JP2006251099A - 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 異常画像の発生が少なく、画質安定性に優れ、小型化さらには高速化にも対応できる長寿命な画像形成方法、その方法により画像を形成する画像形成装置及びプロセスカートリッジの提供。
【解決手段】 静電潜像担持体の表面を、表面間の空隙が100μm以下に近接配置された、非接触方式の帯電部材により帯電させる帯電工程と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を含む画像形成方法である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、異常画像の発生が少なく、画質安定性に優れ、小型化さらには高速化にも対応できる長寿命な画像形成方法、その方法により画像を形成する画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プリンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンタのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。それに伴って、上記デジタル複写機やプリンターは更なる装置の小型化、高速化並びに高画質化が要求されている。
さらに、最近ではフルカラープリントの高速化が強く求められている。静電潜像担持体を用いて画像形成を行うためには、帯電、露光、現像、クリーニング、除電などのプロセスが必要となるが、フルカラープリントを行うためには、さらに4色(通常イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーを重ね合わせて画像を形成する必要があることから、モノクロに比べてプリント速度が大幅に低下する。したがって、フルカラープリントの高速化を実現するためには、4色のトナーに対応した4本の静電潜像担持体並びに4つの画像形成要素を搭載し、4色のトナー像をそれぞれの画像形成要素で並列に作製し、転写体(転写紙)もしくは中間転写体上で重なり合わせることで、フルカラー画像の高速出力が可能なタンデム方式のフルカラー画像形成装置が有効であり、現在の主流となりつつある。
しかし、これらの画像形成装置は、複数の静電潜像担持体並びに画像形成要素を含むために装置の大型化が避けられない。タンデム方式の画像形成装置の小型化を実現するためには、画像形成要素の中心に配置される静電潜像担持体を小径化することが必須である。しかし、静電潜像担持体を小径化することにより、画像形成装置の小型化が実現できても、静電潜像担持体の寿命が犠牲になる。このため、タンデム方式の画像形成装置に用いられる静電潜像担持体は、更なる長寿命化が強く求められている。
また、小型化の課題に対しては、静電潜像担持体の小径化だけでなく、画像形成要素に対しても同様に要求される。帯電部材としては、ローラー形状を有する帯電部材が画像形成装置のコンパクト化に対し有効である。この方式は、ワイヤー方式(コロトロン、スコロトロン)に比べて、帯電部材への印加バイアスが低く抑えられることから、帯電部材の電源として使用されるパワーパックの容量が小さくて済み、使用電力の低減化に対しても非常に有利な方式である。また、帯電時に帯電部材と静電潜像担持体間の電界強度が小さくて済むことから、オゾンやNOxといった酸化性ガスの発生量が低減されるため、環境に与える影響を抑制できるとともに、異常画像の発生や静電潜像担持体の劣化の抑制に対しても有効である。特に、タンデム方式の画像形成装置の場合には、帯電部材は静電潜像担持体に対応して少なくとも4本必要となるため、オゾンやNOxの発生量は非常に多くなる。したがって、これらの帯電ローラーを用いることは、画像形成装置の小型化だけでなく、オゾンやNOx発生量の低減、消費電力の低減等に効果があり、画像形成装置における画質安定性や静電潜像担持体の長寿命化に対しても有効となる。
例えば、帯電ローラを帯電部材とし、静電潜像担持体に帯電ローラを接触させる接触帯電装置が提案されている(特許文献1参照)。帯電ローラの表面は誘電体であり、帯電ローラの回転方向が静電潜像担持体の回転方向と同じ(帯電ローラと静電潜像担持体との最近接部での移動する向きが逆)である。帯電ローラの表面が誘電体であるため、静電潜像担持体上にピンホールなどがあっても、対向する帯電部材のピンホール周辺の表面に電荷がなくなることはなく、これによる静電潜像担持体上の未帯電部分が発生しない。さらに、帯電ローラを上記の方向に回転させることにより、静電潜像担持体と誘電体のそれぞれが帯電されても、静電潜像担持体は順次帯電電位が低い誘電体と接触するようになるため、低い印加電圧で静電潜像担持体を所望の電位に帯電することが可能になる。このように、接触帯電方式は、帯電用のローラが静電潜像担持体に接触された状態で使用される。
ところが、接触帯電方式には次の問題点がある:1.帯電ローラ跡、2.帯電音、3.静電潜像担持体上のトナーなどが帯電部材に付着することによる帯電性能の低下、4.帯電部材を構成している物質の静電潜像担持体への付着、5.静電潜像担持体を長期停止したときに生じる、帯電部材の永久変形。
帯電ローラ跡は、帯電部材を構成している物質が帯電部材から滲みだし、静電潜像担持体が停止している間に静電潜像担持体の表面に付着移行するために起こる。また、帯電音は、帯電部材に交流電圧を印加したときに被帯電体に接触している帯電部材が振動するために起こる。また、静電潜像担持体の帯電部材とが接触しているために、帯電部材に付着したトナー等の付着物が静電潜像担持体表面に移行しやすく、静電潜像担持体表面の汚染を招き、帯電低下や異常画像の発生を引き起こす。また、帯電部材の接触による変形は、帯電ムラを引き起こし、異常画像の発生につながる。このような問題を解決する方法として、帯電部材を静電潜像担持体に直接接触させず近接配置させる近接帯電方式が考案されている。
近接帯電方式は、帯電装置を、静電潜像担持体との最近接部での距離が0.005〜0.3[mm]になるように対向させ、帯電部材に電圧を印加することにより、静電潜像担持体の帯電を行う帯電装置である。近接帯電方式では、帯電装置と静電潜像担持体とが画像形成領域において直接接触していないために、接触帯電方式で問題となる「帯電部材を構成している物質の静電潜像担持体への付着」、「静電潜像担持体を長期停止したときに生じる永久変形」は回避することが可能である。また、「静電潜像担持体上のトナーなどが帯電部材に付着することによる帯電性能の低下」に関しても、帯電部材に付着するトナーが少なくなるため、近接帯電方式の方が優れている。これにより、プロセス要因による異常画像の発生が低減でき、画質安定化に対し非常に有効となる(特許文献2〜11参照)。
このように、コロトロンやスコロトロンによるコロナ帯電方式に比べて、帯電ローラーを用いた接触帯電方式及び近接配置帯電方式は、オゾンの発生量が顕著に低減できること、消費電力の低減に有利であること、装置の小型化に有利であること等のメリットを有している。さらに、近接配置帯電方式は、接触帯電方式に比べて帯電部材と静電潜像担持体とが画像形成領域において直接接していないことにより、静電潜像担持体の汚染を軽減でき、また接触による帯電部材あるいは静電潜像担持体の変形の影響がないために、画質安定化に対し有利である。
しかしながら、これらの帯電ローラーを用いた帯電方式は、コロナ帯電方式に比べて帯電時の放電に伴う生成物(以下放電生成物)の静電潜像担持体への付着量が非常に多くなる。この放電生成物が静電潜像担持体に多く付着した状態になると、長期間繰り返し使用した場合には絶縁破壊の発生を促し、異常画像を発生させ、静電潜像担持体の寿命を阻害する大きな要因の一つである。
帯電ローラを静電潜像担持体に接触させて用いる接触帯電方式と画像形成領域において近接配置させた非接触帯電方式を比較すると、そのままでは放電生成物の発生量は同等であるが、非接触帯電方式の場合には接触帯電方式に比べて静電潜像担持体と帯電ローラとの間にギャップがあるために帯電ムラが発生しやすく、それを補うために交流重畳電圧を印加させて用いるのが一般的となっている。静電潜像担持体と帯電ローラとのギャップが大きくなればなるほど帯電が不均一になりやすくなるため、帯電ムラをなくすためには交流重畳電圧を増加させることが有効である。しかし、交流重畳電圧を増加させると放電生成物の発生量が増加するため、静電潜像担持体の絶縁破壊の発生を促すことになり、静電潜像担持体の長寿命化に対する大きな課題として挙げられていた。
したがって、静電潜像担持体の長寿命化を実現するためには、帯電部材からのオゾンの発生を軽減するとともに、静電潜像担持体への放電生成物の付着による絶縁破壊を抑制することが必要である。
しかし、静電潜像担持体の寿命は絶縁破壊だけで決まるものではない。静電潜像担持体は帯電及び露光が繰り返し行われることによって疲労し、それが帯電電位の低下あるいは露光部電位の上昇等によって地汚れの発生あるいは画像濃度の低下といった画質劣化を引き起こすことから、この静電疲労も静電潜像担持体の長寿命化を妨げる大きな要因として挙げられている。
さらに、静電潜像担持体が繰り返し使用されることによって、静電潜像担持体の最表面がクリーニング部材等の摺擦によって機械的に摩耗する。摩耗によって感光層の膜厚が減少すると、電界強度が増加するため、地汚れの発生が著しく増加することになる。
このように、画像形成装置の小型化、高速化、高画質化、長寿命化を実現するためには、静電潜像担持体の長寿命化が必要不可欠であり、そのためには静電疲労や帯電部材から発生するオゾン、さらには電界強度の上昇によって誘発される地汚れの発生を抑制し、静電潜像担持体表面への放電生成物の付着による絶縁破壊を抑制し、さらには高感度化、露光部電位の低減等、静電潜像担持体と画像形成プロセスの両面から改善させることが重要である。これらの画質劣化要因は、それぞれ異なる原因で発生するが、それらを同時に抑制されないと静電潜像担持体さらにはそれを用いた画像形成装置の長寿命化、高安定化は達成されない。しかし、従来技術においてはそれらを同時に解決する方法が見いだされておらず、十分な効果が得られていないのが実情であった。
地汚れの発生原因としては、導電性支持体の汚れ・欠陥、支持体からのキャリア(電荷)注入、静電潜像担持体の暗減衰増大、感光層における熱キャリア生成などが挙げられる。このうち、支持体の汚れや欠陥に関しては、感光層を塗布する前にそのような支持体を排除することで対応が可能であり、発生原因の本質ではない。従って、静電潜像担持体の耐電圧性、支持体からの電荷注入性、静電的疲労による劣化を改良することが、この問題の根本的な解決方法であると考えられる。
地汚れの発生原因の一つである導電性支持体からの電荷の注入に関する従来技術としては、導電性支持体と感光層の間に下引き層や中間層を設ける技術が提案されてきた。
例えば、硝酸セルロース系樹脂中間層(特許文献12参照)、ナイロン系樹脂中間層(特許文献13参照)、マレイン酸系樹脂中間層(特許文献114参照)、ポリビニルアルコール樹脂中間層(特許文献15参照)が、それぞれ提案されている。しかしながら、これらの単層かつ樹脂単独の中間層は電気抵抗が高いため、残留電位の上昇を引き起こし、ネガ・ポジ現像においては画像濃度低下を生じる。また、不純物等に起因するイオン伝導性を示すことから、低温低湿環境下では中間層の電気抵抗が特に高くなるため、残留電位が著しく上昇し、高温高湿環境下では中間層の電気抵抗が低下し、地汚れが発生しやすくなる傾向が見られていた。このため、残留電位を低減させるために、中間層を薄膜化する必要があり、十分な地汚れの抑制が実現されていないのが実情であった。
これらの問題点を解消するため、中間層の電気抵抗を制御する技術として、導電性添加物を中間層バルクに添加する方法が提案された。例えば、カーボン又はカルコゲン系物質を硬化性樹脂に分散した中間層(特許文献16参照)、四級アンモニウム塩を添加してイソシアネート系硬化剤を用いた熱重合体中間層(特許文献17参照)、抵抗調節剤を添加した樹脂中間層(特許文献18参照)、有機金属化合物を添加した樹脂中間層(特許文献19参照)が、それぞれ提案されている。しかしながら、これら樹脂中間層単体では、残留電位の低減が実現されても地汚れが増加する傾向が見られる上、近年のレーザー光のようなコヒーレント光を使用した画像形成装置においては、モアレ画像を生じるという問題点を有している。
更には、モアレ防止と中間層の電気抵抗を同時に制御する目的で、中間層にフィラーを含有した静電潜像担持体が提案された。例えば、アルミニウム又はスズの酸化物を分散した樹脂中間層(特許文献20参照)、導電性粒子を分散した樹脂中間層(特許文献21参照)、マグネタイトを分散した中間層(特許文献22参照)、酸化チタンと酸化スズを分散した樹脂中間層(特許文献23参照)、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等のホウ化物、窒化物、フッ化物、酸化物の粉体を分散した樹脂の中間層(特許文献24〜29参照)が、それぞれ開示されている。これらのようなフィラーを分散させた中間層は、残留電位の低減に対してはフィラー量を増加した方が、地汚れを抑制するためにはフィラー量を減少させた方が好ましく、それらを両立することは困難であった。また、樹脂の含有量が少なくなると導電性支持体との接着性が低下し、剥離が生じやすくなる問題も有しており、特に導電性支持体がフレキシブルなベルト状の静電潜像担持体では、その影響は致命的なものであった。
このような問題点を解決するために、中間層を積層化する考え方が提案された。積層化の構成は2つのタイプに大別され、1つは、図1に示すように、導電性支持体1上にフィラー分散した樹脂層2およびフィラーを分散しない樹脂層3および感光層4を順に積層したものであり、もう1つは、図2に示すように、導電性支持体1上にフィラーを分散しない樹脂層3およびフィラーを分散した樹脂層2および感光層4を順に設けたものである。
前者の構成を詳しく述べると、上述したような支持体の欠陥を隠蔽するため、導電性支持体上に抵抗の低いフィラーを分散した導電性のフィラー分散層を設け、その上に前記樹脂層を設けたものである(特許文献30〜38参照)。この構成は、導電性フィラーを含有するフィラー分散層によって、モアレの発生を防止することは可能であり、その上に樹脂層を有しているために地汚れ抑制効果も得ることができるが、導電性支持体からのキャリア注入を抑制しているのは、樹脂層のみであるため、前述の樹脂層を単独で用いた場合と同様に、厚膜化すれば著しい残留電位上昇が、薄膜化すれば地汚れの増加が引き起こされることになり、それらの両立を実現する上で十分に満足されるものではなかった。また、フィラー分散層上に絶縁性の樹脂層が積層されている上、フィラー分散層は導電性支持体の欠陥を隠蔽するために膜厚を厚くする(10μm以上)必要があるため、フィラー分散層に含有されるフィラーの抵抗を高めて地汚れを抑制しようとしても、残留電位の影響が顕著に大きくなるため難しい。
また、導電層と中間層、およびチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層を積層した静電潜像担持体が提案されている(特許文献39〜41参照)。しかしながら、導電層と中間層を積層しただけでは、地汚れの影響を十分に抑制することは難しい。それは、上記の理由に加え、感光層に用いられるチタニルフタロシアニンにも地汚れの要因が含まれているためである。
一方、後者の構成としては、導電性支持体上にキャリア注入を抑制する樹脂層を設け、その上にフィラーを含有したフィラー分散層を設けたものである(特許文献42及び43参照)。この構成においては、樹脂層によってキャリア注入を抑制できるが、その上に積層されるフィラーを含有したフィラー分散層は特に導電性のフィラーを含有しなくても残留電位に与える影響が少ないため、キャリア注入の抑制効果も高まり、残留電位と地汚れを両立させる上では、前者の構成よりも有効性が高い。
このように、複数の下引き層を積層させ機能分離させた構成は、モアレ防止や地汚れ抑制、さらに残留電位低減を両立させる上で高い有効性を示すものの、樹脂層を薄膜化させて用いる必要があり、それに用いられる樹脂によっては、地汚れや残留電位の湿度依存性が大きかったり、膜厚依存性が大きくなる傾向が見られ、必ずしも高い安定性を有していなかった。
また、地汚れ発生の原因は導電性支持体から感光層への電荷(正孔)注入だけでなく、感光層における熱キャリア発生の影響も無視できない。このため、電荷発生層に使用する電荷発生材料およびその粒子状態をコントロールしないと、繰り返し使用における地汚れ発生は完全には制御できないものであった。
通常、780nmLDや760nm近傍のLEDが光源として用いられ、これに対応した静電潜像担持体(電荷発生材料)としては、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている(特許文献44参照)。この特定結晶型は、非常に高いキャリア発生機能を有しており、高速画像形成装置用静電潜像担持体の電荷発生材料として有効に使用できる。
しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移したときには、充分な光キャリア発生機能を発現することができず、電位安定性が低下する。また、静電潜像担持体の繰り返し使用において、特にネガ・ポジ現像固有の問題点である地汚れ画像と呼ばれる異常画像が起こりやすいという問題点も有している。
また、従来のチタニルフタロシアニンは凝集性が強く、それを電荷発生層に用いた場合には、下引き層からの電荷の注入を抑制したとしても、凝集物や粗大粒子の存在する局所部分において帯電低下や暗減衰の増加が起こり、地汚れとして顕在化されることになる。さらに、チタニルフタロシアニンの純度も大きく影響し、不純物の含有により帯電低下を顕著に引き起こしたり、疲労による暗減衰の増加を引き起こしたりすることによって地汚れ耐久性は著しく低下する(特許文献44〜51参照)。従って、電荷発生層に使用するチタニルフタロシアニン結晶の分散性や結晶型を制御することによって、電荷発生層における地汚れ要因をも同時に排除する必要がある。
従来技術においては、地汚れを抑制させると残留電位上昇や環境依存性が著しく増大したり、残留電位上昇を抑制させると地汚れ抑制効果が不十分となるなど、それらの両立が実現されていなかった。このように、地汚れは、導電性支持体からの電荷注入による影響だけでなく、感光層もしくは電荷発生層に含有されるチタニルフタロシアニンの粗大粒子や不純物等の影響等、多くの要因を含んでいるが、これ以外に地汚れに大きな影響を及ぼす因子として重要なのは、静電潜像担持体の膜厚減少による電界強度の増加である。
そのため、静電潜像担持体の最表面に形成される電荷輸送層あるいは保護層は、耐摩耗性を高める工夫がされてきた。感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(i)架橋型電荷輸送層に硬化性バインダーを用いたもの(例えば、特許文献52参照)、(ii)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(例えば、特許文献53参照)、(iii)架橋型電荷輸送層に無機フィラーを分散させたもの(例えば、特許文献54参照)等が挙げられる。このように、静電潜像担持体の耐摩耗性を高めることにより電界強度の経時変動を少なくできることから、地汚れの抑制に対しては高い効果が得られる。
しかし、これらの技術の中で、(i)の硬化性バインダーを用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いためや重合開始剤、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇し画像濃度低下が発生し易い傾向がある。また、(ii)の高分子型電荷輸送物質を用いたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機静電潜像担持体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。また、高分子型電荷輸送物質は材料の重合、精製が難しく高純度なものが得にくいため材料間の電気的特性が安定しにくい。更に塗工液が高粘度となる等の製造上の問題を起こす場合もある。(iii)の無機フィラーを分散させたものは、通常の低分子電荷輸送物質を不活性高分子に分散させた静電潜像担持体に比べ高い耐摩耗性が発揮されるが、無機フィラー表面に存在する電荷トラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。また、静電潜像担持体表面の無機フィラーとバインター樹脂の凹凸が大きい場合には、クリーニング不良が発生し、トナーフィルミングや画像流れの原因となることがある。これら(i)、(ii)、(iii)の技術では、地汚れ抑制に有効な場合があっても、残留電位やクリーニング性等に不具合があり、それによって生じる画像欠陥の影響から、耐久性を十二分に満足するには至っていない。
更に、(i)の耐摩耗性と耐傷性を改良するために多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させた静電潜像担持体も知られている(特許文献55参照)。しかし、この静電潜像担持体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載があるものの、この保護層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に架橋型電荷輸送層に低分子の電荷輸送物質を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題があり、これにより、低分子電荷輸送物質の析出、白濁現象が起こり、露光部電位の上昇により画像濃度が低下するばかりでなく機械強度も低下してしまうことがあった。さらに、この静電潜像担持体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、3次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。
これらに関わる感光層の耐摩耗技術として、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られている(例えば、特許文献56参照)。このバインダー樹脂は電荷発生層と硬化型電荷輸送層の接着性を向上させ、さらに厚膜硬化時の膜の内部応力を緩和させる役割を果たしていると考えられ、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送物質に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものに大別される。この静電潜像担持体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないものを使用した場合においては、バインダー樹脂と、上記モノマーと電荷輸送物質との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、架橋型電荷輸送層中で層分離が生じ、傷やトナー中の外添剤及び紙粉の固着の原因となることがある。また、上記したように、3次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。加えて、この静電潜像担持体において使用される上記モノマーとして具体的に記載されているものは2官能性のものであり、これらの点で耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダーを使用した場合においても、硬化物の分子量は増大するものの分子間架橋結合数は少なく、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性及び耐摩耗性も充分とはいえないものであった。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(例えば、特許文献57参照)。この感光層は架橋結合密度を高められるため高い硬度を有するが、嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、架橋表面層が長期間の使用においてクラックや剥がれが発生しやすい場合がある。これら従来技術における電荷輸送性構造を化学結合させた架橋感光層を有する静電潜像担持体においても、現状では充分な総合特性を有しているとは言えない。
このように、地汚れは、下引き層だけでなく、電荷発生層及び電荷輸送層もしくは保護層の各層に影響されるものであるため、それらを同時に改善させなければ地汚れを完全に抑制することはできず、静電潜像担持体の高耐久化を実現することは難しい。しかし、従来技術においては、静電潜像担持体を構成するそれらすべての層に地汚れを抑制させた例は少なく、またそれらすべての層を同時に改善しようとすると残留電位上昇が顕著に見られたり、帯電性や残留電位の湿度依存性が増加したり、フィルミングや画像ボケの影響を増加したり、静電潜像担持体表面の傷により画像欠陥が生じやすくなるなど、地汚れ以外の画質劣化要因が顕著に増加し、それにより静電潜像担持体の高耐久化の実現はなされていなかった。
したがって、地汚れや絶縁破壊は、寿命を決定する大きな要因となっている。静電潜像担持体の耐摩耗性を向上させることは電界強度の増加による地汚れの抑制や表面に形成される傷による異常画像の抑制に対しては有効であるが、表面に付着した放電生成物が除去されにくくなるため、絶縁破壊が発生しやすくなる。さらに支持体からの電荷注入に起因する地汚れや電荷発生材料に起因する地汚れに対しては効果がないため、必ずしも長寿命化が達成されるわけではない。
また、静電潜像担持体に与えるこれらの画質劣化要因は、画像形成プロセスによる影響も非常に大きい。中でも、帯電部材から発生するオゾンは、静電潜像担持体を構成する材料と反応し、電位安定性の低下や地汚れ等の異常画像の発生を誘発する。特に、帯電部材を複数備えるタンデム方式のフルカラー画像形成装置の場合は、その影響が非常に大きく、静電潜像担持体及びプロセスの両面からの対策が重要である。
このように、異常画像の発生を抑制し、高画質画像を長期に渡り安定して出力可能な画像形成装置を実現するためには、その発生要因のすべてを改善し、かつそれによる副作用を起こさないようにしなければならない。さらに、画像形成装置の小型化、高速化を実現するためには、より一層の長寿命化並びに画質安定化が求められ、従来技術においてはそれらを実現した画像形成装置は提供されていないのが実情であった。
特開平4−336556号公報 特開平2−148059号公報 特開平5−127496号公報 特開平5−273837号公報 特開平5−307279号公報 特開平6−308807号公報 特開平8−202126号公報 特開平9−171282号公報 特開平10−288881号公報 特開2002−148904号公報 特開2002−148905号公報 特開昭47―6341号公報 特開昭60―66258号公報 特開昭52―10138号公報 特開昭58―105155号公報 特開昭51―65942号公報 特開昭52―82238号公報 特開昭55―113045号公報 特開昭58―93062号公報 特開昭58―58556号公報 特開昭60―111255号公報 特開昭59―17557号公報 特開昭60―32054号公報 特開昭64―68762号公報 特開昭64―68763号公報 特開昭64―73352号公報 特開昭64―73353号公報 特開平1―118848号公報 特開平1―118849号公報 特開昭58―95351号公報 特開昭59―93453号公報 特開平4―170552号公報 特開平6―208238号公報 特開平6―222600号公報 特開平8―184979号公報 特開平9―43886号公報 特開平9―190005号公報 特開平9―288367号公報 特開平5―100461号公報 特開平5―210260号公報 特開平7―271072号公報 特開平5―80572号公報 特開平6―19174号公報 特開2001−19871号公報 特開平8−110649号公報 特開平1−299874号公報 特開平3−269064号公報 特開平2−8256号公報 特開昭64−17066号公報 特開平11−5919号公報 特開平3−255456号公報 特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、異常画像の発生が少なく、画質安定性に優れ、小型化さらには高速化にも対応できる長寿命な画像形成方法、その方法により画像を形成する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
