JP2006246821A - フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体 - Google Patents

フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】 広くフジツボ類に属するフジツボの検出を迅速かつ簡便に行うことができる、フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体及びそのフラグメント、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及びその作製方法、並びに、前記モノクローナル抗体又はそのフラグメントを利用したフジツボ類の付着期幼生の検出用試薬、検出器、検出キット、及び検出方法を提供すること。
【解決手段】 アカフジツボ付着期幼生を腹腔内に注射することにより免疫したマウスの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを融合することにより得られたハイブリドーマの中から、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないが、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体又はそのフラグメント、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ又はその作製方法、並びに、フジツボ類の付着期幼生の検出用試薬、検出器、検出キット、及び検出方法に関する。
水中の岩やコンクリート壁などの基盤に固着または付着している生物は、付着生物(汚損生物と呼ばれる場合もある。)と呼ばれるが、甲殻綱、まん脚亜綱に属する節足動物であるフジツボ類は代表的な海産付着生物である。
フジツボ類は、内湾性の種から外洋性の種まで多くの種からなり、海域の環境条件や基盤によって種特有の生息場所を持つことが知られている。
フジツボ類の生活史のうち、繁殖に関わるステージの概略は、以下のとおりである。すなわち、付着成体間で交尾し受精後、浮遊期であるノープリウス幼生を孵出し、このノープリウス幼生が脱皮を繰り返した後、付着期であるキプリス幼生となり、さらにキプリス幼生が基盤に付着し、幼フジツボヘと変態する。この繁殖時期は、各種に特有のものである。
このようなフジツボ類が、様々な海洋構造物や船底、発電所などの海水取水施設の熱交換器や復水器などの配水管内に大量に付着することにより、流体抵抗増加、船速低下・燃費増大、取水ポンプ負荷の増大、冷却効率低下、細管閉塞等の様々な被害を及ぼす場合がある。そのため、フジツボ類の付着を防止する方法の開発が行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。
その場合、フジツボ類の出現状況を把握し、対象海域で被害の大きいフジツボ類に絞って駆除すれば、より効率よく被害を回避できると考えられる。ここで、フジツボ類の出現状況は、所定の場所から採取した海水中にフジツボ類がどれくらい存在するかを定期的に調査することにより行われているが、フジツボ類の存在の確認は形態学的に行われているため、フジツボ類の種類にかかわらず、広くフジツボ類に属するフジツボの存在をより効率よく確認することができる方法の開発が求められている。
従来、タテジマフジツボ成体由来の蛋白質に対するポリクローナル抗体が開発されており、この抗体が成体以外に浮遊期及び付着期幼生にも反応することが明らかにされているが(非特許文献1〜3参照)、種にかかわらず広くフジツボ類に属するフジツボの付着期幼生に特異的に反応する抗体の開発はなされていなかった。
特開平8−67602号公報 特開平11−333466号公報 Com. Biochem. Physiol. 2000, 125A, 511-516 Balanus amphitrite. J. Exp. Zool. 1998, 281, 12-20 Proc. R. Soc. Lond. B. Biol. Sci. 1998, 265, 1825-1830
そこで、本発明は、広くフジツボ類に属するフジツボの検出を迅速かつ簡便に行うことができる、フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体及びそのフラグメント、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及びその作製方法、並びに、前記モノクローナル抗体又はそのフラグメントを利用したフジツボ類の付着期幼生の検出用試薬、検出器、検出キット、及び検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、アカフジツボ付着期幼生(キプリス幼生)に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製しようと試み、アカフジツボ付着期幼生を腹腔内に注射することにより免疫したマウスの脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞とを融合し、得られたハイブリドーマの培養上清を用いて、アカフジツボ付着期幼生、タテジマフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生、フジツボ類以外の甲殻類プランクトン(コペポーダ類、アルテミアノープリウス幼生等)、及び二枚貝類の付着期幼生(アサリ、ムラサキイガイ等の付着期幼生(ペディベリジャー幼生))の粗抽出液(各幼生又はプランクトンを超音波装置、ホモジナイザー等で処理した溶解物)との反応性を調べていたところ、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないが、アカフジツボ付着期幼生、タテジマフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生等のフジツボ類の付着期幼生に反応する広い種特異性を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが存在することを見出した。このことから、本発明者らは、アカフジツボ付着期幼生、タテジマフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生等のフジツボ類の付着期幼生には、共通する抗原が存在するのではないかと考えられた。そこで、本発明者らは、アカフジツボ付着期幼生以外に、タテジマフジツボ付着期幼生又はイワフジツボ付着期幼生を腹腔内に注射することにより免疫したマウスの脾臓細胞を用いても、上記と同様にフジツボ類の付着期幼生に特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマができるのではないかと考え、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るハイブリドーマの作製方法は、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法であって、アカフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生、又はタテジマフジツボ付着期幼生で免疫したヒト以外の哺乳類動物由来の脾臓細胞とミエローマ細胞とを融合したハイブリドーマから、アカフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生、及びタテジマフジツボ付着期幼生に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選定する工程を含む。
また、本発明に係るハイブリドーマは、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体を産生することを特徴とする。
さらに、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントは、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないことを特徴とする。
本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出用試薬は、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントを有効成分として含有する。
また、本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出器は、フジツボ付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントが固定化されていることを特徴とする。
さらに、本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出キットは、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントを含む。
本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出方法は、試料に、フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントを加えて、試料中のフジツボ類の付着期幼生に作用させる工程を含む。
ここで、前記フジツボ類の付着期幼生には特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体としては、例えば、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおいて受託番号FERM P-20282等で寄託されているハイブリドーマ細胞株から産生されるモノクローナル抗体を挙げることができる。
なお、本明細書において「フジツボ類」とは、フジツボ類に属するフジツボの全ての種を指す。
本発明によれば、広くフジツボ類に属するフジツボの検出を迅速かつ簡便に行うことができる、フジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体及びそのフラグメント、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ及びその作製方法、並びに、前記モノクローナル抗体又はそのフラグメントを利用したフジツボ類の付着期幼生の検出用試薬、検出器、検出キット、及び検出方法を提供することができる。
