JP2006257325A - 着色スラッシュ成形用材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱可塑性ポリウレタン樹脂を重合反応により製造する工程を含む着色スラッシュ成形用材料を製造する方法であって、着色剤による着色を重合工程中、及び/又は重合工程以前の工程において、好ましくはウレタン化反応工程中で行うことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末からなる着色スラッシュ成形用材料の製造方法。
【選択図】なし
Description
すなわち本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を重合反応により製造する工程を含む着色スラッシュ成形用材料を製造する方法であって、着色剤による着色を重合工程中、及び/又は重合工程以前の工程において行うことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末からなる着色スラッシュ成形用材料の製造方法である。
の工程は、重合反応により熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造する工程を含む。該重合反応は、(1)主としてウレタン化反応、次いで主としてウレア化反応を行う工程からなる、(2)ウレタン化反応を行う工程からなる、(3)ウレタン化反応とウレア化反応を同時に行う工程からなる場合が挙げられるが、(1)が好ましい。
重合反応工程以後の工程において着色が行われると、該製造法で製造されたスラッシュ成形用材料を使用した成形品は色むらが出やすく、色ぶれが起こることがある。また、着色された成形品表面の摩擦による色落ちが発生する事がある。
スラッシュ成形用材料の着色は重合反応工程中に行うことが好ましい。
(1)の場合
ウレタン化反応は、ウレタンプレポリマーを製造する工程からなる。
ウレタンプレポリマーとは高分子ジオールとジイソシアネート、必要により低分子ジオールからなる末端にイソシアネート基を持つ低分子ポリマーをいう。高分子ジオール、ジイソシアネート及び低分子ジオールは、それぞれ少量の3官能性以上の高分子ポリオール、ポリイソシアネート及び低分子ポリオールを含有していてもよい。
着色はこれらウレタンプレポリマーを製造する工程において着色することが好ましく、製造されたウレタンプレポリマーに着色剤を添加し、混合することにより行うことが特に好ましい。
高分子ジオール、高分子ポリオール、低分子ジオール及び低分子ポリオールの水酸基と、ジイソシアネート及びポリイソシアネートのイソシアネート基の等量比は、1:1.2〜1:3が好ましく、さらに好ましくは1:1.3〜1:2である。ウレタン化反応温度は60〜120℃で行うのが好ましく、さらに好ましくは70〜110℃である。
低分子活性水素化合物としては、ポリアミン、ポリオールが挙げられ、好ましくはジオール、ジアミンであり、さらに好ましくはジアミンであり、特に好ましくはジアミンのケチミンである。
ウレア化反応は、分散剤及び水の存在下で行うことが好ましく、該分散剤の水溶液存在下で行うことがさらに好ましい。ウレア化反応物全体の重量に対して水の重量は好ましくは50〜80%、さらに好ましくは60〜80%である。
分散剤の重量は水の重量に対して好ましくは0〜10%さらに好ましくは1〜3%である。
水の存在下でウレア化反応を行う場合、ウレタンプレポリマーはジアミンのケチミンと混合し、水中で反応させることが好ましい。
ウレア化反応温度は60〜120℃で行うのが好ましく、さらに好ましくは70〜110℃である。ウレタンプレポリマーの末端イソシアネートと、低分子活性水素化合物の活性水素又はケチミンの相当するアミンの当量比は1:0.8〜1:1.2が好ましく、さらに好ましくは1:0.9〜1:1.1である。
分散剤はウレタンプレポリマーと低分子活性水素化合物の混合する前に予め水中に含有させるのが好ましい。
ウレア化反応において着色を行う場合は、ウレタンプレポリマーと低分子活性水素化合物を混合時に同時に着色剤を加えるか、又はウレタンプレポリマーと低分子活性水素化合物の反応混合物に着色剤を加えることができる。
高分子ジ(ポリ)オール、ジ(ポリ)イソシアネート、必要により低分子ジ(ポリ)オール、低分子ジ(ポリ)アミンを一括で仕込み、重合反応を行なう。
この場合、一括で仕込み時に着色剤を加えるか、又は一括仕込み後の重合反応時に着色剤を加えることで着色を行うことができる。
高分子ジ(ポリ)オール、低分子ジ(ポリ)オールの水酸基と低分子ジ(ポリ)アミンのアミノ基の合計等量と、ジイソシアネート及びポリイソシアネートのイソシアネート基の等量比は、1:0.8〜1:1.2が好ましく、さらに好ましくは1:0.9〜1:1.1である。反応温度は60〜120℃で行うのが好ましく、さらに好ましくは70〜110℃である。
有機顔料としては例えば不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては例えばクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩類(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末、カーボンブラック等が挙げらる。
