JP2006250182A - 差動歯車装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 太陽歯車及び遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量を簡易に調整することができ、しかも、逆入力荷重による噛合部の歯の破損を防ぐことができる差動歯車装置を提供する。
【解決手段】 第1軸1が連動して回転するように連結された第1の太陽歯車3と、第2軸2が連動して回転するように連結された第2の太陽歯車4と、第1の太陽歯車3に噛合する第1の遊星歯車5と、該第1の遊星歯車5と一体に回転し、第2の太陽歯車4に噛合する第2の遊星歯車6と、第1及び第2の遊星歯車5,6を支持するキャリア7と、第2軸2を回転時祭に支持するハウジングとを備えており、太陽歯車3,4及び遊星歯車5,6は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有しており、第2軸2の途中に螺着されたナット19と、該ナット19に臨む位置に設けられた貫通孔9aとを備える構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1軸1が連動して回転するように連結された第1の太陽歯車3と、第2軸2が連動して回転するように連結された第2の太陽歯車4と、第1の太陽歯車3に噛合する第1の遊星歯車5と、該第1の遊星歯車5と一体に回転し、第2の太陽歯車4に噛合する第2の遊星歯車6と、第1及び第2の遊星歯車5,6を支持するキャリア7と、第2軸2を回転時祭に支持するハウジングとを備えており、太陽歯車3,4及び遊星歯車5,6は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有しており、第2軸2の途中に螺着されたナット19と、該ナット19に臨む位置に設けられた貫通孔9aとを備える構成とした。
【選択図】 図1
Description
本発明は遊星歯車を備える差動歯車装置に関する。
遊星歯車を備える差動歯車装置は車両のステアリング装置に用いられている。このステアリング装置用の差動歯車装置は、ステアリングホイールに繋がる第1軸を有する太陽歯車と、該太陽歯車の周りで公転しつつ自転する遊星歯車と、第1軸と同軸上に太陽歯車と離隔して配置される第2軸を有し、前記遊星歯車に噛合する内歯車と、前記第1軸に回転可能に外嵌され、前記遊星歯車を支持かるキャリアとを備え、ステアリングホイールの操作により、第1軸、太陽歯車、遊星歯車、キャリア及び内歯車を経て第2軸を回転させ、該第2軸に繋がる舵取機構を動作させるように構成されている(例えば、特許文献1。)。
特開昭61−122071号公報
ところが、特許文献1の太陽歯車及び遊星歯車は標準の平歯車が用いられているため、太陽歯車及び遊星歯車の噛合部のバックラッシュの調整が行い難いと言う問題があり、また、左右一対の操向輪に繋がる舵取機構から第2軸に軸長方向の逆入力荷重が加わったとき、この逆入力荷重が太陽歯車及び遊星歯車の噛合部に直接加わることになるため、噛合部の歯が破損し易くなると言う問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は太陽歯車及び遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量を簡易に調整することができ、しかも、逆入力荷重による噛合部の歯の破損を防ぐことができる差動歯車装置を提供することにある。
第1発明に係る差動歯車装置は、回転が自在の第1軸が連動して回転するように連結された第1の太陽歯車と、回転が自在の第2軸が連動して回転するように連結された第2の太陽歯車と、第1の太陽歯車に噛合する第1の遊星歯車と、該第1の遊星歯車と一体に回転し、前記第2の太陽歯車に噛合する第2の遊星歯車と、前記第1及び第2の遊星歯車を支持するキャリアとを備えた差動歯車装置において、前記太陽歯車及び前記遊星歯車は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有することを特徴とする。
