JP2006252903A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃料電池を停止して次回起動するときに酸化ガス流路から排出されるガス中の水素濃度を低減する。
【解決手段】 燃料電池システムは、燃料電池のアノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、燃料電池のカソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給部(エアコンプレッサ24)と、を備える。また、燃料電池システムがシステム停止状態であるときに、燃料電池内部における電解質層を介したアノード側からカソード側への水素透過量を反映する情報に基づいて、所定量の水素が透過したか否かを判定する水素透過量判定部を備える。さらに、水素透過量判定部によって所定量の水素が透過したと判定されたときに、酸化ガス供給部を駆動する酸化ガス制御部71を備える。
【選択図】 図3

Description

この発明は、燃料電池を備える燃料電池システムおよびその運転方法に関する。
燃料電池を備えるシステムにおいては、燃料電池のアノード側に水素を含有する燃料ガスが供給されるため、何らかの経路で水素がシステム外に放出される場合がある。そのため、可燃性の水素ガスが高い濃度で排出されることのないように充分な対策が施されることが望まれる。
燃料電池システムの外に水素が放出される場合の一つとして、水素循環方式の燃料電池システムにおける水素循環路からパージガスが排出される場合が挙げられる。水素循環方式の燃料電池システムとは、燃料ガスとして水素ガスを用い、燃料電池から排出されるアノード排ガスを再びアノードに供給することによって、アノードを経由して水素を循環させるシステムである。このようなシステムでは、燃料電池のカソードに供給される酸化ガス(空気)中の窒素や、発電時にカソードで生じる生成水が、電解質層を介してアノード側に透過するため、アノードを経由して水素を循環させる循環流路内の水素ガスでは、窒素や水蒸気などの不純物濃度が次第に高まる。そのため、上記システムでは、所定のタイミングで循環流路から不純物濃度が上昇した水素ガスを排出させ、循環流路内における不純物濃度の上昇を抑えている。このように、不純物濃度を低減するために循環流路から排出される不純物含有水素ガスがパージガスである。パージガスを最終的に外部に放出する際に、外部に放出されるガス中の水素濃度を低減する方法の一つとして、パージガスとカソード排ガスとを希釈器に導き、パージガスをカソード排ガスによって希釈した後に外部に放出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような燃料電池システムでは、システム停止時にパージガスの排出を停止した後にもカソードへの空気供給を続行し、カソード排ガスを用いて希釈器内の水素を充分に排出させている。これにより、希釈器内に水素が滞留することがなく、次回、燃料電池システムを起動してカソードへの空気供給を開始する際に、希釈器を経由する流路から水素濃度が比較的高いガスが排出されることがない。
特開2004−127749号公報
しかしながら、上記のように燃料電池の停止時にカソードへの酸化ガス供給を行なっても、燃料電池内部の燃料ガス流路内には、水素含有ガスが滞留したままになっている。このような燃料ガス流路内に滞留する水素は、燃料電池システムを停止させた後に、燃料電池の電解質層を介して酸化ガス流路側へと次第に透過する。そのため、次回、燃料電池システムの起動時に、燃料電池に対して酸化ガスの供給を開始すると、アノード側から透過した水素を含有する、比較的水素濃度の高いガスが、カソード排ガスとして燃料電池から排出される可能性がある。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池を停止して次回起動するときに酸化ガス流路から排出されるガス中の水素濃度を低減することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、燃料電池を備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池のアノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
前記燃料電池のカソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給部と、
前記燃料電池システムがシステム停止状態であるときに、前記燃料電池内部における電解質層を介したアノード側からカソード側への水素透過量を反映する情報に基づいて、所定量の水素が透過したか否かを判定する水素透過量判定部と、
前記水素透過量判定部によって、前記所定量の水素が透過したと判定されたときに、前記酸化ガス供給部を駆動する酸化ガス制御部と
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池システムによれば、燃料電池システムがシステム停止状態であるときに、電解質層を介して所定量の水素が透過したと判断されると、酸化ガス供給部が駆動されるため、燃料電池内部においてカソード側の流路における水素濃度の上昇を抑えることができる。したがって、次回システム起動時に酸化ガス供給部を駆動する際の、カソード排ガス中の水素濃度を低減することができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、
前記燃料電池の他に、電力を出力可能な電力出力部を備え、
前記酸化ガス供給部は、前記所定量の水素が透過したと判定されたときには、前記電力出力部から電力供給を受けて前記酸化ガスの供給を行なうこととしても良い。
