JP2006257469A - 炭化タングステンの超微粒子を含有する高硬度超硬質合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】IC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチ、ドットプリンタ用のピン材料を含む用途に適した、従来の超微粒超硬合金よりさらに高硬度で、すなわち耐摩耗性に優れる高寿命の、かつ従来の超微粒超硬合金と同等以上の抗折力を有する高硬度超硬合金を提供。
【解決手段】重量%で、Coを3 〜13%、VCを0.05〜0.5 %、Alを0.1 〜1.0 %含有し、残部がWC及び不可避不純物からなる組成を有し、かつ合金中のWCの平均粒子径が 0.5μm 以下である耐摩耗工具用の炭化タングステンの超微粒子を含有することを特徴とする高硬度超硬合金。
【選択図】図1
【解決手段】重量%で、Coを3 〜13%、VCを0.05〜0.5 %、Alを0.1 〜1.0 %含有し、残部がWC及び不可避不純物からなる組成を有し、かつ合金中のWCの平均粒子径が 0.5μm 以下である耐摩耗工具用の炭化タングステンの超微粒子を含有することを特徴とする高硬度超硬合金。
【選択図】図1
Description
本発明は超硬合金に関し、耐摩耗性および耐折損性に優れた合金であって、IC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチ、ドットプリンタ用のピン材料を含む用途に適した耐摩耗性に優れた高硬度超硬合金に関する。
従来、炭化タングステン( 以下WCで示す) を主体とした硬質層をCoなどの金属相で結合した超硬合金は切削工具、耐摩耗工具、耐衝撃工具などの素材として広範囲で利用されており、とりわけ平均粒子径が1 μm 未満(サブミクロン)の微細なWC粒子を含む超硬合金(以下、超微粒超硬合金という)は、一般の超硬合金と比較して、同一硬さ(耐摩耗性の目安)ならば抗折力( 耐折損性の目安) が高く、また同一抗折力ならば硬さが高いという特性を有する。このため、例えば特許文献1に開示するように、耐摩耗性や耐折損性が要求される、IC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチあるいはドットプリンタ用のピン材料に多用されており、高い生産効率を実現する上での高性能耐摩耗工具素材として重要な意義を有している。以上のような特徴を有するため、IC基板のスルーホールパンチ 加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチには超微粒超硬合金が適用される場合が殆どである。これは従来の普通粒度(WC粒子径1μm 以上)の超硬合金では、硬さ、抗折力が低いため十分な耐摩耗性、耐折損性が得られず、パンチの寿命が低く実用に寄与しえないからである。
特開2004−232042号公報
特開2001−49378号公報
特開2004−315904号公報
WC粒子を微細かつ均粒化することにより強度を向上する原理は次のように考えられる。すなわちオロワンの分散強化理論によれば、 σ=μb/λ で表され、σ:引張強さ、μ:剛性率、λ:平均粒子間隔、b:バーガーベクトル、である。
WC粒子径が小さくなるほどλは小さくなるのでσは大きくなる。旧ソ連雑誌パウダーメタラジーアンドメタルセラミック第22号(1964 年、300 〜310ヘ゜ーシ゛) に記載されたイベンセン他の論文によれば、超硬合金の引張強さは破断強さに対応したものと言われておりσ(引張強さ)が大きいほど、硬さ、抗折力ともに増大することになる。しかしながら、実際の合金においては組織的欠陥が破壊の起源として作用する。超微粒超硬合金は焼結温度におけるWC粒子の粒成長を防止するために、粒成長抑制材としてVC、Cr3C2 などを添加する必要があるが、この際添加量が多すぎると、WC粒子の平均粒度は細かくなり硬さが高くなるものの、添加剤が凝集などにより、破壊の起源として作用し抗折力が低くなる。また添加量が少なすぎると、WC粒子の平均粒度が粗くなり、抗折力の低下は少ないが、硬さが低下する。したがって通常は焼結温度における添加炭化物の溶解度限よりも若干少ない量が効果的であり、一般にはそのような添加が行われている。