上記知見に基づき完成した本発明を実施するための形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
==モノクローナル抗体又はそのフラグメントの製造方法==
本発明に係るモノクローナル抗体は、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生、又はそれらの付着期幼生をそれぞれ超音波装置、ホモジナイザー等で処理した溶解物(以下、「粗抽出液」と称する。)には反応しないが、フジツボ類(特に、アカフジツボ、タテジマフジツボ、イワフジツボ等)の付着期幼生又はそれらの粗抽出液に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ(以下、「本発明に係るハイブリドーマ」と称する。)から得ることができる。本発明に係るハイブリドーマを用いたモノクローナル抗体の製造は、公知の手法により行うことができる。具体的には、本発明に係るハイブリドーマを適当な培養培地で培養し、培養上清を回収することにより上述のモノクローナル抗体を得ることができるが、上述のハイブリドーマを哺乳類動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、サルなど)の腹腔内に投与し、腹水を回収することにより上述のモノクローナル抗体を得ることとしてもよい。なお、モノクローナル抗体の精製は、上述のハイブリドーマの培養上清又は培養したハイブリドーマを超音波装置、ホモジナイザー等で処理した溶解物、又は上述のハイブリドーマを腹腔内に投与した哺乳類動物から採取した腹水を、常法、例えば、硫安塩析、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーなど)、ゲル濾過等の方法、又はこれらの方法を適宜組み合わせた方法により行うことができる。
上述のハイブリドーマとしては、例えば、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおいて受託番号FERM P-20282等で寄託されている細胞株を用いることができる。
本発明に係るフラグメントとしては、上述のモノクローナル抗体の一部からなり、可変領域を含む抗原結合部位であれば特に制限されるものではないが、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメントなどを用いることができる。これらのフラグメントは、公知の手法、例えば、タンパク質分解酵素などを用いた方法により得ることができる。なお、タンパク質分解酵素としては、FabフラグメントやF(ab’)2フラグメントを得ることができるものであればどのようなものであってもよいが、例えば、ペプシン、フィシン等の分解酵素を用いることができる。
===ハイブリドーマの作製===
本発明に係るハイブリドーマは、例えば、以下の方法により作製することができる。まず、フジツボ類(例えば、アカフジツボ、タテジマフジツボ、イワフジツボ等)の付着期幼生又はその粗抽出液を抗原として用い、適当な量の抗原(アジュバンドを使用してもよい。)を哺乳類動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、サルなど)の静脈内、皮下、腹腔内等に(1〜複数回)投与して免疫する。その際、1つの種のフジツボを抗原として用いればよいが、複数の種のフジツボを用いてもよい。その後、免疫した動物から抗体産生細胞を採取し、骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)と融合させてハイブリドーマを作製する。得られたハイブリドーマから、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生又はそれらの粗抽出液には反応を示さないが、フジツボ類(特に、アカフジツボ、タテジマフジツボ、イワフジツボ等)の付着期幼生又はそれらの粗抽出液には反応性を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選定することにより、本発明に係るフジツボ類の付着期幼生に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。この方法によると、1つの種のフジツボを抗原として用いるだけで、複数の種のフジツボに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを効率よく得ることが可能となる。
前記抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)などの融合促進剤を含む培養培地で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを一緒に培養することにより行うことができるが、エレクトロポレーション等の電気刺激を利用して行うこともできる。なお、細胞融合の効率を高めるために、ジメチルスルホキシドやレシチンなどの補助剤を培養培地に含ませることとしてもよい。