第2発明に係る差動歯車装置は、前記第1軸又は第2軸に螺着されたナットを備えることを特徴とする。
第3発明に係る差動歯車装置は、前記ナットは外側に係合部を有しており、前記ナットを収容し、該ナットが螺着された第1軸又は第2軸を収容支持するハウジングを備えており、該ハウジングは前記係合部に臨む位置に貫通孔を有することを特徴とする。
第4発明に係る差動歯車装置は、前記ナットが螺着された第1軸又は第2軸を支持する第1軸受と、該第1軸受に当接して該第1軸受を中心線方向へ加圧する加圧体と、前記キャリアに当接し、前記ナットを前記第1軸受との間で挾着する挾着環とを備えることを特徴とする。
第5発明に係る差動歯車装置は、回転が自在の太陽歯車と、該太陽歯車の外周りに回転が自在に配置された内歯車と、前記太陽歯車及び前記内歯車に噛合する遊星歯車と、該遊星歯車が支持され、回転が自在のキャリアと、前記太陽歯車、内歯車及びキャリアの一つに連動して回転するように連結された第1軸と、前記太陽歯車、内歯車及びキャリアの他の一つに連動して回転するように連結された第2軸とを備えた差動歯車装置において、前記太陽歯車、内歯車及び遊星歯車は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有しており、前記第1軸又は第2軸に螺着されたナットを備えることを特徴とする。
第1発明にあっては、太陽歯車及び遊星歯車は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有するため、差動歯車装置の組立時、第1軸、第2軸及び遊星歯車のいずれか二つを軸長方向へ移動させることにより第1の太陽歯車の歯面を第1の遊星歯車の歯面に接触させ、第2の太陽歯車の歯面を第2の遊星歯車の歯面に接触させることが可能であり、従って、第1軸、第2軸及び遊星歯車のいずれか二つを軸長方向へ移動操作するだけの簡単な操作により第2の太陽歯車及び第2の遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量と、第1の太陽歯車及び第1の遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量とを調整することができ、噛合部のバックラッシュ量に起因する異音の発生を抑制することができる。
第2発明にあっては、第1軸又は第2軸に螺着されたナットの回転及び軸長方向への移動を禁止した状態で、ナットが螺着された第1軸又は第2軸を回し操作することにより、第1軸又は第2軸が軸長方向へ相対移動し、第1の太陽歯車が第1の遊星歯車に当接し、第1及び第2の遊星歯車が一体で歯幅方向へ移動し、第2の太陽歯車及び第2の遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量と、第1の太陽歯車及び第1の遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量とを調整することができる。また、ナットが螺着されている第1軸又は第2軸を舵取機構に繋げることにより、逆入力荷重をナットと、該ナットの軸長方向への移動を禁止した部材に加えることができるため、前記逆入力荷重による前記噛合部の歯の破損を防ぐことができる。
第3発明にあっては、ハウジングの貫通孔に棒状の係止部材を挿入し、該係止部材をナットの係合部に係合させることによりナットの回転及び軸長方向への移動を禁止することができるため、前記噛合部のバックラッシュ量を調整する場合、棒状の係止部材を貫通孔に挿入し、ナットの回転及び軸長方向への移動を禁止した状態でナットが螺着されている第1軸又は第2軸を回し操作することにより前記噛合部のバックラッシュ量を調整することができる。
第4発明にあっては、加圧体を操作することにより中心軸線方向への力を第1軸受、ナット及び挾着体に加えることができ、さらに、挾着体からキャリアに加えることができるため、第1軸受及びキャリアの回転中心線方向へのガタつきを低減でき、ガタつきによる異音の発生を抑制することができる。
