JP2006251749A - コンタクトガラス、画像読み取り装置、画像形成装置及びコンタクトガラスの製造方法 - Google Patents

コンタクトガラス、画像読み取り装置、画像形成装置及びコンタクトガラスの製造方法 Download PDF

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將浩 谷内
Junichiro Natori
潤一郎 名取
Hiroshi Kusumoto
弘 楠本
Masafumi Kawachi
雅史 河内
Akira Hirose
明 広瀬
Hiroshi Kubo
宏 久保
Tatsuaki Nagano
竜明 長野
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Abstract

【課題】 防汚性、耐磨耗性の高い防汚層を有するコンタクトガラス(画像読み取り装置用ガラス)、画像読み取り装置、画像形成装置及び画像読み取り装置用ガラスの製造方法を提供すること。
【解決手段】 防汚性、耐磨耗性の高い防汚層を有するコンタクトガラス(画像読み取り装置用ガラス)、画像読み取り装置、画像形成装置及び画像読み取り装置用ガラスの製造方法を提供すること。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンタクトガラス、画像読み取り装置、画像形成装置及びコンタクトガラスの製造方法に関する。
画像読み取り装置においては、搬送手段を用いて原稿用紙を読み取り装置のコンタクトガラス上を通過させ、この際に、原稿用紙の画像データを読み取るシートスルー方式のものが知られている。
シートスルー方式の画像読み取り装置においては、原稿用紙を読み取る際に、原稿用紙がコンタクトガラスに接触しながら通過する。そのため、原稿の画像面側に付いた粉塵、粘着剤、接着剤、油性インク、修正液等がコンタクトガラス上に付着してしまい、異物として出力画像に移りこんでしまう場合がある。特に、シートスルー方式の場合には、異物の影が副走査方向に連続して表われてしまうため、いわゆる黒スジが発生してしまうので画像の劣化が激しいものとなってしまう。
そこで、近年では、コンタクトガラスへの付着物の付着をいかにして抑制するかが考えられている。
特許文献1、特許文献2では、パーフルオロ・アルキルポリエーテルと、側鎖がモノアミノアルキル基またはジアミノアルキル基を含むアミノ基で変性されたポリジメチルシロキサンを板ガラスに塗布することで、付着物の付着を抑制する技術が提案されている。
また、特許文献3、特許文献4では、ガラス表面に光触媒のような汚れ分解機能を有する材料をコーティングしたりすることで、付着物の付着を抑制する技術が提案されている。
特開2001−226145号公報 特開2001−238044号公報 特開2000−39680号公報 特開平09−179197号公報
しかし、上記の特許文献に記載されている技術では、付着物の付着を抑制する防汚層の経時による摩耗に対して何ら解決手段を提案していない。そのため、防汚層が経時により摩耗してしまうと、当然に防汚性が低下し付着物が付着するので、読み取った画像の画像品質が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、防汚性、耐磨耗性の高い防汚層を有するコンタクトガラス(画像読み取り装置用ガラス)、画像読み取り装置、画像形成装置及び画像読み取り装置用ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、上記課題は本発明の(1)〜(16)によって解決される。
(1)「画像読み取り装置に用いられるコンタクトガラスであって、前記コンタクトガラスは、異物の付着を防止する防汚層を有し、前記防汚層は、改質されたフッ素系材料から構成されていることを特徴とするコンタクトガラス」;
(2)「前記改質された前記フッ素系材料は、電離放射線照射処理により架橋して改質されていることを特徴とする前記第(1)項に記載のコンタクトガラス」;
(3)「前記フッ素系材料は、フッ素置換アルキル基構造を有する化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のコンタクトガラス」;
(4)「前記フッ素置換アルキル基構造を有する化合物は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物であることを特徴とする前記第(3)項に記載のコンタクトガラス」;
(5)「前記フッ素系材料は、パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のコンタクトガラス」;
(6)「前記パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物は、ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を持つ化合物であることを特徴とする前記第(5)項に記載のコンタクトガラス」;
(7)「前記フッ素系材料は、少なくともフッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のコンタクトガラス」;
(8)「前記フッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物のフッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基のモル比が0.1から10であることを特徴とする前記第(7)項に記載のコンタクトガラス」;
(9)「前記コンタクトガラスは、表面に微細な凹凸を有することを特徴とする前記第(3)項乃至第(8)項のいずれかに記載のコンタクトガラス」;
(10)「前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載のコンタクトガラスを有する画像読み取り装置」;
(11)「前記第(10)項に記載の画像読み取り装置を有する画像形成装置」;
(12)「画像読み取り装置に用いられるコンタクトガラスの製造方法であって、ガラス基板の表面洗浄、表面処理を行なう第1の工程と、前記ガラス基板の表面にフッ素系材料を塗布、蒸着し、防汚層を形成する第2の工程と、前記防汚層を形成する前記フッ素系材料を改質する第3の工程を有することを特徴とするコンタクトガラスの製造方法」;