異常画像の発生が少なく、画質安定性に優れ、小型化、高速化、長寿命化を同時に実現できる画像形成方法を実現するために検討を行ってきた結果、静電潜像担持体の表面を、表面間の空隙が100μm以下に近接配置された、非接触方式の帯電部材により帯電させる帯電工程と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、前記静電潜像担持体が、導電性支持体上に、少なくとも、電荷ブロッキング層、モアレ防止層、及び感光層を、この順に積層してなり、かつ、該感光層中に、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって。上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
画像形成方法の高画質化、高安定化、長寿命化、さらには小型化、高速化を達成するためには、静電潜像担持体の電位安定性を高め、寿命決定要因である地汚れ及び絶縁破壊の発生を抑制させる必要がある。本発明においては、静電潜像担持体の下引き層を電荷ブロッキング層及びモアレ防止層の二層構成とし、これによりモアレの発生を抑制しつつ支持体からの電荷注入による地汚れを抑制した。さらに、電荷ブロッキング層は、静電潜像担持体の耐電圧性の向上に寄与し、これにより絶縁破壊の抑制に対しても大きな効果を得ることが可能となった。また、感光層に含有される電荷発生材料には、結晶型安定化が実現され、かつ結晶粒子の凝集物を排除したことにより、それに伴う地汚れの発生を抑制した。静電潜像担持体の寿命に大きな影響を与える帯電部材に対しては、静電潜像担持体の汚染の影響が少なく、かつオゾンの発生量が少ない近接配置型の非接触帯電方式を採用した。交流重畳電圧を印加した場合に見られる絶縁破壊に及ぼす影響は、下引き層を二層化したことで完全に抑制でき、さらに交流重畳電圧の印加は露光部電位上昇の抑制に対しても有効であることがわかった。
これにより、多くの要因で発生する地汚れを顕著に抑制することが可能となっただけでなく、絶縁破壊の発生も抑制でき、静電潜像担持体の汚染やオゾンの影響による異常画像の発生をも抑制でき、電位安定性も向上され、長期繰り返し使用しても高画質画像を安定に出力可能で、小型化並びに高速化にも対応でき、さらにフルカラー画像の高速化も可能な画像形成方法を提供することが可能となった。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 静電潜像担持体の表面を、表面間の空隙が100μm以下に近接配置された、非接触方式の帯電部材により帯電させる帯電工程と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
前記静電潜像担持体が、導電性支持体上に、少なくとも、電荷ブロッキング層、モアレ防止層、及び感光層を、この順に積層してなり、
該感光層中に、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする画像形成方法である。
<2> 感光層が、モアレ防止層上に、電荷発生層及び電荷輸送層を、この順に積層してなる請求項1に記載の画像形成方法である。
<3> 電荷ブロッキング層が絶縁性材料からなり、その膜厚が0.3μm以上2.0μm未満である前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<4> 絶縁性材料がポリアミドである前記<3>に記載の画像形成方法である。
<5> ポリアミドが、N−メトキシメチル化ナイロンである前記<4>に記載の画像形成方法である。
<6> モアレ防止層が、無機顔料及びバインダー樹脂を含有し、該無機顔料とバインダー樹脂との容積比が1/1〜3/1である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<7> バインダー樹脂が、熱硬化樹脂である前記<6>に記載の画像形成方法である。
<8> 熱硬化樹脂が、アルキド樹脂及びメラミン樹脂の混合物である前記<7>に記載の画像形成方法である。
<9> アルキド樹脂とメラミン樹脂との混合比が、5/5〜8/2である前記<8>に記載の画像形成方法である。
<10> 無機顔料が、酸化チタンであるである前記<6>から<9>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<11> 平均粒子径の異なる2種以上の酸化チタンからなり、最も大きな酸化チタンの平均粒子径をD1とし、最も小さな酸化チタンの平均粒子径をD2としたときに、0.2<(D2/D1)≦0.5である前記<10>に記載の画像形成方法である。
<12> D2が、0.05<D2<0。2μmである前記<11>に記載の画像形成方法である。
<13> 最も大きな酸化チタンをT1、最も小さな酸化チタンT2としたときに、T1とT2との混合比率が、重量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8である前記<11>から<12>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<14> チタニルフタロシアニン結晶を、平均粒子径が0.3μm以下、かつ、その標準偏差0.2μm以下となるまで分散させた後、孔径3μm以下のフィルターにより濾過し、該チタニルフタロシアニン結晶の平均粒子径を0.25μm以下とした分散液を使用して、感光層を塗工する前記<1>から<13>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<15> チタニルフタロシアニン結晶が、平均粒子径が1μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、少なくとも7.0〜7.5°に最大値を有し、半値巾が1°以上である不定形チタニルフタロシアニン又は低結晶性チタニルフタロシアニンを、有機溶媒中で結晶化し、かつ、結晶化後の一次粒子の平均粒子径が0.25μmを超える前に、チタニルフタロシアニン結晶を分別及び濾過して得られる前記<1>から<14>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<16> チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン化物を含まない前記<15>に記載の画像形成方法である。
<17> チタニルフタロシアニン結晶が、不定形チタニルフタロシアニン又は低結晶性チタニルフタロシアニンを結晶化させることにより、かつ、アシッドペースト法により得られ、イオン交換水で洗浄され、洗浄後のイオン交換水のpHが6〜8、及び該イオン交換水の伝導度が8以下である前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<18> 結晶化において、使用される有機溶媒量が、重量比で、不定形チタニルフタロシアニン又は低結晶性チタニルフタロシアニンの量の30倍である前記<15>から<17>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<19> 感光層が、トリアリールアミンを、主鎖及び側鎖のいずれかに含むポリカーボネートを含有する前記<1>から<18>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<20> 感光層上に保護層を有する前記<1>から<19>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<21> 保護層が、比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有する前記<20>に記載の画像形成方法である。
<22> 保護層が、高分子電荷輸送物質を含有する前記<20>から<22>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<23> 保護層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が架橋構造を有する前記<20>から<22>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<24> バインダー樹脂の架橋構造中に、電荷輸送部位を有する前記<23>に記載の画像形成方法である。
<25> 保護層が、少なくとも、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成される前記<20>に記載の画像形成方法である。
<26> 3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基が、アクロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基のいずれかである前記<25>に記載の画像形成方法である。
<27> 3官能以上のラジカル重合性モノマーの分子量が、その官能基数の250倍以下である前記<25>から<26>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<28> 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である前記<25>から<27>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<29> 官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、トリアミールアミン構造である前記<25>から<28>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<30> 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記構造式(1)及び(2)の少なくとも1種以上である前記<25>から<29>のいずれかに記載の画像形成方法である。
ただし、前記構造式(1)及び(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(ただし、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(ただし、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
<31> 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記構造式(3)の少なくとも1種以上である前記<25>から<30>のいずれかに記載の画像形成方法である。
ただし、前記構造式(3)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、下記一般式(4)で表される基を表す。
<32> 電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量が、保護層全量に対し30〜70質量%である前記<25>から<31>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<33> 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量が、保護層全量に対し30〜70質量%である前記<25>から<32>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<34> 保護層を、加熱又は光エネルギー照射により硬化する前記<25>から<33>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<35> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を有する画像形成装置であって、
前記<1>から<34>のいずれかに記載の画像形成方法により画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
<36> 帯電手段がローラ形状をなし、かつ、該帯電手段両端の非画像形成領域に、静電潜像担持体との空隙を確保するためのギャップ形成部材を有する前記<35>に記載の画像形成装置である。
<37> 帯電部材がローラ形状をなし、かつ、静電潜像担持体の外径が、該帯電部材の外径の整数倍でない前記<35>から<36>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<38> 帯電手段に、交流重畳電圧を印加する前記<35>から<37>のいずれかに記載の画像形成装置。
<39> 転写手段が、可視像を直接記録媒体に転写する直接転写方式を採用する前記<35>から<38>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<40> 静電潜像担持体と、帯電手段と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とからなる画像形成要素を、複数配列した前記<35>から<39>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<41> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段とを有し、更に前記静電像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを画像形成装置本体に脱着可能に有してなり、前記<1>から<34>のいずれかに記載の画像形成方法により画像を形成することを特徴とするプロセスカートリッジである。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、異常画像の発生が少なく、画質安定性に優れ、小型化さらには高速化にも対応できる長寿命な画像形成方法、その方法により画像を形成する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
具体的には、電荷ブロッキング層並びにモアレ防止層の積層構成の下引き層を形成し、さらに安定性が高く、凝集が少ない特定のチタニルフタロシアニン結晶を感光層に含有させたことによって、静電潜像担持体の寿命を決定する主要因と言える地汚れの発生が抑制され、また長期に渡り繰り返し使用することによって現れる静電潜像担持体の絶縁破壊をも抑制することが可能となった。更に、帯電部材を静電潜像担持体に対して近接配置させ、画像形成領域において直接接触させないことにより、静電潜像担持体表面のトナーによる汚染を抑制することが可能となり、プロセス要因による異常画像の発生要因をも抑制することが可能となった。更に、帯電部材からのオゾン等の発生が少なく、電位安定性を顕著に高めることが可能となった。これらの非接触方式の帯電部材と上記静電潜像担持体を組み合わせて用いることにより、多くの要因で発生する様々な地汚れや絶縁破壊といった異常画像の発生を抑制し、繰り返し使用後においても高画質画像が安定に維持することが可能となり、これにより画像形成方法、その方法により画像を形成する画像形成装置及びプロセスカートリッジが提供される。特に、高速フルカラープリントを実現する上で現在主流となりつつあるタンデム方式の画像形成装置においては、複数の静電潜像担持体によって一つのフルカラー画像を形成するため、画質安定性や耐久性、オゾン発生量の低減等が要求され、本発明は極めて有効に用いることができる。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体の表面を、表面間の空隙が100μm以下に近接配置された、非接触方式の帯電部材により帯電させる帯電工程と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
前記静電潜像担持体が、導電性支持体上に、少なくとも、電荷ブロッキング層、モアレ防止層、及び感光層を、この順に積層してなり、
該感光層中に、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする。
−静電潜像担持体−
本発明の静電潜像担持体は、上述のように、導電性支持体上に、少なくとも、電荷ブロッキング層、モアレ防止層、及び感光層を、この順に積層してなり、該感光層中に、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含む。
前記チタニルフタロシアニン結晶を用いることで、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真静電潜像担持体を得ることができる。特開2001−19871号公報には、本発明で使用される電荷発生物質(同じ結晶型)およびこれを用いた静電潜像担持体、電子写真装置などが開示されている。しかしながら、600dpi以上あるいは1200dpi以上の解像度で使用される様な状況下で、非常に長期間使用される場合においては、地汚れの発生を引き起こし、静電潜像担持体の寿命を決定していた。このような現象は、該公報に記載された画像形成装置よりも高速な画像形成装置での使用の場合に、顕著に発現する。本発明者らは、この現象について詳細に検討した結果、チタニルフタロシアニンの粒子径をコントロールすることにより、この現象を制御できることを見いだした。このように、過去の構成の静電潜像担持体では、必ずしも同公報に記載された材料の実力を充分に引き出していないものであった。
また、前記公報には、粒子径に関する記載およびそれをコントロールする技術の記載が無く、粒子径の適正化がなされていないものであった。本発明においては、粒子径をコントロールした特定結晶型のチタニルフタロシアニンを含有し、更に適正な中間層(電荷ブロッキング層とモアレ防止層の積層構造から構成される)を有する静電潜像担持体を用い、より最適な画像形成方法を構築するものである。
一方、導電性支持体と感光層の間に、電荷ブロッキング層、モアレ防止層の順に積層した中間層の構成は、前述のように特開平5−100461号公報等に記載されている技術であるが、高感度を達成できる感光層との組み合わせにおいては、感光層における熱キャリアの発生の影響が大きく、必ずしも地汚れを完全に防止できるものではなかった。この傾向は、本発明で用いるようなチタニルフタロシアニン結晶に代表される長波長に吸収を有する電荷発生物質を用いた場合には顕著な問題となるものであった。
このように、下引き層あるいは電荷発生層において、各々地汚れを抑制させる方法は開示されているものの、地汚れ要因は複数存在しており、それらを同時に抑制させないと長期間繰り返し使用される状況下に耐えることは不可能である。それは、非常に小さな地汚れ要因であり、初期状態では問題にならなくても、繰り返し使用されることによって静電潜像担持体が疲労したり、構成材料の劣化が進行するに伴い、地汚れ要因は成長するためである。したがって、地汚れの要因は極力排除するとともに、繰り返し使用における静電潜像担持体の疲労に対しても安定性を高めることが必要である。しかし、それらを同時に解決し、飛躍的な高耐久化を可能とする方法は開示されていなかった。
そこで、チタニルフタロシアニン結晶の粒子径を、以下に示すような方法にて0.25μm以下に制御するような技術を更に組み合わせる、即ち、多くの要因によって引き起こされる地汚れを抑制するとともに、帯電性の経時安定性を高め、さらに残留電位や環境依存性に対する副作用を最小限にすることによって、繰り返し使用に対しても安定した効果を持続させることに成功し、本発明の目的を達成できることが分かった。
−−チタニルフタロシアニン結晶の合成方法−−
チタニルフタロシアニン結晶の合成方法としては、例えば、特開平6−293769号公報に記載されているように、ハロゲン化チタンを原料に用いない方法が好適に挙げられる。この方法の最大のメリットは、合成されたチタニルフタロシアニン結晶がハロゲン化フリーであることである。チタニルフタロシアニン結晶は不純物としてのハロゲン化チタニルフタロシアニン結晶を含むと、これを用いた静電潜像担持体の静電特性において光感度の低下や、帯電性の低下といった悪影響を及ぼすことがある(Japan Hardcopy ‘89論文集 p。103参照)。本発明においても、特開2001−19871号公報に記載されているようなハロゲン化フリーチタニルフタロシアニン結晶をメインに対象にしているものであり、これらの材料が有効に使用される。
ハロゲン化フリーのチタニルフタロシアニンを合成するためには、チタニルフタロシアニン合成の際の原材料に、ハロゲン化された材料を使用しないことである。具体的には、後述の方法が用いられる。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
例えば、第1の方法として、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。このとき、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。第3の方法は、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。特に、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法であり、本発明においては極めて有効に使用される。
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の合成法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッド・ペースト法あるいはアシッド・スラリー法と呼ばれるものが使用できる。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行ない、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、清浄なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行ない、固形分濃度で5〜15質量%程度の水ペーストを得る。
このとき、イオン交換水で十分に洗浄し、可能な限り濃硫酸を残さないことが重要である。具体的には、洗浄後のイオン交換水が以下のような物性値を示すことが好ましい。即ち、硫酸の残存量を定量的に表せば、洗浄後のイオン交換水のpHや比伝導度で表すことができる。pHで表す場合には、pHが6〜8の範囲であることが望ましい。この範囲であることにより、静電潜像担持体特性に影響を与えない硫酸残存量であると判断できる。このpH値は市販のpHメーターで簡便的に測定することができる。また比伝導度で表せば、8μS/cm以下であることが好ましく、5μS/cm以下がより好ましく、3μS/cm以下が最も好ましい。この範囲であれば、静電潜像担持体特性に影響を与えない硫酸残存量であると判断できる。この比伝導度は市販の電気伝導率計で測定することが可能である。比伝導度の下限値は、洗浄に使用するイオン交換水の比伝導度ということになる。いずれの測定においても、上記範囲を逸脱する範囲では、硫酸の残存量が多く、静電潜像担持体の帯電性が低下したり、光感度が悪化したりすることがある。
このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。このとき、該不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの波長1.542ÅにおけるX線に対するブラッグ角2θの回折値(誤差±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大値を有するものであることが好ましい。また、その回折値の半値巾が1゜以上であることが好ましい。更に、平均粒子径が0.1μm以下であることが好ましい。
次に、結晶化方法について述べる。
該結晶化は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαによる波長1.542ÅのX線に対する、ブラッグ角2θの回折値(誤差±0.2゜)として、27.2゜に最大値を有し、更に7.3°、9.4゜、9.6゜、24.0゜に少なくとも極大値を有し、かつ、前記7.3超9.4゜未満に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶を得るものである。
このとき、使用される有機溶媒は、所望の結晶を得られるものであれば、特に制限はないが、特に、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンが好適に挙げられる。これら有機溶媒は1種単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合してもよいし、他の溶媒と混合して用いてもよい。結晶化に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の重量の10倍以上が好ましく、30倍以上がより好ましい。これは、結晶変換を素早く十分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)に含まれる不純物を十分に取り除く効果が発現されるからである。尚、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を十分に洗浄したものを使用することが好ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、得られた結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことができないことがある。硫酸イオンが残存した場合には、静電潜像担持体の感度低下、帯電性低下などを引き起こすことがある。例えば、特開平8−110649号公報には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行う方法が記載されている。この方法によっても、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることができるが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。
本発明の静電潜像担持体に含有される電荷発生物質においては、チタニルフタロシアニン結晶の粒子径をより細かくすることにより、地汚れ抑制効果が高くなり、画質安定性並びに高寿命化に対し有効となる。以下にその作製方法を示す。
感光層に含有されるチタニルフタロシアニン結晶の粒子径をコントロールするための方法としては、大きく2つの方法が挙げられる。1つはチタニルフタロシアン結晶粒子を合成する際に、0.25μmより大きい粒子を含まない結晶を合成する方法であり、もう1つはチタニルフタロシアニン結晶を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除いてしまう方法であり、これらはいずれか一方を単独で用いてもよいし、双方を併用して用いてもよい。