WC粒子径が小さくなるほどλは小さくなるのでσは大きくなる。旧ソ連雑誌パウダーメタラジーアンドメタルセラミック第22号(1964 年、300 〜310ヘ゜ーシ゛) に記載されたイベンセン他の論文によれば、超硬合金の引張強さは破断強さに対応したものと言われておりσ(引張強さ)が大きいほど、硬さ、抗折力ともに増大することになる。しかしながら、実際の合金においては組織的欠陥が破壊の起源として作用する。超微粒超硬合金は焼結温度におけるWC粒子の粒成長を防止するために、粒成長抑制材としてVC、Cr3C2 などを添加する必要があるが、この際添加量が多すぎると、WC粒子の平均粒度は細かくなり硬さが高くなるものの、添加剤が凝集などにより、破壊の起源として作用し抗折力が低くなる。また添加量が少なすぎると、WC粒子の平均粒度が粗くなり、抗折力の低下は少ないが、硬さが低下する。したがって通常は焼結温度における添加炭化物の溶解度限よりも若干少ない量が効果的であり、一般にはそのような添加が行われている。
図4は、重量%で20%Co−残WC合金の平均粒子径に及ぼす粒成長抑制剤の影響を示すグラフである(丸善株式会社、昭和61年2 月20日発行、鈴木著「超硬合金と焼結硬質材料−基礎と応用−」P250より引用)。図4に示すように、WCの粒成長抑制に最も効果的なのはVCであり、また十分な粒成長抑制のために必要なVCの最低添加量は重量%で2 %であることがわかる。近年半導体の高密度化に伴い、IC基板に求められる穴径は、極小径(φ0.1mm 以下)が要求されるようになってきており、したがってその穴の打ち抜きに用いられるパンチについても、より極小径化が要求されるようになってきている。そして生産性向上の観点から、パンチの寿命についても、現状より長寿命のものが要求されるようになってきている。このような極小径のパンチに従来の超微粒超硬合金を適用した場合、パンチの耐折損性については従来の超微粒超硬合金の抗折力で実用可能である。しかし耐摩耗寿命については実用的に不十分である。したがって、従来の超微粒超硬合金より硬さを高くし耐摩耗性を上げる必要があるが、そのためにVC添加量を多くして、WC粒子の微細化をはかる必要がある。一方、VC添加量を多くすると、抗折力の低下により耐折損性が著しく低下し、実用に寄与しえないという課題があった。
本発明の課題は、IC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチ、ドットプリンタ用のピン材料を含む用途に適した、従来の超微粒超硬合金よりさらに高硬度で、すなわち耐摩耗性に優れる高寿命の、かつ従来の超微粒超硬合金と同等以上の抗折力を有する高硬度超硬合金を提供することにある。
このため本発明は、重量%で、Coを3 〜13%、VCを0.05〜0.5 %、Alを0.1 〜1.0 %含有し、残部が炭化タングステン( 以下WCで示す) 及び不可避不純物からなる組成を有し、かつ合金中のWCの平均粒子径が 0.5μm 以下である耐摩耗工具用の炭化タングステンの超微粒子を含有することを特徴とする高硬度超硬合金によって上記の本発明の課題を解決した。
本発明では、IC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチ、ドットプリンタ用のピン材料を含む用途に適した、従来の超微粒超硬合金、即ち平均粒子径が1 μm 未満の微細なWC粒子を含む超硬合金、よりさらに高硬度で、すなわち耐摩耗性に優れる高寿命の、かつ従来の超微粒超硬合金と同等以上の抗折力を有する高硬度超硬合金を提供するものとなった。
図1は、WCを主体とした硬質層をCoなどの金属相で結合した超硬合金の、平均粒子径に対する、硬さ(HV)及び抗折力(G Pa)の関係を示すグラフで、WC平均粒子径 0.5μm 以下の本発明の超微粒超硬合金は、極小径パンチに必要な最低硬さ(HV)が、極小径パンチに必要な最低硬さを越えた、極小径パンチの目標硬さも有するものとなった。また極小径パンチに必要な最低抗折力も、極小径パンチに必要な最低抗折力を越えた、極小径パンチの目標抗折力を有するものとなった。図2は、発明者らが調査を行った、重量%で16%Co−残WC合金の硬さおよび抗折力に及ぼすVC添加の影響について示すグラフである。図2に示すように、VC添加量が増えるに従い、抗折力が低下しており、また抗折力の低下を防ぐには、VC添加量を0.5 %以下、好ましくは 0.3%以下にとどめておく必要があること、またVC添加量が増えるに従い硬さが上がっていることがわかる。
図1は、WCを主体とした硬質層をCoなどの金属相で結合した超硬合金の、平均粒子径に対する、硬さ(HV)及び抗折力(G Pa)の関係を示すグラフで、WC平均粒子径 0.5μm 以下の本発明の超微粒超硬合金は、極小径パンチに必要な最低硬さ(HV)が、極小径パンチに必要な最低硬さを越えた、極小径パンチの目標硬さも有するものとなった。また極小径パンチに必要な最低抗折力も、極小径パンチに必要な最低抗折力を越えた、極小径パンチの目標抗折力を有するものとなった。図2は、発明者らが調査を行った、重量%で16%Co−残WC合金の硬さおよび抗折力に及ぼすVC添加の影響について示すグラフである。図2に示すように、VC添加量が増えるに従い、抗折力が低下しており、また抗折力の低下を防ぐには、VC添加量を0.5 %以下、好ましくは 0.3%以下にとどめておく必要があること、またVC添加量が増えるに従い硬さが上がっていることがわかる。