第5発明にあっては、太陽歯車及び遊星歯車は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有しているため、ナットの回転及び軸長方向への移動を禁止した状態で、該ナットが螺着された第1軸又は第2軸を回し操作することにより、第1軸又は第2軸が軸長方向へ移動し、太陽歯車及び遊星歯車の噛合部のバックラッシュ量を調整することができる。また、ナットが螺着されている第1軸又は第2軸を舵取機構に繋げることにより、逆入力荷重をナットと、該ナットの回転及び軸長方向への移動を禁止した部材に加えることができるため、前記逆入力荷重による前記噛合部の歯の破損を防ぐことかできる。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る差動歯車装置の実施の形態1の構成を示す断面図、図2は要部の拡大断面図である。
実施の形態1
図1は本発明に係る差動歯車装置の実施の形態1の構成を示す断面図、図2は要部の拡大断面図である。
この差動歯車装置は、同軸上に回転が自在に配置される第1軸1及び第2軸2と、第1軸1が同軸上に連動して回転するように連結された第1の太陽歯車3と、第2軸2が同軸上に連動して回転するように連結された第2の太陽歯車4と、第1の太陽歯車3に噛合する複数の第1の遊星歯車5と、該第1の遊星歯車5と同軸上で一体に回転し、第2の太陽歯車4に噛合する第2の遊星歯車6と、第1及び第2の遊星歯車5,6を支持するキャリア7と、キャリア7の外周部に設けられた外歯体8と、該外歯体8の歯に噛合する駆動歯車10を有し、キャリア7を回転させるアクチュエータとしての差動用の電動モータ11と、第1軸1の途中に設けられた伝動歯車12と、該伝動歯車12に噛合する駆動歯車13を有し、第2軸2に加わるトルクに応じて第1軸1に所要のトルクを加える反力用の、換言すれば、第1軸1に加わるトルクが適正トルクより変わるとき、第1軸1に加わるトルクと同方向の反力トルクを第1軸1に与えるアクチュエータとしての反力用の電動モータ14とを備える。
第1軸1の一端部には第1の太陽歯車3が一体に設けられており、第2軸2の一端部には第2の太陽歯車4が一体に設けられており、第1及び第2の太陽歯車3,4が同軸上で対向している。第2軸2はアンギュラ玉軸受からなる第1軸受15を介してハウジング9内に回転自在に収容支持されており、第1軸1はアンギュラ玉軸受からなる第2軸受16を介してハウジング9内に回転自在に収容支持されている。また、第2軸2は第1軸受15の内輪に遊嵌され、第1軸受15に対して軸方向へ移動可能に構成されている。
第2軸2は、第1軸受15の内輪に遊嵌される第1嵌合部2a、該第1嵌合部2aと離隔した位置に設けられた第2嵌合部2bと、第1嵌合部2aの両側に設けられた第1及び第2のねじ部2c,2dと、第2嵌合部2b及び第2の太陽歯車4の間に設けられた第3嵌合部2eとを有しており、第2嵌合部2bにアンギュラ玉軸受からなる挾着環17が、また、第3嵌合部2eに針状ころ軸受18が夫々嵌合されている。第1嵌合部2a及び第2嵌合部2b間の第1のねじ部2cには、その外周部に凹状の係合部19aを有し、第1軸受15及び挾着環17の間に挾着されたナット19が螺着されており、第2のねじ部2dには第1軸受15の内輪の側面に当接してナット19の第2軸2に対する回転を禁止するねじ環20が螺着されている。
第1軸1は途中に伝動歯車12が一体に設けられており、該伝動歯車12の近傍が第2軸受16を介してハウジング9内に支持されており、また、第1の太陽歯車3及び伝動歯車12の間に、キャリア7を支持するための針状ころ軸受21と、キャリア7に加わるスラスト方向の荷重を受止めるアンギュラ玉軸受からなる第3軸受22とが嵌合されている。また、第1軸1の外周りには、第1軸1に加わるトルクを検出するためのトルクセンサ(図示せず)が設けられており、また、トルクセンサが検出したトルク等に基づいて差動用及び反力用の電動モータ11,14の駆動回路11a,14aを制御する制御部23が設けられている。