(13)「前記第1の工程は、酸性溶液を用いて前記ガラス基板の表面処理を行なう酸洗浄処理工程と、アルカリ性溶液を用いて前記ガラス基板の表面処理を行なうアルカリ洗浄処理工程と、プラズマを用いて前記ガラス基板の表面処理を行なうプラズマ処理工程と、溶解力の大きい溶剤を用いて前記ガラス基板の表面処理を行なう溶剤洗浄処理工程と、のうち少なくとも1つの工程を有することを特徴とする前記第(12)項に記載のコンタクトガラスの製造方法」;
(14)「前記第2の工程は、前記フッ素系材料を含有するパーフルオロ溶液を減圧下で加熱し、前記ガラス基板上に蒸着させることで、前記ガラス基板上に防汚層を形成することを特徴とする前記第(12)項又は第(13)項に記載のコンタクトガラスの製造方法」;
(15)「前記第3の工程は、前記ガラス基板上の前記防汚層に電離放射線を照射することで、前記防汚層に含有される前記フッ素系材料を改質することを特徴とする前記(12)項乃至第(14)項のいずれかに記載のコンタクトガラスの製造方法」;
(16)「前記電離放射線の照射は、無酸素下で行なわれ、かつ、照射される線量が1kGyから10MGyの範囲内にあることを特徴とする前記第(15)項に記載のコンタクトガラスの製造方法」。
本発明により、コンタクトガラスの表面に改質されたフッ素系材料からなる防汚層を形成しているので、フッ素系材料の有する低表面エネルギー等による防汚性、及び改質されたことで得られる耐摩耗性をコンタクトガラスに付与することができ、経時での摩滅が少ない防汚層を有するコンタクトレンズを実現することが可能となる。
まず、図1を参照して、画像読み取り装置の構成を説明する。画像読み取り装置(10)は原稿テーブル(11)と、底板(12)と、呼び出しコロ(13)と、給紙ベルト(14)と、分離ローラ(15)と、搬送ローラ(16)と、排紙ローラ(17)と、排紙トレイ(18)と、コンタクトガラス(20)と、ランプ(21)と、反射ミラー(22)と、レンズ(23)と、CCD(24)と、から構成される。
原稿テーブル(11)にセットされた原稿用紙束は、底板(12)、呼び出しコロ(13)により読み取り装置内に取り込まれる。取り込まれた原稿用紙束は、給紙方向に回転する給紙ベルト(14)と給紙方向と逆方向に回転する分離ローラ(15)により分離され、一枚ずつ順番に搬送される。分離された原稿用紙は、搬送ローラ(16)によりコンタクトガラス(20)上を通過し、排紙ローラ(17)により排紙トレイ(18)上に排出される。
コンタクトガラス(20)の下方には、ランプ(21)と、反射ミラー(22)と、レンズ(23)と、CCD(24)と、が設けられており、コンタクトガラス(20)上を通過する原稿用紙に対しランプを用いて光を照射し、この反射光を反射ミラー(22)、レンズ(23)を介してCCD(24)に読み取らせることで、原稿用紙の原稿データを読み取る。
このように、画像読み取り装置においては、原稿の読み取り毎に原稿用紙がコンタクトガラス(20)の表面を通過する。そのため、コンタクトガラス(20)上への汚れの付着を防ぐ防汚層を設けても、原稿用紙の通過により削られてしまうので、防汚効果を持続させることが困難である。
そこで、本実施形態では、コンタクトガラスに防汚層を設け、該防汚層の構成材料にフッ素系材料を含有させ、これを電離放射線照射により改質させることで、高い防汚性、耐摩耗性を有するコンタクトガラスを実現する。以下、具体的に説明する。
本実施形態のコンタクトガラスにおいて、防汚層の形成に用いられるフッ素系材料としては、テトラフルオロエチレン系重合体及びその共重合体であるポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体、ポリフッ化ビニリデン、アモルファスフロオロポリマー(テフロン(登録商標)AF:デュポン製、サイトップ:旭硝子製等)等のフッ素置換アルキル基構造を有する化合物や、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物、パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物、ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を持つ化合物等が挙げられる。なお、上記のフッ素系材料は、2種類以上のフッ素系材料の混合したもの、分子量は異なるが同一構造のフッ素系材料の混合したもの、異種成分が添加されたフッ素系材料であってもよい。
これらのフッ素系材料は、固有の低エネルギー性を持っているため、コンタクトガラス上に該フッ素系材料からなる防汚層を形成すれば、低表面エネルギーによる防汚性を実現することができる。また、フッ素系材料は、電離放射線を照射し改質させることで耐摩耗性を付与できるので、経時による摩耗の少ない防汚層を持つコンタクトガラスを実現することができる。
〔フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物〕
まず、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物について説明する。フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物としては、下記の式(I)、式(II)で表わされる構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2006251749
(pは1以上の整数を表わす)
Figure 2006251749
(qは1以上の整数、Rはアルキル基を表わす)
式(I)のパーフロオロシラザン化合物としては、n−CFCHCHSi(NH、n−CCHCHSi(NH、n−CCHCHSi(NH、n−C13CHCHSi(NH、n−C17CHCHSi(NH等が挙げられる。また、式(II)のパーフロオロシランカップリング剤としては、n−CFCHCHSi(OCH、n−C17CHCHSi(OCH等が挙げられる。
なお、上記のフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物は、パープルオロ基数が大きいほうが好ましい。これは、パーフルオロ基数が大きいほど電離放射線により架橋することで改質をする際に良好な改質が可能となるからである。
