JP2006253003A - イオン交換膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イオン交換樹脂の溶媒溶液を支持体上に流延した後に溶媒を除去するイオン交換膜の製造方法において、溶媒溶液粘度が温度30℃で100〜3000ポイズである前記イオン交換樹脂の溶媒溶液を流延した後、150℃以下の温度で1分以上の初期乾燥を行って該流延物から少なくとも一部の前記溶媒を除去し、さらに250℃以下の温度で乾燥することを特徴とするイオン交換膜の製造方法。
Description
1.イオン交換樹脂の溶媒溶液を支持体上に流延した後に溶媒を除去するイオン交換膜の製造方法において、前記イオン交換樹脂の溶媒溶液を100〜3000ポイズ(温度30℃)の溶媒溶液粘度で流延した後、150℃以下の温度で1分以上の初期乾燥を行って該流延物から少なくとも一部の前記溶媒を除去し、さらに250℃以下の温度で乾燥することを特徴とするイオン交換膜の製造方法である。
2.前記イオン交換膜の厚みが20〜500μmであることを特徴とする第1発明に記載のイオン交換膜の製造方法である。
3.前記イオン交換樹脂がスルホン酸基を含有するイオン交換樹脂であることを特徴とする第1又は第2発明に記載のイオン交換膜の製造方法である。
4.前記イオン交換樹脂のスルホン酸基含有量が、0.3〜3.5meq/gであることを特徴とする第3発明に記載のイオン交換膜の製造方法である。
5.前記イオン交換樹脂が一般式(1)及び一般式(2)で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物であることを特徴とする第3又は4発明に記載のイオン交換膜の製造方法である。
本発明において、まず、イオン交換樹脂を溶解が可能である溶媒に溶解させた溶液を調整する。本発明のイオン交換膜に使用されるイオン交換樹脂は、液体燃料透過性抑止の観点から、炭化水素系のイオン交換樹脂を使用することが好ましく、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーに見られるような水クラスター構造を形成しない炭化水素系のイオン交換樹脂が性能的に最も良好である。特に炭化水素系のイオン交換樹脂の中でも、芳香環上にスルホン酸を導入したポリアリーレンエーテル系化合物が、液体燃料透過抑止性、イオン伝導性に優れたイオン交換膜を提供できる。
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
E型粘度計(東機産業株式会社 VISCONIC ED型)を用いて温度30℃にて測定した。
<イオン交換容量の測定>
膜100mgを0.01NのNaOH水溶液50mlに浸漬し、25℃で一晩攪拌した。その後、0.05NのHCl水溶液で中和滴定した。イオン交換容量は下記式で求められる。
イオン交換容量[meq/g]=(10−滴定量[ml])/2
膜の厚みは、マイクロメーター(Mitutoyo 標準マイクロメーター 0−25mm 0.01mm)を用いて測定した。測定は10箇所行い、その平均値を厚みとした。
<イオン伝導性測定>
自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
イオン交換膜の液体燃料透過速度はメタノールの透過速度として、以下の方法で測定した。25℃に調整した5モル/リットルのメタノール水溶液に24時間浸漬したイオン交換膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5モル/リットルのメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。なお具体的には、超純水を入れたセルのメタノール濃度変化速度[Ct](mmol/L/s)より以下の式を用いて算出した。
メタノール透過速度[mmol/m2/s]=(Ct[mmol/L/s]× 0.1[L])/2×10-4[m2]
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩870g、2,6−ジクロロベンゾニトリル494g、4,4’−ビフェノール856g、炭酸カリウム730g、N−メチル−2−ピロリドンを5602g入れて、窒素雰囲気下にて150℃で55分間撹拌した後、反応温度を200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約8時間)。放冷の後、水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、水中で40時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.92であった。得られたポリマーを、軽く攪拌させた55℃の95%硫酸中に浸漬しすることでスルホン化処理を施した後に、最終的に水溶液のpHが6.5になるまで徐々に硫酸濃度を下げながら洗浄を繰り返した。その後、得られたポリマーを乾燥させたところ、イオン交換容量が1.80meq/gのポリマーを得た。このポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が32重量%となるように溶液を調整した。30℃での溶液の粘度は2690ポイズであった。調整した溶液を脱泡した後に、ガラス板を支持体として塗布時の厚みが1500μmになるよう温度24℃で流延し、温度120℃で3分間初期乾燥した後、温度200℃で60分間乾燥させた後に支持体から剥離させ金属の枠に膜を固定して温度200℃で720分間乾燥させて膜を製造した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩776g、2,6−ジクロロベンゾニトリル549g、4,4’−ビフェノール880g、炭酸カリウム750g、N−メチル−2−ピロリドンを5532g入れて、窒素雰囲気下にて150℃で55分間撹拌した後、反応温度を200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、水中で40時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.22であった。