このような構成とすれば、燃料電池システムの停止中に電解質層を介してカソード側へと透過した水素を排出するために燃料電池による発電を行なう必要がない。従って、酸化ガス供給部を駆動するために燃料電池を用いることに起因して燃料電池システムのエネルギ効率が低下することがない。
これらの本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、前記燃料電池システムが前記所定のシステム停止状態であるときに、前記水素透過量の増加速度が所定のレベルを超えているか否かを判定する水素透過速度判定部を備えることとしても良い。
このような構成とすることで、電解質層を介した水素透過量を増大させる不具合が生じたときには、これを検出可能となる。
このような本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、前記水素透過速度判定部が、前記水素透過量の増加速度が前記所定のレベルを超えていると判定したときに、該判定が行なわれたことを報知する報知部を備えることとしても良い。
これにより、使用者は、電解質層を介した水素透過量を増大させる不具合が生じたことを知ることができ、適切に対処することが可能となる。
また、本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、
大気圧を反映する情報を取得する大気圧情報取得部を備え、
前記酸化ガス制御部は、前記大気圧情報取得部が取得した情報に基づいて、大気圧がより低いときには、前記酸化ガス供給部の駆動量をより増加させることとしても良い。
このような構成とすれば、大気圧が異なる環境で燃料電池システムを使用する場合であっても、酸化ガス制御部によって酸化ガス供給部を駆動する際の供給酸化ガス量を確保することができる。したがって、水素濃度を低減させて外部に排出する動作の信頼性を高めることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池システムの運転方法、あるいは、本発明の燃料電池システムを駆動用電源として搭載する移動体などの形態で実現することが可能である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.システムの全体構成:
B.システム停止中における水素排出処理:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
A.システムの全体構成:
図1は、本発明の第1実施例である燃料電池システム10における燃料電池の発電に関わる部分の構成の概略を表わすブロック図である。本実施例の燃料電池システム10は、車両に搭載され、車両の駆動用電源として用いられる。燃料電池システム10は、発電の本体である燃料電池22と、燃料電池22に供給する水素を貯蔵する水素タンク23と、燃料電池22に圧縮空気を供給するためのエアコンプレッサ24と、を備えている。燃料電池22としては種々の種類の燃料電池を用いることが可能であるが、本実施例では、燃料電池22として固体高分子型燃料電池を用いている。この燃料電池22は、複数の単セルを積層したスタック構造を有している。
水素タンク23は、例えば、高圧水素を貯蔵する水素ボンベである。あるいは、水素吸蔵合金を内部に備え、水素吸蔵合金に吸蔵させることによって水素を貯蔵するタンクとしても良い。水素タンク23に貯蔵される水素ガスは、水素タンク23に接続する水素供給路60に放出された後、圧力調整弁62によって所定の圧力に調整(減圧)されて、燃料ガスとして燃料電池22を構成する各単セルのアノードに供給される。燃料電池22のアノードから排出されるアノード排ガスは、アノード排ガス路63に導かれて再び水素供給路60に流入する。このように、アノード排ガス中の残余の水素は、水素供給路60の一部とアノード排ガス路63と燃料電池22内の流路とから成る流路(以下、循環流路と呼ぶ)内を循環して再度電気化学反応に供される。電気化学反応による消費量に相当する水素は、圧力調整弁62を介して水素タンク23から循環流路へと補充される。循環流路内でアノード排ガスを循環させるために、アノード排ガス路63には水素ポンプ65が設けられている。また、水素供給路60には、圧力調整弁62の上流側に、シャットバルブ61が設けられている。このシャットバルブ61は、燃料電池の発電を停止する際には閉状態へと駆動され、水素タンク23から燃料電池22への水素ガス供給を遮断する。
さらに、アノード排ガス路63には、気液分離器27が設けられている。電気化学反応の進行に伴ってカソードでは水が生じるが、生じた水は、燃料電池22の電解質膜を介して、アノード側に供給される燃料ガス内にも導入される。気液分離器27は、このようなアノード排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させて、アノード排ガスから除去する。
気液分離器27には、バルブ27aが設けられている。このバルブ27aを開状態とすることで、気液分離器27内で凝縮された水が、バルブ27aに接続する排ガス排出路64を介して外部に排出される。なお、バルブ27aが開状態になると、上記凝縮水と共に、アノード排ガス路63内を流れるアノード排ガスの一部も外部に排出される。燃料電池22の運転時には、アノード側を流れるガスにおいては、既述したように電解質膜を介して、カソード側から水が導入されると共に、カソードに供給される空気中の窒素なども導入される。従って、燃料電池による発電を継続していると、循環流路内を循環する水素含有ガスにおいては、窒素などの不純物濃度が上昇する。本実施例の燃料電池システム10では、所定のタイミングでバルブ27aを開状態にすることによって、上記循環する水素含有ガスの一部を外部に排出して、水素含有ガス中の不純物濃度の上昇を抑えている。