第1及び第2の太陽歯車3,4と、第1及び第2の遊星歯車5,6とは歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有する。図3は転位係数Xの異なる転位歯を有する歯車の構成を示す斜視図であり、(a) は歯幅方向一側の転位係数X=0、歯幅方向他側の転位係数X>0の歯車、(b) は歯幅方向一側の転位係数X=0、歯幅方向他側の転位係数X<0の歯車、(c) は歯幅方向一側の転位係数X>0、歯幅方向他側の転位係数X<0の歯車である。
第1及び第2の太陽歯車3,4は、近接する側に向かって小径となる円錐台形をなしており、第1及び第2の遊星歯車5,6は離隔する方向へ向かって小径となる円錐台形をなしており、第2の太陽歯車4が第1の太陽歯車3側へ移動したとき、第2の太陽歯車4及び第2の遊星歯車6の噛合部のバックラッシュ量が少なくなり、また、第2の遊星歯車6が第1の太陽歯車3側へ移動したとき、第1の太陽歯車3及び第1の遊星歯車5の噛合部のバックラッシュ量が少なくなるように構成されている。尚、前記転位歯は、歯幅方向に連続して転位する構成としてあるが、その他、歯幅方向に不連続で転位する構成としてもよい。
第1及び第2の遊星歯車5,6は、同軸上に一体に形成されており、中心部を貫通する貫通孔に軸体5aが嵌入されており、該軸体5aの両端部が、針状ころ軸受24,25を介してキャリア7に回転自在に支持されている。
キャリア7は第1軸1の外周部に針状ころ軸受21を介して回転が自在に嵌合支持される環状の第1板部7aと、第2軸2の外周部に針状ころ軸受18を介して回転が自在に嵌合支持される環状の第2板部7bと、第1板部7a及び第2板部7bの外周部の複数箇所を連結する連結部材(図示せず)と、第1板部7aの外周部に連なり、第1の遊星歯車5の外側に配置された円筒部7cとを有する。また、第1板部7aの外周部には複数の歯を有する環状の外歯体8が一体に設けられており、また、第1板部7aの内周部には外側へ突出する環状凸部7dが一体に設けられている。
第1板部7aの周方向の2箇所には第1の遊星歯車5,5が等配されており、第2板部7bの周方向の2箇所には第2の遊星歯車6,6が等配されている。第2板部7b及び円筒部7cは針状ころ軸受27,28を介してハウジング9内に回転自在に支持されている。
ハウジング9は、第2軸2が収容支持された小径筒部91a、キャリア7が収容支持された中径筒部91b及び駆動歯車10,13が収容された大径筒部91cを有する第1筒体91と、第1軸1及びトルクセンサが収容支持された第2筒体92と、該第2筒体92の一端部が収容された第3筒体93と、第1筒体91及び第3筒体93を連結する環状の連結板94とを備える。
第1筒体91にはナット19の係合部19aに臨む位置にラジアル方向へ貫通する貫通孔9aを有しており、係合部19aに係合することが可能な棒状の係止部材29を貫通孔9aに挿入することによりナット19の回転(第2軸2との共回り)を禁止することができるようになっている。また、小径筒部91aの内側には第1軸受15の外輪が遊嵌されており、また、開口端部に雌ねじ9bが設けられており、該雌ねじ9bに、第1軸受15の外輪に当接し、該外輪を中心線方向へ加圧する加圧体としてのねじ環30が螺着されている。中径筒部91bの内側には針状ころ軸受28が嵌合されている。中径筒部91b及び大径筒部91c間の段部には第1軸1と平行的に貫通する二つの貫通孔9c,9d及び該貫通孔9c,9dに嵌合された軸受31,32が設けられている。
第2筒体92は一端部が連結板94の内側に嵌合保持されており、内側に第2軸受16及び図示しない針状ころ軸受を介して第1軸1を支持している。
第3筒体93及び連結板94は、差動用及び反力用の電動モータ11,14の出力軸11a,14aが挿通される挿通孔9e,9e、9f,9fを有しており、連結板94の挿通孔9f,9fに軸受33,34が嵌合されており、軸受31,33により出力軸11aが支持され、軸受32,34により出力軸14aが支持されている。出力軸11aの途中には駆動歯車10が一体に設けられており、出力軸14aの途中には駆動歯車13が一体に設けられている。また、第3筒体93の端部には電動モータ11,14のモータケースが取付けられている。