前記抗体産生細胞としては、例えば、脾臓細胞、リンパ節細胞、胸腺細胞、末梢血細胞などを用いることができる。これらの細胞は、動物から脾臓、リンパ節、胸腺、又は末梢血を摘出し、摘出した組織を破砕、濾過、遠心分離等することにより得ることができる。また、前記ミエローマ細胞としては、各種動物由来の細胞株を用いてもよいが、それ自身薬剤に対して抵抗性を示さないが、融合すると薬剤に対して抵抗性を示す細胞株を用いることが好ましい。これにより、細胞融合した後、薬剤を添加した培養培地(例えば、HAT培地など)で培養することにより、細胞融合によって得られたハイブリドーマの選択が容易となる。なお、融合させる抗体産生細胞とミエローマ細胞は、同種の動物由来の細胞を用いることが望ましいが、異なる種の動物由来の細胞を用いることとしてもよい。
上述のハイブリドーマの選定は、常法のスクリーニングやクローニングにより行うことができる。ハイブリドーマのスクリーニングには、例えば、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme ImmunoAssay、ELISA:Enzyme-Linked Immunosorbent Assays)、放射線免疫測定法(RIA:Radio Immuno Assay)、ウェスタンブロット法等を用いることができ、ハイブリドーマのクローニングには、例えば、限界希釈法、軟寒天法、フィブリンゲル法、蛍光励起セルソーター法等を用いることができる。本発明に係るハイブリドーマの選定において、上記スクリーニング及びクローニングを繰り返し行うことにより、フジツボ類の付着期幼生又はそれらの粗抽出液に対して特異性の高いモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択することが可能となる。
このようにして得られた本発明に係るハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体を用いることにより、様々な幼生又はプランクトンを含む試料(例えば、海水など)中からフジツボ類の付着期幼生を特異的に回収したり、検出、すなわち、フジツボ類の付着期幼生の存在の有無の確認、フジツボ類の付着期幼生の同定、フジツボ類の付着期幼生の量の測定等を行ったりすることができるようになる。
==モノクローナル抗体又はそのフラグメントの使用==
本発明に係るモノクローナル抗体は、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生又はそれらの粗抽出液には反応性を示さないが、フジツボ類(特に、アカフジツボ、タテジマフジツボ、イワフジツボ等)の付着期幼生又はそれらの粗抽出液に対して特異的に反応性を示すことから、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントは、フジツボ類の付着期幼生の特異的な検出に有用であると考えられる。
また、本発明に係るモノクローナル抗体又はフラグメントは、フジツボ類の付着期幼生を回収するのに有用であると考えられる。フジツボ類の付着期幼生の回収は、モノクローナル抗体又はそのフラグメントとの親和性を利用して行うことができる。例えば、磁性体を結合させた本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントをフジツボ類の付着期幼生に作用させ、その後、磁石を用いて本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントを回収することにより行うことができる。なお、前記磁性体としては、例えば、鉄、酸化鉄等を用いることができる。その他、フジツボ類の付着期幼生の回収において、FACS(Fluorescence Activated Cell sort)、panning等の方法を用いてもよい。
本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出は、試料(例えば、海水又はそれを超音波装置、ホモジナイザー等で処理した溶解物など)に、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントを加えて試料中のフジツボ類の付着期幼生又はその溶解物と反応させ、前記モノクローナル抗体又はそのフラグメントが結合しているフジツボ類の付着期幼生やその溶解物を免疫学的手法により解析することにより行うことができる。
従って、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントを含む試薬、キット、又は器具は、フジツボ類の付着期幼生の検出用試薬、検出キット、及び検出器として有用であるといえる。
