JP2006253495A - 表面洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 洗浄対象物の表面を好適に洗浄することが可能な表面洗浄装置、及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】 水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として供給するノズル11、及びノズル11の先端側に設けられた碍管18を有する媒体供給部10と、媒体供給部10から碍管18内を通って洗浄対象物5へと供給される洗浄媒体に対して所定位置に設けられた一対の放電電極21、22とによって表面洗浄装置1Aを構成する。そして、放電電極21、22間に交流高電圧を印加してストリーマ状放電を発生させ、それによってプラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物5へ向けて吹き付けることによって、対象物5の表面を洗浄する。
【選択図】 図1
【解決手段】 水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として供給するノズル11、及びノズル11の先端側に設けられた碍管18を有する媒体供給部10と、媒体供給部10から碍管18内を通って洗浄対象物5へと供給される洗浄媒体に対して所定位置に設けられた一対の放電電極21、22とによって表面洗浄装置1Aを構成する。そして、放電電極21、22間に交流高電圧を印加してストリーマ状放電を発生させ、それによってプラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物5へ向けて吹き付けることによって、対象物5の表面を洗浄する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、洗浄対象物となる半導体ウエハなどの物品の表面を洗浄するための洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
半導体ウエハや液晶ガラス基板などの物品の表面は、油脂、あるいは油脂を伴う微細粒子などによって汚れている場合がある。このような水に溶けない汚れの洗浄には、以前はフレオンなどの有機溶剤が用いられていたが、現在、これらの溶剤は環境汚染やオゾン層破壊の原因となるためにその使用が規制されている。このため、上記した有機溶剤に代わる表面の洗浄方法が検討されている(特許文献1〜4参照)。
特開2002−25971号公報
特開2001−203182号公報
特開2002−93771号公報
特開2002−143795号公報
例えば、特許文献1には、水にオゾンを溶解させたオゾン水で基板を洗浄する方法が記載されている。この方法では、オゾンの溶解量を増やすために水に酢酸を添加し、洗浄される基板表面に紫外線を照射しながらオゾン水の供給を行っている。また、特許文献2には、洗浄対象物の表面にオゾン水とアルカリ水溶液とを同時に供給し、オゾンの分解で発生するラジカルにより表面の汚れを分解する方法が記載されている。
しかしながら、オゾン水を利用するこれらの方法では、オゾン水のpHを調整するための薬剤の使用を伴うため、これを洗浄する工程、及び乾燥工程がさらに必要になるという問題がある。また、汚れの分解の進行がそれほど速くはないため、そのスループットが制約される。
一方、水を374℃以上、220MPa以上の高温高圧状態とすると、超臨界状態になる。超臨界状態、あるいはそれに近い亜臨界状態では、水は電離してH+イオンとOH−イオンになっており、酸及びアルカリとして働く。このため、このような超臨界状態の水を用いれば、基板表面の油脂を加水分解などのイオン的反応で分解することができる。そのような例として、例えば特許文献3には、高温高圧の亜臨界とした容器中で超臨界状態の水をノズルから噴き出すことによって、対象物の表面の汚れを洗浄することが記載されている。