第3筒体93及び連結板94は、差動用及び反力用の電動モータ11,14の出力軸11a,14aが挿通される挿通孔9e,9e、9f,9fを有しており、連結板94の挿通孔9f,9fに軸受33,34が嵌合されており、軸受31,33により出力軸11aが支持され、軸受32,34により出力軸14aが支持されている。出力軸11aの途中には駆動歯車10が一体に設けられており、出力軸14aの途中には駆動歯車13が一体に設けられている。また、第3筒体93の端部には電動モータ11,14のモータケースが取付けられている。
以上のように構成された差動歯車装置において、第1の太陽歯車3及び第1の遊星歯車5の噛合部のバックラッシュ量、第2の太陽歯車4及び第2の遊星歯車6の噛合部のバックラッシュ量を調整する場合、ハウジング9の貫通孔9aに係止部材29を挿入し、該係止部材29をナット19の係合部に係合させ、ナット19の回転を禁止した状態で第2軸2を回し操作することにより、該第2軸2がナット19に対して軸長方向へ移動し、第2の太陽歯車4の転位歯が第2の遊星歯車6の転位歯に当接し、第1及び第2の遊星歯車5,6が一体で歯幅方向へ移動し、第1の遊星歯車5の転位歯が第1の太陽歯車3の転位歯に当接し、第1の太陽歯車3及び第1の遊星歯車5の噛合部のバックラッシュ量、第2の太陽歯車4及び第2の遊星歯車6の噛合部のバックラッシュ量をともに調整することができる。このようにナット19の回転を禁止し、第2軸2を回し操作する簡易な操作により2箇所の噛合部のバックラッシュ量を調整することができる。
尚、第1及び第2の太陽歯車3,4側のバックラッシュ量が等しい状態で、第1及び第2の太陽歯車3,4側のバックラッシュ量を調整する場合、第2軸2の移動により第2の太陽歯車3及び第2の遊星歯車6の間のバックラッシュ量を少なくした状態で第1軸1又はキャリア7を回転させることにより遊星歯車5,6が、太陽歯車3,4との噛合が安定するように第1の太陽歯車3側へ若干移動し、結果的に両側のバックラッシュ量を少なくすることができる。このようにバックラッシュ量を調整した後、係止部材29を貫通孔9aから抜き出すことにより、ナット19は第2軸2と一体的に回転可能となる。また、バックラッシュ量を調整した後、ねじ環20を締め込むことによりナット19の第1軸受15及び挾着環17間での挾着力を増加させ、ナット19の弛緩を禁止する。
また、ハウジング9に螺着されたねじ環30を回し操作することにより、ねじ環30の操作力が、第1軸受15の外輪、ボール、内輪、ナット19、挾着環17の内輪、ボール、外輪、キャリア7、環状凸部7dを経て第3軸受22の外輪、ボール、内輪、第1軸1、第2軸受16の内輪、ボール及び外輪を経て第2筒体92に加えることができ、回転部分でのガタつき、詳しくは第1軸1、第2軸2、キャリア7及び第1軸受15、挾着環17、第2軸受16、第3軸受22でのガタつきをなくすることができる。このように回転部分でのガタつきをなくした後、ねじ環30にロックナット35を螺着することにより、ねじ環30の回転をロックすることができ、ガタつきがない状態を維持することができる。
以上のように構成された差動歯車装置は、主として車両のステアリング装置に用いられる。このステアリング装置は、第1軸1にステアリングホイールが結合され、第2軸2に、ピニオンと、該ピニオンに噛合するラック歯を有し、その軸長方向への移動を可能とした転舵軸とを備えた舵取機構の前記ピニオンが連動して回転するように連結され、ステアリングホイールを操作することにより前記ピニオンを回転させ、前記転舵軸の両端部に支持された操向輪を転舵することができるように構成されている。
