JP2006249953A - オイルポンプ - Google Patents

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正久 宮原
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
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Abstract

【課題】 製造が容易で安価な鋳鉄製のハウジングを用いた内接型オイルポンプにおいて、高温時において優れた吐出流量性能を可能にする。
【解決手段】 インナーロータ5の本体15を比較的線膨張係数の高いオーステナイト系ステンレス鋼により構成し、アウターロータ4を比較的線膨張係数の低い鉄系焼結合金で構成して組み合せる。インナーロータ5の本体15における回転軸芯Xの方向に配置されるモリブデン(Mo)等の硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス製の端面層16が、鋳鉄製のハウジング2の端面部材14と摺動する。アウターロータ4とインナーロータ5の本体15は、鉄鋼材料であっても線膨張係数に差があるため、その線膨張係数差によって高温時における歯先隙間の減少作用を得る。端面層16は相手鋳鉄との耐摩耗性に優れているので耐久性を確保することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、高温時におけるオイルリークを抑え、優れた吐出流量性能を可能にするオイルポンプに関する。
インナーロータ及びアウターロータの材質として、耐摩耗性に優れた鉄系焼結合金などの鉄系素材が用いられているオイルポンプにおいては、運転温度が上昇するのに伴い、オイルの粘性が低下してオイルがポンプ中の各隙間からリークする量が増えるため、吐出流量が要求される高温時に十分な吐出流量性能が得られなくなるおそれがある。
このような問題を解決するものとして、前記インナーロータを前記アウターロータの材料よりも線膨張係数の高い材料で構成し、インナーロータの線膨張係数がアウターロータの線膨張係数よりも高いため、両ロータの線膨張係数差に起因して、温度上昇に伴いインナーロータとアウターロータとの間の歯先隙間が減少するようにしたオイルポンプが公知である(例えば、特許文献1参照)。そして特許文献1においては、両ロータ及びハウジングの材料の組み合せとして、(1)インナーロータをアルミニウム合金、例えばアルミニウム−シリコン系合金により構成し、アウターロータを鉄鋼材料、中でも線膨張係数の比較的低い鉄系焼結合金により構成する組み合せ、(2)インナーロータを比較的線膨張係数の高いオーステナイト系ステンレス鋼により構成し、アウターロータを比較的線膨張係数の低い鉄系焼結合金で構成する組み合せ、(3)インナーロータをアルミニウム合金で構成し、アウターロータを耐摩耗性の高い鉄系焼結合金で構成し、さらに、ハウジングをインナーロータの材料よりも線膨張係数の低い材料、鋳鉄(例えば片状黒鉛鋳鉄)で構成する組み合せが開示されている。
特開2001−207974号公報
前記ハウジングを製造が容易で安価な鋳鉄製とした場合、このハウジングに対するステンレス、アルミニウム合金の耐摩耗性並びに摺動性が低いため、インナーロータがハウジングと焼き付く、あるいはインナーロータの摩耗が大きいなどの問題が発生する。
そこで、本発明は、製造が容易で安価な鋳鉄製のハウジングを用いた内接型オイルポンプにおいて、高温時におけるオイルリークを抑え、優れた吐出流量性能を可能にするオイルポンプを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、オイル吸入部及びオイル吐出部を有する鋳鉄製ハウジングと、このハウジング内に回転可能に収容される内歯車状の鉄系焼結合金製アウターロータと、このアウターロータに内側から噛み合う歯車状をなし、アウターロータの内側にこのアウターロータの回転中心と異なる点を中心に回転可能に収容され、このアウターロータとの間にポンプ室を形成するインナーロータとを備えたオイルポンプにおいて、前記インナーロータを、焼結オーステナイト系ステンレス製とすると共に、該インナーロータの回転軸芯方向の少なくとも端面に硬質な端面層を設けたことを特徴とするオイルポンプである。
請求項2の発明は、前記インナーロータを、焼結オーステナイト系ステンレス製の本体と、この本体の前記端面側に一体に設けられ硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス製の端面層により形成することを特徴とする請求項1記載のオイルポンプである。
請求項3の発明は、前記本体に対応する本体圧粉体と、前記端面層に対応する端面層圧粉体とを一体に成形した圧粉体の焼結品により前記インナーロータを形成することを特徴とする請求項2記載のオイルポンプである。
請求項4の発明は、前記本体に対応する本体圧粉体と、前記端面層に対応する端面層圧粉体とを別々に成形し、これらを積層して焼結した焼結品により前記インナーロータを形成することを特徴とする請求項2記載のオイルポンプである。
請求項5の発明は、前記本体に対応する本体圧粉体を焼結した本体粉末焼結品と、前記端面層に対応する端面層圧粉体を焼結した端面層焼結品とを別々に形成し、これらを接合して前記インナーロータを形成することを特徴とする請求項2記載のオイルポンプである。
請求項1の発明によれば、端面層は相手鋳鉄との耐摩耗性に硬質なものであるので、ハウジングに対するインナーロータの摩耗を少なくしてスムーズな作動を可能とすることができる。
請求項2の発明によれば、本体では硬質粒子を添加するようなこと等は必要が無くなり、インナーロータの対アウターロータとの線膨張係数の差を確保することができる。
請求項3の発明によれば、製造工程を増やすことなく圧粉体によるインナーロータを形成することができる。
請求項4の発明によれば、本体、端面層の厚み、ひいてはインナーロータの全幅を正確に形成することができる。
請求項5の発明によれば、本体、端面層の厚み、ひいてはインナーロータの全幅を正確に形成することができる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
以下、本発明の一実施形態を添付図1〜図4を参照して説明する。内接型のオイルポンプ1は、ハウジング2のロータ室3内においてアウターロータ4にインナーロータ5が偏心状態で内接して組み付けられたものである。アウターロータ4は内周に形成した内歯部6を有し、一方インナーロータ5は外周に形成した外歯部7を有し、空隙部からなる複数のポンプ室8を形成して歯合している。内歯部6及び外歯部7の数は、インナーロータ5の方が1つ少なくなっている。そして、前記アウターロータ4は、ハウジング2のロータ室3内に回転自在に嵌合されている。また前記インナーロータ5は、その中心部に中心孔9を有し、この中心孔9に回転軸としての駆動軸10が嵌合されている。さらに前記ハウジング2のロータ室3には両ロータ4,5を挟んで両側に吸入部11と吐出部12とが形成されている。尚、図中Xは駆動軸10と一体的なインナーロータ5の回転軸芯を示している。