まず、0.25μmより大きい粒子を含まない結晶を合成する方法について説明する。なお、図8及び図9において、スケールバーはいずれも0.2μmである。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子径をより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、図7に示すように、一次粒子径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが、結晶化に際しては、結晶成長と共に粒子径が変わることが分かった。通常、この種の結晶化においては、原料の残存をおそれて充分な結晶化時間を確保し、結晶化が十二分に行なわれた後に、濾過を行い、所望のチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、得られる結晶としては、図8に示すように、一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである。
得られたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子径を小さなもの(0.25μm以下)にするため、強いシェアを与えることで分散を行い、更には必要に応じて一次粒子を粉砕する強いエネルギーを与えて分散を行っている。この結果、前述の如き、粒子の一部が所望の型でない結晶へと転移してしまう可能性を有しているものである。
この点に関して、合成段階からチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子径をコントロールすることにより、小さいサイズの結晶を得ることにより、この問題を解決する方法が可能であり、本発明には有効に使用される。具体的には、結晶化に際して結晶成長がほとんど起こらない範囲(図8に観察される不定形チタニルフタロシアニン粒子のサイズが、結晶化後において遜色ない小ささ、概ね0.25μm以下に保たれる範囲)で、結晶化が完了した時点を見極めることで、可能な限り一次粒子径の小さなチタニルフタロシアニン結晶を得ようというものである。結晶化後の粒子径は、結晶化時間に比例して大きくなる。このため前述のように、結晶化の効率を高くし、短時間で完了させることが重要である。このためには、いくつかの重要なポイントが挙げられる。
1つは、結晶化溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶化効率を高めること。もう1つは、結晶化を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如く作製した原料:不定形チタニルフタロシアニン)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるものである。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶化を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶化が充分に行なわれ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。この場合にも、結晶化に使用する有機溶媒量の適正化が有効な手段である。具体的には、不定形チタニルフタロシアニンの固形分に対して、10倍以上、好ましくは30倍以上の有機溶媒を使用することが望ましい。これにより、短時間での結晶化を確実なものとすると共に、不定形チタニルフタロシアニン中に含まれる不純物を確実に取り除くことができる。
また、上述のように結晶粒子径と結晶化時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶化)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶化を行なった後、直ちに結晶化の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶化の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶化溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶化を停止することができる。
このようにして作製される一次粒子径は、細かいほど静電潜像担持体の課題に対しては良好な結果を示すものであるが、顔料作製にかかる次工程(顔料の濾過工程)、分散液での分散安定性を考慮すると、あまり小さすぎても副作用がでる場合がある。即ち、一次粒子が非常に細かい場合には、これを濾過する工程において濾過時間が非常に長くなってしまうという問題が発生する。また、一次粒子が細かすぎる場合には、分散液中での顔料粒子の表面積が大きくなるため、粒子の再凝集の可能性が高くなる。したがって、顔料粒子の粒子径としては、約0.05μm〜0.2μm程度が好ましい。
図10には、短時間で結晶化を行った場合のチタニルフタロシアニン結晶のTEM像を示す(図中のスケール・バーは、0.2μmである)。図9の場合とは異なり、粒子径が小さくほぼ均一であり、図9に観察されるような粗大粒子は全く認められない。
図8に示されるように一次粒子が小さい状態で作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子径を小さなもの(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)にするためには、一次粒子が凝集(集合)して集まって形成する2次粒子をほぐすだけのシェアを与えることで分散が可能である。この結果、必要以上のエネルギーを与えないため、前述の如き、粒子の一部が所望の型でない結晶へと転移し易い結果は生み出さずに、粒度分布の細かい分散液を容易に作製することが可能である。
ここでいう粒子径とは、体積平均粒子径を意味し、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。このとき、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、チタニルフタロシアニン結晶粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
分散液の更なる観察により、微小欠陥に関して検討した結果、上記現象は次のように理解された。通常、平均粒子径を測定するような方法においては、極端に大きな粒子が数%以上も存在するようなときには、その存在が検出できるが、全体の1%以下程度のような微量になってくると、その測定は検出限界以下になってしまうものである。その結果として、平均粒子径の測定だけでは粗大粒子の存在が検出されずに、上述のような微小欠陥に関する解釈を困難にしていた。
図10及び図11に、分散条件を固定して分散時間だけを変更した2種類の分散液の状態を観察した写真を示す。同一条件における分散時間の短い分散液の写真を図10に示すが、分散時間の長い図11と比較して、図10中の黒い粒として観察される粗大粒子が残っている様子が観測される。
この2種類の分散液の平均粒径並びに粒度分布を公知の方法に従って、市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製:超遠心式自動粒度分布測定装置、CAPA700)により測定した。その結果を図12に示す。図12における「A」が図10に示す分散液に対応し、「B」が図11に示す分散液に対応する。両者を比較すると、粒度分布に関してはほとんど差が認められない。また、両者の平均粒径値は、「A」が0.29μm、「B」が0.28μmと求められ、測定誤差を加味した上では、両者に全くの差があるとは判断できない。
したがって、公知の平均粒子径の規定だけでは、微量な粗大粒子の残存を検出することはできず、地肌汚れとの関係を明確にすることは難しい。この微量な粗大粒子の存在は、塗工液を顕微鏡レベルで観察することにより、初めて認識されるものであり、これによって地肌汚れとの関係を明らかにすることが可能となった。
このような結果から、凝集を抑制しつつ、結晶化時に作製される一次粒子をできる限り小さくするために、結晶化溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶化効率を高めつつ、結晶化を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるような手法は有効であることがわかる。
このような結晶化方法を採用することにより、一次平均粒子径の小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。特開2001−19871号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶化方法)を併用することは、本発明の効果を高めるために有効な手段である。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行なわれる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
このように得られた特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真静電潜像担持体用電荷発生物質として極めて有用である。しかしながら、先述のように結晶が不安定であり、分散液を作製する際に結晶型が転移し易いという欠点を有しているものであった。しかしながら、本発明のように一次粒子を限りなく小さなものに合成することにより、分散液作製時に過剰なシェアを与えることなく、平均粒子径の小さな分散液を作製することができ、結晶型も極めて安定に(合成した結晶型を変えることなく)作製することができるものである。
次に分散液の作製方法について述べる。
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は静電潜像担持体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
次に特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を分散した後に、0.25μm以上の粒子を取り除く方法について述べる。
既に述べたように、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー・機械的シェア等のストレスにより他の型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。すなわち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶の安定性と微粒子化はトレード・オフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下のような方法も有効な手段である。
すなわち、結晶転移が起こらない範囲で、できる限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過してしまう方法である。この方法では、残存する目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が3μm以下のフィルター、より好ましくは1μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子径の小さな(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶のみを含む分散液を作製することができ、これを用いた静電潜像担持体を画像形成装置に搭載使用することによって、地汚れに対する余裕度を高めることが可能となり、静電潜像担持体の高耐久化に対し有効となる。
分散液を濾過するフィルターに関しては、除去したい粗大粒子のサイズによって異なるが、本発明者等の検討によれば、600dpi程度の解像度を必要とする電子写真装置で使用される静電潜像担担持体としては、最低でも3μm以上の粗大粒子の存在は画像に対して影響を及ぼす。したがって、使用するフィルターのサイズとしては、孔径が3μm未満であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。このようなフィルタリング処理を行うことにより、孔径よりも細かい粗大粒子も取り除くことが可能であり、粒度分布が狭く、かつ粗大粒子の含まない分散液を作製することが可能になる。
前記フィルターの孔径に関しては、細かいほど粗大粒子の除去に効果があるが、あまり細かすぎると、必要な顔料粒子そのものも濾過されてしまうため、適切なサイズが存在する。また、細かすぎた場合には、濾過に時間がかかる、フィルターが目詰まりを起こす、ポンプ等を使用して送液する場合には負荷がかかりすぎる等の問題を生じる。なお、ここで使用されるフィルターの材質としては、濾過する分散液に使用される溶媒に対して耐性のあるものが好適に使用される。
濾過に際しては、濾過される分散液中の粗大粒子量があまりにも多い場合、取り除かれる顔料が多くなり、濾過後の分散液の固形分濃度が変化等することがある。したがって、濾過を行うときには適切な粒度分布(粒子サイズ、標準偏差)が存在する。本発明のように、濾過による顔料のロス、フィルターの目詰まり等がなく、効率よく濾過を行うためには、濾過前の分散液に平均粒子径が0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に分散しておくことが好ましい。
このような分散液の濾過操作を加えることによっても、粗大粒子を取り除くことが可能になり、ひいては分散液を使用した静電潜像担持体で発生する地汚れを低減化することができる。上述のように、より細かいフィルターを使用するほど、その効果は大きなもの(確実なもの)になるが、顔料粒子そのものが濾過されてしまう場合が存在してしまう。このような場合には、先に述べたチタニルフタロシアニン一次粒子を微細化合成する技術と併用することは、非常に大きな効果を発するものである。即ち、(i)微細化チタニルフタロシアニンを合成し、これを使用することにより、分散時間の短縮化・分散ストレスの低減化が図れ、分散における結晶転移の可能性が小さくなる。(ii)分散によって残存する粗大粒子径が、微細化しない場合よりも小さいため、より小さなフィルターを使用することが可能になり、粗大粒子の除去効果がより確実なものとなる。また、除去されるチタニルフタロシアニン粒子量が低減し、濾過前後における分散液組成の変化が少なく、安定した製造が可能になる。(iii)その結果、製造される静電潜像担持体は安定して地汚れ耐性の高い静電潜像担持体が製造されることになる。
−−構成例−−
前記静電潜像担持体の構成としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
図13は、導電性支持体上201に、電荷ブロッキング層205、モアレ防止層206、特定の結晶型を有し特定平均粒子径以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層204が順に積層された構成をとっている。
図14は、感光層が、モアレ防止層206上に、特定の結晶を有し特定平均粒子径以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層207、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層208が順に積層してなる構成をとっている。
図15は、保護層209が、電荷発生層207及び電荷輸送層208からなる感光層上に積層された構成をとっている。
−−導電性支持体−−
前記導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などが好適に使用される。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも好適に使用される。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。
前記導電性支持体は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも好適に使用される。
−−電荷ブロッキング層及びモアレ防止層−−
前記電荷ブロッキング層及びモアレ防止層のような下引き層の役割は、静電潜像担持体の帯電時に導電性支持体に誘起される逆極性の電荷の注入を抑制したり、モアレを防止したり、素管の欠陥を隠蔽したり、感光層の接着性を維持するなど多くの役割を有している。通常の様に下引き層が一層の場合には、導電性支持体からの電荷注入を抑制すると残留電位が上昇する傾向を示し、逆に残留電位を低減させようとすると地汚れは悪化する。このようなトレード・オフの関係を複数の下引き層を形成することによって機能分離した結果、残留電位に大きな影響を与えずに地汚れ抑制効果が顕著に向上できる。本発明においては、複数の下引き層を積層することによって効果が発揮されるものであるが、特に無機顔料が含有されない下引き層(電荷ブロッキング層)と無機顔料が含有される下引き層(モアレ防止層)がこの順に、少なくとも二層が積層されることで、残留電位への影響が少なく、地汚れ抑制効果を大幅に高めることが可能となり、モアレや接着性に対する副作用もなく、静電潜像担持体の高耐久化に対して非常に大きな効果を得ることが可能となる。
先に、導電性支持体からの電荷注入の抑制を主目的とする電荷ブロッキング層について述べる。
電荷ブロッキング層は、静電潜像担持体帯電時に電極に誘起される逆極性の電荷が、支持体から感光層に注入するのを防止する機能を有する層で、主に地汚れを抑制させることを目的とした層である。負帯電の場合には正孔注入防止、正帯電の場合には電子注入防止の機能を有する。また、素管の欠陥に対する隠蔽性を高める効果も有しており、地汚れ抑制効果を高めるものである。したがって、これらの目的を達成するためには電荷の移動を抑えることが要求されることから、無機顔料を含有させずに絶縁性の高い樹脂のみで構成されることが好ましい。
電荷ブロッキング層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiOに代表される無機系の絶縁層、特開昭64−1728号公報に記載されるような金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層、特開平11−5919号公報に記載されるようなポリフォスファゼンからなる層、特開平3−269064号公報に記載されるようなアミノシラン反応生成物からなる層、絶縁性の結着剤樹脂からなる層、硬化性の結着剤樹脂からなる層などが挙げられる。これらの中でも、湿式塗工法で形成可能な絶縁性のバインダー樹脂又は硬化性のバインダー樹脂から構成される層が好適に使用される。電荷ブロッキング層は、その上にモアレ防止層や感光層を積層するものであるから、これらを湿式塗工法で設ける場合には、これらの塗工溶媒により塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが必要である。
前記バインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
より具体的には、活性水素(−OH基、−NH基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物と、イソシアネート基及びエポキシ基の少なくともいずれかを複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂等が挙げられる。
前記活性水素を複数個含有する化合物としては、例えば、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂、などがあげられる。イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー、などが挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、などがあげられる。
また、オイルフリーアルキド樹脂と、例えば、ブチル化メラミン樹脂等のアミノ樹脂を熱重合させた熱硬化性樹脂、不飽和結合を有するポリウレタン、不飽和ポリエステル等の不飽和結合を有する樹脂と、チオキサントン系化合物、メチルベンジルフォルメート等の光重合開始剤との組合せなどの光硬化性樹脂も挙げられる。
これらのアルコール可溶性樹脂や熱硬化性樹脂は、絶縁性が高い上に、上層に塗工される液にはケトン系溶剤が多く用いられているために、塗工時に膜が溶出することもなく、均一な膜が維持されるため、地汚れ抑制効果の安定性並びに均一性に優れる。
これらの樹脂の中でもポリアミドが好ましく、その中でもN−メトキシメチル化ナイロンが最も好ましい。ポリアミド樹脂は、電荷の注入を抑制する効果が高い上に残留電位に与える影響が少ない。また、これらのポリアミド樹脂は、アルコール可溶性の樹脂であって、これ以外の溶媒には不溶性を示し、また浸積塗工においても均一な薄膜を形成することができ、塗工性に優れている。特に、この下引き層は残留電位上昇の影響を最小限にするために薄膜にする必要がある上、膜厚の均一性が要求されるため、塗工性は画質安定性において重要な意味を持っている。
一般にアルコール可溶性樹脂は湿度依存性が大きく、それにより低湿環境下では抵抗が高くなり残留電位上昇が、高湿環境下では抵抗が低くなり、帯電低下が引き起こされ、環境依存性が大きいことが大きな課題であった。しかし、ポリアミド樹脂の中でもN−メトキシメチル化ナイロンは、高い絶縁性を示し、導電性支持体から注入される電荷のブロッキング性に非常に優れている上、残留電位に与える影響が少なく、さらに環境依存性が大幅に低減され、画像形成装置の使用環境が変化しても常に安定した画質を維持することが可能であるため、この上にモアレ防止層を積層した場合に最も好適に用いられる。加えて、N−メトキシメチル化ナイロンを用いた場合には残留電位の膜厚依存性が小さく、そのため残留電位への影響を低減し、かつ高い地汚れ抑制効果を得ることが可能となる。
N−メトキシメチル化ナイロンにおけるメトキシメチル基の置換率は、特に限定されるものではないが、15mol%以上であることが好ましい。N−メトキシメチル化ナイロンを用いたことによる上記効果は、メトキシメチル化度によって影響され、メトキシメチル基の置換率がこれより低いときには、湿度依存性が増加したり、アルコール溶液とした場合に白濁したりする傾向が見られ、塗工液の経時安定性がやや低下することがある。
本発明においては、N−メトキシメチル化ナイロンを単独で使用することも可能であるが、場合によっては架橋剤や酸触媒を添加することも可能である。架橋剤としては従来公知のメラミン樹脂、イソシアネート樹脂等市販されている材料を、触媒としては、酸性触媒が用いられ、酒石酸等の汎用触媒を用いることが可能である。但し、酸触媒の添加によって下引き層の絶縁性が低下し、地汚れ抑制効果が低減されることがあるため、添加量はごく微量にする必要がある。樹脂に対して5質量%以下が好ましい。また、場合によっては他のバインダー樹脂を混合させることも可能である。混合可能なバインダー樹脂としては、アルコール可溶性を示すポリアミド樹脂が用いられ、液の経時安定性が高まることがある。
また、導電性高分子や、帯電極性に合わせてアクセプター(ドナー)性の樹脂あるいは低分子化合物、その他各種添加剤を加えることも可能であり、残留電位の低減に対し有効となることがある。但し、上層を浸漬塗工によって積層させるときには、それらの添加剤が溶け出す恐れがあるため、添加量は最小限に留めるのが好ましい。
電荷ブロッキング層の膜厚としては、0.3μm以上2.0μm未満が好ましく、0.3μm以上1.0μm以下がより好ましい。前記膜厚が2.0μm以上であると、帯電と露光の繰返しによって、特に低温低湿で残留電位の上昇が著しくなることがあり、0.3μm未満であると、ブロッキング性の効果が小さくなることがある、
また、前記電荷ブロッキング層には、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進材等を加えて、常法により、ブレード塗工、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート法、などにより基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、光等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させる。
次にモアレ防止、感光層の接着性を高めることを主目的とし、疲労による帯電低下や残留電位を低減させる上でも有効なモアレ防止層について述べる。このモアレ防止層は、地汚れを抑制する効果も併せ持つが、モアレ防止あるいは感光層の接着性を高める機能が要求される。したがって、モアレ防止層の表面粗さを増加させることが好ましく、無機顔料を分散することで達成される。 モアレ防止層は、前述のとおり含有される無機顔料によってモアレが抑制され、疲労による残留電位や暗減衰の低減が可能となり、さらに感光層との接着性を高める機能をも有する。
前述のモアレとは、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によってモアレと呼ばれる干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。基本的に、入射されたレーザー光をこの下引き層によって光散乱させることによりモアレ発生を防止するため、屈折率の大きな材料を含有させる必要がある。モアレを防止する上では、バインダー樹脂に無機顔料を分散させた構成が最も有効である。特に、無機顔料の中でも白色の顔料が有効に使用され、例えば、酸化チタン、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、などが良好に用いられる。これらの中でも、隠蔽力の大きな酸化チタンが最も好適に使用される。
前記モアレ防止層には、静電潜像担持体表面に帯電される電荷と同極性の電荷を、感光層から導電性支持体側へ移動できる機能を有することが残留電位低減の観点から好ましく、無機顔料はその役割をも果たしている。例えば、負帯電型の静電潜像担持体の場合、下引き層は電子伝導性を有することによって残留電位を大幅に低減できる。これらの無機顔料としては、前述の金属酸化物が有効に用いられるが、抵抗の低い金属酸化物を用いたり、バインダー樹脂に対する金属酸化物の添加比率を必要以上に増加させたりすることによって残留電位を低減させる効果が高くなる反面、地汚れ抑制効果が低下する恐れもある。従って、静電潜像担持体における下引き層の層構成や膜厚によってそれらを使い分けたり、添加量を調整したりすることによって、地汚れ抑制と残留電位低減の両立を図ることが必要である。また、モアレ防止層に電子伝導性の材料(例えば、アクセプター)などを使用することは本発明の効果を一層顕著なものにするものである。
前記無機顔料としては、前述の金属酸化物が好適に用いられるが、導電性金属酸化物を用いたtきには、残留電位を低減させる上では有効であるが、地汚れが増加することがあり、抵抗の高い金属酸化物を用いたときには、地汚れの抑制には有効であるが、残留電位が上昇しやすくなる傾向が見られる。本発明においては、電荷ブロッキング層とモアレ防止層からなる複数の下引き層が形成され、「機能分離されていることにより、無機顔料はより広範囲に選択することが可能ではあるが、無機顔料を含有しない下引き層を有していたとしても、無機顔料を含有する下引き層に含まれる無機顔料の抵抗は、少なからず地汚れや残留電位に影響する。したがって、地汚れを抑制する上では、導電性の金属酸化物よりも抵抗の高い金属酸化物を用いることが好ましく、上記金属酸化物の中でも酸化チタンを用いることが画質安定性の面から最も好ましい。
前記酸化チタンとしては、残留電位上昇を軽減する上で、高純度の方がより好ましい。具体的な純度としては、99.0%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。