このように構成されたステアリング装置は、ステアリングホイールが第1軸1を回転操作することにより第1の太陽歯車3、第1及び第2の遊星歯車5,6、第2の太陽歯車4を経て第2軸2が第1軸1と等速度で回転する。また、制御部23から駆動回路11aに出力される指令信号により差動用の電動モータ11が駆動されることにより、駆動歯車10、外歯体8を経てキャリア7が回転し、第1及び第2の遊星歯車5,6、第2の太陽歯車4を経て第2軸2が増速回転する。この第2軸2の増速回転により、第1軸1に加わる操舵トルクが適正トルクより変わるとき、第2軸2に加わるトルク等に応じて制御部23から駆動回路14aに出力される指令信号により反力用の電動モータ14が駆動され、例えば第1軸1の回転方向と同方向への反力トルクが第1軸1に加えられ、第1軸1に加わる操舵トルクを適正値に維持することができる。
また、車両の操向輪が縁石等に乗り上げて舵取機構から第2軸2に軸長方向の逆入力荷重が加わったとき、この逆入力荷重はナット19から挾着環17を経てキャリア7に加えることができ、さらに、キャリア7から第3軸受22、第1軸1及び第2軸受16を経てハウジング9に加えることができるため、逆入力荷重が太陽歯車3,44及び遊星歯車5,6の噛合部に加わるのを防ぐことができ、噛合部の歯の破損を防ぐことができる。
実施の形態2
図4は本発明に係る差動歯車装置の実施の形態2の構成を示す模式図である。この差動歯車装置は、同軸上に回転が自在に配置される第1軸1及び第2軸2と、第2軸2に回転自在に外嵌支持された太陽歯車36と、該太陽歯車36の外周りに回転が自在に配置され、第1軸1が同軸上に連動して回転するように連結された内歯車37と、太陽歯車36及び内歯車37に噛合する複数の遊星歯車38と、該遊星歯車38が支持され、第2軸2が同軸上に連動して回転するように連結されたキャリア39と、第2軸2の外周りに配置されたアクチュエータとしての差動用の電動モータ40とを備え、該電動モータ40の円筒形の回転子40aが太陽歯車36と同軸上に連動連結されている。
図4は本発明に係る差動歯車装置の実施の形態2の構成を示す模式図である。この差動歯車装置は、同軸上に回転が自在に配置される第1軸1及び第2軸2と、第2軸2に回転自在に外嵌支持された太陽歯車36と、該太陽歯車36の外周りに回転が自在に配置され、第1軸1が同軸上に連動して回転するように連結された内歯車37と、太陽歯車36及び内歯車37に噛合する複数の遊星歯車38と、該遊星歯車38が支持され、第2軸2が同軸上に連動して回転するように連結されたキャリア39と、第2軸2の外周りに配置されたアクチュエータとしての差動用の電動モータ40とを備え、該電動モータ40の円筒形の回転子40aが太陽歯車36と同軸上に連動連結されている。
実施の形態2において、内歯車37は内周部に歯を有する有底の円筒形をなしており、底部の中心部に第1軸1が結合されている。太陽歯車36は可動部としての回転子40aと一体に形成されており、回転子40aの外周部に永久磁石40bが設けられており、該永久磁石40bの外周りに固定子40cが設けられている。キャリア39は円板形をなしており、回転中心と偏倚した二つの位置に遊星歯車38,38が等配支持されている。
太陽歯車36、内歯車37及び遊星歯車38は、歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有しており、何れも円錐台形をなしている。太陽歯車36、内歯車37及び遊星歯車38の転位歯は図3のように構成されている。
第2軸2は第1軸受15を介してハウジング9内に回転自在に支持されており、第1軸受15が嵌合された第1嵌合部2aと、挾着環17が嵌合された第2嵌合部2bと、第1及び第2のねじ部2c,2dとが設けられており、第1のねじ部2cに螺着されたナット19は第1軸受15の内輪及び挾着環17の内輪間で挾着されている。また、挾着環17の外輪はハウジング9内の段部9gに当接している。また、ハウジング9のナット19に臨む位置には貫通孔9aが設けられている。