前記ハウジング2は、鋳鉄製であって、ロータ室3の周面に配置されアウターロータ4の外周を囲む周面部材13と、この周面部材13と一体に設けられ前記駆動軸10の軸方向の両側端面に配置され前記アウターロータ4及びインナーロータ5の軸方向の両側端面が摺動可能な端面部材14を有する。
前記アウターロータ4は、鋳鉄製ハウジング2との摺動性に優れ耐摩耗性に優れ比較的線膨張係数の低い鉄系焼結合金によって形成する。この鉄系焼結合金としては、Fe−C系、Fe−Cu−C系、Fe−Ni−C系、Fe−Mo−C系、Fe−Cu−Ni−Mo−C系等を用いる。
前記インナーロータ5は、回転軸芯方向Xの少なくとも端面に鋳鉄よりも硬質な後述する端面層を設けたものであって、外周に外歯部7を形成した中心側の本体15と、この本体15の前記駆動軸10における回転軸芯X方向の両側端面に一体に設けられる薄板状の端面層16によって形成されており、これら本体15と端面層16の軸芯には駆動軸10が貫通する前記中心孔9がそれぞれ設けられている。そして、端面層16は本体15の端面を覆うように一体に設けられて、本体15の端面がハウジング2に接しないようになっている。この片側の端面層16の厚みLは、インナーロータ5の全幅Wに対して、5〜20%程度、好ましくは10〜15%程度である。そして、前記本体15を焼結SUS304Lや焼結SUS316L等の比較的線膨張係数の高い焼結オーステナイト系ステンレスにより形成し、一方、ハウジング2に接して摺動する端面層16を相手方鋳鉄製ハウジング2との耐摩耗性に優れたモリブデン(Mo)系等の硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス製によって一体に形成する。この端面層16においては、オーステナイトステンレス鋼素地にMo系硬質粒子が分散した焼結合金となる。尚、図中17は端面部材14における中心孔9の外面側に形成した面取り部である。
図4の製造方法に示すように、前記本体15と端面層16からなるインナーロータ5は、金属粉の焼結品によって形成されるものであり、粉末プレス装置における下パンチ18及びコアロッド19が挿入したダイ20に下方より上方にかけて硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス用粉、硬質粒子を添加しない焼結オーステナイト系ステンレス用粉、硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス用粉を順次収容して3層に配置した後に、これらの粉を上パンチ21によりプレスして前記端面層16に対応する端面層圧粉体16Aの間に前記本体15に対応する本体圧粉体15Aを配置した3層の圧粉体を成形し、この圧粉体を焼結した後に、矯正プレスによってサイジングを行い、さらに面取り部17を機械加工によって形成するものである。
前記構成により、使用時には、駆動軸10を介してインナーロータ5が回転運動し、それに伴い内歯部6と外歯部7との噛合によりアウターロータ4も同方向へ回転し、それぞれの空隙部からなるポンプ室8の容積がアウターロータ4及びインナーロータ5が一回転する間に大小に変化し吸入部11でオイルを吸入し、吐出部12でオイルを吐き出すというものである。
以上のように、前記実施例では、オイル吸入部11及びオイル吐出部12を有する鋳鉄製ハウジング2と、このハウジング2内に回転可能に収容される内歯車状の鉄系焼結合金製アウターロータ4と、このアウターロータ4に内側から噛み合う歯車状をなし、アウターロータ4の内側にこのアウターロータ4の回転中心と異なる点を中心に回転可能に収容され、このアウターロータ4との間にポンプ室8を形成するインナーロータ5とを備え、前記インナーロータ5を比較的線膨張係数の高いオーステナイト系ステンレス鋼により構成し、前記アウターロータ4を比較的線膨張係数の低い鉄系焼結合金で構成して組み合せることにより、鉄鋼材料であっても線膨張係数に差があるため、その線膨張係数差によって高温時における歯先隙間の減少作用を得ることが可能である。
そして、回転軸芯Xを中心としてインナーロータ5が回転運動する際に、インナーロータ5の少なくとも回転軸芯Xの方向の端面に配置される端面層16がハウジング2の端面部材14と摺動する。このとき端面部材14は鋳鉄製であり、一方、端面層16はそれよりは硬質であるので、インナーロータ5の端面にオーステナイト系ステンレス鋼のみの層があらわれている場合に比較して、インナーロータ5の端面の耐摩耗性を向上することができる。
さらに、前記インナーロータ5を、焼結オーステナイト系ステンレス製の本体15と、この本体15の前記端面側に一体に設けられ硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス製の端面層16による複数層の構造とすることにより、本体15では硬質粒子を添加するような必要が無くなり、インナーロータ5の対アウターロータ4との線膨張係数の差を確保することができる。
さらに、インナーロータ5を前記本体15に対応する本体圧粉体15Aと、前記端面層16に対応する端面層圧粉体16Aとを一体に成形した圧粉体の焼結品による製造方法により形成することで、製造工程を増やすことなく前記一体に成形した圧粉体によりインナーロータ5を形成することができる。
以下に他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図5に示す実施例2においては、インナーロータの本体に対応する本体圧粉体15Bと、端面層に対応する端面層圧粉体16Bとを別々に成形し、これらを積層して焼結し、さらに矯正プレスによってサイジングを行い、面取り部を機械加工によって形成してインナーロータを形成したものである。このような製造方法とすることで、本体圧粉体15B、端面層圧粉体16Bの厚み、ひいてはインナーロータの全幅を正確に形成することができる。
図6に示す実施例3においては、本体に対応する本体圧粉体を焼結した本体粉末焼結品15Cと、前記端面層に対応する端面層圧粉体を焼結した端面層圧焼結品16Cとを別々に形成し、これらをロウ付け等により接合した後、さらに矯正プレスによってサイジングを行い、面取り部を機械加工によって形成してインナーロータを形成したものである。このような製造方法とすることで、本体粉末焼結品15C、端面層圧焼結品16Cの厚み、ひいてはインナーロータの全幅を正確に形成することができる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。
以上のように本発明にかかるオイルポンプは、各種の用途に適用できる。
本発明の実施例1を示す正面図である。 本発明の実施例1を示す断面図である。 本発明の実施例1を示すインナーロータの断面図である。 本発明の実施例1を示す成形プレスの断面図である。 本発明の実施例2を示す分解状態の断面図である。 本発明の実施例3を示す分解状態の断面図である。
符号の説明
2 ハウジング
4 アウターロータ
5 インナーロータ
6 内歯部
7 外歯部
8 ポンプ室
10 駆動軸(回転軸)
11 吸入部
12 吐出部
15 本体
15A 本体圧粉体
15B 本体圧粉体
15C 本体粉末焼結品
16 端面層
16A 端面層圧粉体
16B 端面層圧粉体
16C 端面層圧焼結品
X 回転軸芯