着色剤の形状は、粉粒状着色剤、固形状着色剤、液状着色剤などが挙げられる。粉粒状着色剤としてはドライカラー、顆粒状カラー、潤性カラーなどが、固形状着色剤としては着色原料マスターバッチなどが挙げられる。液状着色剤としては、ビヒクル(例えば、可塑剤、溶媒等)に有機顔料、無機顔料、染料等を分散させたものであり、ペーストカラー、液状カラー等が挙げられる。上記のうちで液状着色剤が好ましく、特にペーストカラーが好ましい。ペーストカラーはビヒクルと顔料の合計重量に対して、30〜90重量%の顔料を使用したものが好ましい。
着色剤のpHの測定方法
イソプロピルアルコール/水(100ml/60ml)の混合溶媒60mlに、着色剤10.0gを溶解し、pH計(JIS Z8802−1976「pH測定法」に規定されている型式のもので飽和カロメル電極がスリープ型のもの)を用いてpHを測定する。
着色剤中の水分は、好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
着色剤により着色を受ける着色スラッシュ成形用材料の原料液又は重合物の液の粘度は、顔料成分の分散性、沈降性の観点から、好ましくは100〜10,000mPa・s、さらに好ましくは1,000〜7,000mPa・s、より好ましくは2000〜5,000mPa・sである。
また、例えば、低分子ジ(ポリ)オールとジ(ポリ)イソシアネートとのウレタン化反応において得られるウレタンプレポリマー、ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤である低分子活性水素化合物との反応混合物、一括反応時(上記重合反応工程(2)、(3)の場合)の高分子ジ(ポリ)オール、ジ(ポリ)イソシアネート、必要により低分子ジ(ポリ)オール、低分子ジ(ポリ)アミンの反応混合物およびそれらと溶剤との混合物が挙げられる。 ただし、いずれの場合も重合が進行して固体状になったものは本発明の被着色物から除外されるものとする。
上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、ウレタンプレポリマーの粘度を上記範囲に調整するという観点から、好ましくは5,000〜28,000、さらに好ましくは7,000〜15,000、特に好ましくは8,000〜10,000である。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトフラフィー(溶媒:テトラヒドロフラン)(以下GPCと記載する。)で測定した値である。
着色剤添加量は被着色物100部に対して1〜5部が好ましい。
重合反応工程が上記(1)の場合で、ウレア化反応を水中にて行う場合;
得られた重合反応物から必要により脱溶剤をした後、得られた水スラリーを遠心脱水し乾燥を行う。必要により篩で分級を行った後、得られた樹脂粉末に、可塑剤、離型剤、及びその他の添加剤を添加し混合を行ない着色スラッシュ成形用材料を得ることができる。
ウレア化反応を有機溶媒中にて行う場合;得られた重合反応物から有機溶媒を除去した後、必要により篩で分級を行った後、得られた樹脂粉末に、可塑剤、離型剤、及びその他の添加剤を添加し混合を行ない着色スラッシュ成形用材料を得ることができる。
また、得られた重合反応物を粉砕、分級を行った後、得られた樹脂粉末に、可塑剤、離型剤、及びその他の添加剤を添加し混合を行ない着色スラッシュ成形用材料を得ることができる。
重合反応工程が上記(2)、(3)の場合;得られた重合反応物を粉砕、分級を行った後、得られた樹脂粉末に、可塑剤、離型剤、及びその他の添加剤を添加し混合を行ない着色スラッシュ成形用材料を得ることができる。
上記熱可塑性ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100,000〜350,000、さらに好ましくは150,000〜250,000である。重量平均分子量はGPC(溶媒:ジメチルフォルムアミド)で測定した値である。
以下、製造例、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
ウレタンプレポリマー(UP−1)の製造
内容積3Lのリボン型撹拌翼付き反応容器に、ブチレンアジペート(重量平均分子量1000、水酸基価112)36部、ヘキシレンイソフタレート(重量平均分子量900、水酸基価125)24部、ヘキサメチレンジイソシアネート15部、メチルエチルケトン15部、フィラー9部、酸化防止剤0.5部、光安定剤0.5部を仕込み、90℃で5時間反応させ、ウレタンプレポリマー(UP−1)100部を得た。
(UP−1)の粘度は3500mPa・s、重量平均分子量は9,000であった。
ホワイト着色剤(P−1)、ブラック着色剤(P−2)、ブラウン着色剤(P−3)、イエロー着色剤(P−4)を重量比49.7:16.7:9.6:24.0で混合して、ブラウン系着色剤(PP−1)を得た。(PP−1)のpHは6.5であり、水酸基価は5.0以下であった。
ホワイト着色剤(P−1)は、EB−300[三洋化成工業(株)製、ポリアルキレングリコールジエステル]39.5部、酸化チタン56.9部、含水アルミナ1.7部、含水ケイ酸0.7部、酸化亜鉛0.7部、キレート分散剤0.5部を混練したペーストカラーである。
ブラック着色剤(P−2)は、EB−300 84.5部、カーボンブラック15.0部、キレート分散剤0.5部を混練したペーストカラーである。
ブラウン着色剤(P−3)は、EB−300 54.5部、酸化鉄42.3部、ケイ酸アルミニウム2.7部、キレート分散剤0.5部を混練したペーストカラーである。