ここで、排ガス排出路64は、排ガス排出路64よりも断面積が大きい容器である希釈器26に接続されている。この希釈器26は、アノード排ガスを外部に排出する際に、排出に先立って、アノード排ガス中の水素を後述するカソード排ガスによって希釈するために設けられている。
エアコンプレッサ24は、加圧した空気を、酸素を含有する酸化ガスとして酸化ガス供給路67を介して燃料電池22のカソードに供給する。エアコンプレッサ24が空気を圧縮する際には、エアクリーナ28を介して外部から空気を取り込む。カソードから排出されるカソード排ガスは、カソード排ガス路68に導かれて外部に排出される。ここで、酸化ガス供給路67およびカソード排ガス路68は、加湿モジュール25を経由している。加湿モジュール25では、水蒸気透過性を有する膜によって酸化ガス供給路67とカソード排ガス路68とが隔てられており、水蒸気を含有するカソード排ガスを用いて、カソードに供給する加圧空気の加湿を行なっている。また、カソード排ガス路68は、カソード排ガスを外部に導くのに先立って、既述した希釈器26を経由している。そのため、カソード排ガスは、希釈器26において、排ガス排出路64を介して流入するアノード排ガスと混合されてこれを希釈し、その後、外部に排出される。なお、酸化ガス供給路67には、エアクリーナ28の上流側に大気圧センサ50が設けられており、カソード排ガス路68には、カソード排ガス路68を流れるガス中の水素濃度を検出する水素濃度センサ52が設けられている。水素濃度センサ52の詳しい構成については後述する。
さらに、燃料電池システム10は、燃料電池システム10の各部の動きを制御する制御部70を備えている。制御部70は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPU74と、CPU74で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM75と、同じくCPU74で各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM76と、各種の信号を入出力する入出力ポート78等を備える。この制御部70は、各種センサ、例えば既述した大気圧センサ50や水素濃度センサ52の検出信号や、燃料電池22に対する負荷要求に関する情報などを取得する。また、燃料電池システム10が備える圧力調整弁62、エアコンプレッサ24、水素ポンプ65、あるいはバルブ61,27aなど、燃料電池22の発電に関わる各部に駆動信号を出力する。
図2は、本実施例の燃料電池システム10を搭載する電気自動車15の構成の概略を表わすブロック図である。図2に示すように、車両の駆動用電源である燃料電池システム10は、発電の本体である燃料電池22に加えて、さらに、2次電池40を備えている。なお、図2では、燃料電池22に係る電気的な接続状態を中心に表わしており、燃料電池22におけるガスの給排に関わる流路等の記載は省略している。
電気自動車15は、燃料電池システム10から電力を供給される負荷として、駆動インバータ30を介して燃料電池システム10に接続される駆動モータ32と、補機類44とを備えている。これらの負荷と燃料電池システム10との間には、配線48が設けられており、この配線48を介して、燃料電池システム10と負荷との間で電力がやり取りされる。ここで、2次電池40は、DC/DCコンバータ42を介して上記配線48に接続されており、DC/DCコンバータ42と燃料電池22とは、上記配線48に対して並列に接続されている。
2次電池40は、燃料電池システム10の始動時に、燃料電池システム10の各部を駆動するための電力を供給したり、燃料電池システム10の暖機運転が完了するまでの間、各負荷に対して電力を供給する。また、燃料電池22が定常状態で発電を行なうときにも、負荷が所定の値よりも大きくなる場合には、2次電池40によって電力を補うこととしても良い。さらに、本実施例では、2次電池40は、燃料電池システム10の停止中に、燃料電池22から水素を排出する動作を行なうために要する電力を供給する。この水素排出の動作については後に詳しく説明する。なお、2次電池40は、燃料電池22によって適宜充電される。
DC/DCコンバータ42は、出力側の目標電圧値を設定することによって、配線48を介して並列に接続される燃料電池22からの出力電圧を調節して燃料電池22の発電量を制御すると共に、2次電池40の充放電状態を制御する。なお、DC/DCコンバータ42は、2次電池40と配線48との接続状態を制御するスイッチとしての役割も果たしており、2次電池40において充放電を行なう必要のないときには、2次電池40と配線48との接続を切断する。
また、配線48には、配線48と燃料電池22との接続を入り切りするスイッチ47が設けられている。2次電池40のみから負荷に対して電力を供給するとき、あるいは、燃料電池システム10を停止する際には、このスイッチ47によって、燃料電池22と配線48との接続が切断される。
負荷の一つである駆動モータ32は、同期モータであって、回転磁界を形成するための三相コイルを備えており、駆動インバータ30を介して燃料電池システム10から電力の供給を受ける。駆動インバータ30は、上記駆動モータ32の各相に対応してスイッチング素子としてのトランジスタを備えるトランジスタインバータである。駆動モータ32の出力軸36は、減速ギヤ34を介して車両駆動軸38に接続している。
他の負荷である補機類44には、既述したエアコンプレッサ24や水素ポンプ65など、燃料電池22が発電する際に駆動する必要のある燃料電池補機が含まれている。なお、補機類44のうち、駆動電圧がより低いバルブ類は、図示しない降圧DC/DCコンバータによって降圧された電力が供給される。さらに、補機類44としては、燃料電池補機に含まれるものの他に、例えば電気自動車15が備える空調装置(エアコン)といった車両補機が含まれる。