なお、本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出用試薬は、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントを含むものであればどのようなものでもよく、例えば、緩衝液(例えば、リン酸塩、炭酸塩、塩酸塩等の塩の溶液)、防腐剤(例えば、アジ化ナトリウムなど)、非特異的な反応を抑制するための物質(例えば、ブロックエース、ゲラチン、スキムミルクなど)、免疫学的手法によりフジツボ類の付着期幼生を検出するのに必要な物質(例えば、標識物質など)、安定剤(例えば、BSA、ヤギ血清など)等の、抗体又はそのフラグメント以外に抗原の検出用試薬に含ませる一般的な物質が1又は2以上、さらに含まれていてもよい。
本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出器は、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントが媒体(例えば、濾紙などの紙、ガラス、繊維、ニトロセルロースなどの変性セルロース、ナイロン、プラスチック等から成るフィルター、メンブレン、プレート、ディッシュなど)に固定化されているものであればどのようなものでもよく、例えば、緩衝液(例えば、リン酸塩、炭酸塩、塩酸塩等の塩の溶液)、防腐剤(例えば、アジ化ナトリウムなど)、非特異的な反応を抑制するための物質(例えば、ブロックエース、ゲラチン、スキムミルクなど)、免疫学的手法によりフジツボ類の付着期幼生を検出するのに必要な物質(例えば、標識物質、発色基質、二次抗体、発色増強剤など)、安定剤(例えば、BSA、ヤギ血清など)等の、抗体又はそのフラグメント以外に抗原の検出器に含ませる一般的な物質が1又は2以上、さらに含まれていてもよい。
本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出器の一例としては、試料を滴下する部分又は試料を浸す第一の部分と、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントが固定化された第二の部分と、本発明に係るモノクローナル抗体が産生されたホストの動物種の免疫グロブリンに特異的に反応する抗免疫グロブリン抗体等の二次抗体が固定化された第三の部分を有し、第二の部分が第一の部分と第三の部分との間に備えられ、第一の部分には、金属コロイド粒子(例えば、金コロイド粒子など)、重金属(例えば、金、白金など)、蛍光物質(例えば、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、ローダミン、ファロイジンなど)、着色ラテックス粒子等の標識物質で標識された、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントを含むクロマトグラフ媒体を挙げることができる。前記クロマトグラフ媒体としては、例えば、ガラスやシリカなどの無機繊維からなる濾紙、ニトロセルロースなどの変性セルロース等を用いることができる。このようなクロマトグラフ媒体を用いることにより、試料中にフジツボ類の付着期幼生が存在するかどうかを検出することが可能になる。その原理としては、フジツボ類の付着期幼生又はその溶解物を含む試料をクロマトグラフ媒体の第一の部分に滴下したり、浸したりすると、試料中のフジツボ類の付着期幼生又はその溶解物と、第一の部分に含まれる標識された上述のモノクローナル抗体又はそのフラグメントと反応して複合体を形成し、液が媒体中を広がるのを利用して、その複合体は第二の部分へと移動し、第二の部分において固定化された上述のモノクローナル抗体又はそのフラグメントに補足され、その位置で標識物質によりフジツボ類の付着期幼生の検出が可能となる。これに対して、フジツボ類の付着期幼生又はその溶解物を含まない試料においては、試料中に含まれる抗原と反応しなかった、第一の部分に含まれる標識された上述のモノクローナル抗体又はそのフラグメントが、第三の部分へと移動し、第三の部分において固定化された上述の二次抗体に補足され、標識物質の標識によりフジツボ類の付着期幼生が存在しなかったことが明らかになる。このように、第二の部分が標識されたか、第三の部分のみが標識されたかで、試料中にフジツボ類の付着期幼生が存在するかどうかを検出することが可能となる。
一方、本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出キットは、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントを含むものであればどのようなものでもよく、本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメント以外に、例えば、緩衝液(例えば、リン酸塩、炭酸塩、塩酸塩等の塩の溶液)、防腐剤(例えば、アジ化ナトリウムなど)、非特異的な反応を抑制するための物質(例えば、ブロックエース、ゲラチン、スキムミルクなど)、免疫学的手法によりフジツボ類の付着期幼生を検出するのに必要な物質(例えば、標識物質、発色基質、二次抗体、発色増強剤など)、安定剤(例えば、BSA、ヤギ血清など)等の抗原の検出キットに含ませる一般的な物質、若しくは上述のような本発明に係るモノクローナル抗体又はそのフラグメントが媒体に固定化されている検出器、又はこれらのうち2以上を組み合わせたものが含まれていてもよい。