従来、超微粒超硬合金の耐摩耗性を高くしようとして硬さを上げる場合、硬質相WCの含有量を増加させる(すなわち結合相Coの含有量を減少させる)か、又は、硬質相WCの粒子径を微細にすることにより分散強化により硬さを上げるか、の2つの方法があった。前者の方法では、結合相Co量がある一定量より少なくなると焼結困難になるため、硬質相WCの増加量には限界がある。また後者の方法では、出発原料であるWCの粒子径について微細なものを選択し、VCなどの粒成長抑制材を多量に添加することで焼結時の粒成長を抑制し、焼結後硬質相WCの粒子径を微細にすることにより、分散強化により硬さを上げることは可能であるが、脆弱であるVCの多量添加により抗折力が低下するという課題があった。そこで本発明者らは、VCの少量添加で十分な粒成長抑制効果を発揮させ、かつ抗折力が低下しない高硬度超硬質合金を得る手段として、Al2O3 をVCと併用して添加し、超硬合金の基地中に分散させ、粒成長抑制効果を高めようと考え研究を行った。しかし、特許文献2に報告されているように、Al2O3 は結合相Coとの濡れ性が良くないため、抗折力を低下させることが考えられた。特許文献3も、平均粒径 1.2μm 以下のWCを含有する硬質相、Coを2重量%から15重量%含有する結合相、添加剤及び不可避不純物からなり、添加剤として、Ti、Zr、Hf、Nb、Alから選択される1種以上の総量で0.01重量%から 5重量%の金属単体、これらの固溶体、炭素、窒素、酸素、硼素から選択される1種以上との化合物及び複化合物選択される1種以上で添加される第一金属と、総量の結合相に対する重量比が0.02〜0.5 (0.04重量%から 7.5重量%)のCr、Ta、V から選択される1種以上の第二金属と、の双方を含有する微粒超硬合金を提案する。しかしながらその表1に示す実施例においても、AL2O3 と結合相Coとの濡れ性から、Co、VC、AL2O3 、WCのみの組み合わせはなく、これら組み合わせに、Cr3C2 、Nb2O3 などの化合物を加えた微粒超硬合金としている。
そこで本発明者らは、Al2O3 添加による抗折力の低下を解決するため、Al2O3 粉末ではなくAl粉末を配合し、焼結時にWCを含む原料粉末中の酸素と反応して Al2O3を形成させることにより、Coとの濡れ性を改善した。好ましくは、硬さがセラミック級の硬さであるビッカースでHV2200を超える合金により、高抗折力を維持しつつ高硬度の、すなわち耐摩耗性に優れる高寿命の、高硬度超硬合金となった。
本発明による高硬度硬質合金において、Coを重量%で 3%以上とした理由は、Coが 3%未満になると、焼結性が悪くなり、抗折力が低くなるためである。またCoを重量%で13%以下とした理由は、Coが13%を超えると、硬さの低下が著しいためである。VCを重量%で0.05%以上とした理由は、VCが0.05%未満になると、Alと併用してVCを添加した際の粒成長抑制効果が不十分で、WC平均粒度が粗くなり、硬さが高くならないためである。またVCを重量%で0.5 %以下とした理由は、VCが 0.5%を超えると、抗折力の低下が著しいためである。Alを重量%で 0.1%以上とした理由は、Alが 0.1%未満になると、VCと併用してAlを添加した際の粒成長抑制効果が不十分で、WC平均粒度が粗くなり、硬さが高くならないためである。またAlを重量%で1.0 %以下とした理由は、Alが 1.0%を超えると、Al−Co系金属間化合物や遊離Alによる軟点が形成され破壊の起源となり、抗折力の低下が著しいためである。
本発明者らは、従来の超微粒超硬合金よりさらに高硬度で、かつ従来の超微粒超硬合金と同等の抗折力を有する高硬度超硬質合金を開発するにあたり、少量のAlを添加することにより、少量のVC添加量でも粒成長抑制効果を発揮し、現状の超微粒超硬合金よりさらに高硬度で、かつ現状の超微粒超硬合金と同等以上の抗折力を有する高硬度超硬合金を提供できるという研究結果を見出し本発明に至った。本発明の実施形態の高硬度超硬合金は、重量%で、Coを3 〜13%、VCを0.05〜0.5 %、Alを0.1 〜1.0 %含有し、残部が炭化タングステン( 以下WCで示す) 及び不可避不純物からなる組成を有し、かつ合金中のWCの平均粒子径が 0.5μm 以下である耐摩耗工具用の炭化タングステンの超微粒子を含有することを特徴とする。Al2O3 は結合相Coとの濡れ性が良くないため、抗折力を低下させることが考えられた。そこで本発明者らは、Al2O3 添加による抗折力の低下を解決するため、Al2O3 粉末ではなくAl粉末を配合し、焼結時にWCを含む原料粉末中の酸素と反応して Al2O3を形成させることにより、Coとの濡れ性を改善した。