しかしながら、このような方法では、容器を亜臨界まで加温、加圧しなければならないため、洗浄対象物が小さいサイズに制限されるという問題がある。また、加温、加圧の手間のため、オゾン水を利用する方法と同様に、そのスループットが上がらない。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、洗浄対象物の表面を好適に洗浄することが可能な表面洗浄装置、及び洗浄方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明による表面洗浄装置は、洗浄対象物の表面を洗浄するための洗浄装置であって、(1)水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として所定の流路から供給する流路部材、及び流路部材の先端側に設けられた碍管を有する媒体供給手段と、(2)媒体供給手段から碍管内を通って洗浄対象物へと供給される洗浄媒体に対して所定位置に設けられた一対の放電電極とを備え、(3)一対の放電電極間に交流高電圧を印加してストリーマ状放電を発生させ、それによってプラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物へ向けて吹き付けることによって、その表面を洗浄することを特徴とする。
また、本発明による表面洗浄方法は、洗浄対象物の表面を洗浄するための洗浄方法であって、(a)水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として所定の流路から碍管を介して供給する供給ステップと、(b)碍管内を通って洗浄対象物へと供給される洗浄媒体に対して交流高電圧を印加してストリーマ状放電を発生させる放電ステップと、(c)ストリーマ状放電によってプラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物へ向けて吹き付けることによって、その表面を洗浄する洗浄ステップとを備えることを特徴とする。
上記した表面洗浄装置及び洗浄方法においては、ノズルなどの流路部材から碍管を介して洗浄対象物の物品へと供給される水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として用いている。そして、この洗浄媒体に対し、一対の放電電極によって高圧の交流放電電圧を印加し、プラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物に吹き付けて表面の洗浄を行っている。
このような方法では、プラズマによって空気中のO2やH2Oが解離してOラジカルやOHラジカル、O3(オゾン)などが生成される。また、プラズマで電離してできた自由電子が付着することによって、O−イオンやOH−イオン等も生成される。また、プラズマの電離では、H+イオンも生成される。これらのラジカル、イオン、オゾンが洗浄対象物に接触すると、表面にある油脂などの汚れは酸化による分解、及び加水分解によって分解され、ガス化、または水溶性になって洗い流される。これにより、洗浄対象物の表面を好適に洗浄することが可能となる。ここで、洗浄媒体として用いられる水分子を含む気体または液体としては、微細水滴(噴霧水滴)を含む空気流、または蒸気流等を用いることができる。あるいは水流を用いても良い。
洗浄媒体への放電電圧の印加については、洗浄装置は、一対の放電電極が、碍管を挟むように設けられた一対の電極によって構成されていることが好ましい。同様に、洗浄方法は、交流高電圧が、碍管を挟むように設けられた一対の電極によって印加されることが好ましい。このような電極構成によれば、洗浄媒体に対して好適に高電圧を印加することができる。
このような構成では、洗浄装置は、碍管が、一対の放電電極での交流高電圧の印加による誘電損失で発熱して、その表面が乾燥状態となるように構成されていることが好ましい。同様に、洗浄方法は、交流高電圧の印加による誘電損失で発熱することによって、碍管の表面を乾燥状態とすることが好ましい。
また、洗浄装置は、媒体供給手段が、流路部材として、その内部を洗浄媒体が通過する中心流路部材と、中心流路部材を囲むように設けられ中心流路部材との間を乾燥気体が通過する外側流路部材とを有することとしても良い。同様に、洗浄方法は、供給ステップにおいて、洗浄媒体に加えて、所定の流路の外側にある第2の流路から乾燥気体を供給することとしても良い。
このように洗浄媒体を供給する内側の第1の流路、及び乾燥気体を供給する外側の第2の流路の2つの流路を用いる場合、洗浄媒体への放電電圧の印加について、洗浄装置は、一対の放電電極が、碍管を囲むように一方の電極を設け、中心流路部材を他方の電極として機能させることによって構成されていることとしても良い。同様に、洗浄方法は、交流高電圧が、碍管を囲むように設けられた一方の電極、及び所定の流路に対して設けられた他方の電極によって印加されることとしても良い。このような電極構成によっても、洗浄媒体に対して好適に放電電圧を印加することができる。