なお、前記標識物質としては、例えば、蛍光物質(例えば、FITC、ローダミン、ファロイジンなど)、金属コロイド粒子(例えば、金コロイド粒子)、重金属(例えば、金、白金など)、色素タンパク質(例えば、フィコエリトリン(PE)、フィコシアニン(PC)など)、放射性同位元素(例えば、3H、32P、35S、125I、131Iなど)、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼなど)、ビオチン、ストレプトアビジン等の物質を用いることができるがこれらに制限されるものではなく、公知の標識物質を用いてもよい。また、発色基質としては、上述の酵素に対する発色基質であれば特に制限されるものではなく、例えば、ジアミノベンジジン(DAB)、o-フェニレンジアミン(o-Phenylenediamine)、過酸化水素水、BCIP/Nitro-TB(5-Bromo-4-chloro-3-indolylphosphate/Nitrotetrazolium blue)、pNPP(para-nitorophenylphosphate)などを用いることができる。前記発色増強剤としては、上述の基質の発色を増強させることができるものであればどのようなものでもよく、例えば、硫酸などを用いることができ、前記二次抗体としては、例えば、本発明に係るモノクローナル抗体が産生されたホストの動物種の免疫グロブリンに特異的に反応する抗免疫グロブリン抗体、抗Ig(H+L)、抗Ig(Fc)などを用いることができる。
また、上述の免疫学的手法としては、EIA(Enzyme Immunoassay)、蛍光免疫測定法、ELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)、RIA(Radioimmuno assay)、ウェスタンブロット法、ラテックス凝集法、イムノクロマト法、サンドイッチ法等の公知の方法を用いることができる。
以上のように、本発明に係るフジツボ類の付着期幼生の検出方法、検出用試薬、検出器、又は検出キットを用いることにより、フジツボ類の付着期幼生の存在の有無の確認、フジツボ類の付着期幼生の同定、フジツボ類の付着期幼生の分離及び量の測定が可能となる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
アカフジツボ(Megabalanus rosa (Pilsbry))キプリス幼生に特異的なモノクローナル抗体を得るために、室内飼育により得られたアカフジツボキプリス幼生を抗原として用いた。
7週齢のBALB/c Jc1マウスの腹腔内に抗原を5回注射し(1〜4回目の注射:幼生50〜200個/150〜200μl PBS、5回目の注射(最終免疫):幼生300個/200μl PBS;1回目の投与から22日目に2回目の投与を、2回目の投与から24日目に3回目の投与を、3回目の投与から60日目に4回目の投与を、4回目の投与から59日目に5回目の投与を行った。)、マウスを免疫した。
最終免疫から3日後に、マウスから脾臓を摘出し、10%のFBS及び1%の抗生物質(Antibiotic-Antimycotic;GIBCO社製)を含むRPMI1640(GIBCO社製)培地中で滅菌ステンレスメッシュにより裏漉しし、細胞を分散・懸濁させて浮遊細胞(脾臓細胞)を得た。この脾臓細胞を10%のFBS を含む培地(FBS+培地)で洗浄・遠心した後、RPMI1640培地(FBS-培地)で3回遠心・洗浄し、脾臓細胞(108 cells程度)を回収した。
次に、ミエローマ細胞(5×107 cells)と脾臓細胞(108 cells程度)を混合し、その後遠心して上清を除去し、細胞ペレット(沈殿)を作製した。これに1gのPEG4000(ポリエチレングリコール;MERCK社Article No.9727)とFBS-培地 1mlとを混合した溶液をゆっくりと添加して撹拌し、さらに1分間緩やかに撹拌した。その後、FBS-培地2mlをゆっくり加えながら1分間撹拌して、細胞融合を行った。
細胞融合後、さらにFBS-培地(37℃)8mlを1分間かけてゆっくりと添加し、続いて遠心分離(1000rpm×5分間)して上澄みを吸引除去した。これにFBS+培地10mlを添加して懸濁し、FBS+HAT培地(10%のFBS、1%の抗生物質、及びHAT supplement medium(SIGMA;粉末1バイアルを50倍に希釈したものを使用)×0.5を含むRPMI1640培地(GIBCO))が入った分室シャーレ5枚にそれぞれ2ml播種し、37 ℃,5% CO2の条件下で5〜7日間培養した。
培養後、凍結したアカフジツボキプリス幼生700個体に、50mM Tris-HCl(PH7.5)を700μl加え、ホモジナイズ・超音波(数秒×5回)処理を行い、5000rpm×20分間遠心することにより得られたアカフジツボキプリス幼生粗抽出液(タンパク質濃度;5.74mg/ml)を抗原として用い、それを吸着させたニトロセルロースメンブランを各シャーレ(培養液)上にのせ(1日間)、HRP標識2次抗体を用いて反応させた。反応後、化学発光させてX線フィルムに焼き付け、各セル内の細胞の抗体産生の確認を行った。