前記無機顔料の平均一次粒子径としては、0.01μm〜0.8μmが好ましく、0.05μm〜0.5μmがより好ましい。但し、平均一次粒子径が0.1μm以下の無機顔料のみを用いたときには、地汚れの低減に対し有効であるが、モアレ防止効果が低下することがあり、一方、平均一次粒径が0.4μmよりも大きな金属酸化物のみを用いたときには、モアレ防止効果に優れるものの、地汚れの抑制効果がやや低減することがある。このとき、異なる平均一次粒子径を有する無機顔料を混合して用いることによって、地汚れの低減とモアレの低減を両立できることがあり、また残留電位の低減にも効果が見られることがあるので好ましい。
バインダー樹脂としては電荷ブロッキング層と同様のものを使用できるが、モアレ防止層6の上に感光層を積層することを考慮すると、感光層の塗工溶媒に不溶性を示すバインダー樹脂が好ましい。
そのようなバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、ポリアミド、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキドメラミン樹脂、エポキシ樹脂、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂、などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、硬化型樹脂は、硬化されていることによって下引き層の上に感光層が塗工される際に有機溶剤による溶出の影響が極めて少ないことから、最も好適に使用される。
前記硬化型樹脂の中でも、残留電位や環境安定性の面から、アルキド/メラミン樹脂の混合物が最も好ましい。
このとき、アルキド/メラミン樹脂の混合比は、モアレ防止層の構造及び特性を決定する重要な因子である。具体的には、両者の比が、重量比で、5/5〜8/2の範囲が好ましい。5/5よりもメラミン樹脂が多いと、熱硬化の際に体積収縮が大きくなり塗膜欠陥を生じやすくなったり、静電潜像担持体の残留電位を大きくすることがある。また、8/2よりもアルキド樹脂が多いと、静電潜像担持体の残留電位低減には効果があるものの、バルク抵抗が低くなりすぎて地汚れが悪くなることがある。
前記モアレ防止層においては、無機顔料とバインダー樹脂との容積比が重要な特性を決定する。このため、無機顔料とバインダー樹脂の容積比が1/1乃至3/1の範囲であることが好ましい。前記容積比が1/1未満であると、モアレ防止能が低下するだけでなく、繰り返し使用における残留電位の上昇が大きくなることがある。一方、容積比が3/1以上であると、バインダー樹脂における結着能が劣るだけでなく、塗膜の表面性が悪化し、上層の感光層の成膜性に悪影響を与えることがある。この影響は感光層が積層タイプで構成され、電荷発生層のような薄層を形成する場合に深刻な問題になり得るものである。また容積比が3/1以上であると、無機顔料表面をバインダー樹脂が覆い尽くせない場合が存在し、電荷発生物質と直接接触することで、熱キャリア生成の確率が大きくなり、地汚れに対して悪影響を与えることがある。
更に、モアレ防止層には、平均粒子径の異なる2種以上の酸化チタンを用いることで、導電性基体に対する隠蔽力を向上させモアレを抑制することが可能となるとともに、異常画像の原因となるピンホールをなくすことができる。このためには、用いる2種以上の酸化チタンの平均粒子径の比が、最も大きな酸化チタン(以下、「T1」ともいう。)の平均粒子径をD1とし、最も小さな酸化チタン(以下、「T2」ともいう。)の平均粒子径をD2としたときに、0.2<D2/D1≦0.5であることが好ましい。最も大きな酸化チタンの平均粒径に対する最も小さなの酸化チタンの平均粒径の比が小さすぎる(0.2>D2/D1)と、酸化チタン表面での活性が増加し電子写真静電潜像担持体としたときの静電的安定性が著しく損なわれることがある。また、最も大きな酸化チタンの平均粒径に対する最も小さな酸化チタンの平均粒径の比が大きすぎる(D2/D1>0.5)と、導電性基体に対する隠蔽力が低下し、モアレや異常画像に対する抑制力が低下する。ここで言う平均粒子径は、水系で強分散を行なったときに得られる粒度分布測定から得られる。
また、最も小さな酸化チタンの平均粒径(D2)の大きさが重要な因子であり、0.05μm<D2<0.20μmであることが好ましい。前記粒子径が0.05μmよりも小さいと、隠蔽力が低下し、モアレを発生させることがある。一方、0.20μmよりも大きいと、モアレ防止層の酸化チタンの充填率を低下させ、地汚れ抑制効果が十分に発揮できないことがある。
また、前記T1とT2との混合比率(重量比)も重要な因子であり、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることが好ましい。T2/(T1+T2)が0.2よりも小さいと、酸化チタンの充填率がそれほど大きくなく、地汚れ抑制効果が十分に発揮できないことがある。一方、0.8よりも大きいと、隠蔽力が低下し、モアレを発生させることがある。
また、モアレ防止層の膜厚としては、1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。膜厚が1μm未満では効果の発現性が小さいことがあり、10μmを越えると残留電位の蓄積を生じることがある。
無機顔料は溶剤とバインダー樹脂と共に常法により、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライラー等により分散し、また、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進剤等を加えて、常法により、ブレード塗工、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート法、などにより基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、光等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させる。
−−感光層−−
前記感光層としては、感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でもよいが、図13及びず16で示した電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れた特性を示し、より好ましい。
前記感光層は、電荷発生物質として、前述した、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含んでいる。
前述の通り、電荷ブロッキング層とモアレ防止層を積層させることにより地汚れの抑制効果は顕著に高まるが、これらの効果は導電性支持体からの電荷の注入を抑制したことによるものであり、その上に形成される電荷発生層の凝集や純度の低下によって引き起こされる地汚れに対しては別な対策が必要である。本発明は、電荷ブロッキング層とモアレ防止層からなる下引き層と電荷発生層における双方の地汚れ要因を抑制できたことにより、飛躍的な高耐久化が実現されたものである。更に、静電潜像担持体の繰り返し使用による帯電低下は地汚れ発生を助長させるが、本発明においては、電荷発生層に用いられるチタニルフタロシアニンの結晶型及び平均粒子径を特定化することにより、帯電低下を軽減させることができ、更に地汚れ抑制効果を高めることが可能となった。また、同時に湿度依存性を低減することが可能となったことにより、画質の使用環境依存性が低減され、画質安定化を更に高めることが可能となり、高耐久化と高安定化の飛躍的な向上が実現された。
<電荷発生層>
前記電荷発生層は、先に述べた顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体1上に塗布し、乾燥することにより形成される。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などがあげられる。
前記バインダー樹脂の量としては、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部が好ましく、10〜300重量部がより好ましい。
前記電荷発生層に使用される溶剤としては、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン、などが挙げられる。
前期電荷発生層を塗工する方法としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート、などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚としては、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
<電荷輸送層>
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
前記電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
前記正孔輸送物質としては、特に制限は無く、通常使用される物質を適宜選択して使用できるが、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体、等の電子受容性物質が挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記電荷輸送物質の量としては、バインダー樹脂100重量部に対して、20〜300重量部が好ましく、40〜150重量部がより好ましい。
前記電荷輸送層の膜厚としては、5〜100μmが好ましい。
前記電荷輸送層に使用される溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、などが挙げられる。これらの中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒のものが好ましい。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルや、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が好適に使用される。
前記電荷輸送層には、電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を有する高分子電荷輸送物質も好適に使用される。
前記高分子電荷輸送物質としては、通常使用される物質を適宜選択して使用できるが、例えば、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが好適に使用される。これらの中でも、特に、下記構造式(I)〜(X)で表わされる高分子電荷輸送物質が好適に使用される。
但し、前記構造式(I)中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式(Ia)、(Ib)で表される2価基を表す。なお、前記構造式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、前記一般式(Ia)中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、一般式(Ib)で表される基を表す。
但し、前記一般式(Ib)中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
但し、構造式(II)中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)と同様である。なお、構造式(II)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(III)中、R、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)と同様である。なお、前記構造式(III)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(IV)中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)と同様である。なお、構造式(IV)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(V)中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X、Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)と同様である。なお、前記構造式(V)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(VI)中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y、Y、Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、構造式(I)のと同様である。なお、構造式(VI)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(VII)中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(VII)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(VIII)中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)と同様である。なお、構造式(VIII)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(XI)中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)と同様である。なお、構造式(IX)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
但し、構造式(X)中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(X)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
前記高分子電荷輸送物質としては、上述の物質の他にも、電荷輸送層の成膜時に電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むことができる。
前記架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により静電潜像担持体の表面層が摩耗すると、その分だけ静電潜像担持体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、静電潜像担持体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する静電潜像担持体には高速応答性が期待できる。
前記架橋構造を有する重合体としては、例えば、単量体の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、特開平3−109460号公報、特開2000−206723号公報、特開2000−206723号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
前記電荷輸送層中には、可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
前記可塑剤としては、樹脂の可塑剤として通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、などが挙げられる。
前記可塑剤の添加量としては、バインダー樹脂に対して30質量%以下であるのが好ましい。
前記レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
前記レベリング剤の添加量としては、バインダー樹脂に対して異質量%未満であるのが好ましい。
<その他>
ここまで、感光層が積層構成について特に述べたが、本発明においては感光層が単層構成でも構わない。感光層を単層構成とするためには、少なくとも上述の電荷発生物質(特定の結晶型を有し、特定の粒子サイズであるチタニルフタロシアニン結晶)とバインダー樹脂を含有する単一層を設けることで感光層は構成され、バインダー樹脂としては電荷発生層や電荷輸送層の説明に挙げられた材料が好適に使用される。また、単層感光層には電荷輸送物質を併用することで、高い光感度、高い電荷輸送性、低い残留電位が発現され、好適に使用できる。このとき、使用する電荷輸送物質は、静電潜像担持体表面に帯電させる極性に応じて、正孔輸送物質、電子輸送物質の何れかが選択される。更に、上述した高分子電荷輸送物質もバインダー樹脂と電荷輸送物質の機能を併せ持つため、単層感光層には好適に使用される。
−−保護層−−
前記静電潜像担持体には、感光層保護の目的で、保護層を感光層上に設けてもよい。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるようになり、プリンタによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、高感度で異常欠陥のない静電潜像担持体とすることができる。
前記保護層の構成としては、バインダー樹脂中にフィラーを添加した構成と、架橋型バインダーを使用した構成とが挙げられる。
先に、前記バインダー樹脂中にフィラーを添加する構成について説明する。
前記保護層に使用される材料としては、例えば、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、などが挙げられる。これらのなかでも、特に、ポリカーボネート、ポリアクリレートが好ましい。
前記保護層には、その他にも、耐摩耗性を向上させる目的で、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に無機フィラー、有機フィラーを分散したもの、などが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末、シリカ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウム、などが挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末、などが挙げられる。
これらの中でも、特に、フィラー硬度の点から、無機フィラーが好ましく、シリカ、酸化チタン、アルミナがより最も好ましい。
前記フィラー濃度は使用するフィラー種により、また静電潜像担持体を使用するプロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%が最も好ましい。
また、前記フィラーの平均粒子径としては、0.1〜2μmの範囲が好ましく、0.3〜1μmの範囲がより好ましい。このとき、平均粒子径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されないことがあり、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりすることがある。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒子径とは、特別な記載のない限り、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。このとき、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが好ましい。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまうことがある。
前記フィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼすことがある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
前記フィラーのpHとしては、画像ボケ抑制の点から、等電点のpHが、5以上であるのが好ましく、より塩基性を示すのがさらに好ましい。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
前記フィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を求めた。このとき、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、上述のフィラーのpHが5以上を示すものの他、フィラーの誘電率が5以上を示すものが特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高く、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
前記フィラーの比抵抗値の測定方法としては、前記フィラーのような粉体は、充填率のよりその抵抗値が異なるので、一定の条件で測定するのが好ましい。したがって、以下のように測定した。
特開平5−113688号公報の図1に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行い、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード社製)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク社製)により測定した。
前記フィラーの誘電率としては、前記比抵抗値の測定方法と同じ装置を使用して荷重をかけた後に、静電容量を測定することにより求めた。なお、前記静電容量の測定には、誘電体測定器(安藤電気社製)を使用した。
前記フィラーはさらに、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが、該フィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展することがある。
前記表面処理剤としては、通常使用されている表面処理剤を適宜選択して使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できるものが好ましく、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、シランカップリング剤、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム、などがフィラーの分散性及び画像ボケの点から好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記表面処理剤の添加量としては、使用するフィラーの平均一次粒子径によって異なるが、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。前記添加量が3質量%未満であると、フィラーの分散効果が得られず、30質量%を超えると、残留電位の著しい上昇を引き起こす。
前記フィラーは、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは一次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
前記保護層には、残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。
前記電荷輸送物質としては、例えば、感光層の項で記載した材料を使用することができる。前記電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けてもよい。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここで、濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは、前記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、静電潜像担持体の耐久性を高める点で非常に好ましい。
前記保護層に使用されるバインダー樹脂としては、例えば、感光層の項で説明した高分子電荷輸送物質を使用することができる。前記高分子電荷輸送物質をバインダー樹脂として使用することにより、感光層の項において記載した効果と同様に、耐摩耗性の向上等を図ることができる。
前記保護層の形成方法としては、通常使用される塗布法が挙げられる。
前記保護層の膜厚としては、0.1〜10μmが好ましい。
次に、架橋構造からなる保護層について説明する(以下、架橋型保護層と呼ぶ)。
架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成する。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現する。
前記反応性モノマーとしては、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することが好ましい。
前記電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが好適に挙げられる。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層としての機能を十分に発現することが可能となる。
また、このような網目構造を有する保護層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じることがある。したがって、これを防ぐために、保護層を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
前記架橋型保護層の中でも、特に、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造を有する保護層が、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される観点から、好適に使用される。
一方、上述の様に静電潜像担持体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることは重要ではあるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋型保護層の膜厚が厚くなるほど増加するため保護層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
この問題を解決する方法としては、例えば、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する方法、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる方法、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる方法、などの硬化樹脂層を柔らかくする方法が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。これに対し、前記静電潜像担持体は、電荷輸送層上に3次元の網目構造が発達した架橋密度の高い架橋型保護層を設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、かつ非常に高い耐摩耗性が達成される。
前記架橋型保護層の膜厚としては、1〜10μmが好ましく、上記問題をより確実に防止できることに加え、さらなる耐摩耗性向上を図れる観点から、2〜8μmがより好ましい。