また、このような構成では、洗浄装置は、碍管が、中心流路部材と外側流路部材との間から供給される乾燥気体によって、その内面が乾燥状態となるように構成されていることが好ましい。同様に、洗浄方法は、第2の流路から供給される乾燥気体によって、碍管の内面を乾燥状態とすることが好ましい。
また、交流高電圧を印加するための一対の放電電極のうちで一方の電極の電位を基準電位とし、洗浄対象物の電位を基準電位よりも高い電位としても良い。あるいは、媒体供給手段が中心流路部材及び外側流路部材を有する場合には、中心流路部材の電位を基準電位とし、洗浄対象物の電位を基準電位よりも高い電位としても良い。これらの構成では、洗浄対象物が高い電位となることにより、負イオンを洗浄対象物へと引き出して、対象物の表面を効率良く洗浄することができる。
本発明によれば、洗浄対象物へと供給される水分子を含む気体または液体からなる洗浄媒体に対し、一対の放電電極によって高圧の交流電圧を印加し、プラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物に吹き付けて表面の洗浄を行うことにより、対象物の表面を好適に洗浄することが可能な表面洗浄装置及び洗浄方法が実現される。
以下、図面とともに本発明による表面洗浄装置、及び洗浄方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による表面洗浄装置の第1実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。本装置は、洗浄対象物5の表面を洗浄するための表面洗浄装置1Aであり、洗浄媒体を供給する媒体供給部10を有して構成されている。以下、本洗浄装置1Aの構成について、それを用いた表面洗浄方法とともに説明する。なお、洗浄対象物5としては、特に限定されないが、半導体ウエハ、液晶ガラス基板などが例として挙げられる。
本実施形態の洗浄装置1Aにおいては、洗浄対象物5の表面を洗浄するための洗浄媒体として、微細水滴を含む空気流Aを用いている。また、この空気流Aに対し、媒体供給部10は、ノズル11と、碍管18とを有している。ノズル11は、洗浄媒体である空気流Aを所定の流路から供給する流路部材である。また、碍管18は、例えばセラミックまたは石英ガラス製の管からなり、ノズル11の先端側に設けられている。空気流Aは、ノズル11内及び碍管18内を通って、洗浄対象物5の表面へと供給される。
空気流Aが内部を通過する碍管18に対し、一対の電極21、22が設けられている。これらの電極21、22は、洗浄媒体である空気流Aに対する一対の放電電極として、碍管18を外側から挟むように配置されている。また、放電電極21、22の間には、交流電源20が接続されている。
このような構成において、媒体供給部10に微細水滴を含む空気流Aを供給すると、空気流Aはノズル11及び碍管18内を通って、洗浄媒体として洗浄対象物5へ向けて噴霧される(供給ステップ)。また、交流電源20により放電電極21、22間に高圧の交流放電電圧を印加すると、図1中に模式的に示したように、碍管18内の空間において、無声放電(オゾナイザ放電、バリア放電)によってストリーマ状放電Sが発生する(放電ステップ)。本洗浄装置1Aでは、このストリーマ状放電Sによって微細水滴を含む空気流Aをプラズマ化し、プラズマ化された洗浄媒体の空気流Aを洗浄対象物5へ向けて吹き付けることによって、その表面の汚れを分解除去する。これによって、洗浄対象物5の表面が洗浄される(洗浄ステップ)。
本実施形態による表面洗浄装置及び洗浄方法の効果について説明する。
図1に示した表面洗浄装置1A、及び上記した表面洗浄方法においては、流路部材であるノズル11から碍管18を介して洗浄対象物5の物品へと供給される微細水滴を含む空気流Aを洗浄媒体として用いている。そして、この媒体供給部10から供給される洗浄媒体に対し、一対の放電電極21、22によって交流高電圧を印加し、プラズマ化した洗浄媒体を洗浄対象物5に吹き付けて表面の洗浄を行っている。