実施の形態2にあっては、太陽歯車36及び遊星歯車38の噛合部のバックラッシュ量、遊星歯車38及び内歯車37の噛合部のバックラッシュ量を調整する場合、ハウジング9の貫通孔9aに係止部材29を挿入し、該係止部材29をナット19の係合部に係合させ、ナット19の回転を禁止した状態で第2軸2を回し操作することにより、該第2軸2がナット19に対して軸長方向へ移動し、該第2軸2に連動して回転するように連結されたキャリア39及び該キャリア39に支持された遊星歯車38が歯幅方向へ移動し、太陽歯車36及び遊星歯車38の噛合部のバックラッシュ量、遊星歯車38及び内歯車37の噛合部のバックラッシュ量をともに調整することができる。このようにナット19の回転を禁止し、第2軸2を回し操作する簡易な操作により2箇所のバックラッシュ量を調整することができる。
また、ハウジング9に螺着されたねじ環30を回し操作することにより、ねじ環30の操作力が、第1軸受15の外輪、ボール、内輪、ナット19、挾着環17の内輪、ボール及び外輪を経てハウジング9の段部9gに加えることができ、第2軸2及び第1軸受15のガタつきをなくすることができる。
また、車両の操向輪が縁石等に乗り上げて舵取機構から第2軸2に軸長方向の逆入力荷重が加わったとき、この逆入力荷重はナット19から挾着環17を経てハウジング9の段部9gに加えることができるため、逆入力荷重が太陽歯車36、遊星歯車38及び内歯車37の噛合部に加わるのを防ぐことができ、噛合部の歯の破損を防ぐことができる。
尚、実施の形態2では反力用の電動モータを図示していないが、その他、実施の形態1のように第1軸1の途中に伝動歯車を設け、該伝動歯車に噛合する駆動歯車を有し、第1軸1に加わるトルクが適正トルクより変わるときに駆動され、第2軸に加わるトルクに応じて第1軸1に所要のトルクを加える反力用の電動モータを設けた構成としてもよい。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
尚、以上説明した実施の形態では、差動用及び反力用のアクチュエータとして電動モータ11,14を用いたが、差動用及び反力用のアクチュエータは電動モータに特定されない。
また、以上説明した実施の形態では差動用及び反力用の電動モータ(アクチュエータ)11,14を備える構成としたが、その他、反力用の電動モータ(アクチュエータ)14は必ずしも必要でない。
また、実施の形態1では差動用の電動モータ10がキャリア7を回転させる構成としたが、その他、例えば電動モータ11が第2軸2を直接回転させる構成としてもよい。
また、以上説明した実施の形態では第2軸2にナット19を螺着したが、その他、ナット19は第1軸1に螺着し、第1軸1をナット19に対して軸長方向へ移動可能に構成してもよい。また、ナット19の軸長方向への移動を禁止する手段としてアンギュラ玉軸受を用いたが、その他、止め輪等の環部材を用いてもよい。
また、以上説明した実施の形態ではナット19の軸長方向への移動を禁止する手段として軸受等の環部材を設け、ナット19の回転を禁止する手段として係止部材29を用いたが、その他、ナット19の軸長方向への移動及び回転の禁止を係止部材29により行うことができる構成としてもよい。
また、実施の形態2では第1軸1に内歯車37を連動して回転するように連結し、第2軸2にキャリア39を連動して回転するように連結し、差動用の電動モータ40が太陽歯車36を回転させる構成としたが、その他、図4において第1軸1が太陽歯車36を備え、キャリア39が電動モータ40の回転子40aに連動して回転するように連結され、電動モータ40によりキャリア39を回転させる構成としてもよいし、また、図4において第1軸1にキャリア39が連動して回転するように連結され、内歯車37が電動モータ40の回転子40aに連動して回転するように連結され、第2軸2が太陽歯車36を備える構成としてもよいし、また、図4において、第1軸1が太陽歯車36を備え、内歯車37が電動モータ40の回転子40aに連動して回転するように連結され、第2軸2がキャリア39を備える構成としてもよい。
1 第1軸
2 第2軸
3 第1の太陽歯車
4 第2の太陽歯車
5 第1の遊星歯車
6 第2の遊星歯車
7 キャリア
9 ハウジング
9a 貫通孔
15 第1軸受
17 挾着環
19 ナット
19a 係合部
30 ねじ環(加圧体)
36 太陽歯車
37 内歯車
38 遊星歯車
39 キャリア
2 第2軸
3 第1の太陽歯車