イエロー着色剤(P−4)は、EB−300 54.5部、チタン、アンチモン、クロムの複合酸化物45.0部、キレート分散剤0.5部を混練したペーストカラーである。
ブラック系着色剤(PP−2)の製造
ブラック着色剤(P−2)、ブルー着色剤(P−5)、グリーン着色剤(P−6)を重量比50.0:22.4:27.6で混合して、ブラック系着色剤(PP−2)を得た。(PP−2)のpHは6.6であり、 水酸基価は5.0以下であった。
ブルー着色剤(P−5)は、EB−300 74.5部、銅フタロシアニンブルー25部、キレート分散剤0.5部を混練したペーストカラーである。
グリーン着色剤(P−6)は、EB−300 74.5部、銅フタロシアニングリーン25.0部、キレート分散剤0.5部を混練したペーストカラーである。
着色ウレタンプレポリマー(UP−3’)の製造
内容積3Lのリボン型撹拌翼付き反応容器に、ブチレンアジペート(重量平均分子量1000、水酸基価112)36部、ヘキシレンイソフタレート(重量平均分子量900、水酸基価125)24部、ブラウン系着色剤(PP−1)3部、ヘキサメチレンジイソシアネート15部、メチルエチルケトン15部、フィラー9部、酸化防止剤0.5部、光安定剤0.5部を仕込み、90℃で5時間反応させ、着色ウレタンプレポリマー(UP−3’)103部を得た。(UP−3’)の粘度は3500mPa・s、重量平均分子量は9,000であった。
得られた着色ウレタンプレポリマー(UP−3’)100部とヘキサメチレンジアミンのジケチミン化物10部を撹拌棒で1分間混合し、そこに分散剤水溶液(DS−1)300部を加えた。後は実施例1と同じようにして、着色スラッシュ成形用材料(U−3)を得た。
ウレタンプレポリマー(UP−1)100部とヘキサメチレンジアミンのジケチミン化物10部を撹拌棒で1分間混合し、そこに分散剤水溶液(DS−1)300部を加えて、バイオミキサーで混合攪拌し乳化分散した。その後、得られた分散スラリーを実施例1と同様にして樹脂粉末(PD−1)を得た。
内容積5Lの遊星式混合機(プラネタリーミキサーN−0300、浅田鉄工株式会社製)に、樹脂粉末(PD−1)100部とブラウン系着色剤(PP−1)3部、リン酸エステル系可塑剤25部を投入し混合した。その後、離型剤0.2部、シリカ0.5部及び光安定剤0.2部を添加し、混合することで着色スラッシュ成形用材料(UC−1)を得た。
比較例1において、ブラウン系着色剤(PP−1)の代わりに、ブラック系着色剤(PP−2)を使用する他は、全く同様にして着色スラッシュ成形用材料(UC−2)を得た。
評価サンプルの作成方法
予め270℃に加熱したシボ付きNi電鋳型に、着色スラッシュ用成形材料(U−1)〜(U−3),(UC−1),(UC−2)を流し込み、電鋳型のもつ熱によって材料を溶融させ、厚さ1mm程度の均一な薄膜表皮を作成した。
分光光度計(型番CM−3600d、コニカミノルタ社製)で表皮シボ面の測色(L*、a*、b*)を行った。まず、サンプルN数=10で測定を行い、各サンプルの測定値と標準板の測定値との差(ΔL*、Δa*、Δb*)を求めた。下記の式から各サンプルの10個のΔE*を計算し、その平均値を求めた。結果は表1に記した。
ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]0.5
ΔE*は薄膜表皮の色ぶれを示す。
表皮シボ面を目視で観察し、下記4段階で評価した。
◎・・・極めて良好
○・・・良好
△・・・若干むらが認められる
×・・・むらが認められる
幅約30mm、長さ約200mmの試験片を切り取り、染色物摩擦堅牢度試験機(大栄科学精器製作所製)に取り付け、白綿布を摩擦子にかぶせて固定し、摩擦試験を行った。白綿布の色落ち程度を目視で観察し、下記4段階で評価した。
◎・・・全く認められない
○・・・わずかに認められるが目立たない
△・・・明らかに認められる
×・・・著しく認められる
Claims (8)
- 熱可塑性ポリウレタン樹脂を重合反応により製造する工程を含む着色スラッシュ成形用材料を製造する方法であって、着色剤による着色を重合工程中、及び/又は重合工程以前の工程において行うことを特徴とする熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末からなる着色スラッシュ成形用材料の製造方法。
- 前記重合反応が主としてウレタン化反応、次いで主としてウレア化反応を行う製造方法である請求項1記載の製造方法。
- 前記ウレア化反応を水存在下で行うことを特徴とする請求項2記載の製造方法。
- 前記水中に分散剤が含有されてなる請求項3記載の製造方法。
- 前記着色剤が、活性水素基を含有せず、pH5〜10である請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
- 前記着色剤を2種以上使用することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の製造方法。
- 前記着色剤による着色を受ける被着色物の粘度が、100〜10000mPa・sである請求項1〜6いずれか記載の製造方法。
- 前記着色剤による着色をウレタン化反応工程中で行うことを特徴とする請求項2〜7いずれか記載の製造方法。
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