このような方法では、プラズマによって空気中のO2やH2Oが解離してOラジカルやOHラジカル、O3(オゾン)などが生成される。また、プラズマで電離してできた自由電子が付着することによって、O−イオンやOH−イオン等も生成される。また、プラズマの電離では、H+イオンも生成される。これらのラジカル、イオン、オゾンが洗浄対象物5に接触すると、その表面にある油脂などの汚れは酸化による分解、及び加水分解によって分解され、ガス化、または水溶性になって洗い流される。これにより、洗浄対象物5の表面を好適に洗浄することが可能となる。
上記構成では、洗浄媒体として水(純水)を用いることにより、環境汚染のない媒体での対象物5の洗浄を可能としている。また、このような洗浄媒体では、pHを調整するための薬剤等を使用する必要がないという利点がある。この場合、薬剤を洗浄する工程、及び乾燥工程等も不要となる。
また、上記構成では、洗浄対象物5を大気中に配置した状態で表面の洗浄を行うことが可能である。この場合、超臨界状態の水を用いる場合のように加温、加圧された容器を用いることは不要であり、大型の対象物5を処理することも可能となる。また、洗浄対象物5を高温に加熱する必要がないので、対象物5へのダメージがほとんど生じない。
ここで、洗浄媒体としては、上記実施形態では微細水滴を含む空気流Aを例示したが、蒸気流を用いても良い。あるいは、後述するように水流を用いることも可能である。一般には、水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として用いれば良い。具体的にどのような洗浄媒体を用いるかについては、洗浄対象物5の種類、及び媒体供給部10の構成等に応じて選択すれば良い。例えば、微細水滴を用いる空気流、及び蒸気流のいずれかを用いる場合、対象物5が蒸気の温度に耐えられるかどうか等を考慮して洗浄媒体を選択することが好ましい。
また、一対の放電電極21、22によって洗浄媒体に対して印加する交流高電圧については、洗浄媒体をプラズマ化するためのストリーマ状放電を好適に発生可能な条件で電圧を印加することが好ましい。そのような条件としては、例えば、交流周波数が50Hz〜100kHz、電圧値が10kV〜100kV、電極間隔が空気部分で5〜10mmの条件が挙げられる。
また、図1に示した構成では、媒体供給部10の先端部を構成する碍管18は、放電電極21、22からの交流高電圧の印加による誘電損失で発熱するが、この発熱を利用して碍管18の表面を乾燥状態とすることが好ましい。碍管18の表面が濡れていると、電極21、22間に交流電圧を印加したときに、電流が碍管18表面の水膜を流れる。このため、碍管18の内部空間に電圧がかからなくなる場合がある。したがって、碍管18の表面は乾燥させておくことが好ましい。一方、放電電極21、22によって碍管18に交流電圧が印加されると、碍管18の材料の誘電損失(tanδ)によって碍管18が発熱する。これにより、碍管18の表面を例えば100℃以上に保持して、上記のように碍管18の表面の乾燥状態を確保することができる。
図2は、表面洗浄装置の第2実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。
本実施形態の洗浄装置1Bにおいては、洗浄媒体として第1実施形態と同様の微細水滴を含む空気流Aを用いている。また、この空気流Aに対し、媒体供給部10は、ノズル12と、碍管18とを有している。さらに、本構成例では、ノズル12が中心ノズル12aと外側ノズル12bとから構成される2重構造を有している。
これらのノズル12a、12bのうち、内側に設けられた中心ノズル12aは、その内部を洗浄媒体の空気流Aが通過する中心流路部材である。また、外側ノズル12bは、中心ノズル12aを囲むように設けられた外側流路部材である。中心ノズル12aと外側ノズル12bとの間は、乾燥気体(好ましくは乾燥空気)Bが通過する第2の流路となっている。この乾燥気体Bは、碍管18内で空気流Aの外側を通る。また、碍管18に対し、外側から挟むように一対の放電電極21、22が設けられている。
本実施形態においては、媒体供給部10のノズル12を中心ノズル12a及び外側ノズル12bによって構成している。このような構成では、例えば、図2に示すように中心ノズル12aの内側を洗浄媒体供給用の第1の流路、その外側でノズル12a、12bの間を乾燥気体供給用の第2の流路とするなど、様々な構成が可能となる。また、上記のようにノズル12a、12bの間から乾燥気体Bを供給する構成では、第1の流路の外側にある第2の流路からの乾燥気体Bが碍管18内を通過することにより、碍管18の内面を乾燥状態に保持することができる。