前記静電潜像担持体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、架橋型保護層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に感光層もしくは電荷輸送層を有するため表面の架橋型保護層の内部応力を緩和できることなどによる。このため架橋型保護層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、この時生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。さらに、保護層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。本発明の架橋型保護層においては、好ましくは10μm以下の薄膜とすることにより内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、本発明の架橋型保護層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、さらに1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、架橋型保護層の内部応力が高まる原因となる。
更に、前記静電潜像担持体は良好な電気的特性を有し、このため繰り返し安定性に優れており高耐久化並びに高安定化が実現される。これは架橋型保護層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字細り等の画像として現れる。さらに、前記静電潜像担持体においては、下層の電荷輸送層として従来静電潜像担持体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、架橋型保護層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
更に、本発明の上記架橋型保護層形成において、架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性にすることにより、特にその飛躍的な耐摩耗性が発揮される。本発明の架橋型保護層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては3次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1または2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されることがある。このような架橋型保護層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、且つ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性の向上が達成される。
前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のモノマーとは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造がなく、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば、適宜選択して使用することができる。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基、などが挙げられる。
前記1−置換エチレン官能基としては、例えば、以下の一般式で表される官能基が挙げられる。
〔一般式〕
CH2=CH−X1
但し、前記一般式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。
前記官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基、などが挙げられる。
前記1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の一般式で表される官能基が挙げられる。
〔一般式〕
CH2=C(Y)−X2
但し、前記一般式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213基(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)を表す。また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。但し、Y、X2の少なくともいずれか一方が少なくともオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。
前記官能基の具体的としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基、などが挙げられる。
前記X、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、などが挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中でも、特に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましく、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができ、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一であっても異なっていても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、通常使用されている物質を適宜選択して使用することができ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型保護層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が250以下であるのが好ましい。この割合が250より大きいと、架橋型保護層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下することがあるため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用するのが困難になることがある。
前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合としては、架橋型保護層全量に対し20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。前記成分割合が20質量%未満では架橋型保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成にくくなることがある。また、80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じることがある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い静電潜像担持体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
前記1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造があり、かつ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。
前記ラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が好ましく、特に、下記構造式(1)又は(2)で示される化合物が、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続されて、好ましい。
ただし、前記構造式(1)及び(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(ただし、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(ただし、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
前記構造式(1)及び(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、などが挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、などが挙げられる。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
前記R1の置換基の中でも、水素原子、メチル基が好ましい。
前記Ar3、Ar4のアリール基としては、縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基、複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、環を形成する炭素数が18個以下のものが好ましく、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、、ナフタセニル基、などが挙げられる。
前記非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
前記複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基は、例えば、以下に示すような置換基を有していてもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、など。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、などが挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、などが挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられ、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、などが挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、などが挙げられる。
(6)下記一般式で表される基
ただし、前記一般式中、R3及びR4は各々独立に水素原子、アルキル基、またはアリール基を表わす。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、などが挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジチオ基、など。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基、など。
前記Xの置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基が挙げられ、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基、などが挙げられる。
前記置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基が挙げられ、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。
具体的には、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
前記置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールが挙げられ、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
前記ビニレン基は、下記一般式で表される。
ただし、前記一般式中、R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表されるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表す。
前記Zとしては、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基が挙げられる。
前記置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
前記置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
前記アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
さらに、前記1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物として、下記構造式(3)で表される化合物が好適に挙げられる。
ただし、前記構造式(3)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、下記一般式(4)で表される基を表す。
前記一般式(4)で表される化合物としては、Rb、Rcの置換基として、メチル基、エチル基の少なくともいずれかを有する化合物が好ましい。
前記構造式(1)〜(3)、特に(3)の1官能性の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真静電潜像担持体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
前記1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
前記1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要である。
この成分の含有量としては、は架橋型保護層に対し20〜80質量%が好ましく、使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本発明の静電潜像担持体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%がより好ましい。この成分が20質量%未満では、架橋型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れることがある。また、80質量%を超えると、電荷輸送性構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮しにくいことがある。
前記架橋型保護層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型保護層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、通常知られているものを使用できる。
前記1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー、などが挙げられる。
前記2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、などが挙げられる。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等のポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、などが挙げられる。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、などが挙げられる。
これらのモノマーやオリゴマーの含有量としては、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下であるのが好ましく、30重量部以下であるのががより好ましい。前記含有量が50重量部を超えると、架橋型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招くことがある。
また、前記架橋型保護層は、必要に応じて硬化反応を効率よく進行させるために架橋型保護層塗布液中に、熱重合開始剤、光重合開始剤等の重合開始剤を含有させても良い。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン、等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、等のアゾ系開始剤が挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、等のチオキサントン系光重合開始剤、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、等のその他の光重合開始剤が挙げられる。
また、光重合促進効果を有する物質を使用することもできる。
前記光重合促進効果を有する物質としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、前記光重合開始剤と組み合わせて使用してもよい。
前記重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記重合開始剤の含有量としては、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部であるのが好ましく、1〜20重量部であるのがより好ましい。
さらに、前記架橋型保護層には、その塗工液に、必要に応じて、可塑剤(応力緩和や接着性の向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷物質、等の添加剤を含有させてもよい。
これらの添加剤は、通常使用されている物質を適宜選択して使用することができるが、前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、などが挙げられる、前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマー、などが挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、塗工液の総固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。前記レベリング剤の含有量としては、塗工液の総固形分に対して、3質量%以下であるのが好ましい。
前記架橋型保護層は、少なくとも上記の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を前述の感光層あるいは電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。該塗工液は、ラジカル重合性モノマーが液体であるとき、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記溶媒による希釈率としては、特に制限はなく、組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により、適宜変更することができる。
前記塗布としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコート法、などを用いて行うことができる。
前期架橋型保護層は、架橋型保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、形成するが、前記外部エネルギーとしては熱、光、放射線が挙げられる。
熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い、塗工表面側又は支持体側から加熱する方法が挙げられる。
加熱温度としては、100℃以上が好ましく、170℃以下がより好ましい。100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがある。170℃を超える高温では、硬化反応が不均一に進行し架橋型保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。前記硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も好ましい。
光のエネルギーとしては、主に紫外光領域に発光波長をもつ高圧水銀灯、メタルハライドランプ等のUV照射光源が挙げられるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
照射光量としては、50〜1000mW/cm2以下が好ましい。50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要することがあり、1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋型保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずることがある。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となることがある。
放射線のエネルギーとしては、電子線を用いるものが挙げられる。
これらのエネルギーの中でも特に、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから、熱又は光のエネルギーを用いるのが好ましい。
前記架橋型保護層の膜厚としては、1〜10μm以下が好ましく、2〜8μm以下がより好ましい。10μmより厚いと、クラックや膜剥がれが発生しやすくなることがある。8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になることがある。この影響が顕著に現れるのは表層1μm未満の場合で、この膜厚以下の架橋型保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こることがある。また、架橋型保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生じ、特に、架橋型保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらすことがある。これらの理由から、本発明の架橋型保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分できるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。したがって、より長寿命、高画質化のためには、架橋型保護層の膜厚を2μm以上にすることが好ましい。
前記静電潜像担持体の電荷ブロッキング層、モアレ防止層、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)、架橋型保護層を順次積層した構成において、最表面の架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、静電潜像担持体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に静電潜像担持体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性が高い静電潜像担持体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の静電潜像担持体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)架橋型保護層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)架橋型保護層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)架橋型保護層の塗工方法の選択、(4)架橋型保護層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
架橋型保護層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる傾向が高い。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20質量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20質量%以下とすることが好ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10質量%以下にすることが好ましい。
架橋型保護層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50質量%の範囲で用いることが好ましい。架橋型保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、感光層(もしくは電荷輸送層)と架橋型保護層の間に、架橋型保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
架橋型保護層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。
有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては、100〜170℃が好ましく、10分〜3時間がより好ましい。UV光照射による硬化条件としては、50〜1000mW/cm2、5秒〜5分でかつ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが好ましい。
前記架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にする方法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20質量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、架橋型保護層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
塗工液調製後、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した静電潜像担持体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度としては、50〜1000mW/cm2、時間としては、5秒〜5分がそれぞれ好ましく、ドラム温度は50℃を越えないように制御するのが好ましい。
熱硬化の場合、加熱温度としては、100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間であるのが好ましい。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の静電潜像担持体を得る。
また、上述した、フィラーを含有した保護層、架橋型保護層の他に、真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiC、などの通常知られた材料を保護層として使用することもできる。
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、あるいは静電潜像担持体の表面に保護層を設けることは、静電潜像担持体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、後述のようなタンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出す。
−−その他−−