なお、制御部70は、燃料電池システム10が備えるものとして説明したが、本実施例の電気自動車15では、制御部70によって車両全体の制御が行なわれている。したがって、制御部70は、補機類44やDC/DCコンバータ42の他、駆動インバータ30に対しても駆動信号を出力する。この制御部70もまた、駆動モータ32や補機類44と同様に、燃料電池22および2次電池40から電力の供給を受けて動作する。
B.システム停止中における水素排出処理:
燃料電池システム10を停止すると(例えば、電気自動車15に設けられた図1に示す駆動スイッチ80が使用者によってオフにされると)、燃料電池システム10を構成する各部の運転が停止される。例えば、燃料電池22における発電の停止に伴って、エアコンプレッサ24が停止されて燃料電池22への酸化ガスの供給が停止される。さらに、シャットバルブ61が閉じられて、循環流路への水素ガスの供給が停止されると共に、水素ポンプ65が停止されて循環流路内に水素ガスが滞留する状態となる。このとき、燃料電池システム10の各部を制御する制御部70に対する電力の供給も遮断される。
燃料電池システム10が停止された後は、燃料電池22内部では、燃料電池22が備える電解質膜を介して、アノード側の流路内に滞留する水素ガスがカソード側の流路へと次第に透過する。本実施例では、燃料電池システム10の停止中に燃料電池22内部で電解質層を介してアノード側からカソード側へと水素が透過することによるカソード側流路における水素濃度の上昇を、カソード排ガス路68に設けられた水素濃度センサ52によって検出している。なお、本実施例では、水素濃度センサ52は、カソード排ガス路68における燃料電池22との接続部近傍に設けられているが、その他の位置、例えば、酸化ガス供給路67における燃料電池22との接続部近傍に設けることも可能である。カソード側の流路へと透過した水素を検出可能な位置であればよい。
図3は、燃料電池システム10の停止時に実行される処理であって、カソード側流路における水素濃度に基づいてカソード側流路から水素を排出する処理に関わる各部を表わすブロック図である。また、図4は、燃料電池システム10の停止時に、カソード側流路における水素濃度の上昇に対応するために燃料電池システム10で繰り返し実行される水素排出処理の工程を表わすフローチャートである。図3に示すように、水素濃度センサ52は、カソード排ガス路68内の水素濃度を感知して、感知した水素濃度に応じた電気信号Aを発生するセンシング部53と、センシング部53からの電気信号Aを取得して所定の処理を実行する水素透過量判定回路54と、を備えている。この水素濃度センサ52は、燃料電池システム10が停止された後も、2次電池40から電力の供給を受けることによって動作する。従って、燃料電池システム10が停止された後は、まず、センシング部53が、カソード側流路における水素濃度を検出する(ステップS100)。
センシング部53が水素濃度に応じた電気信号Aを出力すると、水素透過量判定回路54は、この電気信号Aを取得して、カソード側流路(カソード排ガス路68)内の水素濃度が基準値を超えているか否かを判定する(ステップS110)。このステップS110で用いる基準値とは、後述する水素排出処理のためにエアコンプレッサ24を駆動する必要があるか否かの判断基準となる値であり、予め設定された値である。なお、センシング部53から電気信号Aを取得して上記判定を行なう動作は、常に実行され続けることとしても良いが、水素透過量判定回路54が備えるクロックを参照して所定の時間間隔で行なわれることとしても良い。これにより、燃料電池システム10の停止後に水素濃度検出のために消費される電力量を抑えることができる。水素透過量判定回路54は、カソード側流路内の水素濃度が所定の基準値を超えると判断されるまで、電気信号Aを取得して基準値と比較する動作を繰り返す。
水素透過量判定回路54は、水素濃度が所定の基準値を超えたと判断すると、スイッチ回路82に対して接続信号を出力すると共に、制御部70に対して水素濃度超過信号を出力する(ステップS120)。
スイッチ回路82は、2次電池40と制御部70とを接続する配線に設けられており、2次電池40から制御部70への電力供給を入り切りする回路である。このスイッチ回路82には、常に2次電池40から電力が供給されており、水素透過量判定回路54からの接続信号の入力があると接続状態になる。これによって、2次電池40から制御部70に対して電力供給が開始される。このように電力供給が開始されると、水素濃度超過信号が入力されている制御部70のCPU74では、酸化ガス制御部71が起動される(ステップS130)。
起動された酸化ガス制御部71は、システム停止中に水素濃度が超過したものと判断して、水素排出処理のための水素排出プログラムを実行する。すなわち、エアコンプレッサ24を駆動して、燃料電池22のカソード側流路に空気を供給する(ステップS140)。これによって、燃料電池22内で電解質層を介してアノード側からカソード側へと透過した水素が、希釈器26を介して外部に排出される。このときのエアコンプレッサ24の駆動量(回転数)および駆動時間は、ステップS110において判断基準として用いる基準値となる水素濃度や、カソード側流路全体の容積などを考慮して、外部に排出されるガス中の水素濃度が充分に低くなる空気量を供給可能となるように設定しておけばよい。なお、ステップS140においては、エアコンプレッサ24は、2次電池40から電力供給を受ける。
酸化ガス制御部71は、上記所定の駆動量で所定の駆動時間だけエアコンプレッサ24を駆動すると、水素排出プログラムを終了してエアコンプレッサ24の駆動を停止する。酸化ガス制御部71が水素排出プログラムを終了すると、制御部70は、スイッチ回路82に対して図示しない切断信号を出力する。これにより、スイッチ回路82は切断状態となって、制御部70への電力供給が遮断され(ステップS150)、水素排出処理が終了する。