図3は、表面洗浄装置の第3実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。
本実施形態の洗浄装置1Cにおいては、洗浄媒体として、微細水滴を含む空気流や蒸気流ではなく、水流Cを用いている。また、この水流Cに対し、媒体供給部10は、ノズル13と、碍管18とを有している。さらに、本構成例では、ノズル13が中心ノズル13aと外側ノズル13bとから構成される2重構造を有している。
これらのノズル13a、13bのうち、内側に設けられた中心ノズル13aは、その内部を洗浄媒体の水流Cが通過する中心流路部材である。また、外側ノズル13bは、中心ノズル13aを囲むように設けられ、中心ノズル13aとの間を乾燥気体Dが通過する外側流路部材である。また、碍管18に対し、外側から挟むように一対の放電電極21、22が設けられている。
本実施形態においては、洗浄対象物5の表面を洗浄するための洗浄媒体として、水流Cを用いている。このように、ノズル13aから噴き出す水流Cを用いた場合、対象物5の汚れが水溶性であれば、その洗浄能力は微細水滴を含む空気流や蒸気流に比べて向上される。また、第2実施形態について上述したように、ノズル13a、13bの間から供給される乾燥気体Dにより、碍管18の内面の乾燥状態が保持される。
また、本構成例では、図3に示すように、ストリーマ状放電Sは碍管18の中心を通る水流Cと、碍管18の内面との間の空間に発生する。このため、ストリーマ状放電Sによるオゾンの生成量が多くなる。一方、中心水流Cは無声放電のストリーマSの発生起点になっており、ストリーマから大量の電子やラジカルが流入し、H2Oが電離してOH−イオンができる。水流Cは、オゾンを含む空気と一緒に対象物5の表面に吹き付けられる。このとき、水のOH−濃度が高いためにオゾンの分解が促進され、それによって生じる強い酸化作用により、洗浄対象物5の表面の汚れが効率良く分解される。
図4は、表面洗浄装置の第4実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。
本実施形態の洗浄装置1Dにおいては、洗浄媒体として水流Cを用いている。また、この水流Cに対し、媒体供給部10は、第3実施形態と同様に、中心ノズル14a及び外側ノズル14bから構成されるノズル14と、碍管18とを有している。さらに、本構成例では、碍管18の外面を取り巻くように電極24が設けられている。そして、この電極24を一方の電極、水流Cを供給する中心ノズル14aを他方の電極として、一対の放電電極を構成している。また、電極24及び中心ノズル14aの間には、交流電源23が接続されている。
本実施形態においては、洗浄媒体として水流Cを用いるとともに、碍管18を囲むように設けられた電極24と、水流Cの流路に対して設けられた中心ノズル14aとにより、ストリーマ状放電Sを発生させるための交流高電圧を印加している。このような構成によっても、図4に示すように、碍管18の中心を通る水流Cと、碍管18の内面との間の空間にストリーマ状放電Sが発生し、図3の場合と同様に洗浄対象物5の表面を洗浄することができる。
図5は、表面洗浄装置の第5実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。本実施形態の洗浄装置1Eの構成は、図1に示した洗浄装置1Aの構成とほぼ同様であるが、空気流Aが通過する碍管18と、洗浄対象物5との間に直流電源25が設置されている点が異なっている。
本実施形態においては、洗浄対象物5の背面(洗浄対象となっている表面とは反対側の面)側に背後電極50が設けられている。そして、一対の放電電極のうちで一方の電極22の電位を基準電位とし、電極22と背後電極50との間に直流電源25を接続することにより、洗浄対象物5の電位を基準電位よりも高い電位に設定している。このような構成では、洗浄対象物5が高い電位となることにより、負イオンを洗浄対象物5へと引き出すことができる。
すなわち、無声放電で発生するOラジカルは反応性が高く、O2と反応してO3(オゾン)となり、あるいは、H2Oと反応してOHラジカルを形成する場合がある。OHラジカルはさらに反応性が高く、OHラジカル同士でも反応し自己消滅をおこす。一方、ストリーマ状放電SによるH2Oの電離も起こるが、温度、圧力ともにそれほど高くなく分子のエネルギーが低いと、H+イオン、OH−イオンともに大半は再結合して消滅する。このような場合には、ストリーマ状放電Sで発生したラジカル、イオンともに洗浄対象物5の表面に到達するものが少ない。