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、保護層、電荷輸送層、電荷発生層、電荷ブロッキング層、モアレ防止層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類、などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン、などが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネート、などが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、などが挙げられる。
これらの化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類等の酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量としては、添加する層の総重量に対して0.01〜10質量%であるのが好ましい。
(画像形成装置及びトナー)
次いで、本発明の画像形成方法が使用される画像形成装置、及びトナーについて説明する。なお、画像形成方法の一部についても、この項で併せて説明する。
図3は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
なお、静電潜像担持体1は上述した通りである。
−帯電部材−
帯電部材3としては、静電潜像担持体に充分な帯電をすることができるものであれば、特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、例えば、スコロトロン方式の帯電部材、接触方式の帯電部材(ローラー形状)、静電潜像担持体表面と帯電部材表面が100μm以下に近接配置された帯電部材、などが好適に使用される。なお、ここでいう接触方式の帯電部材とは、画像形成領域において静電潜像担持体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラのほか、帯電ブレード、帯電ブラシの形状のものも使用することができる。
非接触方式の帯電部材は、静電潜像担持体表面と帯電部材表面との空隙が100μm以下になる様に近接配置させて使用される。静電潜像担持体と帯電部材との間にギャップとしては、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。前記ギャップが100μmを超えると、帯電が不安定になりやすく、帯電ムラが生じることがあり、5μm未満であると、静電潜像担持体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまうことがある。非接触帯電方式の帯電部材においては、静電潜像担持体と画像形成領域において接触していないために静電潜像担持体の汚染を抑制できるほか、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化に有利である等の利点を有する。特に、前記ギャップ10〜50μm以下であれば、帯電ムラが生じにくく、交流重畳電圧を低くすることができるため、静電潜像担持体への放電生成物の付着量を少なくすることができ、接触帯電方式の場合よりも静電潜像担持体と接触していない分有効となる。前記ギャップは、帯電手段両端の非画像形成領域に、ギャップ部材を設けることにより、形成することとしてもよい。
なお、前記帯電部材は、空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知のチャージ・ワイヤータイプの帯電器、接触方式の帯電ローラー、帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材とは区別される。
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、静電潜像担持体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであれば特に制限はなく、いかなる形状のものでもよい。例えば、静電潜像担持体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。特に、帯電ローラーの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを静電潜像担持体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、又は静電潜像担持体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法であり、好適に使用できる。例えば、特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法が好適に挙げられる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図4に示す。
ローラ形状の帯電部材を使用するとき、静電潜像担持体径(外径)はローラ径(外径)の整数倍でない方が好ましい。静電潜像担持体径がローラ径の整数倍であると、静電潜像担持体表面とローラ表面は繰り返し使用において、常に同じ箇所で当接することになる。両者が正常な状態で使用され続けた場合には特に問題ないが、仮にローラ表面に部分的な欠陥などが生じた場合、同じ静電潜像担持体表面を接しし続けることは、静電潜像担持体寿命を著しく低下させることになる。このような場合、静電潜像担持体径がローラ径の整数倍でなければ、少なくとも常に表面同士がずれて使用されることになるため、その分寿命が向上し望ましい結果を得る。従って、静電潜像担持体径がローラ径の整数倍でないことは重要である。なお、本発明におけるローラ径とは、図4に示されるギャップを含めたローラの外径を示す。
更に帯電の印加方式としては、交流電圧を重畳することが、より帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、好ましい。特に、後述のタンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、静電潜像担持体へのハザードが大きくなり、静電潜像担持体の劣化を早めてしまうことがある。また、放電生成物の発生を促進し、絶縁破壊や高温高湿下における画像流れの発生が起こりやすくなることがあるため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるのが好ましい。
交流成分の周波数に関しては静電潜像担持体の線速等により変化するものであるが、3kHz以下、好ましくは2kHz以下が妥当である。帯電部材への印加電圧と静電潜像担持体への帯電電位の関係をプロットすると、パッシェンの法則に従い、電圧を印加しているにもかかわらず静電潜像担持体が帯電しない領域があり、ある点から帯電が立ち上がる電位が認められる。この立ち上り電位の2倍程度がピーク間電圧としては最適な電位(通常、1200〜1500V程度)になる。しかしながら、静電潜像担持体の帯電能が低かったり、線速が非常に大きい場合には、前記の如く立ち上り電位の2倍のピーク間電圧では不足する場合がある。逆に帯電性が良好な場合には、2倍以下でも充分に電位安定性を示すことがある。したがって、ピーク間電圧は立ち上り電位の3倍以下、好ましくは2倍以下が好ましい。ピーク間電圧を絶対値として書き直せば、3kV以下、好ましくは2kV以下、より好ましくは1.5kV以下で使用されることが好ましい。
−画像露光部−
画像露光部5としては、例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの光源が挙げられる。光源(書き込み光)の解像度により、形成される静電潜像ひいてはトナー像の解像度が決定され、解像度が高いほど鮮明な画像が得られる。しかしながら、解像度を高くして書き込みを行うとそれだけ書き込みに時間がかかることになるため、書き込み光源が1つであると書き込みがドラム線速(プロセス速度)の律速になってしまう。従って、書き込み光源が1つの場合には1200dpi程度の解像度が上限となる。書き込み光源が複数の場合には、それぞれが書き込み領域を負担すれば良く、実質的には「1200dpi×書き込み光源個数」が上限となる。ここで言う書き込み光源とは、LD素子1つ、あるいはLED素子1つを示すものであり、例えばアレイ状に配置されたLED等は、複数の光源として取り扱うものである。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーとしては、照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、本発明で用いられる電荷発生材料である特定結晶型のフタロシアニン顔料が、高感度を示すことから好適に使用される。
−現像ユニット−
現像ユニット6は、使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。静電潜像担持体の帯電極性と逆極性のトナーを使用したときには、正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。先の画像露光部に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行なう反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行なう1成分方式と、トナーおよびキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも好適に使用できる。
また、静電潜像担持体上の形成されたトナー像を、転写紙に転写する過程でも2つの方法がある。1つは図5に示すような静電潜像担持体表面に現像されたトナー像を、記録媒体(例えば、転写紙等)に直接転写する方法と、もう1つはいったん静電潜像担持体から中間転写体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれであっても、本発明において使用ることができるが、特に、静電潜像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体としての被転写体(出力する紙など)に直接転写する直接転写方式が好適に使用される。
−転写搬送ベルト−
転写搬送ベルト10としては、転写チャージャー、転写ローラを使用することも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を使用することが好ましい。なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も使用することが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより好ましい。このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、公知のものを使用することができる。
この際、転写後の静電潜像担持体表面電位が繰り返し使用における静電潜像担持体の静電疲労に大きな影響を及ぼす。即ち、静電潜像担持体の静電疲労は静電潜像担持体の通過電荷量により大きく左右される。この通過電荷量とは、静電潜像担持体の膜厚方向を流れる電荷量に相当する。静電潜像担持体の画像形成装置中の動作として、メイン帯電器により所望の帯電電位に帯電され(ほとんどの場合負帯電される)、原稿に応じた入力信号に基づき光書き込みが行われる。この際、書き込みが行われた部分は光キャリアが発生し、表面電荷を中和する(電位減衰する)。この時、光キャリア発生量に依存した電荷量が静電潜像担持体膜厚方向に流れる。
一方、光書き込みが行われない領域(非書き込み部)は、現像工程・転写工程を経て、除電工程に進む(必要に応じて、その前にクリーニング工程が施される)。ここで、静電潜像担持体の表面電位がメイン帯電により施された電位に近い状態(暗減衰分は除く)であると、光書き込みが行われた領域とほぼ同じ量の電荷量が静電潜像担持体膜厚方向に流れることになる。一般的に、現在の原稿は書き込み率が低いため、この方式であると、繰り返し使用における静電潜像担持体の通過電荷量は除電工程で流れる電流がほとんどと言うことになる。すなわち、書き込み率が10%であるとすると、除電工程で流れる電流は、全体の9割を占めることになる。
この通過電荷は、静電潜像担持体を構成する材料の劣化を引き起こす等、静電潜像担持体静電特性に大きく影響を及ぼす。その結果、通過電荷量に依存して、特に静電潜像担持体の残留電位を上昇させる。静電潜像担持体の残留電位が上昇すると、ネガ・ポジ現像では画像濃度が低下することになり、大きな問題となる。したがって、画像形成装置内での静電潜像担持体の長寿命化を狙うためには、如何に静電潜像担持体の通過電荷量を小さくするかという課題が存在する。
これに対して、光除電を行わないという考え方もあるが、メイン帯電器の帯電器能力が大きくないと、帯電の安定化が図れず、残像のような問題を生じる場合がある。
静電潜像担持体の通過電荷は、静電潜像担持体表面に帯電された電位(これにより生じた電界)により、光照射が行われることにより、発生した光キャリアが移動することにより生じる。従って、静電潜像担持体表面電位を光以外の手段で減衰させることができれば、静電潜像担持体1回転(画像形成1サイクル)あたりの通過電荷量を低減することができる。
このためには、転写工程において転写バイアスを調整することにより、静電潜像担持体通過電荷量を調整することが有効である。即ち、メイン帯電により帯電され、書き込みが行われない非書き込み部は、暗減衰量を除き、帯電された電位に近い状態で転写工程に突入する。この際、メイン帯電器により帯電された極性側の絶対値として100V以下まで低減することにより、引き続く除電工程に突入しても光キャリア発生がほとんど行われず、通過電荷が生じない。この値は、0Vにより近いほど好ましい。
−光源等−
除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を使用することができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター、などの各種フィルターを使用することもできる。
かかる光源等は、図3に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、静電潜像担持体に光が照射される。
先の帯電方式において交流成分を重畳して使用する場合や、静電潜像担持体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印加したあるいはアース接地した除電ブラシなど)を使用することもできる。前述のように書き込み率の小さな原稿では、光除電の影響は大きく、次の画像形成サイクルにおいて残像などの影響がない限り、光除電を使用しない方が好ましい。
なお、図中、9はレジストローラ、11は転写バイアスローラ、12は分離爪、13はクリーニング前チャージャである。
また、現像ユニット6により静電潜像担持体1上に現像されたトナーは、転写紙7に転写されるが、静電潜像担持体1上に残存するトナーが生じた場合、ファーブラシ14およびブレード15により、静電潜像担持体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
−タンデム方式のフルカラー画像形成装置−
図5は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
なお、図5において、符号1C、1M、1Y、1Kは、ドラム状の静電潜像担持体であり、該静電潜像担持体は、導電性支持体上に、少なくとも、電荷ブロッキング層、モアレ防止層、及び感光層を、この順に積層してなり、該感光層中に、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含んでなる。
前記静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kは、図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材2C、2M、2Y、2K、現像部材4C、4M、4Y、4K、クリーニング部材5C、5M、5Y、5Kが配置されている。帯電部材2C、2M、2Y、2Kは、静電潜像担持体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材2C、2M、2Y、2Kと現像部材4C、4M、4Y、4Kの間の静電潜像担持体表面側より、図示しない露光部材からのレーザー光3C、3M、3Y、3Kが照射され、静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kを中心とした4つの画像形成要素6C、6M、6Y、6Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト16に沿って並置されている。転写搬送ベルト16は各画像形成ユニット6C、6M、6Y、6Kの現像部材4C、4M、4Y、4Kとクリーニング部材5C、5M、5Y、5Kの間で静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kに当接しており、転写搬送ベルト16の静電潜像担持体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kが配置されている。各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kは現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図5に示す構成のフルカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kにおいて、静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kが矢印方向(静電潜像担持体と連れ周り方向)に回転する帯電部材2C、2M、2Y、2Kにより、帯電される。
次に、静電潜像担持体の外側に配置された露光部(図示しない)で、レーザー光3C、3M、3Y、3Kにより書き込みが行われ、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。このときにも書き込み光源1つに対して1200dpiの書き込みが概ね上限となる。
次に、現像部材4C、4M、4Y、4Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材4C、4M、4Y、4Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの静電潜像担持体1C、1M、1Y、1K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙7は給紙コロ17によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ9で一旦停止し、前記静電潜像担持体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト16に送られる。転写搬送ベルト16上に保持された転写紙9は搬送されて、各静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。静電潜像担持体上のトナー像は、転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kに印加された転写バイアスと静電潜像担持体1C、1M、1Y、1Kとの電位差から形成される電界により、転写紙7上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた転写紙7は定着装置18に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各静電潜像担持体1C、1M、1Y、1K上に残った残留トナーは、クリーニング装置5C、5M、5Y、5Kで回収される。なお、図5の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C、6M、6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
この場合にも、静電潜像担持体径がローラ径の整数倍でないことは有効である。特に、タンデム型の画像形成装置においては、複数の画像形成要素を有しているため、画像欠陥として強調される恐れがあり、カラー画像出力に際しては特に有効である。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、静電潜像担持体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
(プロセスカートリッジ)
プロセスカートリッジの形状等としては、多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。なお、静電潜像担持体101は、上述した通りである。
帯電部材102としては、前述のように近接配置された非接触方式の帯電部材が挙げられる。画像露光部103としては、前述のような書き込みが行える光源が挙げられる。なお、図6中、104は現像手段、105は転写体、106は転写手段、107はクリ−ニング手段である。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、部はすべて重量部である。
<電荷発生材料(チタニルフタロシアニン結晶)の合成>
最初に、電荷発生材料(チタニルフタロシアニン結晶)の合成例について述べる。
(比較合成例1)
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2部とスルホラン200部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)による水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た(顔料1とする)。
上記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶化溶媒のウェットケーキに対する重量比は33倍である。なお、比較合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図16に示す。
−X線回折スペクトル測定条件−
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
また、比較合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図16に示す。
(比較合成例2)
特開平1−299874号公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1部をポリエチレングリコール50部に加え、100部のガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た(顔料2とする)。比較合成例2の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
(比較合成例3)
特開平3−269064号公報の製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1部をイオン交換水10部とモノクロルベンゼン1部の混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た(顔料3とする)。比較合成例3の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
(比較合成例4)
特開平2−8256号公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8部と1−クロロナフタレン75部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時濾過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た(顔料4とする)。比較合成例4の原材料には、ハロゲン化物を使用している。
(比較合成例5)
特開昭64−17066号公報の合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10部およびアセトフェノン5部と共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶化処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た(顔料5とする)。比較合成例5の原材料には、ハロゲン化物を使用している。
(比較合成例6)
特開平11−5919号公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩化水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行ない、濾過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、顔料を得た(顔料6とする)。比較合成例6の原材料には、ハロゲン化物を使用している。
(比較合成例7)
特開平3−255456号公報の合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行なった。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行なった。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行ない、顔料を得た(顔料7とする)。比較合成例7の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
(比較合成例8)
特開平8−110649号公報のチタニルフタロシアニン結晶体の製造方法に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン58部、テトラブトキシチタン51部gをα−クロロナフタレン300部中で210℃にて5時間反応後、α−クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド(DMF)の順で洗浄した。その後、熱DMF、熱水、メタノールで洗浄、乾燥して50部のチタニルフタロシアニンを得た。チタニルフタロシアニン4部を0℃に冷却した硫酸400部中に加え、引き続き0℃、1時間撹拌した。フタロシアニンが完全に溶解したことを確認した後、0℃に冷却した水800mL/トルエン800mL混合液中に添加した。室温で2時間撹拌後、析出したフタロシアニン混晶体を混合液より濾別し、メタノール、水の順で洗浄した。洗浄水の中性を確認した後、洗浄水よりフタロシアニン混晶体を濾別し、乾燥して、2.9部のチタニルフタロシアニン混晶体を得た。比較合成例8の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
(合成例1)
比較合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶化を行い、比較合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1で得られた結晶化前の水ペースト60部にテトラヒドロフラン400部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た(顔料9とする)。合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶化溶媒のウェットケーキに対する重量比は44倍である。
(合成例2)
合成例1において、攪拌時間を30分に変更した以外は、合成例1と同様に結晶化を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た(顔料10とする)。
(合成例3)