この確認において、アカフジツボキプリス幼生粗抽出液に対して陽性反応を示した細胞株のうち、シングルコロニーのハイブリドーマをピックアップし、選択培地(マウス胸腺細胞由来のフィーダー細胞を添加したHT培地(100μMヒポキサンチン及び16μMチミジンを含むRPMI1640培地))の入った96穴ウェルプレートに移植し、ハイブリドーマの培養を行った。培養後、各ウェルの培養上清を採取し、ELISA法により抗体の産生を確認した。なお、特に記載がない過程については室温にて処理(反応を含む)を行った。
(1)上記抗原(アカフジツボキプリス幼生粗抽出液;100μg/ml)50μlを、96穴イワキELISAプレートの各ウェルに加え、4℃で一晩、抗原をウェル底面に吸着させた。
(2)(1)で吸着処理した各ウェルをTBS(0.5 M NaCl及び20 mM Tris-HCl(pH7.5))200μlで洗浄した。
(3)各ウェルを1% BSAを含むTBS 100μlで1時間ブロッキングした。
(4)各ウェルをTTBS(0.05% Tween20を含むTBS)200μlで3回洗浄した。
(5)ハイブリドーマを培養することにより得られた培養上清(1次抗体)50μlを各ウェルに加え、1時間反応させた。
(6)各ウェルをTTBS 200μlで4回洗浄した。
(7)各ウェルに2次抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG(H+L)ヤギ抗体;ZYMED laboratory)溶液(TBSで1000倍に希釈した溶液)50μlを加えて1時間反応させた。
(8)各ウェルをTTBS 200μlで5回洗浄した。
(9)各ウェルに基質(アルカリフォスファターゼ基質キット;BIO-RAD)溶液 100μlを加え、1時間振盪することにより発色させた。
(10)マイクロプレートリーダー(BIO-RAD Model550;405nm)を用いて、各ウェルの溶液の吸光度を測定した。
上述のELISA法により高い抗体産生能が確認されたハイブリドーマについて、段階的に希釈した培養液をさらにELISA法により抗体価を測定し、抗体産生能が高いハイブリドーマをピックアップするという操作を3回繰り返して行い(2回目及び3回目の培養は、HTを含まない、10% FBS、1% 抗生物質、及び10% 細胞増殖促進成分(conditioned medium from J774A.1 cells, HYBRIMAX, SIGMA)を含むRPMI1640を用いた。)、アカフジツボキプリス幼生粗抽出液に対してより高い抗体産生能を示すハイブリドーマのクローン(KA4-5b6P-1(3)a、KA4-5b(5)a、KF1-6a4(1)6P-3、及び10E3-1A11-2(3)b)を得た。
[実施例2]
次に、実施例1により得られた4個のハイブリドーマクローン(KA4-5b6P-1(3)a、KA4-5b(5)a、KF1-6a4(1)6P-3、及び10E3-1A11-2(3)b)の各培養上清に含まれるモノクローナル抗体が、アカフジツボキプリス幼生に対して特異的に反応するか否かを調べるため、アカフジツボキプリス幼生、タテジマフジツボ(Balanus amphitrite Darwin)キプリス幼生、イワフジツボ(Chthamalus challengeri Hoek)キプリス幼生、フジツボ類以外の甲殻類プランクトン(コペポーダ類、アルテミア(Artemia salina)ノープリウス幼生)、及び二枚貝幼生(アサリペディベリジャー幼生、ムラサキイガイペディベリジャー幼生)の粗抽出液(タンパク質の濃度;100μg/ml)との反応性を、実施例1に記載のELISA法と同様に確認した。なお、各粗抽出液は、各幼生又はプランクトンを50mM Tris-HCl(PH7.5)に加えて、ホモジナイズ・超音波(数秒×5回)処理し、5000rpm×20分間の遠心を行うことにより調製した。ELISAの結果(OD405値)を表1に示す。
[表1]
Figure 2006246821
表1に示すように、ハイブリドーマクローンKA4-5b6P-1(3)a、KA4-5b(5)a、及びKF1-6a4(1)6P-3の上清は、アカフジツボキプリス幼生の粗抽出液に対して反応性を示し、タテジマフジツボやイワフジツボ等のアカフジツボ以外のフジツボ類のキプリス幼生の粗抽出液、二枚貝類、及びフジツボ類以外の甲殻類プランクトンの粗抽出液には反応性を示さなかった。また、ハイブリドーマクローン10E3-1A11-2(1)bの上清は、全てのフジツボ類のキプリス幼生の粗抽出液に対して反応し、フジツボ類以外の幼生やプランクトンの粗抽出液に対してほとんど反応性を示さないことが明らかになった。
[実施例3]
次に、実施例1により得られたハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体がフジツボ類のキプリス幼生自体に特異的に反応するかどうかを調べるために、培養上清がフジツボ類のキプリス幼生の粗抽出液に対して特異的に反応したハイブリドーマクローン10E3-1A11-2(3)bのモノクローナル抗体を用いて、アカフジツボキプリス幼生及びタテジマフジツボキプリス幼生に対する免疫染色を以下のように行い、実体顕微鏡及び倒立顕微鏡で各幼生を観察した。なお、特に記載がない過程については室温にて処理(反応を含む)を行った。