これに対して、上記のように洗浄対象物5を高い電位としてプラズマ空間、あるいは電離した水から負イオンを引き出すと、その中にはOH−イオンが大量にあって、安定に洗浄対象物5の表面に到達する。対象物5は、導電性があれば正極として機能するので、OH−イオンは電荷を失いOHラジカルになって汚れを分解する。また、OH−のアルカリとしての性質により、加水分解によって油脂が水に溶けやすくなる。さらに、OH−のアルカリとしての性質はオゾンの分解の促進にも寄与し、それによって生じる強い酸化作用により、洗浄対象物5の表面の汚れが効率良く分解される。
これらの酸化分解作用により、油脂などの汚れも水溶性になって洗浄対象物5は水に濡れやすい状態となる。このとき、対象物5の表面に水膜が形成されて適度な導電性を持って正極として働くようになる。また、このような状態では、負の電荷が対象物5の表面に蓄積しすぎることはない。
なお、図5においては洗浄対象物5に対して背後電極50を設ける構成を示したが、可能であればこのような背後電極50を用いずに、電極22と対象物5との間で直接に直流電源25を接続する構成としても良い。また、直流電圧に代えて交流電圧を印加して、負イオンと正イオンとを交互に引き出す構成とすれば、対象物5の表面における電荷の蓄積を緩和することができる。この場合、H+イオン、OH−イオンの両方が対象物5の表面に存在することとなり、油脂が加水分解によって分解、可溶化される。
図6は、表面洗浄装置の第6実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。本実施形態の洗浄装置1Fの構成は、図2に示した洗浄装置1Bの構成とほぼ同様であるが、空気流Aが通過する碍管18と、洗浄対象物5との間に直流電源25が設置されている点が異なっている。
本実施形態においては、洗浄対象物5の背面側に背後電極50が設けられている。そして、一対の放電電極のうちで一方の電極22の電位を基準電位とし、電極22と背後電極50との間に直流電源25を接続することにより、洗浄対象物5の電位を基準電位よりも高い電位に設定している。このような構成では、第5実施形態と同様に、洗浄対象物5が高い電位となることにより、負イオンを洗浄対象物5へと引き出すことができる。
図7は、表面洗浄装置の第7実施形態の構成を概略的に示す側面断面図である。本実施形態の洗浄装置1Gの構成は、図4に示した洗浄装置1Dの構成とほぼ同様であるが、水流Cが通過する中心ノズル14aと、洗浄対象物5との間に直流電源26が設置されている点が異なっている。
本実施形態においては、洗浄対象物5の背面側に背後電極50が設けられている。そして、一対の放電電極のうちで一方の電極である中心ノズル14aの電位を基準電位とし、ノズル14aと背後電極50との間に直流電源26を接続することにより、洗浄対象物5の電位を基準電位よりも高い電位に設定している。このように、中心ノズル14aと背後電極50との間に直流電源26を接続する構成によっても、電極22と背後電極50との間に直流電源25を接続する第5、第6実施形態と同様に、洗浄対象物5が高い電位となることにより、負イオンを洗浄対象物5へと引き出すことができる。
本発明による表面洗浄装置及び洗浄方法は、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、ノズルなどの流路部材及び流路部材の先端側に設けられた碍管を有する媒体供給手段の具体的な構成、あるいはストリーマ状放電を発生させるために洗浄媒体に対して所定位置に設けられる一対の放電電極の具体的な構成については、上記した構成例に限らず、様々な構成を用いて良い。
本発明は、洗浄対象物の表面を好適に洗浄することが可能な表面洗浄装置、及び洗浄方法として利用可能である。
1A〜1G…表面洗浄装置、10…媒体供給部、11〜14…ノズル、12a〜14a…中心ノズル、12b…14b…外側ノズル、18…碍管、20…交流電源、21、22…放電電極、23…交流電源、24…放電電極、25、26…直流電源、
5…洗浄対象物、50…背後電極、A…微細水滴を含む空気流、C…水流、B、D…乾燥気体、S…ストリーマ状放電。
5…洗浄対象物、50…背後電極、A…微細水滴を含む空気流、C…水流、B、D…乾燥気体、S…ストリーマ状放電。
Claims (15)
- 洗浄対象物の表面を洗浄するための洗浄装置であって、