発明者らは原料粉末配合時にAl粉末を添加した重量%で0.5VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。比較材としてAlを添加しない重量%で0.5VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。両者の抗折力を比較すると、顕著な差は見られなかった。このことからAlを添加して焼結中にAl2O3 を形成させることにより、濡れ性は改善され、抗折力の低下は防げたものと考えられる。Alが焼結後にAl2O3 を形成しているか否かは、EPMAにより確認を行った。
また発明者らは原料粉末配合時にAl粉末を添加した重量%で 0.05VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。比較材としてAlを添加しない重量%で 0.05VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。両者の抗折力を比較すると、顕著な差は見られなかった。また両者のWC平均粒子径を比較すると、Alを添加した場合は、添加しない場合に比較して微細であり、それに伴い硬さも高くなった。このことから、Al2O3 にはVCの粒成長抑制効果を助長する働きがあるものと考えられる。
また発明者らは原料粉末配合時にAl粉末を添加した重量%で0.5VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。比較材として同量のAlを添加し、かつVCを添加しない重量%で0.5VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。両者のWC平均粒子径を比較すると、VCを添加した場合は、添加しない場合に比較して微細であり、それに伴い硬さも高くなった。このことから、Al2O3 のみでの粒成長抑制効果はほとんどないものと考えられる。
以上の研究結果からAl粉末を配合した超微粒超硬合金をIC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチに適用した場合に、従来超微粒超硬合金の抗折力を維持したまま硬さを上げることが可能となり、耐摩耗性に優れるためパンチの寿命が長くなり、生産性向上に貢献できるものとなった。
また発明者らは原料粉末配合時にAl粉末を添加した重量%で0.5VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。比較材として同量のAlを添加し、かつVCを添加しない重量%で0.5VC-8Co-残WC系超微粒超硬合金を作成した。両者のWC平均粒子径を比較すると、VCを添加した場合は、添加しない場合に比較して微細であり、それに伴い硬さも高くなった。このことから、Al2O3 のみでの粒成長抑制効果はほとんどないものと考えられる。
以上の研究結果からAl粉末を配合した超微粒超硬合金をIC基板のスルーホールパンチ加工など極小径穴の打抜き加工に用いられる極小径パンチに適用した場合に、従来超微粒超硬合金の抗折力を維持したまま硬さを上げることが可能となり、耐摩耗性に優れるためパンチの寿命が長くなり、生産性向上に貢献できるものとなった。
表1の左半分に示されているような組成を有する超硬合金試料A〜Gが以下の方法で調整された。組成は原料粉末の配合比を示した。まず、原料粉末として、WC粉末、Al粉末、VC粉末、Co粉末が用意された。WC粉末は平均粒度0.12μm のものを用意した。Al粉末は平均粒度 0.4μm のものを用意した。これらの粉末を所定の割合で配合を行ない、ボールミルに投入後、アセトンを添加し、72時間の稼働によって均一に混合および粉砕された。均一化された混合粉末は乾燥後、押出成型に必要なバイインダを添加し、混練機によって粉末とバイインダが均一に混合された後に、プランジャー式押出し機によって外径 0.6mmの丸棒に成型され、所定の長さに切断後、真空焼結炉により、真空中で1400℃×1 時間の加熱によって超硬合金に焼結された。