なお、燃料電池システム10の停止中に、電気自動車15に設けられた駆動スイッチ80が使用者によってオンにされた場合には、駆動スイッチ80から、スイッチ回路82に対して接続信号が出力されると共に、制御部70に対して駆動信号が出力される(図3参照)。これにより、スイッチ回路82は、水素透過量判定回路54から接続信号を入力された場合と同様に接続状態となり、2次電池40から制御部70に対して電力供給が開始されて制御部70が起動される。
このように電力供給が開始されると、駆動信号が入力されている制御部70は、通常のシステム起動を行なうべきと判断して、システム起動プログラムを実行する。すなわち、エアコンプレッサ24の他、シャットバルブ61、圧力調整弁62、水素ポンプ65等にも駆動信号を出力して、燃料電池22による発電を開始するための処理を実行する。燃料電池22からの発電が開始されると共に既述したスイッチ47(図2参照)が接続されることにより、燃料電池22から各部(駆動モータ32、補機類44あるいは制御部70)に対する電力供給が可能となる。
燃料電池システム10の稼働中に駆動スイッチ80が使用者によってオフにされると、駆動スイッチ80は、制御部70に対して図示しない切断信号を出力する。これにより、スイッチ回路82は切断状態となって、2次電池40から制御部70への電力供給が遮断されると共に、制御部70では所定のシステム停止処理が実行される。これにより、燃料電池22による発電が停止し、制御部70が停止する。
なお、ステップS120で水素濃度超過信号が制御部70に出力された後に、駆動スイッチ80がオンにされる場合が考えられる。このような場合には、制御部70においては、水素排出プログラムを終了してから通常のシステム起動プログラムを実行してもよいし、実行途中の水素排出プログラムをキャンセルして、通常のシステム起動プログラムを実行することとしても良い。
以上のように構成された構成された本実施例の燃料電池システム10によれば、燃料電池システム10の停止中にカソード側の流路における水素濃度が所定値を超えるとエアコンプレッサ24を駆動するため、カソード側の流路における水素濃度の上昇を抑えることができる。したがって、次回システム起動時にエアコンプレッサ24を駆動したときに、カソード排ガスとして、望ましくない程度に水素濃度が高いガスが排出されることがない。
また、本実施例の燃料電池システム10によれば、システム停止中には制御部70も停止し、水素濃度を判定するためには水素濃度センサ52のみを用いるため、システム停止中の消費電力を抑えることができる。
さらに、水素排出処理のために燃料電池22は起動せず、燃料電池以外の電力出力部である2次電池40を電源としてエアコンプレッサ24だけを駆動するため、システム効率の低下を抑制することができる。燃料電池22による発電を行なうためには、水素ポンプ65を始めとする各種燃料電池補機を駆動する必要があるが、2次電池40のみを電源とすることで、燃料電池補機の駆動に起因するシステム効率の低下を防止できる。さらに、燃料電池による発電のために水素供給を行なうと、燃料電池内部の燃料ガス流路では再び水素濃度が高まるが、水素排出処理のために2次電池40を用いることにより、水素排出処理に起因して燃料電池内部において水素濃度が再び上昇することもない。ただし、燃料電池22による発電を行なわせて水素排出を行なうこととしても可能である。例えば、2次電池40の残存容量が低い場合には、燃料電池22による発電を行なわせて水素排出を行なうことで、次回システム起動時における2次電池40の残存容量を確保することが可能となる。
C.第2実施例:
第1実施例では、燃料電池システム10の停止中(駆動スイッチ80がオフのとき)には制御部70を停止しているが、システム停止中であっても制御部70への電力供給を継続することとしても良い。このような構成を第2実施例として以下に説明する。
図5は、第2実施例の燃料電池システムの停止時に、カソード側流路における水素濃度を検出してカソード側流路から水素を排出する動作に関わる各部を表わすブロック図である。第2実施例の燃料電池システムは、第1実施例の燃料電池システム10と類似する構成を有するため、共通する部分については同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。また、図6は、第2実施例の燃料電池システムの停止時に、カソード側流路における水素濃度の上昇に対応するために燃料電池システムで繰り返し実行される水素排出処理の工程を表わすフローチャートである。
ここで、第2実施例の燃料電池システムでは、水素濃度センサ52と共に制御部70も、燃料電池システムの停止中に2次電池40から電力供給を受ける。ただし、制御部70は、駆動スイッチ80がオフにされてシステムが停止する際にはスリープモードとなる。すなわち、水素濃度センサ52からの信号を取得した場合には直ちに動作可能であるが、電気自動車15の制御に関わる機能は休止しており、システム稼働時に比べて消費電力が少ない運転状態となる。
第2実施例の燃料電池システムにおいても、第1実施例と同様に、駆動スイッチ80がオフにされた後には、水素濃度センサ52のセンシング部53が、カソード排ガス路における水素濃度を検出する(ステップS200)。そして、センシング部53が水素濃度を検出して水素濃度に応じた電気信号Aを出力すると、水素透過量判定回路54は、この電気信号Aに基づいて、カソード側流路内の水素濃度が所定の基準値を超えているか否かを判定する(ステップS210)。水素透過量判定回路54において、水素濃度が所定の基準値を超えると判断されると、水素透過量判定回路54から制御部70に対して水素濃度超過信号が出力される(ステップS220)。
