である。
請求項6記載の本発明は、上記起泡剤溶液が起泡剤を0.1〜1%程度に希釈したものである請求項1,2,3,4または5記載の粉塵抑制方法である。
請求項7記載の本発明は、上記起泡剤が界面活性剤である請求項6記載の粉塵抑制方法である。
本発明粉塵抑制方法によれば、粉塵の飛散を効率的に抑制することができ、また、作業効率を低下させたり作業環境や周辺環境を悪化させることがない。
投射ノズル13,21,35,45により起泡剤溶液を投射し、これを粉塵発生部位に衝突させて気泡を生成させる粉塵抑制方法。
まず、本発明の実施例1に係る粉塵抑制方法について図1,2を参照しながら詳しく説明する。
10は、起泡剤溶液を収納する溶液タンク11と、その起泡剤溶液を圧送供給する高圧洗浄機等の高圧ポンプ12と、この高圧ポンプ12に給電する配電盤とを筐体10’に収納するとともに、この筐体10’に取り付けた車輪10”により移動可能になっているポンプユニットである。
上記高圧ポンプ12は、上記起泡剤溶液を、たとえば4.9MPaの圧力で、1分あたり31リットル圧送供給する能力を有するものである。
13は、一般的に高圧洗浄機に付属している、噴射口の開口径がたとえば2mmの手持ち式投射ノズルで、上記高圧ポンプ12から溶液タンク11内の起泡剤溶液の供給を受けこれを投射するものである。
上記起泡剤溶液は、界面活性剤(起泡剤)に多量の水を加え、これを0.1〜1%程度、好ましくは0.1〜0.5%に希釈したものである。
この起泡剤溶液は、湿潤(浸透)作用・分散作用・起泡作用・乳化作用・洗浄作用等、界面活性剤としての各種の作用を奏するもので、また、生分解性が高く残留による環境への影響が少ないものである。
本実施例の粉塵抑制方法は、コンクリート構造物の解体工事において、ブレーカロッド14を備えた破壊機械15でコンクリート塊16の破砕作業を行う際等に、作業員17によって次のようにして行われる(図1,2)。
すなわち、上記投射ノズル13を、粉塵が発生する部位、より具体的にはコンクリート塊16の上記ブレーカロッド14の先端が当接する部位に向け、この投射ノズル13から上記起泡剤溶液を、当該投射ノズル13内で空気と混合させることなく溶液状態のままで投射する。
投射ノズル13から投射された上記起泡剤溶液18は、気泡を生成しない溶液状態のままコンクリート塊16の粉塵発生部位に到達して、当該コンクリート塊16の表面を効率的に湿潤させながら流下するとともに亀裂19の内部等にも効率的に浸透し、粉塵発生部位周辺を直ちに被覆する(図2)。
このとき、コンクリート塊16の表面に衝突してで跳ね返った一部の起泡剤溶液は投射されてくる起泡剤溶液18の流れと再び衝突することにより空気と強制的に混合され気泡18’を生成する。
この気泡18’は、発泡倍率が1.5〜10倍程度で、従来の発泡倍率100〜150倍の気泡に比べ低発泡倍率で体積が小さく流動性の高いものである。また、その気泡径は1mm以内である。
上記のようにして生成した気泡18’は、投射されてくる上記起泡剤溶液18の流れに乗ってコンクリート塊16に到達し、その表面を効率的に覆いながら流下するとともに亀裂19の内部等へも効率的に浸透して、その粉塵発生部位周辺を直ちに被覆する。
粉塵発生部位周辺を被覆した上記起泡剤溶液18およびその起泡剤溶液の気泡18’は、ブレーカロッド14の打撃により発生する粉塵を直ちに界面吸着するとともにその中に分散させて捕捉するので、粉塵の周囲への飛散が効率的に抑制される。
この粉塵抑制方法では、従来の方法よりも発泡倍率の低い気泡を用いているから、従来のように粉塵発生部位が気泡によって過度に被覆されてしまうことがなく、コンクリート塊16の形状や、粉塵発生部位、また、ブレーカロッド14の先端の視認性が良く、作業効率を低下させることがない。
また、気泡を予め生成してこれを粉塵発生部位へ投射するのではなく、起泡剤溶液を気泡を生成していない状態のまま粉塵発生部位へ到達させるので、到達前に風により飛散してしまうことが起こりにくい。
さらに、上記気泡18’は、一旦粉塵発生部位に到達して粉塵を捕捉した気泡は短時間で速やかに消滅するので、従来のように粉塵発生部位を被覆している気泡が風により飛散してしまうことが起こりにくい。
したがって、従来のように作業環境や周辺環境を悪化させない。
なお、粉塵を抑制するのに必要な量の気泡18’を安定的に生成させるために、起泡剤溶液の投射距離に応じて、起泡剤の希釈率、高圧ポンプ12の圧力・吐出量、投射ノズル13の開口径等を適宜調整するのが好ましい。