Claims (5)

  1. オイル吸入部及びオイル吐出部を有する鋳鉄製ハウジングと、このハウジング内に回転可能に収容される内歯車状の鉄系焼結合金製アウターロータと、このアウターロータに内側から噛み合う歯車状をなし、アウターロータの内側にこのアウターロータの回転中心と異なる点を中心に回転可能に収容され、このアウターロータとの間にポンプ室を形成するインナーロータとを備えたオイルポンプにおいて、前記インナーロータを、焼結オーステナイト系ステンレス製とすると共に、該インナーロータの回転軸芯方向の少なくとも端面に硬質な端面層を設けたことを特徴とするオイルポンプ。
  2. 前記インナーロータを、焼結オーステナイト系ステンレス製の本体と、この本体の前記端面側に一体に設けられ硬質粒子を添加した焼結オーステナイト系ステンレス製の端面層により形成することを特徴とする請求項1記載のオイルポンプ。
  3. 前記本体に対応する本体圧粉体と、前記端面層に対応する端面層圧粉体とを一体に成形した圧粉体の焼結品により前記インナーロータを形成することを特徴とする請求項2記載のオイルポンプ。
  4. 前記本体に対応する本体圧粉体と、前記端面層に対応する端面層圧粉体とを別々に成形し、これらを積層して焼結した焼結品により前記インナーロータを形成することを特徴とする請求項2記載のオイルポンプ。
  5. 前記本体に対応する本体圧粉体を焼結した本体粉末焼結品と、前記端面層に対応する端面層圧粉体を焼結した端面層焼結品とを別々に形成し、これらを接合して前記インナーロータを形成することを特徴とする請求項2記載のオイルポンプ。

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