(1)5% ホルマリンを用いて、アカフジツボキプリス幼生又はタテジマフジツボキプリス幼生をそれぞれ96穴プレートに海水とともに入れ、ホルマリン(終濃度5%)を用いて、固定した。
(2)各ウェルをPBS 200μlで洗浄した後、PBST(0.05% Tween20を含むPBS)200μlにてさらに洗浄した。
(3)各ウェルに1% BSAを含むPBST200μlを注入し、4℃で8時間ブロッキングした。
(4)各ウェルに10E3-1A11-2(3)bのモノクローナル抗体(1次抗体;1% BSAを含むPBSTで8倍に希釈した溶液)200μlを加え、4℃で一晩反応させた。
(5)各ウェルをPBST 200μlで4回洗浄した。
(6)各ウェルに2次抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG(H+L)ヤギ抗体;1% BSAを含むPBSTで400倍に希釈した溶液)200μlを加えて4℃で8時間反応させた。
(7)各ウェルをPBST 200μlで4回洗浄した。
(8)各ウェルに基質(アルカリフォスファターゼ基質キット;BIO-RAD)溶液 200μlを加えて発色させた。
その結果、ハイブリドーマクローン10E3-1A11-2(3)bのモノクローナル抗体は、アカフジツボキプリス幼生やタテジマフジツボキプリス幼生の胸肢基部組織に特異的に反応することが明らかになった。
以上の結果から、10E3-1A11-2(3)bは、フジツボ類の付着期幼生に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないことから、このハイブリドーマ細胞株が産生するモノクローナル抗体を用いることにより、フジツボ類のキプリス幼生を特異的に検出したり、回収したりすることができることが明らかになった。そこで、このハイブリドーマ細胞株を独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託した(10E3-1A11-2(3)b:受託番号FERM P-20282)。

Claims (13)

  1. フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法であって、
    アカフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生、又はタテジマフジツボ付着期幼生で免疫したヒト以外の哺乳類動物由来の脾臓細胞とミエローマ細胞とを融合したハイブリドーマから、アカフジツボ付着期幼生、イワフジツボ付着期幼生、及びタテジマフジツボ付着期幼生に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選定する工程を含むことを特徴とするハイブリドーマの作製方法。
  2. フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  3. 受託番号FERM P-20282で寄託されていることを特徴とする請求項2に記載のハイブリドーマ。
  4. フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメント。
  5. 受託番号FERM P-20282で寄託されているハイブリドーマから産生されることを特徴とする請求項4に記載のモノクローナル抗体又はそのフラグメント。
  6. フジツボ類の付着期幼生の検出用試薬であって、
    前記フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントを有効成分として含有する検出用試薬。
  7. 前記モノクローナル抗体が、受託番号FERM P-20282で寄託されているハイブリドーマから産生されることを特徴とする請求項6に記載の検出用試薬。
  8. フジツボ類の付着期幼生の検出器であって、
    前記フジツボ付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントが固定化されていることを特徴とする検出器。
  9. 前記モノクローナル抗体が、受託番号FERM P-20282で寄託されているハイブリドーマから産生されることを特徴とする請求項8に記載の検出器。
  10. フジツボ類の付着期幼生の検出キットであって、
    前記フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントを含むことを特徴とする検出キット。
  11. 前記モノクローナル抗体が、受託番号FERM P-20282で寄託されているハイブリドーマから産生されることを特徴とする請求項10に記載の検出器。
  12. フジツボ類の付着期幼生の検出方法であって、
    試料に、前記フジツボ類の付着期幼生に特異的に反応し、フジツボ類以外の甲殻類プランクトンや二枚貝類の付着期幼生には反応しないモノクローナル抗体又はそのフラグメントを加えることを特徴とする検出方法。
  13. 前記モノクローナル抗体が、受託番号FERM P-20282で寄託されているハイブリドーマから産生されることを特徴とする請求項12に記載の検出方法。

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