上記のようなブレーカロッド14によるコンクリート塊16の破砕作業では、気泡18’の発泡倍率が1.5〜3倍程度になるように調整するのが最も好ましく、その場合、投射距離が1〜4mであれば起泡剤溶液の希釈率を0.2%程度、4〜7mであれば0.4%程度とし、また、溶液投射は30MPa以上の圧力で1分あたり10〜30リットル程度行うのが最適である。
従来行われていたように散水により粉塵を抑制する場合、たとえばコンクリート塊から3m程度の距離より散水する場合には1分あたり50リットル以上の水が必要となってしまう一方で、特にコンクリート塊の亀裂の内部へは水が直ちに浸透しないため、そこから発生する粉塵を効率的に捕捉することができず、これが飛散してしまう状況がたびたびみられたが、これに比べると、本発明の粉塵抑制方法は、使用する水量(起泡剤溶液量)が上記の通り少なくなるので、水道使用料を低減しつつ簡易な散水機器で実施できるとともに、排水処理量を減らしてコストを大幅に低減することができ、しかも、亀裂19の内部から発生する粉塵も十分捕捉するので粉塵抑制の効率が高い。
また、起泡剤溶液は界面活性剤であるから、コンクリート塊16に油等の汚れが付着しており散水によっては効率的に湿潤させることができない場合でも、粉塵発生部位周辺を効率的に湿潤させ粉塵の飛散を防止することができる。
本発明粉塵抑制方法は、上記のようなブレーカロッド、あるいはコンクリート破壊機等を備えた破壊機械によるコンクリート塊の破砕作業の際だけでなく、掘削工事におけるツインヘッダやブレーカによる掘削作業、自由断面トンネル掘削機による掘削作業その他の作業の際に飛散する粉塵の抑制を同様にして、すなわち起泡剤溶液を投射し、これを粉塵発生部位に衝突させて気泡を生成することによって、粉塵の飛散を効率的に抑制することができる。
なお、粉塵発生部位が広範囲となる場合には、起泡剤溶液をシャワー状に投射する投射ノズルを用いるのが好ましい。
次に、本発明の実施例2に係る粉塵抑制方法について図3,4を参照しながら説明する。
本実施例の粉塵抑制方法に用いる起泡剤溶液は上記実施例1と同じものであり、また、その起泡剤溶液を投射し、これを粉塵発生部位に衝突させて気泡を生成させることも上記実施例1と同じであるから、以下には主に上記実施例1と相違する点について説明する。
20は、実施例1のポンプユニット10と同一のポンプユニットである(同一箇所に同一符号を付した)。
21は、上記ポンプユニット20の高圧ポンプ12から溶液タンク11内の起泡剤溶液の供給を受けこれを投射する投射ノズルで、これはマニュピレータ22のスライダ23に取り付けられたノズル支持枠24に支持されている。
上記マニュピレータ22は、起立軸25に対して上下動および左右回動可能な上記スライダ23を備えるとともに、そのスライダ23に、シリンダ26の伸縮により当該スライダ23に対し上下に起伏する上記ノズル支持枠24を備えているものである。
上記投射ノズル21およびマニュピレータ22の上記スライダ23およびシリンダ26は、コントローラ27によって無線または有線で操作されるようになっており、これを適宜操作することで、上記投射ノズル21の向きを任意の方向に向けつつ、当該投射ノズル21からの起泡剤溶液の投射を行えるようになっている。
本実施例の粉塵抑制方法は、破壊機械28によるコンクリート塊29の破砕作業の際に、その破砕作業を行う場所の近傍に上記ポンプユニット20とマニュピレータ22を配置するとともに、作業員が上記コントローラ27によって、上記投射ノズル21およびマニュピレータ22を操作して粉塵発生部位に起泡剤溶液を投射するものである。
この粉塵抑制方法によれば、作業員は、破壊機械28の近傍で自ら投射ノズルを把持してこれを操作する必要がなく、離れた箇所からコントローラ27を操作して起泡剤溶液の投射を行えるから、破砕作業や掘削作業の事故防止に好ましい。
続いて、本発明の実施例3に係る粉塵抑制方法について図5,6を参照しながら説明する。
本実施例は、実施例2においてマニュピレータに取り付けられていた投射ノズルが、破壊機械に取り付けられている点においてその実施例2と異なるだけであるので、その相違する点についてのみ説明する。
30はブーム31の先端にブレーカロッド32を備えた破壊機械である。そのブーム31は、破壊機械本体33に対して起伏可能に取り付けられた基端ブーム31aと、その基端ブーム31aの先端に、これ対して起伏可能に取り付けられた中間ブーム31bと、その中間ブーム31bの先端に、これ対して起伏可能に取り付けられた先端ブーム31cからなるもので、その基端ブーム31aの先端付近の左右両側には、シリンダ34の伸縮等により上下および左右に回動可能にした投射ノズル35,35を取り付けてある。