合成例1において、攪拌時間を40分に変更した以外は、合成例1と同様に結晶化を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た(顔料11とする)。
比較合成例1で作製された結晶化前チタニルフタロシアニン(水ペースト)の一部をイオン交換水でおよそ1質量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子サイズを透過型電子顕微鏡(TEM、日立:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行なった。体積平均粒子径として、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、体積平均粒子径とした。
以上の方法により求められた合成例1における水ペースト中の体積平均粒子径は、0.06μmであった。
また、比較合成例1及び合成例1〜3における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1質量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行った。上記のようにして求めた体積平均粒子径を表1に示す。なお、比較合成例1及び合成例1〜3で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行った。
以上の比較合成例2〜8で作製した顔料2〜8は、先程と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。また、合成例1〜3で作製した顔料9〜11のX線回折スペクトルは、比較合成例1で作製した顔料1のスペクトルと一致した。表2にそれぞれのX線回折スペクトルと比較合成例1で得られた顔料のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
<1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成>
次に、後述する静電潜像担持体作製例の保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例について述べる。
(1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例)
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。下記にこの例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85部(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138部(0.92mol)にスルホラン240部を加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99部(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。
この反応液にトルエン約1500部を加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。
その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。
得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。
この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1部(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
元素分析値は表3に示す。
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物の合成例(例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9部(0.227mol)をテトラヒドロフラン400部に溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4部,水:100部)を滴下した。
この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2部(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。
この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。
この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73部(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
元素分析値は表4に示す。
<分散液(電荷発生用塗工液)の調製>
次に、前述した合成法によって得られたチタニルフタロシアニン結晶を用いて分散を行い、得られた分散液(電荷発生層用塗工液)について述べる。
(分散液作製例1)
比較合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した(分散液1とする)。
(分散液作製例2〜11)
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、それぞれ比較合成例2〜8および合成例1〜3で作製した顔料2〜11を使用して、分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した(顔料番号に対応して、それぞれ分散液2〜11とする)。
(分散液作製例12)
分散液作製例1で作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行い、濾液を得た(分散液12とする)。
(分散液作製例13)
分散液作製例10で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(孔径3μm)に変えた以外は、分散液作製例10と同様に加圧濾過を行ない分散液を作製した(分散液13とする)。
(分散液作製例14)
分散液作製例12で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(孔径5μm)に変えた以外は、分散液作製例12と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した(分散液14とする)。
(分散液作製例15)
分散液作製例1における分散条件を下記の通り変更して、分散を行った(分散液15とする)。ローター回転数:1000r.p.m.にて20分間分散を行った。
(分散液作製例16)
分散液作製例15で作製した分散液をアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(孔径1μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った。濾過の途中でフィルターが目詰まりを起こして、全ての分散液を濾過することができなかった。このため以下の測定は実施しなかった。
以上のように作製した分散液中の顔料粒子の粒度分布を、堀場製作所:CAPA−700にて測定した。結果を表5に示す。
<静電潜像担持体の作製>
次に、前述した方法によって得られた分散液等を用いて、作製した静電潜像担持体の作製方法について述べる。
(静電潜像担持体作製例1)
直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の電荷ブロッキング層塗工液、モアレ防止層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、1.0μmの電荷ブロッキング層、3.5μmのモアレ防止層、電荷発生層、28μmの電荷輸送層を形成し、積層静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体1とする)。
なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が25%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに静電潜像担持体作製と同じ条件で塗工を行い、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
〔電荷ブロッキング層塗工液〕
N−メトキシメチル化ナイロン(鉛市:ファインレジンFR−101) 4部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 100部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
〔電荷発生層塗工液〕
先に作製した分散液1を用いた。
〔電荷輸送層塗工液〕
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン 80部
(静電潜像担持体作製例2〜15)
静電潜像担持体作製例1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜15に変更した以外は、静電潜像担持体作製例1と同様に静電潜像担持体を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、静電潜像担持体作製例1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が25%になるように調整した(分散液番号に対応して、静電潜像担持体2〜15とする)。
(静電潜像担持体作製例16)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層を設けない以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体16とする)。
(静電潜像担持体作製例17)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層を設けない以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体17とする)。
(静電潜像担持体作製例18)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層とモアレ防止層の塗工順序を入れ替えた以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体18とする)。
(静電潜像担持体作製例19)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層の膜厚を0.2μmとした以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体19とする)。
(静電潜像担持体作製例20)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層の膜厚を0.4μmとした以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体20とする)。
(静電潜像担持体作製例21)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層の膜厚を0.7μmとした以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体21とする)。
(静電潜像担持体作製例22)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層の膜厚を1.7μmとした以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体22とする)。
(静電潜像担持体作製例23)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層の膜厚を2.1μmとした以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体23とする)。
(静電潜像担持体作製例24)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体24とする)。
〔電荷ブロッキング層塗工液〕
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM8000) 4部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
(静電潜像担持体作製例25)
静電潜像担持体作製例9において、電荷ブロッキング層塗工液を下記組成のものに変更し、膜厚を0.5μmに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体25とする)。
〔電荷ブロッキング層塗工液〕
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 400部
(静電潜像担持体作製例26)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体26とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 168部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 180部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、2/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(静電潜像担持体作製例27)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体27とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 250部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 280部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、3/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(静電潜像担持体作製例28)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体28とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 90部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 90部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(静電潜像担持体作製例29)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体29とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 76部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 80部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、0.9/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(静電潜像担持体作製例30)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体30とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 280部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 300部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、3.3/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(静電潜像担持体作製例31)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体31とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
N−メトキシメチル化ナイロン(鉛市:ファインレジンFR−101) 27.5部
酒石酸(硬化触媒) 1部
2−ブタノン 100部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
(静電潜像担持体作製例32)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体32とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 22.4部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 28部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、4/6重量比である。
(静電潜像担持体作製例33)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体33とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 28部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 23.3部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、5/5重量比である。
(静電潜像担持体作製例34)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体34とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 39.2部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、7/3重量比である。
(静電潜像担持体作製例35)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体35とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 44.8部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 9.3部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、8/2重量比である。
(静電潜像担持体作製例36)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体36とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 126部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 50.4部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 4.7部
2−ブタノン 130部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、9/1重量比である。
(静電潜像担持体作製例37)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体37とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化亜鉛(SAZEX4000:堺化学製) 110部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 120部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.3/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(静電潜像担持体作製例38)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体38とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 63部
酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均粒径:0.07μm) 63部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
平均粒径の比は0.28、両者の混合比は0.5である。
(静電潜像担持体作製例39)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体39とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 113.4部
酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均粒径:0.07μm)12.6部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
平均粒径の比は0.28、両者の混合比は0.1である。
(静電潜像担持体作製例40)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体40とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 12.6部
酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均粒径:0.07μm)
113.4部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
平均粒径の比は0.28、両者の混合比は0.9である。
(静電潜像担持体作製例41)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体41とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 63部
酸化チタン(TTO−F1:石原産業社製、平均粒径:0.04μm) 63部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
平均粒径の比は0.16、両者の混合比は0.5である。
(静電潜像担持体作製例42)
静電潜像担持体作製例9において、モアレ防止層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体42とする)。
〔モアレ防止層塗工液〕
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm) 63部
酸化チタン(A−100:石原産業社製、平均粒径:0.15μm) 63部
アルキド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 140部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1.5/1である。
アルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
平均粒径の比は0.6、両者の混合比は0.5である。
(静電潜像担持体作製例43)
静電潜像担持体作製例9における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体43とする)。
〔電荷輸送層塗工液〕
下記構造式(α)の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約135000)
10部
下記構造式(β)の添加剤 0.5部
塩化メチレン 100部
(静電潜像担持体作製例44)
静電潜像担持体作製例9における電荷輸送層の膜厚を23μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は静電潜像担持体作製例9と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体44とする)。
〔保護層塗工液〕
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製、粘度平均分子量:5万)
10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
アルミナ微粒子(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
4部
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(静電潜像担持体作製例45)
静電潜像担持体作製例44における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を酸化チタン微粒子(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)4部に変更した以外は、静電潜像担持体作製例44と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体45とする)。
(静電潜像担持体作製例46)
静電潜像担持体作製例44における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)4部に変更した以外は、静電潜像担持体作製例44と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体46とする)。
(静電潜像担持体作製例47)
静電潜像担持体作製例44における保護層塗工液中を以下のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例44と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体47とする)。
〔保護層塗工液〕
下記構造式の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約135000) 10部
アルミナ微粒子(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
4部
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(静電潜像担持体作製例48)
静電潜像担持体作製例44における保護層塗工液中を以下のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例44と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体48とする)。
〔保護層塗工液〕
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造式の電荷輸送性化合物 35部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(静電潜像担持体作製例49)
静電潜像担持体作製例44における保護層塗工液中を以下のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例44と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体49とする)。