〔パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物〕
次に、パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物について説明する。パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物としては、下記の式(III)で表わされる構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2006251749
(Rはパーフルオロアルキレン基を、nは2以上の整数を、それぞれ表わす)
パーフルオロアルキレン基としては、CF、CFCF、CFCFCF、CF(CF)CF等が挙げられる。なお、本実施形態においては、式(III)のパーフルオロアルキレン基の炭素数が1〜3のものが好ましい。
パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物としては、例えば、ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物等を挙げることができる。ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物について説明すると、ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物としては、下記の式(IV)、式(V)で表わされる構造を持つ化合物が挙げられる。
Figure 2006251749
Figure 2006251749
上記の式(IV)において、Rfは炭素数が1〜100の直鎖状のパーフルオロアルキル基、Xは水素または炭素数1〜5の低級アルキル基、Rは加水分解可能な基、mは1〜100の整数、nは0〜2の整数、lは1〜10の整数を表わす。なお、Rで示される加水分解可能な基としては、アミノ基、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。特に、Rがアルコキシ基である場合は、該アルコキシ基のアルキル部分が炭素数1または2のものが好ましい。
また、上記の式(V)において、Rfは炭素数が1〜100の直鎖状のパーフルオロアルキル基、Xは水素または炭素数1〜5の低級アルキル基、Rは加水分解可能な基、rは1〜100の整数、sは0〜2の整数、tは1〜10の整数を表わす。なお、Rで示される加水分解可能な基としては、アミノ基、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。特に、Rがアルコキシ基である場合は、該アルコキシ基のアルキル部分が炭素数1または2のものが好ましい。
このようにケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物は加水分解性可能
な基を持っているので、ガラス基板と強固に接合させるのに有効な働きをする。
また、上記のフッ素系材料は通常の製造方法によれば混合物として得られるので、分子量の異なった同種または異種材料を混合して用いることが可能である。特に、ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物とフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物とを併用すると、各々の特性を併せ持った防汚層を形成でき、電離放射線処理後に良好な防汚層を形成することができる。なお、混合する材料、混合比率は限定されるものではないので、相溶性が高い材料を混合することが好ましい。
〔フッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物〕
次に本発明で形成される防汚層において、フッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物は少なくとも下記式(VI)、下記式(VII)で表わされる構造を持つ化合物が好ましい。
Figure 2006251749
(式中、Rfは炭素数1〜100の直鎖状のパーフルオロアルキル基、Xは水素または炭素数1〜5の低級アルキル基またはハロゲン、Rは加水分解可能な基、Rは低級アルキル基、aは1〜100の整数、bは1〜3の整数、cは0〜2の整数b+c=3)
上記Rで示される加水分解可能な基としては、アミノ基、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられ、アルコキシ基の場合は、そのアルキル部分が炭素数1または2のものが好ましい。
また、フッ素置換アルキル基:Rfとパーフルオロポリエーテル基:(OCFCFCF)のモル比(Rf/(OCFCFCF))は0.1から10が好ましい。0.1未満の場合、防汚層の撥水撥油性が低下し、離型性が低下する。また10を越える場合、静電的に紙粉やゴミを付着し易くなり、また防汚層の可撓性の低下や潤滑性低下などが引き起こされ、耐久性が低下することとなるので好ましくない。
Figure 2006251749
(式中、Rfは炭素数1〜100の直鎖状のパーフルオロアルキル基、Xは水素または炭素数1〜5の低級アルキル基またはハロゲン、Rは加水分解可能な基、Rは低級アルキル基、eは1〜100の整数、fは1〜3の整数、gは0〜2の整数f+g=3)
上記Rで示される加水分解可能な基としては、アミノ基、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられ、アルコキシ基の場合は、そのアルキル部分が炭素数1または2のものが好ましい。
また、フッ素置換アルキル基:Rfとパーフルオロポリエーテル基:(OCFCF)のモル比(Rf/(OCFCF))は0.1から10が好ましい。0.1未満の場合、防汚層の撥水撥油性が低下し、離型性が低下する。また10を越える場合、静電的に紙粉やゴミを付着し易くなり、また防汚層の可撓性の低下や潤滑性低下などが引き起こされ、耐久性が低下することとなるので好ましくない。