得られたポリマーを、軽く攪拌させた55℃の95%硫酸中に浸漬しすることでスルホン化処理を施した後に、最終的に水溶液のpHが6.5になるまで徐々に硫酸濃度を下げながら洗浄を繰り返した。その後、得られたポリマーを乾燥させたところ、イオン交換容量が1.62meq/gのポリマーを得た。このポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が24重量%となるように溶液を調整した。30℃での溶液の粘度は1430ポイズであった。調整した溶液を脱泡した後に、ガラス板を支持体として塗布時の厚みが1400μmになるよう温度25℃で流延し、温度120℃で3分間初期乾燥した後、温度200℃で60分間乾燥させた後に支持体から剥離させ金属の枠に膜を固定して温度200℃で720分間乾燥させて膜を製造した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩663g、2,6−ジクロロベンゾニトリル539g、4,4’−ビフェノール827g、炭酸カリウム705g、N−メチル−2−ピロリドンを5071g入れて、窒素雰囲気下にて150℃で55分間撹拌した後、反応温度を200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約16時間)。放冷の後、水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、水中で40時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は2.31であった。得られたポリマーを、軽く攪拌させた55℃の95%硫酸中に浸漬しすることでスルホン化処理を施した後に、最終的に水溶液のpHが6.5になるまで徐々に硫酸濃度を下げながら洗浄を繰り返した。その後、得られたポリマーを乾燥させたところ、イオン交換容量が1.48meq/gのポリマーを得た。このポリマーをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が15重量%となるように溶液を調整した。30℃での溶液の粘度は210ポイズであった。調整した溶液を脱泡した後に、ガラス板を支持体として塗布時の厚みが1300μmになるよう温度24℃で流延し、温度120℃で3分間初期乾燥した後、温度200℃で60分間乾燥させた後に支持体から剥離させ金属の枠に膜を固定して温度200℃で720分間乾燥させて膜を製造した。
実施例1に記載の方法より製造したポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が21.5重量%となるように溶液を調整した。30℃での溶液の粘度は1430ポイズであった。その後、実施例3に記載の方法より膜を製造した。
実施例3に記載の方法より製造したポリマー溶液を、ガラス板を支持体として、厚み1500μmになるよう温度25℃で流延し、温度155℃で1分間初期乾燥したところ、発泡が発生して良好な膜を得ることができなかった。
実施例1に記載の方法より製造したポリマー溶液を、ガラス板を支持体として、厚み1500μmになるよう温度25℃で流延し、温度140℃で30秒間初期乾燥したのちに、温度200℃で乾燥を実施したところ発泡してしまい良好な膜を得ることができなかった。
実施例3に記載の方法より製造したポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が26重量%となるように溶液を調整した。30℃での溶液の粘度は3340ポイズであった。調整した溶液の脱泡を試みた結果非常に困難であった。この溶液を、ガラス板を支持体として塗布時の厚みが1300μmになるよう温度24℃で流延したが、送液時に気泡が多量に混入してしまい、良好な膜を製造することはできなかった。
実施例2に記載の方法より製造したポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が14重量%となるように溶液を調整した。30℃での溶液の粘度は62ポイズであった。調整した溶液を脱泡した後に、ガラス板を支持体として塗布時の厚みが1200μmになるよう温度24℃で流延し、温度120℃で3分間初期乾燥したが発泡してしまい良好な膜を製造することはできなかった。
実施例3に記載の方法より作製したポリマー溶液を、ガラス板を支持体として塗布時の厚みが1300μmになるよう温度24℃で流延し、温度120℃で3分間初期乾燥した後、温度270℃で20分間乾燥させた後に支持体から剥離させ金属の枠に膜を固定して温度300℃で600分間乾燥させて膜を製造した。膜のイオン交換容量を測定した結果、0.28meq/gであった。高温で長時間の乾燥により、イオン性基が脱離したと考えられる。
市販されているデュポン社製ナフィオン(商品名)117膜を用いた。この膜はパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなる。
Claims (5)
- イオン交換樹脂の溶媒溶液を支持体上に流延した後に溶媒を除去するイオン交換膜の製造方法において、前記イオン交換樹脂の溶媒溶液を100〜3000ポイズ(温度30℃)の溶媒溶液粘度で流延した後、150℃以下の温度で1分以上の初期乾燥を行って該流延物から少なくとも一部の前記溶媒を除去し、さらに250℃以下の温度で乾燥することを特徴とするイオン交換膜の製造方法。
- 前記イオン交換膜の厚みが20〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載のイオン交換膜の製造方法。
- 前記イオン交換樹脂がスルホン酸基を含有するイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン交換膜の製造方法。
- 前記イオン交換樹脂のスルホン酸基含有量が、0.3〜3.5meq/gであることを特徴とする請求項3に記載のイオン交換膜の製造方法。
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