焼結された超硬合金は、室温まで冷却された後に真空焼結炉より取り出した。その後組織観察あるいはマイクビッカース硬度計にて硬さを測定するため、焼結体を所定の長さに切断後、樹脂に埋め込み成形を行い、成形後に研削および鏡面加工を行うことにより試料とした。また抗折力を測定するため、焼結体を所定の長さに切断後、センタレス研削により外径0.2mm の丸棒も研削加工された。Al粉末が焼結後にAl2O3 として形成されているか否かは、EPMAにより解析を行い確認した。
試料A〜MのWC平均粒子径、硬さ、抗折力の測定結果を表1の右半分に示す。本発明合金の試料Aと比較例のGはAlを添加した/添加しないの違いであるが、Alを添加することにより硬さが上がり、かつ抗折力はほぼ同等であることがわかった。これはAl2O3 にはVCの粒成長抑制効果を助長する働きがあるためと考えられる。
本発明合金の試料Cと比較例のJはAl添加量が重量%で 1.0%/ 1.5% の違いであるが、Al添加量が重量%で 1.5%の場合は 1.0%と比較して抗折力の低下が著しいことがわかった。Alが重量%で 1.0%を超えると、Al−Co系金属間化合物や遊離Alによる軟点が形成され破壊の起源となり、抗折力の低下が著しいためであると考えられる。
本発明合金の試料Bと比較例のIはVC添加量が重量%で 0.5%/ 1.0%の違いであるが、VC添加量が重量%で 1.0%の場合は 0.5%と比較して抗折力の低下が著しいことがわかった。VCが凝集などにより、破壊の起源として作用したためであると考えられる。
図3は実施例1から算定した、重量%で 8%Co−残WC系超微粒超硬合金での、VCおよびAl添加量とWC平均粒度、硬さ、抗折力の関係を示すグラフで、(a)はVC、Al添加量とWC平均粒度の関係を示すグラフ、(b)はVC、Al添加量と硬さの関係を示すグラフ、(c)はVC、Al添加量と抗折力の関係を示すグラフ、をそれぞれ示す。
本発明合金の試料Cと比較例のJはAl添加量が重量%で 1.0%/ 1.5% の違いであるが、Al添加量が重量%で 1.5%の場合は 1.0%と比較して抗折力の低下が著しいことがわかった。Alが重量%で 1.0%を超えると、Al−Co系金属間化合物や遊離Alによる軟点が形成され破壊の起源となり、抗折力の低下が著しいためであると考えられる。
本発明合金の試料Bと比較例のIはVC添加量が重量%で 0.5%/ 1.0%の違いであるが、VC添加量が重量%で 1.0%の場合は 0.5%と比較して抗折力の低下が著しいことがわかった。VCが凝集などにより、破壊の起源として作用したためであると考えられる。
図3は実施例1から算定した、重量%で 8%Co−残WC系超微粒超硬合金での、VCおよびAl添加量とWC平均粒度、硬さ、抗折力の関係を示すグラフで、(a)はVC、Al添加量とWC平均粒度の関係を示すグラフ、(b)はVC、Al添加量と硬さの関係を示すグラフ、(c)はVC、Al添加量と抗折力の関係を示すグラフ、をそれぞれ示す。
Claims (3)
- 重量%で、Coを3 〜13%、VCを0.05〜0.5 %、Alを0.1 〜1.0 %含有し、残部が炭化タングステン( 以下WCで示す) 及び不可避不純物からなる組成を有し、かつ合金中のWCの平均粒子径が 0.5μm 以下である耐摩耗工具用の炭化タングステンの超微粒子を含有することを特徴とする高硬度超硬合金。
- 前記Alは、Al粉末を配合し、焼結時にWCを含む原料粉末中の酸素と反応させて Al2O3を形成させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の高硬度超硬合金。
- 硬さがビッカース硬さでHV2200を超えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高硬度超硬合金。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009102709A (ja) * | 2007-10-24 | 2009-05-14 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 積層構造型超硬合金とその製造方法および前記超硬合金により形成された工具 |
JP2012173285A (ja) * | 2011-02-23 | 2012-09-10 | King Yuan Electronics Co Ltd | 高硬度耐磨耗性プローブとその製作方法 |
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2005
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091208 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100406 |