また、該化合物が少なくともフッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物であることにより、パーフルオロポリエーテル基の分子構造由来の低表面エネルギー及び分子鎖のフレキシビリティ・可撓性・潤滑性や透光部材など基材と強固に接合するなどの特性とフッ素置換アルキル基の分子構造由来の撥水撥油性が高い、離型性が良好などの特性を併せ持ち、相分離を引き起こすことがなく、均一に透明な塗膜を形成でき、有機ケイ素構造を持つことで透光部材などの基材と強固に接合するなどの特性との相乗効果が発揮され、特に電離放射線処理後に良好な防汚層を形成することができ、耐摩耗性付与及び潤滑性付与し、ゴミ等の異物付着を防止し、経時での防汚性付与層の摩滅を防止し、特に耐久性に優れ、画質劣化の問題の解消を実現することが可能となる。
なお、該化合物は分子中の全パーフルオロ基数が大きいほうが好ましい。これは、パーフルオロ基数が大きいほど電離放射線により架橋することによって良好な改質した防汚層形成が可能となる。
また、該化合物のフッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基のモル比が0.1〜10であることにより、撥水撥油性(離型性)と可撓性(耐摩耗性、潤滑性)の両特性のバランスに優れ、該化合物により防汚層に防汚性を付与し、電離放射線により架橋することで耐摩耗性付与及び潤滑性付与し、ゴミ等の異物付着を防止し、経時での防汚性付与層の摩滅を防止し、特に耐久性に優れ、画質劣化の問題の解消を実現することが可能となる。0.1未満の場合、防汚層の撥水撥油性が低下し、離型性が低下し、電離放射線による架橋で良好な防汚層が形成できない。また10を越える場合、静電的に紙粉やゴミを付着し易くなり、また防汚層の可撓性の低下や潤滑性低下などが引き起こされ、耐久性が低下し、電離放射線による架橋でも良好な防汚層が形成できないこととなるので好ましくない。
上記の構造を有する化合物において、分子量が1000〜20000の範囲内にある場合、電離放射線処理により良好な防汚性を示す。さらに、分子量が2000〜10000の範囲内にある場合、良好な薄膜を形成することが可能となる。逆に、分子量が1000未満の場合は、防汚性、耐摩耗性が劣り、分子量が20000を超過する場合は、塗膜形成が不良となってしまう。よって、分子量が上記の範囲に収まるようなフッ素系材料を用いることが好ましい。
上記のようにコンタクトガラスを構成することにより、フッ素系材料の有する低表面エネルギー等による防汚性、及び改質されたことで得られる耐摩耗性をコンタクトガラスに付与することができ、経時での防汚層の摩滅を抑制することが可能となる。
なお、上記のフッ素系材料による防汚層を設けたコンタクトガラスにおいては、コンタクトガラス表面に微細な凹凸を設けた構成にするのが好ましい。このように構成することにより、コンタクトガラス表面と原稿用紙との接触面積が小さくなるので、原稿の汚れ、特に粘着剤等の粘着性の汚れが付着し難くなり防汚性の付与に効果がある。
また、凹部にフッ素系材料(潤滑性及び防汚性材料)が塗布され、フッ素系材料を電離放射線により架橋して改質されることでコンタクトガラスの表面構造が変化し耐摩耗性が向上するので、原稿用紙がコンタクトガラス表面を擦っても大幅に摩耗することはなくなり、経時での防汚層の摩滅を防止、耐久性の向上を図ることが可能となる。
なお、コンタクトガラス上に凹凸を設ける場合、表面粗さが0.5Sを超えていると、紙の填料粒子のような直径0.5〜10μmの汚れが凹部に入り込んでしまった場合に除去が困難になるという問題が生じる。表面粗さの異なるコンタクトガラス上に炭酸カルシウム(CaCO)微粒子を散布し、該炭酸カルシウムをブロワーで飛散させた場合の炭酸カルシウム微粒子の残留状況を調べてみたところ、表面粗さが0.1〜0.5Sのものでは、炭酸カルシウム(CaCO)微粒子の残留は認められなかったのに対して、表面粗さが0.5Sを超過するものでは、微粒子の残留が認められた。
また、表面粗さが0.5Sより大きい場合、目視で鏡面状態が確認できず、表面にくもりが見られるため、透光性に支障をきたす可能性がある。他方、表面粗さが0.5S以下である場合、目視においては鏡面状態が得られ、光学素子として充分な光の透過率が得られている。
よって、コンタクトガラス上に凹凸を設ける場合には、表面粗さは0.5S以下であることが好ましい。
なお、コンタクトガラス表面への凹凸の形成には、サンドブラスト法と化学的薬液処理法(エッチング処理法)を用いる。エッチング処理は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、純水と処理剤(酢酸、燐酸、塩酸、硫酸又はギ酸)を混合した薬液を用いてガラス表面に凹凸を形成する方法である。また、他の方法としては、コンタクトガラス表面にSiO粉を吹き付け、焼き付ける方法がある。
次に、本実施形態のコンタクトガラスの製造工程について説明する。本実施形態のコンタクトガラスの製造工程としては、コンタクトガラスの表面洗浄/表面処理を行なう表面処理工程と、コンタクトガラス表面に防汚層を形成する防汚層形成処理工程と、防汚層に電離放射線を照射することにより該防汚層を改質する改質処理工程と、がある。以下、工程別に説明する。
まず、表面処理工程について説明する。表面処理工程においては、ガラス基板表面の官能基改質、清浄化、表面粗さの制御を行なう。これにより、ガラス基板と防汚層との接着性を向上させることができるので、耐摩耗性、耐久性に優れたコンタクトガラスを製造することが可能となる。この表面処理工程には、アルカリ洗浄処理と、プラズマ処理と、溶剤洗浄処理と、がある。
アルカリ洗浄処理とは、ガラス基板をアルカリ性溶液中に浸漬し、超音波を照射することで、ガラス基板に固着している不純物、残留異物をエッチング除去するものである。この処理工程を行なうことで、ガラス基板と防汚層との接合強度を向上させることができる。なお、該工程では、水素イオン濃度pHが10以上の水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、テトラメチル水酸化物等の溶液を含むアルカリ水溶液が使用される。
なお、アルカリ洗浄処理は、前述のガラス基板への凹凸形成時の化学的薬液処理のような酸洗浄処理を行なった後に行なうのが好ましい。このように処理することにより酸洗浄処理で形成された変質層がエッチング除去され、表面も硬化されることとなる。
プラズマ処理とは、酸素、ヘリウム、アルゴン等を介在させてプラズマを発生させ、該プラズマによりガラス基板上の有機物除去処理を行なうものである。酸素プラズマ処理は、有機物除去に効果があり、かつ、親水性を高めることができるため、防汚層の部材接合強度の向上を実現できる。ヘリウムプラズマ処理は、比較的低分子量であるため光性部材へのダメージが少ない。アルゴンプラズマ処理は、比較的高分子量であるため有機物以外も除去することができ、洗浄及び処理効率を高めることができる。