4 第2の太陽歯車
5 第1の遊星歯車
6 第2の遊星歯車
7 キャリア
9 ハウジング
9a 貫通孔
15 第1軸受
17 挾着環
19 ナット
19a 係合部
30 ねじ環(加圧体)
36 太陽歯車
37 内歯車
38 遊星歯車
39 キャリア
Claims (5)
- 回転が自在の第1軸が連動して回転するように連結された第1の太陽歯車と、回転が自在の第2軸が連動して回転するように連結された第2の太陽歯車と、第1の太陽歯車に噛合する第1の遊星歯車と、該第1の遊星歯車と一体に回転し、前記第2の太陽歯車に噛合する第2の遊星歯車と、前記第1及び第2の遊星歯車を支持するキャリアとを備えた差動歯車装置において、前記太陽歯車及び前記遊星歯車は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有することを特徴とする差動歯車装置。
- 前記第1軸又は第2軸に螺着されたナットを備える請求項1記載の差動歯車装置。
- 前記ナットは外側に係合部を有しており、前記ナットを収容し、該ナットが螺着された第1軸又は第2軸を収容支持するハウジングを備えており、該ハウジングは前記係合部に臨む位置に貫通孔を有する請求項2記載の差動歯車装置。
- 前記ナットが螺着された第1軸又は第2軸を支持する第1軸受と、該第1軸受に当接して該第1軸受を中心線方向へ加圧する加圧体と、前記キャリアに当接し、前記ナットを前記第1軸受との間で挾着する挾着環とを備える請求項2又は3記載の差動歯車装置。
- 回転が自在の太陽歯車と、該太陽歯車の外周りに回転が自在に配置された内歯車と、前記太陽歯車及び前記内歯車に噛合する遊星歯車と、該遊星歯車が支持され、回転が自在のキャリアと、前記太陽歯車、内歯車及びキャリアの一つに連動して回転するように連結された第1軸と、前記太陽歯車、内歯車及びキャリアの他の一つに連動して回転するように連結された第2軸とを備えた差動歯車装置において、前記太陽歯車、内歯車及び遊星歯車は歯幅方向の位置で転位量が異なる転位歯を有しており、前記第1軸又は第2軸に螺着されたナットを備えることを特徴とする差動歯車装置。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
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EP06100875A EP1686287A3 (en) | 2005-01-26 | 2006-01-26 | Differential gear apparatus |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=37090912
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005064533A Withdrawn JP2006250182A (ja) | 2005-01-26 | 2005-03-08 | 差動歯車装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006250182A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111828558A (zh) * | 2020-08-10 | 2020-10-27 | 重庆大学 | 一种可调隙少齿差减速器 |
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US11418135B2 (en) | 2019-07-31 | 2022-08-16 | Ricoh Company, Ltd. | Control apparatus and control method |
-
2005
- 2005-03-08 JP JP2005064533A patent/JP2006250182A/ja not_active Withdrawn
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