水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として所定の流路から供給する流路部材、及び前記流路部材の先端側に設けられた碍管を有する媒体供給手段と、
前記媒体供給手段から前記碍管内を通って前記洗浄対象物へと供給される前記洗浄媒体に対して所定位置に設けられた一対の放電電極とを備え、
前記一対の放電電極間に交流高電圧を印加してストリーマ状放電を発生させ、それによってプラズマ化した前記洗浄媒体を前記洗浄対象物へ向けて吹き付けることによって、その表面を洗浄することを特徴とする表面洗浄装置。 - 前記一対の放電電極は、前記碍管を挟むように設けられた一対の電極によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の表面洗浄装置。
- 前記碍管は、前記一対の放電電極での前記交流高電圧の印加による誘電損失で発熱して、その表面が乾燥状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表面洗浄装置。
- 前記媒体供給手段は、前記流路部材として、その内部を前記洗浄媒体が通過する中心流路部材と、前記中心流路部材を囲むように設けられ前記中心流路部材との間を乾燥気体が通過する外側流路部材とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の表面洗浄装置。
- 前記一対の放電電極は、前記碍管を囲むように一方の電極を設け、前記中心流路部材を他方の電極として機能させることによって構成されていることを特徴とする請求項4記載の表面洗浄装置。
- 前記碍管は、前記中心流路部材と前記外側流路部材との間から供給される前記乾燥気体によって、その内面が乾燥状態となるように構成されていることを特徴とする請求項4または5記載の表面洗浄装置。
- 前記中心流路部材の電位を基準電位とし、前記洗浄対象物の電位を前記基準電位よりも高い電位とすることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項記載の表面洗浄装置。
- 前記一対の放電電極のうちで一方の電極の電位を基準電位とし、前記洗浄対象物の電位を前記基準電位よりも高い電位とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の表面洗浄装置。
- 洗浄対象物の表面を洗浄するための洗浄方法であって、
水分子を含む気体または液体を洗浄媒体として所定の流路から碍管を介して供給する供給ステップと、
前記碍管内を通って前記洗浄対象物へと供給される前記洗浄媒体に対して交流高電圧を印加してストリーマ状放電を発生させる放電ステップと、
前記ストリーマ状放電によってプラズマ化した前記洗浄媒体を前記洗浄対象物へ向けて吹き付けることによって、その表面を洗浄する洗浄ステップと
を備えることを特徴とする表面洗浄方法。 - 前記交流高電圧は、前記碍管を挟むように設けられた一対の電極によって印加されることを特徴とする請求項9記載の表面洗浄方法。
- 前記交流高電圧の印加による誘電損失で発熱することによって、前記碍管の表面を乾燥状態とすることを特徴とする請求項9または10記載の表面洗浄方法。
- 前記供給ステップにおいて、前記洗浄媒体に加えて、前記所定の流路の外側にある第2の流路から乾燥気体を供給することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項記載の表面洗浄方法。
- 前記交流高電圧は、前記碍管を囲むように設けられた一方の電極、及び前記所定の流路に対して設けられた他方の電極によって印加されることを特徴とする請求項12記載の表面洗浄方法。
- 前記第2の流路から供給される前記乾燥気体によって、前記碍管の内面を乾燥状態とすることを特徴とする請求項12または13記載の表面洗浄方法。
- 前記交流高電圧を印加するための一対の放電電極のうちで一方の電極の電位を基準電位とし、前記洗浄対象物の電位を前記基準電位よりも高い電位とすることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項記載の表面洗浄方法。
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2005
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