溶剤洗浄処理とは、溶解力の大きい溶剤を利用して、表面処理を行なうものである。溶剤洗浄処理においては、紫外線照射を併用して、溶剤の分子浸透が光化学反応変化を増大する効果を利用し、有機物質の光分解と有機物構造の変化を促進させガラス基板表面の処理を実施する。
溶解力の大きい溶剤として、CFC等のフロン化合物、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン等のハロゲン化物等が挙げられる。しかし、近年においては環境保全優先のためフロン系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系の使用が禁止されており、その他の溶剤についても、環境規制法令管理下にあるため、使用できる溶剤には制限がある。特に、本実施形態の表面処理工程の溶剤洗浄処理においては、溶剤を多量に使用するため、浸透性、水和性、環境性が重要となってくる。
溶剤の水和性は、極性が強いほど大きくなる。他方、浸透性は無極性となるほど大きくなる。それゆえ、極性が強い多価アルコール、脂肪酸、アルデヒドでは、水和性は大きいが浸透性は小さく、極性が弱い炭化水素、ハロゲン化炭化水素では、水和性は小さいが浸透性は大きい。よって、これらの中からバランスの良好なものを選択する必要がある。水和性、浸透性のバランスが良好であるのは、アルコール類、ケトン類、含窒素化合物類、エーテル類、エステル類である。
また、炭素数が小さい溶剤は、無機性が大きいので水和性が大きくなり、炭素数の増加に伴い、無機性から有機性に向かい浸透性が増す傾向と、構造が大きくなることによる浸透性の減少の傾向と、がある。この傾向の中で水和性と浸透性を両立させるものを選択する必要がある。水和性と浸透性を両立させるものとしては、炭素数6以下のアルコール類、ケトン類、含窒素化合物類、エーテル類、エステル類、含窒素化合物が挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパルギルアルコール、アリルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、nブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルエーテル、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ビニールメチルエーテル等のエーテル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、ジメチルアミン、アセトアミド、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、アリルアミン、キノリン等の含窒素化合物等が挙げられる。
次に、防汚層形成処理工程について説明する。防汚層形成処理工程では、ガラス基板上に防汚層を成すフッ素系材料を塗布し、塗布したフッ素系材料を蒸着させることで防汚層を形成する。
フッ素系材料の塗布方法としては、スピンコート塗装法、浸漬塗装法、ロールコート塗装法、グラビアコート塗装法、カーテンフロー塗装法のような通常のコーティング作業で用いられる方法を利用することができる。そして、塗布されたフッ素系材料に対し、室温乾燥/加熱乾燥、室温硬化/加熱硬化の組み合わせ、あるいは、蒸着法(加熱、真空)を用いることで防汚層(塗膜)を形成する。
特に、フッ素系材料を溶解した溶液を減圧下で加熱させることでガラス基板上に蒸着させ、薄膜を形成する製造方法が好ましい。このような塗布工程により、均質、強固で耐磨耗性に優れる防汚層を得ることができる。なお、フッ素系材料を溶解する溶媒としては、パーフルオロ系溶媒や、m−キシレンヘキサフロライド、パーフルオロヘキサン、ハイドロフロロエーテル、オクタフロロブチルエーテル、メチルノナフロロブチルエーテル、メチルデカフロロブチルエーテルなどのハイドロフロロエーテル、ウンデカフルオロー4−(トリフルオロメチル)ペンタン、パーフルオロトリブチルアミン等を用いることができる。
なお、フッ素系材料を溶解した溶液の濃度については、特に制限はなく、蒸着が有効に実施される濃度であればよい。また、溶液は容器に入れて加熱してもよいが、均一した蒸着膜を得る観点からは多孔性材料に含浸させることが好ましい。多孔性材料としては、銅やステンレス等の熱伝導性の高い金属粉末を焼結した焼結フィルターを用いる。なお、適度な蒸着速度を得るには多孔性材料のメッシュを40〜200μm、好ましくは80〜120μmとする。
なお、防汚層を形成する塗膜の膜厚は、フッ素系材料の蒸発量に依存する。従って、膜厚を制御する際には、パーフルオロ系溶媒で希釈した溶液を用いる。これにより、膜厚の制御が容易となる。
また、蒸着処理は、減圧下において加熱して行なうが、真空蒸着の際の真空度としては、均質/均一の防汚層を得るために、1.33×10−1Pa〜1.33×10−6Pa(10−3〜10−8Torr)の範囲が好ましく、さらには、6.66×10−1Pa〜8.00×10−4Pa(5.0×10−3〜6.0×10−6Torr)の範囲であることが好ましい。
また、加熱する際の温度は、種類や蒸着する真空条件により異なるが、蒸着開始温度以上から分解温度を超えない範囲で行なう。
なお、蒸着開始温度とは含有溶液の蒸気圧が真空度と等しくなったときの温度のことであり、分解温度とは1分間の間に該化合物の50%が分解する温度のことである。
なお、蒸着開始温度が異なる防汚層を構成する材料を併用しても、蒸発開始温度の高い原料の蒸発開始温度から分解温度の低い原料の分解温度の範囲で蒸着温度を適宜選択することにより、蒸着させることが可能となり均一な膜を得ることができる。
また、蒸着方法としては電子ビ−ムを照射する方法を用いる。電子ビ−ムの照射装置としては、従来、蒸着装置で用いられている電子銃を用いる。電子銃を用いることで均一なエネルギー照射をすることが可能となり、均質な防汚層を形成することができる。電子銃の出力は、加速電圧が6kV前後で印加電流5〜80mA程度に制御する。なお、この値は、使用物質、蒸着装置、真空度、照射面積により変動しうる。