〔保護層塗工液〕
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造式の電荷輸送性化合物 35部
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製) 15部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物 BYK P104:ビックケミー社製 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(静電潜像担持体作製例50)
静電潜像担持体作製例44における保護層塗工液中を以下のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例44と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体50とする)。
保護層は、スプレー塗工してから20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を硬化させた。
〔保護層塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
{トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としての例示化合物
10部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(静電潜像担持体作製例51)
静電潜像担持体作製例50における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、静電潜像担持体作製例50と同様に静電潜像担持体を作製した(静電潜像担持体51とする)。
〔電荷輸送層塗工液〕
下記組成の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約135000) 10部
塩化メチレン 100部
(静電潜像担持体作製例52)
静電潜像担持体作製例50において、保護層塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記のラジカル重合性モノマーに変更した以外は、すべて静電潜像担持体作製例50と同様にして静電潜像担持体52を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
(ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR−295、化薬サートマー製)
分子量:352、官能基数:4官能、分子量/官能基数=88)
(静電潜像担持体作製例53)
静電潜像担持体作製例50の保護層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記の電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー10部に換えた以外は、すべて実施例1と同様にして静電潜像担持体53を作製した。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー 10部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(和光純薬製)
分子量:226、官能基数:2官能、分子量/官能基数=113)
(静電潜像担持体作製例54)
静電潜像担持体作製例50において、架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記のラジカル重合性モノマーに換え、光重合開始剤を下記の化合物1部に換えた以外は、すべて静電潜像担持体作製例50と同様にして静電潜像担持体54を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325)
(静電潜像担持体作製例55)
静電潜像担持体作製例50の保護層用塗工液に含有される1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式に示される2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物10部に換えた以外は静電潜像担持体作製例50と同様に静電潜像担持体55を作製した。
(静電潜像担持体作製例56)
静電潜像担持体作製例50において、保護層用塗工液を下記組成に換えた以外は、静電潜像担持体作製例50と同様にして静電潜像担持体56を作製した。
〔保護層塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 6部
{トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としての例示化合物No.54
14部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(静電潜像担持体作製例57)
静電潜像担持体作製例50において、保護層用塗工液を下記組成に換えた以外は、静電潜像担持体作製例50と同様にして静電潜像担持体57を作製した。
〔保護層塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 14部
{トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としての例示化合物No.54
6部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(静電潜像担持体作製例58)
静電潜像担持体作製例50において、保護層用塗工液を下記組成に換えた以外は、静電潜像担持体作製例50と同様にして静電潜像担持体58を作製した。
〔保護層塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 2部
{トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としての例示化合物No.54
18部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(静電潜像担持体作製例59)
静電潜像担持体作製例50において、保護層用塗工液を下記組成に換えた以外は、静電潜像担持体作製例50と同様にして静電潜像担持体59を作製した。
〔保護層塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 18部
{トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としての例示化合物No.54
2部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
以上のように作製した静電潜像担持体50〜59について、外観を目視で観察し、クラック、膜剥がれの有無を判別した。次に、有機溶剤に対する溶解性試験として、テトラヒドロフラン(以後THFと略す)、及びジクロロメタンを1滴滴下し、自然乾燥後の表面形状の変化を観察した。結果を表6に示す。
<静電潜像担持体の評価>
(実施例1〜46及び比較例1〜13)
以上のように作製した静電潜像担持体1〜59を図6に示す画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、図5に示すタンデム方式のフルカラー画像形成装置に搭載した。帯電部材としては非接触方式の帯電ローラ(静電潜像担持体表面と帯電部材表面間の空隙は50μm、ギャップ部を含み外径は14mm)を用い、下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源としては780nmの半導体レーザー(ポリゴンミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)を用いて静電潜像を形成し、現像を行った後、転写部材としては転写ベルトを用い、除電光は照射せず、書き込み率6%の画像チャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
帯電条件:
DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.0kV(ピーク間)、周波数:1.5kHz
5万枚印刷後に、下記の項目について評価を実施した。
(i)地汚れの評価:白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した
(ii)画像ムラ:ハーフトーン画像を出力し、帯電ムラやモアレ等に起因する画像ムラの評価を行った。
(iii)色再現性:フルカラーパターン画像を出力し、初期において出力した画像と5万枚印刷後の画像とを比較し、色彩の変化や濃度から色再現性を評価した。
(iv)画像所見:特に画像上の不具合点として観察された画像欠陥について記載した。
ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表示した。
以上の結果を表7及び表8に示す。なお、表中、電界強度は下記数式により得た。
表7及び表8の結果からも明らかなように、本発明の静電潜像担持体を用いることによって、地汚れを抑制し、帯電ムラや色再現性の良好な画像を得ることが可能となった。
一方、帯電部材には非接触方式の帯電ローラーを用いて帯電部材との接触による静電潜像担持体の汚染を抑制し、さらにAC重畳電圧を印加することによって帯電ムラを抑制しているにも関わらず、本発明の結晶型以外のチタニルフタロシアニンを電荷発生層に用いたり、その平均粒径が0.25μmよりも大きい凝集体を含んでいたときには、地汚れや黒斑点が多発し、また一部画像ムラの発生が認められた。また、本発明の結晶型を有するチタニルフタロシアニンを電荷発生層に用いても、電荷ブロッキング層を形成しなかったときには、地汚れ耐久性は十分ではなく、一部絶縁破壊が認められた。さらに、モアレ防止層を形成しなかったときには、モアレの発生が認められ、画像ムラや色再現性の低下が認められた。さらにまた、モアレ防止層の上に電荷ブロッキング層を形成したときには、画像濃度低下が顕著に起こり、色再現性が大幅に低下した。
(実施例47〜55及び比較例14〜17)
前記静電潜像担持体2、9、16、17、18、43、44、47、48、50、52、54、58について、上記したのと同様の条件でさらに15万枚、トータル20万枚の印刷を行った。
これらの結果を表9に示す。
表9の結果からも明らかな通り、本発明の静電潜像担持体は、長期繰り返し使用によって感光層の膜厚が減少して、地汚れが増加したり、色再現性が低下するのを抑制することが可能となり、長寿命化を実現することができた。
一方、電荷ブロッキング層を形成しなかったときには、更なる長期耐久性試験によって、地汚れ並びに絶縁破壊の発生が顕著に見られた。またモアレ防止層を形成しなかったときには、モアレの発生の他、画像濃度低下も顕著に見られ、画像ムラが目立ち色再現性も低下した。
<ブラッグ角θの最低角ピークの検証>
最後に、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
(比較合成例9)
比較合成例1における結晶変換溶媒を塩化メチレンから2−ブタノンに変更した以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1の場合と同様に、比較合成例9で作製したチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを測定した。これを図17に示す。図17より、比較合成例9で作製されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルにおける最低角は、比較合成例1で作製されたチタニルフタロシアニンの最低角(7.3°)とは異なり、7.5°に存在することが判る。
(測定例1)
比較合成例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3質量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図18に示す。
(測定例2)
比較合成例9で得られた顔料(最低角7.5°)に特許文献56に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3質量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図19に示す。
図18のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが判る。一方、図23のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図20のスペクトルとは明らかに異なっている。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
本発明の画像形成方法、その方法により画像を形成する画像形成装置及びプロセスカートリッジは、異常画像の発生が少なく、画質安定性に優れ、小型化さらには高速化にも対応できる長寿命なものであるため、低速から高速の複写プロセスまで好適であり、更には、モノクロ又はフルカラー用のアナログ複写機から光書き込み用にLD或いはLED光を使用したページプリンターまでに幅広く適用することが可能である。
図1は、従来の電子写真静電潜像担持体における中間層積層化の構成例を示す断面概念図である。 図2は、従来の電子写真静電潜像担持体における中間層積層化の構成例を示す断面概念図である。 図3は、本発明の電子写真プロセスおよび画像形成装置を説明するための概略図である。 図4は、本発明の非接触方式の帯電部材の一例を示す概略図である。 図5は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図である。 図6は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジを説明するための図である。 図7は、不定形チタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 図8は、結晶化後のチタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 図9は、短時間で結晶変換を行なったチタニルフタロシアニン結晶のTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 図10は、分散時間が短い場合の分散液の状態を示す図である。 図11は、分散時間が長い場合の分散液の状態を示す図である。 図12は、図10、11の分散液について、平均粒径及び粒度分布を示すグラフである。 図13は、本発明に用いられる静電潜像担持体の層構成を表した図である。 図14は、本発明に用いられる別の静電潜像担持体の層構成を表した図である。 図15は、本発明に用いられる更に別の静電潜像担持体の層構成を表わした図である。 図16は、比較合成例1で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルである。 図17は、水ペーストの乾燥粉末のXDスペクトルである。 図18は、比較合成例9で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルである。 図19は、測定例1で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルである。 図20は、測定例2で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルである。
符号の説明
1 静電潜像担持体(静電潜像担持体ドラム)
1K ブラック用静電潜像担持体
1Y イエロー用静電潜像担持体
1M マゼンタ用静電潜像担持体
2 除電ランプ
2C 帯電部材
2M 帯電部材
2Y 帯電部材
2K 帯電部材
3 帯電ローラ
3C レーザー光
3M レーザー光
3Y レーザー光
3K レーザー光
4C 現像部材
4M 現像部材
4Y 現像部材
4K 現像部材
5 画像露光部
5C クリーニング部材
5M クリーニング部材
5Y クリーニング部材
5K クリーニング部材
6 現像ユニット
6C 画像形成要素
6M 画像形成要素
6Y 画像形成要素
6K 画像形成要素
7 転写紙
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11 転写バイアスローラ
11C 転写ブラシ
11M 転写ブラシ
11Y 転写ブラシ
11K 転写ブラシ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
16 転写搬送ベルト
17 給紙コロ
18 定着装置
31 導電性支持体
33 中間層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
201 導電性支持体
202 フィラー分散層
203 樹脂層
204 感光層
205 電荷ブロッキング層
206 モアレ防止層
207 電荷発生層
208 電荷輸送層
209 保護層

Claims (41)

  1. 静電潜像担持体の表面を、表面間の空隙が100μm以下に近接配置された、非接触方式の帯電部材により帯電させる帯電工程と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
    前記静電潜像担持体が、導電性支持体上に、少なくとも、電荷ブロッキング層、モアレ防止層、及び感光層を、この順に積層してなり、
    該感光層中に、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、27.2°に最大値を有し、更に、7.3°、9。4°、9.6°、及び24.0°に少なくとも極大値を有し、かつ、7.3超9.4°未満、及び26.3°に極大値を有さないチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 感光層が、モアレ防止層上に、電荷発生層及び電荷輸送層を、この順に積層してなる請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 電荷ブロッキング層が絶縁性材料からなり、その膜厚が0.3μm以上2.0μm未満である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
  4. 絶縁性材料がポリアミドである請求項3に記載の画像形成方法。
  5. ポリアミドが、N−メトキシメチル化ナイロンである請求項4に記載の画像形成方法。
  6. モアレ防止層が、無機顔料及びバインダー樹脂を含有し、該無機顔料とバインダー樹脂との容積比が1/1〜3/1である請求項1から5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. バインダー樹脂が、熱硬化樹脂である請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 熱硬化樹脂が、アルキド樹脂及びメラミン樹脂の混合物である請求項7に記載の画像形成方法。
  9. アルキド樹脂とメラミン樹脂との混合比が、5/5〜8/2である請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 無機顔料が、酸化チタンである請求項6から9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 平均粒子径の異なる2種以上の酸化チタンからなり、最も大きな酸化チタンの平均粒子径をD1とし、最も小さな酸化チタンの平均粒子径をD2としたときに、0.2<(D2/D1)≦0.5である請求項10に記載の画像形成方法。
  12. D2が、0.05<D2<0。2μmである請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 最も大きな酸化チタンをT1、最も小さな酸化チタンT2としたときに、T1とT2との混合比率が、重量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8である請求項11から12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. チタニルフタロシアニン結晶を、平均粒子径が0.3μm以下、かつ、その標準偏差0.2μm以下となるまで分散させた後、孔径3μm以下のフィルターにより濾過し、該チタニルフタロシアニン結晶の一次粒子の平均粒子径を0.25μm以下とした分散液を使用して、感光層を塗工する請求項1から13のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. チタニルフタロシアニン結晶が、平均粒子径が1μm以下であって、CuKα線による波長1.542ÅのX線に対する、誤差範囲±0.2°におけるブラッグ角2θの回折値として、少なくとも7.0〜7.5°に最大値を有し、半値巾が1°以上である不定形チタニルフタロシアニン又は低結晶性チタニルフタロシアニンを、有機溶媒中で結晶化し、かつ、結晶化後の一次粒子の平均粒子径が0.25μmを超える前に、チタニルフタロシアニン結晶を分別及び濾過して得られる請求項1から14のいずれかに記載の画像形成方法。
  16. チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン化物を含まない請求項15に記載の画像形成方法。
  17. チタニルフタロシアニン結晶が、不定形チタニルフタロシアニン又は低結晶性チタニルフタロシアニンを結晶化させることにより、かつ、アシッドペースト法により得られ、イオン交換水で洗浄され、洗浄後のイオン交換水のpHが6〜8、及び該イオン交換水の伝導度が8以下である請求項15から16のいずれかに記載の画像形成方法。
  18. 結晶化において、使用される有機溶媒量が、重量比で、不定形チタニルフタロシアニン又は低結晶性チタニルフタロシアニンの量の30倍である請求項15から17のいずれかに記載の画像形成方法。
  19. 感光層が、トリアリールアミンを、主鎖及び側鎖のいずれかに含むポリカーボネートを含有する請求項1から18のいずれかに記載の画像形成方法。
  20. 感光層上に保護層を有する請求項1から19のいずれかに記載の画像形成方法。
  21. 保護層が、比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有する請求項20に記載の画像形成方法。
  22. 保護層が、高分子電荷輸送物質を含有する請求項20から21のいずれかに記載の画像形成方法。
  23. 保護層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が架橋構造を有する請求項20から22のいずれかに記載の画像形成方法。
  24. バインダー樹脂の架橋構造中に、電荷輸送部位を有する請求項23に記載の画像形成方法。
  25. 保護層が、少なくとも、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成される請求項24に記載の画像形成方法。
  26. 3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基が、アクロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基のいずれかである請求項25に記載の画像形成方法。
  27. 3官能以上のラジカル重合性モノマーの分子量が、その官能基数の250倍以下である請求項25から26のいずれかに記載の画像形成方法。
  28. 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である請求項25から27のいずれかに記載の画像形成方法。
  29. 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、トリアミールアミン構造である請求項25から28のいずれかに記載の画像形成方法。
  30. 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記構造式(1)及び(2)の少なくとも1種以上である請求項25から29のいずれかに記載の画像形成方法。
    ただし、前記構造式(1)及び(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(ただし、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(ただし、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
  31. 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記構造式(3)の少なくとも1種以上である請求項25から30のいずれかに記載の画像形成方法。
    ただし、前記構造式(3)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、下記一般式(4)で表される基を表す。
  32. 電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量が、保護層全量に対し30〜70質量%である請求項25から31のいずれかに記載の画像形成方法。
  33. 1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量が、保護層全量に対し30〜70質量%である請求項25から32のいずれかに記載の画像形成方法。
  34. 保護層を、加熱又は光エネルギー照射により硬化する請求項25から33のいずれかに記載の画像形成方法。
  35. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を有する画像形成装置であって、
    請求項1から34のいずれかに記載の画像形成方法により画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  36. 帯電手段がローラ形状をなし、かつ、該帯電手段両端の非画像形成領域に、静電潜像担持体との空隙を確保するためのギャップ形成部材を有する請求項35に記載の画像形成装置。
  37. 帯電部材がローラ形状をなし、かつ、静電潜像担持体の外径が、該帯電部材の外径の整数倍でない請求項35から36のいずれかに記載の画像形成装置。
  38. 帯電手段に、交流重畳電圧を印加する請求項35から37のいずれかに記載の画像形成装置。
  39. 転写手段が、可視像を直接記録媒体に転写する直接転写方式を採用する請求項35から38のいずれかに記載の画像形成装置。
  40. 静電潜像担持体と、帯電手段と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とからなる画像形成要素を、複数配列した請求項35から39のいずれかに記載の画像形成装置。
  41. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段とを有し、更に前記静電像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを画像形成装置本体に脱着可能に有してなり、請求項1から34のいずれかに記載の画像形成方法により画像を形成することを特徴とするプロセスカートリッジ。
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