この投射ノズル35,35は当該破壊機械30の運転席より操作され、任意の方向に向けつつ起泡剤溶液を投射できるようになっている。
36は、上記破壊機械30の近傍に配置された、上記実施例1のポンプユニット10と同一のポンプユニットであり、これは、上記投射ノズル35,35に、溶液供給管37を通じて起泡剤溶液を圧送供給するようになっている。
本実施例の粉塵抑制方法は、上記破壊機械30のブレーカロッド32によるコンクリート塊37の破砕作業の際に、上記投射ノズル35,35を操作して粉塵発生部位に起泡剤溶液を投射するものである。
この粉塵抑制方法によれば、破壊機械30の運転者が破砕作業と同時に粉塵抑制のための投射ノズル35,35の操作をも行える。
しかも、2つの投射ノズル35,35により起泡剤溶液を投射できるから、粉塵が広い範囲で発生するような場合にもその飛散を効果的に抑制することができる。
なお、投射ノズルを1つのみまたは3つ以上取り付けるようにしてもよい。
ここでは、起泡剤溶液を投射する投射ノズルを取り付けた破壊機械により行う粉塵抑制方法について説明したが、同様にして起泡剤溶液を投射する投射ノズルを取り付けたトンネル掘削機等により粉塵の飛散の抑制を行うことも可能である。
最後に、本発明の実施例4に係る粉塵抑制方法について図7を参照しながら説明する。
この粉塵抑制方法は、実施例3とは、その方法の実施に使用する破壊機械に対する投射ノズル取り付け位置が違う点、および、その破壊機械がポンプユニットを搭載している点において異なるだけであるので、その相違する点についてのみ説明する。
40はブーム41の先端にブレーカロッド42を備えた破壊機械である。
この破壊機械40は、その破壊機械本体43の前部に、シリンダ44の伸縮等により上下および左右に回動可能にした投射ノズル45を取り付けているとともに、その破壊機械本体43の後部には、起泡剤溶液を収納する溶液タンクやその起泡剤溶液を上記投射ノズル45へ圧送供給する高圧ポンプ等からなるポンプユニット46を取り付け固定してある。
そして、上記投射ノズル45による起泡剤溶液の投射は運転席からの操作により任意の方向に向けて行えるようになっている。
この破壊機械40は、上記実施例3の破壊機械30と異なり、ポンプユニット46を取り付け固定してあるので、作業場所を移動して粉塵の抑制を行う必要がある場合等にポンプユニットを別途運搬する必要がない。
本発明の実施例1に係る粉塵抑制方法の説明図である。 粉塵発生部位の拡大図である。 本発明の実施例2に係る粉塵抑制方法の説明図である。 図3のマニュピレータの要部拡大側面図である。 本発明の実施例3に係る粉塵抑制方法の説明図である。 図5の破壊機械の要部を示した平面図である。 本発明の実施例4に係る粉塵抑制方法の説明図である。 従来の粉塵抑制装置の縦断面図である。
符号の説明
10,20,36,46 ポンプユニット
13,21,35,45 投射ノズル
14,32,42 ブレーカロッド
15,28,30,40 破壊機械
16,29,37 コンクリート塊
22 マニュピレータ


Claims (7)

  1. 投射ノズルにより起泡剤溶液を投射し、これを粉塵発生部位に衝突させて気泡を生成させることを特徴とする粉塵抑制方法。
  2. 上記投射ノズルが、任意の方向に起泡剤溶液の投射を行えるようにしてマニュピレータに支持されていることを特徴とする請求項1記載の粉塵抑制方法。
  3. 上記投射ノズルが、任意の方向に起泡剤溶液の投射を行えるようにして破壊機械に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の粉塵抑制方法。
  4. 上記投射ノズルが、任意の方向に起泡剤溶液の投射を行えるようにしてトンネル掘削機に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の粉塵抑制方法。
  5. 生成した上記気泡の発泡倍率が1.5〜10倍程度であることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の粉塵抑制方法。
  6. 上記起泡剤溶液が起泡剤を0.1〜1%程度に希釈したものであることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の粉塵抑制方法。
  7. 上記起泡剤が界面活性剤であることを特徴とする請求項6記載の粉塵抑制方法。
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