次に、改質処理工程について説明する。改質処理工程では、防汚層に電離放射線を照射することによりフッ素系材料を架橋することで改質し、耐摩耗性等の諸特性に優れた防汚層の形成を行なう。
改質処理工程は、無酸素の不活性ガス化雰囲気中で所定量の放射線を照射することで行なう。放射線がフッ素系材料からなる防汚層上に照射されると、分子鎖の切断およびフッ素原子の脱離が起きる。この分子鎖の切断により生成した分子鎖末端ラジカルとフッ素原子の脱離により生成したラジカルとが反応することで架橋が生じ、改質される。なお、放射線照射量を変化させることにより、改質度合い、すなわち改質後の防汚層の特性を調整することが可能である。
この改質処理工程は、真空中、あるいはヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスで満ちた無酸素空間内で行なわれる。改質処理工程を無酸素空間内で行なうことで、放射線の照射によって生成した反応活性点が酸素と優先的に反応して架橋反応を阻害するのを抑制することができる。
また、電離放射線としては、電子線、X線、中性子線、ガンマ線、高エネルギーイオンの単独あるいはこれらの混合放射線を用いることができる。なお、照射量が1kGy未満の場合には、分子鎖の切断効果が最終的なフッ素系材料特性の変化として反映されにくく、照射量が10MGyを超過する場合には、照射を行なってもフッ素系材料特性はほとんど変化しなくなるので、放射線の照射量は1kGy〜10MGy程度でありことが望ましい。
なお、電離放射線の照射による分子鎖の切断は、あらゆる空間温度において達成できるが、照射時の温度が高温であるほど分子鎖の切断は促進されるので、電離放射線照射時の空間温度は分子鎖の切断が促進される温度であることが好ましい。この電離放射線を照射する際の温度制御は、通常の気体循環式の恒温槽、赤外線ヒーター、パネルヒーター等の熱源を利用しても、電子加速器から得られる電子線のエネルギーを制御することによる発熱を熱源として利用してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本発明の防汚層を設けた画像読み取り装置の評価、コンタクトガラス3の防汚性、耐久性などの評価は下記に示したように実施した。
コンタクトガラス3面に、以下実施例の如く表面改質を施したサンプルを用い、紙粉を散布しその後それをブロワーで吹き飛ばした場合の紙粉の残留状況(防汚効果)、トナーを散布しその後それをブロワーで吹き飛ばした場合のトナーの残留状況(防汚効果)、指紋をつけた場合の汚れの付着状況(防汚効果)を評価した。
更に各サンプルを実際の電子写真デジタル複写機読み取り部のコンタクトガラス3として使用し、アクリル系粘着両面テープ貼り付けた原稿を多数枚通紙後、ハーフトーン原稿を多数枚通紙し、黒スジ発生や紙詰まりの有無等の画像劣化を評価(防汚効果)及び
100K通紙後に同様の評価(防汚効果、経時防汚効果)を実施し、黒スジ発生の有無等の画像劣化を生じさせるかどうか(実用性評価)を評価した。結果を表1に示した。
<評価基準>
◎:防汚効果大、実用的
○:防汚効果が認められる、実用上問題なし
△:防汚効果は認められるが、実用的には問題が生じる場合もある
×:防汚効果ほとんどなし、実用性に難あり
−:光透過性悪く評価せず
Figure 2006251749
[実施例1](サンプル1)
FG−7000(株式会社フロロテクノロジー製フッ素コート材、溶液タイプ)を約0.5μmスピンコートし、室温で乾燥後、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移して電子加速器で2MVに加速された電子を10kGy照射して架橋させ、改質された防汚層を持つコンタクトガラス3を得た。
[実施例2](サンプル2)
平均粒径0.25μmのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル含有塗料(固形分25−40%の水系エマルジョン型のエナメル塗料)をガラス上に塗布し、320℃で焼成して電離放射線処理前防汚層付きコンタクトガラスを320℃、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移して電子加速器で2MVに加速された電子を100kGy照射して架橋させ、改質された防汚層(形成膜厚=約0.3μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
[実施例3](サンプル3)
下記式で示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物をパーフルオロヘキサンで希釈して0.2重量%の溶液とし、コンタクトガラス3をこの溶液に浸漬し、15cm/分の速度で引き上げて塗布した。塗布後は室温条件下で一昼夜放置して溶剤を揮散させた後、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移して電子加速器で2MVに加速された電子を10kGy照射して架橋させ、改質された防汚層(形成膜厚=0.01μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
Figure 2006251749
[実施例4](サンプル4)
下記式で示されるパーフロオロポリエーテル構造を有する化合物(分子量:約5000)をパーフルオロヘキサンで希釈して0.2重量%の溶液とした。
Figure 2006251749
コンタクトガラス3をこの溶液に浸漬し、15cm/分の速度で引き上げて塗布した。塗布後は室温条件下で一昼夜放置して溶剤を揮散させた後、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移して電子加速器で2MVに加速された電子を10kGy照射して架橋させ、改質された防汚層(形成膜厚=0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
[実施例5](サンプル5)
下記式で示されるケイ素含有パーフロオロポリエーテル構造を有する化合物(分子量:約2500)をパーフルオロヘキサンで希釈して0.2重量%の溶液とし、実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
Figure 2006251749
[実施例6](サンプル6)