制御部70は、水素濃度超過信号を取得すると、酸化ガス制御部71においてスリープモードを解除する(ステップS230)。これにより、酸化ガス制御部71は、第1実施例と同様にエアコンプレッサ24のみを駆動して燃料電池22のカソード側流路に空気を供給する動作を実行する(ステップS240)。なお、ステップS240においては、エアコンプレッサ24は、2次電池40から電力供給を受ける。所定の駆動条件(駆動量および駆動時間)でエアコンプレッサ24を駆動すると、酸化ガス制御部71は、エアコンプレッサ24の駆動制御を停止して、再びスリープモードとなる(ステップS250)。これにより、水素排出処理が終了する。
なお、第2実施例では、燃料電池システムの停止中に電気自動車15に設けられた駆動スイッチ80が使用者によってオンにされた場合には、駆動スイッチ80から制御部70に対して第1実施例と同様の駆動信号が出力される(図5参照)。このような場合には、制御部70は、スリープモードを解除して、燃料電池22による発電を行なうための制御を直ちに開始する。燃料電池システムの稼働中に駆動スイッチ80が使用者によってオフにされると、駆動スイッチ80から制御部70に対して図示しない切断信号が出力される。これにより、制御部70では、所定のシステム停止処理が実行されると共に、制御部70自身はスリープモードとなる。また、ステップS220で水素濃度超過信号が制御部70に出力された後に、駆動スイッチ80がオンにされた場合には、制御部70においては、水素排出の動作を終了してから発電開始のための処理を実行してもよいし、実行途中の水素排出処理をキャンセルして、発電開始のための処理を実行しても良い。
以上のように構成された構成された第2実施例の燃料電池システムによれば、第1実施例と同様の効果を得ることができる。すなわち、燃料電池システムを停止させた後のカソード側流路における水素濃度の上昇を抑え、次回システム起動時にエアコンプレッサを駆動したときに、カソード排ガスとして望ましくない程度に水素濃度が高いガスが排出されることを防止できる。また、システムを停止させた後は制御部70がスリープモードとなるため、制御部70における電力消費を抑制することができる。さらに、第2実施例の燃料電池システムによれば、システムを停止させた後も制御部70を停止することなくスリープモードにするため、制御部70が水素濃度超過信号や駆動信号を取得したときには、制御部70自身を起動するための処理を行なう必要がなく、より短い時間で所望の処理を開始することができる。
なお、第2実施例では、駆動スイッチ80がオフにされた後には制御部70全体がスリープモードになることとしたが、少なくとも酸化ガス制御部71がスリープモードになれば、酸化ガス制御部71における消費電力を削減する効果が得られる。例えば、駆動スイッチ80がオフにされた後にも、制御部70において水素排出処理以外の何らかの処理を行なうこととしても良い。この場合には、スリープモードとなっている酸化ガス制御部71は、水素濃度超過信号および駆動信号以外の信号は無視して待機する状態とすればよい。
また、第2実施例の燃料電池システムにおいて、システム停止中に制御部70をスリープモードに保ち続けるのではなく、システム停止期間が長いときには、第1実施例と同様に制御部70への電力供給を遮断して制御部70を停止させることとしても良い。電解質層を介したアノード側流路からカソード側流路への水素の透過は、燃料電池による発電停止後直ちに進行するが、やがて平衡状態に達する。また、2次電池40を電源としてエアコンプレッサ24を駆動して水素を排出することにより、カソード側流路内の水素濃度は次第に低減される。そのため、例えばシステム停止中のエアコンプレッサ24の駆動回数が所定回数を超えたとき、あるいは、水素濃度センサによる水素濃度超過の検出が所定時間行なわれなかったときなど、燃料電池内の水素量が充分に低減されたと判断されるときには、制御部70を停止させることとしても良い。これにより、システム停止が長期にわたるときに、消費電力を抑えることができる。
D.第3実施例:
燃料電池においては、電解質層の劣化が進行することによって、電解質層を介した水素の透過量が増大する場合がある。例えば固体高分子型燃料電池においては、電解質膜の経時的な劣化によって電解質膜にピンホールが次第に発生し、水素の透過量が増大する場合がある。第3実施例の燃料電池システムでは、システム停止中にカソード側流路内の水素濃度を水素濃度センサによって検出する際に、水素濃度の上昇率に基づいて、このような水素透過量を増大させる不具合が発生しているか否かを判定している。
図7は、第3実施例の燃料電池システムの停止時において、水素濃度の上昇率に基づいて実行される水素濃度上昇率判定処理の工程を表わすフローチャートである。なお、第3実施例の燃料電池システムは、図3に示した第1実施例の燃料電池システム10と同様の構成を有しており、燃料電池システムの停止時には、図4と同様の水素排出処理が繰り返し実行される。図7に示す水素濃度上昇率判定処理は、第3実施例の燃料電池システムにおいて、図4の水素排出処理と並行して実行される処理である。
第3実施例の燃料電池システムの停止時において、水素濃度センサ52では、既述した水素濃度の検出と共に、システム停止時からの経過時間が測定される(ステップS300)。ここで、第3実施例の燃料電池システムでは、駆動スイッチ80がオフにされて燃料電池による発電が停止されると共に制御部70が停止するときに、制御部70から水素透過量判定回路54に対して、図示しないクロックリセット信号が出力される。このクロックリセット信号により、水素透過量判定回路54が備えるクロックがリセットされて、水素透過量判定回路54において、前回に燃料電池システムを停止してからの経過時間が測定される。