オプツールDSX(ダイキン工業(株)製、分析の結果構造式(V)あるいは(VII)、または(V)と(VII)の構造を有する化合物の混合物と推定される)をパーフルオロヘキサンで希釈して0.3重量%の溶液とし、実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=約0.03μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
[実施例7](サンプル7)
下記式で示されるケイ素含有パーフロオロポリエーテル構造を有する化合物(分子量:約4000)、及び下記式で示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物をパーフルオロヘキサンで希釈して0.2重量%の溶液とし、実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=約0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
Figure 2006251749
Figure 2006251749
[実施例8](サンプル8)
下記式フッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物(分子量:約9600)をパーフルオロヘキサンで希釈して0.1重量%の溶液とし、実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=約0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
Figure 2006251749
[実施例9]
フッ化水素、フッ化アンモニウム、純水、親水性カルボン酸を混合し、ガラス表面処理液とし、(組成は、フッ化水素:25重量%、フッ化アンモニウム:25重量%、純水:25重量%、親水性カルボン酸/プロピオン酸:25重量%)この処理液中にフロートガラス(日本板硝子株式会社製 化学強化ガラス FL3.2)を静置浸漬した。浸漬後、純水にて洗浄し、更にpHが10の水酸化カリウム水溶液で処理後、再度純水にて洗浄し、微細凹凸(表面粗さ:0.5S)のガラスを得、そのガラス表面に防汚層を形成(オプツールDSX(ダイキン工業(株)製)をパーフルオロヘキサンで希釈して0.2重量%の溶液とし、実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=約0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
[実施例10]
オプツールDSX(ダイキン工業(株)製)をパーフルオロヘキサンで希釈して0.1重量%の溶液とし、その溶液を0.15mlしみ込ませたステンレス製焼結フィルター(細孔径80〜100μm、直径18mmφ、厚さ3mm)を真空蒸着装置内にセットし、以下の条件で電子銃を用いて該焼結フィルター全体を加熱して、塗膜を形成したコンタクトガラス3を得、そのコンタクトガラス3を実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=約0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
真空度:3.1×10−4〜8.0×10−4Pa(2.3×10−6〜6.0×10−6Torr)、加速電圧:6kV、印加電流:40mA、照射面積:3.5×3.5cm、蒸着時間:5秒
[実施例11]
実施例7の溶液を0.15mlしみ込ませたステンレス製焼結フィルター(細孔径80〜100μm、直径18mmφ、厚さ3mm)を真空蒸着装置内にセットし、実施例6の防汚層形成前の処理ガラス上に、以下の条件で電子銃を用いて該焼結フィルター全体を加熱して、塗膜を形成したコンタクトガラス3を得、そのコンタクトガラス3を実施例4と同様に処理して改質された防汚層(形成膜厚=約0.02μm)を持つコンタクトガラス3を得た。
真空度:3.1×10−4〜8.0×10−4Pa(2.3×10−6〜6.0×10−6Torr)、加速電圧:6kV、印加電流:40mA、照射面積:3.5×3.5cm、蒸着時間:5秒
[実施例12]
実施例8の溶液を0.15mlしみ込ませたステンレス製焼結フィルター(細孔径80〜100μm、直径18mmφ、厚さ3mm)を真空蒸着装置内にセットし、実施例6の防汚層形成前の処理ガラス上に、以下の条件で電子銃を用いて該焼結フィルター全体を加熱して、塗膜を形成したコンタクトガラス3を得、そのコンタクトガラス3を実施例4と同様に処理して改質された防汚層を持つコンタクトガラス3を得た。
真空度:3.1×10−4〜8.0×10−4Pa(2.3×10−6〜6.0×10−6Torr)、加速電圧:6kV、印加電流:40mA、照射面積:3.5×3.5cm、蒸着時間:5秒
[比較例1]
FG−7000(株式会社フロロテクノロジー製フッ素コート材)を約0.5μmスピンコートし、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例2]
FG−5010(株式会社フロロテクノロジー製フッ素コート材、正確な構造は定かでないものの上記FG−7000とほぼ同じ構造部分を持つと推定され、塗膜形成も同様で、低摩擦用途に使用され、高密着・高硬度の性質を持つ)を約0.5μmスプレーコートし、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例3]
KBM7803:含フッ素シランカップリング剤(信越化学社製)C17CHCHSi(OCH)を実施例1と同様の方法で約0.01μmコートし、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例4]
含フッ素シラザン:C17CHCHSi(NHを実施例1と同様の方法で約0.01μmコートし、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例5]
オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製フッ素コート材)を約0.0005μm真空蒸着し、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例6]
オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製フッ素コート材)を約1μm真空蒸着し、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例7]
シリコーンスプレーKF96SP(信越化学工業株式会社製シリコーンコート材、ジメチルシリコーンオイルでスプレーコート用材料)を約0.1μmスプレーコートし、防汚層を形成したコンタクトガラスを得た。
[比較例8]
FG−7000(株式会社フロロテクノロジー製フッ素コート材)を約0.5μmスピンコートし、アルゴンガス雰囲気の照射容器に移して電子加速器で2MVに加速された電子を0.05kGy照射して架橋させ、改質された防汚層を持つコンタクトガラス3を得た。
[比較例9]
未処理コンタクトガラスをそのまま使用した。
上記のテスト結果より、本実施形態のコンタクトガラスの防汚効果、防汚効果の持続効果が高いことがわかり、実用性が高いと判断できる。
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態のコンタクトガラスを備えた画像読み取り装置である。第1の実施形態のコンタクトガラスを利用することによりコンタクトガラス上に付着する異物を抑制することができるので、画像の読み取りに際し、異物画像情報が読み取られなくなり、良好な画像読み取りを実現できる。
また、耐摩耗性に優れるので、経時によるコンタクトガラス部品の交換回数を少なくすることができ、コストダウンに寄与することができる。さらには、付着物の付着が抑制されるので装置における紙詰まりの発生を抑制することも可能となる。また、本実施形態の画像読み取り装置を、プリンタやFAX等の画像形成装置に用いることで、画像読み取り時に異物が写りこむことがなくなるため高品質な画像の出力を行なうことが可能となる。
画像読み取り装置の構成例を示す図である。
符号の説明
10 画像読み取り装置
11 原稿テーブル
12 底板
13 呼び出しコロ
14 給紙ベルト
15 分離ローラ
16 搬送ローラ
17 排紙ローラ
18 排紙トレイ
20 コンタクトガラス
21 ランプ
22 反射ミラー
23 レンズ
24 CCD




Claims (16)

  1. 画像読み取り装置に用いられるコンタクトガラスであって、
    前記コンタクトガラスは、異物の付着を防止する防汚層を有し、
    前記防汚層は、改質されたフッ素系材料から構成されていることを特徴とするコンタクトガラス。
  2. 前記改質された前記フッ素系材料は、電離放射線照射処理により架橋して改質されていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトガラス。
  3. 前記フッ素系材料は、フッ素置換アルキル基構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトガラス。
  4. 前記フッ素置換アルキル基構造を有する化合物は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素構造を有する化合物であることを特徴とする請求項3に記載のコンタクトガラス。
  5. 前記フッ素系材料は、パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトガラス。
  6. 前記パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物は、ケイ素含有パーフルオロポリエーテル構造を持つ化合物であることを特徴とする請求項5に記載のコンタクトガラス。
  7. 前記フッ素系材料は、少なくともフッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトガラス。
  8. 前記フッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基と有する有機ケイ素構造を持つ化合物のフッ素置換アルキル基とパーフルオロポリエーテル基のモル比が0.1から10であることを特徴とする請求項7に記載のコンタクトガラス。
  9. 前記コンタクトガラスは、表面に微細な凹凸を有することを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載のコンタクトガラス。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のコンタクトガラスを有する画像読み取り装置。
  11. 請求項10に記載の画像読み取り装置を有する画像形成装置。
  12. 画像読み取り装置に用いられるコンタクトガラスの製造方法であって、
    ガラス基板の表面洗浄、表面処理を行なう第1の工程と、
    前記ガラス基板の表面にフッ素系材料を塗布、蒸着し、防汚層を形成する第2の工程と、
    前記防汚層を形成する前記フッ素系材料を改質する第3の工程を有することを特徴とするコンタクトガラスの製造方法。
  13. 前記第1の工程は、
    酸性溶液を用いて前記ガラス基板の表面処理を行なう酸洗浄処理工程と、
    アルカリ性溶液を用いて前記ガラス基板の表面処理を行なうアルカリ洗浄処理工程と、
    プラズマを用いて前記ガラス基板の表面処理を行なうプラズマ処理工程と、
    溶解力の大きい溶剤を用いて前記ガラス基板の表面処理を行なう溶剤洗浄処理工程と、
    のうち少なくとも1つの工程を有することを特徴とする請求項12に記載のコンタクトガラスの製造方法。
  14. 前記第2の工程は、前記フッ素系材料を含有するパーフルオロ溶液を減圧下で加熱し、前記ガラス基板上に蒸着させることで、前記ガラス基板上に防汚層を形成することを特徴とする請求項12又は13に記載のコンタクトガラスの製造方法。
  15. 前記第3の工程は、前記ガラス基板上の前記防汚層に電離放射線を照射することで、前記防汚層に含有される前記フッ素系材料を改質することを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載のコンタクトガラスの製造方法。
  16. 前記電離放射線の照射は、無酸素下で行なわれ、かつ、照射される線量が1kGyから10MGyの範囲内にあることを特徴とする請求項15に記載のコンタクトガラスの製造方法。




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