ここで、図4のステップS110において水素濃度が超過であると判定されると、既述した水素濃度超過信号が出力されると共に、水素透過量判定回路54から制御部70に対して、クロックを用いて測定された経過時間を示す経過時間信号が出力される(ステップS310)。水素濃度超過信号によって起動された制御部70は、上記経過時間信号を取得して、前回駆動スイッチ80がオフにされて燃料電池による発電を停止してから水素濃度超過であると判定されるまでの経過時間と、基準値とを比較する(ステップS320)。ここで、ステップS320で用いる基準値とは、発電を停止してから水素濃度センサ52で水素濃度超過であると判定されるまでに要する時間の予測値として、予め設定され記憶されている値である。燃料電池システムにおける燃料ガスの配管容量は一定であり、また、システム停止時における配管内の水素圧や、劣化が生じていない電解質膜における水素透過率を予め知ることが可能であるため、このような予測値を設定することが可能となるのである。
このような基準値に比べて上記経過時間が短すぎる場合には、電解質膜の劣化などの、水素透過量を増大させる不具合が発生していると考えられる。従って、ステップS320で経過時間が基準値に比べて短すぎると判断されると、制御部70は、報知部72(図1参照)を駆動して(ステップS330)、水素濃度上昇率判定処理を終了する。ここで、報知部72とは、水素濃度上昇率が高すぎる(水素透過速度が速すぎる)ことを使用者に知らせるために電気自動車15に設けられるものである。報知部72としては、例えば、電気自動車15の運転席近傍(例えばインストルメントパネル)に設けた表示部とすることができる。ステップS330では、この表示部において所定の形状の表示を点灯させればよい。あるいは、報知部72によって、水素透過率の上昇を告げる音声や、所定の警報音を発する構成としても良い。
なお、ステップS320において、経過時間が短すぎると判断されない場合には、燃料電池において水素透過量を増大させる不具合は生じていない、すなわち、電解質膜において問題とすべき劣化は進行していないと判断されて、燃料電池システムにおいて水素濃度上昇率判定処理は終了される。
以上のように構成された第3実施例の燃料電池システムによれば、第1実施例と同様の効果に加えて、さらに、燃料電池が備える電解質膜の劣化などの水素透過量を増大させる不具合を検出できるという効果を奏する。このような不具合が生じたときには、報知部72による報知が行なわれるため、電解質膜の劣化がより進行するなど、水素透過量を増大させる不具合がより大きくなる前に、適切な対処が可能となる。
なお、第3実施例では、前回に駆動スイッチ80がオフとなってからの経過時間に基づく判定を行なっているが、電解質膜を介した水素透過の程度、すなわち、透過する水素量の増加速度や、カソード側流路における水素濃度の上昇率を反映する情報に基づく判定であればよい。
また、上記実施例では、前回に駆動スイッチ80がオフとなってからの水素透過量を問題としているが、システム停止中に水素排出処理を繰り返す場合に、前回に水素排出処理を行なってからの水素透過量に基づいて同様の判断を行なうことも可能である。この場合には、水素排出処理を終了する際に、制御部70から水素透過量判定回路54に対して、クロックリセット信号を出力すればよい。
また、水素透過の程度を判定する動作を、第1実施例と同様の燃料電池システムに代えて、第2実施例と同様の燃料電池システムに適用することとしても良い。この場合には、前回に燃料電池の発電を停止してからの経過時間は、スリープモードとなる制御部70において計測することとしても良い。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
第1および第2実施例では、水素濃度センサ52を設けて、カソード側流路における水素濃度として、電解質層を介した水素透過の程度を実測しているが、水素透過の程度を推定することとしても良い。例えば、電解質層における水素透過率やアノード側ガス流路の容積などのシステム構成に基づいて、カソード側流路における水素濃度が所定値となるのに要する時間を予め推定することができるため、推定された所要時間を経過したときに、水素排出処理を実行することとしても良い。
なお、システム停止中の水素排出処理は、検出した水素濃度に応じて、あるいは経過時間に応じて、複数回行なうこととしても良いし、1度行なうこととしても良い。燃料ガス及び酸化ガスの配管容量と、測定されたあるいは推定された透過水素量と、を考慮して、エアコンプレッサにおいて充分な駆動量(カソード側に供給する空気流量)を設定することで、外部に排出する水素濃度を充分に低減できればよい。
E2.変形例2:
水素排出のために酸化ガス流路に供給する空気の流量は、エアコンプレッサなどの酸化ガス供給部の駆動量(回転数)によって調節することができるが、実際に供給される空気量は、燃料電池システムの配設場所における大気圧の影響を受ける。すなわち、大気圧がより低い環境では、酸化ガス供給部における駆動量を同じにしても、実際に供給される空気流量はより少なくなる。ここで、外部に排出する水素濃度を充分に低減するためには、カソード側流路に対して所望の流量で空気を流す必要があるため、水素排出の動作を行なうときには、酸化ガス供給部の駆動量を、使用環境の大気圧に応じて補正することが望ましい。第1実施例の燃料電池システム10は、酸化ガス供給路67に大気圧センサ50を備えているため、この大気圧センサ50の検出値に基づいて、大気圧がより低いときには、酸化ガス供給部の駆動量をより増加させるように補正を行なえばよい。あるいは、酸化ガス供給部の駆動量として、大気圧に応じた望ましい駆動量をマップとして予め用意しておき、検出した大気圧に基づいて上記マップを参照して、酸化ガス供給部の駆動量制御をしても良い。
なお、このような大気圧に基づいて酸化ガス供給部の駆動量の補正を行なう際には、大気圧を直接には検出しないこととしても良い。大気圧を反映する情報を取得可能であれば、同様の制御が可能である。例えば、燃料電池システムを搭載する電気自動車が、カーナビゲーションシステムを搭載し、GPS信号を受信可能であれば、GPS信号から、大気圧と相関のある高度情報を得て、この高度情報に基づいて酸化ガス供給部の駆動量制御を行なうこととしても良い。
E3.変形例3:
実施例とは異なる構成の燃料電池システムにおいて本発明を適用することとしても良い。例えば、実施例の燃料電池システムでは、燃料電池に供給される水素ガスは循環流路内を循環するが、アノード排ガス路を設けず、燃料電池からアノード排ガスを排出させない構成(いわゆるデッドエンド型)としても良い。上記構成では、水素の循環は行なわれないが、発電で消費された水素量に対応する量の水素が新たに燃料電池内に供給される。このような燃料電池システムであっても、システム停止中には電解質層を介した水素の透過が進行するため、本発明を適用することで同様の効果が得られる。
あるいは、純度の高い水素を貯蔵する水素タンクを備える構成に代えて、改質器を設け、炭化水素系燃料を改質して得られる改質ガスを、燃料ガスとして燃料電池に供給することとしても良い。この場合にも、燃料電池システムの停止時にアノード側流路に水素濃度が高いガスが残留すると、電解質層を介した水素透過が進行するため、本発明を適用することで同様の効果が得られる。
また、燃料電池システムを、実施例のように移動体の駆動用電源とする他、定置型の発電装置として用いる場合であっても、本発明を適用可能である。
燃料電池の発電に関わる部分の構成の概略を表わすブロック図である。 実施例の電気自動車の概略構成を表わすブロック図である。 システム停止時の水素排出処理に関わる各部を表わすブロック図である。 水素排出処理の工程を表わすフローチャートである。 システム停止時の水素排出動作に関わる各部を表わすブロック図である。 水素排出処理の工程を表わすフローチャートである。 水素濃度上昇率判定処理の工程を表わすフローチャートである。
符号の説明
10…燃料電池システム
15…電気自動車
22…燃料電池
23…水素タンク
24…エアコンプレッサ
25…加湿モジュール
26…希釈器
27…気液分離器
27a…バルブ
28…エアクリーナ
30…駆動インバータ
32…駆動モータ
34…減速ギヤ
36…出力軸
38…車両駆動軸
42…DC/DCコンバータ
44…補機類
47…スイッチ
48…配線
50…大気圧センサ
52…水素濃度センサ
53…センシング部
54…水素透過量判定回路
60…水素供給路
61…シャットバルブ
62…圧力調整弁
63…アノード排ガス路
64…排ガス排出路
65…水素ポンプ
67…酸化ガス供給路
68…カソード排ガス路
70…制御部
71…酸化ガス制御部
72…報知部
74…CPU
75…ROM
76…RAM
78…入出力ポート
80…駆動スイッチ
82…スイッチ回路

Claims (6)

  1. 燃料電池を備える燃料電池システムであって、
    前記燃料電池のアノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
    前記燃料電池のカソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給部と、
    前記燃料電池システムがシステム停止状態であるときに、前記燃料電池内部における電解質層を介したアノード側からカソード側への水素透過量を反映する情報に基づいて、所定量の水素が透過したか否かを判定する水素透過量判定部と、
    前記水素透過量判定部によって、前記所定量の水素が透過したと判定されたときに、前記酸化ガス供給部を駆動する酸化ガス制御部と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料電池の他に、電力を出力可能な電力出力部を備え、
    前記酸化ガス供給部は、前記所定量の水素が透過したと判定されたときには、前記電力出力部から電力供給を受けて前記酸化ガスの供給を行なう
    燃料電池システム。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料電池システムが前記所定のシステム停止状態であるときに、前記水素透過量の増加速度が所定のレベルを超えているか否かを判定する水素透過速度判定部を備える
    燃料電池システム。
  4. 請求項3記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記水素透過速度判定部が、前記水素透過量の増加速度が前記所定のレベルを超えていると判定したときに、該判定が行なわれたことを報知する報知部を備える
    燃料電池システム。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池システムであって、さらに、
    大気圧を反映する情報を取得する大気圧情報取得部を備え、
    前記酸化ガス制御部は、前記大気圧情報取得部が取得した情報に基づいて、大気圧がより低いときには、前記酸化ガス供給部の駆動量をより増加させる
    燃料電池システム。
  6. 燃料電池を備える燃料電池システムの運転方法であって、
    (a)前記燃料電池システムがシステム停止状態であるときに、前記燃料電池内部における電解質層を介したアノード側からカソード側への水素透過量を反映する情報に基づいて、所定量の水素が透過したか否かを判定する工程と、
    (b)前記(a)工程において前記所定量の水素が透過したと判定されたときに、前記燃料電池のカソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する工程と
    を備える燃料電池システムの運転方法。
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